JP2010242043A - シリコーン系重合体粒子を含有するシリコーン系硬化性組成物 - Google Patents

シリコーン系重合体粒子を含有するシリコーン系硬化性組成物 Download PDF

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裕之 田中
Tomohito Sugiyama
智史 杉山
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Abstract

【課題】 硬化時の冷熱衝撃環境における接着信頼性に優れたシリコーン系硬化性組成物を得ることを目的とする。
【解決手段】(A)1分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサン、
(B)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)シリコーン系重合体粒子、
(D)(D−1)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも3個有する鎖状及び/又は環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び(D−2)アルケニル基を少なくとも2つ有する有機化合物をヒドロシリル化反応させることにより得られる、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物
(E)ヒドロシリル化触媒
を含有することを特徴とするシリコーン系硬化性組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、硬化物の冷熱衝撃環境における接着信頼性に優れたシリコーン系硬化性組成物に関する。
アルケニル基を含有するポリシロキサン化合物、ヒドロシリル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物、コアシェル構造を有するシリコーン系重合体粒子およびヒドロシリル化触媒からなるシリコーン系硬化性組成物を硬化させた硬化物は、高い機械的強度と透明性を両立した材料であり、またヒドロシリル化反応によって硬化が進むため、反応時間が短く、また硬化に伴う反応副生成物が発生しないことなどの利点がある。(例えば、特許文献1)
また、シリコーン系硬化物のパッケージに対する接着性を改善させる手法としては、エポキシ基やアルケニル基などの極性基を有する低分子化合物を配合する手法が知られている。(例えば、特許文献2)
特開2007−131758 特開2007−246842
本発明は、硬化物の冷熱衝撃環境における接着信頼性に優れたシリコーン系硬化性組成物を得ることを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも3個有する鎖状及び/又は環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及びアルケニル基を少なくとも2つ有する有機化合物、及び/又は1分子中にアルケニル基を1個含有する化合物をヒドロシリル化反応させることにより得られる、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物を添加することで、硬化物の冷熱衝撃環境における接着信頼性に優れる組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。本発明のシリコーン系硬化性材料は、以下の構成によるものである。
1)(A)1分子中にアルケニル基を少なくとも2個有するポリシロキサン、
(B)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)シリコーン系重合体粒子、
(D)(D−1)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する鎖状及び/又は環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと(D−2)アルケニル基を少なくとも2つ有する有機化合物とを、ヒドロシリル化反応させることにより得られる、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物、
(E)ヒドロシリル化触媒
を含有することを特徴とするシリコーン系硬化性組成物。
2)前記(D)成分が、前記(D−1)成分と前記(D−2)成分と(D−3)1分子中にアルケニル基を1個含有する化合物とを、ヒドロシリル化反応させることにより得られる、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物であることを特徴とする1)に記載のシリコーン系硬化性組成物。
3)(D−1)成分が下記一般式(1)
Figure 2010242043
(式中R1は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表されるヒドロシリル基を有する環状ポリオルガノシロキサン化合物であることを特徴とする1)または2)に記載のシリコーン系硬化性組成物。
4)(D−2)成分が複素環骨格を有する有機化合物であることを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載のシリコーン系硬化性組成物。
5)(D−2)成分が1分子中にアルケニル基を2又は3個含有し、重量平均分子量が900未満であることを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載のシリコーン系硬化性組成物。
6)(D−2)成分がトリアリルイソシアヌレートであることを特徴とする5)に記載のシリコーン系硬化性組成物。
7)(D−3)成分の重量平均分子量が500未満であることを特徴とする2)〜6)のいずれかに記載のシリコーン系硬化性組成物。
8)(D−3)成分がアリルグリシジルエーテルであることを特徴とする7)に記載のシリコーン系硬化性組成物。
9)前記(A)成分と前記(B)成分の合計100重量部に対して、(D)成分が0.01〜20重量部であることを特徴とする1)〜8)のいずれかに記載のシリコーン系硬化性組成物。
10)前記(A)成分と前記(B)成分の合計100重量部に対して、(C)成分が1〜50重量部であることを特徴とする1)〜9)のいずれかに記載のシリコーン系硬化性組成物。
11)(C)成分がシリコーン粒子(C−1)をコアとし、アルコキシシラン縮合物(C−2)を縮合させて得られるシェルからなるシリコーン系重合体粒子であることを特徴とする1)〜10)のいずれかに記載のシリコーン系硬化性組成物。
12)(C−1)成分が、一般式(2)
a mSiO(4-m)/2(2)
(式中、Raは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。mは0〜3の整数を示す。)で表される構造単位からなり、上記一般式(2)でm=2の構造単位が(C−1)成分全体の70モル%以上を占めているオルガノシロキサンであることを特徴とする、11)に記載のシリコーン系硬化性組成物。
13)(C)成分が、前記(C−1)成分であるシリコーン粒子40〜97重量%、および、前記(C−2)成分であるアルコキシシラン縮合物3〜60重量%(ただし、(C−1)成分と(C−2)成分を合わせて100重量%)を主成分として構成されることを特徴とする11)または12)に記載のシリコーン系硬化性組成物。
14)(C−2)成分であるアルコキシシラン縮合物が、下記(a)成分、下記(b)成分および下記(c)成分よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする11)〜13)のいずれかに記載のシリコーン系硬化性組成物。
(a)成分:一般式(3)
Figure 2010242043
(式中、R32、R33は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R34、R35は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物。
(b)成分:一般式(4)
Figure 2010242043
(式中、R42、R43、R44は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R45は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物。
(c)成分:一般式(5)
Figure 2010242043
(式中、R52、R53、R54、R55、は同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物。
15)(A)成分が、一般式(6)
SiO4/2(6)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(7)、(8)
bc 2SiO1/2(7)
c 3SiO1/2(8)
(式中、Rbはアルケニル基、Rcはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(7)で少なくとも2つ封鎖された重合体であることを特徴とする1)〜14)のいずれかに記載のシリコーン系硬化性組成物。
16)(B)成分が、一般式(9)
SiO4/2(9)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(10)、(11)
HRd 2SiO1/2(10)
d 3SiO1/2(11)
(式中、Rdは水素原子、またはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(10)で少なくとも2つ封鎖された重合体であることを特徴とする1)〜15)のいずれかに記載のシリコーン系硬化性組成物。
17)1)〜16)のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
本発明によれば、硬化物の冷熱衝撃環境における接着信頼性に優れたシリコーン系硬化性組成物が得られる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
<(A)1分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサン>
