JP2017186479A - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高屈折率、ガスバリア性、耐冷熱衝撃性を兼ね備えた熱硬化性樹脂組成物であり、LED用封止材としての信頼性に優れる熱硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。【解決手段】 以下の(A)、(B)および(C)を含有する熱硬化性樹脂組成物とする。(A) SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンとの反応物であって、SiH基とアルケニル基とを有する熱硬化性樹脂(B) 両末端にSiH基を有し、主鎖に少なくとも1つのイソシアヌレートを有し、シロキサン鎖を主構造とする直鎖状の化合物。(C) Pt触媒【選択図】なし
Description
本発明は、高屈折率、ガスバリア性、耐冷熱衝撃性を兼ね備えたシルセスキオキサンとオルガノポリシロキサンからなる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であって、該熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物、該硬化物を利用した光半導体用組成物および光半導体素子を提供する。
LEDが照明等の幅広い用途に用いられるようになり、白色LEDの大出力化が進むにつれ、LED用封止材に対する要求特性は益々厳しくなってきている。そのため、白色LEDの大出力化に対応できる、高屈折率で、尚且つ、耐冷熱衝撃性も併せ持つ熱硬化性樹脂組成物が切望されていた。
耐熱性および耐UV(紫外線)性に優れるシルセスキオキサン材料が注目され、該材料を用いたLED用封止材が報告されてきている。
特許文献1には、カゴ型オクタシルセスキオキサンにSiH基を導入した熱硬化性樹脂とアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとの熱硬化性樹脂組成物によるLED用封止材が開示されている。
特許文献2には、通称ダブルデッカー型と呼ばれる不完全カゴ型シルセスキオキサンを用いた熱硬化性樹脂組成物が開示されている。該シルセスキオキサンは、フェニルトリメトキシシランの加水分解縮合により得られる構造制御された化合物であり、Si−Ph基の位置がランダムではなく構造制御されているため高屈折率でありながら耐熱性と耐光性に優れる。
特許文献2には、不完全カゴ型構造のシルセスキオキサンのシラノール基部にSiH基を修飾した化合物とアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとの反応から得られるSiH基とビニル基とを含む熱硬化性樹脂が開示されている。そして、この熱硬化性樹脂を硬化させたものは、高屈折率でありながら耐熱性が高く、さらにLEDのパッケージ材質であるポリフタルアミド樹脂基材または銀基材との密着性が良いことが示されている。
特許文献3および特許文献4には、ダブルデッカー型シルセスキオキサンを用いた熱硬化性樹脂組成物に片末端にSiH基を持つ直鎖状ポリオルガノシロキサンを配合することにより、耐冷熱衝撃性を熱硬化性樹脂に付与することができることが記載されている。
特許文献5には、減圧下で加熱して揮発性の低分子シロキサンを除去した、両末端にSiH基を有するオルガノポリシロキサンを成分として含むシリコーンゲル組成物が記載されている。
特許文献6には、LED照明の、輝度低下につながるLED基板に使用されている銀メッキ表面の腐食性ガス透過性を上げる(ガスバリア性)組成物の提案がなされている。
特許文献7および特許文献8には、特定の構造をもつ直鎖状の化合物を用いることにより、熱硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂に耐熱性等の特徴を与えることが記載されている。
特許文献1の該組成物は、基本的に−Me2Si−O−のユニットで構成されているため屈折率は高くない。さらに、該組成物の性状は、常温で固体であり、モールディング方式によるLEDの封止には適用できるが、ディスペンサー方式のLEDの封止には適用できない。
特許文献2に記載のSiH基を4つ有するダブルデッカー型シルセスキオキサンとビニル基を2個有するオルガノポリシロキサンとの反応から得られるSiH基とビニル基とを含む熱硬化性樹脂を用いた硬化物は、ダブルデッカー型シルセスキオキサン含有量が少ない場合、密着性能が弱くなるという課題がある。
また、一方シルセスキオキサン含有量が多い場合、密着性能は高くなるものの、樹脂が硬くなりすぎてしまうことがある。その結果、応力を緩和できずに、冷熱衝撃試験においてLEDパッケージからの剥離が起きてしまう事がある。さらに、ワイヤボンディングタイプのパッケージ方式においては、ワイヤ切断を起こしやすくなるという問題がある。
さらに、LEDの照明用途の拡大に伴い、LED基板に使用されている銀メッキ表面の腐食性ガスによる腐食による輝度低下が無視できなくなってきている。
特許文献3および特許文献4には、耐冷熱衝撃性を向上させることが可能であることが示されているが、腐食性ガスに対するガスバリア性については記述がない。
特許文献3および特許文献4には、耐冷熱衝撃性を向上させることが可能であることが示されているが、腐食性ガスに対するガスバリア性については記述がない。
特許文献6では、ガスバリア性を上げるための組成物についての記述があるが、耐冷熱衝撃性についての記述はない。
このガスバリア性と耐冷熱衝撃性はLED用封止材に求められている性能であるが、相反する関係にあり、これまで両立させることは難しかった。
このガスバリア性と耐冷熱衝撃性はLED用封止材に求められている性能であるが、相反する関係にあり、これまで両立させることは難しかった。
本発明は、高屈折率、ガスバリア性、高い耐冷熱衝撃性を併せ持つLED用封止材としての信頼性に優れる熱硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンとの反応から得られるSiH基とアルケニル基とを含む熱硬化性樹脂と、特定の構造をもつ直鎖状の化合物およびPt触媒を熱硬化性樹脂組成物に含有させることにより、上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1. 以下の(A)、(B)、および(C)を含有する熱硬化性樹脂組成物。
(A) SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンとの反応物であって、SiH基およびアルケニル基を有する熱硬化性樹脂。
(B) 両末端にSiH基を有し、主鎖にイソシアヌル環を含有する、シロキサン鎖を主構造とする直鎖状の化合物。
(C) Pt触媒。
1. 以下の(A)、(B)、および(C)を含有する熱硬化性樹脂組成物。
(A) SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンとの反応物であって、SiH基およびアルケニル基を有する熱硬化性樹脂。
(B) 両末端にSiH基を有し、主鎖にイソシアヌル環を含有する、シロキサン鎖を主構造とする直鎖状の化合物。
(C) Pt触媒。
2. (A)におけるシルセスキオキサンがダブルデッカー型シルセスキオキサンである項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
3. さらに、以下の(D)を含有する項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(D) SiH基を有するシルセスキオキサン、アルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサン、アルケニル基を有するエポキシ化合物、およびアルケニル基を有するシリル化合物を反応させることにより得られる、SiH基を有する化合物。
(D) SiH基を有するシルセスキオキサン、アルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサン、アルケニル基を有するエポキシ化合物、およびアルケニル基を有するシリル化合物を反応させることにより得られる、SiH基を有する化合物。
4. (A)が、式(1)で表される化合物である項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
式(1)において、
Xは独立して、式(X−I)、式(X−II)、または式(X−III)で表される基であり、式(1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(X−I)で表される基と式(X−II)で表される基と式(X−III)で表される基の割合が異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の式(X−I)で表される基の数をa、式(X−II)で表される基の数をb、式(X−III)で表される基の数をcとした場合に、a+2b+c=4であり、0<a≦3であり、0≦b≦1であり、0<c≦3であり;
R1は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルあり;
mは1〜100を満たす平均値である。
式(X−II)において、
R2およびR3は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり、
rは−OSi(R3)2−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値である。
式(X−III)において、
R4およびR5は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
sは−OSi(R5)2−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値であり;
R0は1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基であり、R0’はR0と同じ炭素数である飽和炭化水素基である。
式(1)において、
Xは独立して、式(X−I)、式(X−II)、または式(X−III)で表される基であり、式(1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(X−I)で表される基と式(X−II)で表される基と式(X−III)で表される基の割合が異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の式(X−I)で表される基の数をa、式(X−II)で表される基の数をb、式(X−III)で表される基の数をcとした場合に、a+2b+c=4であり、0<a≦3であり、0≦b≦1であり、0<c≦3であり;
R1は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルあり;
