JP6988472B2 - 電池 - Google Patents
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Description
特許文献1にはイオン伝導性を有する水溶液を用いたリチウム二次電池において、正極及び負極の少なくとも一方がリチウムイオン伝導性固体電解質粉末を含有する技術が開示されている。また、当該文献には、リチウムイオン伝導性固体電解質粉末として、Li1+x+zAlxTi2−xSizP3−zO12(0≦x≦0.4、0<z≦0.6)が主結晶相であるガラスセラミックスが使用される旨の記載もある。
本開示は、水系電解質を用いる電池に関する上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、出力特性及び安定性に優れる電池を提供することを目的とする。
正極は、水系電解質及び正極活物質を含み、
負極は、負極活物質を含み、
セパレータは、第1の酸化物電解質焼結体と、樹脂と、を含み、
前記第1の酸化物電解質焼結体は、下記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間に粒界を有し、
前記結晶粒子の個数平均粒径が3μm以下であり、
前記結晶粒子の内部におけるイオン伝導抵抗である粒内抵抗値をRbとし、前記結晶粒子間の粒界におけるイオン伝導抵抗である粒界抵抗値をRgbとしたとき、下記式1を満たすことを特徴とする、電池。
式1:Rgb/(Rb+Rgb)≦0.6
一般式(A):(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγ
[上記一般式(A)中、
Eは、Al、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Lは、アルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Mは、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種の元素を示す。
x、y、zは、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、及び0≦z<3.4の関係を満たす実数である。
α、β、γは、それぞれ、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、及び11≦γ≦13の範囲内にある実数である。]
前記第2の酸化物電解質焼結体は、前記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間に粒界を有し、
前記第2の酸化物電解質焼結体の結晶粒子の個数平均粒径が3μm以下であり、
前記第2の酸化物電解質焼結体の結晶粒子の内部におけるイオン伝導抵抗である粒内抵抗値をRbとし、前記結晶粒子間の粒界におけるイオン伝導抵抗である粒界抵抗値をRgbとしたとき、前記式1を満たしていてもよい。
前記第2の酸化物電解質焼結体は、前記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間に粒界を有し、
前記第2の酸化物電解質焼結体の結晶粒子間の粒界三重点にリチウムを含有するフラックスが存在し、
前記第2の酸化物電解質焼結体の結晶粒子の内部におけるイオン伝導抵抗である粒内抵抗値をRbとし、前記結晶粒子間の粒界におけるイオン伝導抵抗である粒界抵抗値をRgbとしたとき、前記式1を満たしていてもよい。
本開示の電池は、正極と、負極と、正極及び負極の間に存在するセパレータと、を備える電池であって、
正極は、水系電解質及び正極活物質を含み、
負極は、負極活物質を含み、
セパレータは、第1の酸化物電解質焼結体と、樹脂と、を含み、
前記第1の酸化物電解質焼結体は、下記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間に粒界を有し、
前記結晶粒子の個数平均粒径が3μm以下であり、
前記結晶粒子の内部におけるイオン伝導抵抗である粒内抵抗値をRbとし、前記結晶粒子間の粒界におけるイオン伝導抵抗である粒界抵抗値をRgbとしたとき、下記式1を満たすことを特徴とする、電池。
式1:Rgb/(Rb+Rgb)≦0.6
一般式(A):(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγ
[上記一般式(A)中、
Eは、Al、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Lは、アルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Mは、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種の元素を示す。
x、y、zは、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、及び0≦z<3.4の関係を満たす実数である。
α、β、γは、それぞれ、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、及び11≦γ≦13の範囲内にある実数である。]
電池の層構成の典型例10は、正極1と、負極2と、セパレータ3とを含む。セパレータ3は、正極1及び負極2の間に存在する。典型例10は、正極1について、セパレータ3に面する側とは反対側に、正極集電体4をさらに備える。
なお、本開示の電池は、必ずしもこの例のみに限定されるものではない。例えば、負極2について、セパレータ3に面する側とは反対側に負極集電体を設けてもよい。
図1に示すように、正極は、水系電解質1a及び正極活物質1bを含む。また、セパレータは、第1の酸化物電解質焼結体3aと、樹脂3bとを含む。
以下、本開示の電池を構成する各材料について、順に説明する。
セパレータは、第1の酸化物電解質焼結体と、樹脂と、を含み、
前記第1の酸化物電解質焼結体は、前記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間に粒界を有し、
前記結晶粒子の個数平均粒径が3μm以下であり、
前記結晶粒子の内部におけるイオン伝導抵抗である粒内抵抗値をRbとし、前記結晶粒子間の粒界におけるイオン伝導抵抗である粒界抵抗値をRgbとしたとき、下記式1を満たす。
式1:Rgb/(Rb+Rgb)≦0.6
図1に示すように、セパレータ3は、第1の酸化物電解質焼結体3aの空隙に樹脂3bが入り込んで形成されたものである。このように、本開示のセパレータは、前記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の空隙に樹脂が含まれていることにより、セパレータの空隙率が小さく、緻密であり、さらに、所望のイオン伝導性を有する。
本開示において、リチウムイオンの一部が水素イオンに置換され、且つ、未焼結のガーネット型イオン伝導性酸化物を、水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物と称する場合がある。
一方、樹脂が残存できるような低い焼結温度では、焼結体中のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子同士の接合が充分でなく、焼結体中のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の接合面に樹脂が介在してしまい、樹脂がイオン伝導を阻害する。また、水素イオン未置換ガーネット型イオン伝導性酸化物のみをまず低温焼成し、その後、空隙を樹脂で埋める方法をとったとしても、焼結体中のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間の接合状態が悪く、イオン伝導率が低くなる。水素イオン未置換ガーネット型イオン伝導性酸化物につき高温焼結を行って結晶粒子間に良好な界面を形成し、その後に空隙を樹脂で埋めようとしても、樹脂は空隙に完全には入り込まず、空隙率の高いセパレータが得られるのみであった。
このように、従来の製造方法においては、結晶粒子の良好な界面の形成と同時に、得られるセパレータの空隙率を減少させることはできなかった。
しかし、固体電解質を用いた水系電解質の遮断は、従来技術では困難であった。まず、耐Li還元性と耐水性を兼ね備える固体電解質は、ガーネット型イオン伝導性酸化物のみしか知られていない。しかし、ガーネット型イオン伝導性酸化物をそのままセパレータとして用いたとしても、当該酸化物中の粒界を水系電解質が容易に浸透するため、当該酸化物であっても水系電解質の漏れ出しは防げない。
このように、水系電解質と、第1の酸化物電解質焼結体及び樹脂を含有するセパレータとを併用する本開示の電池は、従来の電池よりも出力特性に優れ、さらに作動時及び保管時の安定性に優れる。
そして上記観点から、セパレータは水系電解質を透過しないことが好ましい。
第1の酸化物電解質焼結体は、上記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を含有し、かつ当該結晶粒子間に粒界を有していればよく、その他従来公知の電解質材料が含まれていてもよい。
第1の酸化物電解質焼結体の組成中に、不純物として水素が含まれていてもよい。
上記一般式(A)中のLiの組成がx−3y−z>7である場合は、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶構造が立方晶から正方晶に変化し、結晶の対称性が損なわれ、第1の酸化物電解質焼結体のリチウムイオン伝導率が低下すると推察される。
一方、上記一般式(A)中のLiの組成がx−3y−z<3である場合は、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶構造中のLiが入る特有のサイトである96hサイトのポテンシャルが高くなり、結晶中にLiが入りにくくなることで、Li占有率が低下し、第1の酸化物電解質焼結体のリチウムイオン伝導率が低下すると推察される。
本開示において用いられるガーネット型イオン伝導性酸化物中には、元素Eとして、Al、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素が含まれていてもよく、Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素が含まれていてもよく、Al元素が含まれていてもよい。
