JP2012162666A - 多面体構造ポリシロキサン系組成物 - Google Patents

多面体構造ポリシロキサン系組成物 Download PDF

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JP2012162666A JP2011024744A JP2011024744A JP2012162666A JP 2012162666 A JP2012162666 A JP 2012162666A JP 2011024744 A JP2011024744 A JP 2011024744A JP 2011024744 A JP2011024744 A JP 2011024744A JP 2012162666 A JP2012162666 A JP 2012162666A
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裕之 田中
Tomohito Sugiyama
智史 杉山
Takao Manabe
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Abstract

【課題】高い耐熱性、耐光性を有し、ガスバリア性および耐冷熱衝撃性に優れるポリシロキサン系組成物を提供する。
【解決手段】アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)に対して、ヒドロシリル基を含有する化合物(b)をヒドロシリル化反応させて得ることができる多面体構造ポリシロキサン変性体(A)、
1分子中にアルケニル基を2個以上含有するポリシロキサン(B)、
アルケニル基を含有する有機化合物(c)に対して、ヒドロシリル基を含有する化合物(d)をヒドロシリル化反応させて得ることができる化合物(C)、
からなることを特徴とする多面体構造ポリシロキサン系組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い耐熱性、耐光性を有し、ガスバリア性および耐冷熱衝撃性に優れるポリシロキサン系組成物を提供する。
ポリシロキサン系組成物は、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐光性、化学的安定性、電気特性、難燃性、耐水性、透明性、着色性、非粘着性、非腐食性に優れており、様々な産業で利用されている。中でも、多面体構造を有するポリシロキサンで構成された組成物は、その特異的な化学構造から、さらに優れた耐熱性、耐光性、化学的安定性、低誘電性等を示すことが知られており、その応用が期待されている。
多面体構造を有するポリシロキサンを用いた応用例として、光素子封止剤用途への展開を意図したものがあり、例えば特許文献1において、2つ以上のオキセタニル基を含有する多面体構造を有するポリシロキサン樹脂と、1つ以上のエポキシ基を含有する脂肪族炭化水素とカチオン重合開始剤とを含有する多面体骨格を有するポリシロキサン系組成物が開示されており、この材料は高屈折で光の取り出し効率が高い。しかしながら、ここに記載されているポリシロキサン系組成物は、オキセタニル基やエポキシ基を有しているため、耐熱性、耐光性が低い問題があった。
このような問題に対し、例えば、特許文献2では、エポキシ基を有するポリオルガノポリシロキサンのガラス転移温度を限定することで耐熱性、耐光性の課題を改善しており、さらに、この材料は耐冷熱衝撃試験後も、クラックが生じにくいとされている。しかしながら、依然、白色LEDのような高い耐熱性、耐光性が求められる用途での使用は困難であり、耐冷熱衝撃性も満足できる材料ではなかった。
また、ポリシロキサン系組成物は優れた特性を持つ一方で、一般にガスバリア性が低いといった問題点を有している。そのためガスバリア性が低いポリシロキサン系組成物を封止材として用いた場合、リフレクターが硫化物によって黒色化する問題があり、この問題に対して、例えば、特許文献3では、予め金属部材をガスバリア性の高いアクリル系樹脂でコーティング処理を行い、そのうえで、シリコーン樹脂で封止を行っている。しかしながら、該当技術で使用しているシリコーン樹脂自体のガスバリア性は低く、アクリル系樹脂でコーティング処理を行った後に、別途シリコーン樹脂で封止する等、手間がかかり、生産性に問題があった。
また、特許文献4において、多面体構造を有するポリシロキサン系変性体を用いた組成物が開示されている。この組成物は、成型加工性、透明性、耐熱性、耐光性、接着性に優れており、光学用封止剤として用いることができる。しかしながら、ガスバリア性についてはさらなる改良の余地も残されていた。
上記のように、ポリシロキサンを用いた材料の開示は見られるが、高い耐熱性、耐光性を維持し、ガスバリア性および耐冷熱衝撃性に優れた材料の例は見られず、新たな材料の開発が求められていた。
特開2008−163260 特開2007−169427 特開2009−206124 WO08/010545
高い耐熱性、耐光性を有し、ガスバリア性および耐冷熱衝撃性に優れるポリシロキサン系組成物を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、
アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)に対して、ヒドロシリル基を含有する化合物(b)をヒドロシリル化反応させて得ることができる多面体構造ポリシロキサン変性体(A)、
1分子中にアルケニル基を2個以上含有するポリシロキサン(B)、
アルケニル基を含有する有機化合物(c)に対して、ヒドロシリル基を含有する化合物(d)をヒドロシリル化反応させて得ることができる化合物(C)、
からなることを特徴とする多面体構造ポリシロキサン系組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
(1). アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)に対して、ヒドロシリル基を含有する化合物(b)をヒドロシリル化反応させて得ることができる多面体構造ポリシロキサン変性体(A)、
1分子中にアルケニル基を2個以上含有するポリシロキサン(B)、
アルケニル基を含有する有機化合物(c)に対して、ヒドロシリル基を含有する化合物(d)をヒドロシリル化反応させて得ることができる化合物(C)
からなることを特徴とする多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(2). 多面体構造ポリシロキサン変性体(A)が、温度20℃において、液状であることを特徴とする、(1)に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(3). ヒドロシリル基を含有する化合物(b)が、ヒドロシリル基を含有する環状シロキサン、および/または、分子末端にヒドロシリル基を含有する直鎖状シロキサンであることを特徴とする、(1)または(2)に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(4). アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)が、式
[AR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2]
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)
で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(5). 多面体構造ポリシロキサン変性体(A)が、
[XR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2]
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(1)あるいは一般式(2)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が異なっていても良くまた一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が混在していても良い。
Figure 2012162666
Figure 2012162666
(lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、YあるいはZの少なくとも1つは水素原子である)を構成単位とすることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(6). アルケニル基を含有する有機化合物(c)が下記一般式(3)
Figure 2012162666
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物を含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(7). アルケニル基を含有する有機化合物(c)が、トリアリルイソシアヌレート、および/または、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(8). ヒドロシリル基を含有する化合物(d)が、ヒドロシリル基を含有する環状シロキサン、および/または、分子末端にヒドロシリル基を含有する直鎖状シロキサンであることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(9). アルケニル基を含有する有機化合物(D)を含有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(10). アルケニル基を含有する有機化合物(D)が下記一般式(3)
