JP2021161278A - オルガノポリシロキサン組成物 - Google Patents

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Noriaki Terada
昌平 平瀬
Shohei Hirase
由李子 是兼
Yuriko KOREKANE
拓海 渡部
Takumi Watabe
雄一 加藤
Yuichi Kato
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Abstract

【課題】粘度が低く、かつ、各種樹脂への分散性に優れるオルガノポリシロキサン組成物を提供することを課題とする。【解決手段】成分Aとして、下記一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンと、成分Bとして、下記一般式[2]で表される物質とを含み、該成分A及び該成分Bが、0.1≦{(成分Bの重量)×100}/{(成分Aの重量)+(成分Bの重量)}≦9の関係を満たし、かつ、成分Aに対し、該式[2]における係数T2、M2、及びE2がT2+2−M2+E2=0を満たす物質の含有量が、0.01重量%以上、9重量%以下であり、かつ、該式[2]における係数T2、M2、及びE2がT2+2−M2+E2=0を満たさない物質の含有量が、3重量%以下であることを特徴とする、オルガノポリシロキサン組成物である。RxSiO(4−X)/2・・・[1](R1R2R3SiO1/2)M2(R4R2SiO3/2)T2(O1/2R5)E2・・・[2]【選択図】なし

Description

本発明は、オルガノポリシロキサンに関し、特に他の樹脂と混合して用いられるオルガノポリシロキサン組成物に関する。
近年、有機無機複合材が注目され、樹脂へケイ素材料を混合させることにより特性を改善させることを目的とした開発が行われている。例えば、特許文献1では、分子量分布が狭く、常温で低粘度の液状であるため、他の樹脂との混合が容易であり、かつ揮発するような低分子量成分を含ないため、扱いが容易で、かつ硬化時の特性にも優れるオルガノポリシロキサンが開示されており、この低分子量で分子量分布が狭く、かつ液状のオルガノポリシロキサンの官能基を工夫することで、種々の樹脂への様々な機能付与が行われてきた。
国際公開第2018/110613号
樹脂中で効果的にオルガノポリシロキサンの機能を発現させるためは、樹脂とオルガノポリシロキサンとを均一に混合分散することが重要であり、成形する前の段階でオルガノポリシロキサンが樹脂へ混合分散しやすい形態の組成物としておくこと必要がある。
しかし、種々の添加剤を混合した樹脂へオルガノポリシロキサンを混合した場合に特定の成分が析出してしまい、また、高分子量化した樹脂へオルガノポリシロキサンを混合した場合に樹脂の粘度が高いためにオルガノポリシロキサンが拡散しにくくなり、組成物中でオルガノポリシロキサンの濃度勾配が生じてその成形品の物性にムラが生じるなど、オルガノポリシロキサンの均一分散が困難であることに起因する問題も発生している。このような場合、分子量分布が狭く、かつ揮発するような低分子量成分を持たない液状のオルガノポリシロキサン組成物を用い、有機溶媒により希釈し、混合することでオルガノポリシロキサンの分散性を改善することも可能であるが、成形時の金型解放時に引火性蒸気が揮散して危険性を伴うことや、凝縮した有機溶媒が成形品を再溶解し、白化させ、外観不良を引き起こすこと、有機溶媒の揮発で温度が低下してしまうことによる硬化不良、有機溶媒が成形品に残存することによる樹脂融点の低下、成形品から徐々に有機溶媒が揮発することにより生じる経時的な収縮、有機溶媒の揮発に伴い空隙が生じることでの強度低下、有機溶媒の酸化等による着色など、オルガノポリシロキサンを添加する前の利点が一部損なわれることも在った。
また、オルガノポリシロキサンの粘度が高い場合にそれを含む組成物とした際、成形時の流動性が悪く、金型への充填が不十分となることや空気を樹脂中に取り込んだ状態で硬化してしまうなど、用途によってはオルガノポリシロキサンが高粘度であることにより、様々な悪影響を及ぼすことがあった。
ヘアワックスやリップグロスなどの化粧品用途へ使用する場合には、オルガノポリシロキサンの粘度が質感に大きく影響を与えるため、重要な要素となっている。
そこで、本発明は、粘度が低く、かつ、各種樹脂への分散性に優れるオルガノポリシロキサン組成物を提供することを課題とする。
そこで本発明者らは、鋭意検討の結果、オルガノポリシロキサンへ特定の成分を含有させることで粘度を調整することができること、並びに、この特定の物質は、温度がかかっても揮発しにくいので、臭気の発生や樹脂の収縮、成形品の外観不良、透明性の低下、硬化不足等の原因にならないこと、及びオルガノポリシロキサンと同等の安定性を有するために、所望の使用環境において、分解による周囲環境の汚染や着色等も生じさせないことを見出した。また、この特定の物質が気化する温度帯で原料を混錬して樹脂にこの特定の物質を均一に分散させることにより、樹脂の粘度を低下させる効果、また、オルガノポリシロキサンの分散性を促進させる効果もあることを見出した。さらに、オルガノポリシロキサンの粘度が低下することによるメリットとして、製造後の釜やろ過機、抜出しラインへの付着量が減ることで回収率を改善し、有機溶媒への分散性も改善していることから洗浄の手間を削減することができ、組成物とした際にも容器へ残りにくくなり使用後の容器の洗浄負荷低減、或いは、容器廃棄の際、容器に付着したオルガノポリシロキサン組成物中、特定の物質がその他の成分と類似の構造を有しているために、廃棄処理までの間の保管場所として、特定の成分の危険性を鑑み新たに保管場所を確保する必要がなく、また、廃棄処理も無害化処理や分離処理が不要であり、それに伴う薬品やエネルギーの使用がないために環境負荷低減に寄与できるという驚くべき効果が得られることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]成分Aとして、一般的[1]で表されるオルガノポリシロキサンと、成分Bとして、下記一般式[2]で表される物質とを含み、かつ、該成分A及び該成分Bが、0.1≦{(成分Bの重量)×100}/{(成分Aの重量)+(成分Bの重量)}≦9の関係を満たし、かつ、
成分Aに対し、該式[2]における係数T2、M2、及びE2がT2+2−M2+E2=0を満たす物質の含有量が、0.01重量%以上、9重量%以下であり、かつ、該式[2]における係数T2、M2、及びE2がT2+2−M2+E2=0を満たさない物質の含有量が、3重量%以下であることを特徴とする、オルガノポリシロキサン組成物である。
SiO(4−X)/2 ・・・[1]
(RSiO1/2M2(RSiO3/2T2(O1/2E2 ・・・[2]
ここで、上記式[1]中、
Rは、それぞれ独立して、有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよく、
係数Xは、それぞれ独立して、0<X≦4を満たす。
ここで、上記式[2]中、
〜Rは、それぞれ独立して、炭素原子を含む有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよい。
は、炭素数1〜20の有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよい。
は、炭素数1〜20の有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよく;
係数M2は、1〜5の正の整数であり、係数T2は、1〜3の正の整数であり、係数E2は0〜5の整数である。
[2]前記一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンとして、ジメチルポリシロキサン、または、MQレジンを含むことを特徴とする、[1]に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
[3]前記一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンが、トリメチルシロキシ基、ジメチルビニルトリメチルシロキシ基、および、ジメチルシロキシ基からなる群から選択される基を有することを特徴とする、[1]または[2]に記載のオルガノポリシロキサ
ン組成物。
[4]前記一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンがフェニル基を有することを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物。
[5]200gのオルガノポリシロキサン組成物を1Lナス型フラスコに入れて、真空圧力0.15torrの排気能力を有する真空ポンプにて減圧下、内温110℃で2時間加熱した際、オルガノポリシロキサンの質量減少量が10g以下であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物。
[6]前記一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンが40℃で液体であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物。
[7]前記一般式[2]において、Rがフェニル基であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物。
[8]前記一般式[2]において、R〜Rがメチル基であることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物。
[9]前記一般式[2]で表される物質として、前記係数T2が1である物質を含むことを特徴とする、[1]〜[8]のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物。
[10]前記一般式[2]で表される物質として、前記係数M2が3である物質を含むことを特徴とする、[1]〜[9]のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物。
[11]オルガノポリシロキサン組成物中の前記一般式[2]で表される物質の含有量が、0.5〜3重量%であることを特徴とする、[1]〜[10]のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物を含むことを特徴とする、樹脂組成物。
[13][1]〜[11]のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物を含むことを特徴とする、有機溶媒希釈液。