本発明における(A)成分は1分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサンであり、(B)成分である一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと共に硬質シリコーン樹脂マトリクスを形成し、ヒドロシリル化反応により硬化するものであれば特に限定されない。硬化後は硬度が高く、透明性に優れたものが好ましい。
また(A)成分は、一般式(6)
SiO4/2(6)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(7)、(8)
bc 2SiO1/2(7)
c 3SiO1/2(8)
(式中、Rbはアルケニル基、Rcはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(7)で少なくとも2つ封鎖された重合体が好ましいものとして例示される。主構造に一般式(6)で表される4官能性の構造単位を用いると、高い架橋密度の主骨格が得られるため、熱硬化後の組成物の強度および硬度を高くすることができて有利である。その主構造の末端を一般式(7)で表される1官能性の構造単位で封鎖すると、ヒドロシリル化反応による組成物の架橋点となるアルケニル基を簡便な方法で導入する事ができて有利であり、またRbのアルケニル基と、Rcのアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基の比率を調節することで、(A)成分中のアルケニル基の量を調節する事ができるため、任意の架橋密度が簡便な方法で得られるので優れている。
前記アルケニル基は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等であり、入手性、また、耐熱性・耐光性の観点からビニル基が好ましい。
またアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基である。中でも、耐熱性や耐光性の観点からメチル基が好ましい。
この(A)成分は、一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有していれば良いが、(A)成分中のアルケニル基の含有量は0.1〜10モル/kg、特に0.5〜9モル/kgであることが好ましい。0.1モル/kg以下では硬化物が十分な硬度が得られず、10モル/kg以上では架橋密度が高すぎて耐冷熱衝撃(耐クラック)性が低下する。
更に上記(A)成分は、取り扱いが容易であることから、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1,000Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましい。
また本発明に用いる(A)成分の他に、硬化物の硬度を低下させない範囲で、アルケニル基を有する直鎖状、分岐鎖状、環状のポリシロキサンを添加することもできる。
<(B)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン>
本発明における(B)成分は1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、(A)成分とヒドロシリル化反応により硬化し、硬質シリコーン樹脂マトリクスを形成するものである。このため、1分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであれば、特に限定は無く、広く公知のものを使用することができる。またその構造も直鎖状、分岐鎖状、環状および三次元架橋構造を有するもののいずれであってもよい。
直鎖状の(B)成分の例としては、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体などが例示されうる。
また環状の(B)成分の例としては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示されうる。
また三次元架橋構造を有する(B)成分の例としては、特に限定はしないが、一般式(9)
SiO4/2(9)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(10)、(11)
HRd 2SiO1/2(10)
d 3SiO1/2(11)
(式中、Rdは水素原子、またはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(10)で少なくとも2つ封鎖された重合体が好ましいものとして例示される。さらに、(A)成分との相溶性が良好なものが、硬度が高い硬化物を得られることから好ましい。
上記水素原子、またはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基である。中でも、耐熱性や耐光性の観点からはメチル基が好ましい。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量は、前述の(A)成分のアルケニル基に対して(B)成分のヒドロシリル基が好ましくは50〜500モル%、さらに好ましくは100〜200モル%となる割合であることが望ましい。
更に上記(B)成分は、取り扱いが容易であることから、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1,000Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましい。
<(C)シリコーン系重合体粒子>
(C)成分は、マトリクス樹脂が持つ特徴である高い硬度や透明性を維持したまま、シリコーン系硬化物の耐冷熱衝撃(耐クラック)性や機械的応力緩和能を向上させる。
本発明における(C)成分は、シリコーン系重合体粒子であれば特に制限はないが、特に、前記(C)成分がシリコーン粒子をコアとし、アルコキシシラン縮合物を縮合させて得られるシェルからなるシリコーン系重合体粒子を好適なものとして例示することができる。前記コア成分であるシリコーン粒子と、シェル成分であるアルコキシシラン縮合物の組成比を最適化することで、(C)成分の屈折率とマトリクス樹脂の屈折率を合わせることにより硬化物の透明性を維持することができ、さらにシェル成分とマトリクスとの間の相溶性が向上して硬化物の強度改善に有利である。
以下、シリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子(以下、コアシェル粒子と略す)について、詳しく説明する。
前記コアシェル粒子は、コア成分にシェル成分が被覆したものであれば良く、組成等に特に限定はないが、コア成分40〜97重量%の存在下に、シェル成分3〜60重量%を縮合反応させた重合体であることが好ましい(ただし、コア成分とシェル成分を合わせて100重量%)。さらには、コア成分50〜95重量%の存在下に、シェル成分5〜50重量%を縮合反応させることが好ましい。コア成分が40重量%以下では、(C)成分の屈折率が、マトリクスの屈折率と大きく相違して硬化物の透明性が損なわれることがあり、またシェル成分が3重量%以下ではマトリクスとの相溶性が不十分になることがある。
本発明に用いるコア成分の製造方法には、特に限定はないが、通常の乳化重合、分散重合、溶液重合などでも得ることが可能であり、粒径の制御が可能である点や、操作の簡便性等の点を考慮すると、乳化重合で得ることが好ましい。
本発明に用いるコア成分は、通常の乳化重合でも得られるが、より粒子径の小さい粒子を得ることができ、さらにラテックス状態での粒子径分布が狭くできる利点などからもシード重合を利用することができる。シード重合に用いるシードポリマーは特に限定は無いが、アクリル酸ブチルゴム、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレンやブタジエン−アクリロニトリルゴム等のゴム成分、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体やスチレン−アクリロニトリル共重合体等の重合体を用いることができる。
コア成分は、一般式(2)
a mSiO(4-m)/2(2)
(式中、Raは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。mは0〜3の整数を示す。)で表される構造単位からなり、上記一般式(2)でm=2の構造単位が(C−1)成分全体の70モル%以上を占めているオルガノシロキサンである。
またコア成分は、上記一般式(2)でm=2の構造単位が、コア成分の70モル%以上を占めていることが好ましく、さらに好ましくは80モル%以上を占めていることが好ましい。70モル%以下ではコア成分の柔軟性が損なわれるため、硬化物の耐冷熱衝撃(耐クラック)性が低下したりする場合がある。
コア成分はオルガノシロキサンの重合により得ることができるが、そのオルガノシロキサンは、直鎖状、分岐状および環状構造のいずれであってもよいが、入手の容易さやコストの観点から、環状構造を有するオルガノシロキサンを用いるのが好ましい。
オルガノシロキサンの具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサンなどの環状化合物のほかに、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンを挙げることができる。これらオルガノシロキサンは、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
このオルガノシロキサンの有する置換または非置換の一価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、およびそれらをシアノ基などで置換した置換炭化水素基などをあげることができる。
またコア成分の分子の末端がシラノール基であることが好ましい。分子の末端にシラノール基を有していることで、後述のシェル成分との間で縮合反応により結合を形成するため、安定的なコア−シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子を得ることができる。
