JPWO2010055632A1 - シリコーン系重合体粒子およびシリコーン系組成物 - Google Patents
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Abstract
硬化前の液状組成物の粘度が安定し、さらに硬化後に高い耐冷熱衝撃性を有するシリコーン系組成物を得ることを目的とする。シリコーン粒子(A−1)に、アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第1シェル成分(A−2)、さらにその後アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第2シェル成分(A−3)からなる、シリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有する、(A)シリコーン系重合体粒子。
Description
本発明は、硬化前の液状組成物の粘度が安定し、さらに硬化後に高い耐冷熱衝撃性を有するシリコーン系重合体粒子とその組成物に関する。
湿式法により合成されるシリコーン系粒子は、粘度調整や各種物性の改良を目的として、シリコーンゴムやシリコーン樹脂に配合されている。しかし、その粒子表面には多数のシラノール基が存在することが知られており、このようなシリコーン系粒子をシリコーンゴムや樹脂等に配合した際に、配合物の粘度が高くなりすぎたり、配合物の粘度が経時的に上昇して貯蔵安定性が低下したりする問題があった。
また熱硬化性シリコーン樹脂にこのような粒子を配合した際には、耐衝撃性の改良に効果が認められるものの、硬化物の吸湿の原因となり、冷熱試験の際にクラックが生じたりするなどの問題があった。
このような問題に対して、粒子表面をシランカップリング剤で処理する方法や、シリコーンオイルで粒子表面を処理する方法(例えば特許文献1)が提案されており、一定の効果が認められるが、製造工程が複雑になったり、表面処理をする過程で粒子が凝集したりするなどの問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、配合物の増粘やゲル化を抑制し、高い貯蔵安定性が得られ、硬化物の耐冷熱衝撃性付与能に優れたシリコーン系重合体粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のシリコーン系重合体粒子を、マトリクス樹脂に配合したシリコーン系組成物が、増粘やゲル化を抑制し、高い貯蔵安定性が得られ、硬化物の耐冷熱衝撃性付与能に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本願発明は以下の構成を有するものである。
1). シリコーン粒子(A−1)に、アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第1シェル成分(A−2)、さらにその後アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第2シェル成分(A−3)からなる、シリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有する、(A)シリコーン系重合体粒子。
2). (A−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が、(a)成分を必須成分とし、(b)成分、(c)成分および(d)成分から選ばれる少なくとも1種類を反応させて得られる縮合物である1)に記載の(A)シリコーン系重合体粒子。
(a)成分:一般式(1)
(a)成分:一般式(1)
(式中、R12はアルキル基を示し、R13、R14およびR15は、同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される1官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(b)成分:一般式(2)
(b)成分:一般式(2)
(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一また
は異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(3)
は異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(3)
(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(d)成分:一般式(4)
(d)成分:一般式(4)
(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
3). (A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が、(b)成分、(c)成分および(d)成分から選ばれる少なくとも1種類を反応させて得られる縮合物である1)または2)のいずれかに記載の(A)シリコーン系重合体粒子。
(b)成分:一般式(2)
(b)成分:一般式(2)
(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(3)
(c)成分:一般式(3)
(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(d)成分:一般式(4)
(d)成分:一般式(4)
(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