[14][1]〜[11]のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物またはその硬化物を有することを特徴とする、電子機器用部材。
本発明により、 粘度が低く、かつ、各種樹脂への分散性に優れるオルガノポリシロキサン組成物を提供することができる。
また、上記のオルガノポリシロキサン組成物は、臭気性及び着色性に優れ、引火点を比較的高く保つことができるという効果も有する。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、これらの説明は本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A〜B」は、A以上B以下であることを意味する。
また、本明細書において、2つ以上の対象を併せて説明する際に用いる「独立して」とは、それらの2つ以上の対象が同じであっても異なっていてもよいという意味で使用される。
<1.オルガノポリシロキサン組成物>
本発明の一実施形態であるオルガノポリシロキサン組成物(以下、単に「オルガノポリシロキサン組成物」とも称する)は、成分Aとして、一般的[1]で表されるオルガノポリシロキサン(以下、単に「オルガノポリシロキサン」とも称する)と、成分Bとして、下記一般式[2]で表される物質とを含み、該成分A及び該成分Bが、0.1≦{(成分Bの重量)×100}/{(成分Aの重量)+(成分Bの重量)}≦9の関係を満たし、かつ、
成分Aに対し、該式[2]における係数T2、M2、及びE2がT2+2−M2+E2=0を満たす物質の含有量が、0.01重量部以上、9重量部以下であり、かつ、該式[2]における係数T2、M2、及びE2がT2+2−M2+E2=0を満たさない物質の含有量が、3重量部以下であることを特徴とする、オルガノポリシロキサン組成物である。
SiO(4−X)/2・・・[1]
(RSiO1/2M2(RSiO3/2T2(O1/2E2 ・・・[2]
ここで、上記式[1]中、
Rは、それぞれ独立して、有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよく、
係数Xは、それぞれ独立して、0<X≦4を満たす。
ここで、上記式[2]中、
〜Rは、それぞれ独立して、炭素原子を含む有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよい。
は、炭素数1〜20の有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよい。
は、炭素数1〜20の有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよく;係数M2は、1〜5の正の整数であり、係数T2は、1〜3の正の整数であり、係数E2は0〜5の整数である。
なお、本明細書におけるオルガノポリシロキサンは、上記の一般式[1]を満たすものが複数成分存在する場合には、それら全てを総括する表現であり、この場合、オルガノポリシロキサンの含有量は、複数種類のオルガノポリシロキサン(合算物)の合算値を基準に算出される値となる。また、同様に、本発明における上述した一般式[2]で表される物質とは、該一般式[]を満たすものが複数成分存在する場合には、それら全てを総括する表現であり、この場合、該物質の含有量は、複数種類の該物質(合算物)の合算値を基準に算出される値となる。
上記の一般式[2]で表される物質は、分子量が小さい物質であるために粘度が低く、一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサン組成物およびその他の樹脂への分散性がよく、Rの官能基種を適用したい該オルガノポリシロキサン組成物および樹脂に合わせて選択することで相溶性を担保することができる。また、一般式[2]で表される物質は、該オルガノポリシロキサンを合成する際に用いられる酸、塩基等の触媒、および水による脱水縮合反応が起こりにくいSi−C結合、および、Si−O−Si−C結合を有し、該オルガノポリシロキサン組成物および樹脂中でもその構造を維持することができ、かつ、成形時にかかる200℃を超える高温でも構造を維持するため、成形品の品質に影響しない。また、該オルガノポリシロキサン組成物や樹脂中に有機溶媒を用いた際には、成形時にかかる200℃を超える高温で揮発し、引火性の蒸気発生による危険性をはらむことや成形品の局所溶解による外観不良等を起こすことがあったが、一般式[2]で表される物質は、該オルガノポリシロキサン組成物との相溶性に優れているために、物質の沸点を超えた温度、圧力条件が生じても揮散することがなく、安全、かつ、外観不良等の無い成形品を得ることができる。
<1.1.一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサン>
オルガノポリシロキサン組成物は、成分Aとして、上記の一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンを含む。
SiO(4−x)/2・・・[1]
一般式[1]において、係数Xは、それぞれ独立して0より大きく、ケイ素に結合する
有機基またはケイ素に結合した酸素に結合する有機基の各成分の含有量を表しており、M単位、D単位、T単位、Q単位のケイ素単位の各成分の含有量表しており、オルガノポリシロキサンの各成分それぞれからなるオルガノポリシロキサンを表している。Rは有機基である。係数Xにおける「それぞれ独立して」の文言について、一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンは、一般式[1]を満たす複数の構造を有するオルガノポリシロキサンであり得るため、それらの複数の構造が同一であっても、異なってもよいことを示す文言である。
本願明細書において、有機基とは、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子、および、ハロゲン類の原子を含み、それらを含む任意の組み合わせにより構成された官能基であり、1つの水素原子のみからなるものは含まない。また、炭素原子を含む有機基とは、上記の有機基の態様を満たし、かつ、少なくとも1つの炭素原子を含む官能基である。
Rは、それぞれ独立して、有機基、及び水素原子からなる群から選択され、その種類は特段制限されることはなく、混合する樹脂、或いは、任意の目的で使用される添加剤と混合や反応させる観点から、相溶性や反応性を考慮して選択され、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基、カルボキシル基、ニトリル基、ホルミル基、カルボニル基、カルビノール基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、シアノ基、スルホ基、メルカプト基、チオール結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、炭素数1〜20のアルキル基、芳香族性官能基等を含む官能基の組み合わせが好適であり、具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、デシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エチレングリコールモノエチレンエーテル基、アクリロキシプロピル基、アクリロキシオクチル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシオクチル基、グリシジル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシオクチル基、1,2−エポキシシクロヘキシル−3−プロピル基、1,2−エポキシシクロヘキシル−3−オクチル基、フェニル基、フェネチレン基、スチリル基、ビニル基、アリル基であることが好ましく、混合する成分の極性が低い場合には、水素原子、メチル基、エチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1,2−エポキシシクロヘキシル−3−プロピル基、1,2−エポキシシクロヘキシル−3−オクチル基、1,2−エポキシシクロヘキシル−3−オクチル基、アリル基がさらに好ましく、混合する成分の極性が高い場合には、エチレングリコールモノエチレンエーテル基、アクリロキシプロピル基、アクリロキシオクチル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシオクチル基、グリシジル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシオクチル基、フェニル基、フェネチレン基、スチリル基、ビニル基であることがさらに好ましく、混合する目的の樹脂または樹脂組成物に合わせて任意の割合で組み合わせることが好ましい。
オルガノポリシロキサンを他の樹脂に混合させた場合を考慮した、Rの好適例を以下に示す。
<混合する樹脂がジメチルポリシロキサンを主体とする樹脂の場合>
この場合の樹脂は極性が低い樹脂に該当し、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、および、ビニル基を好適に使用できる。
<混合する樹脂がジメチルジフェニルポリシロキサンおよびメチルフェニルポリシロキサンを主体とする樹脂の場合>
この場合の樹脂は極性が低い樹脂および高い樹脂の双方に該当し、Rは、それぞれ独立して、フェニル基を有することが好ましく、特に、メチル基、フェニル基を組み合わせて使用することが好適である。
<混合する樹脂が(メタ)アクリロイル基を含有する樹脂である場合>
この場合の樹脂は極性が高い樹脂に該当し、Rは、それぞれ独立して、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシオクチル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシオクチル基、および、メチル基との組み合わせが好適に使用できる。
<混合する樹脂がポリカーボネートである場合>
この場合の樹脂は極性が高い樹脂に該当し、Rは、それぞれ独立して、エチレングリコールモノエチレンエーテル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシオクチル基、フェニル基、フェネチレン基、スチリル基、ビニル基、および、メチル基との組み合わせが好適に使用でき、相溶性やポリカーボネートと混合する際の200℃を超える熱に対する耐熱性の観点では、Rは、メチル基、および、フェニル基を含む場合が好適である。
