JP7000760B2 - 画像形成装置、及び画像形成装置用ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置、及び画像形成装置用ユニットに関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置としては、電子写真感光体(以下、「感光体」という場合がある。)を用いて帯電、露光、現像、転写、クリーニング等の工程を順次行う装置が広く知られている。
電子写真感光体としては、アルミニウム等の導電性を有する支持体上に、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型の感光体、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を同一の層が果たす単層型感光体が知られている。
電子写真感光体の導電性支持体となる円筒状の基材を製造する方法としては、例えば、アルミニウム等の素管の外周面を切削して、厚み、表面粗さ等を調整する方法が知られている。
一方、厚みの薄い金属製の容器等を低コストで量産する方法として、ダイス(雌型)に配置した金属塊(スラグ)に対し、パンチで衝撃(インパクト)を加えて筒状体に成形するインパクトプレス加工が知られている。
例えば、特許文献1には、「スラグ等の塑性材料をダイスのキャビティ内に装着し、前記ダイスに対して変位自在に設けられたパンチを前記スラグに押圧することにより有底状の容器に塑性変形せしめる有底容器の製造方法において、前記ダイスとパンチにて所定深さの中間容器に塑性変形せしめる第1工程と、第1工程で得た中間容器を加熱する第2工程と、該第2工程で加熱された中間容器を洗浄する第3工程と、第3工程で洗浄された中間容器に油類を塗布する第4工程と、第4工程で油類が塗布された中間容器を乾燥する第5工程と、第5工程で乾燥された中間容器を更に塑性変形せしめて最終深さの容器を形成せしめる第6工程と、を備えた有底容器の製造方法」が開示されている。
また、電子写真方式の画像形成装置に関して、次の文献が開示されている。
特許文献2には、「帯電手段により、電界強度が30V/μm以上になるように電子写真感光体に帯電が施され、露光手段にはビーム径が50μm以下の光源を用いて電子写真感光体に光書き込みが行われる画像形成装置」が開示されている。
特許文献3には、「感光体上にデジタル的ドット潜像を形成するとき、画像信号のビーム径(レーザービームがガウス分布しているときの半値幅、1/e)をAμm、該電子写真感光体表面の十点平均表面粗さ(Rz値)をBμmとしたとき、35≦(A/B)が成立する画像形成方法」が開示されている。
特許文献4には、「導電性支持体上に感光層を形成した感光体ドラムに、一様帯電及び画像情報をのせたレーザ光による露光を行うことにより静電潜像を形成し、ついで前記潜像をトナーにより顕像化し、前記顕像を被転写媒体に転写することから成る解像度が1200dpiである画像記録方法において、前記導電性支持体の表面粗さが式:「Sm≦22.22×Rmax+24.450.7≦Rmax≦2.5」で表される範囲にあることから成る画像記録方法」が開示されている。
特開2008-132503号公報 特開2006-330580号公報 特開2002-287387号公報 特開2002-278115号公報
ところで、開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部が外周面に存在する導電性支持体と、導電性支持体上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体を備える画像形成装置では、電子写真感光体の凹部に対応した画像の画像濃度が、凹部に対応した画像の周囲の画像濃度よりも低下する点状の画像欠陥(以下、便宜上「白点」とも称する。)が生じることがある。
そこで、本発明の課題は、上記電子写真感光体を備える画像形成装置において、光径50μm超えの光を照射する光源を有する露光装置を備える場合に比べ、白点の発生を抑制する画像形成装置を提供することである。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
に係る発明
開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部が外周面に存在する導電性支持体と、導電性支持体上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に露光により静電潜像を形成する露光装置であって、前記電子写真感光体の表面に光径50μm以下の光を照射する光源を有する露光装置と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。
に係る発明
前記導電性支持体のビッカース硬度が、65以下であるに記載の画像形成装置。
に係る発明
前記導電性支持体のビッカース硬度が、50以下であるに記載の画像形成装置。
に係る発明
前記光源が照射する光径が、20μm以上40μm以下であるのいずれか1項に記載の画像形成装置。
に係る発明
前記露光装置が、前記電子写真感光体の軸方向に沿って配列された発光ダイオードを前記光源として有する露光装置であるに記載の画像形成装置。
に係る発明
前記発光ダイオードが、1200dpi以上の解像度に対応した間隔で配列されているに記載の画像形成装置。
に係る発明
前記感光層が、前記導電性支持体上に、少なくとも、下引層、電荷発生層、及び電荷輸送層がこの順に積層されている感光層であり、
前記下引層の膜厚が20μm以上であるに記載の画像形成装置。
に係る発明
開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部が外周面に存在する導電性支持体と、導電性支持体上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に露光により静電潜像を形成する露光装置であって、光径50μm以下の光を照射する光源を有する露光装置と、
