JP6984121B2 - ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノシロキサン組成物、及びその硬化物 - Google Patents

ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノシロキサン組成物、及びその硬化物 Download PDF

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Description

本発明は新規構造を有するポリオルガノシロキサンに関する。
ポリオルガノシロキサンは、設計の自由度が高く、様々な機能を持たせることが可能であることから多くの産業で利用されている。
例えば特許文献1には、多面体構造を有するポリオルガノシロキサンが開示されており、耐熱性、耐光性、化学的安定性に加え、成形加工性等が改良されたポリオルガノシロキサンが提案されている。
また、特許文献2には、かご型の構造を有するシルセスキオキサンが開示され、良好な低温流動性を示し、半導体等の封止に好適に用いられることが開示されている。
特開2015−129288号公報 特開2012−233174号公報
上記特許文献1に開示のポリオルガノシロキサンは、耐熱性、耐光性、化学的安定性に加え、成形加工性等が改良されたポリオルガノシロキサンであるものの、弾性率や硬度などの力学物性や引火点に関する検討はなされていない。
また、上記特許文献2に開示のシルセスキオキサンは、半導体等の封止に好適であり硬度に関する検討がされているものの不十分で、こちらも引火点に関する検討はされていない。
また、特許文献1や特許文献2にあるような多面体構造を有するポリオルガノシロキサンは一般に固体であることが多く、液体であってもその粘度は非常に高いものになる。
本発明では、既に提案されたポリオルガノシロキサンとは異なる、力学物性や引火点、線膨張係数、粘度等に着目した新たなポリオルガノシロキサンを提供することを課題とする。
本発明者らは、反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンの引火点や粘度、および硬化させた硬化物の力学物性や線膨張係数に着目した結果、加熱した際の重量減少率が一定の量以下である場合、引火点が著しく上昇し、硬化物の線膨張係数が低下すること、さらに硬化性官能基量が特定の範囲にあることで、硬化物の強度が著しく向上することを見出した。また、赤外吸収スペクトル分析における特定の波数領域の最大吸収波数がポリオルガノシロキサンの粘度に大きな影響を与えることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)全ケイ素に対するM単位(RSiO1/2)の含有量が10mоl%以上であり、全ケイ素に対するT単位(RSiO3/2)の含有量が80mоl%以下であり、かつケイ素に結合したアルコキシ基およびアルコキシ基以外の反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンであって、ポリオルガノシロキサンの全重量に対する前記ケイ
素に結合したアルコキシ基の含有量が0.07〜4重量%であり、ポリオルガノシロキサンの分子量1000当たりの、前記ケイ素に結合した反応性官能基の数が3〜12個であり、圧力0.15torrの減圧下、110℃で2時間加熱した際のポリオルガノシロキサンの重量減少が5重量%以下である、ポリオルガノシロキサン。
(2)全ケイ素に対する前記M単位の含有量が60mоl%以下である(1)に記載のポリオルガノシロキサン。
(3)(SiO4/2)で表されるQ単位を必須とし、ケイ素に結合したアルコキシ基以外の反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンであって、ポリオルガノシロキサンの分子量1000当たりの、ケイ素に結合した反応性官能基の数が3〜12個であり、赤外吸収スペクトル分析において、波数1030〜1060cm-1の領域にSi−O伸縮振動の最大吸収波数を有し、圧力0.15torrの減圧下、110℃で2時間加熱した際のポリオルガノシロキサン成分の重量減少が5重量%以下であるポリオルガノシロキサン。(4)全ケイ素に対するM単位の含有量が10mol%以上、60mol%以下である(1)乃至(3)に記載のポリオルガノシロキサン。
(5)前記ケイ素に結合した反応性官能基が、アルケニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、アシル基、及び環状エーテル基、並びにケイ素とヒドロシリル基を形成する水素原子からなる群から選択される少なくとも1つの基を含む(1)乃至(4)に記載のポリオルガノシロキサン。
(6)反応性官能基が、ビニル基である(1)乃至(5)に記載のポリオルガノシロキサン。
(7)反応性官能基が、メタクリロイルオキシプロピル基である(1)乃至(5)に記載のポリオルガノシロキサン。
(8)40℃で液状である(1)乃至(7)のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン。
(9)25℃での粘度が5mPa・s以上20000mPa・s以下である(1)乃至(
8)のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン。
(10)ポリスチレン換算によるGPC測定結果として、数平均分子量Mnが600以上、5000以下である(1)乃至(9)のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン。
(11)M単位が少なくともトリメチルシロキシ基またはジメチルシロキシ基を含む(1)乃至(10)のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン。
(12)MQレジンである(1)乃至(11)のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン。
(13)MTQレジンである(1)乃至(11)のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン。
(14)(1)乃至(13)のいずれかに記載のポリオルガノシロキサンを含有する組成物。
(15)(1)乃至(13)のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン又は(14)に記載の組成物のいずれかを硬化させてなる硬化物。
(16)ヘーズが1%未満である(15)に記載の硬化物。
(17)85℃相対湿度85%で168時間処理した後のイエローインデックスが0〜10である(15)に記載の硬化物。
本発明者らは、反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンの引火点や粘度、および硬化させた硬化物の力学物性や線膨張係数に着目した結果、加熱した際の重量減少率が一定の量以下である場合、引火点が著しく上昇し、硬化物の線膨張係数が低下すること、さらに硬化性官能基量が特定の範囲にあることで、硬化物の力学特性が著しく向上することを見出した。また、赤外吸収スペクトル分析における特定の波数領域における最大吸収波数がポリオルガノシロキサンの粘度に大きな影響を与えることを見出し、本発明を完成させた。