Rは、Rの末端原子であり、ケイ素原子と結合する原子を酸素としてもよく、この場合、例えば、上記の種々のRの例示の官能基におけるケイ素と結合する末端原子とケイ素との間に酸素原子を連結させる態様が挙げられる。この場合におけるRは、炭素数1〜20の有機基、及び、水素原子からなる群から選択される基であってもよく、樹脂との相溶性の観点から、水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、オクタデシル基であることが好ましく、加熱時や経時変化で脱水縮合での重量変化や体積変化の観点では、水素原子、メチル基が好ましく、特に、水素原子が好ましく、安定性の観点では、メチル基が好ましく、メチル基、水素原子の組み合わせも好ましい。
一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンは、安定性に優れた反応性または非反応性の材料として取り扱うために、トリメチルシロキシ基、ジメチルビニルトリメチルシロキシ基、および、ジメチルシロキシ基からなる群から選択される基を有することが好ましい。
一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンは、M単位、D単位、T単位、および、Q単位のいずれであってもよく、それぞれの単位の組み合わせとしては、M単位及びD単位からなるジメチルシロキサンであってもよく、M単位およびT単位からなるMTレジンであってもよく、M単位及びQ単位からなるMQレジンであってもよく、以下同様に以下に示すケイ素単位からなるオルガノシロキサンであってよいが、特に、室温での取り扱い容易性から、一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンとして、ジメチルシロキサン又はMQレジンが含まれることが好ましい。MDT単位、MDQ単位、MDTQ単位、DT単位、DQ単位、DTQ単位、TQ単位。
M単位とは、R’R’R’SiO1/2で表される構成単位であり、D単位とは、R’R’SiO2/2で表される構成単位であり、T単位とは、R’SiO1/2で表される構成単位であり、Q単位とは、SiO4/2で表される構成単位である。これらの構成単位におけるR’〜R’は、上述のRの条件と同様とすることができる。これらの構成単位を有し得るオルガノポリシロキサンは、下記の一般式[A]で表すことができる。
(R’R’R’SiO1/2M1’(R’R’SiO2/2D1’(R’SiO1/2T1’(SiO4/2Q’ ・・・[A]
ここで、上記一般式[A]において、係数M1’、D1’、T1’、Q’は、それぞれ0以上、1以下であり、M1’+D1’+T1’+Q’=1とすることができる。
一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンの各成分からなるオルガノポリシロキサンの数平均分子量Mnは、混合する樹脂中でオルガノポリシロキサンの機能を発現し、樹脂への相溶性を担保する観点から、通常100超であり、200000未満であるが、通常750以上であり、1000以上であることが好ましく、6000以上であることがより好ましく、また、通常100000以下であり、20000以下であることが好まし
く、10000以下であることがより好ましい。
数平均分子量Mnは、後述する方法で測定する。
一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンの分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.01以上であり、10以下であるが、混合する樹脂中でオルガノポリシロキサンの機能を発現し、樹脂への相溶性を担保する観点の観点から、1.01以上であることが好ましく、1.07以上であることがより好ましく、1.2以上であることがさらに好ましく、1.4以上であることが特に好ましく、また、5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましく、2以下であることが特に好ましい。
重量平均分子量Mwは、後述する方法で測定する。
オルガノポリシロキサン組成物中の一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンの含有率は、添加対象の樹脂に対するオルガノポリシロキサンの効果を担保する観点から、通常90重量%以上であり、91重量%以上であることが好ましく、93重量%以上であることがより好ましく、97重量%以上であることがさらに好ましく、また、通常100重量%未満であり、99.5重量%以下であることが好ましく、99.4重量%以下であることがより好ましく、98.7重量%以下であることがさらに好ましい。
一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンの形態は、特段制限されないが、液体であることが好ましく、特に、成分[2]との混合性の観点から、40℃で液体であることが好ましい。
<1.2.オルガノポリシロキサンの製造方法>
本発明の別の実施形態であるオルガノポリシロキサンの製造方法(以下、単に「オルガノポリシロキサンの製造方法」とも称する)は、公知のオルガノポリシロキサン製造法を用い製造することが可能であり、当業者においては容易に製造可能である。
<1.3.一般式[2]で表される物質>
オルガノポリシロキサン組成物は、粘度調整剤として下記一般式[2]で表される物質を含む。
(RSiO1/2M2(RSiO3/2T2(O1/2E2 ・・・[2]
上記式[2]中、
〜Rは、それぞれ独立して、炭素原子を含む有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよい。
は、炭素数1〜20の有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよい。
は、炭素数1〜20の有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよく;係数M2は、1〜5の正の整数であり、係数T2は、1〜3の正の整数であり、係数E2は0〜5の整数である。
係数のT2及びM2はともに1以上である、つまりT2単位及びM2単位は必須である。
T2+2−M2+E2=0は、シロキサン結合での環状体化合物を含まないことを意味する。環状体化合物はT3以上で存在し、環状体化合物においても粘度低減効果があり、樹脂との混合後、製品の保存性を問わない分野では使用可能である。また、環状体化合物は開環することによる粘度低減効果が変わることがあり、製品の安定性の観点から、含まないことが望ましいが、少量含んでいてもよい。一般式[1]で示されるオルガノポリシロキサン(成分A)に対し(成分Aを100重量%とした場合)、T2、M2、及びE2
がT2+2−M2+E2=0を満たす物質の含有量は、上記の観点から、0.01重量%以上、9重量%以下であり、0.5重量%以上であることが好ましく、0.6重量%以上であることがより好ましく、1重量%以上であることがさらに好ましく、また、7重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましく、4重量%以下であることがさらに好ましい。一般式[1]で示されるオルガノポリシロキサン(成分A)に対し、T2、M2、及びE2がT2+2−M2+E2=0を満たさない物質の含有量は、上記の観点から、3重量%以下であり、0.1重量%以下がより好ましく、0.01重量%以下がさらに好ましく、含まないこと(0ppm)が最も好ましいが、通常0重量%以上であり、0.001重量%以上は含まれ得る。
〜Rは、それぞれ独立して、炭素原子を含む有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、R〜Rの末端原子であり、ケイ素原子と結合する原子は、M単位およびT単位の分類が変わることを避けるため、酸素原子でなければ、特段制限されることはない。R〜Rは、組成物とするオルガノポリシロキサン、或いは、混合する樹脂、任意の目的で使用される添加剤などと混合および反応させる観点から、相溶性および反応性を考慮して選択され、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基、カルボキシル基、ニトリル基、ホルミル基、カルボニル基、カルビノール基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、シアノ基、スルホ基、メルカプト基、チオール結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、炭素数1〜20のアルキル基、芳香族性官能基等を含む官能基の組み合わせが好適であり、具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、デシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エチレングリコールモノエチレンエーテル基、アクリロキシプロピル基、アクリロキシオクチル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシオクチル基、グリシジル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシオクチル基、1,2−エポキシシクロヘキシル−3−プロピル基、1,2−エポキシシクロヘキシル−3−オクチル基、フェニル基、フェネチレン基、スチリル基、ビニル基、アリル基であることが好ましく、混合する成分の極性が低い場合には、水素原子、メチル基、エチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1,2−エポキシシクロヘキシル−3−プロピル基、1,2−エポキシシクロヘキシル−3−オクチル基、1,2−エポキシシクロヘキシル−3−オクチル基、アリル基がさらに好ましく、混合する成分の極性が高い場合には、エチレングリコールモノエチレンエーテル基、アクリロキシプロピル基、アクリロキシオクチル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシオクチル基、グリシジル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシオクチル基、フェニル基、フェネチレン基、スチリル基、ビニル基であることがさらに好ましく、混合する目的の樹脂に合わせて任意の割合で組み合わせることが好ましい。
