以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。
図1は、エレベーターの昇降路の上側に位置する機械室80に設置されている巻上機構造1の正面図である。図1に示すように、機械室80は、床部51と、床部51に固定された機械台52を有し、巻上機構造1は、機械台52上に設置される。機械台52は、例えば、H鋼やI鋼等で構成される。
巻上機構造1は、巻上機台5、ソラセ車10、巻上機15、及び複数の防振ゴム20を備える。複数の防振ゴム20は、機械台52に取り付けられ、巻上機台5は、その所定位置が複数の防振ゴム20に固定されることで複数の防振ゴム20と一体にされる。また、ソラセ車10は、その中心軸が巻上機台5の所定位置に固定されることで巻上機台5に対して相対回転可能な状態で巻上機台5に取り付けられる。また、巻上機15は、その所定位置が巻上機台5の上面の所定位置に固定されることで巻上機台5と一体にされる
巻上機構造1は、機種が同じであれば、巻上機台5、ソラセ車10、巻上機15、及び複数の防振ゴム20は、略同一である。ここで、略同一とは、公差の範囲に収まる程度の差異は存在するが、それ以上の差異は、存在しないという意味である(以下、略同一をその意味で用いる)。また、巻上機構造1は、機種が同じであれば、巻上機15に対する巻上機台5の相対位置、巻上機15に対するソラセ車10の相対位置、巻上機15に対する複数の防振ゴム20の相対位置、及び巻上機構造1内での複数の防振ゴム20の相対位置の全てが略同一になる。
したがって、巻上機構造1は、機種が同じであれば、ロープ25においてソラセ車10から重力で鉛直方向下方に鉛直方向に平行に垂れ下がっている部分25aに対する複数の防振ゴム20の相対位置が略同一となり、機種が同じであれば、ロープ25において巻上機15から重力で鉛直方向下方に鉛直方向に平行に垂れ下がっている部分25bに対する複数の防振ゴム20の相対位置も略同一になる。
次に、本開示の一実施形態に係る巻上機位置決め用テンプレート50(以下、単にテンプレート50と言う)と、それを用いた巻上機構造の設置方法について説明する。図2は、機種Aの巻上機構造における複数の防振ゴム20Aが取り付けられているテンプレート50を厚さ方向上方から見たときの平面図である。
テンプレート50は、機種Aの巻上機構造の設置と、機種Bの巻上機構造の設置とに用いることができる。図2に示すように、テンプレート50は、第1部材の一例としての枠部材55と、第2部材の一例としての棒部材60とを備える。棒部材60は、平板形状を有すると好ましいが、平板形状でなくてもよい。枠部材55は、外縁56が略長方形の形状を有し、中央部に平面視が略長方形の貫通孔57を有する。外縁56の中心は、貫通孔57の中心と略一致する。また、外縁56の幅方向、すなわち、枠部材55の幅方向(図2にX方向として示す)は、貫通孔57の幅方向に一致し、外縁56の長手方向、すなわち、枠部材55の長手方向(図2にY方向として示す)は、貫通孔57の長手方向に一致する。
棒部材60は、枠部材55に異なる2つの配置で固定できるようになっている。詳しくは、枠部材55の幅方向に延在する一対の幅方向延在部61a,61bに関し、一方の幅方向延在部61aの厚さ方向(図2にZ方向として示す)の上側の端面65aには、2つのねじ孔62A,62Bが幅方向に間隔をおいて設けられ、他方の幅方向延在部61bの厚さ方向の上側の端面65bにも、2つのねじ孔63A,63Bが幅方向に間隔をおいて設けられる。ねじ孔62Aは、ねじ孔63Aに枠部材55の長手方向に間隔をおいて対向し、ねじ孔62Bは、ねじ孔63Bに枠部材55の長手方向に間隔をおいて対向する。
一方、棒部材60は、直線状に延在し、棒部材60の長さは、貫通孔57の長手方向の長さよりも長くなっている。また、棒部材60は、延在方向の一方側端部に第1ねじ孔(貫通孔)を有し、延在方向の他方側端部に第2ねじ孔(貫通孔)を有する。Z方向から見たとき、第1ねじ孔がねじ孔62Aに重なると共に第2ねじ孔がねじ孔63Aに重なるように棒部材60を枠部材55の上側に配置した状態で、第1ねじ67を、第1ねじ孔及びねじ孔62Aに棒部材60の上側から締め込むと共に、第2ねじ68を第2ねじ孔及びねじ孔63Aに棒部材60の上側から締め込むことで、棒部材60を、枠部材55に第1配置(以下、A配置という)で固定でき、第1構造(以下、A構造という)を構成できる。なお、第1及び第1ねじ67,68として、ボルトを用いてもよく、以下で説明する他のねじにおいても、ねじとして、ボルトを用いてもよい。