を備える画像形成装置用ユニット。
に係る発明によれば、開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部が外周面に存在する導電性支持体と、導電性支持体上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体を備える画像形成装置において、光径50μm超えの光を照射する光源を有する露光装置を備える場合に比べ、白点の発生を抑制する画像形成装置が提供される。
、又はに係る発明によれば、開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部が外周面に存在する導電性支持体と、導電性支持体上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体を備える画像形成装置において、光径50μm超えの光を照射する光源を有する露光装置を備える場合に比べ、導電性支持体のビッカース硬度が65以下であっても、白点の発生を抑制する画像形成装置が提供される。
、又はに係る発明によれば、光源が照射する光径が40μm超えである場合に比べ、白点の発生を抑制する画像形成装置が提供される。
に係る発明によれば、開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部が外周面に存在する導電性支持体と、導電性支持体上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体を備える画像形成装置において、光径50μm超えの光を照射する光源を有する露光装置を備える場合に比べ、光源としての発光ダイオードが1200dpi以上の解像度に対応した間隔で配列されていても、白点の発生を抑制する画像形成装置が提供される。
に係る発明によれば、下引層、電荷発生層、及び電荷輸送層がこの順に積層されている感光層において、下引層の膜厚が20μm未満である場合に比べ、白点の発生を抑制する画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 電子写真感光体の層構成の一例を示す概略部分断面図である。 露光装置の一例を示す概略断面図である。 露光装置のLEDアレイの一例を示す概略平面図である。 本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
以下に、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「電子写真感光体」を単に「感光体」ともいう。
本実施形態に係る画像形成装置は、
開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部が外周面に存在する導電性支持体と、導電性支持体上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に露光により静電潜像を形成する露光装置であって、前記電子写真感光体の表面に光径50μm以下の光(以下「露光光」)を照射する光源を有する露光装置と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
を備える。
本実施形態に係る画像形成装置では、白点(電子写真感光体の凹部に対応した画像の画像濃度が、凹部に対応した画像の周囲の画像濃度よりも低下する点状の画像欠陥)の発生を抑制する。その理由は、次の通り推測される。
開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部(以下「微細な凹部」とも称する)が外周面に存在する導電性支持体に感光層を塗布する際、微小な凹部上の電荷発生層が薄くなる。それにより、微細な凹部に対応した電荷発生層の領域では、その領域の周囲に比べ発生電荷量が少なくなる。そのため、露光後の感光体では、微細な凹部に対応した表面の電位が周囲に比べ高くなる傾向がある。
一方で、面積階調による画像形成であれば、各ドットで描くのはベタ画像であるため、現像曲線を考えれば周囲との電位差はほとんど現れない。しかし、光源からの露光光の光径に比較し、より高密度で露光光を照射(つまり書き込む)場合は、近接する露光光の影響を受け、露光光の広がりの影響を受け、静電潜像が滲むことになる(つまり静電潜像がボケる)。
そのため、露光後の感光体において、微細な凹部に対応した表面では、ベタの静電潜像を形成でき難く、中間電位となり周囲との電位差が生じて、電位差に応じて画像濃度が低下し、白点として認識されることになる。
それに対して、露光光の光径を50μm以下にすると、近接する露光光の影響を受け難くなる。つまり、露光光の広がりの影響による、静電潜像の滲み(つまり静電潜像のボケ)が抑制される。そのため、露光後の感光体において、微細な凹部に対応した表面と、その周囲の表面との電位差が小さくなり、微細な凹部に対応した画像の濃度の低下が抑制される。
以上から、本実施形態に係る画像形成装置では、白点の発生を抑制すると推測される。
本実施形態に係る画像形成装置において、露光装置は、感光体の軸方向に沿って配列された発光ダイオード(LED)を光源として有する露光装置(以下「LED方式の露光装置」とも称する)であることがよい。
ここで、光源から出射された光を回転多面鏡で感光体を走査露光する方式の露光装置(以下、「ROS方式の露光装置」とも称する)においては、感光体の相反則不軌により露光量と光感度が比例しない。これは、短い時間で露光されることで、電荷発生層の内部に励起子及び電荷の少なくとも一方が高密度に存在することが原因であると考えられているためである。
そのため、導電性支持体の微細な凹部による電荷発生層の薄膜化部分で、電荷発生層の内部に励起子及び電荷の少なくとも一方が高密度に存在すると、相反則不軌が弱い場合よりも、より電荷発生効率が落ちる。その結果、ROS方式の露光装置を採用した場合、導電性支持体の微細な凹部による白点が発生し易い。
