以下に、本発明について詳細に説明する。
<多面体構造ポリシロキサン変性体(A)>
本発明における多面体構造ポリシロキサン変性体は、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)に対して、前記(a)成分とヒドロシリル化反応可能なヒドロシリル基および/またはアルケニル基を有する化合物(b)を変性して得るものである。
本発明においては、変性体合成時にはゲル化しないことを特徴とし、得られる多面体構造ポリシロキサン変性体は、ハンドリング性、成形加工性の観点から、温度20℃で液状とすることが可能である。
本発明における多面体構造ポリシロキサン変性体としては、アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)に対して、ヒドロシリル基を有する化合物(b)を変性して得られた変性体が、製造の容易さや生産性の観点、さらには、耐熱性、耐光性、耐青色レーザー性などの点から好ましい。
本発明における好ましい多面体構造ポリシロキサン変性体について、以下、具体的に説明する。
本発明における好ましい多面体構造ポリシロキサン変性体は、反応可能な官能基を有するシロキサン単位として[XR1 2SiO−SiO3/2]を必須単位として構成されることを特徴とし、必要に応じて、物性調整ユニットとしての任意のシロキサン単位[R2 3SiO−SiO3/2]を構成単位として含有し、以下の式で示す多面体構造ポリシロキサン変性体を用いることが出来る。
[XR1 2SiO−SiO3/2]a[R2 3SiO−SiO3/2]b・・・一般式(3)
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Xは一般式(1)あるいは(2)で表される基;R1は、アルキル基またはアリール基、;R2は、アルキル基、アリール基、アルケニル基、水素原子、または、他の多面体構造ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成される多面体構造ポリシロキサン変性体が例示される。ここで、aは平均して1以上、好ましくは2以上であることが好ましく、また、bは、0または1以上の整数である。a+bは6〜24の整数、好ましくは、6〜12の整数である。
(lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、YあるいはZの少なくとも1つはアルケニル基または水素原子である;Rは、アルキル基またはアリール基;また、Xが複数ある場合は式(1)あるいは式(2)の構造が異なっていても良くまた式(1)あるいは式(2)の構造が混在していても良い))。
以下、反応可能な官能基を有するシロキサン単位
[XR1 2SiO−SiO3/2]
について説明する。
反応可能な官能基を有するシロキサン単位は、例えば、後述のヒドロシリル化触媒存在下、ヒドロシリル化反応により硬化剤との架橋反応を発生させる、あるいは、熱硬化開始剤あるいは光硬化開始剤の存在下、架橋し、硬化させる役割を担うユニットである。
ここで、好ましい反応性官能基を有する基Xとしては、一般式(1)あるいは一般式(2)のいずれかの式で表される基であれば特に限定はない。
(lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、YあるいはZの少なくとも1つはアルケニル基または水素原子である;Rは、アルキル基またはアリール基;また、Xが複数ある場合は式(1)あるいは式(2)の構造が異なっていても良くまた式(1)あるいは式(2)の構造が混在していても良い)なお、mは1〜7の整数であることが好ましく、nは2〜4の整数であることが好ましい。
反応可能な官能基を有するシロキサン単位におけるR1としては、実質的に反応性を有しない置換基、具体的に例えば、アルキル基、アリール基を使用することができる。
本発明における反応可能な官能基を有するシロキサン単位は、多面体骨格を構成する全シロキサン単位のうち、平均して2つ以上含有することが好ましい。すなわち、一般式(31)におけるaは2以上が好ましい。含有する反応可能な官能基を含有するシロキサン単位が少ないと硬化性が不十分となり、さらには、得られる硬化物の強度が低下する恐れがある。
次に、任意のシロキサン単位
[R2 3SiO−SiO3/2]
について説明する。
本シロキサン単位は、本発明における多面体構造ポリシロキサン変性体および得られる硬化物の物性調整を行うためのユニットである。本シロキサン単位は、実質的に、反応可能な置換基を含有しないため、架橋密度の調整、皮膜性、レベリング性、脆さ改善などが可能となる。
本シロキサン単位におけるR2としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、水素原子、または、他の多面体構造ポリシロキサンと連結している基を好適に用いることができる。前記アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基などが例示されるが、さらには、実質的に反応性を有しない置換基で一部を置き換えられていてもよい。
実質的に反応性を有しない置換基で一部を置き換えられたアルキル基としては、具体的に例えば、ポリシロキサニルアルキル基が例示され、レベリング性や皮膜性、また、後述の硬化剤や硬化開始剤との相溶性などの付与も可能となり、また、化合物の性状を液状にすることも可能である。
前記他の多面体構造ポリシロキサンと連結している基としては、ポリシロキサンやポリ(メタ)アクリレート、ポリイソブチレン等のポリマー成分を介して連結している基が例示される。
<多面体構造ポリシロキサン変性体の製造方法>
本発明における多面体構造ポリシロキサン変性体の製造方法について、説明する。
まず、多面体構造シロキサン系化合物(a)について、説明する。
前記アルケニル基および/またはヒドロシリル基を含有する多面体構造シロキサン系化合物(a)の合成方法としては、例えば、R3SiXa 3(式中R3は、アルケニル基または水素原子を表し、Xaは、ハロゲン原子、アルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)のシラン化合物の加水分解縮合反応によって、得られる。または、R3SiXa 3の加水分解縮合反応によって分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物を合成したのち、さらに、同一もしくは異なる3官能性シラン化合物を反応させることにより閉環し、合成する方法も知られている。さらには、前記トリシラノール化合物に、1官能性シランおよび/または2官能性シランを反応させることにより、部分開裂型の多面体構造ポリシロキサンを合成することもできる。
その他の多面体構造シロキサン系化合物(a)の合成方法としては、例えば、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下、加水分解縮合反応により、多面体構造を有するケイ酸塩を得、さらに得られたケイ酸塩をアルケニル基および/またはヒドロシリル基を有するシリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより合成することができる。本発明においては、テトラアルコキシランの替わりに、シリカや稲籾殻等のシリカを含有する物質からも、同様の多面体構造ポリシロキサンを得ることが可能である。
本発明における多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)の好ましい例としては、具体的に例えば、以下の式で表されるアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物