Figure 2012162666
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物を含むことを特徴とする(9)に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(11). アルケニル基を含有する有機化合物(D)が、トリアリルイソシアヌレート、および/または、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートであることを特徴とする(10)または(11)に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(12). 1分子中にアルケニル基を2個以上含有するポリシロキサン(B)が、アリール基を1個以上有することを特徴とする、(1)〜(11)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(13). ヒドロシリル化触媒を含有することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(14). 硬化遅延剤を含有することを特徴とする、(1)〜(13)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
(15). (1)〜(14)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物を硬化させてなる硬化物。
高い耐熱性、耐光性を有し、ガスバリア性および耐冷熱衝撃性に優れるポリシロキサン系組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)>
本発明におけるアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)は、分子中にアルケニル基を含有する、多面体骨格を有するポリシロキサンであれば、特に限定はない。具体的に、例えば、以下の式
[RSiO3/2[RSiO3/2
(x+yは6〜24の整数;xは1以上の整数、yは0または1以上の整数;Rはアルケニル基、または、アルケニル基を有する基;Rは、任意の有機基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)
で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物を好適に用いることができ、さらには、式
[AR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2]
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)
で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物が好ましいものとして例示される。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
は、アルキル基またはアリール基である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示され、また、アリール基としては、フェニル基、トリル基等のアリール基が例示される。本発明におけるRとしては、耐熱性・耐光性の観点から、メチル基が好ましい。
は、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示され、また、アリール基としては、フェニル基、トリル基等のアリール基が例示される。本発明におけるRとしては、耐熱性・耐光性の観点から、メチル基が好ましい。
aは1以上の整数であれば、特に制限はないが、化合物の取り扱い性や得られる硬化物の物性から、2以上、さらには3以上が好ましい。また、bは、0または1以上の整数であれば、特に制限はない。
aとbの和(=a+b)は、6〜24の整数であるが、化合物の安定性、得られる硬化物の安定性の観点から、6〜12、さらには、6〜10であることが好ましい。
(a)成分の合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて合成することができる。合成方法としては、例えば、RSiX (式中Rは、上述のR、Rを表し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)のシラン化合物の加水分解縮合反応によって、得られる。または、RSiX の加水分解縮合反応によって分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物を合成したのち、さらに、同一もしくは異なる3官能性シラン化合物を反応させることにより閉環し、多面体構造ポリシロキサンを合成する方法も知られている。
その他にも、例えば、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下で加水分解縮合させる方法が挙げられる。本合成方法においては、テトラアルコキシシランの加水分解縮合反応により、多面体構造を有するケイ酸塩が得られ、さらに得られたケイ酸塩をアルケニル基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより、多面体構造を形成するSi原子とアルケニル基とが、シロキサン結合を介して結合した多面体構造ポリシロキサンを得ることが可能となる。本発明においては、テトラアルコキシランの替わりに、シリカや稲籾殻等のシリカを含有する物質からも、同様の多面体構造ポリシロキサンを得ることが可能である。
<ヒドロシリル基を含有する化合物(b)>
本発明におけるヒドロシリル基を含有する化合物(b)は、分子中にヒドロシリル基を有していれば特に制限はないが、得られる多面体構造ポリシロキサン変性体の透明性、耐熱性、耐光性の観点から、ヒドロシリル基を有するシロキサン化合物であることが好ましく、さらには、ヒドロシリル基を有する直鎖状シロキサンまたは環状ポリシロキサンであることが好ましい。これらヒドロシリル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドロシリル基を含有する直鎖状ポリシロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
本発明におけるヒドロシリル基を含有する直鎖状ポリシロキサンとしては、変性させる際の反応性や得られる硬化物の耐熱性、耐光性等の観点から、ジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリシロキサン、さらにはジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリジメチルシロキサンを好適に用いることができ、具体的に例えば、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサンなどが、好ましい例として例示される。
ヒドロシリル基を含有する環状シロキサンとしては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−1,3,5−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。本発明におけるヒドロシリル基を含有する環状シロキサンとしては、工業的入手性および変性させる場合の反応性、あるいは、得られる硬化物の耐熱性、耐光性、強度等の観点から、具体的に例えば、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを好適に用いることができる。
本発明においては、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上は、水素原子、ビニル基およびメチル基から構成されることが好ましい。
<多面体構造ポリシロキサン変性体(A)>
多面体構造ポリシロキサン変性体(A)は、後述のヒドロシリル化触媒の存在下、アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)とヒドロシリル基を含有する化合物(b)とのヒドロシリル化反応により合成することができる。この際、(A)成分のアルケニル基は、すべて反応する必要はなく、一部残存していてもよい。
ヒドロシリル基を含有する化合物(b)の添加量は、(A)成分のアルケニル基の個数1個あたり、Si原子に直結した水素原子の数が2.5〜20個になるように用いることが好ましい。添加量が少ないと、架橋反応によりゲル化が進行するため、(A)成分のハンドリング性が劣り、多すぎると、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、(A)成分の合成時には、過剰量の(b)成分を存在させるため、例えば減圧・加熱条件下にて、未反応の(b)成分を取り除くことが好ましい。