4). (A−1)成分であるシリコーン粒子40〜98重量%に対して、(A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が1〜40重量%、(A−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が1〜30重量%被覆した重合体(ただし、(A−1)成分と(A−2)成分と(A−3)成分を合わせて100重量%)である1)〜3)のいずれか1つに記載の(A)シリコーン系重合体粒子。
5). (A)1)〜4)のいずれか1つに記載のシリコーン系重合体粒子、(B)一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン、(C)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび(D)ヒドロシリル化触媒、を含有するシリコーン系組成物。
6). さらに、(E)接着性付与剤を含有することを特徴とする、5)に記載のシリコーン系組成物。
7). (A)成分をマスターバッチ法により組成物中に均一に分散させたことを特徴とする、5)または6)のいずれかに記載のシリコーン系組成物。
8). 5)〜7)のいずれか1つに記載のシリコーン系組成物を硬化してなる硬化物。
本発明によれば、硬化前の液状組成物の粘度が安定し、さらに硬化後に高い耐冷熱衝撃性を有するシリコーン系組成物をより簡便な方法で得られる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
<(A)シリコーン系重合体粒子>
(A)成分は、シリコーン系の粒子であり、コアシェル構造を有することが好ましい。なお本発明におけるコアシェル構造とは、例えばコアとなる粒子の存在下、コアを形成するモノマー成分とは異なる組成や成分からなるモノマー成分を反応させることで得ることができる。シェル成分をコア粒子に吸収させながらコアシェル構造を形成したり、コア部からシェル部への傾斜構造等を形成したりすることも可能であるが、コア粒子との反応性を有するシェル成分を用い、コア粒子の外側にシェル部を形成したような構造を有する粒子が好ましい構造として例示される。
(A)成分は、シリコーン系の粒子であり、コアシェル構造を有することが好ましい。なお本発明におけるコアシェル構造とは、例えばコアとなる粒子の存在下、コアを形成するモノマー成分とは異なる組成や成分からなるモノマー成分を反応させることで得ることができる。シェル成分をコア粒子に吸収させながらコアシェル構造を形成したり、コア部からシェル部への傾斜構造等を形成したりすることも可能であるが、コア粒子との反応性を有するシェル成分を用い、コア粒子の外側にシェル部を形成したような構造を有する粒子が好ましい構造として例示される。
(A−1)成分であるシリコーン粒子と、(A−2)成分である第1シェル成分と、(A−3)成分である第2シェル成分のコアシェル構造を有することにより、(A)成分の表面のシラノール基を減少させることができる。これにより、例えばマトリクスとの親和性や相溶性を向上させることができ、さらにマトリクスに配合した際の配合物の粘度が高くなりすぎたりすることを防ぐことができる。さらにこの配合物の経時変化、特に粘度上昇を防ぐことも可能である。
また(A)成分を配合したシリコーン系組成物から得られる硬化物は、例えば吸湿性が低く、耐冷熱衝撃性を向上させることも可能である。
(A)成分は、(A−1)成分であるシリコーン粒子40〜98重量%に対して、(A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が1〜40重量%、(A−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が1〜30重量%被覆した重合体(ただし、(A−1)成分と(A−2)成分と(A−3)成分を合わせて100重量%)であることが好ましい。
さらには(A)成分は、(A−1)成分であるシリコーン粒子35〜96重量%に対して、(A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が2〜37重量%、(A−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が2〜28重量%被覆した重合体であることがより好ましい。
(A−1)成分が少ない場合、粒子の柔軟性が損なわれるため、(A)成分を配合した組成物から得られる硬化物の耐冷熱衝撃性が低下する場合がある。(A−2)成分が少ない場合、(A)成分が本来の粒子の形状を維持できずにマトリクス中に(A)成分が流出し、配合組成物の強度を低下させるなど物性の低下を招くことがある。
また(A−3)成分が少ない場合、(A)成分表面のシラノール基が十分に減少させることができず、例えばマトリクスとの相溶性が不十分になったり、配合組成物の粘度が高くなったり、経時的に増粘したり、(A)成分を配合したシリコーン系組成物から得られる硬化物の吸湿性が増加して耐冷熱衝撃性が低下したりすることもある。
(A−1)成分は、シリコーン粒子であれば良いが、一般式(5)
Ra mSiO(4-m)/2(5)
(式中、Raは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。mは0〜3の整数を示す。)で表される構造単位を有するオルガノシロキサンから成ることが好ましい。
Ra mSiO(4-m)/2(5)
(式中、Raは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。mは0〜3の整数を示す。)で表される構造単位を有するオルガノシロキサンから成ることが好ましい。