コア成分は、例えば、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、アルカリ性条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応が速く進行するため有利である。たとえば上記のオルガノシロキサンを含んだ各種原料を、乳化剤および水とともにホモミキサー、コロイドミル、ホモジナイザーなどを用いてエマルジョンとし、ついで、系のpHを酸成分で5以下、好ましくは4以下に調整し、加熱して重合させる。この際に用いる酸成分としては、安定して乳化重合を進行させることができ、またそれ自身も乳化能を併せ持つものが好ましく、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸、アルキルスルホコハク酸などが例示されうる。
なお、原料の全部を一括添加したのち、一定時間撹拌してからpHを任意の値に調整してもよく、また原料の一部を仕込んでpHを任意の値に調整したエマルジョンに残りの原料を逐次追加してもよい。重合時のpHについては特に制限されるものではないが、重合が十分に進行することから、pH=5以下、特にpH=4以下に調整するのが好ましい。逐次追加する場合、そのままの状態、または水および乳化剤と混合して乳化液とした状態のいずれで添加してもよいが、重合速度を速くすることができるので、乳化状態で追加する方法を用いることが好ましい。反応温度、時間に特に制限はないが、反応制御の容易さから反応温度は0〜100℃が好ましく、50〜95℃がさらに好ましい。反応時間は、好ましくは1〜100時間であり、さらに好ましくは3〜50時間である。
酸性条件下で重合を行う場合、通常、コア成分の骨格を形成しているSi−O−Si結合は、切断と結合生成の平衡状態にある。この平衡は温度によって変化し、低温になるほど高分子量のコア成分が生成しやすくなる。したがって、高分子量のコア成分を得るためには、加熱により重合した後、重合温度以下に冷却して熟成を行うことが好ましい。具体的には、50℃以上で重合を行い重合転化率が75〜90%、さらに好ましくは82〜89%に達した時点で加熱を止め、10〜50℃、好ましくは20〜45℃に冷却して5〜100時間程度熟成を行うことができる。なお、ここで言う重合転化率は原料中の低揮発分のオルガノシロキサンのコア成分への転化率を意味する。
乳化重合に用いる水の量についてはとくに制限は無く、各種原料を乳化分散させるために必要な量であれば良く、通常原料の合計量に対して1〜20倍の重量を用いれば良い。
乳化重合に用いる乳化剤は、反応を行うpH領域において乳化能を失わないものであれば特に限定なく公知のものを使用することができる。かかる乳化剤の例としては、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、該乳化剤の使用量にはとくに限定がなく、目的とするコア成分の粒子径などに応じて適宜調整すればよい。充分な乳化能が得られ、かつ得られるコア成分と、それから得られる、前記(C)成分であるシリコーン系重合体粒子の物性に悪影響を与えないという点から、エマルジョン中に0.005〜20重量%用いるのが好ましく、特には0.05〜15重量%用いるのが好ましい。
コア成分の粒子径は、乳化剤の使用量の増減など、通常の乳化重合技術を用いて制御することが可能である。例えば、適切な濃度でアルキルベンゼンスルホン酸を用いて乳化重合を行うことで、比較的小粒径のシリコーン粒子を安定して得ることができる。ラテックス状態のシリコーン粒子の体積平均粒径は、0.005μm〜3.0μmの範囲であれば良く、0.01μm〜2.0μmが好ましく、0.050μm〜0.120μmがより好ましい。体積平均粒径が0.005μm未満のものを安定的に得ることは難しく、3.0μmを越えると硬化物の透明性が悪くなる場合がある。なお、体積平均粒径の測定は、例えば、ナノトラック粒度分析計UPA150(日機装株式会社製)を用いて行うことができる。
本発明に用いるコア成分の合成の際に、必要によっては架橋剤、グラフト交叉剤と言われるものを添加することもできる。
本発明のコア成分の合成に用いることができる架橋剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどの縮合反応に関与できる官能基を3個含むいわゆる3官能性架橋剤、テトラエトキシシラン、1,3ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−3−〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−4−〔2−ジメトキシメチルシリル〕エチル〕ベンゼンなどの縮合反応に関与できる官能基を4個含むいわゆる4官能性架橋剤、さらにはこれら架橋剤のアルコキシ基を縮合させた部分縮合物を挙げることができる。
これら架橋剤は、必要に応じ、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。この架橋剤の添加量は、オルガノシロキサン100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。架橋剤の添加量が10重量部より多いと、コア成分の柔軟性が損なわれるため、硬化物の耐冷熱衝撃(耐クラック)性が低下する場合がある。また架橋剤の添加量を調節することで、架橋度を変化させることによりコア成分の弾性を任意に調節することができる。
本発明に用いることができるグラフト交叉剤は、例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルエチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、テトラビニルテトラメチルシクロシロキサン、アリルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等があげられる。
前記コアシェル粒子におけるシェル成分となるアルコキシシラン縮合物は、コア成分の表面に縮合することで前記(A)成分と前記(B)成分との相溶性を確保して、(C)成分をシリコーン系硬化性組成物中に均一に分散させ、あるいは硬化物の強度向上のために使用される成分である。
本発明に用いるアルコキシシラン縮合物は、以下の一般式(3)で表される2官能性アルコキシシラン化合物、一般式(4)で表される3官能性アルコキシシラン化合物、一般式(5)で表される4官能性アルコキシシラン化合物、およびそれらの部分縮合物(アルコキシ基を縮合させた部分縮合物)等を用いて得ることができる。これらは単独でも2種類以上でも用いることができる。
Figure 2010242043
(一般式(3)において、R32、R33は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R34、R35は同一または異なる一価の有機基を示す。)
Figure 2010242043
(一般式(4)において、R42、R43、R44は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R45は一価の有機基を示す。)
Figure 2010242043
(一般式(5)において、R52、R53、R54およびR55は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)
また上記の特徴を妨げない範囲で、一般式(12)で表される1官能性アルコキシシラン化合物、およびそれらの部分縮合物を用いることができる。これらは1種類でも2種類以上でも用いることができる。
Figure 2010242043
(一般式(12)において、R12はアルキル基を示し、R13、R14、R15は同一または異なる一価の有機基を示す。)
上記一般式(3)、(4)、(5)および(12)において挙げられるアルコキシ基としては、たとえばメトキシ、エトキシ、ノルマルプロポキシ、イソプロポキシ、ノルマルブトキシ、イソブトキシ、第2級ブトキシ、第3級ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等の、炭素数1〜6のアルコキシ基である。またアルコキシ基以外の一価の有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アリル基、アラルキル基等があげられる。
またここでアルケニル基を含む、一般式(3)、(4)、(5)および(12)のように表現できる化合物あるいはそのアルコキシ基を縮合させた部分縮合物を用いれば、(C)成分にアルケニル基を導入でき、このアルケニル基が(B)成分とヒドロシリル化反応により結合を形成するため、組成物中での分散性がさらに向上することから、組成物の高い透明性や硬度を維持しながら耐熱衝撃性を向上させることができるので好ましい。
コア成分の表面に上記アルコキシシラン縮合物を縮合させた後に、さらに上記一般式(12)で表される1官能性アルコキシシラン化合物、およびそれらの部分縮合物でシリコーン系粒子の表面を処理することができる。これらは1種類でも2種類以上でも用いることができる。このように粒子表面を処理することで、粒子表面に多数存在するシラノール基を減らすことができ、これにより、粒子表面のシラノール基に由来する様々な問題、例えば(C)成分をシリコーンゴムやシリコーン樹脂に配合した際に配合物の粘度が高くなりすぎてしまう問題や、配合物が経時変化して粘度が次第に上昇する問題を解決することができるので好ましい。またこのようなシラノール基が多数含まれる粒子を配合した際に、例えば硬化物の吸湿の原因となり、冷熱衝撃試験の際にクラックが生じたりすることもあったが、このような問題も解決できるので好ましい。
本発明に用いるアルコキシシラン化合物の具体的な化合物としては、前記の架橋剤、グラフト交叉剤と同じもの、あるいはそのアルコキシ基を縮合させた部分縮合物が挙げられる。
アルコキシシラン化合物を用いてシェル成分を得る重合方法は、乳化重合を用いることができる。乳化重合の条件は一般的な条件が適用できるが、特に重合温度に注意を払うことが好ましい。重合の際の温度は、20〜85℃を適用することが好ましい。また、重合時間は1〜50時間が適用できる。
またシェル成分は、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、アルカリ条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応の際にゲル化を抑制しやすい等の理由により有利である。