元素Eが、上記一般式(A)において0≦y<0.22の範囲で含まれることにより、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶構造の安定性を向上させることができ、また、ガーネット型イオン伝導性酸化物の合成が容易になる。なお、yを0以上とすることで結晶構造の安定性を向上させることができるが、yを0.22以上とすると、粒子が硬くなりすぎて成形性に影響が生じる場合がある。
また、リチウムイオン伝導率向上の観点、成形性向上の観点、及び、緻密化の観点から、元素Eが、上記一般式(A)において0≦y<0.13の範囲で含まれていてもよく、0≦y<0.04の範囲で含まれていてもよい。
前記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物では、zが小さいほど、Liイオン伝導率が向上するため、0≦z≦0.9の範囲であってもよく、z=0であってもよい。
元素Mとしては、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、Ge、Sn、Sb、及びBi等が挙げられる。
上記元素Mの中でも、より高い結晶構造の安定性とイオン伝導性を有する第1の酸化物電解質焼結体が得られる観点から、元素Mは、Zr、Nb、及び、Taからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であってもよく、ZrとNb又はTaとの組み合わせであってもよい。
元素Mが、ZrとNb又はTaとの組み合わせである場合の上記組成中のZrの量は1.4〜1.75、Nb又はTaの量は0.25〜0.6であってもよい。
一般的に成形性は熱可塑性樹脂の方が優れている。一方、熱硬化型樹脂は機械的強度に優れる。
樹脂を空隙に十分に行き渡らせるためには、加熱(焼結)時に樹脂が溶融しているとともに、蒸散を開始していないことが好ましい。加熱(焼結)設定温度よりも溶融温度が低く、加熱(焼結)設定温度よりも熱分解温度が高い樹脂を用いることが好ましい。例えば、樹脂の溶融温度は450℃以下であってもよく、350℃以下であってもよく、300℃以下であってもよい。樹脂の熱分解温度は400℃以上であってもよく、450℃以上であってもよく、500℃以上であってもよい。
本開示に使用される樹脂としては、例えば、高耐熱性に優れた、ポリイミド樹脂、ポリベンゾイミタゾール、ポリシロキサン系熱硬化性樹脂等が挙げられる。
したがって、SEM画像等により、前記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の個数平均粒径が3μm以下であることが確認できれば、当該結晶粒子を含むセパレータは、低温焼結により得られたものであると判断することができる。
第1の酸化物電解質焼結体は、1000℃以上で焼結したときのガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体や、プロトン置換だけ行ったガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体と異なり、第1の酸化物電解質焼結体内のイオン伝導において、粒界抵抗の割合が全体抵抗(粒内抵抗+粒界抵抗)の60%以下(Rgb/(Rb+Rgb)≦0.6)である。これにより、リチウムイオン伝導を阻害する要因が少なく、第1の酸化物電解質焼結体のリチウムイオン伝導率が高い。
なお、粒内抵抗値Rbと粒界抵抗値Rgbとの和である全体抵抗値(Rb+Rgb=Rtotal)に対する粒界抵抗値Rgbの比であるRgb/(Rb+Rgb)は、交流インピーダンス測定法により算出することができる。
セパレータの製造方法は、少なくとも(a)ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程、(b)フラックス準備工程、(c)樹脂準備工程、(d)セパレータ材料層形成工程、及び、(e)焼結工程を有する。なお、上記(a)〜(c)までの工程の順序は特に限定されず、いずれの工程を先に行っても、同時に行ってもよい。
ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程は、下記一般式(B)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程である。
一般式(B):(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγ
[上記一般式(B)中、
Eは、Al、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Lは、アルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Mは、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種の元素を示す。
x、y、zは、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、及び0<z≦3.4の関係を満たす実数である。
α、β、γは、それぞれ、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、及び11≦γ≦13の範囲内である実数である。]
また、上記一般式(B)の組成は、zが0<z≦3.4を満たす実数であること以外は、上記一般式(A)の組成と同様である。なお、zが0<z≦3.4の範囲であるということは、水素が必ず含まれていることを表している。
水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物を合成する場合、例えば、所望のガーネット型イオン伝導性酸化物が得られる化学量論比となるように原料を混合し、加熱することで得られる。
ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子の原料としては、従来公知の原料を用いることができ、例えば、LiOH(H2O)、La(OH)3、Al2O3、ZrO2、Nb2O5等が挙げられる。
原料の混合方法としては、特に限定されず、乳鉢を用いる方法、ボールミル、ジェットミル、遊星ボールミル等が挙げられる。
加熱温度は、特に限定されず、室温〜1200℃であってもよい。
加熱雰囲気は特に限定されない。
加熱時間は、特に限定されず、1〜100時間であってもよい。
一般式(C)(Lix−3y,Ey)LαMβOγ
(上記一般式(C)中、
EはAl、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Lはアルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Mは酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
x、yは、3≦x−3y≦7、0≦y<0.22を満たす実数である。
α、β、γは、それぞれ、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13の範囲内にある実数である。)
一般式(C)(Lix−3y,Ey)LαMβOγで表されるガーネット型イオン伝導性酸化物としては、例えば、Li7La3Zr2O12、Li6.4La3Zr1.4Nb0.6O12、Li6.5La3Zr1.7Nb0.3O12、Li6.8La3Zr1.7Nb0.3O12、(Li6.2Al0.2)La3Zr1.7Nb0.3O12、(Li5.8Al0.2)La3(Zr1.4Nb0.6)O12、(Li6.1Al0.13)La3(Zr1.4Nb0.6)O12、(Li6.3Al0.02)La3(Zr1.4Nb0.6)O12、(Li6.2Ga0.2)La3Zr1.7Nb0.3O12等が挙げられる。
本開示の製造方法において一般式(C)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物中のLiイオンをプロトンに置換する方法は、一般式(B)(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγで表されるガーネット型イオン伝導性酸化物を得ることができれば、特に限定されないが、置換量の制御を容易にする観点から、例えば、一般式(C)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の粉末を室温下、数分〜5日間、純水中で撹拌及び/又は純水中に浸漬する方法等を用いてもよい。
すなわち、誘導結合プラズマ分析では、水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物中の水素イオン量は定量できないが、水素イオン置換処理前後のガーネット型イオン伝導性酸化物中のリチウムイオン量は定量できる。
そのため、当該置換処理前後のガーネット型イオン伝導性酸化物中のリチウムイオン量から、当該置換処理前後のリチウムイオン変化量を算出できるため、当該変化量からリチウムイオンがどの程度水素イオンに置換したかを推定することができる。
ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の個数平均粒径は、特に限定されないが、0.1〜3μmであってもよい。
フラックス準備工程は、リチウムを含有するフラックスを準備する工程である。
リチウムを含有するフラックス(リチウム化合物)としては、特に限定されないが、水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子から水素イオンが離脱する温度付近に融点を持つものが好ましく、例えば、LiOH(融点:462℃)、LiNO3(融点:260℃)、Li2SO4(融点:859℃)等が挙げられる。焼結温度を低温化する観点から、融点の低いフラックスであってもよく、LiOH、LiNO3であってもよい。また、フラックスは、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
フラックスの形状は、粒子形状であってもよい。フラックスの形状が粒子形状である場合のフラックスの個数平均粒径は、特に限定されないが、取り扱い性の観点から0.1〜100μmであってもよい。
樹脂の詳細は上述した通りである。樹脂は、後述する焼結工程において、溶融し、且つ、熱分解しないものであってもよい。すなわち、上述した通り、樹脂は、加熱(焼結)設定温度よりも溶融温度が低く、加熱(焼結)設定温度よりも熱分解温度が高い樹脂を用いてもよい。
セパレータ材料層形成工程は、前記ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と、前記フラックスと、前記樹脂と、が混合されたセパレータ材料層を形成する工程である。