一方、LED方式の露光装置は、露光時間がROS方式の露光装置に比較して相対的に長く、相反則不軌が弱くなると考えられる。そのため、導電性支持体の微細な凹部による電荷発生層の薄膜化部分で、電荷発生効率が落ちることが抑制される。その結果、LED方式の露光装置を採用した場合、導電性支持体の微細な凹部による白点が発生し難くなる。
また、LED方式の露光装置の光源(発光ダイオード)は、照射する光径が20μm以上40μm以下とすることができるため、導電性支持体の微細な凹部による白点が発生し難くなる。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着装置を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング装置を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電装置を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写装置は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写装置と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写装置と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体及び露光装置を備える部分が、画像形成装置用ユニットの一例に該当する。画像形成装置用ユニットは、電子写真感光体及び露光装置以外に、例えば、帯電装置、現像装置、及び転写装置からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(露光手段の一例)と、転写装置41(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の内部であり、かつ電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されている。また、転写装置41は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置41(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
図1におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、露光装置9(露光手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。なお、クリーニング部材は、クリーニングブレード131の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード131と併用してもよい。
なお、図1には、画像形成装置として、潤滑材140を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、及び、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
<電子写真感光体>
電子写真感光体7としては、導電性支持体と、導電性支持体上に設けられた感光層と、を有する構成の感光体が適用される。
具体的には、電子写真感光体7としては、図2に示すように、導電性支持体4上に、下引層1と電荷発生層2と電荷輸送層3とが、この順序で積層された構造を有する感光体7Aが挙げられる。電荷発生層2及び電荷輸送層3が感光層5を構成している。感光層5は、図2に示すように電荷発生層2と電荷輸送層3とが分離した機能分離型感光層であってもよいし、電荷発生層2と電荷輸送層3とが一体化した単層型感光層であってもよい。感光層5上には、さらに保護層が設けられていてもよい。下引層1は設けられていなくてもよい。
以下、感光体7の各層について詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
(導電性支持体)
導電性支持体の外周面は、開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部を有している。
凹部は、導電性支持体の外周面に一つ有していてもよし、複数個有していてもよい。
ここで、凹部における「開口径」とは、導電性支持体の外周面に有する開口部の長径を意味し、開口部の輪郭上の任意の2点間距離のうちの最大長を意味する。
また、凹部における「深さ」とは、凹部の開口面から最深部までの距離を意味する。
なお、導電性支持体の外周面において、開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部の確認は、次の通り実施する。
コンフォーカル顕微鏡(レーザーテック社製、OPTELICS HYBRID)にて、対象となる導電性支持体の外周面の高さ像を撮像(倍率20倍、大きさ:縦750μm×横750μm)する。その高さ像から、凹部における開口径及び深さを測定する。
この操作を、対象となる導電性支持体の外周面全体にわたり実施し、開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部の存在を確認する。
導電性支持体は、中空部材であっても非中空部材であってもよい。感光体の軽量化の観点からは、導電性支持体は中空部材(つまり円筒状部材)であることが好ましい。導電性支持体が中空部材である場合、厚さ(肉厚)は、感光体の軽量化の観点から、0.5mm以下が好ましく、0.4mm以下がより好ましい。導電性支持体の強度を確保する観点から、0.2mm以上が好ましい。