本発明により、硬化前の引火点が高く、硬化後には弾性率の温度依存性が小さく加熱時の重量減少も少ない硬化物となるポリオルガノシロキサンが得られた。引火点が低い場合、通常の条件で安全に取り扱うことが困難になる場合があり、消防法危険物分類においても、より危険度の高い分類となることから、貯蔵、運搬時のコストも高くなるため、引火点が高いポリオルガノシロキサンが得られたことによるメリットは非常に大きい。また、硬化物の線膨張係数が低いことは、幅広い温度で安定した性能を示すことに等しく、さらに力学物性に優れるため、商品の信頼性に大きく寄与する。さらに、硬化物を加熱した際の重量減少が少ないことにより、加熱減肉あるいは経時変化による脆化等が起こりにくい。
また、本発明により、粘度が低いポリオルガノシロキサンが得られた。粘度が低いことにより、取扱い性が著しく向上しプロセスの自由度が著しく向上するほか、秤量、混合、成形に要する時間が大幅に短縮され、さらに洗浄にかかる時間の短縮、洗浄剤の低減なども見込める。硬化物の耐熱衝撃性が大きく向上したことにより、これまでよりも多くのプロセスに耐えることが可能となり、プロセスの設計自由度が著しく向上する。
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖とする重合体をいい、例えば以下に示す一般組成式(1)で表される。
(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(O1/2(O1/2H) ・・・(1)
ここで、上記式(1)中、RからRは独立して、有機官能基、及び水素原子から選択され、a+b+c+d=1を満足するものとする。またRは、炭素数1〜7の有機基から選択される。
本実施形態に係るポリオルガノシロキサンの一つは、全ケイ素に対するM単位(RSiO1/2)の含有量が10mоl%以上であり、全ケイ素に対するT単位(RSiO3/2)の含有量が80mоl%以下であり、かつケイ素に結合したアルコキシ基およびアルコキシ基以外の反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンであって、ポリオルガノシロキサンの全重量に対する前記ケイ素に結合したアルコキシ基の含有量が0.07〜4重量%であり、ポリオルガノシロキサンの分子量1000当たりの、前記ケイ素に結合した反応性官能基の数が3〜12個であり、圧力0.15torrの減圧下、内温110℃で2時間加熱した際のポリオルガノシロキサンの重量減少が5重量%以下である、ポリオルガノシロキサン(以下ポリシロキサンAと呼ぶことがある)である。また、本実施形態に係るポリオルガノシロキサンのもう一つは、(SiO4/2)で表されるQ単位を必須とし、ケイ素に結合した反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンであって、ポリオルガノシロキサンの分子量1000当たりの、ケイ素に結合した反応性官能基の数が3〜12個であり、赤外吸収スペクトル分析において、波数1030〜1060cm-1の領域にSi−O伸縮振動の最大吸収波数を有し、圧力0.15torrの減圧下、110℃で2時間加熱した際のポリオルガノシロキサン成分の重量減少が5重量%以下であるポリオルガノシロキサン(以下ポリシロキサンBと呼ぶことがある)である。
ポリオルガノシロキサンAにおいて、式(1)中、M単位の割合を意味するaは0.1以上であり、好ましくは0.2以上である。またaは1未満であり、好ましくは0.6以下であり、より好ましくは0.3以下である。aを0.1以上とすること、即ちM単位を適当な上限値以下にすることにより、ポリオルガノシロキサンの分子量の制御が容易となり、より具体的には分子量を小さすぎない適当な範囲にしやすくなり、低沸点成分の増加
を抑えて引火点が低下することを防ぐことができて好ましい。
また、式(1)中、T単位割合を示すcは0以上であり、好ましくは0.15以上であり、より好ましくは0.4以上であり、また上限としてはcは0.8以下であり、好ましくは0.65以下である。式(1)中cが上記範囲であることで、ポリオルガノシロキサンAを硬化させた場合の硬化物に適度な剛性を持たせることとなり好ましい。また、特にcの値を0.8以下とすることで、ポリオルガノシロキサンの粘度を扱いやすい範囲に保つことが容易になり、かつ硬化物の脆さが改善されるため好ましい。
ポリオルガノシロキサンAは(SiO4/2)で表されるQ単位を含んでもよく、即ち式(1)中dは0以上が好ましく、好ましくは0.7以下であり、より好ましくは0.5以下である。式(1)中dが上記範囲であることで、ポリオルガノシロキサンの粘度が高くなりすぎることを防ぎ、またポリオルガノシロキサンAを硬化させた場合の硬化物に適度な剛性を持たせることとなり好ましい。また、ポリオルガノシロキサンAは(R2/2)で表されるD単位を含んでもよく、即ち式(1)中bは0以上とすることができるが、好ましくは0.3以下であり、より好ましくは0.1以下である。このような範囲にすることにより、硬化物の剛性を高く保つことが容易になる。
即ちポリオルガノシロキサンAは、M単位、及びQ単位からなるMQレジンであってもよく、M単位、及びT単位からなるMTレジンであってもよく、M単位、D単位及びT単位からなるMDTレジンであってもよく、M単位、D単位及びQ単位からなるMDQレジンであってもよく、M単位、T単位及びQ単位からなるMTQレジンであってもよく、M単位、D単位、T単位及びQ単位からなるMDTQレジンであってもよい。また、MTQレジンを各種用途に使用する目的で組成物とする場合、ポリオルガノシロキサン組成物全量に対しMTレジンを60重量%以下の含有量で含むことが好ましい。MTレジンを適量含有することで、適度な柔軟性を付与することができる。
但し、M単位及びD単位のみからなるポリオルガノシロキサンAは、全ケイ素に対してM単位が10mol%を超える場合、即ち式(1)中aが0.1を超え、bが0より大きく、c及びdが0である場合には、沸点が低く、圧力0.15torrの減圧下、内温110℃で2時間加熱した際の重量減少が大きいため、本発明には含まれない。
ポリオルガノシロキサンAは、ケイ素に結合したアルコキシ基を有するポリオルガノシロキサンであって、ポリオルガノシロキサンA全重量に対するケイ素に結合したアルコキシ基の含有量が0.07重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であり、4重量%以下、好ましくは2重量%以下である。アルコキシ基を上記範囲の含有量で含むポリオルガノシロキサンAは、アルコキシ基による立体反発により、ポリオルガノシロキサンA分子同士の凝集を抑制するため固体とならず液体となり、適度な流動性を示す。従って、他の樹脂などとの混合が容易となり、組成物を製造する場合の生産性が大きく向上するメリットが得られる。本発明において規定される下限値よりアルコキシ基量が少なすぎると、粘度が高くなりすぎたり固体となる場合があり、上記生産性向上のメリットが受けられなくなる。一方、アルコキシ基の含有量を上限値以下にすることにより、長期の保管による安定性が向上し、また加熱によりアルコキシ基が脱離してアルコールが生成する現象が抑制されるため、作業者の安全及び健康上好ましい。また、硬化物を加熱にした場合にアルコキシ基が脱離し難くなるため、硬化物の減肉による脆化が生じにくい。これはまた経時変化による脆化が起こりにくいことにもつながる。
なお、アルコキシ基の種類は特段限定されないが、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基などが好ましく、代表的であるが、これに限定されるわけではない。
ポリシロキサンAは、アルコキシ基以外のケイ素に結合した反応性官能基を有するポリシロキサンであって、ポリオルガノシロキサンAの分子量1000当たりのケイ素に結合
