JP6338327B2 - 硬化性樹脂組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、高い耐熱性、耐光性を有し、チクソ性に優れ、ハンドリング性が良好な硬化性樹脂組成物に関する。
ポリシロキサン系組成物は、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐光性、化学的安定性、電気特性、難燃性、耐水性、透明性、着色性、非粘着性、非腐食性に優れており、様々な産業で利用されている。例えば、光半導体素子封止剤用途において、素子の高出力化に伴い、従来のオキセタニル基やエポキシ基を有する材料に代わり、ポリシロキサン系組成物を利用する試みが数多くなされている。光半導体素子封止剤用途においてポリシロキサン系化合物を利用する際、良好なハンドリング性や成形加工性を得るために、ポリシロキサン系化合物の粘度およびチクソ性をコントロールする必要がある。例えば、支持基板上の光半導体素子にディスペンサーを用いて直接成形・硬化しようとすると、樹脂が流れてしまい目的の形状を有する成形・硬化物が得られないという問題があった。そこでポリシロキサン系化合物に無機フィラーを添加すれば、粘度及びチクソ性が向上することは知られているが、白濁が生じたり、多量のフィラーを混合する際に手間がかかり実用的ではなかった。
また、光半導体素子封止剤用途においては、白色光を得るために、青色の発光素子に対して黄色の蛍光体を含有させた封止剤を用いる、あるいは、より演色性を高めるために、青色の発光素子に対して緑色の蛍光体と赤色の蛍光体とを含有させた封止剤を用いる等の手段を用いるが、封止剤の粘度が低い場合には、封止剤のハンドリング時に蛍光体の沈降が起こり、発光色のバラツキが発生するといった問題があった。例えば、特許文献1において、多面体構造を有するポリシロキサン変性体を用いた組成物が開示されており、この材料は、成型加工性、透明性、耐熱・耐光性、接着性に優れているが、組成物のハンドリング性についてはさらなる改良の余地も残されていた。
以上のように、高い耐熱性、耐光性を有し、かつ、光半導体素子を封止する際のハンドリング性が良好な材料の開発が望まれていた。
WO08/010545
高い耐熱性、耐光性を有し、チクソ性に優れ、ハンドリング性が良好な硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、
1).(A)ポリシロキサン組成物、(B)無機フィラー、(C)多官能アクリレートおよび/または多官能メタクリレート、(D)ヒドロシリル化触媒からなる硬化性樹脂組成物。
2).ポリシロキサン組成物(A)がフェニルシリコーンであることを特徴とする1)に記載の硬化性樹脂組成物。
3).ポリシロキサン組成物(A)がメチルシリコーンであることを特徴とする1)に記載の硬化性樹脂組成物。
4).ポリシロキサン組成物(A)が、下記(A−1)、(A−2)からなる1)に
記載の硬化性樹脂組成物。
(A−1)アルケニル基および/またはヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体、
(A−2)前記(A−1)成分とヒドロシリル化可能なヒドロシリル基および/またはアルケニル基を2個以上有する硬化剤。
5).(A−1)成分が、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)と、ヒドロシリル基を有する化合物(b)と、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(c)および/または環状オレフィン化合物(d)とをヒドロシリル化反応することにより得られる有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´であることを特徴とする4)に記載の硬化性樹脂組成物。
6).(A)成分が温度20℃において、液状であることを特徴とする1)〜5)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
7).無機フィラー(B)が金属酸化物であることを特徴とする1)〜6)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
8).無機フィラー(B)がシリカであることを特徴とする1)〜7)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
9).多官能アクリレートおよび/または多官能メタクリレート(C)が、末端にアクリル基および/またはメタクリル基を含有する多官能オクタシルセスキオキサンであることを特徴とする1)〜8)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
10).光ラジカル開始剤および/または熱ラジカル開始剤を含有することを特徴とする1)〜9)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
11).硬化遅延剤を含有することを特徴とする1)〜10)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
12).接着性付与剤を含有することを特徴とする1)〜11)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
13).蛍光体を含有することを特徴とする1)〜12)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
14).1)〜13)のいずれか1項の硬化性樹脂組成物より得られた硬化物。
高い耐熱性、耐光性を有し、チクソ性に優れ、ハンドリング性が良好な硬化性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリシロキサン組成物(A)>
本発明におけるポリシロキサン組成物(A)は、特に限定されないが、後述のヒドロシリル化触媒を用いてヒドロシリル化反応で硬化することができる樹脂であればよい。このようなポリシロキサン組成物(A)としては、例えばアルケニル基を有する化合物とヒドロシリル基を有する化合物を含む組成物が挙げられ、その構造は直鎖状、分岐鎖状、環状、三次元架橋構造、および多面体構造を有するものであればいずれであってもよい。
直鎖状の構造を持つアルケニル基含有化合物としては、例えば、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、などが挙げられる。
直鎖状の構造を持つヒドロシリル基含有化合物としては、例えば、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、などが挙げられる。
分岐鎖状の構造を持つアルケニル基含有化合物としては、例えば、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたジメチルシロキサン単位およびメチルシロキサン単位の共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたメチルフェニルシロキサン単位およびメチルシロキサン単位の共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたジフェニルシロキサン単位およびメチルシロキサン単位の共重合体、 ジメチルシロキサン単位とメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体などが挙げられる。
分岐鎖状の構造を持つヒドロシリル基含有化合物としては、例えば、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたジメチルシロキサン単位およびメチルシロキサン単位の共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたメチルフェニルシロキサン単位およびメチルシロキサン単位の共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたジフェニルシロキサン単位およびメチルシロキサン単位の共重合体、 ジメチルシロキサン単位とメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体などが挙げられる。
また環状構造を持つアルケニル基含有化合物としては、例えば、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3−ジメチル−5,7−ジフェニルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−フェニル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジフェニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、などが挙げられる。
環状構造を持つヒドロシリル基含有化合物としては、例えば、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3−ジメチル−5,7−ジフェニルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−フェニル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジフェニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが挙げられる。
三次元架橋構造を有する(A)成分の例としては、特に限定はしないが、一般式(1)
SiO4/2(1)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(2)、(3)
