JP6670046B2 - 硬化性樹脂組成物、樹脂硬化物、および半導体装置 - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性のポリシロキサン樹脂組成物、該樹脂組成物を硬化させてなる硬化物、及びそれを封止剤として用いた半導体装置に関する。
ポリシロキサン組成物は、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐光性、化学的安定性、電気特性、難燃性、耐水性、透明性、着色性、非粘着性、非腐食性に優れており、様々な産業で利用されている。例えば、半導体素子封止剤用途において、素子の高出力化に伴い、従来のエポキシ基を有する材料に代わり、ポリシロキサン系組成物を利用する試みが数多くなされている。この様に封止剤に求められる要求特性が高まると同時に発光ダイオード(light emitting diode:以下「LED」と略する。)等の光半導体装置においても各特性への要求が高まっている。特にマイグレーションなどによる変色は輝度低下を引き起こす為、LEDの高輝度化という観点からも重要な課題となっていた。
マイグレーションを助長する因子としては半導体装置を構成する材料、例えば、パッケージ樹脂や封止樹脂に含まれる微量のイオン成分やアルカリ物質が推察されており、特許文献1ではハイドロタルサイトなどのイオントラップ剤を添加して、微量のイオン成分やアルカリ物質をトラップすることでマイグレーションを抑制することが開示されている。
しかしながら特許文献1では添加するイオントラップ剤が硬化時に沈殿し、発光素子を覆うことで初期の輝度を低下させる場合があった。
特開2003−092379号公報
ポリシロキサン組成物を半導体装置の封止剤として用いた場合、電場をかけない場合でも、高温、高湿下に保管すると、リードフレームの銀メッキが着色(変色)しているように見える現象を発見した。この現象を詳細に調べたところ、リードフレーム表面が変色しているのではなく、電場をかけた時に生じるマイグレーションのデンドライト(樹状)とは明らかに異なる微細な粒子が封止剤中に存在していることが原因であることを発見した。そこで本発明の目的は、この微細な粒子の発生を抑制し、着色を抑制することができるポリシロキサン組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物、及びそれを封止剤として用いた半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、分子内に少なくとも2つのカルボキシ基を有する有機酸を添加することで微細な粒子の発生を抑制し、着色を抑制することができるポリシロキサン組成物を発明するにいたった。本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)分子内に少なくとも2つのカルボキシ基を有する有機酸、(B)ポリシロキサン組成物、および(C)ヒドロシリル化触媒を含む。
上記のポリシロキサン組成物を硬化させてなる硬化物、及びそれを封止剤として用いた半導体装置では、電場をかけない場合でも発生する微細な粒子の発生を抑制し、着色を抑制することができる。
本発明の光半導体装置の一例である、表面実装型の発光ダイオード(LED)の概略断面図である。
以下、本発明について詳細を説明する。
<(A)有機酸>
本発明における(A)有機酸は1分子中に少なくとも2つのカルボキシ基を有する。
機酸の中で金属への配位のしやすさ観点からオキサル酢酸、2−ヒドロキシマロン酸、2−ヒドロキシブタン二酸、2−メチル−2−ヒドロキシマロン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、マロン酸、2−メチル−2−ヒドロキシブタン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、コハク酸、シュウ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチンなどの分子内に2つのカルボキシ基を有するジカルボン酸類、クエン酸、イソクエン酸、cis-アコニット酸、trans-アコニット酸、トリメリット酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,3−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,3,5−ヘキサントリカルボン酸などの分子内に3つのカルボキシル基を有するトリカルボン酸類、1,2,3 4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタン テトラカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、デスモシンなどの分子内に4つのカルボキシル基を有するテトラカルボン酸類が好ましい。
さらに入手性という観点からは、2−ヒドロキシブタン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、マロン酸、イタコン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、クエン酸、アコニット酸、トリメリット酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸が好ましい。
これらの化合物からなる群から選択される1つ以上を添加することができる。また添加の方法としてはそのまま添加しても良いし、有機溶媒に希釈して添加しても良い。使用できる有機溶媒としては主としてメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ヘキサン、トルエン、キシレンのような有機溶媒が挙げられ、これらの溶媒を単独もしくは2種類以上を組み合わせても良い。
本発明における有機酸の使用量には特に制限は無く、任意の量を使用することができるが、あえて例示するならば、(B)ポリシロキサン組成物を100重量%とした場合にポリシロキサン組成物中に好ましくは0.0000001〜10重量%であり、さらに好ましくは0.000001〜1重量%である。有機酸の添加量が少ないと、電場をかけない場合でも発生する微細な粒子(金属ナノ粒子:本件では銀ナノ粒子)の生成を抑制する効果が不充分となり着色を引き起こす場合があり、また有機酸の添加量が多いと、ポリシロキサン組成物を分解を引き起こして樹脂の性能を低下させる場合がある。
電場をかけない場合でも光半導体装置内(封止剤中)に発生する微細な粒子発生原因は、不明であるが、その微細な粒子を走査透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光装置により観察したところ、サイズが10〜200nm程度であり、また銀ナノ粒子であることが判った。
そのため、光半導体装置内で金属ナノ粒子が生成(合成)したのではないかと仮定し検討を進めた。
金属ナノ粒子の合成法の一つに化学的還元法が挙げられる。これは金属化合物、還元剤、安定剤、及び溶媒を含む反応混合物内で金属化合物を還元剤と反応させて、表面上に安定剤分子を有する金属ナノ粒子を形成する方法である。このような反応が、光半導体装置内で起こったものと仮定した。光半導体装置内において金属ナノ粒子(Mn)が生成する推定機構は以下の通り。
光半導体装置の使用環境や使用原料に含まれる微量成分により、金属表面で酸化物MOや金属塩Mが形成される。
M(金属) → MO(金属酸化物) or M(金属塩)
これらの金属酸化物MOや金属塩Mはポリシロキサン組成物中に含まれるヒドロシリル基などにより還元反応を受け、金属ナノ粒子Mnを形成する。
MO(金属酸化物) or M(金属塩) → Mn(金属ナノ粒子)
この金属ナノ粒子(Mn)はポリシロキサン組成物中の金属に配位しやすい構造Lにより安定化されることで銀メッキされたリードフレーム近傍のポリシロキサン樹脂に拡散し、着色(プラズモン吸収によると推察)の一因になるものと推定した。この金属ナノ粒子を安定化する構造Lとしては金属に配位しやすい成分であり、ポリシロキサン中に含まれるベンゼンやナフタレン、アントラセンなどの炭素原子のみから形成される環状構造やシアヌル酸、イソシアヌル酸、トリアジン、ピリジン、ピラジン、イミダゾリン、チアジン、オキサゾール、チオフェン、チアゾール、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、アクリジン、キサンテン、カルバゾールなどの窒素原子や硫黄原子、酸素原子を有する複素環構造が想定される。
Mn(金属ナノ粒子)→MnL(安定化された金属ナノ粒子)
つまり、ポリシロキサン組成物中に含まれるヒドロシリル基が金属ナノ粒子を生成する要因であり、それを助長するのがポリシロキサン組成物中の金属ナノ粒子を安定化する構造であると推定した。
次に、有機酸((A)成分)が半導体装置を構成する金属部材より生成する金属ナノ粒子Mnを抑制する推定機構について説明する。
属酸化物MOや金属塩Mがヒドロシリル基による還元反応を受ける前に錯体を形成し、その錯体が安定化することで、ヒドロシリル基によるMn(金属ナノ粒子)への還元反応を抑制できれば、金属ナノ粒子の生成を抑制できると推察した。その推論の元、選択したのが本件の(A)成分(下記式Q)である。
MO(金属酸化物) or M(金属塩) → M(酸配位錯体)
また本推定機構は半導体装置から生じる電界による影響に関係なく生成する金属ナノ粒子の形成を抑制できるものと推測する。
つまり、(A)成分は、MO(金属酸化物)または金属塩Mがヒドロシリル基による還元反応を受ける前に配位できる有機酸と言い換えることが出来る。
<ポリシロキサン組成物(B)>
本発明におけるポリシロキサン組成物(B)は、アルケニル基を有する化合物とヒドロシリル基を有する化合物を、後述のヒドロシリル化触媒を用いてヒドロシリル化反応で硬化することができる樹脂であればよく、またその構造も直鎖状、分岐鎖状、環状および三次元架橋構造を有するものであればいずれであってもよい。
直鎖状の(B)成分の例としては、特に限定はしないが、一般式(2)
SiO(2)
(式中、Rはアルケニル基またはヒドロシリル基、Rはアルケニル基およびヒドロシリル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)で表される2官能性の構造単位からなる直鎖状構造を主構造とし、末端もしくは側鎖に1分子あたり2つ以上のアルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する化合物が挙げられる。
またアルケニル基およびヒドロシリル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基が例示でき好ましい。
環状の(B)成分の例としては、特に限定はしないが、下記一般式(3)で表される環状構造を主構造とし、1分子あたり2つ以上のアルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する化合物が挙げられる。
(式中、Rはアルケニル基またはヒドロシリル基、Rはアルケニル基およびヒドロシリル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
またアルケニル基およびヒドロシリル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基が例示でき好ましい。
三次元架橋構造を有する(B)成分の例としては、特に限定はしないが、下記一般式(4)
SiO4/2 (4)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、下記一般式(5)、(6)