し反応性官能基が下限値として3個以上、より好ましくは4個以上であり、上限としては12個以下が好ましく、9個以下がより好ましい。反応性官能基を下限値以上とすることにより、ポリシロキサンを硬化させた場合の硬化物の強度を向上させやすい。一方、反応性官能基を上限値以下にすることにより、ポリシロキサンを硬化させた場合の硬化物の脆さが改善される。
ポリオルガノシロキサンのケイ素に結合したアルコキシ基の含有量、及び分子量1000当たりのケイ素に結合した反応性官能基数は、以下のとおり算出する。また、分子量1000当たりのトリメチルシロキシ基の数も同様に測定できる。
測定対象のポリオルガノシロキサンを50mg秤量し、内部標準として15mgのトルエンを添加し精秤する。さらに重クロロホルムを1g入れて溶解し、400MHz H−NMR(日本電子株式会社製AL−400)にて、Relaxation Delayを20秒に設定して測定する。各成分のシグナル強度と内部標準のトルエンのシグナル強度との比率、及び、秤量値により、アルコキシ基の含有量、及び1gあたりの官能基含有量(mmol/g)、すなわち、ポリオルガノシロキサンの分子量1000あたりの官能基数を算出する。この際、ポリオルガノシロキサンに結合していない有機物や水、金属等の不純物については、測定結果に影響しないよう0.1重量%未満に除去されている必要があり、0.1重量%を上回る場合、蒸留や濾過、その他の精製方法により除去した後に試料を調整し、H−NMRを測定する。除去が困難である場合は、H−NMR測定やその他の分析方法により不純物の含有量を算出し、ポリオルガノシロキサンの一部として計算しないよう、不純物の重量を秤量したサンプル重量から差し引いた値を真のサンプル量として計算に用いる。なお、内部標準としては、トルエンの他、N,N−ジメチルホルムアミドやトリブロモエタンなど、ポリオルガノシロキサンと反応しない物質であれば、用いることが出来る。
ポリシロキサンAは、圧力0.15torrの減圧下、内温110℃で2時間加熱した際の重量減少が5重量%以下であり、好ましくは3重量%以下である。上記条件における重量減少を上述の上限値以下にすることにより、ポリオルガノシロキサンの引火点を比較的高く保つことができる。これにより引火点が低い場合のリスクである、通常の条件で安全に取り扱うことが困難になることを避けることができ、消防法危険物分類においても、より危険度の低高い分類となることから、貯蔵、運搬時のコストも減少させることができる。また、硬化時や硬化物の重量減少も小さくなることから、硬化物の貯蔵弾性率の温度依存性が小さく使用できる温度範囲が広くなる、減肉による脆化が起こりにくい、などの利点を得ることができる。
減圧加熱の際の重量減少は、以下のように測定することができる。
H−NMRを測定し、有機溶媒等、ポリオルガノシロキサン以外の成分の重量を算出する。ナス型フラスコに回転子を入れ、それらの重さを測定する。その後、ポリオルガノシロキサンを該ナス型フラスコに入れ、ポリオルガノシロキサンの重量を測定する。オイルバスにてナス型フラスコを加熱し、マグネチックスターラにより回転子を回して液面が流動する程度に撹拌し、オイル式真空ポンプにて減圧する。2時間後、室温まで冷却し、常圧に戻し、ナス型フラスコに付着したオイルを十分にふき取り、ナス型フラスコに入った状態のポリオルガノシロキサンの重量を測定し、先に測定していたナス型フラスコと回転子の重さを差引き、該操作により揮発した重量を算出する。該操作後のポリオルガノシロキサンのH−NMRを測定し、有機溶媒等、ポリオルガノシロキサン以外の成分の重量を算出する。該操作前後の重量減少量及びH−NMRの測定結果から、揮発した重量からポリオルガノシロキサン以外の成分の量及びポリオルガノシロキサンの揮発量を算出する。また、揮発した留出液をコールドトラップなどにより全量回収し、重量及びH−NMRを測定しても良い。
本発明のもう一つの実施形態であるポリオルガノシロキサンBは、必須成分として(SiO4/2)で表されるQ単位を含む。すなわち、ポリオルガノシロキサンBは式(1)中、dは0より大きく、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.15以上である。またdは1未満であり、好ましくは0.7以下であり、より好ましくは0.5以下であり、さらに好ましくは0.3以下である。Q単位を有すること、好ましくは上述の下限値以上に有することにより硬化させた場合の硬化物の強度が向上する。またQ単位を上述の上限値以下とすることにより、ポリオルガノシロキサンの粘度が高くなりすぎず、さらには硬化物が脆くなりにくくなる。
ポリオルガノシロキサンBは、アルコキシ基以外のケイ素に結合した反応性官能基を有するポリシロキサンであって、反応性官能基の含有量はポリオルガノシロキサンAと同様の範囲が好ましく、その理由も同様である。
ポリオルガノシロキサンBは、赤外吸収スペクトル分析において、波数1030〜1060cm−1の領域にSi−O伸縮振動の最大吸収波数を有する。赤外吸収スペクトル分析において、上記波数領域にSi−O伸縮振動の最大吸収波数を有することで、かご型シルセスキオキサンのような極端に硬くなる構造を避けることが出来る。最大吸収波数は特定の領域における最大吸光度を与える波数を意味し、本実施形態では、波数1000〜1200cm−1の領域内における最大吸光度を与える波数を最大吸収波数とする。
赤外吸収スペクトル分析による最大吸収波数は、フーリエ変換赤外分光装置を用い、ATR法(全反射測定法)により測定できる。
また、赤外吸収スペクトル分析において、波数1070〜1150cm−1の領域にSi−O伸縮振動の吸収ピークを有さないことが好ましい。上記波数領域にSi−O伸縮振動の最大吸収波数を有さないことで、かご型シルセスキオキサンのような極端に硬くなる構造を避けることが出来る。かご型シルセスキオキサンのような剛直な構造の場合は、その硬化物は外部応力に対し変形せず一つの剛体として振舞うため、樹脂内部での熱エネルギーへの変換が少なく、反発力が小さくならない。なお、波数1070〜1150cm−1の領域に、Si−O以外の有機分子由来の特性吸収帯が存在してもよい。有機分子由来の特性吸収帯の例としては、ヒドロキシル基のC−O由来、エステルのC−O−C由来、酸無水物のC−O−C由来、エーテルのC−O−C由来、アミンのC−N由来、スルホン酸、スルホキシド、フッ素化合物C−F由来、リン化合物のP=O又はP−O由来、無機塩SO 2−又はClO に起因するものが、吸収強度の高い構造として知られている。これらとSi−O伸縮振動との帰属を取り違えないように注意しなければならない。
ポリオルガノシロキサンBは、圧力0.15torrの減圧下、内温110℃で2時間加熱した際の重量減少が5重量%以下であり、好ましくは3重量%以下である。上記条件における重量減少が大きい場合、ポリオルガノシロキサンの引火点が低くなる。引火点が低い場合、通常の条件で安全に取り扱うことが困難になる場合があり、消防法危険物分類においても、より危険度の高い分類となることから、貯蔵、運搬時のコストも高くなる。また、硬化時や硬化物の重量減少も大きくなることから、硬化物の貯蔵弾性率の温度依存性が大きく使用できる温度が限定される、減肉による脆化が起こりやすい、などの不具合を生じる場合がある。
ポリオルガノシロキサンBにおいて、式(1)中、M単位の割合を意味するaは好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上である。またaは1未満であり、好ましくは0.6以下であり、より好ましくは0.3以下である。aを上述の下限値以上にすることにより、即ちM単位量が適当量以上含まれることにより、分子量の制御が容易となり、粘度が高くなりすぎることを防ぐことができる。一方、aを上限値以下にすること、即ちM単位が多くなりすぎない範囲にすることにより、ポリオルガノシロキサンの分子量を小さすぎない適当な範囲にしやすくなり、低沸点成分の増加を抑えて引火点が低下する