SiO1/2(2)
SiO1/2(3)
(式中、Rはアルケニル基または水素原子、Rはアルケニル基および水素原子以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(2)で少なくとも2つ封鎖された構造を有するものが例示される。
またアルケニル基および水素原子以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基が例示でき好ましい。
フェニルシリコーンとは、上述の直鎖状、分岐鎖状、環状或いは三次元架橋構造の少なくともいずれかを有し、シロキサン単位としては、必ずフェニルシロキサン単位を含むポリシロキサン化合物を意味し、例えば、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサンが挙げられる。
また、メチルシリコーンとは、上述の直鎖状、分岐鎖状、環状或いは三次元架橋構造の少なくともいずれかを有し、フェニルシロキサン単位を持たず、ジメチルシロキサン単位を主成分とするポリシロキサン化合物を意味する。フェニルシリコーンの具体例としては、例えば、東レダウコーニング製のOE−6630が挙げられ、メチルシリコーンの具体例としては、例えば、東レダウコーニング製のJCR−6140が挙げられる。
多面体構造を有する(A)成分の例としては、特に限定はしないが、具体的に例えば、以下の式
[RSiO3/2[RSiO3/2
(x+yは6〜24の整数;xは1以上の整数、yは0または1以上の整数;Rはアルケニル基またはヒドロシリル基、もしくは、アルケニル基またはヒドロシリルを有する基;Rは、任意の有機基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)
で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物が例示される。
さらには、式
[AR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2]
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基またはヒドロシリル基;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)
で表されるシロキサン単位から構成される多面体構造ポリシロキサン系化合物が例示される。
このようなポリシロキサン組成物(A)は、取り扱い性の観点から、上記フェニルシリコーン、メチルシリコーン、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)と、ヒドロシリル基/およびアルケニル基を2個以上有する硬化剤(A−2)からなるポリシロキサン組成物が好ましい例として挙げられる。
耐熱性、耐光性、ガスバリア性の観点から、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)と、ヒドロシリル基/およびアルケニル基を2個以上有する硬化剤(A−2)からなるポリシロキサン組成物が、さらに好ましい例として挙げられる。
以下、(A−1)および(A−2)については、詳細を示す。
<アルケニル基および/またはヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)>
本発明におけるアルケニル基および/またはヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)は、分子骨格内にアルケニル基および/またはヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物であれば、特に限定されないが、具体的に例えば、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物に対して、前記ポリシロキサン系化合物とヒドロシリル化反応可能なヒドロシリル基および/またはアルケニル基を有する化合物を変性して得ることが可能である。本発明において得られる多面体構造ポリシロキサン変性体は、ハンドリング性、成形加工性の観点から、温度20℃で液状とすることが好ましい。
本発明における好ましい多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)について、具体的に説明する。本発明における好ましい多面体構造ポリシロキサン変性体は、反応可能な官能基を有するシロキサン単位として[XR SiO−SiO3/2]を必須単位として構成されることを特徴とし、必要に応じて、物性調整ユニットとしての任意のシロキサン単位[R SiO−SiO3/2]を構成単位として含有し、以下の式、
[XR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2]
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Xは一般式(4)あるいは(5)で表される基;Rは、アルキル基またはアリール基、;Rは、アルキル基、アリール基、アルケニル基、水素原子、または、他の多面体構造ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成される多面体構造ポリシロキサン変性体が例示される。ここで、aは平均して1以上、好ましくは2以上であることが好ましく、また、bは、0または1以上の整数である。a+bは6〜24の整数、好ましくは、6〜12の整数である。
Figure 0006338327
Figure 0006338327
(lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、YあるいはZの少なくとも1つはアルケニル基または水素原子である;Rは、アルキル基またはアリール基;また、Xが複数ある場合は式(4)あるいは式(5)の構造が異なっていても良くまた式(4)あるいは式(5)の構造が混在していても良い)
以下、反応可能な官能基を有するシロキサン単位
[XR SiO−SiO3/2]
について詳細に説明する。
反応可能な官能基を有するシロキサン単位は、例えば、後述のヒドロシリル化触媒存在下、ヒドロシリル化反応により硬化剤との架橋反応を発生させる、あるいは、熱硬化開始剤あるいは光硬化開始剤の存在下、架橋し、硬化させる役割を担うユニットである。
本発明の(A−1)のうちアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体とは、反応性官能基を有する基Xとして、式(4)あるいは式(5)の構造を有し、少なくとも1つのアルケニル基を含有する変性体であれば特に限定はないが、mは1〜7の整数であることが好ましく、nは2〜4の整数であることが好ましい。
また、本発明の(A−1)のうちヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体とは、反応性官能基を有する基Xとして、式(4)あるいは式(5)の構造を有し、少なくとも1つのヒドロシリル基を含有する変性体であれば特に限定はないが、mは1〜7の整数であることが好ましく、nは2〜4の整数であることが好ましい。
また、本発明の(A−1)のうちアルケニル基およびヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体とは、反応性官能基を有する基Xとして、式(4)あるいは式(5)の構造を有し、アルケニル基とヒドロシリル基を少なくとも1つずつ含有する変性体であれば特に限定はないが、mは1〜7の整数であることが好ましく、nは2〜4の整数であることが好ましい。
反応可能な官能基を有するシロキサン単位におけるRとしては、実質的に反応性を有しない置換基、具体的に例えば、アルキル基、アリール基を使用することができる。
本発明における反応可能な官能基を有するシロキサン単位は、多面体骨格を構成する全シロキサン単位のうち、平均して2つ以上含有することが好ましい。すなわち、一般式(4)におけるaは2以上が好ましい。含有する反応可能な官能基を含有するシロキサン単位が少ないと硬化性が不十分となり、さらには、得られる硬化物の強度が低下する恐れがある。
次に、任意のシロキサン単位
[R SiO−SiO3/2]
について説明する。
本シロキサン単位は、本発明における多面体構造ポリシロキサン変性体および得られる硬化物の物性調整を行うためのユニットである。本シロキサン単位は、実質的に、反応可能な置換基を含有しないため、架橋密度の調整、皮膜性、レベリング性、脆さ改善などが可能となる。
本シロキサン単位におけるRとしては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、水素原子、または、他の多面体構造ポリシロキサンと連結している基を好適に用いることができる。前記アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基などが例示されるが、さらには、実質的に反応性を有しない置換基で一部を置き換えられていてもよい。実質的に反応性を有しない置換基で一部を置き換えられたアルキル基としては、具体的に例えば、ポリシロキサニルアルキル基が例示され、レベリング性や皮膜性、また、後述の硬化剤や硬化開始剤との相溶性などの付与も可能となり、また、化合物の性状を液状にすることも可能である。
本発明における多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)としては、耐熱性、耐光性、ハンドリング性の観点から、後述の有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´であることが好ましい。