mは1〜100を満たす平均値である。
式(X−II)において、
R2およびR3は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり、
rは−OSi(R3)2−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値である。
式(X−III)において、
R4およびR5は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
sは−OSi(R5)2−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値であり;
R0は1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基であり、R0’はR0と同じ炭素数である飽和炭化水素基である。
5.(B)が、式(2)で表される化合物である項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
式(2)において、
R6は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または炭素数6〜12のアリールであり;
R7は独立して、炭素数1〜4のアルキルまたは水素であり;
nおよびmは独立して、1〜50を満たす平均値である。
式(2)において、
R6は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または炭素数6〜12のアリールであり;
R7は独立して、炭素数1〜4のアルキルまたは水素であり;
nおよびmは独立して、1〜50を満たす平均値である。
6. (D)が、式(D1)で表される化合物である請求項3〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
式(D1)において、
X’は独立して、下記式(a)、式(b)、式(c−i)、式(c−ii)、式(c−iii)、式(d−i)、式(d−ii)、または式(d−iii)で表される基であり、式(D1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(a)で表される基と、式(b)、式(c−i)、式(c−ii)、式(c−iii)、式(d−i)、式(d−ii)、または式(d−iii)で表される基の割合とが異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の、式(a)で表される基の数をA’、式(b)で表される基の数をB’、式(c−i)、式(c―ii)または式(c−iii)で表される基の数をC’、式(d−i)、式(d−ii)または式(d−iii)で表される基の数をD’とした場合に、A’+2B’+C’+D’=4であり、0.5≦A’≦3.0であり、0.5≦2B’≦2.0であり、0.1≦C’≦2.0であり、0≦D’≦1.0であり;
R1’は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり;
m’は1〜100を満たす平均値である。
式(b)において、
R2’およびR3’は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
tは−OSi(R3’)2−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値である。
式(d−i)におけるR4、式(d−ii)におけるR4’、および式(d−iii)におけるR4”は独立して、メチル、エチル、ブチル、およびイソプロピルから選択される基であり;
式(d−ii)におけるxは、−OSi(R4’)2−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値であり;
式(d−iii)におけるyは、−OSi(R4”)2−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値であり;
式(d−iii)におけるR0は炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
式(D1)において、
X’は独立して、下記式(a)、式(b)、式(c−i)、式(c−ii)、式(c−iii)、式(d−i)、式(d−ii)、または式(d−iii)で表される基であり、式(D1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(a)で表される基と、式(b)、式(c−i)、式(c−ii)、式(c−iii)、式(d−i)、式(d−ii)、または式(d−iii)で表される基の割合とが異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の、式(a)で表される基の数をA’、式(b)で表される基の数をB’、式(c−i)、式(c―ii)または式(c−iii)で表される基の数をC’、式(d−i)、式(d−ii)または式(d−iii)で表される基の数をD’とした場合に、A’+2B’+C’+D’=4であり、0.5≦A’≦3.0であり、0.5≦2B’≦2.0であり、0.1≦C’≦2.0であり、0≦D’≦1.0であり;
R1’は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり;
m’は1〜100を満たす平均値である。
式(b)において、
R2’およびR3’は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
tは−OSi(R3’)2−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値である。
式(d−i)におけるR4、式(d−ii)におけるR4’、および式(d−iii)におけるR4”は独立して、メチル、エチル、ブチル、およびイソプロピルから選択される基であり;
式(d−ii)におけるxは、−OSi(R4’)2−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値であり;
式(d−iii)におけるyは、−OSi(R4”)2−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値であり;
式(d−iii)におけるR0は炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
7. 項6の式(D1)において、R1’がメチルであり、m’が1〜25を満たす平均値であり、X’が独立して、式(a)、式(b)、式(c−i)、または式(d−i)で表される基である項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
8. 熱硬化性樹脂組成物全量基準で、(A)の割合が50〜95質量%、(B)の割合が2〜50質量%である項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
9. 熱硬化性樹脂組成物全量基準で、(D)の割合が1〜20質量%である項3〜8のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
10. さらに無機化合物が分散された項1〜9のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
11. 無機化合物が蛍光体または金属酸化物の少なくとも一方である、項10に記載の熱硬化性樹脂組成物。
12. 項1〜11のいずれか1項記載の熱硬化性樹脂組成物を成型して得られるプリプレグ。
13. 項1〜11のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物、または前項12に記載のプリプレグを硬化させて得られる硬化物。
14. 項1〜11のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物、または前項12に記載のプリプレグを含有する光半導体用組成物。
15.項14に記載の光半導体用組成物を封止剤として含む光半導体素子。
16.塗膜状またはシート状であり、厚みが0.1μm〜3,000μmである、項13に記載の硬化物。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物は、高屈折率であるという利点を保持しながら、弾性率を小さくすることができる。そのため、本発明の熱硬化性樹脂組成物により封止された硬化物は応力緩和能力に優れ、該熱硬化性樹脂組成物を用いて作製された光半導体装置は、厳しい信頼性試験に耐えうる光半導体装置となり得る。また、ガスバリア性が高い熱硬化性樹脂組成物であるため、腐食性ガスによるLED基板に使用されている銀メッキ表面の腐食を抑制し、輝度低下を抑えることができる。さらには、低硬度でありながら表面タック性が低く、ダイシング可能であり成形性にも優れる光半導体装置となりうる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ダブルデッカー型のシルセスキオキサン骨格が主成分である主剤である熱硬化性樹脂(A)と化合物(B)を併用することにより、上記の特性を発現できるものであり、熱硬化性樹脂(A)でガスバリア性を、化合物(B)でガスバリア性を担保しつつ応力緩和性能を与え、耐冷熱衝撃性を付与することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ダブルデッカー型のシルセスキオキサン骨格が主成分であるので、その硬化物は耐熱性に優れるとともに、耐UV性にも優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本願において、(A)で定義される熱硬化性樹脂のことを、熱硬化性樹脂(A)または単に(A)と表記することがある。また、(B)で定義される化合物は、化合物(B)または単に(B)と表記することがある。(D)、(E)で定義される化合物も同様である。(C)Pt触媒は、Pt触媒(C)または単に(C)と表記することがある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、以下の(A)、(B)、および(C)を含有することを特徴とする。
(A) SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンとの反応物であって、SiH基とアルケニル基とを含む熱硬化性樹脂
(B) 両末端にSiH基を有し、主鎖にイソシアヌル環を含有する、シロキサン鎖を主構造とする直鎖状の化合物。
(C) Pt触媒
以下、各成分について説明する。
(A) SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンとの反応物であって、SiH基とアルケニル基とを含む熱硬化性樹脂