(A)成分の合成時に用いるヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、(a)成分のアルケニル基1モルに対して10−1〜10−10モルの範囲で用いるのがよい。好ましくは10−4〜10−8モルの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化触媒が多すぎると、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、着色原因になったり、得られる硬化物の耐光性が低下する恐れがあり、また、硬化物が発泡する恐れもある。また、ヒドロシリル化触媒が少なすぎると、反応が進まず、目的物が得られない恐れがある。
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、45〜140℃である。温度が低すぎると反応が十分に進行せず、温度が高すぎると、ゲル化が生じ、ハンドリング性が悪化する恐れがある。
このようにして得られた(A)成分は、各種化合物、特にはシロキサン系化合物との相溶性を確保でき、さらに、分子内にヒドロシリル基が導入されていることから、各種アルケニルを有する化合物と反応させることが可能となる。具体的には、後述の1分子中にアルケニル基を2個以上含有するポリシロキサン(B)と反応させることにより、硬化物を得ることができる。この際、(A)成分におけるヒドロシリル基は、分子中に少なくとも3個含有することが好ましい。ヒドロシリル基が3個未満である場合、得られる硬化物の強度が不十分となる恐れがある。
また、本発明における(A)成分は、温度20℃において液状とすることも可能である。このような液状の(A)成分は、例えば、(a)成分に、ヒドロシリル基を有する環状シロキサンまたは直鎖状ポリシロキサンで変性することで得ることができる。(A)成分を液状とすることで、ハンドリング性に優れることから好ましい。
本発明における(A)成分としては、
[XR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2]
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(1)あるいは一般式(2)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が異なっていても良くまた一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が混在していても良い。
Figure 2012162666
Figure 2012162666
(lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、YあるいはZの少なくとも1つは水素原子である;Rは、アルキル基、もしくはアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。)が耐熱性、耐光性、あるいは、得られる硬化物の強度の観点から、好ましい例として挙げられる。
<1分子中にアルケニル基を2個以上含有するポリシロキサン(B)>
本発明における1分子中にアルケニル基を2個以上含有するポリシロキサン(B)は、1分子中にアルケニル基を2個以上含有していればよく、好ましくは2〜10個である。1分子中のアルケニル基の数が多いと、より架橋構造をとり、ガスバリア性が向上するが、多すぎると、耐冷熱衝撃性が低下する恐れもある。
(B)成分のシロキサンのユニット数は、特に限定されないが、2つ以上が好ましく、さらに好ましくは、2〜10個である。1分子中のシロキサンのユニット数が少ないと、多面体構造ポリシロキサン系組成物の系内から揮発しやすくなり、望まれた物性が得られないことがある。また、シロキサンのユニット数が多いと、得られる硬化物の、ガスバリア性が低くなることがある。
(B)成分は、アリール基を含有していることが、ガスバリア性の観点から好ましい。また、アリール基を含有する(B)成分は、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上に直接アリール基が結合していることが好ましい。また、アリール基は分子の側鎖または末端いずれにあってもよく、このようなアリール基含有ポリシロキサンの分子構造は限定されず、例えば直鎖状、分岐鎖状、一部分岐鎖状を有する直鎖状の他に、環状構造を有してもよい。
このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、3−イソブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、3−tブチルフェニル基、4−tブチルフェニル基、3−ペンチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3−ジエチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,5−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ビフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基、3−エポキシフェニル基、4−エポキシフェニル基、3−グリシジルフェニル基、4−グリシジルフェニル基等が挙げられる。中でも、耐熱・耐光性の観点から、フェニル基が好ましい例として挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種類以上併用して用いてもよい。
(B)成分は、耐熱性、耐光性の観点から、アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン、アルケニル基を2個以上有する環状シロキサンなどのアルケニル基を有するポリシロキサンが好ましい例として挙げられる。これらアルケニル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリエチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリエチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリエチルシロキシ単位との共重合体などが例示される。中でも、耐熱・耐光性の観点から、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンが好ましい例として挙げられる。
分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルアルケニル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルアルケニルシロキサン単位とSiO単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサン、ジエチルアルケニル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジエチルアルケニルシロキサン単位とSiO単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。中でも、耐熱・耐光性の観点から、ジメチルアルケニル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルアルケニルシロキサン単位とSiO単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンが好ましい例として挙げられる。
アルケニル基を2個以上有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1−フェニル−3,5,7−トリメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3−ジフェニル−5,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,5−ジフェニル−3,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5−トリフェニル−7−メチルシクロテトラシロキサン、1−フェニル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジフェニル−5,7−ジビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示される。中でも、耐熱・耐光性の観点から、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1−フェニル−3,5,7−トリメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3−ジフェニル−5,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,5−ジフェニル−3,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5−トリフェニル−7−メチルシクロテトラシロキサン、1−フェニル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジフェニル−5,7−ジビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンが好ましい例として挙げられる。