セパレータ材料層中の、フラックスの含有量は、セパレータ材料層の総体積を100体積%としたとき、1〜99体積%であってもよい。
セパレータ材料層中の、樹脂の含有量は、セパレータ材料層の総体積を100体積%としたとき、1体積%以上であってもよく、50体積%以下であってもよく、25体積%以下であってもよく、5体積%未満であってもよい。また、セパレータ材料層中の、樹脂の含有量は、フラックスが後述する焼結時に蒸散する量に相当する量としてもよい。
水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物とフラックスとの混合比は、特に限定されないが、水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物:フラックス=50:50(体積%)〜95:5(体積%)であってもよく、フラックスの組成中のリチウムのモル量が、水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の組成中の水素のモル量と等モル量であってもよい。
焼結工程は、前記セパレータ材料層を650℃以下で加熱して焼結する工程である。
本開示では、固相フラックス反応法により、水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子(固相)とフラックス材料との間での化学反応を駆動力として、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間の接合を行う。
図16は、固相フラックス反応法の概要を示した模式図である。
図16の左側の1.exchangeの図は、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子のリチウムイオン(Li+)の一部を水素イオン(H+)に置換する前後の状態を示す図である。図16中において水素を含まないガーネット型イオン伝導性酸化物をLLZと表記し、水素を含むガーネット型イオン伝導性酸化物をLLZ−Hと表記している。
図16の右側の2.re−exchangeの図は、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子中の水素イオン(H+)がフラックスのリチウムイオン(Li+)と置換する前後の状態を示す図である。フラックスの融点まで混合体を加熱すると、フラックス中のリチウムイオン(Li+)とアニオン(図16ではOH−)の結合は弱くなる。この時、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子中の水素イオン(H+)とフラックスのリチウムイオン(Li+)の置換が起こる。
図16の2.re−exchangeの図に示されるように、フラックスのリチウムイオン(Li+)は、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の結晶内に取り込まれる。ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の結晶内から出た水素イオン(H+)は、フラックスのアニオン(図16ではOH−)と結合し、反応生成物を形成し、系外に出ることで、前記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間には残らない。
また、本開示によれば、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の接合と樹脂の硬化が同時に行われることにより、前記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の隙間に樹脂が入りこんだ状態のセパレータができ、第1の酸化物電解質焼結体の空隙率を下げることができる。
焼結工程における加熱時の圧力は、特に限定されないが、大気圧以上の条件下で加熱してもよく、第1の酸化物電解質焼結体のリチウムイオン伝導率向上の観点から、大気圧を超える加圧条件下で加熱してもよい。加熱時の圧力の上限値は特に限定されないが、例えば、6ton/cm2(≒588MPa)以下としてもよい。
焼結工程における、加熱時の雰囲気は、特に限定されない。
ここで、ホットプレス処理とは、雰囲気調整された炉内で一軸方向に加圧しながら熱処理を行う方法である。
ホットプレス処理によれば、第1の酸化物電解質焼結体が塑性変形することで緻密化する。その結果、第1の酸化物電解質焼結体としての密度が向上すると共に、内部の結晶粒子同士の接合が向上することで第1の酸化物電解質焼結体のリチウムイオン伝導率が向上すると考えられる。
ホットプレス処理の温度は、上限値は650℃以下であればよく、550℃以下であってもよい。また、下限値はフラックスの融点温度以上であればよい。水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子中のプロトンとリチウムを含有するフラックス中のリチウムイオンとの再置換を促進する観点から350℃以上であってもよく、400℃以上であってもよい。
ホットプレス処理の圧力は、1〜6ton/cm2(≒98〜588MPa)であってもよい。
ホットプレス処理の処理時間は、1〜600分であってもよい。
まず、水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物を、リチウムを含有するフラックス溶液に浸漬し、スラリーを作成する。
そして、得られたスラリーを基材に塗工する。
その後、スラリーを乾燥させ、フラックスを固化させ、セパレータ材料層を形成する。
そして、セパレータ材料層上に樹脂を塗工する。
その後、セパレータ材料層を加熱し、水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物とフラックスとを反応させてガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子同士を接合する。この時、樹脂が硬化することでセパレータ材料層の硬度が更に向上すると同時に第1の酸化物電解質焼結体の空隙を埋める。これにより、第1の酸化物電解質焼結体の空隙に樹脂が埋め込まれたセパレータが得られる。
正極は、水系電解質及び正極活物質を含む。
以下、正極に使用される水系電解質について説明する。
水系電解質の溶媒は主成分として水を含む。すなわち、水系電解質を構成する溶媒(液体成分)の全量を基準(100mol%)として、50mol%以上、特に70mol%以上、さらに90mol%以上を水が占めていてもよい。一方、溶媒に占める水の割合の上限は特に限定されない。
通常、水系電解質中の電解質の濃度が高くなるほど、電位窓は広くなるが、溶液の粘度が高くなるためLiイオン伝導度が低下する傾向がある。そのため、一般的には、Liイオン伝導度と電位窓の拡大効果を考慮して、求める電池の特性に合わせて濃度を設定する。
例えば、電解質としてLi2SO4を用いる場合、水系電解質は、上記水1kgあたりLi2SO4を1mol以上含んでいてもよく、特に2mol以上であってもよく、さらに3mol以上であってもよい。上限は特に限定されるものではなく、例えば、25mol以下であってもよい。水系電解質においては、Li2SO4の濃度が高まるほど、水系電解質の還元側電位窓が拡大する傾向にある。
なお、電解質として、Li2SO4を用いた場合、分解電位は4.5〜2.3Vである(vs.Li+/Li、集電箔Ti使用時)。
pHの上限は特に限定されないが、酸化側電位窓を高く保つ観点から、pHが11以下であってもよく、特に8以下であってもよい。
正極活物質としては、従来公知の材料を用いることができる。正極活物質は負極活物質よりも高い電位を有するものであり、上述した水系電解質の電位窓を考慮して適宜選択される。例えば、Li元素を含むものであってもよい。具体的には、Li元素を含む酸化物やポリアニオンであってもよい。より具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO2);ニッケル酸リチウム(LiNiO2);マンガン酸リチウム(LiMn2O4);LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2;Li1+xMn2−x−yMyO4(MはAl、Mg、Co、Fe、Ni、Znから選ばれる一種以上)で表される異種元素置換Li−Mnスピネル;上記負極活物質と比較して充放電電位が貴な電位を示すチタン酸リチウム(LixTiOy);リン酸金属リチウム(LiMPO4、MはFe、Mn、Co、Niから選ばれる1種以上);等が挙げられ、LiMn2O4(LMO)であってもよい。正極活物質は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、正極活物質は1次粒子同士が集合して2次粒子を形成していてもよい。この場合、2次粒子の粒径は、特に限定されるものではないが、通常0.5μm以上50μm以下である。下限が1μm以上であってもよく、上限が20μm以下であってもよい。正極活物質の粒径がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に優れる正極活物質層を得ることができる。
このような場合、第2の酸化物電解質焼結体は、前記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間に粒界を有し、
第2の酸化物電解質焼結体の結晶粒子の個数平均粒径が3μm以下であり、
第2の酸化物電解質焼結体の結晶粒子の内部におけるイオン伝導抵抗である粒内抵抗値をRbとし、前記結晶粒子間の粒界におけるイオン伝導抵抗である粒界抵抗値をRgbとしたとき、上述した式1を満たす。
被覆層の厚さにつき、第2の酸化物電解質焼結体で被覆された正極活物質において、正極活物質31の粒径に対し被覆層32が厚い場合を示す断面模式図(図17A)、及び正極活物質31の粒径に対し被覆層32が薄い場合を示す断面模式図(図17B)を示す。図17Bに示すように被覆層32が薄いと、被覆層32の厚さを一定に管理することや、被覆層32を確認することが難しい。これに対し、図17Aに示すように被覆層32が厚いと、被覆層32の厚さの管理や確認が容易である。
被覆層32の被覆態様としては、水系電解質33が正極活物質31に浸入しないように、第2の酸化物電解質焼結体が正極活物質31表面を緻密に被覆する態様を採用することができる。
ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間の粒界においては、当該結晶粒子が、Liイオンを伝導することができる状態で接合している。