は、炭素数1〜20の有機基、及び、水素原子からなる群から選択される基であり、樹脂との相溶性の観点から、水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、オクタデシル基であることが好ましく、加熱時や経時変化で脱水縮合での重量変化や体積変化の観点では、水素原子、メチル基が好ましく、特に、水素原子が好ましく、安定性の観点では、メチル基が好ましく、メチル基、水素原子の組み合わせも好ましい。
オルガノポリシロキサンを他の樹脂に混合させた場合を考慮した、R〜Rの好適例を以下に示す。
<混合する樹脂がジメチルポリシロキサンを主体とする樹脂の場合>
この場合の樹脂は極性が低い樹脂に該当し、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、および、ビニル基を好適に使用でき、特に、R〜Rのうちの一つが水素原子、または、ビニル基であり、残り二つがメチル基である場合、R〜Rが全てメチル基である場合、および、それらの任意の組み合わせがより好ましく、また、Rは水素原子、メチル基、ビニル基、である場合がより好ましく、ヒドロシリル化等の反応を伴
う場合には、水素原子、ビニル基がより好ましく、反応させたくない場合は安定性の観点でメチル基がより好ましく、R〜Rがすべてメチル基であることがさらに好ましい。
<混合する樹脂がジメチルジフェニルポリシロキサンおよびメチルフェニルポリシロキサンを主体とする樹脂の場合>
この場合の樹脂は上記混合する成分の極性が低い樹脂および高い樹脂の双方に該当し、R〜Rは、メチル基、フェニル基を組み合わせて使用することが好適であり、特に、R〜Rのうちの一つが水素原子、または、ビニル基であり、残り二つがメチル基、R〜Rがメチル基、および、それらの組み合わせがより好ましく、Rはフェニル基がより好ましい。R〜Rがすべてメチル基であり、Rがフェニル基であることが最も好ましい。
<混合する樹脂が(メタ)アクリロイル基を含有する樹脂である場合>
この場合の樹脂は上記混合する成分の極性が高い樹脂に該当し、R〜Rは、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシオクチル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシオクチル基、および、メチル基との組み合わせが好適に使用でき、特に、R〜Rのうちの一つが水素原子、または、ビニル基であり、残り二つがメチル基、R〜Rがメチル基、および、それらの組み合わせがより好ましく、Rはアクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシオクチル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシオクチル基、フェニル基、および、それらの組み合わせがより好ましく、鉛筆硬度やショア硬度などの硬さを硬くする観点では、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基、グリシドキシプロピル基が好適であり、柔軟性や脆性の観点では、メタクリロキシオクチル基、グリシドキシオクチル基が好適である。
<混合する樹脂がポリカーボネートである場合>
この場合の樹脂は上記混合する成分の極性が高い樹脂に該当し、R〜Rは、エチレングリコールモノエチレンエーテル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシオクチル基、フェニル基、フェネチレン基、スチリル基、ビニル基、および、メチル基との組み合わせが好適に使用でき、特に、R〜Rのうちの一つが水素原子、ビニル基、エチレングリコールモノエチレンエーテル基、グリシドキシプロピル基であり、残り二つがメチル基、R〜Rがメチル基、および、それらの組み合わせがより好ましく、Rはフェニル基がより好ましく、相溶性やポリカーボネートと混合する際の200℃を超える熱に対する耐熱性の観点では、R〜Rがすべてメチル基、Rがフェニル基の場合が好適である。
なお、上記一般式[2]で表される物質は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を用いる、特に係数M2、係数T2の値が異なるものを複数用いてもよく、また、R〜Rの官能基が異なるものを複数用いてもよい。
M2は、1以上、5以下であるが、T単位の結合手への修飾においてE2で表されるアルコキシ基およびシラノール基は脱水縮合により変化する可能性が高いが、M単位は脱離に伴うシラノール化および脱水縮合が起こりにくいため、安定性の観点から、M2は多い方が好ましく、T2の最大値が3であることから、T2が3の場合は、M2は5が好ましく、T2が2の場合は、M2は4が好ましく、T2が1の場合は、M2は3が好ましい、つまり、M2=T2+2となることが好ましい。
また、T単位の結合手への修飾において、M単位は脱離に伴うシラノール化および脱水縮合が起こりにくいが、E2で表されるアルコキシ基およびシラノール基は脱水縮合により反応させることが容易であるため、反応性の観点から、M2は少ない方が好ましく、T2の最大値が3であることから、T2が3の場合は、M2は4以下が好ましく、より好ましくは2以下であり、さらに好ましくは1であり、また、0の場合は非常に加水分解縮合
しやすく、経時での粘度変化が大きいため、保存安定性の観点から、M2は1以上であり;T2が2の場合は、M2は3以下が好ましく、より好ましくは2以下であり、さらに好ましくは1であり、また、0の場合は非常に変化しやすく、経時での粘度変化が大きく、保存安定性の観点から、M2は1以上であり;T2が1の場合は、M2は3以下が好ましく、より好ましくは2以下であり、さらに好ましくは1であり、また、0の場合は非常に変化しやすく、経時での粘度変化が大きく、保存安定性の観点から、M2は1以上である。
T2は、1以上、3以下であるが、T単位の数が増えることで分子量が増加し、粘度が増加することでの粘度低下効果の減少、あるいは、分子サイズが大きくなることで混合対象のオルガノポリシロキサンへの分散性の低下の観点から、T2は少ない方が好ましく、3以下が好ましく、2以下が好ましく、1がさらに好ましい。また、T単位の数が増えることで揮発性が低下するため、成形温度や硬化温度などのプロセス温度が高い場合には揮発性が低い方が好ましく、揮発性の観点から、T2は多い方が好ましく、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましい。
オルガノポリシロキサン組成物中の一般式[2]で表される物質の含有量は、0.01重量%以上であり、9重量%以下であるが、粘度を低下させる効果観点から、通常0.1重量%以上であり、0.5重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、2重量%以上であることがさらに好ましく、また、成形時や硬化時の揮発、或いは、経時的な揮発の観点から、通常9重量%以下であり、7重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましく、3重量%以下であることがさらに好ましい。
さらに、オルガノポリシロキサン組成物において、成分A(上記の一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサン)の重量と成分B(上記の一般式[2]で表される物質)の重量との和に対する、成分Bの重量の100の値({(成分Bの重量)×100}/{(成分Aの重量)+(成分Bの重量)})は、オルガノポリシロキサンの粘度を下げる観点および成分Bの揮発性の観点から、0.1以上、9以下であるが、通常0.5以上であり、0.6以上であることが好ましく、1.3以上であることがより好ましく、また、通常7以下であり、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
なお、成分Aとしても、成分Bとしても考えられる成分は、本明細書においては、成分Bとして考えるものとする。
一般式[2]で表される物質と、上記の一般式[1]で示されるオルガノポリシロキサンとの相溶性を向上させることで、均一に一般式[2]で表される物質が拡散し、該物質を含有するオルガノポリシロキサン組成物の粘度が下がり、また、相溶性が劣る場合、局所的に一般式[2]で表される物質が集積する、或いは、乳化するため、該物質を含有するオルガノポリシロキサン組成物の粘度が下がる効果はあまり得られず、さらに、乳化した場合には粘度が上がってしまうこともある。
<1.4.一般式[2]で表される物質の製造方法>
一般式[2]で表される物質の製造方法は特段制限されず、公知の方法により製造することができ、また、トリス(トリメチルシロキシ)フェニルシラン(PTTSS)等の市販品を用いることもできる。また、一般式[2]で表される物質は、意図的に添加する場合のみならず、M単位およびT単位を含む材料を原料として製造するような方法では、製造段階で含まれ得る物質であり、オルガノポリシロキサン製造時において意図して添加せずとも含有するようなことも考え得る。しかし、当該業者にとって一般式[2]で表される物質は、一般式[1]のオルガノポリシロキサンではない特定のオルガノポリシロキサンを製造した際、電極接点の不良問題(通称ローボラタイル問題)を引き起こす物質として忌み嫌われ、薄膜蒸留などの蒸留により、0.1重量%未満に除去されてきた。また、
一般式[1]のオルガノポリシロキサンを製造する際に、一般式[2]である物質を生成させることで、意図して添加せずとも含有させることが可能であり、その場合、目的に応じて一般式[2]で表される物質の含有量を調整することで、粘度を調整することが可能であり、オルガノポリシロキサン組成物をガスクロマトグラフィーにて分析して、一般式[2]で表される物質の含有量を定量し、薄膜蒸留などの蒸留により、該物質の含有量を制御することで目的を達成することも可能である。
<1.5.その他の成分>
オルガノポリシロキサン組成物には、上述した一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサン、及び一般式[2]で表される物質以外の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、硬化触媒、連鎖重合開始剤、酸化防止剤、フィラー、硬化剤、硬化制御剤等が挙げられる。
オルガノポリシロキサン組成物中のその他の成分の含有量は、特段制限されず、本発明の効果が得られる範囲で、目的に合わせ任意に添加してよい。
(硬化触媒)