ことを防ぐことができて好ましい。
ポリオルガノシロキサンA及びポリオルガノシロキサンB中のケイ素に結合したアルコキシ基の種類は特段限定されず、分岐構造、環状構造を含んでいてもよいが、分子量の大きいアルコキシ基を用いた場合、ポリオルガノシロキサンまたはその硬化物を加熱した際の脱離アルコキシ基重量が多くなることから、分子量の小さいアルコキシ基であることが好ましい。具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基などが好ましい。
ポリオルガノシロキサンA及びポリオルガノシロキサンB中のケイ素に結合したアルコキシ基以外の反応性基の種類は特段限定されず、分岐構造、環状構造を含んでいてもよいが、反応性の観点からアルケニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、アシル基、環状エーテル基、並びにケイ素とヒドロシリル基を形成する水素原子であることが好ましく、一種類のみ用いてもよく、複数組み合わせて用いてもよい。アルケニル基としてはビニル基が特に好ましく、メタクリロイル基としてはメタクリロイルオキシプロピル基が特に好ましく、アクリロイル基としてはアクリロイロキシプロピル基が特に好ましく、環状エーテル基としてはエポキシ基を有する基が特に好ましい。エポキシ基としては、グリシジルオキシ基、脂環式エポキシ基、アルケニル基を酸化することでエポキシ基に変換したものなどが好適に用いられる。
ポリオルガノシロキサンA及びポリオルガノシロキサンB中、M単位の種類については特段限定されず、反応性官能基を含有するものであってもよい。特にポリオルガノシロキサンの保管安定性という観点からは、少なくとも一種のM単位がトリメチルシロキシ基であることが好ましく、具体的には、分子量1000あたりのトリメチルシロキシ基が1〜4個であることがより好ましい。トリメチルシロキシ基の数が少なすぎると、自動的にトリメチルシロキシ基以外のM単位、即ち反応性基を含有するM単位が多くなりやすいため、ポリオルガノシロキサンの保管安定性の観点からはトリメチルシロキシ基が上述の範囲であることが好ましい。一方、ポリオルガノシロキサンの反応性という観点からは、ポリオルガノシロキサン中、またはM単位中のトリメチルシロキシ基の量は少ない方が好ましく、具体的には、分子量1000あたりのトリメチルシロキシ基が1個以下が好ましく、トリメチルシロキシ基を含まないことがより好ましい。トリメチルシロキシ基が多すぎると、反応性官能基量が少なくなるため、反応性官能基に持たせる機能(硬化性など)を重視する場合にはトリメチルシロキシ基が1個以下が好ましい。
ポリオルガノシロキサンA及びポリオルガノシロキサンBは、40℃(常圧下)で液状であることが好ましい。常圧とは大気圧に等しい圧力をいい、ほぼ一気圧である。また、液体とは流動性のある状態をいう。さらに、成型加工の観点から、25℃(常圧下)で液状であることがより好ましい。
また、ポリオルガノシロキサンの25℃における粘度は、ポリオルガノシロキサンが40℃(常圧下)で液状であれば特段限定されないが、通常25℃において5mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、より好ましくは100mPa・s以上であり、また通常20000mPa・s以下、好ましくは2000mPa・s以下、より好ましくは500mPa・s以下である。粘度をこの範囲にすることで、ノズルからの液垂れ、塗布時の液垂れ、はじきなどを減少させることができ、かつ適度な流動性を有し加工が容易になる。
ポリオルガノシロキサンの分子量は特段限定されないが、数平均分子量Mnは通常600以上、好ましくは800以上、より好ましくは900以上、更に好ましくは950以上であり、また通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは2000以下である。重量平均分子量Mwは通常800以上、好ましくは900以上、より好ましく
は1000以上であり、また通常20000以下、好ましくは10000以下、より好ましくは4000以下である。数平均分子量または重量平均分子量を上述の下限値以上にすることにより、揮発成分が少なくなり、引火点の上昇、粘度の適正化によるノズルからの液垂れ、塗布時の液垂れ、はじきなどの防止など、様々なメリットが生じる。一方、数平均分子量または重量平均分子量を上限値以下にすることにより、粘度上昇や、場合によっては固体になることを防ぎ、他成分との混合や加工が容易になる。
数平均分子量Mnおよび重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として示すことができる。試料は約10重量%のTHF溶液を用い、測定前に0.45μmのフィルターにて濾過したものを用いる。装置: TOSOH HLC−8220 GPCカラム:KF‐G
、KF‐401HQ、KF‐402HQ、KF‐402.5HQ(昭和電工(株)製)、カラム温度40℃溶離液:テトラヒドロフラン、流量0.2mL/分
本発明の別の実施形態は、上記説明したポリオルガノシロキサンを含有する硬化組成物、及びそれを硬化させて得られる硬化物である。硬化様式は付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、連鎖重合硬化タイプなど存在するが、いずれであってもよい。水やアルコール等の脱離成分の発生が無く反応が可逆性でないヒドロシリル化(付加重合硬化タイプ)や、同様に、脱離成分の発生がなく、ラジカル重合開始剤などの連鎖重合開始剤とし、紫外線や熱によって硬化するポリオルガノシロキサン(連鎖重合タイプ)が使用しやすい。これは、硬化時に重合に伴い水やアルコール等の脱離成分が発生すると、硬化物中に泡として残存したり、成型時に容器内の圧を上昇させたり、脱離成分の揮発などによる成形体の収縮や歪みが発生したりする傾向にあるからである。
上記説明したポリオルガノシロキサンを含有する硬化性組成物は硬化様式により、硬化触媒や連鎖重合開始剤を適宜含有してもよい。硬化触媒や連鎖重合開始剤は、本願中に記載のポリオルガノシロキサンを硬化できるものであれば特に限定されない。
付加重合触媒の例としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、1,3−ジビニル‐1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの白金(0)錯体、1,3,5,7−テトラビニル‐1,3,5,7−テトラメチルシクロシロキサンとの白金(0)錯体、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。付加重合触媒の配合量は、白金族金属としてポリオルガノシロキサン合計重量に対して通常1ppm以上、好ましくは2ppm以上であり、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下である。これにより触媒活性が高く、硬化物の透明性が高いものとすることができる。また、付加重合触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
縮合重合用触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、有機酸などの酸、アンモニア、アミン類などの塩基、金属キレート化合物などを用いることができ、好適なものとしてTi、Ta、Zr、Al、Hf、Zn、Sn、Pt、Inのいずれか1以上を含む金属キレート化合物を用いることができる。なかでも、金属キレート化合物は、Ti、Al、Zn、Zr、Pt、Inのいずれか1以上を含むものが好ましく、Zr、Ptを含むものがさらに好ましく用いられる。