また、(A−1)成分に対して、硬化剤(A−2)成分と、必要に応じて、硬化遅延剤等の添加剤を加えることにより、本発明におけるポリシロキサン組成物(A)を得ることができる。
<有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´>
本発明における有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´は、後述のヒドロシリル化触媒の存在下、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)と、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(c)および/または環状オレフィン化合物(d)を、ヒドロシリル基を有する化合物(b)とヒドロシリル化反応させることにより得られる。
本発明の多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´を得る方法としては、特に限定されず種々設定できるが、予め(a)成分と(b)成分を反応させた後、(c)成分および/または(d)成分を反応させても良いし、予め(c)成分および/または(d)成分と(b)成分を反応させた後、(a)成分を反応させても良いし、(a)成分と(c)成分および/または(d)成分を共存させて(b)成分と反応させても良い。各反応の終了後に、例えば減圧・加熱条件下にて、揮発性の未反応成分を留去し、目的物あるいは次のステップへの中間体として用いても良い。(c)成分および/または(d)成分と(b)成分のみが反応した、(a)成分を含まない化合物の生成を抑制するためには、(a)成分と(b)成分を反応させ、未反応の(b)成分を留去した後、(c)成分および/または(d)成分を反応させる方法が好ましい。
こうして得られた多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´には、反応に用いた(a)成分のアルケニル基が一部残存していてもよい。
多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´の合成時に用いるヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、反応に用いる(a)成分及び(c)成分及び(d)成分のアルケニル基1モルに対して10−1〜10−10モルの範囲で用いるのがよい。好ましくは10−4〜10−8モルの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化触媒が多いと、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、着色原因になったり、得られる硬化物の耐光性が低下する恐れがあり、また、硬化物が発泡する恐れもある。また、ヒドロシリル化触媒が少ないと、反応が進まず、目的物が得られない恐れがある。
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、45〜140℃である。温度が低すぎると反応が十分に進行せず、温度が高すぎると、ゲル化が生じ、ハンドリング性が悪化する恐れがある。
このようにして得られた多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´は、各種化合物、特にはシロキサン系化合物との相溶性を確保でき、さらに、分子内にヒドロシリル基が導入されていることから、各種アルケニル基を有する化合物と反応させることが可能となる。具体的には、後述の1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンと反応させることにより、硬化物を得ることができる。
また、本発明における多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´は、温度20℃において液状とすることも可能である。多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´を液状とすることで、ハンドリング性に優れることから好ましい。
本発明における多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´は、式
[XR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2]
[a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(6)あるいは一般式(7)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(6)あるいは一般式(7)の構造が異なっていても良くまた一般式(6)あるいは一般式(7)の構造が混在していても良い。
Figure 0006338327
Figure 0006338327
{lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。;ただし、YあるいはZの少なくとも1つは水素原子であり、少なくとも1つは下記式(8)の構造を有する。
−[CH]−R (8)
(lは0以上の整数;Rは有機ケイ素化合物および/または環状オレフィン化合物を含有する基);Rは、アルキル基またはアリール基}]
で表されるシロキサン単位から構成される多面体構造ポリシロキサン系化合物である。
このようにして得られた多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´は、(a)〜(c)成分の添加量、反応順序、反応時間、反応温度等を制御することにより、多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´の粘度制御が可能である。また、多面体構造ポリシロキサン変性体(A)の粘度制御を行うことで、後述のポリシロキサン系組成物の粘度を調整することも可能である。多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´の粘度に関しては、特に限定されないが、多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´が温度20℃において液状である場合、20℃での粘度が0.01Pa・s〜300Pa・sであることが好ましく、さらに好ましくは1Pa・s〜100Pa・sである。多面体構造ポリシロキサン変性体変性体(A−1)´の粘度が低すぎると後述のポリシロキサン系組成物の粘度が低くなり、蛍光体等の添加剤が分散せずに沈降する恐れがある。また、粘度が高すぎるとハンドリング性が悪化する恐れがある。
また、多面体構造ポリシロキサン変性体変性体(A−1)´は、得られる硬化物の強度や硬度、さらには、耐熱性・耐光性等の観点から、分子中に少なくとも3個のヒドロシリル基を有することが好ましい。
<アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)>
本発明におけるアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)は、分子中にアルケニル基を有する、多面体骨格を有するポリシロキサンであれば、特に限定はない。具体的に、例えば、以下の式
[RSiO3/2[RSiO3/2
(x+yは6〜24の整数;xは1以上の整数、yは0または1以上の整数;Rはアルケニル基、または、アルケニル基を有する基;Rは、任意の有機基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)
で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン系化合物を好適に用いることができ、さらには、式
[AR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2] (9)
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)
で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン系化合物が好ましいものとして例示される。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
は、アルキル基またはアリール基である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示され、また、アリール基としては、フェニル基、トリル基等のアリール基が例示される。本発明におけるRとしては、耐熱性・耐光性の観点から、メチル基が好ましい。
は、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示され、また、アリール基としては、フェニル基、トリル基等のアリール基が例示される。本発明におけるRとしては、耐熱性・耐光性の観点から、メチル基が好ましい。
aは1以上の整数であれば、特に制限はないが、化合物の取り扱い性や得られる硬化物の物性から、2以上が好ましく、3以上がさらに好ましい。また、bは、0または1以上の整数であれば、特に制限はない。
aとbの和(=a+b)は、6〜24の整数であるが、化合物の安定性、得られる硬化物の安定性の観点から、6〜12、さらには、6〜10であることが好ましい。
(a)成分の合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて合成することができる。合成方法としては、例えば、RSiX (式中Rは、上述のR、Rを表し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)のシラン化合物の加水分解縮合反応によって、得られる。または、RSiX の加水分解縮合反応によって分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物を合成したのち、さらに、同一もしくは異なる3官能性シラン化合物を反応させることにより閉環し、多面体構造ポリシロキサンを合成する方法も知られている。