また(A−1)成分は、上記一般式(5)でm=2の構造単位が、(A−1)成分の70モル%以上を占めていることが好ましく、さらに好ましくは80モル%以上を占めていることが好ましい。この成分が少ないと(A−1)成分の柔軟性が損なわれるため、(A)成分をマトリクスに配合して得られるシリコーン系組成物の、硬化後の耐冷熱衝撃性が低下したりする場合がある。
(A−1)成分はオルガノシロキサンの重合により得ることができるが、そのオルガノシロキサンは、直鎖状、分岐状および環状構造のいずれであってもよいが、入手の容易さやコストの観点から、環状構造を有するオルガノシロキサンを用いるのが好ましい。
オルガノシロキサンの具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサンなどの環状化合物のほかに、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンを挙げることができる。これらオルガノシロキサンは、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
このオルガノシロキサンの有する置換または非置換の一価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、およびそれらをシアノ基などで置換した置換炭化水素基などをあげることができる。
また(A−1)成分の分子の末端がシラノール基であることが好ましい。分子の末端にシラノール基を有していることで、後述の(A−2)成分との間で縮合反応により結合を形成するため、安定的なコア−シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子を得ることができる。
(A−1)成分の製造方法には、特に限定はないが、通常の乳化重合、分散重合、溶液重合などでも得ることが可能であり、粒径の制御が可能で分布ある点や、操作の簡便性等の点を考慮すると、乳化重合で得ることが好ましい。
(A−1)成分は、より粒子径の小さい粒子を得ることができ、さらにラテックス状態での粒子径が狭くできる利点などからもシード重合を利用することが好ましい。シード重合に用いるシードポリマーは特に限定は無いが、アクリル酸ブチルゴム、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレンやブタジエン−アクリロニトリルゴム等のゴム成分、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体やスチレン−アクリロニトリル共重合体等の重合体を用いることができる。中でも、シリコーン粒子の粒子径分布を狭くするという観点から、分子量が低く、粒子径が小さいことが好ましい。
上記シードポリマーの粒子径については、最終粒子径に応じて適宜設定することができるが、通常は、体積平均粒子径で0.001〜0.1μmの範囲に設定するのが好ましい。
当該シードポリマーは、通常の乳化重合でも得ることができるが、合成法は特に限定されるものではない。
当該シードポリマーは、通常の乳化重合でも得ることができるが、合成法は特に限定されるものではない。
シードポリマーの重合に用いることができるラジカル開始剤の具体例としては、パラメンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
この重合を、硫酸第一鉄−ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート−エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム、硫酸第一鉄−グルコース−ピロリン酸ナトリウム、硫酸第一鉄−ピロリン酸ナトリウム−リン酸ナトリウム等のレドックス系で行うことも可能である。この場合、低い重合温度でも重合が完了するので好ましい。
また、シードポリマーの重合には、分子量を小さくするために、アルキルメルカプタン等の連鎖移動剤を用いてもよい。
また、シードポリマーの重合には、分子量を小さくするために、アルキルメルカプタン等の連鎖移動剤を用いてもよい。
(A−1)成分は、例えば、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、塩基性条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応が速く進行するため有利である。たとえば上記のオルガノシロキサンを含んだ各種原料を、乳化剤および水とともにホモミキサー、コロイドミル、ホモジナイザーなどを用いてエマルジョンとし、ついで、系のpHを酸成分で5以下、好ましくは4以下に調整し、加熱して重合させる。この際に用いる酸成分としては、安定して乳化重合を進行させることができ、またそれ自身も乳化能を併せ持つものが好ましく、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸、アルキルスルホコハク酸などが例示されうる。
なお、原料の全部を一括添加したのち、一定時間撹拌してからpHを任意の値に調整してもよく、また原料の一部を仕込んでpHを任意の値に調整したエマルジョンに残りの原料を逐次追加してもよい。逐次追加する場合、そのままの状態、または水および乳化剤と混合して乳化液とした状態のいずれで添加してもよいが、重合速度を速くすることができるので、乳化状態で追加する方法を用いることが好ましい。反応温度、時間は、反応制御の容易さから反応温度は0〜100℃が好ましく、50〜95℃がさらに好ましい。反応時間は、好ましくは1〜100時間であり、さらに好ましくは3〜50時間である。