[AR1 2SiO−SiO3/2]a[R4 3SiO−SiO3/2]b
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aはアルケニル基および/または水素原子。ただし、少なくとも1つはアルケニル基である;R1は、アルキル基またはアリール基;R4は、アルケニル基および水素原子以外の置換基、例えば、アルキル基、アリール基、または、他の多面体構造ポリシロキサンやシロキサン化合物と連結している基)が例示される。
このような(a)成分を用いる場合、(b)成分としてヒドロシリル基を有する化合物を用いることにより、例えば、後述のヒドロシリル化触媒の存在下、ヒドロシリル化反応によって多面体構造ポリシロキサン変性体を得ることができる。この際、前記多面体構造シロキサン系化合物(a)のアルケニル基は、すべて反応する必要はなく、一部残存していてもよい。また、複数の多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)と複数のヒドロシリル基を有する化合物(b)が反応していても良い。
本発明における多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)の他の好ましい例としては、具体的に例えば、
[BR1 2SiO−SiO3/2]a[R4 3SiO−SiO3/2]b
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Bはアルケニル基および/または水素原子。ただし、少なくとも1つは水素原子である;R1は、アルキル基またはアリール基;R4は、アルケニル基および水素原子以外の置換基、例えば、アルキル基、アリール基、または、他の多面体構造ポリシロキサンやシロキサン化合物と連結している基)が例示される。
このような(a)成分を用いる場合、(b)成分としてアルケニル基を有する化合物を用いることにより、例えば、後述のヒドロシリル化触媒の存在下、ヒドロシリル化反応によって多面体構造ポリシロキサン変性体を得ることができる。この際、前記多面体構造シロキサン系化合物(a)の水素原子は、すべて反応する必要はなく、一部残存していてもよい。また、複数の多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)と複数のアルケニル基を有する化合物(b)が反応していても良い。
次に、ヒドロシリル基および/またはアルケニル基を有する化合物(b)について、説明する。
前記、ヒドロシリル基を有する化合物は、ヒドロシリル基(Si原子に直結した水素原子)を有するものであり、前記多面体構造シロキサン系化合物(a)のアルケニル基と反応して、多面体構造ポリシロキサン分子に新たに反応性官能基を有する基を導入するための成分である。
本発明における好ましいヒドロシリル基を有する化合物としては、具体的に例えば、ヒドロシリル基(Si原子に直結した水素原子)を有するものであり、前記多面体構造シロキサン系化合物(a)のアルケニル基と反応して、以下の一般式(1)あるいは一般式(2)のいずれかの式で表される反応性官能基Xを形成するものが挙げられる。
(lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、YあるいはZの少なくとも1つは水素原子である;Rは、アルキル基またはアリール基;また、Xが複数ある場合は式(1)あるいは式(2)の構造が異なっていても良くまた式(1)あるいは式(2)の構造が混在していても良い)。
前記、ヒドロシリル基を有する化合物としては、ヒドロシリル基含有シロキサン化合物、具体的に例えば、両末端にヒドロシリル基を有する直鎖状のポリシロキサン、ヒドロシリル基を含有する環状シロキサンなどが好ましいものとして挙げられ、さらには、工業的入手性や反応させる際の反応性が良好である、また、得られた硬化物の耐青色レーザー性に優れる等の観点からヒドロシリル基を含有する環状シロキサンが好ましい。これらヒドロシリル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記、両末端にヒドロシリル基を有する直鎖状のポリシロキサンの具体例としては、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリもしくはオリゴシロキサン、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサンなどが例示される。
ヒドロシリル基を含有する環状シロキサンとしては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
上記ヒドロシリル基を有する化合物(b)、特には、ヒドロシリル基含有シロキサン化合物の添加量は、多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)のアルケニル基の個数1個あたり、Si原子に直結した水素原子の数が2.5〜20個になるように用いることが好ましいが、化合物に依存する。添加量が少ないと、架橋反応によりゲル化が生じてハンドリング性の劣るポリシロキサン変性体となり、多すぎると、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。さらには、過剰量のヒドロシリル基含有シロキサン化合物を存在させるため、例えば減圧・加熱条件下にて、未反応のヒドロシリル基含有シロキサン化合物を取り除くことが好ましい。
前記、アルケニル基を有する化合物(b)は、アルケニル基を有するものであり、前記多面体構造シロキサン系化合物(a)のヒドロシリル基と反応して、多面体構造ポリシロキサン分子に新たな官能基を導入するための成分である。
前記、アルケニル基を有する化合物(b)としては、アルケニル基含有シロキサン化合物、具体的に例えば、両末端にアルケニル基を有する直鎖状のポリシロキサン、アルケニル基を含有する環状シロキサンなどが好ましいものとして挙げられる。これらアルケニル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記、両末端にアルケニル基を有する直鎖状のポリシロキサンの具体例としては、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリもしくはオリゴシロキサン、テトラメチルジビニルジシロキサン、ヘキサメチルジビニルトリシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を含有する環状シロキサンとしては、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を有する化合物(b)、特には、アルケニル基含有シロキサン化合物の添加量は、多面体構造シロキサン中間体のSi原子に直結した水素原子1個あたり、アルケニル基が2.5〜20個になるように用いることが好ましいが、化合物に依存する。添加量が少ないと、架橋反応によりゲル化が生じてハンドリング性の劣るポリシロキサン変性体となり、多すぎると、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明においては、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上は、水素原子、ビニル基およびメチル基から構成されることが好ましい。
本願発明の多面体構造ポリシロキサン変性体は、硬化物を調整する上でハンドリング性等の面から液体であることが好ましく、また、成型体の光線透過率の面で透明であることが好ましい。