乳化重合によって得られた(C)成分であるシリコーン系重合体粒子のラテックスから粒子を分離する方法としては、特に限定は無いが、たとえばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの金属塩を添加することによりラテックスを凝固、分離、水洗、脱水し、乾燥する方法などがあげられる。また、スプレー乾燥法も使用できる。
さらに本発明においては、(C)成分の粒子を水系ラテックスから取り出して、有機溶剤中に一次粒径のまま再分散させることが可能であることから、緩凝集・再分散法を用いるのが好ましい。
ここでいう緩凝集・再分散法とは、以下のような方法である。まず粒子を含む水系ラテックス溶液に、水に部分可溶な有機溶剤、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール等)やケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)やエステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)などを加えることで、ラテックス中の粒子の乳化状態を解き、粒子どうしを緩凝集させる。さらに遠心沈降や濾過などの方法で緩凝集体を回収し、この緩凝集体が分散可能な有機溶剤に再分散させる方法である。
(C)成分の使用量は、前記(A)成分と前記(B)成分の合計100重量部に対し、1〜50重量部であることが好ましく、さらには5〜45重量部であることが好ましく、またさらに10〜40重量部であることが好ましい。(C)成分の使用量が少ないと硬化物の耐冷熱衝撃(耐クラック)性が不十分である場合があり、(C)成分の使用量が多いと、硬化後の組成物の透明性が低下したり、硬化後の組成物が脆くなる傾向がある。
<(D)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物>
本発明における(D)成分は、(D−1)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する鎖状及び/又は環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び(D−2)アルケニル基を少なくとも2つ有する有機化合物、及び/又は(D−3)1分子中にアルケニル基を1個含有する化合物を、ヒドロシリル化反応させることにより得られる、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物である。
本発明の(D−1)成分は、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する鎖状及び/又は環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物である。
(D−1)成分については1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に限定されず、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
具体的には、例えば
Figure 2010242043
Figure 2010242043
が挙げられる。
これらのうち、(B)成分及び/又は(C)成分のアルケニル基とのヒドロシリル化反応性が良く、しかも反応生成物の貯蔵安定性が良いという観点から、下記一般式(1)
Figure 2010242043
(式中、R1は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中にヒドロシリル 基を少なくとも3個有する環状オルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
一般式(1)で表される化合物中の置換基R1は、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。それぞれの置換基R1は異なっていても良く、同一であっても良い。入手容易性の観点からは、(D−1)成分は1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
(D−1)成分は単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
本発明の(D−2)成分は、1分子中にアルケニル基を少なくとも2個有する有機化合物であれば特に限定されないが、他成分と反応させて得られるD成分の極性を高くすることで、本発明の効果をより高めるという点においては、(D−2)成分としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものであることが好ましい。
(D−2)成分としては、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系、直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系、複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
(D−2)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ビスフェノールAのジアリルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、また、従来公知のエポキシ樹脂のグルシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
また、(D−2)成分としては、上記のように骨格部分とアルケニル基とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
ヒドロシリル基と反応性を有する(D−2)成分のアルケニル基の数は、平均して1分子当たり少なくとも2個あればよいが、配合後の組成物を硬化して得られる硬化物の力学強度をより向上したい場合には2個を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。
(D−2)成分としては、(D−1)成分、及び/又は(D−3)成分と反応させて得られる(D)成分の貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中にビニル基を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を4個以下含有していることがより好ましい。
本発明の効果を高める目的では、(D−2)成分としては複素環骨格を有する有機化合物であることが好ましい。複素環骨格を有する有機化合物とは、環状骨格中にヘテロ元素を有する化合物であれば特に限定されない。ただし、環を形成する原子にSiが含まれるものは除かれる。また、環を形成する原子数は特に限定はなく、3以上であればよい。入手性からは10以下であることが好ましい。複素環の具体的な例としては、エポキシ系、オキセタン系、フラン系、チオフェン系、ピラロール系、オキサゾール系、フラザン系、トリアゾール系、テトラゾール系、ピラン系、チイン系、ピリジン系、オキサジン系、チアジン系、ピリダジン系、ピリミジン系、ピラジン系、ピペラジン系がある。中でも、本発明の効果を高めることから、複素環としてはイソシアヌレートが好ましく、(D−2)成分の具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルメタクリレートが好ましい例として挙げられる。
(D−2)成分としては、(D)成分を製造する際に、取扱い性が良い粘度であるという点からは、重量平均分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。なお、重量平均分子量の測定は、例えば、市販の標準ポリスチレンを分子量標準サンプルとして、Shodex K805L(300×8mm、2本連結)(昭和電工社製)を装着した島津製作所製GPCシステムを用いて行うことが出来る。
(D−2)成分としては、(D)成分を製造する際に、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには、粘度としては23℃において100Pa・s未満のものが好ましく、30Pa・s未満のものがより好ましく、3Pa・s未満のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
(D−2)成分は単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
本発明の(D−3)成分は、1分子中にアルケニル基を1個有する化合物であれば特に限定されない。
(D−3)成分の具体的な例としては、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウンデセン、出光石油化学社製リニアレン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のような鎖状脂肪族炭化水素系化合物類、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、アリルシクロへキシル、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等のような環状脂肪族炭化水素系化合物類、スチレン、αメチルスチレン、インデン、フェニルアセチレン、4−エチニルトルエン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等のような芳香族炭化水素系化合物、アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、グリセリンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類、1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼン、アリルアニソール、o−アリルフェノール、等の芳香族系化合物類、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコーン化合物等が挙げられる。さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂、片末端アリル化ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、等の片末端にビニル基を有するポリマーあるいはオリゴマー類等も挙げることができる。