その他にも、例えば、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下で加水分解縮合させる方法が挙げられる。本合成方法においては、テトラアルコキシシランの加水分解縮合反応により、多面体構造を有するケイ酸塩が得られ、さらに得られたケイ酸塩をアルケニル基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより、多面体構造を形成するSi原子とアルケニル基とが、シロキサン結合を介して結合した多面体構造ポリシロキサンを得ることが可能となる。本発明においては、テトラアルコキシランの替わりに、シリカや稲籾殻等のシリカを含有する物質からも、同様の多面体構造ポリシロキサンを得ることが可能である。
<ヒドロシリル基を有する化合物(b)>
本発明で用いるヒドロシリル基を有する化合物(b)は、分子中に1個以上のヒドロシリル基を有していれば特に制限はないが、得られる多面体構造ポリシロキサン変性体の透明性、耐熱性、耐光性の観点から、ヒドロシリル基を有するシロキサン化合物であることが好ましく、さらには、ヒドロシリル基を有する環状シロキサンあるいは直鎖状ポリシロキサンであることが好ましい。特にガスバリア性の観点からは、環状シロキサンであることが好ましい。
ヒドロシリル基を有する直鎖状ポリシロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
特に、ヒドロシリル基を有する直鎖状ポリシロキサンとしては、変性させる際の反応性や得られる硬化物の耐熱性、耐光性等の観点から、ジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリシロキサン、さらにはジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリジメチルシロキサンを好適に用いることができ、具体的に例えば、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサンなどが、好ましい例として例示される。
ヒドロシリル基を有する環状シロキサンとしては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサンなどが例示される。本発明における環状シロキサンとしては、工業的入手性および反応性、あるいは、得られる硬化物の耐熱性、耐光性、強度等の観点から、具体的に例えば、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを好適に用いることができる。
これら(b)成分である、ヒドロシリル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(c)>
本発明における1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(c)はヒドロシリル基を有する化合物(b)のヒドロシリル基と反応する。(c)成分を用いることで、得られる硬化物の弾性率を低下させることができ、耐冷熱衝撃性を向上させることができる。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
本発明における(c)成分は、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物であれば特に限定はされないが、1分子中に少なくともアリール基を1個以上含有していることが、ガスバリア性や屈折率の観点から好ましく、さらには、該アリール基が直接ケイ素原子に結合していることが、耐熱性、耐光性の観点から、さらに好ましい。
本発明における(c)成分は、耐熱性、耐光性の観点から、シラン、またはポリシロキサンであることが好ましい。このような(c)成分が、1分子中にアルケニル基を1個有するシランである場合、具体的に例えば、トリメチルビニルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、トリエチルビニルシラン、ジエチルフェニルビニルシラン、エチルジフェニルビニルシラン、アリルトリメチルシラン、アリルジメチルフェニルシラン、アリルメチルジフェニルシラン、アリルトリフェニルシラン、アリルトリエチルシラン、アリルジエチルフェニルシラン、アリルエチルジフェニルシラン等が例示される。中でも、耐熱性、耐光性の観点から、トリメチルビニルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシランが好ましい例として挙げられ、さらに、ガスバリア性や屈折率の観点から、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシランが好ましい例として挙げられる。
また(c)成分がポリシロキサンである場合、アルケニル基を1個有する直鎖構造のポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を1個有するポリシロキサン、アルケニル基を1個有する環状シロキサン等が例示される。
(c)成分が、アルケニル基を1個有する直鎖構造のポリシロキサンである場合、具体的に例えば、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とメチルフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたメチルフェニルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体等が例示される。
分子末端にアルケニル基を1個有するポリシロキサンである場合、具体的に例えば、先に例示したジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端が1個ずつ封鎖されたポリシロキサン、SiO単位、SiO3/2単位、SiO単位、SiO1/2単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位および1つのジメチルビニルシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
(c)成分が、アルケニル基を1個有する環状シロキサンである場合、具体的に例えば、1−ビニル−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3−フェニル−1,3,5,5,7,7−ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5−ジフェニル−1,3,5,7,7−ペンタメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5,7−トリフェニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。
これら(c)成分である、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<1分子中にアルケニル基を1個有する環状オレフィン化合物(d)>
本発明における(d)成分は、1分子中に炭素−炭素2重結合を1個有する環状オレフィン化合物であればよく、この炭素−炭素2重結合は、ビニレン基、ビニリデン基、アルケニル基のいずれであってもよい。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
また、本発明における(d)成分は、平均分子量が1000以下であることが(b)成分との反応性の観点から好ましい。このような環状オレフィン化合物として、脂肪族環状オレフィン化合物、置換脂肪族環状オレフィン化合物等が挙げられる。
脂肪族環状オレフィン化合物として、具体的に例えば、シクロへキセン、シクロへプテン、シクロオクテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン、ビニルシクロオクタン、アリルシクロヘキサン、アリルシクロヘプタン、アリルシクロオクタン、メチレンシクロヘキサン等が挙げられる。
置換脂肪族環状オレフィン化合物として、具体的に例えば、ノルボルネン、1−メチルノルボルネン、2−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、2−ビニルノルボルナン、7−ビニルノルボルナン、2−アリルノルボルナン、7−アリルノルボルナン、2−メチレンノルボルナン、7−メチレンノルボルナン、カンフェン、ビニルノルカンフェン、6−メチル−5−ビニル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、3−メチル−2−メチレン−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、α−ピネン、β−ピネン、6、6−ジメチル−ビシクロ〔3,1,1〕−2−ヘプタエン、2−ビニルアダマンタン、2−メチレンアダマンタン等が挙げられる。
中でも入手性の観点から、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルネン、カンフェン、ピネンが好ましい例として挙げられる。
これら、1分子中にアルケニル基を1個有する環状オレフィン化合物(d)は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