導電性支持体を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅等の純金属;ステンレス鋼、アルミニウム合金等の合金;が挙げられる。導電性支持体を構成する金属としては、軽いこと及び加工性に優れる観点から、アルミニウムを含む金属が好ましく、純アルミニウム又はアルミニウム合金がより好ましい。アルミニウム合金としては、アルミニウムが主成分である合金であれば特に制限されず、アルミニウムのほかに、例えば、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn、Ti等を含むアルミニウム合金が挙げられる。ここで「主成分」とは、合金に含まれる元素の中で最も含有割合(質量基準)が高い元素をいう。導電性支持体を構成する金属としては、加工性の観点から、アルミニウム含有率(質量割合)が90.0%以上の金属が好ましく、アルミニウム含有率は95.0%以上がより好ましく、99.0%以上が更に好ましい。
なお、導電性支持体における「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性支持体は、例えば、抽伸加工、絞り加工、インパクトプレス加工、しごき加工、切削加工などの公知の成形加工によって製造される。導電性支持体は、薄肉化及び高硬度化の観点から、インパクトプレス加工によって製造されることが好ましく、インパクトプレス加工及びその後のしごき加工によって製造されることがより好ましい。即ち、導電性支持体は、インパクトプレス加工品、又は、しごき加工を施したインパクトプレス加工品であることが好ましい。
インパクトプレス加工は、例えば、金属塊を円形の雌型に配置し、円柱状の雄型で叩いて雄型に沿った中空円筒体に成形する加工法である。インパクトプレス加工によって中空円筒体を成形した後、1回又は複数回のしごき加工によって、内径、外径、円筒度及び真円度を調整して導電性支持体を得る。しごき加工後に、円筒管の両端を切り落とし、さらに端面処理を施してもよい。
特に、インパクトプレス加工は、導電性支持体の外周面に、微細な凹部(開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部)が付与され易い加工である。
導電性支持体のビッカース硬度は、導電性支持体の機械的向上の観点から、65以下が好ましく、50以下がより好ましい。ただし、導電性支持体のビッカース硬度は、40以上がよい。
特に、導電性支持体のビッカース硬度が50以下であると、導電性支持体の凹部断面形状が変化することで(つまり、凹部の周辺付近の傾きがなだらかとなるため)、白点の発生が生じ難くなると推定している。
導電性支持体のビッカース硬度は、次の方法により測定する。
微小硬度計(MVK-HVL、明石製作所製)を用い、導電性支持体の表面に圧子を押し込み、押し込み荷重10gf、押し込み時間20sの条件で、ビッカース硬度Hvを測定する。測定は、導電性支持体の表面を切削し、表面から深さ20μmの箇所で行う。そして、この操作を、5ヶ所実施し、その平均値をビッカース硬度Hvとした。
導電性支持体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性支持体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて導電性支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性支持体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性支持体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性支持体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性支持体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性支持体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
(下引層)
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上50μm以下の範囲内に設定される。
特に、導電性支持体上に、少なくとも、下引層、電荷発生層、及び電荷輸送層がこの順に積層されている感光層において、下引層の膜厚が20μm以上(好ましくは25μm以上)であることで、導電性支持体の外周面の微小な凹部による電荷発生層の薄膜化が緩和され易くなる。そのため、微細な凹部に対応した電荷発生層の領域において、その領域の周囲に比べ発生電荷量が少なくなることが抑制される。その結果、白点の発生が抑制され易くなる。
(中間層)
下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
(電荷発生層)
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro-Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
電荷輸送材料としては、p-ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、スチレン-アルキッド樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
(保護層)
保護層は、必要に応じて感光層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善したりする目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
1)反応性基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に有する反応性基含有電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり当該反応性基含有電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む層)