また、同様に、Z方向から見たとき、第1ねじ孔がねじ孔62Bに重なると共に第2ねじ孔がねじ孔63Bに重なるように棒部材60を枠部材55の上側に配置した状態で、第1ねじ67を、第1ねじ孔及びねじ孔62Bに棒部材60の上側から締め込むと共に、第2ねじ68を第2ねじ孔及びねじ孔63Bに棒部材60の上側から締め込むことで、棒部材60を、枠部材55に第2配置(以下、B配置という)で固定でき、第2構造(以下、B構造という)を構成できる。
テンプレート50は、機種Aの巻上機構造の設置作業を行う際には、A構造にして使用する。また、テンプレート50は、機種Bの巻上機構造の設置作業を行う際には、B構造にして使用する。図2に示すように、枠部材55は、その四隅の周辺に2セットの複数の防振ゴム取付部71A,71Bを有し、棒部材60は、第1及び第2ねじ孔に挟まれた領域に2セットのロープ位置特定部72A,72Bを有する。
本実施例では、防振ゴム取付部71A及び防振ゴム取付部71Bの夫々は、ねじ孔(貫通孔)で構成され、ロープ位置特定部72Aは、2つの切欠き73A,74Aで構成され、ロープ位置特定部72Bは、2つの切欠き73B,74Bで構成される。
次に、テンプレート50のA構造と、機種Aの巻上機構造との関係について説明する。上述のように、機種Aの巻上機構造の場合、公差による差異の範囲内で、巻上機に対する巻上機以外の全ての部位の相対位置は、一致する。したがって、機種Aの巻上機構造の場合、複数の防振ゴムに対するロープの相対位置も、公差による差異の範囲内で、一致する。このような背景において、構造Aでは、テンプレート50における複数の防振ゴム取付部71Aに、機種Aの巻上機構造における複数の防振ゴムを取り付け、ロープ位置特定部72Aにおける2つの切欠き73A,74Aの夫々にロープを通過させた場合において、ロープにおいて2つの切欠き73A,74Aから重力により鉛直方向下方に鉛直方向に平行に垂れ下がっている2つのロープ部分に対する、テンプレート50に取り付けられた機種Aの巻上機構造における複数の防振ゴムの相対位置が、機種Aの巻上機構造において重力により巻上機から鉛直方向下方に鉛直方向に平行に垂れ下がっているロープの一部分及び機種Aの巻上機構造において重力によりソラセ車から鉛直方向下方に鉛直方向に平行に垂れ下がっているロープの一部分に対する、機種Aの巻上機構造における複数の防振ゴムの相対位置に、公差による差異の範囲内で一致するようになっている。
また、同様に、機種Aの巻上機構造と、構造が大きく異なる機種Bの巻上機構造についても、テンプレート50における複数の防振ゴム取付部71Bに、機種Bの巻上機構造における複数の防振ゴムを取り付け、ロープ位置特定部72Bにおける2つの切欠き73B,74Bの夫々にロープを通過させた場合において、ロープにおいて2つの切欠き73B,74Bから重力により鉛直方向下方に鉛直方向に平行に垂れ下がっている2つのロープ部分に対するテンプレート50に取り付けられた機種Bの巻上機構造における複数の防振ゴムの相対位置が、機種B巻上機構造において重力により巻上機から鉛直方向下方に鉛直方向に平行に垂れ下がっているロープの一部分及び機種Bの巻上機構造において重力によりソラセ車から鉛直方向下方に鉛直方向に平行に垂れ下がっているロープの一部分に対する、機種Bの巻上機構造における複数の防振ゴムの相対位置に、公差による差異の範囲内で一致するようになっている。
次に、テンプレート50を用いた機種Aの巻上機構造の設置方法について図3を用いて説明する。なお、図3では、図2との比較において、テンプレート50を簡略化して描いており、幾つかのねじ孔等の図示を省略している。また、機種Bの巻上機構造の設置方法は、機種Aの巻上機構造の設置方法と同様であるため、説明を省略する。
図3を、参照して、先ず、テンプレート50をA構造にしたのち、テンプレート50の複数の防振ゴム取付部71Aに機種Aの巻上機構造の複数の防振ゴム20Aを固定する。この固定は、例えば、防振ゴム取付部71Aを構成するねじ孔と、防振ゴム20Aに設けられたねじ孔と、ねじとを用いて実行される。