SiO1/2 (5)
SiO1/2 (6)
(式中、Rはアルケニル基またはヒドロシリル基、Rはアルケニル基およびヒドロシリル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が下記一般式(7)
SiO1/2 (7)
で少なくとも2つ封鎖された構造を有するものが例示される。
またアルケニル基およびヒドロシリル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基が例示でき好ましい。
本発明におけるポリシロキサン組成物は、特に限定されないが、例えば、フェニルシリコーン、メチルシリコーン、ヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)を含有するポリシロキサン組成物などが挙げられる。その中でも前述の金属ナノ粒子(微細な粒子)を安定化させる構造Lを樹脂組成物中に有し、金属ナノ粒子の生成による着色が起こりやすく(A)成分の添加の効果が高いという観点から、フェニルシリコーンや(B−1)成分とヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)、アルケニル基を2個以上有する化合物(B−3)からなるポリシロキサン組成物が好ましい。
フェニルシリコーンのシロキサン単位としては、必ずフェニルシロキサン単位を含み、例えば、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサンが挙げられる。また、メチルシリコーンとしては、フェニルシロキサン単位を持たず、ジメチルシロキサン単位を主成分とするポリシロキサン化合物が挙げられる。
フェニルシリコーンの具体例としては、例えば、東レダウコーニング製のOE−6630が挙げられ、メチルシリコーンの具体例としては、例えば、東レダウコーニング製のJCR−6140が挙げられる。(B−1)および(B−2)、(B−3)については、以下に詳細を示す。
<ヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)>
本発明におけるヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)は、分子骨格内にヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン化合物であれば、特に限定されないが、例えばアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン化合物に対して、ヒドロシリル化反応可能なヒドロシリル基を有する化合物を変性して得ることが可能である。本発明において得られる多面体構造ポリシロキサン変性体は、ハンドリング性、成形加工性の観点から、温度20℃で液状とすることが好ましい。
本発明における好ましい多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)について、具体的に説明する。本発明における好ましい多面体構造ポリシロキサン変性体は、反応可能な官能基を有するシロキサン単位として[XR SiO−SiO3/2]を必須単位として構成されることを特徴とし、必要に応じて、物性調整ユニットとしての任意のシロキサン単位[R SiO−SiO3/2]を構成単位として含有し、以下の一般式(8)、
[XR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2](8)
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Xは下記一般式(9)
あるいは下記一般式(10)
で表される基;Rは、アルキル基またはアリール基、;Rは、アルキル基、アリール基、アルケニル基、水素原子、または、他の多面体構造ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成される多面体構造ポリシロキサン変性体が例示される。ここで、aは平均して1以上、好ましくは2以上であることが好ましく、また、bは、0または1以上の整数である。a+bは6〜24の整数、好ましくは、6〜12の整数である。
(lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、YあるいはZの少なくとも1つはアルケニル基または水素原子である;Rは、アルキル基またはアリール基;また、Xが複数ある場合は式(9)あるいは式(10)の構造が異なっていても良くまた式(9)あるいは式(10)の構造が混在していても良い)
以下、反応可能な官能基を有するシロキサン単位
[XR SiO−SiO3/2]
について詳細に説明する。
反応可能な官能基を有するシロキサン単位は、例えば、後述のヒドロシリル化触媒存在下、ヒドロシリル化反応により硬化剤との架橋反応を発生させる、あるいは、熱硬化開始剤あるいは光硬化開始剤の存在下、架橋し、硬化させる役割を担うユニットである。
本発明のヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体とは、反応性官能基を有する基Xとして、式(9)あるいは式(10)の構造を有し、少なくとも1つのヒドロシリル基を含有する変性体であれば特に限定はないが、mは1〜7の整数であることが好ましく、nは2〜4の整数であることが好ましい。
反応可能な官能基を有するシロキサン単位におけるRとしては、実質的に反応性を有しない置換基、具体的に例えば、アルキル基、アリール基を使用することができる。
本発明における反応可能な官能基を有するシロキサン単位は、多面体骨格を構成する全シロキサン単位のうち、平均して2つ以上含有することが好ましい。すなわち、一般式(8)におけるaは2以上が好ましい。含有する反応可能な官能基を含有するシロキサン単位が少ないと硬化性が不十分となり、さらには、得られる硬化物の強度が低下する恐れがある。
次に、任意のシロキサン単位
[R SiO−SiO3/2]
について説明する。
本シロキサン単位は、本発明における多面体構造ポリシロキサン変性体および得られる硬化物の物性調整を行うためのユニットである。本シロキサン単位は、実質的に、反応可能な置換基を含有しないため、架橋密度の調整、皮膜性、レベリング性、脆さ改善などが可能となる。
本シロキサン単位におけるRとしては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、水素原子、または、他の多面体構造ポリシロキサンと連結している基を好適に用いることができる。前記アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基などが例示されるが、さらには実質的に反応性を有しない置換基で一部を置き換えられていてもよい。実質的に反応性を有しない置換基で一部を置き換えられたアルキル基としては、具体的に例えば、ポリシロキサニルアルキル基が例示され、レベリング性や皮膜性、また、後述の硬化剤や硬化開始剤との相溶性などの付与も可能となり、また、化合物の性状を液状にすることも可能である。
本発明における多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)としては、ガスバリア性の観点から、後述の有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´であることが好ましい。
<有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´>
本発明における有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´は、後述のヒドロシリル化触媒の存在下、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a)と、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(c)および/または1分子中にアルケニル基を1個有する環状オレフィン化合物(d)を、ヒドロシリル基を有する化合物(b)とヒドロシリル化反応させることにより得られる。本発明の有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´を得る方法としては、特に限定されず種々設定できるが、予め(a)成分と(b)成分を反応させた後、(c)および/または(d)成分を反応させても良いし、予め(c)および/または(d)成分と(b)成分を反応させた後、(a)成分を反応させても良いし、(a)成分と(c)および/または(d)成分を共存させて(b)成分と反応させても良い。各反応の終了後に、例えば減圧・加熱条件下にて、揮発性の未反応成分を留去し、目的物あるいは次のステップへの中間体として用いても良い。(c)および/または(d)成分と(b)成分のみが反応した、(a)成分を含まない化合物の生成を抑制するためには、(a)成分と(b)成分を反応させ、未反応の(b)成分を留去した後、(c)および/または(d)成分を反応させる方法が好ましい。
こうして得られた有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´には反応に用いた(a)成分のアルケニル基が一部残存していてもよい。
有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´の合成時に用いるヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、反応に用いる(a)成分及び(c)および/または(d)成分のアルケニル基1モルに対して10−1〜10−10モルの範囲で用いるのがよい。好ましくは10−4〜10−8モルの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化触媒が多いと、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、着色原因になったり、得られる硬化物の耐光性が低下する恐れがあり、また、硬化物が発泡する恐れもある。また、ヒドロシリル化触媒が少ないと、反応が進まず、目的物が得られない恐れがある。
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、45〜140℃である。温度が低すぎると反応が十分に進行せず、温度が高すぎると、ゲル化が生じ、ハンドリング性が悪化する恐れがある。
このようにして得られた有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´は、各種化合物、特にはシロキサン系化合物との相溶性を確保でき、さらに、分子内にヒドロシリル基が導入されていることから、各種アルケニル基を有する化合物と反応させることが可能となる。具体的には、後述の1分子中にアルケニル基を2個以上有する化合物(B−3)と反応させることにより、硬化物を得ることができる。
また本発明における有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´は、温度20℃において液状とすることも可能である。有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´を液状とすることで、ハンドリング性に優れることから好ましい。
本発明における有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´は一般式(11)
[XR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2](11)