硬化触媒の種類は、特段制限されず、例えば、付加重合触媒や縮合重合触媒等が挙げられる。
付加重合触媒の例としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、1,3−ジビニル‐1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの白金(0)錯体、1,3,5,7−テトラビニル‐1,3,5,7−テトラメチルシクロシロキサンとの白金(0)錯体、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。付加重合触媒の配合量は、白金族金属としてオルガノポリシロキサン合計重量に対して通常1ppm以上、好ましくは2ppm以上であり、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下である。これにより触媒活性が高く、硬化物の透明性が高いものとすることができる。また、付加重合触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
縮合重合触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、有機酸などの酸、アンモニア、アミン類などの塩基、金属キレート化合物などを用いることができ、好適なものとしてTi、Ta、Zr、Al、Hf、Zn、Sn、Pt、Inのいずれか1以上を含む金属キレート化合物を用いることができる。なかでも、金属キレート化合物は、Ti、Al、Zn、Zr、Pt、Inのいずれか1以上を含むものが好ましく、Zr、Ptを含むものがさらに好ましく用いられる。
縮合重合触媒の配合量は、金属としてオルガノポリシロキサン合計重量に対して通常1ppm以上、好ましくは2ppm以上であり、通常300ppm以下、好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは150ppm以下である。これにより触媒活性が高く、硬化物を加熱した際の重量減少が少ないものとすることができる。また、縮合重合触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(連鎖重合開始剤)
連鎖重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤などが挙げられるが、ラジカル重合開始剤を使用する方法が一般的である。
ラジカル重合開始剤としては、光重合開始剤と熱重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、分子内水素引き抜き型光重合開始剤、オキシムエステル光重合開始剤などを用いることができ、好適なものとして、アルキルフェノン系光重合開始剤を用い
ることができる。
熱重合開始剤としては、従来公知の過酸化物やアゾ化合物を用いることができる。
有機過酸化物としては、例えば、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドなどが挙げられ、より具体的には、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキシドなどが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などが挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(酸化防止剤)
硬化性組成物は、酸化防止剤をさらに含有することが好ましい。硬化性組成物が酸化防止剤を含有することで、硬化物のはんだリフロー等の熱による着色を抑制できる。
酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のフェノール系酸化防止剤;トリフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラ(C12〜15アルキル)−4,4‘−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト等のリン系酸化防止剤;ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリス
チル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステリアル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)等の硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。これら酸化防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<2.オルガノポリシロキサン組成物の製造方法>
オルガノポリシロキサン組成物の製造方法は、特段制限されず、上述した一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサン、一般式[2]で表される物質、及び任意成分としてその他の成分を混合することにより製造することができる。また、オルガノポリシロキサンの製造段階で一般式[2]で表される物質が製造される場合には、該物質を外部から添加する必要はなく、オルガノポリシロキサンの製造の最終段階で得られる組成物に該物質が含まれているため、これをオルガノポリシロキサン組成物として用いることができる。
<3.オルガノポリシロキサン組成物の特性>
以下、オルガノポリシロキサン組成物の特性について説明する。
(1)H−NMR
H−NMRを用いることにより、オルガノポリシロキサン中の官能基量を測定することができる。測定方法は下記の通りである。
オルガノポリシロキサンまたはそれを含む組成物を約50mg秤量し、これを重アセトンまたは重ジクロロメタン約1gに溶解させ、H−NMR測定用サンプルを調製する。この測定用サンプルを用いて、400MHz H−NMR(例えば、日本電子株式会社製AL−400)にてRelaxation Delayを20秒で測定し、各成分のシグナル強度と内部標準のシグナル強度との比率、および秤量値から官能基(例えば、フェニル基、メチル基、およびオルガノオキシ基)の割合を算出する。
上記の測定において、オルガノポリシロキサンに結合していない有機物や水、金属等の不純物については、測定結果に影響しないよう0.1重量%未満に除去されている必要があり、0.1重量%を上回る場合、蒸留や濾過、その他の精製方法により除去した後に試料を調整し、H−NMRを測定する。除去が困難である場合は、H−NMR測定やその他の分析方法により不純物の含有量を算出し、オルガノポリシロキサンの一部として計算しないよう、不純物の重量を秤量したサンプル重量から差し引いた値を真のサンプル量として計算に用いる。なお、内部標準としては、トルエンの他、N,N−ジメチルホルムアミドやテトラブロモエタンなど、オルガノポリシロキサンと反応しない物質であれば、用いることが出来る。
(2)29Si−NMR
29Si−NMRを用いることにより、上記の一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサン中のM、D、T、Qの値を算出することができる。算出方法は下記の通りである。
重クロロホルムにTris(2,4−pentanedionate)chromiumIIIが0.5質量%になるように添加し、29Si−NMR測定用溶媒を得る。次いで、測定対象のオルガノポリシロキサンまたはそれを含む組成物を約1.5g秤量し、上記29Si−NMR測定用溶媒を2.5mL添加して溶解させ、10mmΦテフロン(商標登録)製NMR試料管に入れた。29Si−NMR(例えば、日本電子株式会社製のJNM−ECS400、TUNABLE(10)、Siフリー、AT10プローブ)を用いて下記の測定条件で測定し、シグナルの強度比から上記一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサン中のM、D、T及びQの値を算出する。
測定条件:Relaxation Delay/15秒、SCAN回数/1024回、測定モード/非ゲーテッドデカップルパルス法(NNE)、スピン/なし、測定温度/25℃
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いることにより、オルガノポリシロキサンの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を算出することができる。算出方法は下記の通りである。
オルガノポリシロキサンまたはそれを含む組成物を対象に、GPC(例えば、装置としては、東ソー株式会社製のTOSOH HLC−8420GPC、また、カラムとしては、昭和電工株式会社製のKF−G、KF−402.5HQ、KF−402HQ、KF−401HQ)を用いて下記条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出する。試料は約10重量%のテトラヒドロフラン溶液を用い、測定前に0.45μmのフィルターで濾過したものを用いる。
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン、流量0.3mL/分
(4)ガスクロマトグラフィー(GC)
ガスクロマトグラフィー(GC)を用いることにより、オルガノポリシロキサンまたはそれを含む組成物の有機溶媒残存量、および、一般式[2]で表される物質の含有量を測定することができる。測定方法は以下の通りである。
オルガノポリシロキサンまたはそれを含む組成物を対象に、GC(例えば、装置としては、アジレント・テクノロジー株式会社製の7820Aガスクロマトグラフ、また、カラムとしては、アジレント・テクノロジー株式会社製のDB−17ht、0.25mm×30m×0.15μm)を用いて下記条件で測定する。試料は約50質量%のテトラヒドロフラン溶液を用い、内部標準物質としては目的に応じて選択し、例えば、メチルシクロペンタン、トルエン、トリデカンなどを用いる。
<設定条件>
・注入口:290℃
・圧力:21.76psi(コンスタントプレッシャー)
・オーブンプログラム:65℃(2minHold)→20℃/min→325℃(40minHold) (Total 55min)
・スプリット比:1/70
・注入量:0.5μL
・検出器:290℃
<キャリヤーガス>
Air流量:350mL/min
流量:35ml/mi
He流量:
(5)溶媒白濁試験
オルガノポリシロキサンまたはそれを含む組成物と樹脂との混合分散性の評価方法は、下記の通りである。