(D−3)成分はアルケニル基以外の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基、ビニロキシル基、酸無水物基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には、得られる硬化物の各種基材に対する接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましく、(D−3)成分としてはアリルグリシジルエーテルが好ましい例として挙げられる。
(D−3)成分としては、(D)成分を製造する際に、取扱い性が良い粘度であるという点からは、(D−3)成分の重量平均分子量は500以下が好ましく、300以下が更により好ましい。
(D−3)成分としては、(D)成分を製造する際に、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには、粘度としては23℃において100Pa・s未満のものが好ましく、30Pa・s未満のものがより好ましく、3Pa・s未満のものがさらに好ましい。
(D−3)成分は単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(D−1)成分、(D−2)成分、(D−3)成分のヒドロシリル化反応に関して説明する。
(D−1)成分、及び(D−2)成分をヒドロシリル化反応させる場合の各成分の割合は特に限定されないが、(D−1)成分と(D−2)成分の混合比率は、得られる(D)成分の粘度が低く、取扱い性が良いという点からは、(D−1)成分中のヒドロシリル基が多い方が好ましいため、反応に使用する(D−2)成分中のアルケニル基の総数(X)と、混合する(D−1)成分中のヒドロシリル基の総数(Y)との比が、Y/X≧2であることが好ましく、Y/X≧4であることがより好ましい。また、(D−3)成分を用いる場合は、得られる(D)成分の粘度が低く、取扱い性が良いという点からは、(D−3)成分中のヒドロシリル基と反応性を有するアルケニル基の総数(X')が、Y/X+X'≧1.5であることが好ましく、Y/X+X'≧3であることがより好ましい。
反応させる場合の(D−1)成分、(D−2)成分、(D−3)成分の混合方法としては、各種方法をとることができるが、(D−2)成分及び/又は(D−3)成分に触媒を混合したものを、(D−1)成分に混合する方法が好ましい。前記方法は、(D−1)成分に触媒を混合する方法に対して、反応速度の制御がし易い点で好ましく、また、触媒による(D−1)成分と混入している水分との反応による変質を抑制し易いので好ましい。(D−1)成分と(D−2)成分を先に反応させた後に(D−3)成分を反応させてもよく、(D−1)成分と(D−3)成分を反応させた後に(D−2)成分を反応させてもよく、(D−1)成分に(D−2)成分と(D−3)成分を同時に反応させてもよい。
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
(D−1)成分に(D−2)成分、及び/又は(D−3)成分をヒドロシリル化反応させた後に、溶媒及び/又は未反応の(D−1)成分等の揮発成分を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる(D)成分が揮発分を有さないため、これを本発明の硬化性組成物として使用する場合に、揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは80℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
(D)成分の製造においては、目的によって種々の添加剤を使用できる。
(D)成分の使用量は、前記(A)成分と前記(B)成分の合計100重量部に対し、0.01〜20重量部であることが好ましく、さらには0.1〜15重量部であることが好ましい。(D)成分の使用量が少ないと硬化物の冷熱衝撃環境における接着信頼性が不十分である場合があり、(D)成分の使用量が多いと硬化後の組成物の機械的強度が低下する場合がある。さらに好ましくは0.1から8重量部であることが、硬化後の組成物の透明性の点で好ましい。
<(E)ヒドロシリル化触媒>
本発明における(E)成分であるヒドロシリル化触媒としては、例えば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒を添加することができる。前記白金系触媒としては公知のものが使用でき、具体的には白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類とのコンプレックスなどが例示される。また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。例えば、白金系触媒の添加量は、(A)成分に対し、白金原子として0.01〜1000ppmの範囲とすることが望ましい。
<シリコーン系硬化性組成物>
本発明のシリコーン系硬化性組成物には必要に応じて接着性付与剤を添加してもよい。接着性付与剤は、シリコーン系硬化性組成物を硬化して得られる硬化物に各種基材に対する接着性を付与する成分である。
接着性付与剤としては、シランカップリング剤、ほう素系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等を好適に使用することが可能である。
前記、シランカップリング剤の例としては、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基と、ケイ素原子結合アルコキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。前記官能基については、中でも、硬化性及び接着性の点から、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。具体的に例示すると、エポキシ官能基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。また、メタクリル基あるいはアクリル基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシランが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
前記、ほう素系カップリング剤の例としては、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
前記、チタン系カップリング剤の例としては、テトラ(n−ブトキシ)チタン,テトラ(i−プロポキシ)チタン,テトラ(ステアロキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ−ビス(アセチルアセトネート)チタン,i−プロポキシ(2−エチルヘキサンジオラート)チタン,ジ−i−プロポキシ−ジエチルアセトアセテートチタン,ヒドロキシ−ビス(ラクテト)チタン、i−プロピルトリイソステアロイルチタネート,i−プロピル−トリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート,テトラ−i−プロピル)−ビス(ジオクチルホスファイト)チタネート,テトラオクチル−ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート,i−プロピルトリオクタノイルチタネート,i−プロピルジメタクリル−i−ステアロイルチタネートが例示されるが、これらに限定されるわけではない。
前記、アルミニウム系カップリング剤としては、アルミニウムブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセトアセトナート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが例示されるが、これらに限定されるわけではない。
接着性付与剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。添加量は、(A)成分と(B)成分の合計100重量に対して0.05〜30重量部であることが好ましい。また、接着性付与剤の種類あるいは添加量によっては、ヒドロシリル化反応を阻害するものがあるため、ヒドロシリル化反応に対する影響を考慮しなければならない。
本発明のシリコーン系硬化性組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは硬化過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもかまわない。
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ヘキシン−3−オール、3−エチル−1−ペンチン−3−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示されうる。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示されうる。有機窒素化合物としては、N,N,N’,N’,−テトラエチレンジアミン、N,N,N’,N’,−テトラメチレンジアミンN,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン等が挙げられる。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示されうる。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示されうる。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、1−エチニル―1−シクロヘキソノール、マレイン酸ジメチル、N,N,N’,N’,−テトラエチレンジアミンが好ましい。
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10-1〜104モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜103モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