従来技術のガーネット型イオン伝導性酸化物を含有する焼結体では、粒子同士を接合するために、1000℃以上の温度が必要であった。1000℃以上では、粒成長が促進されるため、個数平均粒径を3μm以下とすることはできなかった。
これに対し、第2の酸化物電解質焼結体で被覆された正極活物質では、650℃以下の温度で焼結されているため、焼結工程での粒成長が遅く、結晶粒子の個数平均粒径が小さく3μm以下である。
第2の酸化物電解質焼結体で被覆された正極活物質は、1000℃以上で焼結したときの酸化物電解質焼結体や、プロトン置換だけ行った酸化物電解質焼結体と異なり、リチウムを含有するフラックスが結晶性の酸化物電解質の粒子同士の接合界面にはほとんど存在せず、図6に示すように結晶粒子間の空隙である粒界三重点に偏析している。
被覆活物質の製造方法は、(a)ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程、(b)フラックス準備工程、(c)正極活物質準備工程、(d)ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスと正極活物質とを混合する工程、及び、(e)焼結工程を有する。
本工程は、一般式(D)(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγで表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程である。
一般式(D)中、元素E、元素L、元素M、α、β、γについては、上述した一般式(A)と同様である。一方、一般式(D)において、x、y、zは、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0.75≦z≦3.4を満たす実数である。
次に、以下の理由により、一般式(D)において0≦z<0.75の範囲では、成形性を向上させることはできない。
プロトンを含まない組成式Li7La3Zr2O12のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を0.1MのHCl溶液に長時間浸漬して経過を観察すると、ある時点で図19に示すように、粒子に割れが生じる。なお、図19において割れが生じた面は、特定の結晶面であった。
プロトンを含まない組成式Li7La3Zr2O12のガーネット型イオン伝導性酸化物の粒子を、プロトンを含有する溶液に浸漬すると、ガーネット型イオン伝導性酸化物の粒子中のLiイオンがプロトンに置換されることが知られている。また、組成式Li7La3Zr2O12のガーネット型イオン伝導性酸化物では、Liイオンがプロトンに置換される量が一定量を超えると、結晶構造を維持できなくなることが知られている。
このような理由から、図19に示すように粒子中の特定の結晶面に沿って割れが生じた理由は、特定の結晶面においてLiイオンが一定量を超えてプロトンで置換されたことにより、当該結晶面に沿って結晶構造を維持できなくなったためであると推定される。
ここで、一般式(D)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子において、0≦z<0.75の範囲では、プロトンは粒子表面に存在するが、特定の結晶面におけるプロトン含有量が少ないため、焼結工程で結晶面にすべりが生じにくく、成形性を向上させることができないと考えられる。
これに対し、被覆活物質の製造方法で使用する0.75≦z≦3.4の範囲の前記一般式(D)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子では、表面のみならず、上述した特定の結晶面にもプロトンが存在していることから、焼結工程で粒子中の特定の結晶面に存在するプロトンがフラックス中のLiと再置換する際に、当該結晶面ですべりが生じやすくなるため、成形性が向上すると推定される。
本工程では、図18に示す24dと96hサイトにおけるLi、E元素、及びプロトンの各組成比から求められるx−3y−zの値が、3≦x−3y−z≦7の範囲であるガーネット型イオン伝導性酸化物を用いる。x−3y−z>7である場合は、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶構造が立方晶から正方晶に変化し、結晶の対称性が損なわれ、Liイオン伝導率が低下する場合がある。また、上記一般式中のLiの組成がx−3y−z<3である場合は、ガーネット酸化物電解質の結晶構造中のLiが入る特有のサイトである96hサイトのポテンシャルが高くなり、結晶中にLiが入りにくくなることで、Li占有率が低下し、Liイオン伝導率が低下する場合がある。
成形性を高める観点から、0.8≦z≦3.4であってもよいし、0.91≦z≦3.4であってもよい。
一般式(D)中、プロトンによるLiイオンの置換量を示すzの測定方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。zの測定方法は、上述した通りである。
本工程において、前記一般式(D)のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の平均粒径は、特に限定されないが、0.1〜100μmの範囲内であってもよく、0.2〜3μmの範囲内であってもよい。
合成した結晶粒子を使用する場合には、前記一般式(D)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程が、上述した一般式(C)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物が得られる化学量論比となるように原料を混合し加熱することにより一般式(C)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を得る工程と、得られた一般式(C)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子中のLiをプロトンで置換することにより前記一般式(D)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物とする工程を有していてもよい。
本工程は、上述したセパレータの製造方法におけるフラックス準備工程と同様である。
本開示で使用する正極活物質は、Liイオン電池に使用できるものであればよい。
正極活物質としては、LiMn2O4、LiFePO4、LiCoO2、Li(Ni,Co,Al)O2等が挙げられる。
本工程は、前記一般式(D)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記Liを含有するフラックスと前記正極活物質とを混合する工程である。
ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスと正極活物質とを混合する方法に、特に制限はなく、公知の方法を採用することができる。
ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスと正極活物質とを混合する順番にも、特に制限はなく、例えばフラックス溶液中にガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と正極活物質を加えた後に当該溶液を乾燥してもよいし、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスとを混合して複合体を得た後に、正極活物質を混合してもよい。
前記ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスとの複合体にも特に制限はないが、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスが均一に混合された複合体としてもよいし、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の表面がフラックスで被覆された複合体としてもよい。
ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスとの混合比は、特に限定されないが、所望の酸化物電解質焼結体を効率よく得られるので、50:50(体積%)〜95:5(体積%)であってもよい。
また、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と正極活物質との混合比も、特に限定されないが、正極活物質の表面を緻密に被覆するため、50:50(体積%)〜95:5(体積%)であってもよい。
本工程は、前記一般式(D)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記Liを含有するフラックスと前記正極活物質との混合物を650℃以下の温度で加熱して焼結する工程である。
本開示によれば、前記一般式(D)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記Liを含有するフラックスを使用することにより、従来よりも低温(例えば350℃)であっても、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子同士が焼結し、且つ、塑性変形が可能になるため、高いLiイオン伝導率を有する酸化物電解質焼結体で被覆された被覆率の高い正極活物質を得ることができる。
ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子は、650℃以下の温度では、化学的な安定性が高いため、正極活物質との反応を抑制することができる。そのため、本工程では、焼結温度の上限値は、650℃以下とし、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と正極活物質との反応を更に抑制する観点から、550℃以下であってもよい。
焼結温度の下限値は、フラックスの融点温度以上であればよく、一般式(D)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子中のプロトンとフラックス中のLiイオンの置換を促進して、粒子間の結着及び形成性を向上する観点から、350℃以上であってもよく、400℃以上であってもよい。
詳細な焼結条件は、上述したセパレータの製造方法における焼結工程と同様である。