これらは、単独で用いても良く、2種類以上併用して用いてもよい。
(B)成分の添加量は種々設定できるが、(B)成分に含まれるアルケニル基1個あたり、前述の多面体構造ポリシロキサン変性体(A)と後述の化合物(C)に含まれるヒドロシリル基が0.3〜5個、好ましくは、0.5〜3個となる割合で添加されることが望ましい。アルケニル基の割合が少なすぎると、発泡等による外観不良が生じやすくなり、また、多すぎると、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
<アルケニル基を含有する有機化合物(c)>
本発明におけるアルケニル基を含有する有機化合物(c)は、アルケニル基を含有する有機化合物であれば特に限定されないが、ポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲンのみを含むものであることが好ましい。シロキサン単位を含むものの場合は、ガスバリア性やはじきが問題となる場合がある。
(c)成分中のアルケニル基の位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(c)成分は、有機重合体系化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
有機重合体系化合物としては例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系などの化合物を用いることができる。
また有機単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
アルケニル基としては特に限定されないが、下記一般式(4)
Figure 2012162666
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、下記一般式(5)
Figure 2012162666
で示される基が特に好ましい。
(c)成分のアルケニル基としては、下記一般式(6)で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。
Figure 2012162666
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)また、原料の入手の容易さからは、下記式で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が好適である。
Figure 2012162666
アルケニル基は(c)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
Figure 2012162666
Figure 2012162666
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
Figure 2012162666
などが挙げられる。
(c)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
Figure 2012162666
Figure 2012162666
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグルシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
(c)成分としては、上記のように骨格部分とアルケニル基とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
(c)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点からは、アルケニル基を(c)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが好ましく、1gあたり0.005mol以上含有するものがより好ましく、0.008mol以上含有するものがさらに好ましい。
(c)成分のアルケニル基の数は、平均して1分子当たり少なくとも2個あればよいが、得られる硬化物の強度をより向上したい場合には2を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。
(c)成分としては反応性が良好であるという観点からは、1分子中にアルケニル基を1個以上含有していることが好ましく、1分子中にアルケニル基を2個以上含有していることがより好ましい。また貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中にアルケニル基を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にアルケニル基を4個以下含有していることがより好ましい。
(c)成分としては、耐熱性が高いという観点および原料液の糸引き性が少なく成形性、取扱い性、塗布性が良好であるという観点からは、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
(c)成分としては、着色特に黄変の抑制の観点からはフェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものが好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは上述のフェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換された基を示す。
得られる硬化物の着色が少なく、耐光性が高いという観点からは、(c)成分としてはビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
(c)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
特に(c)成分としては耐熱性・耐光性が高いという観点から下記一般式(3)で表されるトリアリルイソシアヌレート及びその誘導体が特に好ましい。
Figure 2012162666
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(3)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 2012162666
等が挙げられる。
上記一般式(3)のRとしては、得られる硬化物の各種材料との接着性が良好になりうるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
Figure 2012162666
で表されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、グリシジル基、
Figure 2012162666
等が挙げられる。
上記一般式(3)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 2012162666
等が挙げられる。
上記一般式(3)のRとしては、反応性が良好になるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つが
Figure 2012162666
で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、下記一般式(7)
Figure 2012162666
(式中R10は水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましく、
3つのRのうち少なくとも2つが下記一般式(8)
Figure 2012162666
(式中R11は直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基を表し、R12は水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される有機化合物(複数のR11およびR12はそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)であることがさらに好ましい。
上記一般式(8)のR11は、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基であるが、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは炭素数1〜20の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜10の二価の有機基であることがより好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいR11の例としては、
Figure 2012162666
等が挙げられる。
上記一般式(8)のR11としては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、直接結合あるいは2つ以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいR11の例としては、