(B) 両末端にSiH基を有し、主鎖にイソシアヌル環を含有する、シロキサン鎖を主構造とする直鎖状の化合物。
(C) Pt触媒
以下、各成分について説明する。
(A)で定義される熱硬化性樹脂は、SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンとの反応物である。SiH基を有するシルセスキオキサンとしては、ダブルデッカー型シルセスキオキサンおよびT8構造のカゴ型シルセスキオキサンが挙げられる。T8構造のカゴ型シルセスキオキサンは8個の官能基を有しているのに対して、本発明で用いているダブルデッカー型シルセスキオキサンは4つの官能基しか有しておらず、構造の制御が行いやすい。また完全縮合型のカゴ型シルセスキオキサンと違い、本発明で好適に用いているダブルデッカー型シルセスキオキサンは不完全縮合型であり、分子の自由度が比較的高く、柔軟性に優れる。このような観点からダブルデッカー型シルセスキオキサンが好ましい。
熱硬化性樹脂(A)としては、例えば、式(1)で表される化合物が挙げられる。
式(1)において、Xは独立して、式(X−I)、式(X−II)、または式(X−III)で表される基である。R1は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。mは1〜100を満たす平均値である。好ましいmは1である。
式(X−II)において、R2およびR3は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。rは−OSi(R3)2−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値である。好ましいrは2〜10である。
式(X−III)において、R4およびR5は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。sは−OSi(R5)2−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値である。好ましいsは2〜10であり、より好ましいsは2〜4である。R0は1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基であり、R0’はR0と同じ炭素数である飽和炭化水素基である。
式(1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(X−I)で表される基と式(X−II)で表される基と式(X−III)で表される基の割合が異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の式(X−I)で表される基の数をa、式(X−II)で表される基の数をb、式(X−III)で表される基の数をcとした場合に、a+2b+c=4であり、0<a≦3であり、0≦b≦1であり、0<c≦3である。
本発明において、a+2b+c=4であり、0<a≦3であり、0≦b≦1であり、0<c≦3を満たす範囲の化合物について説明する。
a>cであれば、式(1)で表される化合物は、平均的にアルケニル基よりSiH基の数の方が多く、いわゆるSiH基型の熱硬化性樹脂と定義できる。
アルケニル基は、炭素−炭素二重結合を含む基であれば特に制限されるものではなく、炭素数2〜5の脂肪族不飽和炭化水素基である。アルケニル基は、炭化水素基の分子鎖途中にあっても末端にあってもよいが、得られる組成物の硬化速度、硬化後の物性の点から、分子鎖末端、特に、分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
熱硬化性樹脂(A)としては、SiH基型の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。硬化物とした際の優れた特性を顕著とさせる観点から、好ましいaは1.0〜3.0であり、より好ましいaは1.5〜2.5である。式(1)で表される化合物中の、a、b、cは、任意に、例えば、国際公開第2011/145638号に記載の製造方法に準拠することにより調整できる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物全量基準で、熱硬化性樹脂(A)を50〜95質量%含有することが好ましく、80〜90質量%含有することがより好ましい。熱硬化性樹脂(A)の配合割合を50質量%以上とすることにより、ダブルデッカー型シルセスキオキサンが保有する特性、すなわち耐熱性、耐UV性、高屈折率等の特性を保持させることが可能であり、さらに80質量%以上とすることで、耐熱性がより向上する。また、熱硬化性樹脂(A)の配合割合を95質量%以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の粘度を一定の範囲内に収めることが可能である。
(B)で定義される化合物は、両末端にSiH基を有し、主鎖にイソシアヌル環を含有する、シロキサン鎖を主構造とする直鎖状の化合物であり、例えば下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
式(2)において、R6は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または炭素数6〜12のアリールである。R7は独立して、炭素数1〜4のアルキルまたは水素である。nおよびmは独立して、1〜50を満たす平均値である。
式(2)で表される化合物は、以下のような方法で合成することができる。
式(2)において、R6は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または炭素数6〜12のアリールである。R7は独立して、炭素数1〜4のアルキルまたは水素である。nおよびmは独立して、1〜50を満たす平均値である。
式(2’)または式(2”)で表わされる化合物は、一般的に市販品を使用できる。
式(2)において、R6は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または炭素数6〜12のアリールである。R7は独立して、炭素数1〜4のアルキルまたは水素である。nおよびmは独立して、1〜50を満たす平均値である。
式(2’)または式(2”)で表わされる化合物は、一般的に市販品を使用できる。
化合物(B)の役割は、熱硬化性樹脂(A)が持っているガスバリア性能を担保しつつ、低弾性率化することにより耐冷熱衝撃特性を熱硬化性樹脂組成物に付与することである。熱硬化性樹脂(A)と化合物(B)を併用することにより、上記目的は達成される。
化合物(B)の数平均分子量は、477〜20000であることが好ましい。化合物(B)の数平均分子量を20000以上になると、ガスバリア性能が低下するため、20000以下が好ましい。より好ましくは400〜10000である。
化合物(B)の配合割合は、本発明の全熱硬化性樹脂組成物中、2〜50質量%とすることが好ましく、5〜30質量%とすることがより好ましい。化合物(B)の配合割合を2質量%以上とすることにより、配合の効果を発現させることが可能となる。
(C)のPt触媒は、白金を含む触媒を意味し、白金は酸化されていなくてもよいし、酸化されていてもよい。酸化された白金としては、例えば、酸化白金が挙げられる。部分的に酸化された白金としては、例えば、アダムス触媒などが挙げられる。
Pt触媒(C)としては、例えば、カルステッド触媒(Karsted’t catalyst)、スパイヤー触媒(Speier catalyst)およびヘキサクロロプラチニック酸などが挙げられる。これらは一般的によく知られた触媒である。このなかでも酸化されていないタイプのカルステッド触媒が好ましく用いられる。
Pt触媒(C)の配合割合は、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化を進めるのに十分な量であることが好ましく、具体的には、0.01ppm〜10ppmとすることが好ましく、0.05ppm〜1ppmとすることがより好ましい。Pt触媒(C)の配合割合を0.01ppm以上とすることにより、硬化を進行させることが可能である。Pt触媒(C)の配合割合を0.05ppm以上とすることにより硬化を速やかに進行させることが可能である。また、Pt触媒(C)の配合割合を10ppm以下とすることにより、硬化物の耐熱性を保持させることが可能である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(D)で定義される化合物を、必要に応じてさらに含んでもよい。化合物(D)は、SiH基を有し、アルケニル基を有しても有さなくてもよい化合物である。
化合物(D)は、SiH基を有するシルセスキオキサン、アルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサン、アルケニル基を有するエポキシ化合物およびアルケニル基を有するシリル化合物を反応させることにより得られる。化合物(D)としては、例えば、下記式(D1)で表される化合物が挙げられる。
化合物(D)は、SiH基を有するシルセスキオキサン、アルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサン、アルケニル基を有するエポキシ化合物およびアルケニル基を有するシリル化合物を反応させることにより得られる。化合物(D)としては、例えば、下記式(D1)で表される化合物が挙げられる。
式(D1)において、X’は独立して、下記式(a)、式(b)、式(c−i)、式(c−ii)、式(c−iii)、式(d−i)、式(d−ii)または式(d−iii)で表される基であり、式(D1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(a)で表される基と式(b)、式(c−i)、式(c−ii)、式(c−iii)、式(d−i)、式(d−ii)または式(d−iii)で表される基の割合が異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の、式(a)で表される基の数をA’、式(b)で表される基の数をB’、
式(c−i)、式(c−ii)、または式(c−iii)で表される基の数をC’とし、式(d−i)、式(d−ii)、または式(d−iii)で表される基の数をD’とした場合に、A’+2B’+C’+D’=4であり、0.5≦A’≦3.0であり、0.5≦2B’≦2.0であり、0.1≦C’≦2.0であり、0≦D’≦1.0である。
式(c−i)、式(c−ii)、または式(c−iii)で表される基の数をC’とし、式(d−i)、式(d−ii)、または式(d−iii)で表される基の数をD’とした場合に、A’+2B’+C’+D’=4であり、0.5≦A’≦3.0であり、0.5≦2B’≦2.0であり、0.1≦C’≦2.0であり、0≦D’≦1.0である。