まず、Liを含有するフラックス34でコートした一般式(D)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子35と、正極活物質31を準備する。次に乾式の粒子複合化装置を用いて活物質表面にフラックスでコートした一般式(D)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を被覆する。ここにカーボン36など除去可能な成分を加え混練後圧粉する。この状態で、650℃以下の温度で加熱することで、Liを含有するフラックスでコートした一般式(D)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間で生じるLiイオンとプロトンのイオン交換反応により、結晶粒子の接合と変形を促進する。最後に酸素雰囲気下で加熱することによりカーボンを除去し、第2の酸化物電解質焼結体37で被覆された正極活物質を得る。
導電助剤は、電池に通常使用される導電助剤をいずれも採用可能である。具体的には、ケッチェンブラック(KB)、気相法炭素繊維(VGCF)、アセチレンブラック(AB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)から選ばれる炭素材料を含む導電助剤であってもよい。
また、電池の使用時の環境に耐えることが可能な金属材料を用いてもよい。
導電助剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
導電助剤の形状は、粉末状、繊維状等、種々の形状を採用できる。
正極に含まれる導電助剤の量は特に限定されるものではない。例えば、正極全体を基準(100質量%)として、導電助剤が0.1質量%以上であってもよく、特に0.5質量%以上であってもよく、さらに1質量%以上であってもよい。上限は特に限定されるものではないが、50質量%以下であってもよく、特に30質量%以下であってもよく、さらに10質量%以下であってもよい。導電助剤の含有量がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に優れる正極を得ることができる。
バインダーは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
正極に含まれるバインダーの量は特に限定されるものではない。例えば、正極全体を基準(100質量%)として、バインダーが0.1質量%以上であってもよく、特に0.5質量%以上であってもよく、さらに1質量%以上であってもよい。上限は特に限定されるものではないが、50質量%以下であってもよく、特に30質量%以下であってもよく、さらに10質量%以下であってもよい。バインダーの含有量がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に優れる正極を得ることができる。
また、正極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状等、種々の形状とすることができる。
正極は、さらに、正極集電体に接続された正極リードを備えていてもよい。
負極は、通常、負極活物質層と、当該負極活物質層の集電を行う負極集電体を備える。
負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有し、必要に応じ、導電助剤及びバインダーを含有する。
電池の出力特性の向上の観点、及び作動時及び保管時の電池の安定性の向上の観点から、負極は水系電解質を含まないことが好ましい。
負極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状、発泡体等とすることができる。
正極活物質と、従来のガーネット型イオン伝導性酸化物とは、高温条件下で反応してしまうため、これら2つの材料の一体焼成は、低温条件下でなければなし得なかった。しかし、従来のガーネット型イオン伝導性酸化物は、低温条件下では十分に焼結しなかった。
そこで、上述した一般式(B)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の低温焼結特性を活かし、正極活物質と、当該酸化物との一体焼成を利用した電池の製造方法を説明する。
図3Aの上部は、円筒電池の中間体100aの模式図であり、円筒の中心軸に垂直な方向に切断した断面図である。図3Aの下部は、同じく円筒電池の中間体100aの模式図であり、円筒の中心軸に平行な方向に切断した半断面図である。特に、当該半断面図の右側は、図3Aの上部の図における一点鎖線A−A’を含みかつ紙面に垂直な方向の面で中間体100aを切断した図に相当する。これら断面模式図と半断面模式図の関係は、図3B〜図4Bにおいて同様である。
図3Aに示すように、中間体100aは、棒状の正極集電体4を中心として、その周囲に正極活物質1bが配置され、さらにその全体がセパレータ材料層3Aで巻回されている。正極集電体4とセパレータ材料層3Aとの間には、正極活物質1bの他に、水系電解質を格納するための空隙1cが設けられている。セパレータ材料層3Aの製造方法は、上記セパレータの製造方法の「(d)セパレータ材料層形成工程」の記載に準ずる。
セパレータ材料層3Aは、前記一般式(B)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子、フラックス及び樹脂を含む層である。この中間体100aについて、低温焼成(例えば、650℃以下の温度による焼成)を行うことにより、セパレータ材料層3Aがセパレータ3に変換される。また、低温条件下における焼成であるため、正極集電体4、正極活物質1b及びセパレータ材料層3Aを一体焼成しても、正極活物質1bと、セパレータ材料層3A中のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とが反応するおそれはない。
なお、図3Aの構成において、正極活物質1bの替わりに被覆活物質1e(図2)の前駆体を用いる場合には、低温焼成により、当該前躯体が被覆活物質1eに変換される。この場合、当該前躯体中の正極活物質1bと、当該前躯体中の前記一般式(D)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子、及び/又はセパレータ材料層3A中の前記一般式(B)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とが反応するおそれはない。
図3Cは、円筒電池100を示す断面模式図及び半断面模式図である。中間体100b中の空隙1cに水系電解質1aを注入することにより、円筒電池100が完成する。
図4Aは、円筒形のセパレータ材料層3Aを示す断面模式図及び半断面模式図である。
図4Bは、円筒電池の中間体100cを示す断面模式図及び半断面模式図である。中間体100cは、図4Aに示すセパレータ材料層3Aを焼成した後、得られたセパレータ3を負極2及び負極集電体5により順に巻回したものに相当する。なお、セパレータ3の作製に当たっては、円筒形のガーネット型イオン伝導性酸化物を焼成し、それに樹脂を流し込んだ後、加熱して樹脂を硬化させるという方法を採用してもよい。
中間体100c中の空隙1cに、正極活物質1bを加え、中心に棒状の正極集電体4を挿し、最後に水系電解質1aを注入することにより、円筒電池100が完成する(図3C)。
図4A及び図4Bに示す工程を経る場合、材料によっては焼成が2回以上必要なため、一体焼成を採用する製造方法(図3A〜図3C)と比較して、工程が長い。また、後から正極活物質1bの充填と正極集電体4の挿入を行うため、セパレータ材料層3Aの孔径が数ミリメートル以上は必要となり、得られる正極1の幅(すなわち、正極集電体4とセパレータ3との間の距離)に制限がある。
図5Aは、セパレータ材料層3Aの断面模式図である。セパレータ材料層3Aには、正極を設置するための空隙1c、及び負極を設置するための空隙2aが、それぞれ設けられている。
図5Bは、平型電池の中間体200aの断面模式図である。中間体200aは、図5Aに示すセパレータ材料層3Aを焼成した後、得られたセパレータ3の空隙2a部分に、負極2及び負極集電体5を順に配置したものに相当する。なお、セパレータ3の作製に当たっては、平型のガーネット型イオン伝導性酸化物を焼成し、それに樹脂を流し込んだ後、加熱して樹脂を硬化させるという方法を採用してもよい。
図5Cは、平型電池200の断面模式図である。平型電池200は、中間体200aの空隙1c部分に水系電解質1a及び正極活物質1bを加え、正極集電体4により蓋をした後、漏液防止のためシール6を施したものに相当する。なお、図5Cには、電解質で被覆されていない正極活物質1bが記載されているが、正極活物質1bの替わりに、図2に示す被覆活物質1eを用いてもよい。
図5A〜図5Cに示す製造方法により、平型電池が得られる。なお、この製造方法は、材料によっては焼成が2回以上必要なため、一体焼成を採用できる場合と比較して、工程が長い。また、円筒電池の場合と異なり、平型電池の場合は、水系電解質の漏液による短絡を防止するため、セパレータ3の他にさらに固体電解質が必要となる場合がある。
(1)ガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体の製造
(参考実験例A1)
[ガーネット型イオン伝導性酸化物の合成]
出発原料としてLiOH(H2O)(Sigma−Aldrich社製)、La(OH)3(株式会社高純度化学研究所製)、ZrO2(株式会社高純度化学研究所製)、Nb2O5(株式会社高純度化学研究所製)を化学量論量用意し、各原料を混合し、混合物を得た。
上記混合物をフラックス(NaCl)とともに8時間かけて室温から950℃まで加熱し、950℃で20時間保持して、組成がLi6.8La3Zr1.7Nb0.3O12の水素イオン未置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を得た。
その後、得られた水素イオン未置換のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2gを室温下、純水200ml中に数分浸漬させ、水素イオンとリチウムイオンの部分置換を行い、組成がLi5.4H1.4La3Zr1.7Nb0.3O12の水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を得た。ガーネット型イオン伝導性酸化物の組成中のLiがHと置換した量は1.4であった。