Figure 2012162666
が挙げられる。
上記一般式(8)のR12は、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
ただし、上記のような一般式(3)で表される有機化合物の好ましい例においても、アルケニル基を1分子中に少なくとも1個含有することは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、アルケニル基を1分子中に2個以上含有する有機化合物であることがより好ましい。
以上のような一般式(3)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
Figure 2012162666
などが挙げられ、中でも、硬化物の耐熱性や接着性の観点からは、トリアリルイソシアヌレートやジアリルモノグリシジルイソシアヌレートが特に好ましい。(c)成分は単独で用いてもよいし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
<ヒドロシリル基を含有する化合物(d)>
本発明におけるヒドロシリル基を含有する化合物(d)としては、上述した(b)成分と同じものを用いることができる。(d)成分は単独で用いてもよいし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
<アルケニル基を含有する有機化合物(c)とヒドロシリル基を含有する化合物(d)をヒドロシリル化反応させて得ることができる化合物(C)>
本発明の化合物(C)は、アルケニル基を含有する有機化合物(c)と、ヒドロシリル基を含有する化合物(d)を、後述のヒドロシリル化触媒の存在下で反応させて得られる、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物である。この際、(c)成分のアルケニル基は、すべて反応する必要はなく、一部残存していてもよい。
(c)成分と(d)成分をヒドロシリル化反応させる場合の(c)成分と(d)成分の混合比率は、特に限定されないが、得られる化合物の粘度が低く、取扱い性が良いという点からは、(c)成分中のアルケニル基の総数(P)と、混合する(d)成分中のSiH基の総数(Q)との比が、Q/P≧6であることが好ましく、Q/P≧8であることがより好ましい。Q/P≧10であることがさらに好ましい。Q/Pが小さいと、架橋反応によりゲル化が進行するため、(C)成分のハンドリング性が劣り、大きすぎると、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、(C)成分の合成時には、過剰量の(d)成分を存在させるため、例えば減圧・加熱条件下にて、未反応の(d)成分を取り除くことが好ましい。未反応の(d)成分を取り除くことで、組成物とした後の硬化時にボイド、クラックの問題が生じにくい。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは80℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
ヒドロシリル化触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(d)成分のヒドロシリル基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(d)成分のヒドロシリル基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。ヒドロシリル化触媒が多すぎると、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、着色原因になったり、得られる硬化物の耐光性が低下する恐れがあり、また、硬化物が発泡する恐れもある。また、ヒドロシリル化触媒が少なすぎると、反応が進まず、目的物が得られない恐れがある。
反応させる場合の(c)成分、(d)成分、ヒドロシリル化触媒の混合方法としては、各種方法をとることができるが、(c)成分に触媒を混合したものを、(d)成分に混合する方法が好ましい。(c)成分と(d)成分の混合物に触媒を混合する方法だと反応の制御が困難な場合がある。(d)成分と触媒を混合したものに(c)成分を混合する方法をとる場合は、(d)成分や触媒が変質する場合がある。
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
以上のような、(c)成分と(d)成分を反応させて得られる(C)成分の例としては、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビスフェノールAジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビスフェノールSジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルシクロヘキセンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジシクロペンタジエンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物などを挙げることができる。中でも、硬化物の耐熱性や耐光性、接着性の観点からは、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物が好ましい。
(C)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(C)成分の添加量は種々設定できるが、前述の1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B)に含まれるアルケニル基1個あたり、前述の多面体構造ポリシロキサン系変性体(A)と(C)成分に含まれるヒドロシリル基が0.3〜5個、好ましくは、0.5〜3個となる割合で添加されることが望ましい。アルケニル基の割合が少なすぎると、発泡等による外観不良が生じやすくなり、また、多すぎると、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。また、(C)成分は、(A)成分と(B)成分の重量の和を100重量部とした場合に、(C)成分の重量が1〜40重量部以下、好ましくは2〜30重量部以下、さらに好ましく5〜20重量部以下となるように添加されることが望ましい。(D)成分の添加量が多いと耐熱性、耐光性が低下する場合や得られる硬化物が白濁する場合がある。
(C)成分の添加量が少ないとガスバリア性が十分でない場合があり、(C)成分の添加量が多いと耐熱性、耐光性が低下する場合がある。
<アルケニル基を含有する有機化合物(D)>
本発明におけるアルケニル基を含有する有機化合物(D)としては、上述の(c)成分として例示したものと同じものを用いることができ、(c)成分と同じでも異なっていてもよい。(D)成分は本発明の多面体構造ポリシロキサン系組成物のガスバリア性をさらに向上させる目的で添加される。
(D)成分は単独で用いてもよいし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
(D)成分の添加量は種々設定できるが、前述の1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B)と(D)成分に含まれるアルケニル基1個あたり、前述の多面体構造ポリシロキサン系変性体(A)と前述の化合物(C)に含まれるヒドロシリル基が0.3〜5個、好ましくは、0.5〜3個となる割合で添加されることが望ましい。アルケニル基の割合が少なすぎると、発泡等による外観不良が生じやすくなり、また、多すぎると、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。また、(D)成分は、(A)成分と(B)成分の重量の和を100重量部とした場合に、(C)成分と(D)成分の重量の和が50重量部以下、好ましくは40重量部以下、さらに好ましく30重量部以下となるように添加されることが望ましい。(D)成分の添加量が多いと耐熱性、耐光性が低下する場合や得られる硬化物が白濁する場合がある。
<ヒドロシリル化触媒>
本発明では、多面体構造ポリシロキサン変性体(A)の合成、化合物(C)の合成、および、該化合物を用いた多面体構造ポリシロキサン系組成物を硬化させる際に、ヒドロシリル化触媒を用いる。
本発明で用いるヒドロシリル化触媒としては、通常ヒドロシリル化触媒として公知のものを用いることができ特に制限はない。
具体的には例示すれば、白金−オレフィン錯体、塩化白金酸、白金の単体、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体、例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt〔(MeViSiO)4m;白金−ホスフィン錯体、例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34;白金−ホスファイト錯体、例えば、Pt〔P(OPh)34、Pt〔P(OBu)34(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。