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
保護層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
保護層の膜厚は、例えば、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは2μm以上10μm以下の範囲内に設定される。
(単層型感光層)
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他周知の添加剤と、を含む層である。なお、これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して10質量%以上85質量%以下がよく、好ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
<帯電装置>
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
<露光装置>
露光装置9としては、例えば、感光体7の外周面に、半導体レーザ光、発光ダイオード(LED)光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。
露光装置9は、感光体7の表面に光径50μm以下の光を照射する光源を有する装置である。
感光体7の表面に光源が照射する露光光の光径は、白点の発生抑制の観点から、20μm以上40μm以下が好ましく、20μm以上30μm以下がより好ましい。
ここで、露光光の光径とは、感光体7の表面での露光光の光径を意味する。そして、露光光の光径は、感光体7の表面において、光強度のピーク値の1/eの値での径を意味する。
露光光の光径の測定は、例えば、PHOTON社製のBeamScan装置を使用する。この装置は、ピーク値の1/eの値での径がビーム径として表記されるようになっている。
光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得る面発光型のレーザ光源を用いたものも有効である。
露光装置9の光源は特に限定されないが、非干渉性の露光光源を適用することがよい。
非干渉性の露光光源は、インコヒーレント光を照射する光源であり、例えば、非干渉性の露光光源としては、発光ダイオード(LED)、有機ELイメージアレイなどが採用される。
非干渉性の露光光源によって露光される電子写真感光体表面の露光スポットの面積は1000μm以下であり、且つ非干渉性の露光光源の発光の中心波長は450nm以上780nm以下であることがよい。
以下、露光装置の一例について説明する。
図3は、露光装置9の一例を示す概略断面図である。露光装置9は、SLED(Self Scanning Light Emitting Diode:自己走査型LED)を有している。図3に示すように、露光装置9は、LEDアレイ90と、LEDアレイ90を支持するとともにLEDアレイ90の駆動を制御する各種信号を供給するための回路(図示省略)とが実装された実装基板91と、セルフォック(登録商標)レンズアレイ等によるロッドレンズアレイ92と、を備えている。実装基板91は、LEDアレイ90の取り付け面が感光体7に対向するように筐体93内に設けられ、板バネ94によって支持されている。ロッドレンズアレイ92は、筐体93と共に、保持部材95によって支持されており、LEDアレイ90を構成する各LED96(図4参照)から出射された光ビームを感光体7上に集光させる。
図4は、LEDアレイ90の一例を示す概略平面図である。図4に示すように、LEDアレイ90は、感光体7の軸方向に沿って、千鳥状に配列されている。そして、LEDアレイ90には、複数のLED96(発光ダイオード)が配列されている。そして、LEDアレイ90は、千鳥状に配列されている。LEDアレイ90は、一列に配列していてもよい。
LEDアレイ90において、LED96は、解像度に対応した間隔で配列されている。LED96は、例えば、画像形成装置により形成される画像の最高解像度に対応した間隔で配列されている。例示すれば、画像形成装置により形成される画像の最高解像度が1200dpi(dots per inch)の場合、1インチ当たり、1200ドッドの露光点で、感光体7の表面に露光できる間隔で、LED96は配列されている。
なお、LED96の配置間隔は、感光体7の軸方向に沿った方向であって、隣り合うLED96同士の光照射面の中心間距離(図4のL参照)を示す。
このような構成のLEDアレイ90の各LED96から、感光体7の軸方向に、目的とする解像度で露光光を照射する。
ここで、1200dpi以上という高解像度で画像を形成する場合、特に、導電性支持体の微細な凹部による白点が生じ易い。つまり、LED96が1200dpi以上(例えば、1200dpi以上2400dpi以下)の解像度に対応した間隔で配列されている場合に、特に、上記白点が生じ易い。しかし、本実施形態では、LED96が1200dpi以上の解像度に対応した間隔で配列されている場合でも、導電性支持体の微細な凹部による白点の発生が抑制され易くなる。
また、露光装置8による露光スクリーンは、線間距離0.15mm以上である万線構造であることがよい。露光スクリーンの万線構造により万線の隣の線との重なりが軽減されることで、更に、白点の発生が抑制され易くなる。
<現像装置>
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、周知のものが適用される。
<クリーニング装置>
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
<転写装置>
転写装置41としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
<中間転写体>
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