縮合重合用触媒の配合量は、金属としてポリオルガノシロキサン合計重量に対して通常1ppm以上、好ましくは2ppm以上であり、通常300ppm以下、好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは150ppm以下である。これにより触媒活性が高く、硬化物を加熱した際の重量減少が少ないものとすることができる。また、縮合重合触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤などが挙げられるが、ラジカル重合開始剤を使用する方法が一般的である。
ラジカル重合開始材としては、光重合開始剤と熱重合開始剤を用いることが出来る。
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、分子内水素引き抜き型光重合開始剤、オキシムエステル光重合開始剤などを用いることができ、好適なものとして、アルキルフェノン系光重合開始剤を用いることが出来る。
熱重合開始剤としては、従来公知の過酸化物やアゾ化合物を用いることができる。
有機過酸化物としては、例えば、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドなどが挙げられ、より具体的には、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキシドなどが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などが挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化組成物は、フィラー、硬化制御剤、粘度調整剤など他の成分を含んでもよい。これらの成分は、本実施形態に係るポリオルガノシロキサンの硬化物が有する反発弾性率低減効果を妨げない範囲で、適宜含有させることができる。
また、硬化組成物の粘度も特段限定されず、成形の手法に応じ適切な粘度とすればよい。
なお、ポリオルガノシロキサン硬化性組成物には、前述したようにMTレジンを含む形態であってもよく、また、かご型シルセスキオキサンを含有する形態であってもよい。ポリオルガノシロキサン硬化性組成物にかご型シルセスキオキサンを含有する場合、かご型
シルセスキオキサンの含有量が5重量%未満であることが好ましい。かご型シルセスキオキサンの含有量を上述した上限値以下とすることでかご型シルセスキオキサンが析出しにくくなり、透明度を高くしやすく、後述する硬化物のヘーズを抑えやすい。また液相を保ちやすい。
上記硬化組成物を硬化させた硬化物もまた、本発明の別の実施形態である。硬化の手法は特に限定されるものではなく、熱、紫外線など、ポリオルガノシロキサンの種類により適宜公知の方法を適用することができる。
上記硬化組成物を硬化させた硬化物はヘーズが1%未満であることが好ましく、0.6%以下であることがより好ましい。このような範囲とすることで、光の拡散による影響が少なくなるため、光学樹脂用途に使用しうる透明度となる。
ヘーズの測定は、「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第一部シングルビーム法・補償法(JIS K 7361)」、「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方(JIS K 7136)」に準拠した測定装置(ヘーズメータ)で測定することが出来る。
上記硬化組成物を硬化させた硬化物は、85℃相対湿度85%で168時間処理した後のイエローインデックスが0〜10であることが好ましく0〜5であることがより好ましく、0〜3であることがさらに好ましい。このような範囲とすることで、光学用途に使用した際に、周囲の温度、湿度の影響を受けた際の耐久性が良くなり、光学用途に使用しうる硬化物となる。
イエローインデックスの測定は「プラスチック−黄色度及び黄変度の求め方(JIS K 7373)」に準拠した測定装置で測定することが出来る。
本実施形態に係るポリオルガノシロキサンの製造方法は、上記の構造を有するポリオルガノシロキサンを得ることができれば特段限定されない。例えば、ジシロキサン化合物やジシラザン化合物およびそれらの加水分解物、アルコキシシラン化合物その加水分解物、部分加水分解縮合物を縮合させる方法、クロロシラン化合物やその加水分解物、部分加水分解縮合物を縮合させる方法、環状シロキサン化合物を開環重合させる方法、アニオン重合を初めとする連鎖重合など、いずれの製造方法であってもよく、複数の製造方法を組み合わせて使用してもかまわない。また、カラムクロマトグラフィーやGPC、溶媒による抽出、不要成分の留去などによって、所望の反応性官能基量や分子量を有するポリオルガノシロキサンを分画して使用してもよい。また、圧力0.15torrの減圧下、110℃で2時間加熱した際のポリオルガノシロキサン成分の重量減少が5重量%を超える場合には、即ち低沸点成分が多く生じた場合には、加熱や減圧により低沸点成分を除去し、本実施形態に係るポリオルガノシロキサンとすることができる。
本実施形態に係るポリオルガノシロキサンへの反応性官能基の導入方法については特段限定されない。例えば、反応性官能基を有するジシロキサン化合物、反応性官能基を有するジシラザン化合物、反応性官能基を有するM単位、D単位、あるいはT単位のアルコキシシラン化合物、反応性官能基を有するM単位、D単位、T単位のクロロシラン化合物、反応性官能基を有する環状シロキサン化合物などを原料として用いることで反応性官能基の導入が可能である。また、導入した反応性官能基を化学的手法により、別の反応性官能基へ変換してもよい。例えば、アルケニル基を有するポリオルガノシロキサンと反応性官能基を有する単官能チオールを反応により別種の反応性官能基へ変換する方法、酸化性物質を用いてアルケニル基を酸化し、エポキシ基へ変換する方法、ケイ素原子に直結した水素原子を有するポリオルガノシロキサンと反応性官能基を有するビニル化合物との反応により別種の反応性官能基へ変換する方法、ポリオルガノシロキサン中に導入された環状エーテル基を開環してアルコール性水酸基へ変換する方法などにより、別種の反応性官能基へ変換して使用することができる。 本実施形態に係るポリオルガノシロキサンは粘度が
低く、減圧、加熱時の重量減少量が少ないことから、取扱性に極めて優れており、また、本実施形態に係るポリオルガノシロキサンを硬化してなる硬化物は、高い強度や高い熱衝撃性を備えているため、様々な用途に用いることができる。例えば、粘度調整剤、相溶化剤、潤滑剤、分散剤、凝集剤、接着剤、粘着剤、離型剤、撥水剤、撥油剤、コーティング材、表面改質剤、光学部材、金属表面補修剤、難燃性付与剤、無機または有機の発光素子を初めとする半導体デバイス封止材や基材、コーティング材などの用途に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例で使用した材料及び評価項目の測定法は以下の通りである。実施例中の部、及び%は特に記載がない場合は質量基準である。
[測定方法]
1.ポリオルガノシロキサン中の反応性官能基量、及びアルコキシ基量の測定