<硬化剤(B)>
次に、本発明に用いる硬化剤(B)について説明する。
硬化剤(B)は、多面体構造ポリシロキサン変性体の主たる反応性基の種類よって使い分けることができる。多面体構造ポリシロキサン変性体(A)がヒドロシリル基を主たる反応性基として有する場合は、アルケニル基を有する化合物、多面体構造ポリシロキサン変性体(A)がアルケニル基を主たる反応性基として有する場合は、ヒドロシリル基を有する化合物を硬化剤として用いることができる。以下、詳細に説明する。
前記、アルケニル基を有する硬化剤は、アルケニル基を有する化合物であれば特に限定されないが、1分子中に少なくともアルケニル基を2個含有するものが好ましく、アルケニル基を有する直鎖構造のポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサン、アルケニル基を含有する環状シロキサンなどのシロキサン化合物がさらに好ましく、特には、高温加熱時における耐クラック性等の観点より直鎖構造のポリシロキサンであることが好ましい。これらアルケニル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。本発明における直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサンとしては、得られる硬化物の靭性や耐クラック性の観点から、分子末端にアルケニル基を有することが好ましい。
分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルアルケニル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルアルケニルシロキサン単位とSiO2単位、SiO3/2単位、SiO2/2単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を含有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
前記、ヒドロシリル基を有する硬化剤は、ヒドロシリル基を有する化合物であれば特に限定されないが、1分子中に少なくともヒドロシリル基を2個含有するものが好ましく、ヒドロシリル基を有する直鎖構造のポリシロキサン、分子末端にヒドロシリル基を有するポリシロキサン、ヒドロシリル基を含有する環状シロキサンなどのシロキサン化合物が特に好ましい。これらヒドロシリル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
直鎖構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、などが例示される。
分子末端にヒドロシリル基を有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位(H(CH3)2SiO1/2単位)とSiO2単位、SiO3/2単位、SiO2/2単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
ヒドロシリル基を含有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
本発明においては、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上は、水素原子、ビニル基およびメチル基から構成されることが好ましい。
硬化剤の添加量は種々設定できるが、アルケニル基1個あたり、Si原子に直結した水素原子が0.3〜5個、好ましくは、0.5〜3個となる割合であることが望ましい。アルケニル基の割合が少なすぎると、発泡等による外観不良が生じやすくなり、また、多すぎると、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
<ヒドロシリル化触媒(C)>
次に、本発明で用いるヒドロシリル化触媒について説明する。
本発明では、多面体構造ポリシロキサン変性体の合成、および、該変性体を用いた組成物を硬化させる際に、ヒドロシリル化触媒を用いることができる。
本発明で用いるヒドロシリル化触媒としては、通常ヒドロシリル化触媒として用いられるものを用いることができ特に制限はなく、任意のものが使用できる。
具体的には例示すれば、白金−オレフィン錯体、塩化白金酸、白金の単体、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体、例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)m、Pt〔(MeViSiO)4〕m;白金−ホスフィン錯体、例えば、Pt(PPh3)4、Pt(PBu3)4;白金−ホスファイト錯体、例えば、Pt〔P(OPh)3〕4、Pt〔P(OBu)3〕4(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。
多面体構造ポリシロキサン変性体の合成時および硬化時に用いるヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、例えば、多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)のアルケニル基1モルに対して10-1〜10-10モルの範囲で用いるのがよい。好ましくは10-4〜10-8モルの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化触媒が多すぎると、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、得られる硬化物の耐光性が低下する恐れがあり、また、硬化物が発泡する恐れもある。また、ヒドロシリル化触媒が少なすぎると、反応が進まず、目的物が得られない恐れがある。
また、多面体構造ポリシロキサン変性体のヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、45〜140℃である。温度が低すぎると反応が十分に進行せず、温度が高すぎると、ゲル化が生じ、ハンドリング性が悪化する恐れがある。
<過酸化物(D)>
次に本発明における過酸化物(D)について説明する。
本発明における過酸化物としては、有機系、無機系を問わず、加熱等によって分解した際にラジカルを発生するものであれば特に限定されないが、金属分が存在すると硬化物が着色しやすいことから有機過酸化物が好適に用いられる。発生したラジカルは、本発明のポリシロキサン系組成物の硬化に寄与し、硬化物はより高い信頼性、特には、絶縁信頼性を発現する。
上記過酸化物とは過酸化結合(−OO−)を有するものであり、具体的には、例えば、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロペルオキシ−3−ヘキシン、ピネンヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジ−tert−アミルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチルペルオキシ−3−ヘキシン、α、α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ペンタン酸n−ブチル、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ−tert−ブチルペルオキシシクロヘキサン等のジアルキルペルオキシド類、カプロイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類、酢酸tert−ブチルペルオキシ、2−エチルヘキサン酸tert−ブチルペルオキシ、ラウリン酸tert−ブチルペルオキシ、安息香酸tert−ブチルペルオキシ、フタル酸ジ−tert−ブチルジペルオキシ、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルペルオキシ−3−ヘキシン、マレイン酸tert−ブチルペルオキシ、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート等のペルオキシエステル類、メチルエチルケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド等のケトンペルオキシド類等が挙げられる。