次に、先端部に釣合錘位置の位置調整の指標として用いる第1指標錘76が取り付けられた第1ロープ部分77を、釣合錘の位置合わせを行うための、ロープ位置特定部72Aの切欠き74Aを通過させ、先端部にカゴ位置の位置調整の指標として用いる第2指標錘78が取り付けられた第2ロープ部分79を、カゴの位置合わせを行うための、ロープ位置特定部72Aの切欠き73Aを通過させる。
続いて、第1ロープ部分77の先端部に固定された第1指標錘76の水平位置(2次元平面である水平面上における位置)を、昇降路の底部に設けられた釣合錘位置調整部(図示せず)の水平位置に一致させると共に、第2ロープ部分79の先端部に固定された第2指標錘78の水平位置を、昇降路の底部に設けられたカゴ位置調整部(図示せず)の水平位置に一致させる。この動作は、テンプレート50を水平方向に移動させることで実行する。なお、釣合錘位置調整部、及びカゴ位置調整部の夫々は、例えば、昇降路の底部から鉛直方向上方に鉛直方向に略平行に突出する突出部で構成される。
なお、第1ロープ部分77として、設置を行う機種Aの巻上機構造における巻上機やソラセ車に巻回されているロープの一方側部分を用いてもよく、第2ロープ部分79として、設置を行う機種Aの巻上機構造における巻上機やソラセ車に巻回されているロープの他方側部分を用いてもよい。この場合、テンプレート50から垂れ下がるロープの長さを容易に調整できるので、エレベーターが設置されている建物の高さによらず、2つの指標錘を、釣合錘位置調整部及びカゴ位置調整部に位置合わせする作業を容易に行うことができる。
次に、第1指標錘76の水平位置が、釣合錘位置調整部の水平位置に一致していると共に、第2指標錘78の水平位置が、カゴ位置調整部の水平位置に一致していて、更に、テンプレート50の厚さ方向が鉛直方向に略一致している状態で、テンプレート50と一体となっている機種Aの複数の防振ゴム20Aを、テンプレート50と一体となっている状態で機械室に固定する。機種Aの巻上機構造に関して、機械室から重力で鉛直方向下側に鉛直方向に平行に垂れ下がっている釣合錘固定側のロープの部分の先端部の水平位置が、釣合錘位置調整部の水平位置に一致している状態となっており、機械室から重力で鉛直方向下側に鉛直方向に平行に垂れ下がっているカゴ固定側のロープの部分の先端部の水平位置が、カゴ位置調整部の水平位置に一致している状態となっている場合、ロープの一端部の水平位置を、昇降路を正常に昇降できる配置になっている釣合錘90のロープ固定位置91の水平位置に一致させることができ、ロープの他端部の水平位置を、昇降路を正常に昇降できる配置になっているカゴ92のロープ固定位置93の水平位置に一致させることができるようになっている。したがって、複数の防振ゴム20Aをそのように固定すれば、複数の防振ゴム20Aに対して配置位置が一意に決定する機種Aの巻上機構造から垂れ下げるロープの一方側端部を釣合錘の所定位置に固定でき、機種Aの巻上機構造から垂れ下げるロープの他方側端部をカゴの所定位置に固定できる。
その後、テンプレート50を、機械室に固定されている複数の防振ゴム20Aから取り外し、複数の防振ゴム20Aに機種Aの巻上機構造における複数の防振ゴム20A以外の部分を取り付けて機械室に対する機種Aの巻上機構造の設置を終了する。
この設置方法では、第1ロープ部分77の先端部が、釣合錘位置調整部の水平位置に一致し、第2ロープ部分79の先端部が、釣合錘位置調整部の水平位置に一致した状態となっている。したがって、今までの説明から明らかなように、機械室に設置された機種Aの巻上機構造のロープの一端部の水平位置を、昇降路を正常に昇降できる配置になっている釣合錘90のロープ固定位置91の水平位置に一致させることができて、そのロープの一端部をロープ固定位置91に固定でき、更には、機械室に設置された機種Aの巻上機構造のロープの他端部の水平位置を、昇降路を正常に昇降できる配置になっているカゴ92のロープ固定位置93の水平位置に一致させることができて、そのロープの他端部をロープ固定位置93に固定できる。