[a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(12)あるいは一般式(13)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(12)あるいは一般式(13)の構造が異なっていても良くまた一般式(12)あるいは一般式(13)の構造が混在していても良い。
{lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。;ただし、YあるいはZの少なくとも1つは水素原子であり、少なくとも1つは下記一般式(14)の構造を有する。
−[CH]−R(14)
(lは0以上の整数;Rは有機ケイ素化合物を含有する基またはヒドロシリル化後の(d)成分の残基);Rは、アルキル基またはアリール基}]
で表されるシロキサン単位から構成される多面体構造ポリシロキサン系化合物である。
このようにして得られた多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´は、(a)〜(d)成分の添加量、反応順序、反応時間、反応温度等を制御することにより、有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´の粘度制御が可能である。また、多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´の粘度制御を行うことで、ポリシロキサン組成物(B)の粘度を調整することも可能である。多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´の粘度に関しては、特に限定されないが、多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´が温度20℃において液状である場合、20℃での粘度が0.01Pa・s〜500Pa・sであることが好ましく、さらに好ましくは1Pa・s〜300Pa・sである。多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´の粘度が低すぎると後述のポリシロキサン組成物の粘度が低くなり、蛍光体等の添加剤が分散せずに沈降する恐れがある。また、粘度が高すぎるとハンドリング性が悪化する恐れがある。
また、有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)´は、得られる硬化物の強度や硬度、さらには、耐熱性・耐光性等の観点から、分子中に少なくとも3個のヒドロシリル基を有することが好ましい。
<アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)>
本発明におけるアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)は、分子中にアルケニル基を有する、多面体骨格を有するポリシロキサンであれば、特に限定はない。具体的に、例えば、下記一般式(15)
[RSiO3/2[R10SiO3/2(15)
(x+yは6〜24の整数;xは1以上の整数、yは0または1以上の整数;Rはアルケニル基、または、アルケニル基を有する基;R10は、任意の有機基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン系化合物を好適に用いることができ、さらには、下記一般式(16)
[AR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2] (16)
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)
で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン系化合物が好ましいものとして例示される。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
は、アルキル基またはアリール基である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示され、また、アリール基としては、フェニル基、トリル基等のアリール基が例示される。本発明におけるRとしては、耐熱性・耐光性の観点から、メチル基が好ましい。
は、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示され、また、アリール基としては、フェニル基、トリル基等のアリール基が例示される。本発明におけるRとしては、耐熱性・耐光性の観点から、メチル基が好ましい。
aは1以上の整数であれば、特に制限はないが、化合物の取り扱い性や得られる硬化物の物性から、2以上が好ましく、3以上がさらに好ましい。また、bは、0または1以上の整数であれば、特に制限はない。
aとbの和(=a+b)は、6〜24の整数であるが、化合物の安定性、得られる硬化物の安定性の観点から、6〜12、さらには、6〜10であることが好ましい。
(a)成分の合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて合成することができる。合成方法としては、例えば、R11SiX (式中R11は、上述のR、Rを表し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)のシラン化合物の加水分解縮合反応によって、得られる。または、R11SiX の加水分解縮合反応によって分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物を合成したのち、さらに、同一もしくは異なる3官能性シラン化合物を反応させることにより閉環し、多面体構造ポリシロキサンを合成する方法も知られている。
その他にも、例えば、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下で加水分解縮合させる方法が挙げられる。本合成方法においては、テトラアルコキシシランの加水分解縮合反応により、多面体構造を有するケイ酸塩が得られ、さらに得られたケイ酸塩をアルケニル基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより、多面体構造を形成するSi原子とアルケニル基とが、シロキサン結合を介して結合した多面体構造ポリシロキサンを得ることが可能となる。本発明においては、テトラアルコキシランの替わりに、シリカや稲籾殻等のシリカを含有する物質からも、同様の多面体構造ポリシロキサンを得ることが可能である。
<ヒドロシリル基を有する化合物(b)>
本発明で用いるヒドロシリル基を有する化合物(b)は、分子中に1個以上のヒドロシリル基を有していれば特に制限はないが、得られる多面体構造ポリシロキサン変性体の透明性、耐熱性、耐光性の観点から、ヒドロシリル基を有するシロキサン化合物であることが好ましく、さらには、ヒドロシリル基を有する環状シロキサンあるいは直鎖状ポリシロキサンであることが好ましい。特にガスバリア性の観点からは、環状シロキサンであることが好ましい。
ヒドロシリル基を有する直鎖状ポリシロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
特に、ヒドロシリル基を有する直鎖状ポリシロキサンとしては、変性させる際の反応性や得られる硬化物の耐熱性、耐光性等の観点から、ジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリシロキサン、さらにはジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリジメチルシロキサンを好適に用いることができ、具体的に例えば、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサンなどが、好ましい例として例示される。
ヒドロシリル基を有する環状シロキサンとしては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサンなどが例示される。本発明における環状シロキサンとしては、工業的入手性および反応性、あるいは、得られる硬化物の耐熱性、耐光性、強度等の観点から、具体的に例えば、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを好適に用いることができる。
これら(b)成分である、ヒドロシリル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(c)>
本発明における1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(c)はヒドロシリル基を有する化合物(b)のヒドロシリル基と反応する。(c)成分を用いることで、得られる硬化物の弾性率を低下させることができ、耐冷熱衝撃性を向上させることができる。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
本発明における(c)成分は、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物であれば特に限定はされないが、1分子中に少なくともアリール基を1個以上含有していることが、ガスバリア性や屈折率の観点から好ましく、さらには、該アリール基が直接ケイ素原子に結合していることが、耐熱性、耐光性の観点から、さらに好ましい。
本発明における(c)成分は、耐熱性、耐光性の観点から、シラン、またはポリシロキサンであることが好ましい。このような(c)成分が、1分子中にアルケニル基を1個有するシランである場合、具体的に例えば、トリメチルビニルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、トリエチルビニルシラン、ジエチルフェニルビニルシラン、エチルジフェニルビニルシラン、アリルトリメチルシラン、アリルジメチルフェニルシラン、アリルメチルジフェニルシラン、アリルトリフェニルシラン、アリルトリエチルシラン、アリルジエチルフェニルシラン、アリルエチルジフェニルシラン等が例示される。中でも、耐熱性、耐光性の観点から、トリメチルビニルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシランが好ましい例として挙げられ、さらに、ガスバリア性や屈折率の観点から、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシランが好ましい例として挙げられる。
また(c)成分がポリシロキサンである場合、アルケニル基を1個有する直鎖構造のポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を1個有するポリシロキサン、アルケニル基を1個有する環状シロキサン等が例示される。
(c)成分が、アルケニル基を1個有する直鎖構造のポリシロキサンである場合、具体的に例えば、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とメチルフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたメチルフェニルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体等が例示される。
分子末端にアルケニル基を1個有するポリシロキサンである場合、具体的に例えば、先に例示したジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端が1個ずつ封鎖されたポリシロキサン、SiO単位、SiO3/2単位、SiO単位、SiO1/2単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位および1つのジメチルビニルシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