本発明では、(D)成分は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記過酸化物の添加量は、本発明の効果を達成しうる割合であれば特に限定されないが、通常、[(A)+(B)]成分の100重量部に対して、下限として0.001重量部以上が好ましく、0.01重量部以上がより好ましい。上限としては20重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましい。少ない場合は架橋反応が不十分になる傾向にあり、多く添加してもさらに架橋度合が著しく高くなることはない傾向にある。
<組成物>
次に、本発明によって得られるポリシロキサン系組成物について説明する。
本発明においては、多面体構造ポリシロキサン変性体(A)、硬化剤(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、過酸化物(D)、を含有することを特徴とし、さらには、硬化遅延剤、接着性付与剤等も加えることにより得ることができる。
本発明のポリシロキサン系組成物は、透明な液状組成物となすことが可能である。特に液状の多面体構造ポリシロキサン変性体を用いることで溶媒を用いずとも液状組成物と成すことができ、成型体に流し込み、加熱して硬化させることで容易に成形体を得ることができる。透明であることにより、光学用組成物として用いることができる。
液状の透明組成物を硬化させた成型体は、例えば3mm厚さの成型体での透過率は400nmの光線で75%以上となるものを得ることが可能である。また、多面体構造ポリシロキサン変性体が液状であることで、本発明のポリシロキサン系組成物が容易に液状として得ることができるので好ましい。
多面体構造ポリシロキサン変性体を含有する組成物をヒドロシリル化反応により硬化させる際に温度を加える場合は、好ましくは、30〜400℃、さらに好ましくは50〜250℃である。硬化温度が高くなり過ぎると、得られる硬化物に外観不良が生じる傾向があり、低すぎると硬化が不十分となる。また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。
具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることができ好ましい。硬化時間は硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒の量及びヒドロシリル基の量その他、本願組成物のその他の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、好ましくは1分〜12時間、さらには5分〜10時間行うことにより、良好な硬化物を得ることができる。
<硬化遅延剤>
次に、本発明で用いる硬化遅延剤について説明する。
硬化遅延剤は、本発明の多面体構造ポリシロキサン変性体、および、ポリシロキサン系組成物の保存安定性を改良あるいは、硬化過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整するための成分である。本発明においては、硬化遅延剤としては、ヒドロシリル化触媒による付加型硬化性組成物で用いられている公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、具体的には3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示できる。
有機リン化合物としては、具体的にはトリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示できる。
有機イオウ化合物としては、具体的にはオルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示できる。
窒素含有化合物としては、具体的にはN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が例示できる。
スズ系化合物としては、具体的にはハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示できる。
有機過酸化物としては、具体的にはジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。これらのうち、マレイン酸ジメチル、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが、特に好ましい硬化遅延剤として例示できる。
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10-1〜103モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜500モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
<接着性付与剤>
接着性付与剤は本願発明の組成物と基材との接着性を向上する目的で用いるものであり、その様な効果があるものは時に制限はないが、シランカップリング剤、エポキシ化合物が好ましい物として例示できる。
具体的に例えば、多面体構造ポリシロキサン変性体としてヒドロシリル基を含有する多面体構造ポリシロキサン変性体に硬化剤、ヒドロシリル化触媒、接着性付与剤も配合した組成物により、硬化物が基材との接着性が良好な組成物となす事ができる。
シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、具体的には3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
シランカップリング剤の添加量としては、多面体構造ポリシロキサン変性体(A)および硬化剤(B)の合計重量の0.05〜30重量%であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜15重量%である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
エポキシ化合物としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
エポキシ化合物の添加量としては、多面体構造ポリシロキサン変性体および硬化剤の合計重量の0.1〜50重量%であることが好ましく、さらに好ましくは、0.2〜15重量%である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種併用してもよい。