酸性条件下で重合を行う場合、通常、(A−1)成分の骨格を形成しているSi−O−Si結合は、切断と結合生成の平衡状態にある。この平衡は温度によって変化し、低温になるほど高分子量の(A−1)成分が生成しやすくなる。したがって、高分子量の(A−1)成分を得るためには、加熱により重合した後、重合温度以下に冷却して熟成を行うことが好ましい。
具体的には、50℃以上で重合を行い重合転化率が75〜90%、さらに好ましくは82〜89%に達した時点で加熱を止め、重合温度より低い温度例えば、10〜50℃、好ましくは20〜45℃に冷却して5〜100時間程度熟成を行うことができる。なお、ここで言う重合転化率は原料中の低揮発分のオルガノシロキサンの(A−1)成分への転化率を意味する。
乳化重合に用いる水の量についてはとくに制限は無く、各種原料を乳化分散させるために必要な量であれば良く、あえて例示するなら通常原料の合計量に対して1〜20倍の重量を用いれば良い。
乳化重合に用いる乳化剤は、反応を行うpH領域において乳化能を失わないものであれば特に限定なく公知のものを使用することができる。かかる乳化剤の例としては、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、該乳化剤の使用量にはとくに限定がなく、目的とする(A−1)成分の粒子径などに応じて適宜調整すればよい。
充分な乳化能が得られ、かつ得られる(A−1)成分と、それから得られる、前記(A)成分であるシリコーン系重合体粒子の物性に悪影響を与えないという点から、あえて例示するならエマルジョン中に0.005〜20重量%用いるのが好ましく、特には0.05〜15重量%用いるのが好ましい。
(A−1)成分のラテックス状態のシリコーン粒子の体積平均粒径は、0.005μm〜3.0μmが好ましく、0.01μm〜2.0μmがより好ましく、0.05μm〜0.5μmが特に好ましい。体積平均粒径が小さいものは安定的に得ることは難しく、大きいと硬化組成物の透明性が悪くなる場合がある。なお、体積平均粒径の測定は、例えば、ナノトラック粒度分析計UPA150(日機装株式会社製)を用いて行うことができる。
本発明に用いる(A−1)成分の合成の際に、必要によっては架橋剤、グラフト交叉剤と言われるものを添加することもできる。
本発明の(A−1)成分の合成に用いることができる架橋剤としては、例えば、トリメトキシメチルシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどの縮合反応に関与できる官能基を3個含むいわゆる3官能性架橋剤、テトラエトキシシラン、1,3ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−3−〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−4−〔2−ジメトキシメチルシリル〕エチル〕ベンゼンなどの縮合反応に関与できる官能基を4個含むいわゆる4官能性架橋剤、さらにはこれら架橋剤のアルコキシ基を縮合させた部分縮合物を挙げることができる。
これら架橋剤は、必要に応じ、1種若しくは2種以上組み合わせて用いることができる。この架橋剤の添加量は、オルガノシロキサン100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。架橋剤の添加量が多いと、(A−1)成分の柔軟性が損なわれるため、(A)成分をマトリクスに配合した際に、シリコーン系組成物の低温での耐冷熱衝撃性が低下する場合がある。また架橋剤の添加量を調節することで、架橋度を変化させることにより(A−1)成分の弾性を任意に調節することができる。
本発明に用いることができるグラフト交叉剤は、例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルエチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、テトラビニルテトラメチルシクロシロキサン、アリルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等があげられる。
本発明に第1シェル成分(A−2)用いることにより、(A)成分の粒子としてのモルフォロジーを保持することが可能である。例えばシリコーン系組成物から得られる硬化物の耐冷熱衝撃性向上に寄与することができる。
本発明の(A−2)成分に用いるアルコキシシランは、以下の一般式(2)で表される(b)成分である2官能性アルコキシシラン化合物、一般式(3)で表される(c)成分である3官能性アルコキシシラン化合物、一般式(4)で表される4官能性アルコキシシラン化合物、およびそれらの部分縮合物(アルコキシ基を縮合させた部分縮合物)等を用いることが可能であり、これらを加水分解・縮合させることで(A−2)成分が得られる。これらアルコキシシランは1種類でも2種類以上でも用いることができる。
(b)成分:一般式(2)
(b)成分:一般式(2)
(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(3)
(c)成分:一般式(3)
(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(d)成分:一般式(4)
(d)成分:一般式(4)
(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