以上、テンプレート50は、巻上機構造1を、巻上機15と、複数の防振ゴム20とを含むものであるとするとき、巻上機15に対する複数の防振ゴム20の相対位置が互いに異なる複数の巻上機構造(機種Aの巻上機構造、機種Bの巻上機構造)の夫々に関して、巻上機構造の設置位置を位置決め可能なテンプレートである。また、複数の巻上機構造に含まれるいずれの巻上機構造についても、巻上機構造内での複数の防振ゴム20Aの相対位置関係と略同一の相対位置関係でその複数の防振ゴム20Aを取り付け可能な複数の防振ゴム取付部71Aと、巻上機構造が使用されている状態において巻上機構造内での複数の防振ゴム20Aの位置を基準位置とした場合における複数の防振ゴム20Aの位置に対する巻上機構造から鉛直方向の下方に延在する2つのロープ部分のロープ相対位置が、基準位置を上記巻上機構造内での複数の防振ゴム20Aの位置から複数の防振ゴム取付部71Aに取り付けられた複数の防振ゴム20Aの位置に変えた場合においてその取り付けられた複数の防振ゴム20Aの位置に対して特定可能になるロープ位置特定部72Aと、が存在する。
本開示によれば、各巻上機構造に関して、巻上機構造内での複数の防振ゴム20Aの相対位置関係と略同一の相対位置関係で複数の防振ゴム20Aをテンプレート50に取り付けることができ、その状態で、ロープ位置特定部72Aによって、複数の防振ゴム取付部71Aに取り付けられた複数の防振ゴム20Aを基準とした場合でのロープ相対位置となるようにテンプレート50に対して2つのロープを位置決めすることができる。また、その位置決めされた2つのロープの夫々の先端部に指標錘76,78を取り付けた状態で、テンプレート50を水平方向に移動させて、一方の指標錘76の水平位置が釣合錘位置調整部の水平位置に略一致すると共に、他方のロープの先端部に固定された他方の指標錘78の水平位置がカゴ位置調整部の水平位置に略一致するように調整することもできる。したがって、2つのロープの夫々に取り付けられた指標錘76,78がカゴの水平方向の位置合わせ位置及び釣合錘の水平方向の位置合わせ位置に一致していると共に、テンプレート50の厚さ方向が鉛直方向に略一致している状態で、テンプレート50に取り付けられている複数の防振ゴム20Aを機械室に固定するだけで、複数の防振ゴム20Aを高精度に機械室の固定位置に固定でき、ひいては、複数の防振ゴム20Aに対して設置位置が一意に決まる巻上機構造も機械室の固定位置に高精度に固定できる。
つまり、巻上機構造との比較において各段に軽量で動かし易いテンプレート50を水平方向に移動させるだけで巻上機構造を高精度に設置位置に固定できるので、従来の方法と異なり重量物移動作業に伴う災害が発生する虞が一切なく、作業員の体力的な負担を各段に低減できる。更には、巻上機構造との比較において各段に軽量で動かし易いテンプレート50を水平方向に移動させるだけで巻上機構造を高精度に設置位置に固定できるので、作業員の経験や技量に起因して取付精度が変動することも略防止できるか又は防止できる。よって、巻上機構造の設置を各段に容易に実行でき、安全かつ高精密に実行できる。また、テンプレート50を、異なる複数の巻上機構造のいずれについても用いることができるので、テンプレート50の汎用性を高くすることができる。
また、テンプレート50において、枠部材(第1部材)55と、棒部材(第2部材)60とを備え、複数の防振ゴム取付部71Aは、枠部材(第1部材)55に設けられる一方、ロープ位置特定部72Aは、棒部材60に設けられてもよい。また、枠部材55に対する棒部材60の相対静止位置を変動させることが可能でもよい。
本構成によれば、テンプレート50に、複数の巻上機構造に対応する、複数の防振ゴム取付部71A,71B及びロープ位置特定部72A,72Bの複数のセットが存在するようにできる。更には、枠部材55に対する棒部材60の相対静止位置を変動させることが可能であるので、同じ複数の巻上機構造に使用できるテンプレートを、一体構造で形成した場合との比較において、テンプレート50を各段に軽量に形成できる。
また、第1部材が、厚さ方向から見たときに略矩形の形状を有する枠部材55であり、第2部材が、枠部材55の長手方向に略平行な状態で枠部材55の幅方向に関して枠部材55の複数の位置に取り付け可能な棒部材60でもよい。
本構成によれば、複数の防振ゴム取付部71A,71B及びロープ位置特定部72A,72Bのセットが複数組存在するようにでき、しかも、各段に軽いテンプレート50を簡単安価に形成できる。