本発明においては、接着性付与剤の効果を高めるために、公知の接着性促進剤を用いることができる。接着性促進剤としては、ボロン酸エステル化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いるポリシロキサン系組成物には、上記成分に加え、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ、粉砕石英、炭酸カルシウム、カーボンブラック、シリカなどの無機フィラー(充填剤)を添加してもよい。
本発明で用いることが出来る無機フィラーは、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
無機フィラーは、適宜表面処理をほどこしてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、カップリング剤による処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
上記無機フィラーをポリシロキサン系組成物の組成分として用いることにより、得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性等の諸物性を改善することができる。
無機フィラーの形状としては、破砕状、片状、球状、棒状等、各種用いることができる。無機フィラーの平均粒径や粒径分布は、特に限定されるものではないが、平均粒径が0.005〜100μmであることが好ましく、さらには0.01〜50μmであることが好ましい。同様に、比表面積についても、特に限定されない。
無機フィラーの添加量は特に限定されないが、多面体構造ポリシロキサン変性体と硬化剤の混合物100重量部に対して、1〜1000重量部、よりこの好ましくは、5〜500重量部、さらに好ましくは、10〜300重量部である。無機フィラーの添加量が多すぎると、流動性が悪くなる場合があり、少ないと、得られる成型体の物性が不十分となる場合がある。
無機フィラーの混合の順序としては、特に限定されないが、貯蔵安定性が良好になりやすいという点においては、無機フィラーと硬化剤を混ぜた後、多面体構造ポリシロキサン変性体を混合する方法が望ましい。また、多面体構造ポリシロキサン変性体、硬化剤がよく混合され安定した成形物が得られやすいという点においては、多面体構造ポリシロキサン変性体、硬化剤を混合したものに無機フィラーを混合することが好ましい。
これら無機フィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。無機フィラーの混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下に行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合する際の温度が高いと、成型する前に組成物が硬化する場合がある。また、本発明のポリシロキサン系組成物には、必要に応じて、顔料、蛍光体、着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。
この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。
また、本発明のポリシロキサン系組成物を難燃性、耐火性にするためには二酸化チタン、炭酸マンガン、Fe2O3、フェライト、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレークなどの公知の添加剤を添加してもよい。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
本発明に用いるポリシロキサン系組成物は、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりすることにより得ることができる。
本発明のポリシロキサン系組成物は、成形材料として使用することができる。成形方法としては、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、液状射出成形、注型成形などの任意の方法を使用することができる。また、本発明のポリシロキサン系組成物を、シリコンやガラスなどの各種基材にスピンコーター等で塗布し、皮膜させて使用することもできる。この際、粘度調整のために、任意の溶剤で希釈して用いてもよい。
本発明によるポリシロキサン系組成物から得られる硬化物・成形体・膜は、耐熱性、耐光性、耐青色レーザー性に優れ、広い波長領域および温度領域において、高い透明性を発現する。また、低誘電特性や低屈折率材料としても好適である。
また、本発明によるポリシロキサン系組成物から得られる硬化物・成形体・膜は、高い絶縁信頼性を有しており、特には、種々のデバイス向けの絶縁膜として、好適に用いることが可能である。
具体的に例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM、Si−TFT、酸化物TFT、有機TFT等の半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁膜、半導体用層間絶縁膜、ゲート絶縁膜、パッシベーション膜、エッチングストッパー膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜、平坦化膜等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
前記絶縁膜は、多面体構造ポリシロキサン変性体、硬化剤、ヒドロシリル化触媒、過酸化物、必要に応じて、硬化遅延剤、接着性付与剤、溶剤を加え、均一組成物とし、例えば、基板上に塗布した後、加熱により溶剤を除去、組成物を硬化させることによって作成することができる。
上記溶媒は、特に限定されないが、具体的に例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ジメチルイミダゾリジノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、イソプロパノール、エチレンカーボネート、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いても良い。
基板材料としては、特に限定されず、各種電子部品、光部品、電極、半導体素子、金属配線等を搭載した基板等であってもよい。具体的に例えば、ガラス、ガラスエポキシ、シリコンウエハ、SiO2ウエハ、SiNウエハ等の基板材料に加え、液晶表示素子、トランジスタ、ダイオード等の固体素子で構成されている半導体集積回路等が挙げられる。
基板への塗布方法としては、特に限定されるものではないが、スピンコート法、ロールコート法、ディッピング法、スプレー法等の公知の方法を用いることができる。膜厚に関しては、用途に応じて調整でき特に限定されるものではないが、乾燥膜厚で、0.01〜100μm、好ましくは、0.05〜50μm、より好ましくは、0.1〜20μmである。
加熱方法は、所定の温度に設定できるのであれば、特に限定されるものではない。具体的に例えば、オーブン、ホットプレート、赤外炉などを使用することができる。また、大気下、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、真空下、酸素濃度をコントロールした減圧下など、用途に応じて、いずれの雰囲気下で加熱してもよい。加熱温度についても特に限定されるものではないが、好ましくは、30〜600℃、さらに好ましくは50〜500 ℃である。温度が高すぎると、絶縁膜に外観不良を引き起こす恐れがあり、低すぎると硬化が不十分となる場合がある。