測定対象のポリオルガノシロキサンを50mg秤量し、内部標準として15mgのトルエンを添加し精秤した。さらに重クロロホルムを1g入れて溶解し、400MHz H−NMR(日本電子株式会社製AL−400)にて、Relaxation Delayを20秒に設定して測定した。各成分のシグナル強度と内部標準のトルエンのシグナル強度との比率、及び、秤量値により、アルコキシ基の含有量、及び1gあたりの官能基含有量(mmol/g)、すなわち、ポリオルガノシロキサンの分子量1000あたりの官能基数を算出した。この際、ポリオルガノシロキサンに結合していない有機物や水、金属等の不純物については、測定結果に影響しないよう0.1重量%未満に除去されている必要があり、0.1重量%を上回る場合、蒸留や濾過、その他の精製方法により除去した後に試料を調整し、H−NMRを測定する。除去が困難である場合は、H−NMR測定やその他の分析方法により不純物の含有量を算出し、ポリオルガノシロキサンの一部として計算しないよう、不純物の重量を秤量したサンプル重量から差し引いた値を真のサンプル量として計算に用いる。なお、内部標準としては、トルエンの他、N,N−ジメチルホルムアミドやトリブロモエタンなど、ポリオルガノシロキサンと反応しない物質であれば、用いることが出来る。
2.ケイ素結合アルコキシ基の含有量、及び分子量1000当たりの官能基数の測定
各ポリオルガノシロキサンを50mg秤量し、内部標準として15mgのトルエンを添加した。さらに重クロロホルムを1g入れて溶解し、400MHz H−NMR(日本電子株式会社製AL−400)にてRelaxation Delayを20秒で測定した。各成分のシグナル強度と内部標準のトルエンのシグナル強度との比率、及び、秤量値により、1gあたりの反応性官能基含有量(mmol/g)を見積もり、分子量1000あたりの反応性官能基数を算出した。
3.29Si−NMRの測定方法
装置:日本電子株式会社製JNM−ECS400、TUNABLE(10)、Siフリー、AT10プローブ
測定条件:Relaxation Delay/15秒、SCAN回数/1024回、測定モード/非ゲーテッドデカップルパルス法(NNE)、スピン/なし、測定温度/25℃
・試料の調整:重クロロホルムにTris(2,4−pentanedionato)chromiumIIIが0.5重量%になるよう添加し、29Si−NMR測定用溶媒を得た。測定対象のオルガノポリシロキサンを1.5g秤量し、上記29Si−NMR測定用溶媒を2.5ml入れて溶解し、10mmΦテフロン(登録商標)製NMR試料管へ入れた。
4.分子量の測定
各ポリオルガノシロキサンの数平均分子量Mnおよび重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として示した。試料は約10重量%のTHF溶液を用い、測定前に0.45μmのフィルターにて濾過したものを用いた。
装置: TOSOH HLC−8220 GPC
カラム:KF‐G、KF‐401HQ、KF‐402HQ、KF‐402.5HQ(昭和電工(株)製)、カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン、流量0.2mL/分
5.赤外吸収測定(IR測定)
・フーリエ変換赤外分光法 Fourier Transform Infrared Spectroscopy
・装置:Thermo Fisher Scientific社製 Nic−Plan
・分解能:4cm−1
・積算回数:64回
ATR法(Attenuated Total Reflection、全反射測定法)により最大吸収波数を測定した。
6.減圧加熱時の重量減少量測定
1H−NMRを測定し、有機溶媒等、ポリオルガノシロキサン以外の成分の重量を算出
する。ナス型フラスコに回転子を入れ、それらの重さを測定する。その後、ポリオルガノシロキサンを該ナス型フラスコに入れ、ポリオルガノシロキサンの重量を測定する。オイルバスにてナス型フラスコを加熱し、マグネチックスターラにより回転子を回して液面が流動する程度に撹拌し、内温が110℃になるまで昇温し、オイル式真空ポンプにて減圧する。オイル式真空ポンプの減圧能力としては、0.15Torrの減圧度を達成できる能力を持つものを使用する。2時間後、室温まで冷却し、常圧に戻し、ナス型フラスコに付着したオイルを十分にふき取り、ナス型フラスコに入った状態のポリオルガノシロキサンの重量を測定し、先に測定していたナス型フラスコと回転子の重さを差引き、該操作により揮発した重量を算出する。該操作後のポリオルガノシロキサンの1H−NMRを測定
し、有機溶媒等、ポリオルガノシロキサン以外の成分の重量を算出する。揮発した重量からポリオルガノシロキサン以外の成分の量を差引き、ポリオルガノシロキサンの重量減少量を算出した。
7.40℃における性状の確認方法
500mlのナス型フラスコに各ポリオルガノシロキサンを100gと直径Φ8mmで長さが30mmの回転子を入れ、マグネチックスターラで撹拌しながら、オイルバスにより内温が40℃になるまで加熱した。その後、ガラス棒にてポリオルガノシロキサンを触った際に、ガラス棒にオイルが付着する形態であり、且つ、ナス型フラスコを90°真横に倒して30分後、液がフラスコ底面から側面に90%以上移動したものを液状と判定した。
8.25℃における粘度の測定
ブルックフィールド社製RV型粘度計RVDV−2 +Proを用いて、温度25℃における値を測定した。
9.引火点測定方法(記載予定)
引火点の測定は、引火点が80℃以下の場合はJIS K 2265−3:2007またはISO 2719:2002に準じたペンスキーマルテンス密閉式、引火点が80℃
以上の場合はJIS K 2265−4:2007またはISO 2592:2000に準じたクリーブランド開放式にて測定した値を引火点とした。なお、SILTECH COR.社製VQ2012についてはSILTECH COR.社カタログ値である49℃を引火点とした。
10.線膨張係数測定方法
硬化物の線膨張係数は厚さ1mmを用い、下記の装置、モード及び温度プログラムで測定し、二度目の昇温時の50℃から100℃にかけての平均線膨張係数を測定値とした。装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TMA/SS6100
モード:圧縮モード
温度プログラム:1.30℃から120℃まで5℃/分で昇温
2.120℃で5分間保持
3.120℃から30℃まで50℃/分で降温
4.30℃で5分間保持
5.30℃から120℃まで5℃/分で昇温
6.120℃で5分間保持
11.3点曲げ弾性率測定方法
装置:株式会社島津製作所製、卓上形精密万能試験機AG−Xplus
ロードセル:5kN
測定治具:プラスチック3点曲げ試験治具
試験片:厚さ2mm、幅14.25mm、長さ30mm
下部支点間距離:17.6mm
負荷速度:0.5mm/分
12.ショアD硬度
アスカーゴム高度計D型を用い、JIS K 6253に準じて測定した。
[使用したシリコーン樹脂]
合成に使用した試薬及び溶媒等は下記のとおりである。
ヘキサメチルジシロキサン(NuSil Technology社製、製品名:S−7205)
1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(NuSil Technology社製、製品名:PLY−70)
テトラエトキシシラン(キシダ化学株式会社製)
エチルシリケートES−40(コルコート株式会社製)
メチルシリケートMS−51(三菱化学株式会社製)
(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−503)
テトラヒドロフラン(キシダ化学株式会社製)
トルエン(キシダ化学株式会社製)
エタノール(キシダ化学株式会社製)
メタノール(キシダ化学株式会社製)
1N塩酸(キシダ化学株式会社製)
ヘプタン(キシダ化学株式会社製)
(1)ポリオルガノシロキサン1