有機溶媒として、テトラグライムに水分量が10.5重量%となるように水を添加したものを11g準備し、該有機溶媒とオルガノポリシロキサン1gとを25℃で混合攪拌し、透明となったものを樹脂への混合分散性がよいもの、白濁したものを樹脂への混合分散性が悪いものと判断する。
使用するテトラグライムの純度はガスクロマトグラフィーにより、純度が99.8%以上であることを確認し、カールフィッシャー水分測定装置により含有水分濃度を確認したものを用いる。
(6)低沸点成分確認試験
オルガノポリシロキサン組成物中のオルガノポリシロキサンの量は一定であること、つ
まり、オルガノポリシロキサン組成物は安定していることが好ましい。このオルガノポリシロキサンの安定性を評価する方法として、200gのオルガノポリシロキサン組成物を1Lナス型フラスコに入れて、真空圧力0.15torrの排気能力を有する真空ポンプにて減圧下、内温110℃で2時間加熱した場合のオルガノポリシロキサンの質量減少量を評価する方法を採用した場合、その減少量は、10g以下であることが好ましく、5g以下であることがより好ましく、2g以下であることがさらに好ましく、減少が確認されないことが特に好ましい(検出限界以下)。上記条件における重量減少量を上記の上限値以下にすることにより、樹脂との加熱混練時に一般式[2]で表される物質の揮発量が少ないために樹脂と所望のオルガノポリシロキサン組成物を均一分散することができ、製品ロット毎の一般式[2]で表される物質の含有量の振れを抑えることができ、また、オルガノポリシロキサン中に含まれる成分の引火点を比較的高く保つことができ、引火点が低い場合のリスクである、通常の条件で安全に取り扱うことが困難になることを避けることができ、消防法危険物分類においても、より危険度の低高い分類となることから、貯蔵、運搬時のコストも減少させることができる。また、硬化時の硬化物の重量減少量も小さくなることから、硬化物の貯蔵弾性率の温度依存性が小さく使用できる温度範囲が広くなる、減肉による脆化が起こりにくい、などの利点を得ることができる。なお、この減少量が小さいほど上記の利点が得られやすくなるため、上記の重量減少量好ましい下限はないが、通常0.0001g以上となる。
減圧加熱の際の重量減少は、以下のように測定することができる。
オルガノポリシロキサン組成物を測定対象としてH−NMRを測定し、有機溶媒等、オルガノポリシロキサンおよび一般式[2]で表される物質以外の成分の重量を算出する。具体的には、ナス型フラスコに回転子を入れ、それらの重さを測定する。その後、オルガノポリシロキサン組成物を該ナス型フラスコに入れ、オルガノポリシロキサン組成物の重量を測定する。オイルバスにてナス型フラスコを加熱し、マグネチックスターラにより回転子を回して液面が流動する程度に撹拌し、オイル式真空ポンプにて減圧する。2時間後、室温まで冷却し、常圧に戻し、ナス型フラスコに付着したオイルを十分にふき取り、ナス型フラスコに入った状態のオルガノポリシロキサン組成物の重量を測定し、先に測定していたナス型フラスコと回転子の重さを差引き、該操作により揮発した重量を算出する。該操作後のオルガノポリシロキサン組成物のH−NMRを測定し、有機溶媒等、オルガノポリシロキサン以外の成分の重量を算出する。該操作前後の重量減少量及びH−NMR、および、ガスクロマトグラフィーの測定結果から、揮発した重量からオルガノポリシロキサン以外の成分の量及びオルガノポリシロキサンの揮発量を算出する。また、揮発した留出液をコールドトラップなどにより全量回収し、重量及びH−NMR、ガスクロマトグラフィーを測定してもよい。
(7)250℃加熱時の着色性
着色性は、250℃に加熱したホットプレートへオルガノポリシロキサンを含む組成物を10mg添加し、10分経過後の着色性を目視で確認して評価した。
(8)粘度
粘度は、オルガノポリシロキサン組成物を測定対象として粘度計(例えば、ブルックフィールド社製のRV型粘度計RVDV−2 +Pro)を用いて得られた、温度25℃における測定値を用いる。
<4.用途>
上述したオルガノポリシロキサン組成物や上述した一般式[1]で表されたオルガノポリシロキサンの用途は特段制限されないが、例えば、以下に示す用途で用いることができる。
[樹脂組成物]
オルガノポリシロキサン組成物は、他の樹脂と組み合わせて樹脂組成物として用いることができる。該樹脂組成物は、上述したオルガノポリシロキサン組成物を含んでいればよく、例えば、樹脂を含有する組成物にオルガノポリシロキサン組成物を添加した態様としてもよく、また、オルガノポリシロキサン組成物に樹脂を添加した態様としてもよい。
樹脂組成物の使用態様は特段制限されず、組成物の状態で用いてもよく、また、組成物を硬化させた硬化物の状態で用いてもよい。
オルガノポリシロキサン組成物を含む樹脂組成物に含まれる樹脂の種類は、特段制限されず、例えば、オルガノポリシロキサン組成物、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、PEEK樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられるが、無色透明性、耐熱性、耐光性、および経時での揮発成分が少ないことが求められるLED照明用途では、性能を損なうことなく含有することが可能なため、オルガノポリシロキサン組成物やエポキシ樹脂への使用が好適であり、無色透明性、高アッベかつ高屈折率、高ガラス転移温度、耐熱性および耐光性が求められるカメラレンズ用途では、その性能を損なうことなく含有することが可能なため、アクリル樹脂への使用が好適であり、無色透明性、混練時の耐熱性およびチャー形成の促進性による難燃性の付与が求められるポリカーボネート樹脂への使用が好適であり、無色透明および低粘度かつ短時間効果性の求められる3D用途ではエポキシ樹脂への使用が好適である。
樹脂組成物中のオルガノポリシロキサン組成物の含有量は、特段制限されないが、樹脂の基本的な物性を変化させず、一定の機能を付与する観点では、ごく少量添加することが好ましく、通常0.01重量%以上であり、0.1重量%以上であることが好ましく、0.5重量%以上であることがより好ましく、また、通常5重量%以下であり、3重量%以下が好ましく、1重量%以下であることがより好ましい。一方、樹脂の基本的な物性にわずかに変化を与える観点では、少量添加することが好ましく、通常5重量%以上であり、7重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、また、通常20重量%以下であり、17重量%以下が好ましく、15重量%以下であることがより好ましく、樹脂の基本的な物性を著しく変化させ観点では、20重量%以上であり、25重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%以上がさらに好ましく、また、通常99重量%以下であり、75重量%以下が好ましく、60重量%以下がより好ましい。
[有機溶媒希釈液]
オルガノポリシロキサン組成物は、有機溶媒と組み合わせて有機溶媒希釈液として用いることができる。該有機溶媒希釈液は、上述したオルガノポリシロキサン組成物を含んでいればよく、例えば、有機溶媒を含有する組成物にオルガノポリシロキサン組成物を添加した態様としてもよく、また、オルガノポリシロキサン組成物に有機溶媒を添加した態様としてもよい。
オルガノポリシロキサン組成物を含む有機溶媒希釈液に含まれる有機溶媒の種類は、特段制限されず、任意に選択してよい。例えば、有機溶媒が残存した仕掛品および故意に有機溶媒に溶解した形態のものについて、容器への移し替え、販売、輸送、他物質が入った反応器への投入などを行ってもよい。
[電子機器用部材]
オルガノポリシロキサン組成物およびその硬化物およびオルガノポリシロキサン組成物を含む樹脂およびその硬化物は、電子機器用部材に含まれて用いることができる。電子機器用部材としては、例えば、LED照明用封止材およびオルガノポリシロキサンが使用さ
れるLED関連部品への使用やLED照明用のカバー、レンズおよびカメラ用部材、スマホ用のカバー部材、電界コンデンサ用の耐電圧向上剤、パソコンキーボード用の鍵盤下のクリック感を表現する部材、パワーデバイスモジュール用の封止材などが挙げられる。また、電子機器用部材は、オルガノポリシロキサン組成物の硬化物のみからなる態様であってもよく、また、オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を一部に含む態様であってもよい。
オルガノポリシロキサン組成物を硬化する条件は特段制限されず、公知の方法により硬化することができる。
電子機器用部材中のオルガノポリシロキサン組成物の含有量は、特段制限されないが、部材に使用される樹脂の基本的な物性を変化させず、一定の機能を付与する観点では、ごく少量添加することが好ましく、通常0.01重量%以上であり、0.1重量%以上であることが好ましく、0.5重量%以上であることがより好ましく、また、通常5重量%以下であり、3重量%以下が好ましく、1重量%以下であることがより好ましく、LED照明用のカバー部材やスマホ用のカバー部材などがこれに該当する。一方、部材に使用される樹脂の基本的な物性にわずかに変化を与える観点では、少量添加することが好ましく、通常5重量%以上であり、7重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、また、通常20重量%以下であり、17重量%以下が好ましく、15重量%以下であることがより好ましく、LED照明用封止材やパワーデバイスモジュール用の封止材などがこれに該当し、部材に使用される樹脂の基本的な物性を著しく変化させ観点では、20重量%以上であり、25重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%以上がさらに好ましく、また、通常99重量%以下であり、75重量%以下が好ましく、60重量%以下がより好ましく、レンズおよびカメラ用部材などがこれに該当する。
<その他の用途>
オルガノポリシロキサン組成物は、上述した用途以外にも例えば、非反応性粘度調整剤、反応性粘度調整剤、相溶化剤、潤滑剤、分散剤、凝集剤、接着剤、粘着剤、離型剤、撥水剤、撥油剤、コーティング剤、表面改質剤、金属表面補修剤、難燃性付与剤、キシミ音低減剤、無機または有機の発光素子を含む半導体デバイス封止材や基材、コーティング材、光学部材などの用途に用いることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断らない限り重量基準に基づく「重量部」を表す。
<オルガノポリシロキサン組成物の評価方法>
オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノポリシロキサン組成物の評価は下記の方法で行った。
(1)H−NMR
生成したオルガノポリシロキサンを約50mg秤量し、これを重アセトンまたは重ジクロロメタン約1gに溶解させ、H−NMR測定用サンプルを調製した。400MHz H−NMR(日本電子株式会社製AL−400)にてRelaxation Delayを20秒で測定した、各成分のシグナル強度と内部標準のシグナル強度との比率、および秤量値からフェニル基、メチル基、およびオルガノオキシ基の割合を算出した。
(2)29Si−NMR
重クロロホルムにTris(2,4−pentanedionate)chromiumIIIが0.5質量%になるよう添加し、29Si−NMR測定用溶媒を得た。測定対象のオルガノポリシロキサンを約1.5g秤量し、上記29Si−NMR測定用溶媒を2.5mL添加して溶解させ、10mmΦテフロン(商標登録)製NMR試料管に入れた。下記の装置および装置条件で測定し、シグナルの強度比から上記一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサン中のM、D、T及びQの値を算出した。
装置:日本電子株式会社製JNM−ECS400、TUNABLE(10)、Siフリー、AT10プローブ
測定条件:Relaxation Delay/15秒、SCAN回数/1024回、測定モード/非ゲーテッドデカップルパルス法(NNE)、スピン/なし、測定温度/25℃
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
オルガノポリシロキサンの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて下記条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として示した。試料は約10重量%のテトラヒドロフラン溶液を用い、測定前に0.45μmのフィルターで濾過したものを用いた。
装置:TOSOH HLC−8420GPC(東ソー株式会社製)
カラム:KF−G、KF−402.5HQ、KF−402HQ、KF−401HQ(いずれも昭和電工株式会社製)、カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン、流量0.3mL/分
(4)ガスクロマトグラフィー(GC)
オルガノポリシロキサンの有機溶媒残存量、および、一般式[2]で表される物質の含有量を確認するため、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて下記条件で測定した。試料は約50質量%のテトラヒドロフラン溶液を用い、内部標準物質としてメチルシクロペンタンを用いた。
装置:アジレント・テクノロジー株式会社製の7820Aガスクロマトグラフ
カラム:アジレント・テクノロジー株式会社製のDB−17ht、0.25mm×30m×0.15μm
設定温度等
・注入口:290℃
・圧力:21.76psi(コンスタントプレッシャー)
・オーブンプログラム:65℃(2minHold)→20℃/min→325℃(40minHold) (Total 55min)
・スプリット比:1/70
・注入量:0.5μL
・検出器:290℃
<キャリヤーガス>
Air流量350ml/min
流量:35mL/min
He流量:20mL/min
(5)溶媒白濁試験
オルガノポリシロキサンと樹脂との混合分散性を評価するために、有機溶媒との混合試験を行った。有機溶媒として、テトラグライムに水分量が10.5重量%となるように水を添加したものを11g準備し、該有機溶媒とオルガノポリシロキサン1gとを25℃で混合攪拌し、透明となったものを樹脂への混合分散性がよいもの、白濁したものを樹脂への混合分散性が悪いものと判断した。
(6)低沸点成分確認試験
200gのオルガノポリシロキサン組成物を1Lナス型フラスコに入れて、真空圧力0.15torrの排気能力を有する真空ポンプにて減圧下、内温110℃で2時間加熱し、質量減少率を天秤にて確認した。質量減少率が5重量%以下であるものを成形性に影響がないものと判断し、重量減少率が5重量%超であるものを成形性に影響があるものと判断した。
減圧加熱の際の重量減少は、以下の方法で測定した。
オルガノポリシロキサン組成物を測定対象としてH−NMRを測定し、有機溶媒等、オルガノポリシロキサン以外の成分の重量を算出した。具体的には、ナス型フラスコに回転子を入れ、それらの重さを測定した。その後、オルガノポリシロキサン組成物を該ナス型フラスコに入れ、オルガノポリシロキサン組成物の重量を測定した。オイルバスにてナス型フラスコを加熱し、マグネチックスターラにより回転子を回して液面が流動する程度に撹拌し、オイル式真空ポンプにて減圧した。2時間後、室温まで冷却し、常圧に戻し、ナス型フラスコに付着したオイルを十分にふき取り、ナス型フラスコに入った状態のオルガノポリシロキサン組成物の重量を測定し、先に測定していたナス型フラスコと回転子の重さを差引き、該操作により揮発した重量を算出した。該操作後のオルガノポリシロキサン組成物のH−NMRを測定し、有機溶媒等、オルガノポリシロキサン以外の成分の重量を算出した。該操作前後の重量減少量及びH−NMRの測定結果から、揮発した重量からオルガノポリシロキサン以外の成分の量及びオルガノポリシロキサンの揮発量を算出した。
(7)250℃加熱時の着色性
250℃に加熱したホットプレートへオルガノポリシロキサンを10mg添加し、10分経過後の着色性を目視で確認した。
(8)粘度
粘度は、オルガノポリシロキサン組成物を測定対象としてブルックフィールド社製RV型粘度計RVDV−2 +Proを用いて得られた、温度25℃における測定値とした。
<オルガノポリシロキサンの製造に使用した原料等>
オルガノポリシロキサンの製造に使用した原料等を以下に示す。
・ヘキサメチルジシロキサン(NuSil Technology社製)
・フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM−103)
・トルエン(キシダ化学株式会社製)
・メタノール(キシダ化学株式会社製)
・ヘプタン(キシダ化学株式会社製)
・1N塩酸(キシダ化学株式会社製)
・2N水酸化カリウム水溶液(キシダ化学株式会社製)
<製造例1(オルガノポリシロキサン組成物1の製造方法)>
オルガノポリシロキサン1の原料として、ヘキサメチルジシロキサン32部、フェニルトリメトキシシラン73部、溶媒としてトルエン19部、メタノール19部、触媒及び反応基質として1N塩酸15部を使用し、40℃で7時間加水分解縮合を行った。2N水酸化カリウム水溶液を13部加えた後、さらに40℃で2時間反応させた。塩酸および脱塩水による洗浄によりカリウム成分を除去した後、溶媒等の低沸点成分をダイアフラムポンプを使用して80℃に加熱しながら留去した。この際、トルエン、メタノール、及び水を除き、オルガノポリシロキサン組成物を得た。該オルガノポリシロキサン組成物中に、一般式[2]で表される物質に該当するトリス(トリメチルシリルオキシ)フェニルシランが約3重量%含有していることをガスクロマトグラフィーにより確認した。その後、さら
に120〜140℃の高温に加熱しながら高真空条件でトルエンのピークが検出されなくなるまで留去を継続し、常温で液状のオルガノポリシロキサン組成物1を得た。
得られたオルガノポリシロキサン組成物1の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が890、重量平均分子量(Mw)が955、分子量分布(Mw/Mn)が1.07であることが確認された。
また、H−NMRによる分析の結果、フェニル基の量は5.0mmol/g、トリメチルシロキシ基の量は4.4mmol/g、メトキシ基の量は0.3mmol/gであり、29Si−NMR測定の結果、ケイ素の構成単位M、D、T、及びQの値は、それぞれM=0.46、D=0、T=0.54、Q=0であることが確認された。
また、ガスクロマトグラフィーより、このオルガノポリシロキサン組成物において、溶媒として使用したメタノール及びトルエンは検出されず、トリス(トリメチルシリルオキシ)フェニルシランが2.1重量%含有されていることが確認された。これは、一般式[2]としてRがフェニル基であり、R〜Rがメチル基であり、係数T2=1、M2=3、E2=0である物質を含有することが確認された。
<製造例2(オルガノポリシロキサン組成物2の製造方法)>
オルガノポリシロキサン組成物1に対し、さらに高温高真空条件で留去操作を継続し、オルガノポリシロキサン組成物2を得た。ガスクロマトグラフィーより、オルガノポリシロキサン組成物2からは、一般式[2]で物質に該当するトリス(トリメチルシリルオキシ)フェニルシランが検出されなかった。得られたオルガノポリシロキサン組成物2の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は901、重量平均分子量(Mw)は960、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であった。また、H−NMRによる分析の結果、フェニル基の量は5.1mmol/g、トリメチルシロキシ基の量は4.3mmol/g、メトキシ基の量は0.26mmol/gである。
<製造例3(オルガノポリシロキサン組成物3の製造方法)>
反応時の攪拌効率を高めたこと以外製造例1と同様の製造条件を適用し、オルガノポリシロキサン組成物3を製造した。得られたオルガノポリシロキサン組成物3の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が905、重量平均分子量(Mw)が976、分子量分布(Mw/Mn)が1.08であることが確認された。また、H−NMRによる分析の結果、フェニル基の量は5.2mmol/g、トリメチルシロキシ基の量は4.2mmol/g、メトキシ基の量は0.31mmol/gである。また、ガスクロマトグラフィーより、このオルガノポリシロキサン組成物3からは、溶媒として使用したメタノールおよびトルエンは検出されず、トリス(トリメチルシリルオキシ)フェニルシランが0.6重量%含有されていることが確認された。これは、一般式[2]としてRがフェニル基であり、RからRがメチル基であり、係数T2=1、M2=3である物質が含有していることを意味する。
<製造例4(オルガノポリシロキサン組成物4の製造方法)>