また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な絶縁膜を得ることができ好ましい。加熱時間は硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒の量及びヒドロシリル基の量、その他の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、1分〜12時間、好ましくは10分〜8時間行うことにより、良好な絶縁膜を得ることができる。
本発明の絶縁膜は、必要であれば、膜の機械強度の許す範囲内で、空孔形成剤(発泡剤)を使用し、低誘電率化を図ることができる。空孔形成剤としては特に限定はされないが、溶剤との溶解性、組成物との相溶性を同時に満たしていることが好ましい。
空孔形成剤として使用できるポリマーとしては、例えば、ポリビニル芳香族化合物(ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ハロゲン化ポリビニル芳香族化合物など)、ポリアクリロニトリル、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなど)、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、ポリウレタン、ポリメタクリレート(ポリメチルメタクリレートなど)またはポリメタクリル酸、ポリアクリレート(ポリメチルアクリレートなど)およびポリアクリル酸、ポリジエン(ポリブタジエンおよびポリイソプレンなど)、ポリビニルクロライド、ポリアセタール、およびアミンキャップドアルキレンオキシドなどが挙げられる。
その他、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリテトラヒドロフラン、ポリシクロヘキシルエチレン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルピリジン、ポリカプロラクトン等であってもよい。
特にポリスチレンは、空孔形成剤として好適に使用できる。ポリスチレンはとしては、たとえば、アニオン性重合ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、未置換および置換ポリスチレン(たとえば、ポリ(α−メチルスチレン))が挙げられ、未置換ポリスチレンが好ましい。
本発明の絶縁膜は、低誘電性を示すのに加え、高い透明性を有しており、光の取り出し効率の観点で好ましく使用することができる。また、耐熱性、耐光性に優れ、オプトデバイスの長寿命化が可能となる。さらには、耐クラック性、耐冷熱衝撃性にも優れ、デバイスの信頼性に優れる。
前記絶縁信頼性は、リーク電流量により評価することが可能である。具体的には、例えば、電極間に形成された0.5μm±0.1μmの薄膜において30V電圧印加時における電極間の単位面積当たりのリーク電流量で評価することが可能である。本発明の薄膜においては、前記リーク電流量が20nA/cm2以下であることが必要であり、電子部品への信頼性を考慮すると10nA/cm2以下であることが好ましく、さらには、5nA/cm2であることが好ましい。リーク電流量が大きいと、例えば、本発明における薄膜をTFT等の電気デバイスの絶縁膜として用いた場合に、信号の応答遅延、誤作動、デバイス不良につながる恐れがある。
リーク電流測定装置は、数pAレベルの電流が検知できる汎用の半導体パラメータアナライザーであれば特に限定されるものではなく使用することができる。また印加電圧としては、通常のTFTの駆動電圧として印加するレベルの電圧でのリーク電流が小さければ問題はないが、長期信頼性および印加時直後の瞬間的な過電圧などを加味すると、好ましくは0〜50V間でのどの電圧値において上記レベルの低リーク電流量であることが好ましく、より好ましくは0〜100Vであり、さらに好ましくは0〜200V間においてAC電圧、DC電圧問わず上記に示すレベルでの絶縁性が保持されていることが好ましい。
また絶縁膜の絶縁破壊電圧は、よく半導体デバイスの長期信頼性の指標として取り上げられる。長期の電圧印加、または瞬間的な過電圧印加によって絶縁膜の絶縁破壊が起こりデバイス故障原因となるため、絶縁破壊電圧は、5MV/cm以上であることが好ましく、さらに好ましくは7MV/cmである。
本発明によるポリシロキサン系組成物から得られる硬化物・成形体・膜は、耐熱性、耐光性に優れ、400nm程度の紫外領域の波長の光に対しても、高い耐久性を有している。この特性によりオプトデバイス用部材(光学材料)として用いることが可能である。
本発明のポリシロキサン系組成物は、光学材料用組成物として用いることができ、硬化等により、例えば、オプトデバイス用部材として用いることができる。
ここで言う光学材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。ここで、光学材料として用途を想定する場合、具体的に、例えば、厚さ3mmでの波長650nmにおける光線透過率が70%以上、さらには、75%以上であることが望ましい。近年、光学材料においては、高い耐熱性や耐光性が要求されており、特に、これらの試験後での光線透過率の低下が小さいもの(低下率が試験前の透過率の好ましくは5%以下)が望まれる。
また、本発明によって得られる硬化物は、短波長領域(350nm〜450nm)のレーザー光への耐久性に優れ、例えば、405nm±10nmの青色レーザーを長時間照射しても、レーザー光線透過率の変化率を小さく抑制することが可能である。従い、オプトデバイス用部材として用いた場合、デバイスを長寿命化することが可能となる。また、具体的に例えば、短波長領域のレーザーへの高い耐久性を発現させたい場合は、ゲル分率が95%以上であることが好ましい。ゲル分率が95%未満の場合、レーザー透過部の屈折率変化が起こったり、スジが発生したり、また、表面に凹凸を生じたりする場合がある。
なお、前記ゲル分率は、具体的に例えば、20±5℃の条件下において、1gのサンプルをステンレス製の金網に包み、トルエンに72時間浸漬した後100℃x5時間の条件で乾燥させた際の、試験前後のサンプル重量を測定することにより算出する。具体的には、 (ゲル分率)=[(試験後の重量)/(試験前の重量)]x100
の計算式にて算出することができる。
本発明において得られるポリシロキサン系組成物および成形体の用途としては、具体的には、液晶ディスプレイ分野におけるカラーフィルタ、レジスト材料、基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、液晶用フィルム、層間絶縁膜、ゲート絶縁膜、パッシベーション膜などの液晶表示装置周辺材料が例示される。
また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止剤、反射防止膜、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤が例示される。
またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、封止剤、偏光子保護フィルムが例示される。
また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、各種封止剤、接着剤、また、フィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤が例示される。
またLED表示装置に使用されるLED素子のモールド材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤などが例示される。
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤が例示される。さらに具体的には、次世代DVD等の光ピックアップ用の部材、例えば、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、対物レンズ、センサレンズ、保護フィルム、素子封止剤、センサー封止剤、グレーティング、接着剤、プリズム、波長板、補正板、スプリッタ、ホログラム、ミラー等に好適に用いることができる。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部が例示される。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーが例示される。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤などが例示される。光センシング機器のレンズ用材料、封止剤、接着剤、フィルムなどが例示される。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止剤、接着剤などが例示される。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止剤、接着剤などが例示される。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LED素子の封止剤、接着剤などが例示される。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーが例示される。
半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料が例示される。
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品が例示される。また、鉄道車輌用の複層ガラスが例示される。また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートが例示される。
建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料が例示される。農業用では、ハウス被覆用フィルムが例示される。
次世代の光・電子機能有機材料としては、次世代DVD、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
本願発明のポリシロキサン系組成物は、特には、光素子封止剤、光学素子用組成物として好適に用いることができる。前記多面体構造ポリシロキサン変性体としては、耐熱性、耐光性、耐青色レーザー性の観点から、アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)に対して、ヒドロシリル基を有する化合物(b)を変性して得られた本願発明の多面体構造ポリシロキサン変性体であることが好ましい。
前記光素子封止剤としては、多面体構造ポリシロキサン変性体、硬化剤、ヒドロシリル化触媒、過酸化物、必要に応じて、硬化遅延剤、接着性付与剤を加えることにより得ることができる。本発明の光素子封止剤は、透明な液状樹脂組成物として取り扱うことが可能である。液状組成物とすることにより、型、パッケージ、基板等に流し込み、加熱して硬化させることで容易に素子封止を実施することができる。
本発明の光素子封止剤によって得られる封止層は、高い透明性を有しており、光の取り出し効率の観点で好ましく使用することができる。また、耐熱性、耐光性、耐青色レーザー性に優れ、オプトデバイスの長寿命化が可能となる。さらには、耐クラック性、耐冷熱衝撃性にも優れ、デバイスの信頼性に優れる。
液状の光素子封止剤を硬化させた硬化物は、例えば3mm厚さの硬化物での透過率は650nmの光線で75%以上となるものを得ることが可能である。また、多面体構造ポリシロキサン変性体が液状であることで、本発明の光素子封止剤が容易に液状として得ることができるので好ましい。
硬化させる際に温度を加える場合は、好ましくは、30〜400℃、さらに好ましくは50〜250℃である。硬化温度が高くなり過ぎると、得られる硬化物に外観不良が生じる傾向があり、低すぎると硬化が不十分となる。また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることができ好ましい。
本発明においては、必要に応じて、ヒドロシリル化触媒を追加して用いることができる。硬化時間は硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒の量及びヒドロシリル基の量、その他、本願組成物のその他の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、1分〜15時間、好ましくは10分〜12時間行うことにより、良好な硬化物を得ることができる。
本発明における光素子封止剤は、具体的に例えば、素子を搭載したパッケージや基板などに、注入あるいは塗布して使用することが可能である。注入あるいは塗布した後、上述の硬化条件にて、硬化させることで、良好に素子を封止することが可能である。
本発明に用いる光素子封止剤には、上記必須成分に加え、任意成分として本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ充填剤として、シリカ、粉砕石英、炭酸カルシウム、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、蛍光体などの充填剤を添加してもよい。
また、本発明の光素子封止剤には、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。
この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。
また、本発明の光素子封止剤を難燃性、耐火性にするためには二酸化チタン、炭酸マンガン、Fe2O3、フェライト、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレークなどの公知の添加剤を添加してもよい。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
本発明に用いる光素子封止剤は、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりすることにより得ることができる。
本発明の光素子封止剤は、成形体として使用することができる。成形方法としては、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、液状射出成形、注型成形などの任意の方法を使用することができる。
本発明の光素子封止剤により得られる硬化物(封止層)は、耐熱性、耐光性、耐青色レーザー性に優れ、400nm程度の近紫外領域の波長の光に対しても、高い耐久性を発現する。
前記光学素子用組成物は、多面体構造ポリシロキサン変性体、硬化剤、ヒドロシリル化触媒、過酸化物、必要に応じて、硬化遅延剤、接着性付与剤等を加えることにより得ることができる。本発明の光学素子用組成物は、透明な液状樹脂組成物として取り扱うことが可能である。液状組成物とすることにより、例えば、金型に射出・注入して加熱硬化させることで容易に光学素子を製造することができる。
本発明の光学素子用組成物によって得られる光学素子は、高い透明性を有しており、光の取り出し効率の観点で好ましく使用することができる。また、耐熱性、耐光性、耐青紫色レーザー性に優れることから、オプトデバイスの生産上の熱履歴による品質低下を抑制し、また、オプトデバイスの長寿命化が可能となる。さらには、耐クラック性、耐冷熱衝撃性にも優れ、デバイスの信頼性に優れる。