上記一般式(2)〜(4)において挙げられるアルコキシ基としては、たとえばメトキシ、エトキシ、ノルマルプロポキシ、イソプロポキシ、ノルマルブトキシ、イソブトキシ、第2級ブトキシ、第3級ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等の、炭素数1〜6のアルコキシ基である。
上記一般式(2)〜(4)の一価の有機基は、置換または非置換の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などが上げられる。
アルコキシシラン化合物を用いて(A−2)成分を得る重合方法は、乳化重合を用いることができる。乳化重合の条件は一般的な条件が適用できるが、特に重合温度に注意を払うことが好ましい。重合の際の温度は、20〜85℃を適用することが好ましい。また、重合時間は1〜50時間が適用できる。
また(A―2)成分は、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、塩基性条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応の際にゲル化を抑制しやすい等の理由により有利である。
本発明に用いるアルコキシシラン縮合物(A−3)により、(A−1)成分と(A−2)成分の表面に多数存在するシラノール基を減らすことができる。これにより、粒子表面のシラノール基に由来する様々な問題、例えば(A)成分とマトリクスとの相溶性や親和性の低下する問題や、シリコーンゴムやシリコーン樹脂に配合した際に配合物の粘度が高くなりすぎてしまう問題や、配合物が経時変化して粘度が次第に上昇する問題を解決することができる。
またこのようなシラノール基が多数含まれる粒子を配合した際に、例えば硬化物の吸湿の原因となり、冷熱試験の際にクラックが生じたりすることもあったが、このような問題も解決できる。
本発明の(A−3)成分は、以下の一般式(1)で表される(a)成分である1官能性アルコキシシラン化合物およびそれらの部分縮合物(アルコキシ基を縮合させた部分縮合物)を必須成分として得られたアルコキシシラン縮合物であることが好ましい。1官能性アルコキシシラン化合物およびそれらの部分縮合物は、1種類でも2種類以上でも用いることができる。
一般式(1)において、R12はアルキル基を示し、R13、R14、R15は同一または異なる一価の有機基を示す。
上記一般式(1)の一価の有機基は、置換または非置換の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などが上げられる。
上記一般式(1)の一価の有機基は、置換または非置換の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などが上げられる。
さらに(A−3)成分は、前記(b)成分、前記(c)成分および前記(d)成分から選ばれる少なくとも1種類以上を含むことが好ましい。(a)成分と、(b)成分、(c)成分および(d)成分から選ばれる少なくとも1種類以上とを組み合わせることで、(a)成分を(A)成分中に効率よく取り込むことが可能となる。
(A−3)成分中で(a)成分に由来する構造は、(A−3)成分のケイ素原子の合計モル数に対する(a)成分由来のケイ素原子の合計モル数の比が、1〜99%であることが好ましく、50〜99%であることがより好ましい。
(A−3)成分中で(a)成分に由来する構造は、(A−3)成分のケイ素原子の合計モル数に対する(a)成分由来のケイ素原子の合計モル数の比が、1〜99%であることが好ましく、50〜99%であることがより好ましい。
またここで(a)〜(d)のうちいずれかでアルケニル基を含む成分を用いれば、(A)成分にアルケニル基を導入でき、ヒドロシリル化反応により硬化する他の樹脂成分(マトリクス成分)に配合すれば、(A)成分とマトリクス成分との間で結合を形成するため、本願発明のシリコーン組成物から得られる硬化物の強度を向上させることができるので好ましい。この場合、ヒドロシリル化反応により硬化するマトリクス成分であれば特に好ましい。
アルコキシシラン化合物を用いて(A−3)成分を得る重合方法は、乳化重合を用いることができる。乳化重合の条件は一般的な条件が適用できるが、特に重合温度に注意を払うことが好ましい。重合の際の温度は、20〜85℃を適用することが好ましい。また、重合時間は1〜50時間が適用できる。
また(A―3)成分は、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、塩基性条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応の際にゲル化を抑制しやすい等の理由により有利である。
乳化重合によって得られた(A)成分であるシリコーン系重合体粒子のラテックスから粒子を分離する方法としては、特に限定は無いが、たとえばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの金属塩を添加することによりラテックスを凝固、分離、水洗、脱水し、乾燥する方法などがあげられる。また、スプレー乾燥法も使用できる。
本発明において得られる(A)成分はマトリクス樹脂中に均一に分散させることが可能であり、さらに透明な硬化物を得ることができる点から、マスターバッチ法を用いるのが好ましい。
マスターバッチ法は、水系ラテックス溶液に水に可溶あるいは部分可溶な有機溶剤、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール等)やケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、酢酸エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチル)等などを加えることで、粒子どうしを緩凝集させた後、遠心沈降や濾過などの方法で緩凝集体を回収し、この緩凝集体が分散可能な溶剤に再分散させてからマトリクス樹脂と混合し、溶媒を留去させる方法が例示される。