なお、水素イオン置換前後の上記ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子についてICP分析を実施し、水素イオン置換前後の上記ガーネット型イオン伝導性酸化物の組成中のリチウム元素の変化量からリチウムイオンと水素イオンの置換量を推定し、水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子の組成を推定した。
水素イオン置換後のLi5.4H1.4La3Zr1.7Nb0.3O12の結晶粒子とLiNO3粉末を体積比が75:25となるように秤量した後、乾式で乳鉢にて混合した。この混合粉末を室温で圧粉し(荷重1ton/cm2(≒98MPa))、得られた圧粉体を500℃で20時間、常圧条件下で加熱してガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体を得た。
焼結工程において、圧粉体を、400℃、12時間、加圧条件下(荷重1ton/cm2(≒98MPa))で加熱して焼結体を得たこと以外は、参考実験例A1と同様にガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体を製造した。
LiOHをフラックスとして準備して、その後の焼結を行ったこと以外は、参考実験例A1と同様にガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体を製造した。
水素イオン置換処理を行わずに、水素イオン未置換のLi6.8La3Zr1.7Nb0.3O12の結晶粒子を焼結したこと以外は、参考実験例A1と同様にガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体を製造した。
以下のことを行った以外は、参考実験例A1と同様にガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体を製造した。
水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の組成が、Li3.0H2.8Al0.2La3Zr1.4Nb0.6O12である、結晶粒子を準備した。
Li3.0H2.8Al0.2La3Zr1.4Nb0.6O12の水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の組成中のH量(2.8)に対し、LiNO3粉末が1.1倍量(3.08LiNO3)となるように、水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とLiNO3粉末を秤量した後、当該結晶粒子とLiNO3粉末を乾式で乳鉢にて混合した。この混合粉末に対して、400℃、1ton/cm2の条件でホットプレス処理を480分行い、ガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体を得た。
参考実験例A1〜A5で製造したガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体について、リチウムイオン伝導率の測定を行った。リチウムイオン伝導率は、交流インピーダンス測定法により、ポテンシオスタット1470(Solartron社製)、及び、インピーダンスアナライザーFRA1255B(Solartron社製)を用いて、電圧振幅25mV、測定周波数F:0.1Hz〜1MHz、測定温度25℃、常圧条件下で測定した。
参考実験例A1〜A5のガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体のリチウムイオン伝導率は、参考実験例A1が8.0×10−6S/cm、参考実験例A2が1.1×10−4S/cm、参考実験例A3が8.0×10−5S/cm、参考実験例A4が9.0×10−7S/cm、参考実験例A5が4.7×10−5S/cmであった。
さらに、交流インピーダンス測定結果から、参考実験例A1〜A5で製造したガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体について、粒内抵抗値Rbと粒界抵抗値Rgbとの和である全体抵抗値(Rb+Rgb=Rtotal)に対する粒界抵抗値Rgbの比Rgb/(Rb+Rgb=Rtotal)を算出した。
参考実験例A1〜A5のガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体のRgb/(Rb+Rgb=Rtotal)は、参考実験例A1が0.60、参考実験例A2が0.55、参考実験例A3が0.40、参考実験例A4が0.95、参考実験例A5が0.44であった。
なお、粒界抵抗成分を示す円弧終端周波数(Hz)は、参考実験例A1〜A3、A5が1000Hz、参考実験例A4が100Hzであった。
粒界抵抗の割合が低下した理由としては、粒界抵抗成分を示す円弧終端周波数(Hz)が違うことから、参考実験例A4と参考実験例A1〜A3、A5の酸化物電解質焼結体の粒界の状態が異なることが推測される。
参考実験例A1と同様の方法で、組成がLi6.4La3Zr1.4Nb0.6O12である水素イオン未置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を得た。
得られた水素イオン未置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子2.0gを室温下、純水500mL中に48時間浸漬させ、水素イオンとLiイオンの部分置換を行い、組成がLi3.0H3.4La3Zr1.4Nb0.6O12の水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を得た。
したがって、一般式(B)において、水素Hの含有量比zが3.4である水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物が得られることが明らかとなった。
参考実験例A1〜A3、A5の焼結時に、樹脂を存在させると、焼結時にできる空隙に樹脂が入り込み、空隙を埋めるものと考えられる。したがって、本開示のセパレータは空隙率が低く、イオン伝導率が良好であると推察できる。
参考実験例A1と同様の方法で、組成がLi6.4La3Zr1.4Nb0.6O12である水素イオン未置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を得た。
得られた水素イオン未置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の個数平均粒径は2.8μmであった。
得られた水素イオン未置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子のSEM画像を図8に示す。
その後、得られた水素イオン未置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子2gを室温下、純水200ml中に数分浸漬させ、水素イオンと水素イオン未置換ガーネット型イオン伝導性酸化物のリチウムイオンとの部分置換を行い、組成がLi5.5H0.9La3Zr1.4Nb0.6O12の水素イオン置換ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を得た。
水素イオン置換後のLi5.5H0.9La3Zr1.4Nb0.6O12の結晶粒子と0.9molのLiOHとを、乾式で乳鉢にて混合し、混合粉末を得た。
なお、フラックスの量は、化学量論比で水素の量を1としたとき1となるようにした。
また、LiOHの個数平均粒径は5μmであった。
この混合粉末に、溶媒として2−ブタノールを添加して、グリンシートを作製した。
得られたグリンシートを400℃で8時間、アルゴンガス雰囲気下、常圧条件下で加熱してガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体を得た。
加熱して得られたガーネット型イオン伝導性酸化物の焼結体のSEM画像を図9に示す。
図9に示すように、結晶粒子間に粒界を有し、結晶粒子の個数平均粒径が3μm以下であり、結晶粒子の形状が維持されていることが確認できる。
(1)被覆層に用いる酸化物電解質の焼結体の検討
酸化物電解質焼結体の特性評価用試料を作製して、正極活物質の被覆に適用できるか否か検討を行った。
a.酸化物電解質の焼結体の製造
(参考実験例B1)
[ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程]
Li6.75La3Zr1.4Nb0.6O12の組成を有するガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子が得られるように、出発原料としてLiOH(H2O)(Sigma−Aldrich社製)、La(OH)3(株式会社高純度化学研究所製)、ZrO2(株式会社高純度化学研究所製)、Nb2O5(株式会社高純度化学研究所製)を化学量論量秤量し、各原料を混合し、混合物を得た。
フラックス中に溶融する上記混合物が2.5モル%となるように、上記混合物をフラックス(NaCl)とともに8時間かけて室温から950℃まで加熱し、950℃で20時間保持して、組成がLi6.75La3Zr1.4Nb0.6O12であるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。得られた結晶粒子の個数平均粒径は2.8μmであった。
上述のように得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水100mL中に60分浸漬させ、Liイオンとプロトンとの置換を行い、参考実験例B1のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、水素イオン部分置換前に6.75であったLiイオン含有量比は水素イオン部分置換前に6.00であったことから、ガーネット型イオン伝導性酸化物の組成中のLiがHと置換した量は0.75であると考えられた。
以上より、参考実験例B1のためのガーネット型イオン伝導性酸化物粒子は、Li6.0H0.75La3Zr1.4Nb0.6O12の組成を有することが明らかとなった。
260℃に融点を持つLiNO3をフラックスとして用いた。
準備したガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とLiNO3粉末を体積比が75:25となるように秤量した後、乾式で乳鉢にて混合することにより、参考実験例B1のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体を得た。