液状の光学素子用組成物を硬化させた硬化物(光学素子)は、例えば3mm厚さの硬化物での透過率は650nmの光線で75%以上となるものを得ることが可能である。また、多面体構造ポリシロキサン変性体が液状であることで、本発明の光学素子用組成物が容易に液状として得ることができるので好ましい。
硬化させる際に温度を加える場合は、好ましくは、30〜400℃、さらに好ましくは50〜250℃である。硬化温度が高くなり過ぎると、得られる硬化物に外観不良が生じる傾向があり、低すぎると硬化が不十分となる。また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることができ好ましい。
本発明においては、必要に応じて、ヒドロシリル化触媒を追加して用いることができる。
硬化時間は硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒の量及びヒドロシリル基の量、その他、本願組成物のその他の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、1分〜12時間、好ましくは10分〜8時間行うことにより、良好な硬化物を得ることができる。
本発明における光学素子用組成物は、具体的に例えば、組成物を光学素子の金型に射出、注入し硬化させて得ることが可能である。また、ガラスや各種プラスチック等の光学素子用基材上に塗布した後、硬化させて複合材料として使用したり、また、塗布した後に微細な溝、ホール、ドットを施した鋳型を押し当てながら硬化させることで、表面に微細構造を有する光学素子を作成することも可能である。
また、本発明による光学素子用組成物は、例えば、ガラスやプラスチック等の光学素子に反射防止能を付与することも可能である。
本発明に用いる光学素子用組成物には、上記必須成分に加え、任意成分として本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ充填剤として、シリカ、粉砕石英、炭酸カルシウム、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、蛍光体などの充填剤を添加してもよい。
また、本発明の光学素子用組成物には、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。
この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。
また、本発明の光学素子用組成物を難燃性、耐火性にするためには二酸化チタン、炭酸マンガン、Fe2O3、フェライト、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレークなどの公知の添加剤を添加してもよい。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
本発明に用いる光学素子用組成物は、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりすることにより得ることができる。
本発明の光学素子用組成物は、成形体として使用することができる。成形方法としては、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、液状射出成形、注型成形などの任意の方法を使用することができる。
本発明の光学素子用組成物により得られる硬化物(光学素子)は、耐熱性、耐光性、耐青色レーザー性に優れ、400nm程度の近紫外領域の波長の光に対しても、高い耐久性を発現する。
次に本発明の組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(膜厚測定)
ガラス/AL基板上に形成した薄膜についてUV−visスペクトルを測定して算出した。本発明の樹脂組成物を用いて作成した薄膜は優れた絶縁性を有し、溶液塗布により成膜できる薄膜絶縁材料として適用できる。
(リーク電流測定)
リーク電流量は、上記電気特性評価サンプルの電極間(AL−Mo)に0〜50Vの電圧を0.5Vずつステップで印加し、30V印加時の電極単位面積当たりのリーク電流量を測定し評価を行った。測定には、半導体パラメータ測定装置(Agilent製4156C)を用いた。
(実施例1)
500mL四つ口フラスコにトルエン100g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン40gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。ビニルジメチルシロキシ基を含有する多面体構造ポリシロキサンであるオクタ(ビニルジメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン10.0g、トルエン10.0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)2mgの混合液を滴下した。滴下終了から6時間後に1H−NMRでビニル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明のポリシロキサン系化合物を得た。
上記ポリシロキサン系化合物1gに、MQV7(ビニル基含有シロキサン、クラリアントジャパン製)1.86g、白金ビニルシロキサン錯体(Pt−VTSC−3.0x、エヌイーエムキャット製)1.4mg、エチニルシクロヘキサノール2.8mg、過酸化ラウロイル(日本油脂製)28.6mg、MIBK6.7gを加え樹脂組成物とした。
得られた樹脂組成物を用いて、下部電極としてスパッタでMo膜を2000Å成膜したガラス基板(100×50×0.7mm)に、上記得られた硬化性組成物をスピンコーティング(回転数2000rpm、30秒)し、ホットプレート上にて150℃1時間ベイクし薄膜を形成した。さらに薄膜上へ上部電極としてAL電極(3mmΦ)を形成してリーク電流測定用サンプルを作成し、得られたサンプルについて、リーク電流を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
下部電極としてスパッタでMo膜を2000Å成膜したガラス基板(100×50×0.7mm)に、プラズマCVDによりSiNx膜を5000Åで成膜。さらに薄膜上へ上部電極としてAL電極(3mmΦ)を形成してリーク電流測定用サンプルを作成し、得られたサンプルについて、リーク電流を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
エチルシリケート40(コルコート株式会社製)1gに、メチルイソブチルケトン8g、RHODORSIL−PI2074(オニウム塩である光酸発生剤、ローディア製)0.01gを加え樹脂組成物とした。
得られた樹脂組成物を用いて、下部電極としてスパッタでMo膜を2000Å成膜したガラス基板(100×50×0.7mm)に、上記得られた硬化性組成物をスピンコーティング(回転数2000rpm、30秒)し、ホットプレート上にて150℃1時間ベイクし薄膜を形成した。さらに薄膜上へ上部電極としてAL電極(3mmΦ)を形成してリーク電流測定用サンプルを作成し、得られたサンプルについて、リーク電流を測定した。結果を表1に示す。
以下、実施例および比較例で得られた硬化性組成物の特性評価を行った結果を表1に示す。
この結果からもわかるように、本発明により電気特性的に信頼性の高い薄膜が得られている事がわかる。