また、本発明のシリコーン系硬化性組成物には、必要に応じて、その他各種樹脂、フィラー、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、加工安定剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等を、本発明の目的及び効果を損なわない範囲において添加することができる。
本発明のシリコーン系硬化性組成物は、上記各成分を混合等することにより得られる。
本発明のシリコーン系硬化性組成物を硬化させる方法としては、特に限定されないが、各成分を単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られ易いという観点から、加熱して反応させる方法が好ましい。
反応温度としては種々設定できるが、25℃から300℃の温度範囲が好ましく、30℃、から280℃がより好ましく、35℃から260℃がさらに好ましい。反応温度が25℃より低いと十分に反応させるための反応時間が長くなる傾向があり、反応温度が300℃より高いと製品の熱劣化が生じ易くなる傾向がある。
反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより、多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が、歪のない均一な硬化物が得られ易いという点で好ましい。
反応時の圧力も必要に応じて種々設定でき、常圧、高圧又は減圧状態で反応させることもできる。
本発明のシリコーン系硬化性組成物は、成形体として使用することができる。成型方法としては、押出成型、圧縮成型、ブロー成型、カレンダー成形、真空成型、射出成型、液状射出成型、注型成型などが例示される。
本発明のシリコーン系硬化性組成物は、光学材料として用いることができる。ここで言う光学材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。
本発明のシリコーン系硬化性組成物は、様々な用途に用いることができる。用途の具体例としては、液晶ディスプレイ分野では、基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルムなどの液晶用フィルムなどの液晶表示装置周辺材料が例示される。
また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止剤、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤が例示される。
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤が例示される。
光学機器分野では、カメラの撮影レンズ、レンズ用材料、ファインダー、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部が例示される。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーが例示される。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤などが例示される。光センシング機器のレンズ用材料、封止剤、接着剤、フィルムなどが例示される。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止剤、接着剤などが例示される。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止剤、接着剤などが例示される。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LED素子の封止剤、接着剤などが例示される。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーが例示される。
半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料が例示される。
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品、自動車の窓ガラス中間膜が例示される。また、鉄道車輌用の複層ガラス中間膜が例示される。また、航空機用途においては、構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コート、窓ガラス中間膜が例示される。
建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料が例示される。農業用では、ハウス被覆用フィルムが例示される。
次世代の光・電子機能有機材料としては、次世代DVD、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される
以下の実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(接着強度評価)
配合後の液状組成物を、厚さ100μmのアプリケーターで膜状に伸ばし、ここに2mm角のガラス製ダイを接触させ、ダイの片面に該液状組成物を付着させた後、ガラスエポキシ製およびアルミニウム製平板それぞれにのせて、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間の条件で段階的に熱硬化(接着)させた試験片を作成した。この試験片を用いて、デイジ社製万能ボンドテスター2400を用い、ガラスエポキシ製平板とガラス製ダイ間の接着強度を評価した。10kgfのロードセルを用い、試験スピードは83μm/secで実施した。測定はn=5で行い、最大値と最小値を除いた3つの平均値を採用した。アルミニウム製平板とガラス製ダイ間の接着強度も同様に実施した。
(評価用硬化物作成)
株式会社エノモト製LEDパッケージ(品名:TOP LED 1−IN−1)に、0.4mm×0.4mm×0.2mmの単結晶シリコンチップ1個を、株式会社ヘンケルジャパン製エポキシ系接着剤(品名LOCTITE348)で貼り付け、150℃のオーブンに30分入れて固定した。ここに得られた硬化性組成物を注入し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間の条件で段階的に熱硬化させて試料を作成した。
(冷熱衝撃試験)
評価用硬化物を熱衝撃試験機(エスペック製 TSA−71H−W)によって、高温保持100℃×30分、低温保持−40℃×30分のサイクルを50サイクル行った後、試料を観察した。試験後、光学顕微鏡観察で変化が無ければ○、硬化物にクラックが入ったり、硬化物とパッケージの間に剥離が起きたりした場合は×とした。
(はんだ試験)
評価用硬化物を、260℃に加熱された半田浴に10秒間浸け、すぐに20℃の水浴に移して10秒間浸ける操作を、5回繰り返した後、試料を観察した。試験後、目視で変化が無ければ○、硬化物にクラックが入ったり、硬化物とパッケージの間に剥離が起きたりした場合は×とした。
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、チッ素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに純水400重量部および10重量%水溶液ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム12重量部(固形分)を混合したのち窒素雰囲気下で50℃に昇温した。その後アクリル酸ブチル(BA)10重量部、t−ドデシルメルカプタン3重量部、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.01重量部(固形分)を加えた。
30分後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.18部、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA)0.019重量部、硫酸第一鉄0.019重量部を添加し、1時間攪拌した。BA90重量部、t−ドデシルメルカプタン27重量部、および、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.18重量部(固形分)の混合液を3時間かけて連続追加した。さらに1時間の後重合を行い、シードポリマー(体積平均粒径0.020μm)を含むラテックスを得た。
次に、撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、上述のシードポリマーを2.0重量部(固形分)、10重量%水溶液ドデシルベンゼンスルホン酸1.5重量部(固形分)および純水300重量部(シードポリマーを含むラテックスからの持ち込み分を含む)を仕込んだ後、15分間攪拌してから、窒素雰囲気下で系を80℃に昇温させた。これとは別に純水150重量部、5重量%水溶液ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部(固形分)、オクタメチルシクロテトラシロキサン100重量部からなる混合物をホモミキサーにて、7000rpmで5分間強制乳化した後に、この混合液を5時間かけて連続追加した。さらに2時間の後重合を行い、25℃に冷却して20時間放置して重合を終了し、シリコーンコア粒子(体積平均粒径0.110μm)を含むラテックスを得た。
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、上述のシリコーンコア粒子80重量部(固形分)を仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温させた。これとは別に、純水50重量部と5重量%水溶液ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6重量部(固形分)、ジメトキシジメチルシラン16.2重量部((CH32SiO2/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して10.0重量部に相当)、トリメトキシメチルシラン20.3重量部(CH3SiO3/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して10.0重量部に相当)からなる混合物をホモミキサーにて7000rpmで5分間強制乳化した後に、60分間かけて滴下して加えた。この溶液を40℃に保ったまま8時間攪拌することで、シリコーン系重合体粒子(体積平均粒径0.115μm)を含むラテックスを得た。