<画像形成動作(画像形成方法)>
画像形成装置100の画像形成動作(画像形成方法)について説明する。
まず、感光体7の表面が帯電装置8により帯電される(帯電工程)。露光装置9は、帯電された感光体7の表面を画像情報に基づいて露光する。これにより、感光体7上に画像情報に応じた静電潜像が形成される(静電潜像形成工程)。現像装置11では、トナーを含む現像剤が収容され、現像剤により、感光体7の表面に形成された静電潜像が現像される。これにより、感光体7の表面に、トナー画像が形成される(現像工程)。転写装置41では、感光体7の表面に形成されたトナー画像が記録媒体へ転写される(転写工程)。記録媒体に転写されたトナー画像は、例えば、不図示の定着装置により定着される。
一方、トナー画像を転写した後の感光体7の表面は、クリーニング装置13により清掃される。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図5に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に限定されない。
<<導電性支持体の作製>>
<導電性支持体1の作製>
厚さ14mmの金属板(アルミニウム純度99.7%以上、JIS呼称A1070合金)を打ち抜き加工して、直径34mm、厚さ14mmの金属塊を作製した。金属塊の表面に潤滑剤としてステアリン酸マグネシウム(N.P.-1500S;淡南化学工業社製)を塗布し、インパクトプレス加工によって外径34mmの円筒管に成形した。次いで、1回のしごき加工を行い、両端を切り落とし、端面処理を施して、外径30mm、長さ251mm、肉厚0.71mmの円筒管を作製し、導電性支持体1とした。
<導電性支持体2の作製>
肉厚を0.48mmとした以外は、導電性支持体1と同様に円筒管を作製し、導電性支持体2とした
<導電性支持体3の作製>
導電性支持体1で用いた金属塊を用い、インパクトプレス加工の代わりに押出加工によって外径34mmの円筒管に成形した。次いで、1回のしごき加工を行い、両端を切り落とし、端面処理を施して、外径30mm、長さ251mm、肉厚0.68mmの円筒管を作製し、導電性支持体3とした。
<導電性支持体4の作製>
肉厚を0.45mmとした以外は、導電性支持体3と同様に円筒管を作製し、導電性支持体4とした。
<導電性支持体5の作製>
従来の抽伸管で作製したアルミ製円筒管の表面を切削し、外径30mm、長さ251mm、肉厚0.75mmの円筒管を作製し、導電性支持体5とした。
<導電性支持体6の作製>
従来の抽伸管で作製したアルミ製円筒管の表面を切削し、外径30mm、長さ251mm、肉厚0.48mmの円筒管を作製し、導電性支持体6とした。
<<感光体の作製>>
<感光体1~6>
各々、導電性支持体1~6上に、下記の工程にしたがって、各層を形成して、感光体1~6を得た。
〈下引層の形成〉
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製):13.5質量部とブチラール樹脂 (エスレックBM-1、積水化学社製)15質量部とメチルエチルケトン85質量部とを混合し混合液を得た。この混合液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部と、を混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製):45質量部を添加し、下引層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて、上記の各支持体上に塗布し、170℃、30分の乾燥硬化を行い厚さ25μmの下引層を得た。

〈電荷発生層の形成〉
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニン1質量部を、ポリビニルブチラール(エスレックBM-S、積水化学社製)1質量部及び酢酸n-ブチル80質量部と混合し、これをガラスビーズと共にペイントシェーカーで1時間分散処理することにより電荷発生層用塗布液を調製した。得られた塗布液を下引層が形成された導電性支持体上に浸漬塗布し、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
〈電荷輸送層の形成〉
次に、下記式(CT-1)で表されるベンジジン化合物2.6質量部、及び下記式(B-1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量:40,000)3質量部をテトラヒドロフラン(THF)25質量部に溶解させて電荷輸送層用塗布液を調製した。得られた塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布し、130℃、45分の加熱を行い膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 0007000760000001
Figure 0007000760000002

<感光体7>
感光体2において、下引層の膜厚を19μmとした以外は、感光体2と同様にして、感光体7を得た。
<<実施例1~9、比較例1~5>>
表1に示す組み合わせで、感光体を画像形成装置(富士ゼロックス社製、DocuPrint P450 d)に搭載した。
感光体を搭載する画像形成装置の露光装置は、表1に示す仕様に従って、露光光の光径(ビーム径)が60μm若しくは45μmになるように調整したROS方式の露光装置(表中「ROS」と表記)、又は、露光光の光径(ビーム径)が45μm若しくは60 μmになるように調整したLED方式の露光装置(LEDアレイ:表中「LED」と表記)となるように改造した。
そして、これら画像形成装置を、実施例1~9、比較例1~5の画像形成装置とした
なお、露光光の光径(ビーム径)の調整は、PHOTON社製のBeamScan装置を使用して、露光装置から露光光を感光体に照射し、露光光の光径(ビーム径)を測定しながら行った。この装置では、ピーク値の1/eの値での径がビーム径として表記されるようになっている。