<硬化遅延剤>
硬化遅延剤は、本発明の多面体構造ポリシロキサン系組成物の保存安定性を改良あるいは、硬化過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整するための成分である。本発明においては、硬化遅延剤としては、ヒドロシリル化触媒による付加型硬化性組成物で用いられている公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、具体的には3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示できる。
有機リン化合物としては、具体的にはトリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示できる。
有機イオウ化合物としては、具体的にはオルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示できる。
窒素含有化合物としては、具体的にはN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が例示できる。
スズ系化合物としては、具体的にはハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示できる。
有機過酸化物としては、具体的にはジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。これらのうち、マレイン酸ジメチル、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが、特に好ましい硬化遅延剤として例示できる。
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10−1〜10モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜100モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
<多面体構造ポリシロキサン系組成物>
本発明の多面体構造ポリシロキサン系組成物は、アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)に対して、ヒドロシリル基を含有する化合物(b)をヒドロシリル化反応させて得ることができる多面体構造ポリシロキサン変性体(A)、
1分子中にアルケニル基を2個以上含有するポリシロキサン(B)、
アルケニル基を含有する有機化合物(c)に対して、ヒドロシリル基を含有する化合物(d)をヒドロシリル化反応させて得ることができる化合物(C)、
必要に応じてアルケニル基を含有する有機化合物(D)、ヒドロシリル化触媒、硬化遅延剤などを加えることにより得ることができる。本発明の多面体構造ポリシロキサン系組成物は、液状樹脂組成物として取り扱うことが可能である。液状組成物とすることにより、型、パッケージ、基板等に流し込み、加熱して硬化させることで容易に成型体を得ることができる。本発明の多面体構造ポリシロキサン系組成物によって得られる成型体は、高硬度、低熱膨張率を有しており、熱寸法安定性に優れる。
硬化させる際に温度を加える場合は、好ましくは、30〜400℃、さらに好ましくは50〜250℃である。硬化温度が高くなり過ぎると、得られる硬化物に外観不良が生じる傾向があり、低すぎると硬化が不十分となる。また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることができ好ましい。
本発明においては、必要に応じて、ヒドロシリル化触媒を追加して用いることができる。
硬化時間は硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒の量及びヒドロシリル基の量、その他、本願組成物のその他の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、1分〜12時間、好ましくは10分〜8時間行うことにより、良好な硬化物を得ることができる。
本発明における多面体構造ポリシロキサン系組成物は、具体的に例えば、パッケージや基板などに、注入あるいは塗布して使用することが可能である。注入あるいは塗布した後、上述の硬化条件にて、硬化させることで、用途に応じた成型体を容易に得ることができる。
また、本発明の多面体構造ポリシロキサン系組成物には、必要に応じて接着性付与剤を添加することができる。接着性付与剤は本発明における多面体構造ポリシロキサン系組成物と基材との接着性を向上する目的で用いるものであり、その様な効果があるものであれば特に制限はないが、シランカップリング剤が好ましい例として例示できる。
シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、具体的には3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
シランカップリング剤の添加量としては、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の混合物100重量部に対して、0.05〜30重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明においては、接着性付与剤の効果を高めるために、公知の接着性促進剤を用いることができる。接着性促進剤としては、エポキシ含有化合物、エポキシ樹脂、ボロン酸エステル化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明の多面体構造ポリシロキサン系組成物には、必要に応じて無機フィラーを添加することができる。本発明の多面体構造ポリシロキサン系組成物の組成分として無機フィラーを用いることにより、得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、およびガスバリア性等の諸物性を改善することができる。
無機フィラーは、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
無機フィラーは、適宜表面処理をほどこしてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、カップリング剤による処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
前記カップリング剤の例としては、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が挙げられる。
上記無機フィラーを多面体構造ポリシロキサン系組成物の組成分として用いることにより、得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性等の諸物性を改善することができる。
無機フィラーの形状としては、破砕状、片状、球状、棒状等、各種用いることができる。
無機フィラーの添加量は特に限定されないが、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の混合物100重量部に対して、1〜1000重量部、よりこの好ましくは、5〜500重量部、さらに好ましくは、10〜300重量部である。無機フィラーの添加量が多すぎると、流動性が悪くなる場合があり、少ないと、得られる成型体の物性が不十分となる場合がある。
これら無機フィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。無機フィラーの混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下に行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合する際の温度が高いと、成型する前に組成物が硬化する場合がある。
また、本発明の多面体構造ポリシロキサン系組成物には、必要に応じて蛍光体、着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
本発明に用いる多面体構造ポリシロキサン系組成物は、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりしてもよい。
本発明の多面体構造ポリシロキサン系組成物は、成形体として使用することができる。成形方法としては、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、液状射出成形、注型成形などの任意の方法を使用することができる。
<光学デバイス>
本発明の多面体構造ポリシロキサン系組成物は、光素子封止剤としても有用であり、当該封止剤を用いて光学デバイスを作成することも可能である。