上述のように得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体を室温で圧粉し(荷重1ton/cm2(≒98MPa))、得られた圧粉体に対して、ホットプレス(400℃、荷重3.2ton/cm2(≒313MPa)、4時間)を行い参考実験例B1の酸化物電解質の焼結体を得た。
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を準備したこと以外は、参考実験例B1と同様の方法で、参考実験例B2のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体、及び参考実験例B2の酸化物電解質の焼結体を得た。
参考実験例B1と同様の方法で、個数平均粒径は2.8μm、組成がLi6.4La3Zr1.4Nb0.6O12であるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水200mL中に60分浸漬させ、水素イオンとLiイオンの部分置換を行い、参考実験例B2のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
参考実験例B1と同様に水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、参考実験例B2のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子は、Li5.6H0.80La3Zr1.4Nb0.6O12の組成を有することが明らかとなった。
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を準備したこと以外は、参考実験例B1と同様の方法で、参考実験例B3のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体、及び参考実験例B3の酸化物電解質の焼結体を得た。
参考実験例B1と同様の方法で、個数平均粒径は2.8μm、組成がLi6.4La3Zr1.4Nb0.6O12であるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水300mL中に60分浸漬させ、水素イオンとLiイオンの部分置換を行い、参考実験例B3のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
参考実験例B1と同様に水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、参考実験例B3のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子は、Li5.48H0.91La3Zr1.4Nb0.6O12の組成を有することが明らかとなった。
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を準備したこと以外は、参考実験例B1と同様の方法で、参考実験例B4のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体、及び参考実験例B4の酸化物電解質の焼結体を得た。
参考実験例B1と同様の方法で、個数平均粒径は2.8μm、組成がLi6.4La3Zr1.4Nb0.6O12であるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水400mL中に60分浸漬させ、水素イオンとLiイオンの部分置換を行い、参考実験例B4のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
参考実験例B1と同様に水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、参考実験例B4のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子は、Li4.6H1.8La3Zr1.4Nb0.6O12の組成を有することが明らかとなった。
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を準備したこと以外は、参考実験例B1と同様の方法で、参考実験例B5で用いたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体及び参考実験例B5の酸化物電解質の焼結体を得た。
参考実験例B1と同様の方法で、個数平均粒径が2.8μm、組成がLi6.4La3Zr1.4Nb0.6O12であるガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を得た。
得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水500mL中に48時間浸漬させ、水素イオンとLiイオンの部分置換を行い、参考実験例B5で用いたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
参考実験例B1と同様に水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、参考実験例B5で用いたガーネット型イオン伝導性酸化物粒子は、Li3.0H3.4La3Zr1.4Nb0.6O12の組成を有することが明らかとなった。
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を準備したこと以外は、参考実験例B1と同様の方法で、参考比較例B1のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体、及び参考比較例B1の酸化物電解質の焼結体を得た。
参考実験例B1と同様の方法で組成がLi6.4La3Zr1.4Nb0.6O12のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子は、水素置換を行わず、そのまま参考比較例B1のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子として用いた。
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を準備したこと以外は、参考実験例B1と同様の方法で、参考比較例B2のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体、及び参考比較例B2の酸化物電解質の焼結体を得た。
参考実験例B1と同様の方法で、個数平均粒径は2.8μm、組成がLi6.4La3Zr1.4Nb0.6O12であるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水50mL中に30分浸漬させ、水素イオンとLiイオンの部分置換を行い、参考比較例B2のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
参考実験例B1と同様に水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、参考比較例B2のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子は、Li6.27H0.13La3Zr1.4Nb0.6O12の組成を有することが明らかとなった。
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を準備したこと以外は、参考実験例B1と同様の方法で、参考比較例B3のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体、及び参考比較例B3の酸化物電解質の焼結体を得た。
参考実験例B1と同様の方法で、個数平均粒径が2.8μm、組成がLi6.4La3Zr1.4Nb0.6O12であるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水100mL中に60分浸漬させ、水素イオンとLiイオンの部分置換を行い、参考比較例B3のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
参考実験例B1と同様に水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、参考比較例B3のためのガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子は、Li6.0H0.4La3Zr1.4Nb0.6O12の組成を有することが明らかとなった。
(b−1)相対密度の測定
参考実験例B1〜B5、参考比較例B1〜B3の酸化物電解質の焼結体の密度を測定し、一般的なガーネット酸化物の真密度である5.10g/cm3を100%とした場合の相対密度を算出した。
相対密度が高いほど、酸化物電解質が塑性変形しやすく、成形性が高いと評価することができる。
(b−2)電子顕微鏡観察
参考実験例B1〜B5、参考比較例B1〜B3の酸化物電解質の焼結体表面に対し、SEM観察を行った。
SEM観察では、粒子の形状による塑性変形の度合い評価、及び酸化物電解質焼結体中の結晶粒子の個数平均粒径の算出を行った。
(b−3)X線結晶回折(XRD)
参考実験例B1〜B5、参考比較例B1〜B3の酸化物電解質の焼結体に対し、X線結晶回折を行った。X線結晶回折では、結晶性を評価した。
(b−4)リチウムイオン伝導率測定
参考実験例B1〜B5、参考比較例B1〜B3で製造した酸化物電解質焼結体について、リチウムイオン伝導率の測定を行った。リチウムイオン伝導率は、交流インピーダンス測定法により、ポテンシオスタット1470(Solartron社製)、及び、インピーダンスアナライザーFRA1255B(Solartron社製)を用いて、電圧振幅25mV、測定周波数F:0.1Hz〜1MHz、測定温度25℃、常圧条件下で測定した。
また、交流インピーダンス測定結果から、参考実験例B1〜B5、参考比較例B1〜B3で製造した酸化物電解質焼結体について、粒内抵抗値Rbと粒界抵抗値Rgbとの和である全体抵抗値(Rb+Rgb=Rtotal)に対する粒界抵抗値Rgbの比Rgb/(Rb+Rgb=Rtotal)を算出した。
従って、(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγで表されるガーネット型酸化物電解質結晶粒子では、zが0.4以下では、成形性に劣ることが明らかとなった。