(c)成分が、アルケニル基を1個有する環状シロキサンである場合、具体的に例えば、1−ビニル−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3−フェニル−1,3,5,5,7,7−ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5−ジフェニル−1,3,5,7,7−ペンタメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5,7−トリフェニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。
これら(c)成分である、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<1分子中にアルケニル基を1個有する環状オレフィン化合物(d)>
本発明における(d)成分は、1分子中に炭素−炭素2重結合を1個有する環状オレフィン化合物であればよく、この炭素−炭素2重結合は、ビニレン基、ビニリデン基、アルケニル基のいずれであってもよい。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
また、本発明における(d)成分は、平均分子量が1000以下であることが(b)成分との反応性の観点から好ましい。このような環状オレフィン化合物として、脂肪族環状オレフィン化合物、置換脂肪族環状オレフィン化合物等が挙げられる。
脂肪族環状オレフィン化合物として、具体的に例えば、シクロへキセン、シクロへプテン、シクロオクテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン、ビニルシクロオクタン、アリルシクロヘキサン、アリルシクロヘプタン、アリルシクロオクタン、メチレンシクロヘキサン等が挙げられる。
置換脂肪族環状オレフィン化合物として、具体的に例えば、ノルボルネン、1−メチルノルボルネン、2−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、z2−ビニルノルボルナン、7−ビニルノルボルナン、2−アリルノルボルナン、7−アリルノルボルナン、2−メチレンノルボルナン、7−メチレンノルボルナン、カンフェン、ビニルノルカンフェン、6−メチル−5−ビニル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、3−メチル−2−メチレン−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、α−ピネン、β−ピネン、6、6−ジメチル−ビシクロ〔3,1,1〕−2−ヘプタエン、2−ビニルアダマンタン、2−メチレンアダマンタン等が挙げられる。
中でも入手性の観点から、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルネン、カンフェン、ピネンが好ましい例として挙げられる。
これら、1分子中にアルケニル基を1個有する環状オレフィン化合物(d)は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
1分子中にアルケニル基を1個有する環状オレフィン化合物(d)の添加量は、後述のヒドロシリル基を有する化合物(b)のヒドロシリル基1個あたり、(d)成分のアルケニル基の数が、0.01〜0.5個になるように用いることが好ましい。添加量が少ないと、得られる硬化物の耐冷熱衝撃性が低下する場合があり、添加量が多いと、得られる硬化物に硬化不良が生じる場合がある。
<ヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)>
次に、本発明に用いるヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)について説明する。
本発明の(B−2)成分は、後述のヒドロシリル化触媒の存在下、アルケニル基及びイソシアヌル環骨格を有する有機化合物(f)とヒドロシリル基を有する化合物(b)をヒドロシリル化反応することにより得られる。1分子中にイソシアヌル環骨格及びシロキサン骨格の両方とSiH基を有する化合物を得る方法としては、特に限定されないが、一例として、(f)成分と大過剰量の(b)成分を反応させた後に、例えば減圧・加熱条件下にて、揮発性の未反応成分を留去して得ることができる。
こうして得られた(B−2)成分には、反応に用いた(f)成分のアルケニル基が一部残存していてもよい。
(b)成分の添加量は、(f)成分が有するアルケニル基1個に対し、(b)成分のヒドロシリル基の数が2〜20個が好ましく、2.5〜15個がより好ましく、3〜10個がさらにより好ましい。添加量が少ないと、架橋反応によりゲル化が進行するため、オルガノポリシロキサン変性体のハンドリング性が劣る場合があり、添加量が多いと、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
オルガノポリシロキサン変性体の合成時に用いるヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、反応に用いる(f)成分のアルケニル基1モルに対して10−1〜10−10モルの範囲で用いるのがよい。好ましくは10−4〜10−8モルの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化触媒が多いと、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、着色原因になったり、得られる硬化物の耐光性が低下する恐れがあり、また、硬化物が発泡する恐れもある。また、ヒドロシリル化触媒が少ないと、反応が進まず、目的物が得られない恐れがある。
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、45〜140℃である。温度が低すぎると反応が十分に進行せず、温度が高すぎると、ゲル化が生じ、ハンドリング性が悪化する恐れがある。
本発明におけるヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)としては、ガスバリア性の観点から、後述の有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)´であることが好ましい。
<有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)´>
本発明における有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)´は、後述のヒドロシリル化触媒の存在下、アルケニル基及びイソシアヌル環骨格を有する有機化合物(f)と、アルケニル基を1分子中に1個含有する化合物(g)を、ヒドロシリル基を有する化合物(b)とヒドロシリル化反応させることにより得られる。
本発明の有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)´を得る方法としては、特に限定されず種々設定できるが、予め(f)成分と(b)成分を反応させた後、(g)成分を反応させても良いし、予め(g
)成分と(b)成分を反応させた後、(f)成分を反応させても良いし、(f)成分と(g)成分を共存させて(b)成分と反応させても良い。各反応の終了後に、例えば減圧・加熱条件下にて、揮発性の未反応成分を留去し、目的物あるいは次のステップへの中間体として用いても良い。(f)成分と(b)成分のみが反応した、(g)成分を含まない化合物の生成を抑制するためには、(g)成分と(b)成分を反応させ、未反応の(g)成分を留去した後、(f)成分を反応させる方法が好ましい。
こうして得られた有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体には反応に用いた(f)成分のアルケニル基が一部残存していてもよい。
有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)´の合成時に用いるヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、反応に用いる(f)成分及び(g)成分のアルケニル基1モルに対して10−1〜10−10モルの範囲で用いるのがよい。好ましくは10−4〜10−8モルの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化触媒が多いと、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、着色原因になったり、得られる硬化物の耐光性が低下する恐れがあり、また、硬化物が発泡する恐れもある。また、ヒドロシリル化触媒が少ないと、反応が進まず、目的物が得られない恐れがある。
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、45〜140℃である。温度が低すぎると反応が十分に進行せず、温度が高すぎると、ゲル化が生じ、ハンドリング性が悪化する恐れがある。
このようにして得られた有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)´は、各種化合物、特にはシロキサン系化合物およびイソシアヌル酸誘導体との相溶性を確保でき、さらに分子内にヒドロシリル基が導入されていることから、各種アルケニル基を有する化合物と反応させることが可能となる。具体的には、後述の1分子中にアルケニル基を2個以上有する化合物(B−3)と反応させることにより、硬化物を得ることができる。
このようにして得られた有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)´は、(f)及び(g)、(b)成分の添加量、反応順序、反応時間、反応温度等を制御することにより、有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)´の粘度制御が可能である。また、有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)´の粘度制御を行うことで、ポリシロキサン組成物(B)の粘度を調整することも可能である。有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)´の粘度に関しては、特に限定されないが、有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)´が温度20℃において液状である場合、20℃での粘度が0.01Pa・s〜500Pa・sであることが好ましく、さらに好ましくは1Pa・s〜300Pa・sである。有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)´の粘度が低すぎると後述のポリシロキサン組成物の粘度が低くなり、蛍光体等の添加剤が分散せずに沈降する恐れがある。また、粘度が高すぎるとハンドリング性が悪化する恐れがある。
また、有機変性されたヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B−2)´は、得られる硬化物の強度や硬度、さらには、耐熱性・耐光性等の観点から、分子中に少なくとも3個のヒドロシリル基を有することが好ましい。