ヘキサメチルジシロキサン18.3重量部、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン64.3重量部、テトラエトキシシラン105重量部をテトラヒドロフラン187重量部に溶解させた後、1N塩酸24.7重量部とエタノール24.7重量部の混合物を加え
て40℃で4時間撹拌した。ヘプタン374重量部で希釈した後、脱塩水で洗浄した。ローターリーエバポレーターを用い76℃、圧力15Torrの減圧下で、目視にて溶媒の留出がなくなるまで溶媒を留去した。続いて、110℃、圧力0.15torrの減圧下で2時間加熱し、目的とするポリオルガノシロキサン1 85.7重量部を得た。
(2)ポリオルガノシロキサン2
ヘキサメチルジシロキサン18.3重量部、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン64.3重量部、エチルシリケートES−40 74.7重量部をテトラヒドロフラン157重量部に溶解させた後、1N塩酸17.9重量部とエタノール17.9重量部の混合物を加えて40℃で4時間撹拌した。ヘプタン315重量部で希釈した後、上述したポリオルガノシロキサン1を合成した際と同様の処理を施すことにより、目的とするポリオルガノシロキサン2 87.2重量部を得た。
(3)ポリオルガノシロキサン3
1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン277重量部、メチルシリケートMS−51 132重量部をトルエン205重量部とメタノール205重量部の混合溶媒に溶解させた後、1N塩酸46.0重量部とメタノール37.6重量部の混合物を加えて40℃で4時間撹拌した。ヘプタン409重量部で希釈した後、上述したポリオルガノシロキサン1を合成した際と同様の処理を施すことにより、目的とするポリオルガノシロキサン3を得た。
(4)ポリオルガノシロキサン4
ヘキサメチルジシロキサン2.6重量部、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン9.16重量部、メチルシリケートMS−51 8.24重量部をトルエン10.0重量部とメタノール10.0重量部の混合溶媒に溶解させた後、1N塩酸5.10重量部とメタノール2.55重量部の混合物を加えて40℃で4時間撹拌した。ヘプタン17.5重量部で希釈した後、上述したポリオルガノシロキサン1を合成した際と同様の処理を施すことにより、目的とするポリオルガノシロキサン4 13.2重量部を得た。
(5)ポリオルガノシロキサン5
ヘキサメチルジシロキサン33.8重量部、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン295重量部、メチルシリケートMS−51 11.4重量部をトルエン170重量部とメタノール170重量部の混合溶媒に溶解させた後、1N塩酸79.2重量部とメタノール79.2重量部の混合物を加えて40℃で4時間撹拌した。トルエン466重量部で希釈した後、上述したポリオルガノシロキサン1を合成した際と同様の処理を施すことにより、目的とするポリオルガノシロキサン5 216重量部を得た。
(6)ポリオルガノシロキサン6
110℃、圧力0.15torrの減圧下での処理を実施しなかったこと以外は、ポリオルガノシロキサン1と同様にして合成し、目的とするポリオルガノシロキサン6 100重量部を得た。
(7)ポリオルガノシロキサン6
SILTECH COR.社製のSilmer VQ2012をポリオルガノシロキサン7としてそのまま使用した。これは液状のビニル基置換MQレシ゛ンとして販売されており、最も本発明に近い市販品と考えられる。
(8)ポリオルガノシロキサン8
ヘキサメチルジシロキサン207重量部、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン87.5重量部、メチルシリケートMS−51 186重量部をトルエン180重量部と
メタノール180重量部の混合溶媒に溶解させた後、1N塩酸37.7重量部とメタノール37.7重量部の混合物を加えて40℃で4時間撹拌した。ヘプタン151重量部で希釈した後、上述したポリオルガノシロキサン1を合成した際と同様の処理を施すことにより、目的とするポリオルガノシロキサン8 196重量部を得た。
(9)ポリオルガノシロキサン9
ヘキサメチルジシロキサン210重量部、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン17.9重量部、メチルシリケートMS−51 172重量部をトルエン200重量部とメタノール200重量部の混合溶媒に溶解させた後、1N塩酸107重量部とメタノール53.7重量部の混合物を加えて40℃で4時間撹拌した。ヘプタン350重量部で希釈した後、上述したポリオルガノシロキサン1を合成した際と同様の処理を施すことにより、目的とするポリオルガノシロキサン9 204重量部を得た。
(10)ポリオルガノシロキサン10
HYBRID PLASTICS INC.社製の商品名Vinyl POSS Cage Mixture(OL1170)をポリオルガノシロキサン10としてそのまま使用した。
(11)ポリオルガノシロキサン11
HYBRID PLASTICS INC.社製の商品名Methalryl POSS Cage Mixture(MA0735)をポリオルガノシロキサン11としてそのまま使用した。
[硬化物の作成方法1]
上述した方法で合成したポリオルガノシロキサン80重量部、ビニル基含有シリコーン(NuSil Technology社製、商品名:PLY7511)20重量部、ジクミルパーオキサイド(日油株式会社製、商品名:パークミルD)0.5重量部を混合した。得られた混合液を1mmのスペーサーで隙間を開けたガラス板に挟み、40℃から140℃まで5℃/分で昇温し、140℃で2時間保持した。40℃まで放冷した後に上面のガラス板を取り外し、さらに40℃から190℃まで5℃/分で昇温し190℃で2時間保持した。40℃以下まで放冷した後、残ったもう一方のガラス板を取り外し、ポリオルガノシロキサン組成物の硬化物を得た。
[硬化物の作成方法2]
上述した方法で合成したポリオルガノシロキサン100重量部と2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(東京化成工業株式会社製)3重量部を混合した。得られた混合液を1mmのスペーサーで隙間を開けたガラス板に挟み、FUSION UV SYSTEMS, INC社製I6P1/LHを用い、高圧水銀灯(積算光量3000mJ/cm)で光照射した後、用いたガラス板を取り外してポリオルガノシロキサンの硬化物を得た。
[硬化物の作成方法3]
上述した方法で合成したビニル基を有するポリオルガノシロキサン100重量部と両末端ビニル基変性シリコーン(NuSil Technology社製、商品名:PLY−7500)100重量部に対して、ヒドロシリル基変性シリコーン(NuSil Technology社製、商品名:XL−1)をビニル基とヒドロシリル基の物質量比が1:1になるように加えた。さらにKarstedt触媒の2重量%キシレン溶液(Aldrich社製)を白金重量として3ppmになるように添加し、1−エチニル−1−シクロヘキサノールを6ppm添加した。このようにして得られた混合物を混合物Aとする。混合物A 15重量部に対して、無機フィラーとして球状シリカ(デンカ株式会社製、商品
名:FB−5D)83重量部、末端トリメチルシリル基修飾フュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名RX−200)2重量部を添加し、遠心脱泡混合装置を用い混合後、幅14.25mm、長さ30mm、厚さ2mmの金型へ充填した。次いで、200℃、圧力50kg/cmで3分間プレスしポリオルガノシロキサン組成物の硬化物を得た。