R1’は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、m’は1〜100を満たす平均値である。
式(b)において、R2’およびR3’は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり、tは−OSi(R3’)2−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値である。
式(d−i)におけるR4、式(d−ii)におけるR4’、および式(d−iii)におけるR4”は独立して、メチル、エチル、ブチル、またはイソプロピルである。式(d−ii)におけるxは−OSi(R4’)2−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値である。式(d−iii)におけるyは−OSi(R4”)2−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値である。式(d−iii)におけるR0は1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基である。
式(a)で表される基は、SiH基を有するシルセスキオキサン由来の基であり、式(b)で表される基に相当する化合物と、式(c−i)〜(c−iii)で表される基に相当するエポキシ誘導体、必要に応じて用いられる式(d−i)〜式(d−iii)で表される基に相当する化合物とが反応した後のSiH基残基である。したがって、式(a)で表される基は、本発明の化合物を密着付与材として適用するシルセスキオキサンとオルガノポリシロキサンとの反応物である熱硬化性樹脂と反応し得るため、本発明の化合物の密着付与材としての機能を強化する役割を持つ。
式(b)で表される基は、シルセスキオキサンの架橋成分であり、本発明の化合物に柔軟性を与えることができる。具体的には、例えば、式(D1)と架橋することで、式(1−1)で表される化合物のようなポリマー構造を与える。
式(1−1)において、X1は独立して、式(a)、式(c−i)〜(c−iii)、または式(d−i)〜(d−iii)で表される基であり、X2は前述した式(b)で表される式である。R1’は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、uは0〜100を満たす平均値である。
式(b)で表される基の数であるB’の値が大きくなればなるほど、分子同士の架橋成分が多くなり、本発明の化合物は高分子量の化合物になる。B’=0であれば、架橋成分が全く無い状態である。0<B’ ≦1の範囲では、B’の値が大きくなるにつれて架橋成分が増加し、分子量は増加する。B’>1の範囲では、分子同士の架橋が非常に進行した状態であり、ゲル状となるため熱硬化性樹脂として使用できない。B’の値を0<B’≦1の範囲内で変えることによって、本発明の化合物の分子量を調整することが出来る。
式(c−i)〜(c−iii)で表わされる基は、シルセスキオキサンとオルガノポリシロキサンとの架橋体中のSiH残基に結合したエポキシ基であり、LED用ハウジング基材との密着性を高める役割を持つ。(c−i)の成分は、エポキシ基に加えイソシアヌル環骨格を有する基であり、金属との密着性も高める役割を有する。
式(d−i)〜(d−iii)で表わされる基は、シルセスキオキサンとオルガノポリシロキサンとの架橋体中のSiH残基に結合したアルコキシシリル基またはトリアルキルシリル基またはアルケニルシリル基である。
式(d−i)で表される基は、(D)由来の基であり、任意の成分である。
式(d−i)で表される基は、金属との密着を向上する目的や、樹脂との相溶性を向上する目的で用いられる。
式(d−i)で表される基は、(D)由来の基であり、任意の成分である。
式(d−i)で表される基は、金属との密着を向上する目的や、樹脂との相溶性を向上する目的で用いられる。
式(d−i)において、R4は独立して、メチル、エチル、ブチル、またはイソプロピルである。
式(d−ii)で表される基は、(D)由来の基であり、任意の成分である。式(d−ii)で表される基は、樹脂との相溶性を向上する目的、粘度を調整する目的、または硬化性樹脂組成物を硬化させた後の硬度を調整する目的で用いられる。
式(d−ii)において、R4は独立して、メチル、エチル、ブチルおよびイソプロピルから選択される基であり、好ましくはメチルである。xは−OSi(R4’)2−の繰り返しの数で1〜20を満たす平均値であり、1〜10を満たす平均値であることがより好ましい。
式(d−iii)で表される基は、(D)由来の基であり、任意の成分である。式(d−iii)で表される基は、樹脂との相溶性を向上する目的、粘度を調整する目的、または硬化性樹脂組成物を硬化させた後の硬度を調整する目的で用いられる。
式(d−iii)において、R4”は独立して、メチル、エチル、ブチルおよびイソプロピルから選択される基であり、好ましくはメチルである。yは−OSi(R4”)2−の繰り返しの数であり、より好ましいyは1〜10を満たす平均値である。R0は炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基をである。
A’+2B’+C’+D’=4であり、0.5≦A’≦3.0であり、0.5≦2B’≦2.0であり、0.1≦C’≦2.0であり、0≦D’≦1.0である。A’からD’の値は、本発明の化合物を密着付与材として適用する熱可塑性樹脂組成物の性質に合わせて任意に調整できる。
(D)由来の基に関してさらに説明する。式(d−ii)または式(d−iii)で表される基を得るための反応試剤と反応の方法について説明する。
まず式(d−ii)で表される基または式(d−iii)で表される基を得るための反応試剤について説明する。
下記反応式に示すように、環状のオクタメチルテトラシクロシロキサン(D4)に対して、過剰モルのジビニルテトラジシロキサン(DVDS)とヘキサメチルジシロキサン(MM)を酸触媒存在下に平衡化反応を行い、化合物a、化合物b、化合物cの平衡化混合物を得て、式(d−ii)で表される基または式(d−iii)で表される基を得るための反応試剤とする。
反応式において、aは1〜20であり、bは1〜20であり、cは1〜20である。
R0は炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基を表す。
R0は炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基を表す。
D4に対するDVDSとMMを合わせた反応のモル比は、2以上が好ましい。モル比が2以上であれば、生成するシロキサン鎖の分子量は短く、蒸留で除去可能な成分となり、後の精製工程にて、反応に関与しなかった余分の化合物a、化合物b、および化合物cの除去が容易になる。
式(d−ii)または式(d−iii)で表される基を得るための反応の方法について記載する。
本発明のイソシアヌル環骨格を有し且つエポキシ基を有する化合物であり、式(d−ii)または式(d−iii)で表される基を持たせる反応として、(D)由来の基が式(c−i)で表される基である場合において説明する。
本発明のイソシアヌル環骨格を有し且つエポキシ基を有する化合物であり、式(d−ii)または式(d−iii)で表される基を持たせる反応として、(D)由来の基が式(c−i)で表される基である場合において説明する。
下記反応式に示すように、第1段目の反応おいて、SiH基を4つ持つダブルデッカー型の化合物であるDD−4Hと(c−i)であるMA−DGICを先にヒドロシリル化反応させ、式(c−i)で表わされる基を有する化合物をまず得る。なお式(c−i)の化合物は、四国化成株式会社よりMA−DGICとして販売されている。DD−4Hは国際公開第2004/024741号に記載された方法に従って合成することができる。
反応式において、aiは0.1≦ai≦3.5である。
次いで、下記反応式に示すように、2段目の反応において、上記1段目の化合物中のSiH基のモル数に対して、化合物a、化合物b、化合物cの混合物のビニル基のモル数が過剰になるようにヒドロシリル化反応させることにより、下記生成物を得る。
反応式において、aiは、0.1≦ai≦3.5、Xiは、0≦2Xi≦2.0、Yiは0≦Yi≦3.0、Ziは0.1≦Zi≦3.5、Wiは0≦Wi≦3.0である。
R0は炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
R0は炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
ビニル基のモル数が過剰になるようにヒドロシリル化反応させるが、100℃以上、さらには120℃以上の高温度領域においても消失することはなく残存SiH基が残る。
反応に関与しなかった余分の化合物a、化合物b、化合物cは、薄膜蒸発器を用いた蒸留にて留去することができる。あるいは溶媒抽出法によっても除去することは可能である。あるいは発明者の任意により、そのまま残存させてもよい。薄膜蒸発器を用いた蒸留において余分の化合物a、化合物b、および化合物cを留去させる場合の温度は、120℃〜180℃の範囲が好ましく、操作圧力は0.13kPa以下が好ましい。
溶媒抽出法において余分の化合物a、化合物b、化合物cを除去するための好ましい溶剤は、溶解力が大きく、沸点の比較的低い溶剤である。好ましい溶媒は、低級アルコールである。特に好ましい溶媒はメタノールである。さらに精製度を上げるためには、溶媒抽出操作の繰り返しを多くすればよい。
次に式(d−iii)で表される基のみを得る方法について詳細に記載する。
反応式において、aiiは0.1≦aii≦3.5である。
第2段目の反応において用いる反応剤は、式(F)で表される化合物を用いる。
式(F)において、R’およびR’’は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択される基であり、rは0〜100の整数である。R’とR’’は、メチルが好ましい。rは、1〜100であることが好ましく、2〜20であることがより好ましい。
R0は炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
R0は炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
下記反応式に示すように、上記1段目の化合物中のSiH基のモル数に対して、式(F)で表される化合物のビニル基のモル数が過剰になるようにヒドロシリル化反応させることにより、下記生成物を得る。
反応式において、aiiは、0.1≦aii≦3.5、Xiiは、0≦2Xii≦2.0、Yiiは0≦Yii≦3.0、Ziiは0.1≦Zii≦3.5、rは1〜20である。
R0は炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