1分子中にアルケニル基を1個有する環状オレフィン化合物(d)の添加量は、後述のヒドロシリル基を有する化合物(b)のヒドロシリル基1個あたり、(d)成分のアルケニル基の数が、0.01〜0.5個になるように用いることが好ましい。添加量が少ないと、得られる硬化物の耐冷熱衝撃性が低下する場合があり、添加量が多いと、得られる硬化物に硬化不良が生じる場合がある。
<硬化剤(A−2)>
次に、本発明に用いる硬化剤について説明する。
硬化剤は、多面体構造ポリシロキサン変性体の主たる反応性基の種類よって使い分けることができる。多面体構造ポリシロキサン変性体がヒドロシリル基を主たる反応性基として有する場合はアルケニルを有する化合物、アルケニル基を主たる反応性基として有する場合はヒドロシリル基を有する化合物を硬化剤として用いることができる。以下、詳細に説明する。
前記、アルケニル基を有する硬化剤は、アルケニル基を有する化合物であれば特に限定されないが、1分子中に少なくともアルケニル基を2個含有するものが好ましく、アルケニル基を有する直鎖構造のポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサン、アルケニル基を含有する環状シロキサンなどのシロキサン化合物が特に好ましい。これらアルケニル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、などが例示される。
分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルアルケニル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルアルケニルシロキサン単位(H(CHSiO1/2単位)とSiO単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を含有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサンなどが例示される。
前記、ヒドロシリル基を有する硬化剤は、ヒドロシリル基を有する化合物であれば特に限定されないが、1分子中に少なくともヒドロシリル基を2個含有するものが好ましく、ヒドロシリル基を有する直鎖構造のポリシロキサン、分子末端にヒドロシリル基を有するポリシロキサン、ヒドロシリル基を含有する環状シロキサンなどのシロキサン化合物が特に好ましい。これらヒドロシリル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
直鎖構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、などが例示される。
分子末端にヒドロシリル基を有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位(H(CHSiO1/2単位)とSiO単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
ヒドロシリル基を含有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサンなどが例示される。
本発明においては、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上は、水素原子、ビニル基およびメチル基から構成されることが好ましい。
硬化剤の添加量は種々設定できるが、アルケニル基1個あたり、Si原子に直結した水素原子が0.3〜5個、好ましくは、0.5〜2個となる割合であることが望ましい。
アルケニル基の割合が少なすぎると、発泡等による外観不良が生じやすくなり、また、多すぎると、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
<無機フィラー(B)>
本発明における無機フィラーは、例えば、硬化性樹脂組成物の粘度および/またはチクソ性を調節する目的で用いることができる。さらに得られる硬化物の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、およびガスバリア性等の諸物性を改善することができる。
本発明で用いる無機フィラー(B)の一次粒子の平均粒径は、20nm以下であることが特徴であるが、18nm以下であることがさらに好ましく、10nm以下であることが分散性やガスバリア性の観点からより好ましい。また、無機フィラー(B)の粒径分布は、特に限定されるものではない。無機フィラー(B)の一次粒子のBET比表面積は、70m/g以上であることが好ましく、さらに好ましくは100m/g以上であり、特に好ましくは200m/g以上であることが、ガスバリア性の向上効果が大きいことから好ましい。
ここで、BET比表面積とは、ガス吸着法により算出される粒子の比表面積のことで、ガス吸着法による粒子の比表面積算出は、窒素ガスの様に吸着占有面積が分かっているガス分子を粒子に吸着させ、その吸着量から粒子の比表面積を算出するものである。BET比表面積は、固体表面に直接吸着したガス分子の量(単分子層吸着量)を正確に算出することができる。BET比表面積は、下記に示すBETの式と呼ばれる数式を用いて算出することができる。
下記式(1)に示す様に、BETの式は一定温度で吸着平衡状態にある時の吸着平衡圧Pとその圧力における吸着量Vの関係を示すもので以下の様に表される。
式(1):P/V(Po−P)=(1/VmC)+((C−1)/VmC)(P/Po)
(Po:飽和蒸気圧、Vm:単分子層吸着量、気体分子が固体表面で単分子層を形成した時の吸着量、C:吸着熱などに関するパラメータ(>0))
上式より単分子吸着量Vmを算出し、これにガス分子1個の占める断面積を掛けることにより、粒子の表面積を求めることができる。
無機フィラーは、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。その中でも、シリカ或いは金属酸化物が好ましく、ヒュームドシリカは、本発明のポリシロキサン組成物への分散性が高いことからさらに好ましい例として挙げられる。ヒュームドシリカとしては、例えばアエロジルの各種グレードを用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
無機フィラーは、適宜表面処理をほどこしてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
無機フィラーの添加量は特に限定されないが、ポリシロキサン組成物(A)100重量部に対して、1〜1000重量部、よりこの好ましくは、3〜500重量部、さらに好ましくは、5〜300重量部である。無機フィラーの添加量が多いと、流動性が悪くなる場合があり、無機フィラーの添加量が少ないと、所望の物性が得られない場合がある。
無機フィラーの混合の順序としては、特に限定されないが、貯蔵安定性の観点から、ポリシロキサン組成物(A)中の、アルケニル基を有する成分に先に混ぜた後、ヒドロシリル基を有する成分を混合する方法が望ましい。また、ポリシロキサン組成物(A)の反応成分である、アルケニル基有する成分とヒドロシリル基を有する成分がよく混合され安定した成形物が得られやすいという点においては、ポリシロキサン組成物(A)中の、アルケニル基有する成分とヒドロシリル基を有する成分を先に混合したものに、向きフィラーを混合することが好ましい。
これら無機フィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。無機フィラーの混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下で行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合する際の温度が高いと、成型する前に組成物が硬化する場合がある。
<多官能アクリレートおよび/または多官能メタクリレート(C)>
本発明における多官能アクリレートおよび/または多官能メタクリレート(C)は、前述の無機フィラー(B)と相互作用し、得られる硬化性樹脂組成物の粘度および/またはチクソ性を任意に調整することができる。
本発明における(C)成分は、1分子中にアクリル基および/またはメタクリル基を2個以上有する化合物であり、マトリックスのポリシロキサン化合物と相溶するものであれば特に限定されない。相溶性の点から、(C)成分は、温度20℃において液状であることが望ましい。例えば、トリエチレンジアクリレート、トリエチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレートなどであり得るが、これらに限定されない。耐熱性の点から、末端にアクリル基またはメタクリル基を含有する多官能オクタシルセスキオキサン(Hybrid Plasticsから入手可能)が望ましい。
(C)成分の添加量は特に限定されないが、ポリシロキサン組成物(A)100重量部に対して、0.01〜100重量部、よりこの好ましくは、0.1〜50重量部、さらに好ましくは、0.1〜10重量部である。(C)成分の添加量が多いと、耐熱性が悪くなる場合があり、(C)成分の添加量が少ないと、所望の物性が得られない場合がある。
<ヒドロシリル化触媒(D)>
ポリシロキサン系化合物を硬化させる際には、ヒドロシリル化触媒を用いることができる。前記ヒドロシリル化触媒としては、特に制限はなく、任意のものを使用することができる。具体的に例示すると、白金−オレフィン錯体、塩化白金酸、白金の単体、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt〔(MeViSiO)};白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh、Pt(PBu};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)、Pt〔P(O