これに対し、表1に示すように、(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγで表されるガーネット型酸化物電解質結晶粒子のうち、Hの含有量比が0.75≦z≦3.4の範囲であるガーネット型酸化物電解質結晶粒子を用いた参考実験例B1〜B5の焼結体は相対密度が88%以上と高かった。図11〜図13に示すように参考実験例B1、B3及びB5の焼結体のプレス表面のSEM画像から、結晶構造が保持された状態でガーネット型酸化物電解質結晶粒子が程よく変形し、空隙が狭いことが分かる。なお、参考実験例B1〜B5の焼結体では空隙である粒界三重点に、フラックスが存在していた。
また、参考実験例B1〜B5の焼結体では、ガーネット型イオン伝導性酸化物の平均結晶粒径が3μm以下であり、Rgb/(Rb+Rgb=Rtotal)は0.6以下であり、粒子界面が十分に接合し、粒界抵抗も十分に小さいことが明らかとなった。
以上より、前記一般式(D)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程と、リチウムを含有するフラックスを準備する工程と、前記ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記フラックスとを混合して複合体とする工程と、前記複合体を加熱して焼結する工程と、を有する酸化物電解質焼結体の製造方法は低温でも、焼結性及び成形性に優れていることが明らかとなった。
上記(1)の酸化物電解質焼結体の評価結果が正極活物質を被覆した場合にも反映されるかについて検討を行った。
a.酸化物電解質焼結体で被覆された正極活物質の製造
(製造例B1)
[ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程]
参考実験例3と同様にLi5.48H0.91La3Zr1.4Nb0.6O12の組成を有するガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
260℃に融点を持つLiNO3、及び、462℃に融点を持つLiOHをフラックスとして用いた。
60℃の純水にLiNO3を過飽和になるまで溶解し、25℃まで冷却した。冷却により飽和度が低下して析出したLiNO3をろ過して除くことにより、25℃のLiNO3飽和溶液を得た。同様の手順で、25℃のLiOH飽和溶液を準備した。飽和溶液中のLiNO3、及び、LiOH濃度を測定した。
正極活物質であるLi(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O2を準備した。
上述のように準備したLiNO3飽和溶液、LiOH飽和溶液、及び、Li5.48H0.91La3Zr1.4Nb0.6O12の組成を有するガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を、モル比でLiNO3:LiOH:ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子が、0.45:0.45:1.00となるように秤量した。
秤量後、LiNO3飽和溶液、及び、LiOH飽和溶液を無水エタノールで約10〜20倍程度に希釈した状態で混合し、秤量したガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を投入した。
このように得られた混合液を、25℃のドライルーム中で蒸散させることにより、フラックスで被覆されたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
このように得られたフラックスで被覆されたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子と、準備した正極活物質であるLi(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O2が体積比で25:75となるように乳鉢で乾式混合した。
上述のように得られた混合粉末を一軸成形器に投入し、ホットプレス(400℃、荷重4.0ton/cm2、4時間)を行い製造例B1の酸化物電解質焼結体で被覆された正極活物質を得た。
参考比較例3と同様にLi6.0H0.4La3Zr1.4Nb0.6O12の組成を有するガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を準備したこと以外は、製造例B1と同様の方法で、比較製造例B1の酸化物電解質焼結体で被覆された正極活物質を得た。
製造例B1、比較製造例B1の酸化物電解質焼結体で被覆された正極活物質断面に対し、SEM観察を行った。図14、図15に製造例B1のSEM観察画像、図22に比較製造例B1のSEM観察画像を示す。
これに対し、図14、図15に示すように、製造例B1のSEM観察画像では、ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子同士が適度に変形しながら接合し、正極活物質の表面を被覆していることが明らかとなった。また、被覆層の酸化物電解質の焼結体は表1で示した参考実験例B3の特性を備えるものであったため、参考実験例B1〜B5の酸化物電解質焼結体の製造条件を満たせば、酸化物電解質焼結体で被覆された正極活物質を得られると考えられる。
(実施例1)
図3A〜図3Cに示す方法により、円筒電池を製造した。
まず、図3Aに示すような中間体100aを準備した。中間体100aは、棒状の正極集電体4を中心として、その周囲に被覆活物質の前躯体が配置され、さらにその全体がセパレータ材料層3Aで巻回されたものである。材料の詳細は以下の通りである。
正極集電体4:Ti棒
被覆活物質の前躯体:上記製造例B1中の焼結工程前における、フラックスで被覆されたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子と、正極活物質との混合物
セパレータ材料層3A:ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子と、フラックスと、樹脂とを含むセパレータ材料層
一体焼成後の中間体100a全体を、負極2及び負極集電体5により順に巻回し、さらに正極中の空隙に水系電解質1aを注入することにより、実施例1の円筒電池が得られた。材料の詳細は以下の通りである。
負極2:Li箔
負極集電体5:Ni箔
水系電解質1a:3mol/L硫酸リチウム水溶液
1a 水系電解質
1b 正極活物質
1c 空隙
1d 第2の酸化物電解質焼結体
1e 被覆活物質
2 負極
2a 空隙
3 セパレータ
3A セパレータ材料層
3a 第1の酸化物電解質焼結体
3b 樹脂
4 正極集電体
5 負極集電体
6 シール
10 電池の層構成の典型例
20 電池の層構成の変形例
31 正極活物質
32 被覆層
33 水系電解質
34 フラックス
35 ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子
36 カーボン
37 第2の酸化物電解質焼結体
100 円筒電池
100a,100b,100c 円筒電池の中間体
200 平型電池
200a 平型電池の中間体
Claims (5)
- 正極と、負極と、正極及び負極の間に存在するセパレータと、を備える二次電池であって、
正極は、水系電解質及び正極活物質を含み、
負極は、負極活物質を含み、
セパレータは、第1の酸化物電解質焼結体と、樹脂と、を含み、
前記第1の酸化物電解質焼結体は、下記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間に粒界を有し、
前記結晶粒子の個数平均粒径が3μm以下であり、
前記樹脂は、前記第1の酸化物電解質焼結体の前記結晶粒子間の空隙である粒界三重点に含まれ、
前記結晶粒子の内部におけるイオン伝導抵抗である粒内抵抗値をRbとし、前記結晶粒子間の粒界におけるイオン伝導抵抗である粒界抵抗値をRgbとしたとき、下記式1を満たすことを特徴とする、二次電池。
式1:Rgb/(Rb+Rgb)≦0.6
一般式(A):(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγ
[上記一般式(A)中、
Eは、Al、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Lは、アルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Mは、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種の元素を示す。
x、y、zは、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、及び0≦z<3.4の関係を満たす実数である。
α、β、γは、それぞれ、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、及び11≦γ≦13の範囲内にある実数である。] - 前記負極は水系電解質を含まない、請求項1に記載の二次電池。
- 前記セパレータは水系電解質を透過しない、請求項1又は2に記載の二次電池。
- 前記正極活物質は、第2の酸化物電解質焼結体で被覆された正極活物質であり、
前記第2の酸化物電解質焼結体は、前記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間に粒界を有し、
前記第2の酸化物電解質焼結体の結晶粒子の個数平均粒径が3μm以下であり、
前記第2の酸化物電解質焼結体の結晶粒子の内部におけるイオン伝導抵抗である粒内抵抗値をRbとし、前記結晶粒子間の粒界におけるイオン伝導抵抗である粒界抵抗値をRgbとしたとき、前記式1を満たす、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の二次電池。 - 前記正極活物質は、第2の酸化物電解質焼結体で被覆された正極活物質であり、
前記第2の酸化物電解質焼結体は、前記一般式(A)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間に粒界を有し、
前記第2の酸化物電解質焼結体の結晶粒子間の粒界三重点にリチウムを含有するフラックスが存在し、
前記第2の酸化物電解質焼結体の結晶粒子の内部におけるイオン伝導抵抗である粒内抵抗値をRbとし、前記結晶粒子間の粒界におけるイオン伝導抵抗である粒界抵抗値をRgbとしたとき、前記式1を満たす、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の二次電池。
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