R0は炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
式(F)で表される化合物のビニル基のモル数が過剰になるようにヒドロシリル化反応させるが、100℃以上、さらには120℃以上の高温度領域においても消失することはなく残存SiH基が残る。
反応に関与しなかった余分のオルガノポリシロキサンは、ビニル基を有する化合物であるので熱硬化性可能な樹脂成分としてそのまま残存させてもよい。あるいは適宜溶媒抽出等で除去してもよい。余分のオルガノポリシロキサンを除去するための好ましい溶剤は、溶解力が大きく、沸点の比較的低い溶剤である。好ましい溶媒は、低級アルコールである。特に好ましい溶媒はメタノールである。さらに精製度を上げるためには、溶媒抽出操作の繰り返しを多くすればよい。
また、化合物(D)としては、例えば、式(D2)で表される化合物が挙げられる。 これは式(D1)において、R1’はメチル、m’は1〜25を満たす平均値、X’は独立して、式(a)、式(b)、式(c−i)、式(d−i)で表される基である。
式(D2)において、h’は1〜25を満たす平均値であり、1が好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物全量基準で、化合物(D)を1〜50質量%含有することが好ましく、1〜15質量%含有することがより好ましい。化合物(D)の配合割合を1質量%以上とすることにより、LEDハウジング基材との密着強度を向上させることが可能である。
なお、化合物(D)におけるエポキシ部は、任意に用いることができるものであることから、エポキシ部の合計が熱硬化性樹脂組成物全量基準で0.01〜10質量%となるような質量部で含有することが好ましく0.05〜5質量%となるような質量部で含有することがより好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、さらにアルケニル基またはSiH基を3個以上有するオルガノシロキサン化合物(E)を、必要に応じてさらに含んでもよい。このような化合物としては、例えば下記式で表される化合物が挙げられる。
R0、R6、およびR7は、前述の通りである。vは0〜10を満たす平均値であり、wは3〜5を満たす平均値である。
さらに、R0R6 2SiO1/2−(M単位)、R7SiO3/2−(T単位)、SiO4/2−(Q単位)を部分構造として含むシリコーンレジンを配合してもよい。ここでも、R0、R6、およびR7は、前述の通りである。
これらの化合物の配合割合は、合計で本発明の全熱硬化性樹脂組成物中、15質量%以下とすることが好ましい。配合割合を合計で15質量%以下とすることにより、熱硬化性樹脂(A)と化合物(B)が与える熱硬化性樹脂組成物の特性を損なうことなく、粘度の調整、硬度の調整を可能とする。
R0、R6、およびR7は、前述の通りである。vは0〜10を満たす平均値であり、wは3〜5を満たす平均値である。
さらに、R0R6 2SiO1/2−(M単位)、R7SiO3/2−(T単位)、SiO4/2−(Q単位)を部分構造として含むシリコーンレジンを配合してもよい。ここでも、R0、R6、およびR7は、前述の通りである。
これらの化合物の配合割合は、合計で本発明の全熱硬化性樹脂組成物中、15質量%以下とすることが好ましい。配合割合を合計で15質量%以下とすることにより、熱硬化性樹脂(A)と化合物(B)が与える熱硬化性樹脂組成物の特性を損なうことなく、粘度の調整、硬度の調整を可能とする。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じてアルコキシシラン化合物をさらに含んでもよい。このような化合物としては、例えば下記式で表される化合物が挙げられる。
ここで、R8は末端に有機官能基を持つ炭素数10以下のアルキルまたはフェニルであり、R9およびR10は独立して炭素数5以下のアルキルであり、hおよびiは独立して0から3の整数であり、jは0から4の整数であり、h+i+j=4である。
上式で表されるアルコキシシラン化合物は、一般に市販されている化合物を使用すればよい。
ここで、R8は末端に有機官能基を持つ炭素数10以下のアルキルまたはフェニルであり、R9およびR10は独立して炭素数5以下のアルキルであり、hおよびiは独立して0から3の整数であり、jは0から4の整数であり、h+i+j=4である。
上式で表されるアルコキシシラン化合物は、一般に市販されている化合物を使用すればよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、更に下記成分を配合してもよい。
<硬化禁止剤>
硬化禁止剤としては、ヒドロシリル化触媒による付加型硬化性組成物で用いられている公知のものが使用できる。具体的には、例えば、アルケニル基を2個以上含む化合物、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、スズ系化合物および有機過酸化物が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。
硬化禁止剤としては、ヒドロシリル化触媒による付加型硬化性組成物で用いられている公知のものが使用できる。具体的には、例えば、アルケニル基を2個以上含む化合物、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、スズ系化合物および有機過酸化物が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。
アルケニル基を2個以上含む化合物としては、例えば、両末端ビニル基含有のジシロキサン、トリシロキサン類および1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン等のビニル基含有環状シロキサン類が挙げられる。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、例えば、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ドデシン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸およびマレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類が挙げられる。
有機リン化合物としては、例えば、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類およびトリオルガノフォスファイト類が挙げられる。
スズ系化合物としては、例えば、ハロゲン化第一スズ2水和物およびカルボン酸第一スズが挙げられる。また有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドおよび過安息香酸t−ブチルが挙げられる。
これらのうち、1,3−ジビニルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、2−メチル−3−ブチン−2−オールまたは1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に硬化禁止剤を配合することで、室温での粘度上昇を抑え、ポットライフを確保することができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物における硬化禁止剤の含有量は、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.01〜3質量%であることがより好ましい。
<無機化合物>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、チクソ性の付与や光学特性付与といった任意の目的に応じて、さらに無機化合物を分散させて用いる事ができる。使用する無機化合物に限定はなく、公知の材料が使用できる。また、無機化合物の構造は、アモルファスでもよく、結晶をなしていてもよい。分散させる無機化合物の組み合わせも限定されない。無機化合物としては、各種の蛍光体や金属酸化物を好適に用いることができる。勿論、蛍光体や金属酸化物を併用して使用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、チクソ性の付与や光学特性付与といった任意の目的に応じて、さらに無機化合物を分散させて用いる事ができる。使用する無機化合物に限定はなく、公知の材料が使用できる。また、無機化合物の構造は、アモルファスでもよく、結晶をなしていてもよい。分散させる無機化合物の組み合わせも限定されない。無機化合物としては、各種の蛍光体や金属酸化物を好適に用いることができる。勿論、蛍光体や金属酸化物を併用して使用してもよい。
まず、無機化合物が蛍光体である場合を説明する。本発明の熱硬化性樹脂組成物に蛍光体を分散させることで発光機能を有し、LED用の組成物として用いることができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物における蛍光体の含有量は、1〜90質量%であることが好ましく、2〜50質量%であることがより好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いる事ができる蛍光体に制限はない。また、組成物中における蛍光体の濃度分布が均一であっても、異なっていてもよい。使用する蛍光体の種類、または蛍光体の濃度分布の有無およびその分布の条件は、LEDの使用環境や用途、目的に応じて決定すればよい。
蛍光体は、LEDチップから放出される青色光、紫色光、紫外光を吸収して波長を変換し、LEDチップの光と異なる波長の赤、橙色、黄色、緑色、青色領域の波長の光を放出するものである。これにより、LEDチップから放出される光の一部と、蛍光体から放出される光の一部とが混合して、白色を含む多色系のLEDが得られる。具体的には、青色系LEDにLEDからの光によって黄色系の発光色を発光する蛍光体を光学的に組み合わせることによって、単一のLEDチップを用いて白色系を発光させることができる。
上述のような蛍光体には、緑色に発光する蛍光体、青色に発光する蛍光体、黄色に発光する蛍光体、赤色に発光する蛍光体等の種々の蛍光体がある。本発明に用いられる具体的な蛍光体としては、有機蛍光体、無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料等公知の蛍光体が挙げられる。有機蛍光体としては、アリルスルホアミド・メラミンホルムアルデヒド共縮合染色物やペリレン系蛍光体等を挙げることができ、長期間使用可能な点からペリレン系蛍光体が好ましく用いられる。本発明に特に好ましく用いられる蛍光物質としては、無機蛍光体が挙げられる。以下に本発明に用いられる無機蛍光体について記載する。