Bu)}(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh、RhCl、Rh/Al、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましい。
<硬化性樹脂組成物>
本発明における硬化性樹脂組成物は、上述のポリシロキサン組成物(A)、無機フィラー(B)、多官能アクリレートおよび/または多官能メタクリレート(C)、ヒドロシリル化触媒(D)から得ることができる。本発明における硬化性樹脂組成物は、液状樹脂組成物として取り扱うことが可能である。液状樹脂組成物とすることにより、型、パッケージ、基板等に、注入あるいは塗布して硬化させることで、用途に応じた成型体を容易に得ることができる。また本発明において、上記(A)〜(D)成分を混合する順序は特に限定されない。
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて着色剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物には、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりしてもよい。
本発明による硬化性樹脂組成物は、耐熱性、耐光性、ガスバリア性、光取り出し効率性に優れ、またハンドリング性が良好なことから、光学材料用封止剤として用いることができる。ここで言う光学材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。
本発明における硬化性樹脂組成物を光素子封止剤として用いて、半導体発光装置を作製することができる。具体的に例えば、素子を搭載したパッケージや基板などに、硬化性樹脂組成物を注入あるいは塗布して使用することが可能である。注入あるいは塗布した後、硬化させることで、素子を封止することが可能である。本発明の硬化性樹脂組成物は良好な(低い)透湿性を有し、例えば50g/m/24h以下、さらには40g/m/24h以下の低い透湿性を有する封止剤と成すことが可能である。50g/m/24hより低い透湿性を有するには、ポリシロキサン系組成物に粒径が20nm以下の無機フィラーを添加することが好ましく、その粒径が18nm以下であることがさらに好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いて封止することで、例えば、素子やリフレクター、リード線などの部品を、外部から衝撃や、埃、ガス等から保護することができる。また、ガスバリア性が高い光素子封止剤を用いた場合、硫化物によるリフレクターやリード部位等の黒色化を防ぐことも可能である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、成形体として使用することができる。成形方法としては、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、液状射出成形、注型成形などの任意の方法を使用することができる。
本発明において得られる成型体の用途としては、具体的に例えば、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、カラーフィルター、偏光子保護フィルム、パッシベーション膜などの液晶用フィルムなどの液晶表示装置周辺材料が例示される。また、PDP(プラズマディスプレイ)の封止剤、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜、またLED表示装置に使用されるLED素子のモールド材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜、またプラズマアドレス液晶ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、カラーフィルター、偏光子保護フィルム、パッシベーション膜、また有機ELディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、カラーフィルター、接着剤、パッシベーション膜、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜が例示される。
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤が例示される。さらに具体的には、次世代DVD等の光ピックアップ用の部材、例えば、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、対物レンズ、センサレンズ、保護フィルム、素子封止剤、センサー封止剤、グレーティング、接着剤、プリズム、波長板、補正板、スプリッタ、ホログラム、ミラー等が例示される。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部が例示される。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーが例示される。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤などが例示される。光センシング機器のレンズ用材料、封止剤、接着剤、フィルムなどが例示される。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止剤、接着剤などが例示される。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止剤、接着剤などが例示される。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LED素子の封止剤、接着剤などが例示される。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーが例示される。
半導体集積回路周辺材料では、層間絶縁膜、パッシベーション膜、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料が例示される。
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品が例示される。また、鉄道車輌用の複層ガラスが例示される。また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートが例示される。
建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料が例示される。農業用では、ハウス被覆用フィルムが例示される。
次世代の光・電子機能有機材料としては、次世代DVD、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
<硬化物>
本発明の硬化性樹脂組成物に熱および/または光を加えることで、硬化物を得ることができる。温度は、好ましくは、30〜400℃、さらに好ましくは50〜250℃である。硬化温度が高くなり過ぎると、得られる硬化物に外観不良が生じる傾向があり、低すぎると硬化が不十分となる。また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることができ好ましい。
硬化時間は硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒の量及び反応性基の量、その他、本願組成物のその他の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、1分〜12時間、好ましくは10分〜8時間行うことにより、良好な硬化物を得ることができる。
光を加えて硬化させる場合、光源としては、使用する光酸発生剤や増感剤の吸収波長を発光する光源を使用すればよく、通常200〜450nmの範囲の波長を含む光源、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、発光ダイオードなどを使用できる。露光量は特に制限されないが、好ましい露光量の範囲は1〜5000mJ/cm、より好ましくは1〜1000mJ/cmである。
<光ラジカル発生剤および/または熱ラジカル開始剤>
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて光ラジカル発生剤および/または熱ラジカル開始剤などを任意で添加することができる。
光ラジカル発生剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、ビイミダゾール系化合物、α−ジケトン系化合物、チタノセン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、ケタール系化合物、アゾ系化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン系化合物、ジスルフィド系化合物、チウラム化合物類、フルオロアミン系化合物等が用いることができる。
熱ラジカル発生剤の具体例としては、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物類、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩類等が挙げることができる。
また、これらのラジカル開始剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
<硬化遅延剤>