光学デバイスとしては、具体的に例えば、光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止剤が例示される。さらに具体的には、次世代DVD等の光ピックアップ用の部材、例えば、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、対物レンズ、センサレンズ、保護フィルム、素子封止剤、センサー封止剤、グレーティング、接着剤、プリズム、波長板、補正板、スプリッタ、ホログラム、ミラーなどが例示される。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部などが例示される。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーなどが例示される。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤などが例示される。光センシング機器のレンズ用材料、封止剤、接着剤、フィルムなどが例示される。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止剤、接着剤などが例示される。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止剤、接着剤などが例示される。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LED素子の封止剤、接着剤などが例示される。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーなどが例示される。
半導体集積回路周辺材料では、層間絶縁膜、パッシベーション膜、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料などが例示される。
次に本発明の組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(SiH価)
各化合物のSiH価は、その化合物とジブロモエタンの混合物を作り、重クロロホルムに溶解させ、バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製 300MHz NMRを用いてNMR測定を行うことで、下記計算式(1)
SiH価(mol/kg)=[化合物のSiH基に帰属されるピークの積分値]/[ジブロモエタンのメチル基に帰属されるピークの積分値]×4×[混合物中のジブロモエタン重量]/[ジブロモエタンの分子量]/[混合物中の化合物重量] (1)
を用いて計算した。
(耐熱試験、耐光試験用サンプル作成)
組成物を型に充填し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させて、厚さ2mmのサンプルを作成した。
(耐熱試験)
上記の通り作成したサンプルを、150℃に温度設定した対流式オーブン内(空気中)で200時間養生し、目視にて観察した。着色などによる色目の変化が見られなかったものを○、見られたものを×と評価した。
(耐光試験)
スガ試験機(株)社製、メタリングウェザーメーター(形式M6T)を用いた。上記の通り作成したサンプルを、ブラックパネル温度120℃、放射照度0.53kW/mで、積算放射照度50MJ/mまで照射し、目視にて観察した。着色などによる色目の変化が見られなかったものを○、見られたものを×と評価した。
(耐冷熱衝撃試験用サンプル物作成)
株式会社エノモト製LEDパッケージ(品名:TOP LED 1−IN−1)に、0.4mm×0.4mm×0.2mmの単結晶シリコンチップ2個を、株式会社ヘンケルジャパン製エポキシ系接着剤(品名:LOCTITE348)で貼り付け、150℃に温度設定した対流式オーブンで30分加熱して固定した。ここに組成物を注入し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させてサンプルを作成した。
(耐冷熱衝撃試験)
上記の通り作成したサンプルを、熱衝撃試験機(エスペック製 TSA−71H−W)を用いて、高温保持100℃、30分間、低温保持−40℃、30分間のサイクルを200サイクル行った後、サンプルを観察した。試験後、目視で変化が無ければ○、樹脂にクラックが入ったり、樹脂とパッケージとの間に剥離、あるいは樹脂の着色が起きたりした場合は×とした。
(透湿性試験用サンプル作成)
(本発明では、得られた硬化物のガスバリア性の指標として、硬化物の透湿度を用いた。すなわち、透湿度が低いことはガスバリア性が高いことと同義となる。)多面体構造ポリシロキサン系組成物を型に充填し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させて、5cm角、厚さ2mmのサンプルを作成した。このサンプルを室温25℃、湿度55%RHの環境で24時間養生した。
(透湿性試験)
5cm角の板ガラス(0.5mm厚)の上部に5cm角のポリイソブチレンゴムシート(3mm厚、ロの字型になるように内部の3cm角を切り取ったもの)を固定した治具を作製し、和光純薬工業製塩化カルシウム(水分測定用)1gをロの字型内に充填する。さらに上部に、上記の5cm角、厚さ2mmのサンプルを固定し、これを試験体とする。試験体を恒温恒湿機(エスペック製 PR‐2KP)内で温度60℃、湿度90%RHで24時間養生し、下記計算式(2)
透湿度(g/m/day)={(透湿性試験後の試験体総重量(g))−(透湿性試験前の試験体総重量(g))}×10000/9 (2)
に従って透湿度(水蒸気透過率)を算出した。
(耐硫化水素試験)
株式会社エノモト製LEDパッケージ(品名:TOP LED 1−IN−1)に多面体構造ポリシロキサン系組成物を注入し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させてサンプルを作成した。このサンプルを、フロー式ガス腐食試験機(ファクトケイ製KG130S)内に入れ、40℃、80%RH、硫化水素3ppmの条件下で、96時間、硫化水素暴露試験を行った。試験後、パッケージのリフレクターが変色していなければ○、わずかに変色が見られた場合は△、黒くなっている場合は×とした。
(製造例1)
48%コリン水溶液(トリメチル−2ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)1262gにテトラエトキシシラン1083gを加え、室温で2時間激しく撹拌した。反応系内が発熱し、均一溶液になった段階で、撹拌を緩め、さらに12時間反応させた。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール1000mLを加え、均一溶液とした。
ジメチルビニルクロロシラン537g、トリメチルシリクロリド645gおよびヘキサン1942mLの溶液を激しく攪拌しながら、メタノール溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間反応させた後、有機層を抽出、濃縮することにより、固形物を得た。次に、生成した固形物をメタノール中で激しく攪拌することにより洗浄し、ろ別することにより、Si原子16個と、ビニル基3個を有するアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物であるトリス(ビニルジメチルシロキシ)ペンタキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン(Fw=1166.2)を白色固体として536g得た。
(製造例2)
製造例1で得られたアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物であるトリス(ビニルジメチルシロキシ)ペンタキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン20.0gをトルエン30.0gに溶解させ、さらに白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt-VTSC-3X)1.93μLを溶解させた。このようにして得られた溶液を、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン30.94g、トルエン30.94gの溶液に30分かけて滴下し、105℃で3時間反応させ、室温まで冷却した。
反応終了後、エチニルシクロヘキサノール8.00μl、マレイン酸ジメチル1.84μlを加え、トルエンと過剰量加えた1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを留去することにより、液状の多面体構造ポリシロキサン変性体22.0g(SiH価3.90mol/kg)を得た。
(製造例3)
2Lオートクレーブにトルエン602g、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン626gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温105℃で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌレート90.0gを、トルエン90.0gに溶解させ、さらに白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt-VTSC-3X)64.7μlを溶解させた混合液を40分かけて滴下した。滴下終了から4時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、室温まで冷却して反応を終了した。反応終了後、エチニルシクロヘキサノール8.00μl、マレイン酸ジメチル1.84μlを加え、トルエンと過剰量加えた1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを留去することにより、無色透明の液体の化合物を得た。本化合物はH−NMR測定より、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのヒドロシリル基の一部がトリアリルイソシアヌレートのアリル基と反応したものであることがわかった(SiH価8.60mol/kg)。