本発明の特徴を妨げない範囲で、得られた(A)成分を表面処理することができる。表面処理を行うことにより、(A)成分とマトリクス成分との親和性を向上させることができる。
この際に用いる表面処理剤としては、例えば、シリル化剤を用いることができる。ここで用いるシリル化剤としては、一般的にアルキルシラン、例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチル(ジ)シラザンが挙げられる。これらシリル化剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また表面処理の際に、マトリクス成分と結合能を有する官能基、例えばアルケニル基、アルキニル基等を(A)成分の表面に導入することで、(A)成分とマトリクス成分との間に結合が形成されてシリコーン系組成物全体の強度を向上させることができる。
このマトリクス成分との結合能を有する官能基を重合体表面に導入する際のシリル化剤としては、一般的にアルケニルシラン、例えばクロロジメチルビニルシラン、ジクロロメチルビニルシラン、ジクロロジビニルシラン、トリクロロビニルシランが挙げられる。これらシリル化剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また表面処理を実施する段階としては特に限定は無いが、上記マスターバッチ法により、水系ラテックス溶液に水に可溶あるいは部分可溶な有機溶剤を加えて、粒子どうしを緩凝集させた後、遠心沈降や濾過などの方法で緩凝集体を回収し、この緩凝集体を分散可能な溶剤に再分散させた後に行なうことができる。
<(B)一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン>
本発明における(B)成分は、後述の(C)成分である一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、ヒドロシリル化反応により硬化し、シリコーン系マトリクスを形成するものである。このため、1分子中に2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンであれば、特に限定は無く、広く公知のものを使用することができる。またその構造も直鎖状、分岐鎖状、環状および三次元架橋構造を有するもののいずれであってもよい。
本発明における(B)成分は、後述の(C)成分である一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、ヒドロシリル化反応により硬化し、シリコーン系マトリクスを形成するものである。このため、1分子中に2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンであれば、特に限定は無く、広く公知のものを使用することができる。またその構造も直鎖状、分岐鎖状、環状および三次元架橋構造を有するもののいずれであってもよい。
直鎖状の(B)成分の例としては、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体などが例示されうる。
また環状の(B)成分の例としては、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示されうる。
また三次元架橋構造を有する(B)成分の例としては、特に限定はしないが、一般式(6)
SiO4/2(6)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(7)、(8)
Rb1Rb2 2SiO1/2(7)
Rb2 3SiO1/2(8)
(式中、Rb1はアルケニル基、Rb2はアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(7)で少なくとも2つ封鎖された構造を有するものが例示される。この場合、(A)成分および(C)成分との相溶性が良好なものが好ましい。
SiO4/2(6)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(7)、(8)
Rb1Rb2 2SiO1/2(7)
Rb2 3SiO1/2(8)
(式中、Rb1はアルケニル基、Rb2はアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(7)で少なくとも2つ封鎖された構造を有するものが例示される。この場合、(A)成分および(C)成分との相溶性が良好なものが好ましい。
前記アルケニル基は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基が好ましく、入手性、また、耐熱性・耐光性の観点からビニル基がさらに好ましい。
またアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、およびこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等、などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基が例示でき好ましい。中でも、耐熱性や耐光性の観点からメチル基がさらに好ましい。