緑色に発光する蛍光体として、例えば、[SrAl2O4:Eu]、[Y2SiO5:Ce,Tb]、[MgAl11O19:Ce,Tb]、[Sr7Al12O25:Eu]、[(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Ga2S4:Eu]がある。
青色に発光する蛍光体として、例えば、[Sr5(PO4)3Cl:Eu]、[(SrCaBa)5(PO4)3Cl:Eu]、[(BaCa)5(PO4)3Cl:Eu]、[(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)2B5O9Cl:Eu,Mn]、[(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)(PO4)6Cl2:Eu,Mn]がある。
緑色から黄色に発光する蛍光体として、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦括されたイットリウム・ガドリニウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット酸化物蛍光体、及び、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・ガリウム・アルミニウム酸化物蛍光体などがある(いわゆるYAG系蛍光体)。具体的には、[Ln3M5O12:R(Lnは、Y、Gd、Laから選ばれる少なくとも1以上であり、Mは、Al、Caの少なくともいずれか一方を含み、Rは、ランタノイド系である。)]、[(Y1−xGax)3(Al1−yGay)5O12:R(Rは、Ce、Tb、Pr、Sm、Eu、Dy、Hoから選ばれる少なくとも1以上であり、0<Rx<0.5、0<y<0.5である。)]を使用することができる。
赤色に発光する蛍光体として、例えば、[Y2O2S:Eu]、[La2O2S:Eu]、[Y2O3:Eu]、[Gd2O2S:Eu]がある。
赤色に発光する蛍光体として、例えば、[Y2O2S:Eu]、[La2O2S:Eu]、[Y2O3:Eu]、[Gd2O2S:Eu]がある。
また、現在主流の青色LEDに対応し発光する蛍光体としては、[Y3(Al,Ga)5O12:Ce,(Y,Gd)3Al5O12:Ce,Lu3Al5O12:Ce,Y3Al5O12:Ce]などのYAG系蛍光体、[Tb3Al5O12:Ce]などのTAG系蛍光体、[(Ba,Sr)2SiO4:Eu]系蛍光体や[Ca3Sc2Si3O12:Ce]系蛍光体、[(Sr,Ba,Mg)2SiO4:Eu]などのシリケート系蛍光体、[(Ca,Sr)2Si5N8:Eu]、[(Ca,Sr)AlSiN3:Eu]、[CaSiAlN3:Eu]などのナイトライド系蛍光体、[Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu]などのオキシナイトライド系蛍光体、さらには[(Ba,Sr,Ca)Si2O2N2:Eu]系蛍光体、[Ca8MgSi4O16Cl2:Eu]系蛍光体、[SrAl2O4:Eu,Sr4Al14O25:Eu]などの蛍光体が挙げられる。
これらの中では、YAG系蛍光体、TAG系蛍光体、シリケート系蛍光体が、発光効率や輝度などの点で好ましく用いられる。また、これら以外にも、用途や目的とする発光色に応じて公知の蛍光体を用いることができる。
次に、無機化合物が金属酸化物である場合について説明する。金属酸化物として、シリカ,アルミナ、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどが好適に用いられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に酸化チタンや酸化アルミニウムを使用した場合には、リフレクタ用材料としても好適に用いることができる。また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、蛍光体の沈降を防止する目的で、シリカを添加することが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物におけるシリカの割合は、熱硬化性樹脂組成物全量に対する質量比で0.1〜40%であることが好ましく、より好ましくは1〜20%、更に好ましくは1〜10%である。
シリカは、天然に産する珪石を細粒化(天然シリカ)したものを使用してもよく、産業的に合成されたシリカ(合成シリカ)を使用してもよい。天然シリカの場合、結晶であるため結晶軸を持つ。このため、結晶由来の光学的な特徴を期待することができるものの、比重が合成シリカと比べてやや高いため、熱硬化性樹脂組成物中での分散に影響する場合がある。また、天然物を粉砕して得る場合、不定形状の粒子である場合や、粒径分布が広い材料となる場合がある。
合成シリカは、湿式合成シリカ及び乾式合成シリカがあるが、本発明では特に使用の限定はない。ただし、合成シリカでは製法に関わらず結晶水を持つ場合があり、この結晶水が熱硬化性樹脂組成物若しくは硬化物、またはLED素子等に何らかの影響を与える可能性がある場合は、結晶水数も考慮して選択することが好ましい。
合成シリカは、結晶ではなくアモルファスであるため、結晶軸がなく、結晶由来の光学的な特徴はあまり期待できない。しかしながら、粒子分布の制御のほか、粒子径を極めて小さくできるなどの特徴を活かすことができる。
特に、ヒュームドシリカはナノオーダーの粒子径であり、粒子の分散性に優れている。さらに同じ質量で比較した場合は、粒子径が小さいほど表面積の総和が大きくなることから、光の反射方向がより多様化するので、より好ましく用いることができる。
また、一般にシリカは表面積が大きく、かつ表面に存在するシラノールの効果により親水性の材料(親水性シリカ)であるが、化学修飾により疎水性シリカとすることもできる。どちらの性質のシリカを使用するかは、目的により選択されるが、本発明においては、実験的な検証では親水性シリカの使用が好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の製造方法としては特に限定されず、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリウムミキサー、ニーダー、三本ロールまたはビーズミル等の混合機を用いて、常温または加温下で、上述した硬化促進剤、シリコーン樹脂、および、必要に応じて上記熱硬化剤、酸化防止剤等の各所定量を混合する方法が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、柔らかい状態(半硬化状態)で成型し、任意の形状にすることができる。成型方法に制限はなく、例えば熱プレス成型やフィルムコーター、押出し成型などの成形機、またスクリーン印刷、グラビア印刷、平版印刷などの印刷法が挙げられる。また上記成型物は再加工され、次工程で用いる事もできる。例えば、塗膜状またはシート状のような平面状に成型し、これを細かく切り出して、チップのような形状として封止や接着用の材料にすることが可能である。また、射出成型やコンプレッション成型法を用いることによって、反射機能を備えたLEDハウジング材料、リフレクタ材料にすることが可能である。なお、本明細書において、形状を問わず熱硬化性樹脂組成物を成型したものを、プリプレグと表現する。
塗膜状またはシート状のような平面状にプリプレグを成型する場合、この厚みは、蛍光体含有量と、所望の光学特性から決められる。具体的には、塗膜状であれば0.1μm以上であり、シート状であれば10μm〜3000μm程度が成型可能である。硬化後の厚みが変化する場合は、これを考慮して厚みを決定する。光学特性・耐熱性を高める観点からは、蛍光体シートの膜厚は1000μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。蛍光体シートを1000μm以下の膜厚にすることによって、バインダ樹脂による光吸収や光散乱を提言することができるので、光学的に優れた蛍光体シートとなる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物またはこのプリプレグを加熱処理し、目的の硬化物(物品)を得る。硬化物を得る条件としては、温度は60〜200℃であることが好ましく、80〜160℃であることがより好ましい。また、時間は1時間〜24時間であることが好ましく、経済的な観点からは、2時間〜5時間であることがより好ましい。
なお、物品は、それ自体が1つの製品として機能するものの他、例えば封止材のように特定の構造体中に存在し、部材の一部として硬化してなるものも含まれる。
なお、物品は、それ自体が1つの製品として機能するものの他、例えば封止材のように特定の構造体中に存在し、部材の一部として硬化してなるものも含まれる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物またはこのプリプレグの用途は特に限定されないが、例えば、封止剤、ハウジング材、リード電極または放熱板等に接続するためのダイボンド材、発光ダイオード等の光半導体素子の発光素子をフリップチップ実装した場合のアンダーフィル材、発光素子上のパッシベーション膜として用いることができる。なかでも、光半導体素子からの発光による光を効率よく取り出すことのできる光半導体装置を製造できることから、封止剤、リフレクタ材料、蛍光体シート、アンダーフィル材またはダイボンド材として好適に用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物の硬度は、D硬度で45以下、A硬度で30以上の範囲であることが好ましい。また屈折率は1.5以上の高屈折率であることが好ましい。屈折率が1.5以上であると、LEDの光取り出し効率に優れた硬化物となる。
本発明の光半導体用組成物で発光素子を封止する方法としては特に限定されず、例えば、モールド型枠中に本発明の光半導体用組成物を予め注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレーム等を浸漬した後、硬化させる方法、および発光素子を挿入した型枠中に本発明の光半導体用組成物を注入し硬化する方法が挙げられる。
本発明の光半導体用組成物を注入する方法としては、例えば、ディスペンサーによる注入、トランスファー成形および射出成形が挙げられる。更に、その他の封止方法としては、例えば、本発明の光半導体用組成物を発光素子上へ滴下、孔版印刷、スクリーン印刷、および、マスクを介して塗布し硬化させる方法、および底部に発光素子を配置したカップ等に本発明の光半導体用組成物をディスペンサー等により注入し、硬化させる方法が挙げられる。
本発明の光半導体素子用組成物を封止剤として含む光半導体素子もまた、本発明の1つである。
本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって限定されない。
<数平均分子量、質量平均分子量の測定>