(実施例1)
製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体8.37gに、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン5.00gを加えて撹拌した。この混合物に対し、さらに、製造例3で得られた化合物0.93gを加えて撹拌し、多面体構造ポリシロキサン系組成物を作成した。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(実施例2)
製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体20.84gに、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン10.00gを加えて撹拌した。この混合物に対し、さらに、製造例3で得られた化合物0.91g、トリアリルイソシアヌレート0.63gを加えて撹拌し、多面体構造ポリシロキサン系組成物を作成した。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(実施例3)
製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体4.22gに、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン5.00gを加えて撹拌した。この混合物に対し、さらに、製造例3で得られた化合物2.81gを加えて撹拌し、多面体構造ポリシロキサン系組成物を作成した。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(実施例4)
製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体10.42gに、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン5.00gを加えて撹拌した。この混合物に対し、さらに、製造例3で得られた化合物2.74g、トリアリルイソシアヌレート1.88gを加えて撹拌し、多面体構造ポリシロキサン系組成物を作成した。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(比較例1)
製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体10.42gに、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン5.00gを加えて撹拌し、多面体構造ポリシロキサン系組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(比較例2)
製造例3で得られた化合物14.55gに、トリアリルイソシアヌレート10.00g加えて撹拌し、組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
Figure 2012162666
表1に示すように、本発明の多面体構造ポリシロキサン系組成物は、高い耐熱性、耐光性を有し、耐冷熱衝撃性およびガスバリア性に優れることが分かった。本発明の多面体構造ポリシロキサン系組成物は光素子封止剤としても有用であるとともに、当該封止剤を用いて光学デバイスを作成することも可能である。

Claims (15)

  1. アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)に対して、ヒドロシリル基を含有する化合物(b)をヒドロシリル化反応させて得ることができる多面体構造ポリシロキサン変性体(A)、
    1分子中にアルケニル基を2個以上含有するポリシロキサン(B)、
    アルケニル基を含有する有機化合物(c)に対して、ヒドロシリル基を含有する化合物(d)をヒドロシリル化反応させて得ることができる化合物(C)
    からなることを特徴とする多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  2. 多面体構造ポリシロキサン変性体(A)が、温度20℃において、液状であることを特徴とする、請求項1に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  3. ヒドロシリル基を含有する化合物(b)が、ヒドロシリル基を含有する環状シロキサン、および/または、分子末端にヒドロシリル基を含有する直鎖状シロキサンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  4. アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)が、式
    [AR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2]
    (a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)
    で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  5. 多面体構造ポリシロキサン変性体(A)が、
    [XR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2]
    (a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(1)あるいは一般式(2)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が異なっていても良くまた一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が混在していても良い。
    Figure 2012162666
    Figure 2012162666
    (lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、YあるいはZの少なくとも1つは水素原子である)を構成単位とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  6. アルケニル基を含有する有機化合物(c)が下記一般式(3)
    Figure 2012162666
    (式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  7. アルケニル基を含有する有機化合物(c)が、トリアリルイソシアヌレート、および/または、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  8. ヒドロシリル基を含有する化合物(d)が、ヒドロシリル基を含有する環状シロキサン、および/または、分子末端にヒドロシリル基を含有する直鎖状シロキサンであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  9. アルケニル基を含有する有機化合物(D)を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  10. アルケニル基を含有する有機化合物(D)が下記一般式(3)
    Figure 2012162666
    (式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物を含むことを特徴とする請求項9に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  11. アルケニル基を含有する有機化合物(D)が、トリアリルイソシアヌレート、および/または、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートであることを特徴とする請求項10または11に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  12. 1分子中にアルケニル基を2個以上含有するポリシロキサン(B)が、アリール基を1個以上有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  13. ヒドロシリル化触媒を含有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  14. 硬化遅延剤を含有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系組成物を硬化させてなる硬化物。


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