(合成例2)
合成例1で得られたシリコーン系重合体粒子を含むラテックス(樹脂固形分濃度15重量%)に対し、体積比1.1倍の酢酸エチル/メタノール混合溶媒(vol/vol=6/4)を加えて粒子を凝集させた後、遠心分離機で2000rpm、5分間遠心沈降させた。得られた沈殿を処理したラテックスと等容量の酢酸エチル/メタノール混合溶媒(vol/vol=4/6)に分散させて洗浄した後、遠心分離機で6000rpm、5分間遠心沈降させた。この洗浄を合計4回行った後、処理したラテックスと等容量の酢酸エチルを加えて、シリコーン系重合体粒子の酢酸エチル分散溶液を得た(樹脂固形分濃度12重量%)。
(合成例3)
2Lオートクレーブにトルエン720g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン240gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温50℃で加熱、攪拌した。アリルグリシジルエーテル171g、トルエン171g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.049gの混合液を90分かけて滴下した。滴下終了後にジャケット温を60℃に上げて40分反応、1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認した。トリアリルイソシアヌレート17g、トルエン17gの混合液を滴下した後、ジャケット温を105℃に上げて、トリアリルイソシアヌレート66g、トルエン66g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.033gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から4時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの未反応率は0.8%だった。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトルエンとアリルグリシジルエーテルの副生物(アリルグリシジルエーテルのビニル基の内転移物(シス体およびトランス体))を合計5,000ppm以下まで減圧留去し、無色透明の液体を得た。
本生成物は1H−NMRの測定より、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのヒドロシリル基の一部がアリルグリシジルエーテル及びトリアリルイソシアヌレートのアルケニル基と反応したものであり、3.8mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。本生成物のGPC測定をすると多峰性のクロマトグラムが得られ、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとアリルグリシジルエーテルのみの反応物群と、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとアリルグリシジルエーテルとトリアリルイソシアヌレートが反応した化合物群の混合物であることが示唆された。
(実施例1)
合成例2で得られたシリコーン系重合体粒子の酢酸エチル分散溶液中の樹脂固形分30.0重量部に対して、(A)成分である三次元構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQV−7(ビニル基含有量3.5モル/kg)37.4重量部、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQH−5(ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)56.8重量部と、同じくクラリアント社製MQH−8(ヒドロシリル基含有量7.6モル/kg)5.8重量部を加えて溶解、分散させた後、揮発成分をロータリーエバポレーターで留去した。得られた組成物に、接着性付与剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部と、ほう酸トリメチル1.0重量部を配合し、さらに硬化遅延剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’,−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重量部を配合した。さらに、これに(D)成分である合成例3で得られた組成物1.0重量部を配合し、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.0062重量部を配合した後、揮発成分を留去した。最後に、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、無色透明の液状組成物を得た。得られた組成物について、上記の方法で、接着強度評価を行った。また、上記の方法で評価用硬化物を準備し、冷熱衝撃試験とはんだ試験を行った。結果を下表1に示す。
(実施例2)
合成例2で得られたシリコーン系重合体粒子の酢酸エチル分散溶液中の樹脂固形分30.0重量部に対して、(A)成分である三次元構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQV−7(ビニル基含有量3.5モル/kg)37.4重量部、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQH−5(ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)56.8重量部と、同じくクラリアント社製MQH−8(ヒドロシリル基含有量7.6モル/kg)5.8重量部を加えて溶解、分散させた後、揮発成分をロータリーエバポレーターで留去した。得られた組成物に、接着性付与剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部と、ほう酸トリメチル1.0重量部を配合し、さらに硬化遅延剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’,−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重量部を配合した。さらに、これに(D)成分である合成例3で得られた組成物3.0重量部を配合し、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.0062重量部を配合した後、揮発成分を留去した。最後に、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、無色透明の液状組成物を得た。得られた組成物について、上記の方法で、接着強度評価を行った。また、上記の方法で評価用硬化物を準備し、冷熱衝撃試験とはんだ試験を行った。結果を下表1に示す。
(実施例3)
合成例2で得られたシリコーン系重合体粒子の酢酸エチル分散溶液中の樹脂固形分30.0重量部に対して、(A)成分である三次元構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQV−7(ビニル基含有量3.5モル/kg)37.4重量部、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQH−5(ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)56.8重量部と、同じくクラリアント社製MQH−8(ヒドロシリル基含有量7.6モル/kg)5.8重量部を加えて溶解、分散させた後、揮発成分をロータリーエバポレーターで留去した。得られた組成物に、接着性付与剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部と、ほう酸トリメチル1.0重量部を配合し、さらに硬化遅延剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’,−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重両部を配合した。さらに、これに(D)成分である合成例3で得られた組成物10.0重量部を配合し、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.0062重量部を配合した後、揮発成分を留去した。最後に、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、白く濁った液状組成物を得た。得られた組成物について、上記の方法で、接着強度評価を行った。また、上記の方法で評価用硬化物を準備し準備し、冷熱衝撃試験とはんだ試験を行った。結果を下表1に示す。
(比較例1)
合成例2で得られたシリコーン系重合体粒子の酢酸エチル分散溶液中の樹脂固形分30.0重量部に対して、(A)成分である三次元構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQV−7(ビニル基含有量3.5モル/kg)37.4重量部、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQH−5(ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)56.8重量部と、同じくクラリアント社製MQH−8(ヒドロシリル基含有量7.6モル/kg)5.8重量部を加えて溶解、分散させた後、揮発成分をロータリーエバポレーターで留去した。得られた組成物に、接着性付与剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部と、ほう酸トリメチル1.0重量部を配合し、さらに硬化遅延剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’,−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重量部を配合した。さらに、これに白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.0062重量部を配合した後、揮発成分を留去した。最後に、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、無色透明の液状組成物を得た。得られた組成物について、上記の方法で、接着強度評価を行った。また、上記の方法で評価用硬化物を準備し、冷熱衝撃試験とはんだ試験を行った。結果を下表1に示す。