<アルケニル基及びイソシアヌル環骨格を有する有機化合物(f)>
本発明のアルケニル基及びイソシアヌル環骨格を有する有機化合物(f)としては、アルケニル基及びイソシアヌル環骨格を有する有機化合物であれば特に制限はないが、ポリシロキサン組成物の透明性、耐熱性、耐光性の観点から、下記一般式(17)で表される有機化合物が好ましい。
(式中R12は炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、それぞれのR12は異なっていても同一であってもよい。)
(f)成分の骨格中にアルケニル基及びイソシアヌル環骨格以外の官能基を有していても構わないが、得られる反応物である(B−2)成分の(B−1)成分および(B−3)成分との相溶性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖上の脂肪族炭化水素系基をはじめとする極性の低い官能基である方が好ましく、耐熱性、耐光性の観点から、特にメチル基が好ましい。
(f)成分は、例えば硬化性組成物を基材と硬化させた場合の基材との接着性の観点から、上記一般式(17)で表され、かつ、1分子中にアルケニル基を1個以上含有するイソシアヌル酸誘導体であることが好ましく、さらに耐熱性・耐光性のバランスの観点から、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルイソシアヌレート、モノアリルジメチルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートを用いることがより好ましく、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートがさらに好ましい。これらは、単独で用いても良く、2種類以上併用してもよい。
<アルケニル基を1分子中に1個含有する化合物(g)>
(g)成分としては、アルケニル基を1分子中に1個含有する化合物であれば特に限定されないが、(g)成分としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものであることが好ましい。
(g)成分の化合物は、重合体系の化合物と単量体系化合物に分類できる。
重合体系化合物としては例えば、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
また単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物、シリコン系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
(g)成分のアルケニル基としては特に限定されないが、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基、アリル基が好ましい。
(g)成分の具体的な例としては、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウンデセン、出光石油化学社製リニアレン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のような鎖状脂肪族炭化水素系化合物類、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、アリルシクロへキシル、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等のような環状脂肪族炭化水素系化合物類、スチレン、αメチルスチレン、インデン、フェニルアセチレン、4−エチニルトルエン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等のような芳香族炭化水素系化合物、アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、グリセリンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類、1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼン、アリルアニソール、o−アリルフェノール、等の芳香族系化合物類、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルフェニルシラン、ビニルメチルジフェニルシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコン化合物等が挙げられる。さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂、片末端アリル化ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、等の片末端にビニル基を有するポリマーあるいはオリゴマー類等も挙げることができる。
構造は線状でも枝分かれ状でもよく、分子量は特に制約はなく種々のものを用いることができる。分子量分布も特に制限ないが、反応生成物の粘度が低くなりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
(g)成分のガラス転位温度が存在する場合はこれについても特に限定はなく種々のものが用いられるが、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においてはガラス点移転温度は100℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることがさらに好ましい。好ましい樹脂の例としてはポリブチルアクリレート樹脂等が挙げられる。逆に得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、ガラス転位温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、170℃以上であることが最も好ましい。ガラス転位温度は動的粘弾性測定においてtanδが極大を示す温度として求めることができる。
(g)成分としては、得られる硬化物の耐光性が高くなるという点においては、脂肪族炭化水素化合物であることが好ましい。この場合好ましい炭素数の下限は2であり、好ましい炭素数の上限は10である。
(g)成分としては、得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、芳香族炭化水素化合物であることが好ましい。この場合好ましい炭素数の下限は7であり、好ましい炭素数の上限は10である。
(g)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基、ビニロキシル基、酸無水物基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。具体的にはモノアリルジグリシジルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、アリルビニルエーテル、アリルメタクリレート、アリロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリロキシエチルアクリレート、ビニルトリメトキシシラン、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキシド等が挙げられる。
取扱い性が良い粘度であるという点からは、(g)成分の分子量は500以下が好ましく、300以下が更により好ましい。
上記のような(g)成分としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
<アルケニル基を2個以上有する化合物(B−3)>
本発明に用いられる化合物(B−3)は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合物であれば特に制限はない。
化合物(B−3)の添加量は種々設定できるが、化合物(B−3)のアルケニル基1個あたり、化合物(B−1)及び(B−2)に含まれるヒドロシリル基が0.3〜5個、好ましくは、0.5〜3個となる割合で添加されることが望ましい。アルケニル基の割合が少ないと、発泡等による外観不良が生じやすくなり、また、アルケニル基の割合が多いと、硬化後の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
ここで、化合物(B−3)としては、例えば、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B−3a)や、後述する有機化合物(B−3b)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、(B−3a)成分と(B−3b)成分とは併用してもよい。
<1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B−3a)>
本発明の硬化性組成物が含有しえる、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B−3a)のシロキサンのユニット数は、特に限定されないが、2つ以上が好ましく、さらに好ましくは、2〜10個である。1分子中のシロキサンのユニット数が少ないと、組成物から揮発しやすくなり、硬化後に所望の物性が得られないことがある。また、シロキサンのユニット数が多いと、得られた硬化物のガスバリア性が低下する場合がある。
1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、アリール基を有していることが、ガスバリア性の観点から好ましい。また、アリール基を有する1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上に直接アリール基が結合していることが好ましい。また、アリール基は分子の側鎖または末端いずれにあってもよく、このようなアリール基含有ポリシロキサンの分子構造は限定されず、例えば直鎖状、分岐鎖状、一部分岐鎖状を有する直鎖状の他に、環状構造を有してもよい。
このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、3−イソブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、3−tブチルフェニル基、4−tブチルフェニル基、3−ペンチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3−ジエチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,5−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、ビフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基、3−エポキシフェニル基、4−エポキシフェニル基、3−グリシジルフェニル基、4−グリシジルフェニル基等が挙げられる。中でも、耐熱・耐光性の観点から、フェニル基が好ましい例として挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上併用して用いてもよい。
本発明における1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンとしては、耐熱性、耐光性の観点から、アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン、アルケニル基を2個以上有する環状シロキサンなどが好ましい例として挙げられる。
アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルビニルシロキサン単位2つ以上とSiO単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を2個以上有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−ビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1−フェニル−3,5,7−トリメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,3−ジフェニル−5,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,5−ジフェニル−3,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,3,5−トリフェニル−7−メチルシクロテトラシロキサン、1−フェニル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジフェニル−5,7−ジビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
これら1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、単独で用いても良く、2種類以上併用して用いてもよい。
<有機化合物(B−3b)>
本発明の硬化性組成物が含有しえる、有機化合物(B−3b)は、下記一般式(18)で表される有機化合物であって、かつ、1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物であれば特に限定はされない。
(式中R13炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、それぞれのR13は異なっていても同一であってもよい。)
(B−3b)成分は、1分子中にアルケニル基を平均して2個以上含有しているため、得られる硬化物の強度やガスバリア性、耐熱性、耐光性等が優れることとなる。また、ガスバリア性の観点から、数平均分子量900未満であることが好ましい。
また、(B−3b)成分の骨格中にアルケニル基以外の官能基を有していても構わないが、多面体構造ポリシロキサンとの相溶性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖上の脂肪族炭化水素系基をはじめとする極性の低い官能基であるほうが好ましく、耐熱性、耐光性の観点から、特にメチル基が好ましい。
(B−3b)成分は、例えば組成物を基材と硬化させた場合の基材との接着性の観点から、上記一般式(19)で表され、かつ、1分子中にアルケニル基を2個以上含有するイソシアヌル酸誘導体であることが好ましく、さらに耐熱性・耐光性のバランスの観点から、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレートを用いることがより好ましく、特に耐冷熱衝撃性の観点からジアリルモノメチルイソシアヌレートがさらに好ましい。これらは、単独で用いても良く、2種類以上併用して用いてもよい。
<ヒドロシリル化触媒(C)>
本発明で用いることができるヒドロシリル化触媒としては、通常ヒドロシリル化触媒として公知のものを選択でき、特に制限はない。
具体的に例示すれば、白金−オレフィン錯体、塩化白金酸、白金の単体、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック、高分子等)に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体、例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt〔(MeViSiO)4m;白金−ホスフィン錯体、例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34;白金−ホスファイト錯体、例えば、Pt〔P(OPh)34、Pt〔P(OBu)34(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。
<硬化性組成物>
本発明の光半導体装置に用いられるポリシロキサン組成物は、必要に応じて、硬化遅延剤や無機フィラー、蛍光体等を混合することにより得ることができる。
本発明に用いられる硬化性組成物の粘度は、特に制限はないが、温度23℃において0.1Pa・s〜300Pa・sであることが好ましく、さらに好ましくは0.5Pa・s〜200Pa・sである。硬化性組成物の粘度が低いと、蛍光体が沈降し個体間の色度ズレが大きくなる恐れがあり、粘度が高いと、硬化性組成物のハンドリング性が悪化する恐れがある。
硬化性組成物を硬化させる際に温度を加える場合は、好ましくは、30〜400℃、さらに好ましくは50〜250℃である。硬化温度が高いと、得られる硬化物に外観不良が生じる傾向があり、低いと硬化が不十分となる。また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることができ好ましい。
硬化時間は硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒の量及び反応性基の量、その他、硬化性組成物の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、1分〜12時間、好ましくは10分〜8時間行うことにより、良好な硬化物を得ることができる。
本発明で用いられる硬化性組成物の保存安定性の改良あるいは、硬化過程でのヒドロシリル化反応性を調整するために硬化遅延剤を用いても良い。硬化遅延剤としては、ヒドロシリル化触媒による付加型硬化性組成物で用いられている公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、具体的には3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示できる。
有機リン化合物としては、具体的にはトリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示できる。
有機イオウ化合物としては、具体的にはオルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示できる。
窒素含有化合物としては、具体的にはN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が例示できる。
スズ系化合物としては、具体的にはハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示できる。
有機過酸化物としては、具体的にはジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。これらのうち、マレイン酸ジメチル、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが、特に好ましい硬化遅延剤として例示できる。
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10−1〜10モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜100モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の光半導体装置に用いられる硬化性組成物には、必要に応じて接着性付与剤を添加することができる。
接着性付与剤は、例えば、本発明におけるポリシロキサン系組成物と基材との接着性を向上する目的で用いるものであり、その様な効果があるものであれば特に制限はないが、シランカップリング剤が好ましい例として例示できる。
シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、具体的には3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
シランカップリング剤の添加量としては、硬化性組成物100重量部に対して、0.05〜30重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、接着性付与剤の効果を高めるために、公知の接着性促進剤を用いることもできる。接着性促進剤としては、エポキシ含有化合物、エポキシ樹脂、ボロン酸エステル化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の光半導体装置に用いられる硬化性組成物には、必要に応じて無機フィラーを添加することができる。無機フィラーを用いることにより、得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、およびガスバリア性等の諸物性を改善することができる。
無機フィラーは、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
無機フィラーは、適宜表面処理をほどこしてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
無機フィラーの形状としては、破砕状、片状、球状、棒状等、各種用いることができる。無機フィラーの平均粒径や粒径分布は、特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から、平均粒径が0.005〜50μmであることが好ましく、さらには0.01〜20μmであることがより好ましい。同様に、BET比表面積についても、特に限定されるものでないが、ガスバリア性の観点から、70m/g以上であることが好ましく、100m/g以上であることがより好ましく、さらに200m/g以上であることが特に好ましい。
無機フィラーの添加量は特に限定されないが、硬化性組成物100重量部に対して、1〜1000重量部、よりこの好ましくは、3〜500重量部、さらに好ましくは、5〜300重量部である。無機フィラーの添加量が多いと、流動性が悪くなる場合があり、無機フィラーの添加量が少ないと、所望の物性が得られない場合がある。
無機フィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。無機フィラーの混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下で行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合する際の温度が高いと、成型する前に組成物が硬化する場合がある。
本発明の光半導体装置に用いられる硬化性組成物は蛍光体を含有し、蛍光体層を形成する。蛍光体は上記発光素子の発する光を吸収して異なる波長の光を発生するものであり、本発明の光半導体装置に用いられる蛍光体としては、特に限定されず、一般的に公知の無機蛍光体や有機蛍光体を用いることができ、本発明の光半導体装置が必要とする発光色を得るために任意のものを選択することができる。具体的に、例えば、YAG系蛍光体、TAG系蛍光体、オルトシリケートアルカリ土類系蛍光体、α−サイアロン系蛍光体、β−サイアロン系蛍光体、カズン系蛍光体、ニトリドおよびオキシニトリド系蛍光体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら蛍光体は1種または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。