反応時間を21時間としたこと以外製造例1と同様の製造条件を適用し、オルガノポリシロキサン組成物4を製造した。得られたオルガノポリシロキサン組成物4の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が926、重量平均分子量(Mw)が1059、分子量分布(Mw/Mn)が1.14であることが確認された。また、H−NMRによる分析の結果、フェニル基の量が5.2mmol/g、トリメチルシロキシ基の量が4.1mmol/g、メトキシ基の量が0.27mmol/gである。また、ガスクロマトグラフィーより、このオルガノポリシロキサン組成物中には溶媒として使用したメタノール及びトルエンは検出されず、トリス(トリメチルシリルオキシ)フェニルシランが1.3重量%含有されていることが確認された。これは、一般式[2]としてRがフェニル基であり、RからRがメチル基であり、係数T2=1、M2=3、
E2=0である物質を含有していることを意味する。
上記の製造法により製造したオルガノポリシロキサン及び組成物の評価結果を下表に示す。ここで、トリス(トリメチルシリルオキシ)フェニルシランをPTTSSとして表に記載する。
Figure 2021161278
<製造例5(オルガノポリシロキサン組成物5の製造方法)>
製造例1に基づき製造する際、する際、溶媒を留去する工程を行う前のオルガノポリシロキサン組成物を仕掛品5とし、仕掛品5の溶媒を留去する工程で水酸化カリウムが釜内に付着した状態で留去し、製造したこと以外製造例1と同様の製造条件を適用し、オルガノポリシロキサン組成物5を製造した。
得られたオルガノポリシロキサン組成物5の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は937、重量平均分子量(Mw)は1049、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であった。また、1H−NMRによる分析の結果、フェニル基の量は5.1mmol/g、トリメチルシロキシ基の量は4.4mmol/g、メトキシ基の量は0.31mmol/gである。また、ガスクロマトグラフィーより、このオルガノポリシロキサン組成物中には溶媒として使用したメタノールおよびトルエンは検出されず、トリス(トリメチルシリルオキシ)フェニルシランが1.8重量%含有していた。これは、一般式[2]としてRがフェニル基であり、RからRがメチル基であり、係数T2=1、M2=3、E2=0である物質を含有すること意味する。
<製造例6(オルガノポリシロキサン組成物6の製造方法)>
仕掛品5に対し、水酸化カリウム濃度を2ppmとなるよう添加し、留去以降の工程を製造例1と同様の製造条件を適用し、オルガノポリシロキサン組成物6を製造した。
得られたオルガノポリシロキサン組成物6の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は963、重量平均分子量(Mw)は1118、分子量分布(Mw/Mn)は1.16であった。
<製造例7(オルガノポリシロキサン組成物7の製造方法)>
仕掛品5の水酸化カリウム濃度を0.2ppmとしたこと以外製造例6と同様の製造条件を適用し、オルガノポリシロキサン組成物7を製造した。
得られたオルガノポリシロキサン組成物7の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は899、重量平均分子量(Mw)は965、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であった。
実施例に用いたオルガノポリシロキサン組成物の評価結果を表2〜4に示した。実施例中PTTSSはトリス(トリメチルシロキシ)フェニルシランを表す。
Figure 2021161278
表2より、一般式[1]からなるオルガノポリシロキサン組成物へ一般式[2]で表される物質を加える、あるいは、オルガノポリシロキサン組成物として残存させることで粘度を調整することが可能であり、樹脂への透明混合性や臭気、加熱時の着色性がないこと、および、7.5重量%含有していても低沸点成分揮発量が微量であり、成形時のプロセス上の問題や成形品の特性低下に影響を与えず、10重量%以上含有すると揮発量が増加し、問題となる可能性が示唆された。また、溶媒として、トルエンを使用した場合、5重量%であっても全量揮発するため、一般的な有機溶媒を使用した場合には粘度を低下させることができても悪影響が大きいことが示唆されるとともに、驚くべきことに一般式[2]で表される物質は、一般式[1]からなるオルガノポリシロキサン組成物からの揮発率が非常に低いことが判明した。
Figure 2021161278
表3より、一般式[1]で表される高粘度のオルガノポリシロキサン組成物へ一般式[2]で表される成分を添加することで粘度の調整が可能であることが示された。また、溶媒白濁試験の結果から、樹脂への混合性へ影響を与えずに混合できることが示唆された。
Figure 2021161278
Figure 2021161278
表4及び表5より、オルガノポリシロキサンの製造方法としては、加熱操作時に水酸化カリウムを含む場合、その含有量により、分子量及び分子量分布が大きくなり、樹脂への相溶性が変化することが分かった。オルガノポリシロキサン組成物中の水酸化カリウムの含有量は、好ましくは、2ppm以下であり、より好ましくは0.2ppm以下であった。一方で、樹脂との分散性を調整することで機能発現させたい場合には、水酸化カリウム含有量を増加させて分子量を調整させることも可能であり、その場合にも表3で示したように、一般式[2]で表される物質は混合分散性を変化させないことが示唆された。
以上に示す通り、本発明によれば、粘度が低く、かつ、各種樹脂への分散性に優れるオルガノポリシロキサン組成物を提供することができる。

Claims (14)

  1. 成分Aとして、一般的[1]で表されるオルガノポリシロキサンと、成分Bとして、下記一般式[2]で表される物質とを含み、かつ、該成分A及び該成分Bが、0.1≦{(成分Bの重量)×100}/{(成分Aの重量)+(成分Bの重量)}≦9の関係を満たし、かつ、
    成分Aに対し、該式[2]における係数T2、M2、及びE2がT2+2−M2+E2=0を満たす物質の含有量が、0.01重量%以上、9重量%以下であり、かつ、該式[2]における係数T2、M2、及びE2がT2+2−M2+E2=0を満たさない物質の含有量が、3重量%以下であることを特徴とする、オルガノポリシロキサン組成物である。
    SiO(4−X)/2 ・・・[1]
    (RSiO1/2M2(RSiO3/2T2(O1/2E2 ・・・[2]
    ここで、上記式[1]中、
    Rは、それぞれ独立して、有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよく、
    係数Xは、それぞれ独立して、0<X≦4を満たす。
    ここで、上記式[2]中、
    〜Rは、それぞれ独立して、炭素原子を含む有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよい。
    は、炭素数1〜20の有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよい。
    は、炭素数1〜20の有機基、及び、水素原子からなる群から選択され、同一でも異なっていてもよく;
    係数M2は、1〜5の正の整数であり、係数T2は、1〜3の正の整数であり、係数E2は0〜5の整数である。
  2. 前記一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンとして、ジメチルポリシロキサン、または、MQレジンを含むことを特徴とする、請求項1に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
  3. 前記一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンが、トリメチルシロキシ基、ジメチルビニルトリメチルシロキシ基、および、ジメチルシロキシ基からなる群から選択される基を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
  4. 前記一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンがフェニル基を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
  5. 200gのオルガノポリシロキサン組成物を1Lナス型フラスコに入れて、真空圧力0.15torrの排気能力を有する真空ポンプにて減圧下、内温110℃で2時間加熱した際、オルガノポリシロキサンの質量減少量が10g以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
  6. 前記一般式[1]で表されるオルガノポリシロキサンが40℃で液体であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
  7. 前記一般式[2]において、Rがフェニル基であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
  8. 前記一般式[2]において、R〜Rがメチル基であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
  9. 前記一般式[2]で表される物質として、前記係数T2が1である物質を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
  10. 前記一般式[2]で表される物質として、前記係数M2が3である物質を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
  11. オルガノポリシロキサン組成物中の前記一般式[2]で表される物質の含有量が、0.5〜3重量%であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン組成物を含むことを特徴とする、樹脂組成物。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン組成物を含むことを特徴とする、有機溶媒希釈液。
  14. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン組成物またはその硬化物を有することを特徴とする、電子機器用部材。
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