(比較例2)
合成例2で得られたシリコーン系重合体粒子の酢酸エチル分散溶液中の樹脂固形分30.0重量部に対して、(A)成分である三次元構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQV−7(ビニル基含有量3.5モル/kg)37.4重量部、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQH−5(ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)56.8重量部と、同じくクラリアント社製MQH−8(ヒドロシリル基含有量7.6モル/kg)5.8重量部を加えて溶解、分散させた後、揮発成分をロータリーエバポレーターで留去した。得られた組成物に、接着性付与剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部と、ほう酸トリメチル1.0重量部を配合し、さらに硬化遅延剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’,−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重量部を配合した。さらに、これにアリルグリシジルエーテル1.0重量部を配合し、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.0062重量部を配合した後、揮発成分を留去した。最後に、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、無色透明の液状組成物を得た。得られた組成物について、上記の方法で、接着強度評価を行った。また、上記の方法で評価用硬化物を準備し、冷熱衝撃試験とはんだ試験を行った。結果を下表1に示す。
Figure 2010242043
表1より、(D)成分を配合することにより、冷熱衝撃試験やはんだ試験においてパッケージからの剥離が起こらない、冷熱衝撃環境における接着信頼性に優れる硬化物が得られることが明らかである。上述の各種用途に適した硬化性組成物が得られることが明らかである。

Claims (17)

  1. (A)1分子中にアルケニル基を少なくとも2個有するポリシロキサン、
    (B)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
    (C)シリコーン系重合体粒子、
    (D)(D−1)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する鎖状及び/又は環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと(D−2)アルケニル基を少なくとも2個有する有機化合物とを、ヒドロシリル化反応させることにより得られる、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物、
    (E)ヒドロシリル化触媒
    を含有することを特徴とするシリコーン系硬化性組成物。
  2. 前記(D)成分が、前記(D−1)成分と前記(D−2)成分と(D−3)1分子中にアルケニル基を1個含有する化合物とを、ヒドロシリル化反応させることにより得られる、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  3. (D−1)成分が下記一般式(1)
    Figure 2010242043
    (式中R1は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表されるヒドロシリル基を有する環状ポリオルガノシロキサン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  4. (D−2)成分が複素環骨格を有する有機化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  5. (D−2)成分が1分子中にアルケニル基を2又は3個含有し、重量平均分子量が900未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  6. (D−2)成分がトリアリルイソシアヌレートであることを特徴とする請求項5に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  7. (D−3)成分の重量平均分子量が500未満であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  8. (D−3)成分がアリルグリシジルエーテルであることを特徴とする請求項7に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  9. 前記(A)成分と前記(B)成分の合計100重量部に対して、(D)成分が0.01〜20重量部であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  10. 前記(A)成分と前記(B)成分の合計100重量部に対して、(C)成分が1〜50重量部であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  11. (C)成分がシリコーン粒子(C−1)をコアとし、アルコキシシラン縮合物(C−2)を縮合させて得られるシェルからなるシリコーン系重合体粒子であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  12. (C−1)成分が、一般式(2)
    a mSiO(4-m)/2(2)
    (式中、Raは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。mは0〜3の整数を示す。)で表される構造単位からなり、上記一般式(2)でm=2の構造単位が(C−1)成分全体の70モル%以上を占めているオルガノシロキサンであることを特徴とする、請求項11に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  13. (C)成分が、(C−1)成分であるシリコーン粒子40〜97重量%、および、(C−2)成分であるアルコキシシラン縮合物3〜60重量%(ただし、(C−1)成分と(C−2)成分を合わせて100重量%)を主成分として構成されることを特徴とする請求項11または12に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  14. (C−2)成分であるアルコキシシラン縮合物が、下記(a)成分、下記(b)成分および下記(c)成分よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
    (a)成分:一般式(3)
    Figure 2010242043
    (式中、R32、R33は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R34、R35は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物。
    (b)成分:一般式(4)
    Figure 2010242043
    (式中、R42、R43、R44は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R45は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物。
    (c)成分:一般式(5)
    Figure 2010242043
    (式中、R52、R53、R54、R55、は同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物。
  15. (A)成分が、一般式(6)
    SiO4/2(6)
    で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(7)、(8)
    bc 2SiO1/2(7)
    c 3SiO1/2(8)
    (式中、Rbはアルケニル基、Rcはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
    で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(7)で少なくとも2つ封鎖された重合体であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  16. (B)成分が、一般式(9)
    SiO4/2(9)
    で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(10)、(11)
    HRd 2SiO1/2(10)
    d 3SiO1/2(11)
    (式中、Rdは水素原子、またはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
    で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(10)で少なくとも2つ封鎖された重合体であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のシリコーン系硬化性組成物。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
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