上記一般式(6)、一般式(7)および一般式(8)で表される(B)成分を使用すると、この組成物から得られる硬化物は、架橋密度が高いので、高硬度で高強度の硬化物が得られるので好ましい。
更に上記(B)成分は、取り扱いが容易であることから、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1000Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましい。
<(C)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン>
本発明における(C)成分は、(B)成分とヒドロシリル化反応により硬化し、シリコーン系マトリクスを形成するものである。このため、1分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであれば、特に限定は無く、広く公知のものを使用することができる。またその構造も直鎖状、分岐鎖状、環状および三次元架橋構造を有するもののいずれであってもよい。
本発明における(C)成分は、(B)成分とヒドロシリル化反応により硬化し、シリコーン系マトリクスを形成するものである。このため、1分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであれば、特に限定は無く、広く公知のものを使用することができる。またその構造も直鎖状、分岐鎖状、環状および三次元架橋構造を有するもののいずれであってもよい。
直鎖状の(C)成分の例としては、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体などが例示されうる。
また環状の(C)成分の例としては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示されうる。
また三次元架橋構造を有する(C)成分の例としては、特に限定はしないが、一般式(6)
SiO4/2(6)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(9)、(10)
Rc1Rc2 2SiO1/2(9)
Rc2 3SiO1/2(10)
(式中、Rc1は水素原子、Rc2はアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(9)で少なくとも2つ封鎖された構造を有するものが例示される。(C)成分は、(A)成分および(B)成分との相溶性が良好なものが好ましいものとして例示される。
SiO4/2(6)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(9)、(10)
Rc1Rc2 2SiO1/2(9)
Rc2 3SiO1/2(10)
(式中、Rc1は水素原子、Rc2はアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(9)で少なくとも2つ封鎖された構造を有するものが例示される。(C)成分は、(A)成分および(B)成分との相溶性が良好なものが好ましいものとして例示される。
またアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、およびこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等、などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基が例示でき好ましい。中でも、耐熱性や耐光性の観点からはメチル基がさらに好ましい。
上記一般式(6)、一般式(9)および一般式(10)で表される(C)成分を使用すると、この組成物から得られる硬化物は、架橋密度が高いので、高硬度で高強度の硬化物が得られるので好ましい。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量は、前述の(B)成分のアルケニル基に対して(C)成分のヒドロシリル基が30〜500モル%、好ましくは40〜200モル%となる割合であることが望ましい。
更に上記(C)成分は、取り扱いが容易であることから、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1000Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましい。
<(D)ヒドロシリル化触媒>
本発明における(D)成分であるヒドロシリル化触媒としては、例えば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒を添加することができる。前記白金系触媒としては公知のものが使用でき、具体的には白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類やビニルシロキサンとのコンプレックスなどが例示される。
本発明における(D)成分であるヒドロシリル化触媒としては、例えば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒を添加することができる。前記白金系触媒としては公知のものが使用でき、具体的には白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類やビニルシロキサンとのコンプレックスなどが例示される。
白金系触媒の添加量は、(B)成分のアルケニル基1モルに対し、白金原子として10-1〜10-10モルの範囲で用いるのが好ましく、10-4〜10-8モルの範囲で用いるのがより好ましい。白金触媒が多すぎると短波長の光を吸収するため、得られた硬化物の耐光性が低下するおそれがあり、また少なすぎるとマトリクスが硬化しない場合がある。