本発明における蛍光体の使用量には特に制限は無く、光半導体装置が必要とする発光色を得るために任意の量を使用することができるが、あえて例示するならば、硬化性組成物中に好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは2重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下である。蛍光体の使用量が少ないと、蛍光体による波長変換が不十分となり、目的とする発光色が得られなくなる場合があり、蛍光体の使用量が多いと、組成物のハンドリング性が低下したり、光学的な干渉作用により蛍光体の利用効率が低くなったりする可能性がある。
蛍光体を硬化性組成物に混合する方法としては、蛍光体の結晶構造に損傷を与えず蛍光体を均一に混合することが可能な方法であれば特に制限はなく、例えばミキサー、高速ディスパー、ホモジナイザー、3本ロール、2本ロール、ニーダー、ビーズミル等、従来公知の方法を用いることが出来る。上記の中でも特に、遊星攪拌ミキサー、3本ロール、2本ロール、など混合にあたり発熱の少ないものや混合機由来の金属磨耗粒子の混入が少ないものが好ましく、なかでも遊星攪拌ミキサーが蛍光体の損傷少なく脱泡しながら混合できるので好ましい。これらの混合方法は、一種のみ行ってもよく、また二種以上を組み合わせて行ってもよい。
また、本発明の光半導体装置に用いられる硬化性組成物には、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
本発明の光半導体装置に用いられる硬化性組成物は、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりしてもよい。
本発明のポリシロキサン組成物は、成形体として使用することができる。
成形方法としては、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、液状射出成形、注型成形などの任意の方法を使用することができる。
本発明において得られる成型体の用途としては、具体的に例えば、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、カラーフィルター、偏光子保護フィルム、パッシベーション膜などの液晶用フィルムなどの液晶表示装置周辺材料が例示される。また、PDP(プラズマディスプレイ)の封止剤、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜、またLED表示装置に使用されるLED素子のモールド材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜、またプラズマアドレス液晶ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、カラーフィルター、偏光子保護フィルム、パッシベーション膜、また有機ELディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、カラーフィルター、接着剤、パッシベーション膜、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜が例示される。
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤が例示される。さらに具体的には、次世代DVD等の光ピックアップ用の部材、例えば、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、対物レンズ、センサレンズ、保護フィルム、素子封止剤、センサー封止剤、グレーティング、接着剤、プリズム、波長板、補正板、スプリッタ、ホログラム、ミラー等が例示される。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部が例示される。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーが例示される。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤などが例示される。光センシング機器のレンズ用材料、封止剤、接着剤、フィルムなどが例示される。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止剤、接着剤などが例示される。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止剤、接着剤などが例示される。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LED素子の封止剤、ダイボンド剤、接着剤、チップコート剤などが例示される。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーが例示される。
半導体集積回路周辺材料では、層間絶縁膜、パッシベーション膜、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料が例示される。
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品が例示される。また、鉄道車輌用の複層ガラスが例示される。また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートが例示される。
建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料が例示される。農業用では、ハウス被覆用フィルムが例示される。
次世代の光・電子機能有機材料としては、次世代DVD、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
<半導体装置>
本発明の半導体装置としては、特に限定はされないが、例えば図1に示す構造が挙げられる。図1は、光半導体装置の概略断面図である。
本発明の図1中の光半導体素子1は、特に限定されず、光半導体装置のLEDとして汎用されているもの等を用いることができる。例えば、放射した光により蛍光体を励起して可視光を発光させるものであり、可視光発光タイプのLEDや、紫外発光タイプのLEDなどが挙げられる。本発明の光半導体素子1は、1つの光半導体装置あたりに複数個の同一または異なる種類のLEDを実装してもよい。
本発明の図1中のリフレクター2は、必要に応じて用いても良く、光半導体素子1からの光半導体装置を効率よく反射させることを目的とするものである。材質としては、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂や、ガラスエポキシや、セラミックスなどを用いることができるが、特に限定されるものではない。
本発明の図1中のポリシロキサン系組成物の硬化物3は、光半導体素子1からの光半導体装置を効率よく外部に浸透させる、外力や埃などから光半導体素子やワイヤなどを保護する、腐食性ガスの装置内への侵入を防ぐ、といった作用を有する。
本発明の図1中のリード4は、LED実装時の導電性確保とLEDの反射効率を高めるためのものである。特に、可視光領域での反射率が高いことから、金属の表面に銀メッキをしたものが用いられることが多いが、銀メッキに限定されるものではない。
本発明の図1中のワイヤ5は、光半導体素子1とリード4を電気的に接続するものであり、材質としては導電性のものであれば特に限定しないが、金や金合金や銅等が挙げられる。また、ワイヤ5を用いる代わりに、導電性接着剤や共晶ハンダを用いて電気的接続を行ってもよい。
本発明の図1中の蛍光体6は、光半導体素子1から放射された光を吸収し、異なる波長を発光するものである。用いる蛍光体の組成には特に制限はないが、400nm〜800nmの可視光を発する蛍光体が一般的に用いられている。また、硬化物3中で蛍光体が沈降しているか浮遊しているかにも制限はない。
本発明の光半導体装置は従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的に、例えば、受発光デバイス液晶表示装置等のバックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
(SiH価)
ヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体(B−1)0.200g、ジブロモエタン0.200g、重クロロホルム1.000gの混合溶液を作成した。多面体構造ポリシロキサン変性体のSiH価は、得られた溶液を、バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製 400MHz NMRを用いて測定し、下記計算式(1)
SiH価(mol/kg)=[多面体構造ポリシロキサン変性体のSiH基に帰属されるピークの積分値]/[ジブロモエタンのメチル基に帰属されるピークの積分値]×4×[混合物中のジブロモエタン重量]/[ジブロモエタンの分子量]/[混合物中の多面体構造ポリシロキサン変性体重量] (1)
を用いることで算出した。
またヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体のSiH価についても上記と同じ方法で算出した。
(製造例1)
48%コリン水溶液(トリメチル−2ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)1803gにテトラエトキシシラン1459gを加え、室温で2時間激しく撹拌した。反応系内が発熱し、均一溶液になった段階で、撹拌を緩め、さらに12時間反応させた。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール1400mLを加え、均一溶液とした。
ジメチルビニルクロロシラン1149g、トリメチルシリクロリド830gおよびヘキサン1400mLの溶液を激しく攪拌しながら、メタノール溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間反応させた後、有機層を抽出、濃縮することにより、固形物を得た。次に、生成した固形物をメタノール中で激しく攪拌することにより洗浄し、ろ別することにより、Si原子16個と、ビニル基を4個有するアルケニル基を含有するポリシロキサン系化合物であるテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン(Fw=1175.8)を白色固体として760g得た。
(製造例2)
製造例1で得られたアルケニル基を有するポリシロキサン系化合物30.0gをトルエン123.0gに溶解させ、ビニルジフェニルメチルシラン31.5g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)1.46μLを加えた。このようにして得られた溶液を、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン24.6g、トルエン24.6gの溶液にゆっくりと滴下し、105℃で2時間反応させた。反応終了後、エチニルシクロヘキサノール2.8μl、マレイン酸ジメチル0.65μlを加え、トルエンと未反応成分を留去することにより、液状のポリシロキサン変性体(B1)を80.8g(SiH価数1.8mol/kg)得た。
(製造例3)