[実施例及び比較例]
上述した方法に従って準備したポリオルガノシロキサン各種測定値、及びそれらを硬化物作成方法1乃至3に従って作成した硬化物についての各種測定値を表1に記した。
比較例1のポリオルガノシロキサンは、ケイ素に結合したアルコキシ基の数が多く、また110℃で2時間加熱した際の重量減少も大きい。
比較例2のポリオルガノシロキサンは、出願人の知る中で本発明に最も近い市販品であるが、110℃で2時間加熱した際の重量減少が大きい。
比較例3、4は、官能基量が本発明の規定に対し不足している。
比較例5,6は赤外吸収スペクトル分析におけるSi−O振動の最大吸収波数が異なっており、置換基を有するかご型シルセスキオキサンになっている。これらは実質的に固体である。
Figure 0006984121
考察
[線膨張係数]
実施例1、2、及び4で使用したポリオルガノシロキサン1、2、及び4は比較例1で使用したポリオルガノシロキサン6と比較して、ポリオルガノシロキサンの各ケイ素種の含有量及び反応性官能基種、量は近いものとなっているが、実施例1、2、及び4では加熱、減圧時の重量減少量が極めて少ない。このような場合、硬化物の線膨張係数が小さくなることがわかった。このことから、加熱、減圧時の重量減少が少ない場合、幅広い温度で寸法安定性の良い硬化物が作成し得るメリットがあることがわかる。
[引火点]
実施例4で使用したポリオルガノシロキサン4は比較例2で使用したポリオルガノシロキサン7と比較して、各ケイ素種の含有量及び反応性官能基種、量は近いものなっているが、加熱、減圧時の重量減少量が少ない。このような場合、引火点が大きく上昇することがわかった。消防法危険物分類に当てはめると、ポイオルガノシロキサン6は第四類第二石油類(非水溶性)であるのに対して、ポリオルガノシロキサン4は第四類第三石油類(非水溶性)である。このことから、加熱、減圧時の重量減少量が少ない場合、より安全に取り扱うことが可能となり、消防法危険物分類においても、より危険度の引く分類となることから、貯蔵、運搬時のコストも低くなるメリットがあることがわかる。
[粘度]
比較例5及び6で使用したポリオルガノシロキサン10、ポリオルガノシロキサン11は、赤外吸収スペクトル分析における波数1030〜1150cm−1の領域において、かご型構造に特有の波数1075〜1150cm−1の領域にSi−O伸縮振動の最大吸収波数を有する。一方、そのほかの実施例、比較例で使用したポリオルガノシロキサンは、赤外吸収スペクトル分析において、波数1030〜1070cm−1の領域にSi−O伸縮振動の最大吸収波数を有しており、かご型の構造を有していない。これらに対して粘度測定を実施した結果、波数1030〜1070cm−1の領域にSi−O伸縮振動の最大吸収波数を有しているポリオルガノシロキサン、即ち、かご型の構造を有していないポリオルガノシロキサンは粘度が低いことがわかった。一方、波数1075〜1150cm−1の領域にSi−O伸縮振動の最大吸収波数を有しているポリオルガノシロキサン、即ち、かご型の構造を有しているポリオルガノシロキサンは粘度が高いか、もしくは固体であることがわかった。従って、本発明のポリオルガノシロキサンは低粘度の液体であることから取扱い性が良く、秤量、混合、成形に要する時間が大幅に短縮され、さらに洗浄にかかる時間の短縮、洗浄剤の低減などのメリットがある。
[3点曲げ弾性率及びショアD硬度]
実施例3及び4で使用したポリオルガノシロキサン3及び4は、反応性官能基であるビニル基をポリオルガノシロキサンの分子量1000当たり3個〜12個の範囲で有している。一方、比較例3及び4で使用したポリオルガノシロキサン8及び9はポリオルガノシロキサン3及び4と同種の反応性官能基を有しているが含有量が3個〜12個の範囲よりも少ない。これらのポリオルガノシロキサンを用いて硬化物を作製した結果、反応性官能基がポリオルガノシロキサンの分子量1000当たり3個〜12個とすることで、3点曲げ弾性率及びショアD硬度が高くなることが分かった。従って、本発明のポリオルガノシロキサンを用いて硬化物を作製することで、高弾性、高硬度の素材が得られるメリットがある。

Claims (12)

  1. 全ケイ素に対するM単位(RSiO1/2)の含有量が10mоl%以上であり、全ケイ素に対するT単位(RSiO3/2)の含有量が80mоl%以下であり、かつケイ素に結合したアルコキシ基およびアルコキシ基以外の反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンであって
    前記R 、R 、R 、及びR は独立して、有機官能基、及び水素原子から選択され、
    前記反応性官能基は、分岐構造、又は環状構造を含んでいてもよいアルケニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、アシル基、環状エーテル基、並びにケイ素とヒドロシリル基を形成する水素原子のいずれかであり、
    リオルガノシロキサンの全重量に対する前記ケイ素に結合したアルコキシ基の含有量が0.07〜4重量%であり
    リオルガノシロキサンの分子量1000当たりの、前記ケイ素に結合した反応性官能基の数が4.5〜9個であり
    25℃において粘度が2000mPa・s以下であり、
    力0.15torrの減圧下、110℃で2時間加熱した際のポリオルガノシロキサンの重量減少が5重量%以下である、ポリオルガノシロキサン。
  2. 全ケイ素に対する前記M単位の含有量が60mоl%以下である請求項1に記載のポリオルガノシロキサン。
  3. 全ケイ素に対するM単位の含有量が10mol%以上、60mol%以下である請求項1または2に記載のポリオルガノシロキサン。
  4. 反応性官能基が、ビニル基である請求項1乃至のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン。
  5. 反応性官能基が、メタクリロイルオキシプロピル基である請求項1乃至のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン。
  6. 25℃での粘度が5mPa・s以上である請求項1乃至のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン。
  7. ポリスチレン換算によるGPC測定結果として、数平均分子量Mnが600以上、5000以下である請求項1乃至のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン。
  8. M単位が少なくともトリメチルシロキシ基またはジメチルシロキシ基を含む請求項1乃至のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン。
  9. MQレジンである請求項1乃至のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン。
  10. MTQレジンである請求項1乃至のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載のポリオルガノシロキサンを含有する組成物。
  12. 請求項1乃至10のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン、又は請求項11に記載の組成物、のいずれかを硬化させてなる硬化物。
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