また、本開示において、ロープ位置特定部72A,72Bが、2つのロープが通過可能な2つの切欠き73A,73B,74A,74Bでもよい。
本構成によれば、ロープ位置特定部72A,72Bを簡単安価に形成でき、更には、ロープ位置特定部72A,72Bに対するロープの着脱も容易に実行できる。
また、本開示に係る巻上機構造の設置方法は、テンプレート50を用いた巻上機構造の設置方法である。また、本開示に係る巻上機構造の設置方法は、設置を行う巻上機構造に対応するテンプレートの複数の防振ゴム取付部71Aに、設置を行う巻上機構造の複数の防振ゴム20Aを固定するゴム固定ステップを含む。
また、本開示に係る巻上機構造の設置方法は、ロープ位置特定部72Aを用いることで、夫々の先端部に指標錘76,78が取り付けられた2つのロープ部分77,79における鉛直方向下方に鉛直方向に平行に垂れ下がっている箇所77a,79aに対する、複数の防振ゴム取付部71Aに取り付けられた複数の防振ゴム20Aの相対位置を、巻上機構造における、巻上機構造から鉛直方向下方に鉛直方向に平行に垂れ下がっている2つのロープ部分の夫々の一部に対する、複数の防振ゴム20Aの相対位置に略一致させるロープ延在ステップを含む。
また、本開示に係る巻上機構造の設置方法は、ロープ延在ステップの後で、2つのロープ部分77,79のうちの第1ロープ部分77に取り付けられた第1指標錘76の水平位置が釣合錘90の水平方向の位置合わせ位置(釣合錘位置調整部)に略一致すると共に、2つのロープ部分77,79のうちの第2ロープ部分79に取り付けられた第2指標錘78の水平位置がカゴ92の水平方向の位置合わせ位置(カゴ位置調整部)に略一致するように、テンプレート50を、水平方向に移動させるテンプレート移動ステップを含む。
また、本開示に係る巻上機構造の設置方法は、テンプレート移動ステップの後で、第1ロープ部分77に取り付けられた第1指標錘76の水平位置が釣合錘90の水平方向の位置合わせ位置に略一致していると共に、他方の第2ロープ部分79に取り付けられた第2指標錘78の水平位置がカゴ92の水平方向の位置合わせ位置に略一致していて、更に、テンプレート50の厚さ方向が略鉛直方向に一致している状態で、複数の防振ゴム20Aを建物に対して静止している静止部(例えば、機械室)に固定するゴム静止部固定ステップを含む。
また、本開示に係る巻上機構造の設置方法は、ゴム静止部固定ステップの後に、テンプレート50を複数の防振ゴム20Aから取り外すテンプレート取外ステップを含む。
また、本開示に係る巻上機構造の設置方法は、テンプレート取外ステップの後に、巻上機構造における複数の防振ゴム20A以外の構造を、静止部に固定されている複数の防振ゴム20Aに固定する、構造固定ステップを含む。
本開示に係る巻上機構造の設置方法によれば、巻上機構造の設置を各段に容易に実行でき、安全かつ高精密に実行できる。
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、テンプレート50が異なる2機種の巻上機構造の設置に用いることができる場合について説明した。しかし、本開示のテンプレートは、1つのみの巻上機構造の設置にしか用いることができなくてもよい。又は、本開示のテンプレートは、複数の防止ゴム取付部及びロープ位置特定部のセットを3組以上有する構造でもよく、互いに異なる3以上の巻上機構造の設置に用いることができてもよい。
すなわち、本開示のテンプレートは、巻上機と複数の防振ゴムとを含む巻上機構造を設置する際に、巻上機構造の設置位置を位置決めするのに用いられてもよい。また、本開示のテンプレートは、巻上機構造内での複数の防振ゴムの相対位置関係と略同一の相対位置関係でその複数の防振ゴムを取り付け可能な複数の防振ゴム取付部と、巻上機構造が使用されている状態において巻上機構造内での複数の防振ゴムの位置を基準位置とした場合における複数の防振ゴムの位置に対する巻上機構造から鉛直方向の下方に延在する2つのロープ部分のロープ相対位置が、基準位置を複数の防振ゴムの位置から複数の防振ゴム取付部に取り付けられた複数の防振ゴムの位置に変えた場合においてその取り付けられた複数の防振ゴムの位置に対して特定可能になるロープ位置特定部とを備えていればよく、テンプレートが位置決め可能な巻上機構造の機種の数は、1以上の如何なる数でもよい。