1L3つ口フラスコにトルエン300g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン100gを入れ、気相部を窒素で置換した後、50℃で加熱、攪拌した。アリルグリシジルエーテル95g、トルエン95g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.017gの混合液を90分かけて滴下した。滴下終了後に60℃に上げて120分反応、H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認した。トリアリルイソシアヌレート7g、トルエン7gの混合液を滴下した後、ジャケット温を105℃に上げて、トリアリルイソシアヌレート28g、トルエン28g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.014gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から9時間後のH−NMRによるアリル基の反応率が90%だった。冷却により反応を終了した。1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの未反応物は見られなかった。トルエンとアリルグリシジルエーテルの副生物(アリルグリシジルエーテルのビニル基の内転移物(シス体およびトランス体))を合計5,000ppm以下まで減圧留去し、液状のヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体(B2)を211g(SiH価数2.8mol/kg)を得た。
(配合例1)
製造例2で得られたポリシロキサン変性体(B1)8.4gに、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン3.3g、ジアリルモノメチルイソシアヌレート1.3g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)2.1μL、エチニルシクロヘキサノール2.0μlを加えて均一に撹拌混合し一液を作成した。
(配合例2)
製造例2で得られたポリシロキサン変性体(B1)5.3gに、製造例3で得られたポリシロキサン変性体(B2)2.5g、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン0.9g、ジアリルモノメチルイソシアヌレート1.3g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液2.5μL、エチニルシクロヘキサノール4.3μlを加えて均一に撹拌混合し一液を作成した。
(配合例3)
フェニルシリコーンである東レダウコーニング社製OE6630A/Bの、A剤2.00g、B剤8.00gを均一に撹拌混合し一液を作成した。
(実施例1)
配合例1で作成した一液に、アコニット酸の1%アセトン溶液を63.5uL加えた液をThinky社製あわとり練太郎AR−250を用いて、撹拌3分、脱泡3分、撹拌3分を順に行うことによりポリシロキサン組成物を作成した。
ジェネライツ社製12mil×13mil角 青色LEDチップ(品番:B1213AAA0 S46B/C−19/20)を実装したエノモト社製リフレクター(品番:TOP LED 1−IN−1)を3個用意し、前記硬化性組成物を上記の撹拌と脱泡から15分以内に、サンエイテック社製ディスペンサー 1500シリーズ、サンエイテック社製3ccバレル−ピストンセット(品番:SH09CP−B)、サンエイテック社製チップ(品番:SH23−B)を用いて注入し、注入後30分以内に、対流式オーブンで80℃120分、100℃60分、150℃300分の順に昇温して硬化した。得られた光半導体装置を大塚電子社製全光束測定装置(積分球:Φ300mm)を用いて、温度25℃、電流20mA、の条件で通電して発光させ、硬化後の全光束を測定し、3個の平均値を算出した。これらの光半導体装置をナガノサイエンス社製環境試験機(LH21−13M)に85℃、85%RHの条件下で2000h保管試験を実施し、前記全光束測定装置を用いて試験後の全光束を測定し、3個の平均値を算出し、下記算出式より、試験前後の全光束保持率を算出した。
全光束保持率(%)
=(試験後全光束の平均値)/(硬化後の全光束の平均値)×100
また試験後の光半導体装置の金属面を目視観察により、着色の程度を○、△、×の3段階に分類した。○は試験前後での変化なし、△は試験後にわずかに着色あり、×は試験後に着色ありとした。
(実施例2)配合例1にクエン酸の1%アセトン溶液を63.5uL加えて、同様の手順で、ポリシロキサン組成物及び光半導体装置を作製した。実施例1に記載の装置を用いて試験前後の全光束保持率を算出した。また試験後の光半導体装置の金属面を目視観察により、着色の程度を評価した。
(実施例3)配合例2にアコニット酸の1%アセトン溶液を63.5uL加えて、同様の手順で、ポリシロキサン組成物及び光半導体装置を作製した。実施例1に記載の装置を用いて試験前後の全光束保持率を算出した。また試験後の光半導体装置の金属面を目視観察により、着色の程度を評価した。
(実施例4)配合例2にクエン酸の1%アセトン溶液を63.5uL加えて、同様の手順で、ポリシロキサン組成物及び光半導体装置を作製した。実施例1に記載の装置を用いて試験前後の全光束保持率を算出した。また試験後の光半導体装置の金属面を目視観察により、着色の程度を評価した。
(実施例5)配合例3にクエン酸の1%アセトン溶液を63.5uL加えて、同様の手順で、ポリシロキサン組成物及び光半導体装置を作製した。実施例1に記載の装置を用いて試験前後の全光束保持率を算出した。また試験後の光半導体装置の金属面を目視観察により、着色の程度を評価した。
(比較例1)配合例1の光半導体装置を実施例1に記載の装置を用いて試験前後の全光束保持率を算出した。また試験後の光半導体装置の金属面を目視観察により、着色の程度を評価した。
(比較例2)配合例1に酢酸の1%アセトン溶液を63.5uL加えて、同様の手順で、ポリシロキサン組成物及び光半導体装置を作製した。実施例1に記載の装置を用いて試験前後の全光束保持率を算出した。また試験後の光半導体装置の金属面を目視観察により、着色の程度を評価した。
(比較例3)配合例2の光半導体装置を実施例1に記載の装置を用いて試験前後の全光束保持率を算出した。また試験後の光半導体装置の金属面を目視観察により、着色の程度を評価した。
(比較例4)配合例2に酢酸の1%アセトン溶液を63.5uL加えて、同様の手順で、ポリシロキサン組成物及び光半導体装置を作製した。実施例1に記載の装置を用いて試験前後の全光束保持率を算出した。また試験後の光半導体装置の金属面を目視観察により、着色の程度を評価した。
(比較例5)配合例3の光半導体装置を実施例1に記載の装置を用いて試験前後の全光束保持率を算出した。また試験後の光半導体装置の金属面を目視観察により、着色の程度を評価した。
(比較例6)配合例3に酢酸の1%アセトン溶液を63.5uL加えて、同様の手順で、ポリシロキサン組成物及び光半導体装置を作製した。実施例1に記載の装置を用いて試験前後の全光束保持率を算出した。また試験後の光半導体装置の金属面を目視観察により、着色の程度を評価した。
実施例及び比較例の配合組成、添加した酸の種類並びに添加量、光半導体装置の全光束保持率、金属面の着色の程度を表1にまとめて記載した。
表1に示すように、本発明の硬化性組成物を使用した光半導体装置においては、比較例に対して、試験後の全光束保持率及び目視による着色観察から、金属ナノ粒子(微細な粒子)の形成による着色が抑制されていることが分かる。またこの抑制効果はモノカルボン酸の添加では発揮されないことが分かる。
1 LEDチップ
2 リフレクター
3 ポリシロキサン系組成物の硬化物
4 リード
5 ボンディングワイヤ
6 蛍光体

Claims (10)

  1. 半導体素子の封止に用いられる硬化性樹脂組成物であって、
    (A)有機酸、(B)ポリシロキサン組成物、および(C)ヒドロシリル化触媒を含み、
    前記(A)有機酸が、クエン酸、イソクエン酸、cis-アコニット酸、trans-アコニット酸、トリメリット酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,3−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、および2,3,5−ヘキサントリカルボン酸からなる群から選択される1種以上であり、
    前記(B)ポリシロキサン組成物がフェニルシリコーンである、半導体素子封止用硬化性樹脂組成物。
  2. 半導体素子が、請求項1に記載の半導体素子封止用硬化性樹脂組成物の硬化物である樹脂硬化物により封止されている半導体装置。
  3. (A)有機酸、(B)ポリシロキサン組成物、および(C)ヒドロシリル化触媒を含み、
    前記(A)有機酸が、クエン酸、イソクエン酸、cis-アコニット酸、trans-アコニット酸、トリメリット酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,3−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、および2,3,5−ヘキサントリカルボン酸からなる群から選択される1種以上であり、
    前記(B)ポリシロキサン組成物が、(B−1)ヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体、および(B−3)アルケニル基を2個以上有する化合物を含み、
    硬化後において前記(A)有機酸のカルボキシ基の少なくとも一部が未反応で残存する組成を有する、硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(B)ポリシロキサン組成物が、さらに、(B−2)ヒドロシリル基を含有するイソシアヌル酸誘導体を含む、請求項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記(B−1)成分が、(a)アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物と、(b)ヒドロシリル基を有する化合物と、(c)1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物および/または(d)1分子中にアルケニル基を1個有する環状オレフィン化合物とを、ヒドロシリル化反応することにより得られる有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体である、請求項3または4に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記(a)成分が、下記一般式
    [AR SiO−SiO3/2[R SiO−SiO3/2
    (a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン系化合物である、請求項5に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記(b)成分が、ヒドロシリル基を有する環状シロキサン、および/またはヒドロシリル基を有する直鎖状シロキサンである、請求項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項3〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物である樹脂硬化物。
  9. 半導体素子が、請求項に記載の樹脂硬化物により封止されている半導体装置。
  10. 表面に銀がメッキされたリードフレーム、および前記リードフレームと電気的に接続された光半導体素子が、前記樹脂硬化物により封止されている、請求項またはに記載の半導体装置。
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