硬化遅延剤は、本発明の硬化性樹脂組成物の保存安定性を改良あるいは、硬化過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整するための成分である。本発明においては、硬化遅延剤としては、ヒドロシリル化触媒による付加型硬化性樹脂組成物で用いられている公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、具体的には3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示できる。
有機リン化合物としては、具体的にはトリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示できる。
有機イオウ化合物としては、具体的にはオルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示できる。
窒素含有化合物としては、具体的にはN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が例示できる。
スズ系化合物としては、具体的にはハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示できる。
有機過酸化物としては、具体的にはジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。これらのうち、マレイン酸ジメチル、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが、特に好ましい硬化遅延剤として例示できる。
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10−1〜10モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜100モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
<接着性付与剤>
接着性付与剤は本発明における硬化性樹脂組成物と基材との接着性を向上する目的で用いるものであり、その様な効果があるものであれば特に制限はないが、シランカップリング剤が好ましい例として例示できる。
シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、具体的には3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
シランカップリング剤の添加量としては、(A)成分と(B)成分の混合物100重量部に対して、0.05〜30重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明においては、接着性付与剤の効果を高めるために、公知の接着性促進剤を用いることができる。接着性促進剤としては、エポキシ含有化合物、エポキシ樹脂、ボロン酸エステル化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<蛍光体>
本発明中の硬化性樹脂組成物は蛍光体を有してもよい。蛍光体は発光素子の発する光を吸収して異なる波長の光を発生するものであり、本発明の硬化性樹脂組成物に用いられる蛍光体としては、特に限定されず、一般的に公知の無機蛍光体や有機蛍光体を用いることができ、本発明の硬化性樹脂組成物が使用された半導体発光装置が必要とする発光色を得るために任意のものを選択することができる。具体的に、例えば、YAG系蛍光体、TAG系蛍光体、オルトシリケートアルカリ土類系蛍光体、α−サイアロン系蛍光体、β−サイアロン系蛍光体、カズン系蛍光体、ニトリドおよびオキシニトリド系蛍光体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら蛍光体は1種または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。
本発明に用いる蛍光体の粒径には、特に制限はないが、中央粒径(D50)が、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。中央粒径(D50)が小さいと、硬化性樹脂組成物中で蛍光体が凝集してしまう場合があり、中央粒径(D50)が大きいと、蛍光体の塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる場合がある。また蛍光体の粒度分布(QD)は、封止剤中での粒子の分散状態をそろえるために小さい方が好ましいが、小さくするためには分級収率が下がってコストアップにつながるので、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.07以上あり、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下、さらに好ましくは0.2以下である。また、蛍光体の形状は、特に限定されず、任意の形状のものを用いることが可能である。
本発明における蛍光体の使用量には特に制限は無く、半導体発光装置が必要とする発光色を得るために任意の量を使用することができるが、あえて例示するならば、封止剤中に好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは2重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下である。蛍光体の使用量が少ないと、蛍光体による波長変換が不十分となり、目的とする発光色が得られなくなる場合があり、蛍光体の使用量が多いと、封止剤のハンドリング性が低下したり、光学的な干渉作用により蛍光体の利用効率が低くなったりする可能性がある。
次に本発明の組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、下記実施例1及び2は、いずれも参考例である。
(粘度)
東京計器製 E型粘度計を用いた。測定温度23.0℃、EHD型48φ1倍コーンで測定した。チクソ性は下記計算式(1)
チクソ性=[0.5rpmにおける粘度(Pa・s)/5rpmにおける粘度(Pa・s)] (1)
を用いて計算した。
(SiH価)
バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製 400MHz NMRを用いた。多面体構造ポリシロキサン変性体のSiH価は、多面体構造ポリシロキサン変性体とジブロモエタンの混合物を作り、そのNMR測定を行うことで、下記計算式(2)
SiH価(mol/kg)=[多面体構造ポリシロキサン変性体のSiH基に帰属されるピークの積分値]/[ジブロモエタンのメチル基に帰属されるピークの積分値]×4×[混合物中のジブロモエタン重量]/[ジブロモエタンの分子量]/[混合物中の多面体構造ポリシロキサン変性体重量] (2)
を用いて計算した。
(重量平均分子量)
合成したシリコーンの重量平均分子量は、東ソー製 HLC−8220GPC(カラム:TSKgel SuperHZM−N(4本)+同HZ1000(1本) 内径4.6mm×15cm、溶媒:トルエン、流速:0.35ml/min)により測定した。なお、市販シリコーンの重量平均分子量についてはカタログ値を参照した。
(製造例1)
48%コリン水溶液(トリメチル−2ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)1803gにテトラエトキシシラン1459gを加え、室温で2時間激しく撹拌した。反応系内が発熱し、均一溶液になった段階で、撹拌を緩め、さらに12時間反応させた。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール1400mLを加え、均一溶液とした。
ジメチルビニルクロロシラン1149g、トリメチルシリクロリド830gおよびヘキサン1400mLの溶液を激しく攪拌しながら、メタノール溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間反応させた後、有機層を抽出、濃縮することにより、固形物を得た。次に、生成した固形物をメタノール中で激しく攪拌することにより洗浄し、ろ別することにより、Si原子16個と、ビニル基を4個有するアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物であるテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン(Fw=1178.2)を白色固体として760g得た。
(製造例2)
製造例1で得られたアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン系化合物であるテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン10.0gをトルエン20.0gに溶解させ、ビニルジフェニルメチルシラン6.67g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)0.50μLを加えた。このようにして得られた溶液を、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン8.17g、トルエン8.17gの溶液にゆっくりと滴下し、105℃で2時間反応させた。反応終了後、エチニルシクロヘキサノール2.8μl、マレイン酸ジメチル0.65μlを加え、トルエンと未反応成分を留去することにより、フェニル基を有する液状の多面体構造ポリシロキサン変性体24.2g(重量平均分子量:3200)を得た。
(実施例1)