本発明で合成したポリマーの数平均分子量と質量平均分子量は、次のように測定した。日本分光株式会社製の高速液体クロマトグラフシステムCO−2065plusを使用し、試料濃度1質量%のTHF溶液20μLを分析サンプルとして、カラム:Shodex KF804L[昭和電工株式会社製](直列に2本接続)、カラム温度:40℃、検出器:RI、溶離液:THF、および溶離液流速:1.0mL毎分でGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。
本発明で合成したポリマーの数平均分子量と質量平均分子量は、次のように測定した。日本分光株式会社製の高速液体クロマトグラフシステムCO−2065plusを使用し、試料濃度1質量%のTHF溶液20μLを分析サンプルとして、カラム:Shodex KF804L[昭和電工株式会社製](直列に2本接続)、カラム温度:40℃、検出器:RI、溶離液:THF、および溶離液流速:1.0mL毎分でGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。
(A) SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンとの反応物であって、SiH基とアルケニル基とを含む熱硬化性樹脂
本発明の(A)成分である、SiH基とアルケニル基とを含む熱硬化性樹脂として、国際公開2011/145638号に開示されている方法で製造した、下記シルセスキオキサン誘導体ベースポリマー1を用いた。
本発明の(A)成分である、SiH基とアルケニル基とを含む熱硬化性樹脂として、国際公開2011/145638号に開示されている方法で製造した、下記シルセスキオキサン誘導体ベースポリマー1を用いた。
[シルセスキオキサン誘導体ベースポリマー1]
式(1)において、a[式(X−I)]=2.34、b[式(X−II)]=0、c[式(X−III)]=1.66であり、m=1である化合物、下記化学式で表される化合物をシルセスキオキサン誘導体ベースポリマー1とした。
式(1)において、a[式(X−I)]=2.34、b[式(X−II)]=0、c[式(X−III)]=1.66であり、m=1である化合物、下記化学式で表される化合物をシルセスキオキサン誘導体ベースポリマー1とした。
シルセスキオキサン誘導体ベースポリマー1は、下記反応式により、次の方法で合成した。温度計、還流冷却器、および撹拌機を備えた内容積200mLの反応容器にシルセスキオキサン誘導体(DD−4H)を50g(0.0384モル)、1,5−ジビニル−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(DVTS)を51.3g(0.197モル)(DD−4Hに対して5倍モル)、溶媒としてトルエンを37.5g入れた。
窒素雰囲気下、加熱攪拌を開始した。内容物が115℃に達した後、Pt濃度がDD−4Hに対して0.005ppmになるように加えて、加熱攪拌を行った。GPCにより反応追跡を行い、7時間後に加熱を止めることにより反応を停止させた。反応液をナスフラスコに移しエバポレーターにて70℃、0.13kPaの減圧条件下でトルエン並びに過剰分のDVTSを留去し、25℃の粘度が95Pa・sの無色透明の液体を58g得た。分子量をGPCにより分析したところ、数平均分子量:Mn=1200、質量平均分子量:Mw=1400であった。分析結果より、a[式(X−I)]=2.34、b[式(X−II)]=0、c[式(X−III)]=1.66であり、m=1である化合物と同定した。
(B) 両末端にSiH基を有し、主鎖にイソシアヌル環を含有する、シロキサン鎖を主構造とする直鎖状の化合物。
本発明の(B)成分である、両末端にSiH基を有し、主鎖にイソシアヌル環を含有する、シロキサン鎖を主構造とする直鎖状の化合物としては、以下のものを用いた。
本発明の(B)成分である、両末端にSiH基を有し、主鎖にイソシアヌル環を含有する、シロキサン鎖を主構造とする直鎖状の化合物としては、以下のものを用いた。
200mL3つ口フラスコ、磁気攪拌子、冷却管、滴下ロート、温度計保護管をセットした。1,3−ジアリル-5-メチル-1,3,5−トリアジン-2,4,6−トリオン(商品名:MeDAIC、四国化成工業(株)製)20.0g(0.090モル)、トルエン25mL、およびカルステッド触媒(商品名:Pt-VTS-3.0X、ユミコア社製)28μLをフラスコに仕込み、85℃に加熱した後、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(M’M’)18.2g(0.14モル)をトルエン25mLに溶かした溶液を滴下した。24時間、85℃で攪拌後、未反応のアリル基が存在しないことを確認した。さらに、反応後の溶液を活性炭処理した。その後、減圧留去にてトルエンと過剰のM’M’除去し、無色透明の液体を31.4g得た。1H -NMR測定およびGPC測定の結果より、下記化合物であることが確認された。化合物の数平均分子量は980であった。
(C) Pt触媒
本発明の(C)成分であるPt触媒として、カルステッド触媒 商標名Pt−VTS−3.0X[3wt%キシレン溶液、ユミコア社製]を用いた。
本発明の(C)成分であるPt触媒として、カルステッド触媒 商標名Pt−VTS−3.0X[3wt%キシレン溶液、ユミコア社製]を用いた。
(D) SiH基を有するシルセスキオキサン、アルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサン、アルケニル基を有するエポキシ化合物およびアルケニル基を有するシリル化合物を反応させることにより得られる、SiH基を有する化合物
[シルセスキオキサン誘導体ベースポリマー2]
本発明の(D)成分であるSiH基を有する化合物として、式(D1)において、A’[式(a)]=1.32、B’[式(b)]=0.69、C’[式(c−i)]=0.65、D’[式(d−i)]=0.65、m=8.8である下記式で表されるシルセスキオキサン誘導体ベースポリマー2を用いた。
[シルセスキオキサン誘導体ベースポリマー2]
本発明の(D)成分であるSiH基を有する化合物として、式(D1)において、A’[式(a)]=1.32、B’[式(b)]=0.69、C’[式(c−i)]=0.65、D’[式(d−i)]=0.65、m=8.8である下記式で表されるシルセスキオキサン誘導体ベースポリマー2を用いた。
シルセスキオキサン誘導体ベースポリマー2は、下記反応式により、次の方法で合成した。温度計、還流冷却器、および撹拌機を備えた内容積300mLの反応容器にシルセスキオキサン誘導体(DD−4H)を50g(0.0384モル)、ビニルシリコーン(FM−2205)を18.6g(0.0266モル)、モノアリルジグリシジルイソアヌレート(MA−DGIC:四国化成工業株式会社製)を7.47g(0.0252モル)、ビニルトリメトキシシラン(S210:JNC株式会社製)を3.7g(0.0252モル)、溶媒としてトルエン50gを入れた。
窒素雰囲気下、加熱攪拌を開始した。内容物が100℃に達した後、Pt濃度がDD−4Hに対して1ppmとなる量を加え、そのまま5時間加熱攪拌を行った。GCよりMA−DGICの消失を確認して反応を終了した。室温まで冷却した後、活性炭を1.6g加え3時間以上攪拌した後、ろ過により活性炭を除去した。ろ液をエバポレーターにて90℃、0.13kPaの減圧条件下に溶媒であるトルエンを留去した。74gの水アメ状の無色透明の液体を得た。
得られた生成物の分子量をGPCにより分析したところ、数平均分子量:Mn=3900、質量平均分子量:Mw=18200であった。
添加剤(E)として、ビニル基を両末端に2個有する、数平均分子量700の直鎖状ジメチルポリシロキサン(サイラプレーンFM−2205:JNC株式会社製)を使用した。
添加剤(F)として、SiH基を片方の末端に1個有する、数平均分子量1000の直鎖状ジメチルポリシロキサン(サイラプレーンFM−0111:JNC株式会社製)を使用した。
アルコキシシラン化合物(G)として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS510:JNC株式会社製)を使用した。
<熱硬化性樹脂組成物の調製>
スクリュー管に上記実施例で合成した化合物、またはオルガノポリシロキサンの混合物を入れた。スクリュー管を自転・公転ミキサー[株式会社シンキー製「あわとり練太郎(登録商標)」ARE−250]にセットし、混合・脱泡を行った。各成分の比率は表1に示す。
スクリュー管に上記実施例で合成した化合物、またはオルガノポリシロキサンの混合物を入れた。スクリュー管を自転・公転ミキサー[株式会社シンキー製「あわとり練太郎(登録商標)」ARE−250]にセットし、混合・脱泡を行った。各成分の比率は表1に示す。
ユミコア社製のカルステッド触媒[商品名Pt−VTS−3.0X:Pt濃度が3質量%のキシレン溶液]を硬化遅延剤:MVS−H[商品名、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン:JNC株式会社製]で10倍に希釈したものをPt濃度が所定量になるように加え、再び自転・公転ミキサーにて混合・脱泡を行い、熱硬化性樹脂組成物である組成物a−dおよび比較組成物x−yを得た。表1に、各熱硬化性樹脂組成物の質量%、Pt触媒の添加量(ppm)を示す。
なお、比較組成物x−yには、密着付与材としてエポキシ基含有シランカップリング剤として、グリシジルエーテルトリメトキシシラン:商標名S510[JNC株式会社製]を配合量全体の0.25質量%用いた。
なお、比較組成物x−yには、密着付与材としてエポキシ基含有シランカップリング剤として、グリシジルエーテルトリメトキシシラン:商標名S510[JNC株式会社製]を配合量全体の0.25質量%用いた。
<硬化物>
上記で調製した熱硬化性樹脂組成物a−d、比較硬化性組成物x−yを型に入れて120℃にて1時間加熱後、160℃にて3時間加熱する条件で加熱硬化させ、厚さ4mmの硬化物A−D、比較硬化物X−Yを得た。また、OE−6630(東レダウコーニングシリコーン製)のA液、B液を1:5の割合で混合し、同様に加熱硬化させ、厚さ4mmの比較硬化物Zを得た。
いずれも透明な硬化物であり、400nmにおける透過率がいずれも90%以上であった。
上記で調製した熱硬化性樹脂組成物a−d、比較硬化性組成物x−yを型に入れて120℃にて1時間加熱後、160℃にて3時間加熱する条件で加熱硬化させ、厚さ4mmの硬化物A−D、比較硬化物X−Yを得た。また、OE−6630(東レダウコーニングシリコーン製)のA液、B液を1:5の割合で混合し、同様に加熱硬化させ、厚さ4mmの比較硬化物Zを得た。
いずれも透明な硬化物であり、400nmにおける透過率がいずれも90%以上であった。
<透湿度測定>
上記熱硬化性樹脂組成物a−d、および比較硬化性組成物x−yを型に入れて120℃にて1時間加熱後、160℃にて3時間加熱する条件で加熱硬化させ、厚さ1mmの硬化物フィルムA−D、比較硬化物フィルムX−Yを得た。透湿度測定は、このフィルムを用い、JIS Z 0208にしたがって、40℃・湿度90%の条件で行った。得られた透湿度を表2に示す。