<<評価>>
<導電性支持体の評価>
-微細な凹部の測定-
各例で使用した導電性支持体について、既述の方法に従って、微細な凹部(開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部)の存在を確認した。
その結果、導電性支持体1~4は、微細な凹部が存在することが確認された。導電性支持体5~6は、アルミ製円筒管の表面を切削しているため、微細な凹部が存在していなかった。
-硬度測定-
各例で使用した導電性支持体のビッカース硬度を、既述の方法に従って測定した。
<画質の評価>
各例の画像形成装置により、600dpiおよび1200dpiの各々解像度にて、画像濃度50%のハーフトーン画像と画像濃度20%のハーフトーン画像とをA4紙に2枚出力し、2枚目の画質について、以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
(白点の評価]
予め、使用した導電性支持体の微小な凹部(開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部)の位置を確認しておき、微小な凹部に対応する位置の画像部を目視にて確認し、以下の基準に従って評価を行った。なお、画像濃度50%のハーフトーン画像と画像濃度20%のハーフトーン画像との両方を確認し、悪いほうの結果を採用した。
なお、微小な凹部が存在しない導電性支持体5~6を使用した感光体を搭載した比較例3~5の画像形成装置では、微小な凹部による白点は発生しないため、Aと評価した。
-白点の評価の基準-
A:凹状欠陥部が目視で判別できない。問題なし。
B:凹状欠陥部が目視で判別できるが、実使用上問題無し。
C:凹状欠陥部が目視で判別でき、実使用上問題あり。
[濃度ムラの評価]
ハーフトーン画像を目視にて確認し、以下の基準に従って評価を行った。なお、画像濃度50%のハーフトーン画像と画像濃度20%のハーフトーン画像との両方を確認し、悪いほうの結果を採用した。
-濃度ムラの評価の基準-
A:周期的な濃度ムラが未発生、又は軽微に発生も実使用上問題なし。
B:周期的な濃度ムラが発生し、実使用上問題あり
Figure 0007000760000003
上記結果から、本実施例の画像形成装置は、比較例の画像形成装置に比べ、導電性支持体の微小な凹部による白点の発生が抑制されていることがわかる。
また、本実施例の画像形成装置は、濃度ムラの発生も抑制されていることがわかる。
また、実施例1~2の画像形成装置と比較例1~2の画像形成装置との比較から、1200dpi以上の高解像度になると、導電性支持体の微小な凹部による白点が発生し易いが、実施例1~2の画像形成装置では、白点の発生が抑制され易くなることがわかる。
実施例1~6の画像形成装置と、実施例7~8の画像形成装置との比較から、下引層の膜厚を20μm以上にすると、白点の発生が抑制され易くなることがわかる。
7 電子写真感光体、8 帯電装置(帯電手段の一例)、9 露光装置(露光手段の一例)、11 現像装置(現像手段の一例)、13 クリーニング装置、41 転写装置、50 中間転写体、90 LEDアレイ、91 実装基板、93 ロッドレンズアレイ、96 LED(発光ダイオード)、100 画像形成装置、120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材(ロール状)、133 繊維状部材(平ブラシ状)、140 潤滑材、300 プロセスカートリッジ

Claims (6)

  1. 開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部が外周面に存在し、ビッカース硬度が50以下である導電性支持体と、導電性支持体上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電装置と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に露光により静電潜像を形成する露光装置であって、前記電子写真感光体の表面に光径50μm以下の光を照射する光源を有する露光装置と、
    トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
    前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
    を備える画像形成装置。
  2. 前記光源が照射する光径が、20μm以上40μm以下である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記露光装置が、前記電子写真感光体の軸方向に沿って配列された発光ダイオードを前記光源として有する露光装置である請求項に記載の画像形成装置。
  4. 前記発光ダイオードが、1200dpi以上の解像度に対応した間隔で配列されている請求項に記載の画像形成装置。
  5. 前記感光層が、前記導電性支持体上に、少なくとも、下引層、電荷発生層、及び電荷輸送層がこの順に積層されている感光層であり、
    前記下引層の膜厚が20μm以上である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 開口径100μm以上400μm以下、かつ深さ10μm以上30μm以下の凹部が外周面に存在し、ビッカース硬度が50以下である導電性支持体と、導電性支持体上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に露光により静電潜像を形成する露光装置であって、光径50μm以下の光を照射する光源を有する露光装置と、
    を備える画像形成装置用ユニット。
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