100mlプラカップに、ダウシリコーン社製フェニルシリコーン OE6630(A/B=1/4(wt/wt))のA剤1.0g、B剤4.0gを順に加えて混合し、そこに、日本アエロジル社製ヒュームドシリカ AEROSIL R972を樹脂に対して5部(0.25g)加えてセラミックロールで2回混練し、さらに、多官能アクリレートとしてHybrid Plastics社製の末端にメタクリル基を含有する多官能オクタシルセスキオキサン AcryloPOSS Cage Mixtureを、シリコーンとフィラーの混合物に対して1部(0.053g)加えて混合し、そのままThinky社製あわとり練太郎 ARV−310を用いて攪拌・脱泡を10分間行うことで、ポリシロキサン組成物を得た。得られたポリシロキサン組成物の粘度及びチクソ性を、東京計器製 E型粘度計を用いて測定し、その結果を表1に記載した。
(実施例2)
ポリシロキサン組成物を構成するポリシロキサン系化合物として、ダウシリコーン社製メチルシリコーン JCR6140を使用した以外は、実施例1と同じ操作と評価を行い、組成物の粘度及びチクソ性を表1に記載した。
(実施例3)
100mlプラカップに、製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体5.0gと、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジフェニル−1,5−ジビニルトリシロキサン1.59g、遅延剤、ヒドロシリル化触媒を順に加えて混合し、そこに、日本アエロジル社製ヒュームドシリカ AEROSIL R972を樹脂に対して5部(0.28g)加えてセラミックロールで2回混練し、さらに、多官能アクリレートとしてHybrid Plastics社製の末端にメタクリル基を含有する多官能オクタシルセスキオキサン AcryloPOSS Cage Mixtureを、シリコーンとフィラーの混合物に対して1部(0.059g)加えて混合し、そのままThinky社製あわとり練太郎 ARV−310を用いて攪拌・脱泡を10分間行うことで、本発明のポリシロキサン組成物を得た。得られたポリシロキサン組成物の粘度及びチクソ性を、東京計器製 E型粘度計を用いて測定し、その結果を表1に記載した。
(実施例4)
多官能アクリレートとして共栄社化学社製トリメチロールプロパントリアクリレート ライトアクリレートTMP−Aを使用した以外は、実施例3と同じ操作と評価を行い、組成物の粘度及びチクソ性を表1に記載した。
(比較例1)
100mlプラカップに、ダウシリコーン社製フェニルシリコーン OE6630(A/B=1/4(wt/wt))のA剤1.0g、B剤4.0gを順に加えて混合し、そこに、日本アエロジル社製ヒュームドシリカ AEROSIL R972を樹脂に対して5部(0.25g)加えてセラミックロールで2回混練し、そのままThinky社製あわとり練太郎 ARV−310を用いて攪拌・脱泡を10分間行うことで、ポリシロキサン組成物を得た。得られたポリシロキサン組成物の粘度及びチクソ性を、東京計器製 E型粘度計を用いて測定し、その結果を表1に記載した。
(比較例2)
ポリシロキサン組成物を構成するポリシロキサン系化合物として、ダウシリコーン社製メチルシリコーン JCR6140を使用した以外は、比較例1と同じ操作と評価を行い、組成物の粘度及びチクソ性を表1に記載した。
(比較例3)
ポリシロキサン組成物を構成するポリシロキサン系化合物として、製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変生体を使用した以外は、比較例1と同じ操作と評価を行い、組成物の粘度及びチクソ性を表1に記載した。
(比較例4)
100mlプラカップに、製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体5.0gと、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジフェニル−1,5−ジビニルトリシロキサン1.59g、遅延剤、ヒドロシリル化触媒を順に加えて混合し、そこに、多官能アクリレートとしてHybrid Plastics社製の末端にメタクリル基を含有する多官能オクタシルセスキオキサン AcryloPOSS Cage Mixtureを、シリコーンに対して1部(0.056g)加えて混合し、そのままThinky社製あわとり練太郎 ARV−310を用いて攪拌・脱泡を10分間行うことで、ポリシロキサン組成物を得た。得られたポリシロキサン組成物の粘度及びチクソ性を、東京計器製 E型粘度計を用いて測定し、その結果を表1に記載した。
(比較例5)
100mlプラカップに、製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体5.0gと、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジフェニル−1,5−ジビニルトリシロキサン1.59g、遅延剤、ヒドロシリル化触媒を順に加えて混合し、そのままThinky社製あわとり練太郎 ARV−310を用いて攪拌・脱泡を10分間行うことで、ポリシロキサン組成物を得た。得られたポリシロキサン組成物の粘度及びチクソ性を、東京計器製 E型粘度計を用いて測定し、その結果を表1に記載した。
Figure 0006338327
表1に示すように、本発明のポリシロキサン系組成物を用いることで、粘度とチクソ性を向上させることができる。シリコーン成分として、複数種のポリシロキサン系化合物を用いた場合(実施例1〜3)及び、複数種の多官能アクリレートを用いた場合(実施例3、4)でも、粘度及びチクソ性を向上させることができることが明らかである。
また、シリコーン成分として製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体、無機フィラーとしてAerosil R972、多官能アクリレートとして、AcryloPOSS Cage Moxtureを用いた場合(実施例3)に特に高い効果が得られることが分かる。

Claims (11)

  1. (A)(A−1)アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有し、(メタ)アクリレート基を有さない多面体構造ポリシロキサン変性体、及び、
    (A−2)前記(A−1)成分とヒドロシリル化可能なヒドロシリル基および/またはアルケニル基を2個以上有し、(メタ)アクリレート基を有さないシロキサン化合物からなる硬化剤
    を含有するポリシロキサン組成物、
    (B)無機フィラー、
    (C)多官能アクリレートおよび/または多官能メタクリレート、
    (D)ヒドロシリル化触媒
    からなる硬化性樹脂組成物であって、
    (A−1)成分が、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)と、ヒドロシリル基を有する環状シロキサンまたはヒドロシリル基を有する直鎖状ポリシロキサン(b)と、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(c)および/または1分子中にアルケニル基を1個有する環状オレフィン化合物(d)とをヒドロシリル化反応することにより得られる有機変性された多面体構造ポリシロキサン変性体(A−1)´であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. (A)(A−1)アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有し、(メタ)アクリレート基を有さない多面体構造ポリシロキサン変性体、及び、
    (A−2)前記(A−1)成分とヒドロシリル化可能なヒドロシリル基および/またはアルケニル基を2個以上有し、(メタ)アクリレート基を有さないシロキサン化合物からなる硬化剤
    を含有するポリシロキサン組成物、
    (B)無機フィラー、
    (C)多官能アクリレートおよび/または多官能メタクリレート、
    (D)ヒドロシリル化触媒
    からなる硬化性樹脂組成物であって、
    (A−1)成分が、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)と、ヒドロシリル基を有する環状シロキサンまたはヒドロシリル基を有する直鎖状ポリシロキサン(b)とのヒドロシリル化反応生成物であり、
    多官能アクリレートおよび/または多官能メタクリレート(C)が、末端にアクリル基および/またはメタクリル基を含有する多官能オクタシルセスキオキサンであることを特徴とする硬化性樹脂組成物
  3. (A)成分が温度20℃において、液状であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 無機フィラー(B)が金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 無機フィラー(B)がシリカであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 多官能アクリレートおよび/または多官能メタクリレート(C)が、末端にアクリル基および/またはメタクリル基を含有する多官能オクタシルセスキオキサンであることを特徴とする請求項1および3〜5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 光ラジカル開始剤および/または熱ラジカル開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 硬化遅延剤を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 接着性付与剤を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 蛍光体を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項の硬化性樹脂組成物より得られた硬化物。
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