上記熱硬化性樹脂組成物a−d、および比較硬化性組成物x−yを型に入れて120℃にて1時間加熱後、160℃にて3時間加熱する条件で加熱硬化させ、厚さ1mmの硬化物フィルムA−D、比較硬化物フィルムX−Yを得た。透湿度測定は、このフィルムを用い、JIS Z 0208にしたがって、40℃・湿度90%の条件で行った。得られた透湿度を表2に示す。
<硬化パッケージの作成>
エノモト(株)製リードフレーム5050 D/G PKGに、青色LEDチップ、金ワイヤーを実装したものに、上記熱硬化性組成物a−d、比較硬化性組成物x−yおよびOE−6630を武蔵エンジニアリング(株)製ディスペンサーMEASURING MASTER MPP−1を用いて注入し、同様に硬化させ硬化物A−D、比較硬化物X−Zの硬化パッケージとした。
エノモト(株)製リードフレーム5050 D/G PKGに、青色LEDチップ、金ワイヤーを実装したものに、上記熱硬化性組成物a−d、比較硬化性組成物x−yおよびOE−6630を武蔵エンジニアリング(株)製ディスペンサーMEASURING MASTER MPP−1を用いて注入し、同様に硬化させ硬化物A−D、比較硬化物X−Zの硬化パッケージとした。
<耐硫黄試験>
耐硫黄試験は、上記方法により作成した硬化パッケージを、硫黄粉末5gを入れた450ml密閉容器に入れ、70℃で16時間置いた後に、硫黄による黒変の度合いを観察することにより実施した。変色が見られなかったものを◎、うすい灰色になったものを○、濃い灰色になったものを△、黒変したものを×とした。得られた結果を表2に示す。
耐硫黄試験は、上記方法により作成した硬化パッケージを、硫黄粉末5gを入れた450ml密閉容器に入れ、70℃で16時間置いた後に、硫黄による黒変の度合いを観察することにより実施した。変色が見られなかったものを◎、うすい灰色になったものを○、濃い灰色になったものを△、黒変したものを×とした。得られた結果を表2に示す。
<冷熱衝撃試験>
冷熱衝撃試験は、上記方法により作成した硬化パッケージを、エスペック(株)製冷熱衝撃装置TSA−101S−Wのテストエリアに入れ、−40℃で30分間さらし、105℃で30分間さらしを1サイクルとして、100サイクル繰り返すことにより実施した。なお、両さらし温度の間の移動時間は5分間で実施した。200サイクル後、点灯試験を行い全数点灯したものを◎、半数以上点灯したものを○、半数以下点灯したものを△、すべて不灯になったものを×とした。得られた結果を表2に示す。
冷熱衝撃試験は、上記方法により作成した硬化パッケージを、エスペック(株)製冷熱衝撃装置TSA−101S−Wのテストエリアに入れ、−40℃で30分間さらし、105℃で30分間さらしを1サイクルとして、100サイクル繰り返すことにより実施した。なお、両さらし温度の間の移動時間は5分間で実施した。200サイクル後、点灯試験を行い全数点灯したものを◎、半数以上点灯したものを○、半数以下点灯したものを△、すべて不灯になったものを×とした。得られた結果を表2に示す。
表2に示すように、本発明の組成物a−dを用いた硬化物A−Dは、ガスバリア性が良好であり、かつ耐冷熱衝撃性も良好であって、両方の特性を両立させた封止材であることが明らかである。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ガスバリア性が良好、かつ耐冷熱衝撃性に優れる硬化物を与えるため、LED等の光半導体素子の封止材として非常に有用である。
Claims (16)
- 以下の(A)、(B)、および(C)を含有する熱硬化性樹脂組成物。
(A) SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンとの反応物であって、SiH基およびアルケニル基を有する熱硬化性樹脂。
(B) 両末端にSiH基を有し、主鎖にイソシアヌル環を含有し、シロキサン鎖を主構造とする直鎖状の化合物。
(C) Pt触媒。 - (A)におけるシルセスキオキサンが、ダブルデッカー型シルセスキオキサンである請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- さらに、以下の(D)を含有する請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(D) SiH基を有するシルセスキオキサン、アルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサン、アルケニル基を有するエポキシ化合物、およびアルケニル基を有するシリル化合物を反応させることにより得られる、SiH基を有する化合物。 - (A)が、式(1)で表される化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
式(1)において、
Xは独立して、式(X−I)、式(X−II)、または式(X−III)で表される基であり、式(1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(X−I)で表される基と式(X−II)で表される基と式(X−III)で表される基の割合が異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の式(X−I)で表される基の数をa、式(X−II)で表される基の数をb、式(X−III)で表される基の数をcとした場合に、a+2b+c=4であり、0<a≦3であり、0≦b≦1であり、0<c≦3であり;
R1は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり;
mは1〜100を満たす平均値である。
式(X−II)において、
R2およびR3は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
rは−OSi(R3)2−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値である。
式(X−III)において、
R4およびR5は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
sは−OSi(R5)2−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値であり;
R0は炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基であり、R0’はR0と同じ炭素数である飽和炭化水素基である。 - (D)が、式(D1)で表される化合物である請求項3〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
式(D1)において、
X’は独立して、式(a)、式(b)、式(c−i)、式(c−ii)、式(c−iii)、式(d−i)、式(d−ii)、または式(d−iii)で表される基であり、式(D1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(a)で表される基と、式(b)、式(c−i)、式(c−ii)、式(c−iii)、式(d−i)、式(d−ii)、または式(d−iii)で表される基の割合とが異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の、式(a)で表される基の数をA’、式(b)で表される基の数をB’、式(c−i)、式(c―ii)または式(c−iii)で表される基の数をC’、式(d−i)、式(d−ii)または式(d−iii)で表される基の数をD’とした場合に、A’+2B’+C’+D’=4であり、0.5≦A’≦3.0であり、0.5≦2B’≦2.0であり、0.1≦C’≦2.0であり、0≦D’≦1.0であり;
R1’は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり;
m’は1〜100を満たす平均値である。
式(b)において、
R2’およびR3’は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
tは−OSi(R3’)2−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値である。
式(d−i)におけるR4、式(d−ii)におけるR4’、および式(d−iii)におけるR4”は独立して、メチル、エチル、ブチル、およびイソプロピルから選択される基であり;
式(d−ii)におけるxは、−OSi(R4’)2−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値であり;
式(d−iii)におけるyは、−OSi(R4”)2−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値であり;
式(d−iii)におけるR0は1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基である。 - 式(D1)において、R1’がメチルであり、m’が1〜25を満たす平均値であり、X’が独立して、式(a)、式(b)、式(c−i)、または式(d−i)で表される基である請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂組成物全量基準で、(A)の割合が50〜95質量%であり、(B)の割合が2〜50質量%である請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂組成物全量基準で、(D)の割合が1〜20質量%である請求項3〜8のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- さらに無機化合物が分散された請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 無機化合物が蛍光体または金属酸化物の少なくとも一方である、請求項10に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜11のいずれか1項記載の熱硬化性樹脂組成物を成型して得られるプリプレグ。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物、または請求項12に記載のプリプレグを硬化させて得られる硬化物。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物、または請求項12に記載のプリプレグを含有する光半導体用組成物。
- 請求項14に記載の光半導体用組成物を封止剤として含む光半導体素子。
- 塗膜状またはシート状であり、厚みが0.1μm〜3,000μmである、請求項13に記載の硬化物。
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