また、テンプレートが、第1部材(枠部材55)に対する第2部材(棒部材60)の固定位置を変えることで、第1部材に対する第2部材の相対静止位置を変動させるようにし、更に詳しくは、枠部材55に対する棒部材60の幅方向の相対位置を変動させるようにした。しかし、棒部材に枠部材固定用の固定部(例えば、ねじ孔(貫通孔))を2セット以上設けることで、枠部材に対する棒部材の長手方向の相対位置も変動させるようにしてもよい。
また、第1部材(枠部材55)に対する第2部材(棒部材60)の固定位置を変えることで、第1部材に対する第2部材の相対静止位置を変動させるようにしたが、オートロック型のカッターナイフに用いられているスライド機構等、公知の如何なるスライド機構を用いて第1部材に対する第2部材の相対静止位置を変動させるようにしてもよい。
また、テンプレート50が、第1部材と、第2部材とを備え、第1部材に対する第2部材の相対静止位置を変動させることが可能である場合について説明した。しかし、本開示のテンプレートは、一体の1つの部材のみで構成されてもよく、又は、一体の1つの部材とねじ等の締結部材とで構成されてもよい。すなわち、全ての防振ゴム取付部と全てのロープ位置特定部を備えるテンプレートの本体は、一体の1つの部材のみで構成されてもよい。
また、テンプレートにおいて、複数の防振ゴム取付部及びロープ位置特定部で構成される異なるセットを複数組備え、複数の巻上機構造に含まれるいずれの巻上機構造についても対応するセットが存在し、1以上の複数の防振ゴム取付部が、異なる2以上のセットで兼用されていることと、1以上のロープ位置特定部が、異なる2以上のセットで兼用されていることのうちの少なくとも一方を満たしてもよい。
このようにして、巻上機位置決め用テンプレートを、複数の巻上機構造の設置に用いることができて、複数の防振ゴム取付部及びロープ位置特定部のうちの少なくとも一方の数も少ないスタイリッシュなものにしてもよい。
また、ロープ位置特定部72Aが、2つのロープが通過可能な2つの切欠き73A,74Aで構成される場合について説明した。しかし、ロープ位置特定部は、切欠きでなくてもよく、例えば、貫通孔で構成されてもよい。また、次の図4に示すように、ロープ位置特定部172は、係止部174を有してもよく、位置決め専用の指標錘治具130を用いて、巻上機構造の位置決め作業を行ってもよい。
図4(a)は、そのような実施形態を説明する変形例のテンプレート150におけるロープ位置特定部172の周辺の部分の模式断面図であり、図4(b)は、指標錘治具の構造を説明する図であり、図4(c)は、指標錘治具130が取り付けられたロープ位置特定部172を示す図である。
図4(a)に示すように、ロープ位置特定部172は、貫通孔173と、略L字形状の係止部174を有し、係止部174は、テンプレート150の本体151と一体に構成される。また、図4(b)に示すように、指標錘治具130は、金属製の環状部材131と、先端部に指標錘132が固定されたロープ133を有する。ロープ133の長さは、高い建物にも適用できる十分な長さになっている。ロープ133における環状部材131への固定位置(係止位置)を調整することで、指標錘治具130の長さを調整できるようになっている。ロープ133には、指標錘132からの長さを示す目盛が付してあって、ロープ133の長さが調整し易いと好ましい。また、ロープは、エレベーターで用いるロープでもよく、エレベーターで用いないロープでもよい。また、ロープの代わりにエレベーターで用いるロープよりも軽くて柔軟性に優れる紐部材を用いてもよい。図4(c)に示すように、位置決め作業のときには、指標錘治具130の長さを適切に調整した上で、環状部材131を、係止部174においてテンプレート150の厚さ方向に略直交する方向に延在している係止箇所174aに係止し、指標錘治具130のロープ133が貫通孔173を通過している状態にする。このようにすれば、簡素な構造で、巻上機構造の位置決め作業を実行できる。なお、環状部材を用いずにロープ又は紐部材を係止箇所174aに直接くくり付けるようにしてもよい。また、紐部材を用いた場合においても、指標錘からの長さを特定できる特定部(マーカ等で構成)が紐部材に付されていてもよい。