<(E)接着性付与剤>
本発明における(E)成分である接着性付与剤は、シリコーン系組成物から得られる硬化物に接着性を付与する成分である。
本発明における(E)成分である接着性付与剤は、シリコーン系組成物から得られる硬化物に接着性を付与する成分である。
本発明における(E)成分としては、シランカップリング剤、ほう素系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等を好適に使用することが可能である。
前記、シランカップリング剤の例としては、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基と、ケイ素原子結合アルコキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。前記官能基については、中でも、硬化性及び接着性の点から、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。
具体的に例示すると、エポキシ官能基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、メタクリル基あるいはアクリル基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシランが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
前記、ほう素系カップリング剤の例としては、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
前記、チタン系カップリング剤の例としては、テトラ(n−ブトキシ)チタン,テトラ(i−プロポキシ)チタン,テトラ(ステアロキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ−ビス(アセチルアセトネート)チタン,i−プロポキシ(2−エチルヘキサンジオラート)チタン,ジ−i−プロポキシ−ジエチルアセトアセテートチタン,ヒドロキシ−ビス(ラクテト)チタン、i−プロピルトリイソステアロイルチタネート,i−プロピル−トリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート,テトラ−i−プロピル)−ビス(ジオクチルホスファイト)チタネート,テトラオクチル−ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート,i−プロピルトリオクタノイルチタネート,i−プロピルジメタクリル−i−ステアロイルチタネートが例示されるが、これらに限定されるわけではない。
また、アルミニウム系カップリング剤としては、アルミニウムブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセトアセトナート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが例示されるが、これらに限定されるわけではない。
本発明における(E)接着性付与剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。添加量は、(B)成分および(C)成分の総量の0.05〜30重量%であることが好ましい。また、接着性付与剤の種類あるいは添加量によっては、ヒドロシリル化反応を阻害するものがあるため、ヒドロシリル化反応に対する影響を考慮しなければならない。
<シリコーン系組成物>
(A)成分、(B)成分、(C)成分の配合量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計重量に対して、(A)成分が50〜1重量%、(B)成分が98〜1重量%、(C)成分が98〜1重量%の割合であることが好ましく、さらに(A)成分が45〜1重量%、(B)成分が95〜4重量%、(C)成分が95〜4重量%であることがより好ましい。(A)成分の割合が多いと、配合時に増粘したり組成物の透明性が低下したりする場合がある。また少ないと耐冷熱衝撃性が不十分になる場合がある。(B)成分の割合が多いと、十分な硬度の硬化物が得られなかったり、硬化物が着色したりする場合がある。また少ないと十分な硬度の硬化物が得られない場合がある。(C)成分の割合が多いと、十分な硬度の硬化物が得られなかったり、硬化の際に発泡し気泡が硬化物中に残留したりする場合がある。また少ないと十分な硬度の硬化物が得られない場合がある。
(A)成分、(B)成分、(C)成分の配合量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計重量に対して、(A)成分が50〜1重量%、(B)成分が98〜1重量%、(C)成分が98〜1重量%の割合であることが好ましく、さらに(A)成分が45〜1重量%、(B)成分が95〜4重量%、(C)成分が95〜4重量%であることがより好ましい。(A)成分の割合が多いと、配合時に増粘したり組成物の透明性が低下したりする場合がある。また少ないと耐冷熱衝撃性が不十分になる場合がある。(B)成分の割合が多いと、十分な硬度の硬化物が得られなかったり、硬化物が着色したりする場合がある。また少ないと十分な硬度の硬化物が得られない場合がある。(C)成分の割合が多いと、十分な硬度の硬化物が得られなかったり、硬化の際に発泡し気泡が硬化物中に残留したりする場合がある。また少ないと十分な硬度の硬化物が得られない場合がある。
シリコーン系組成物の粘度は、配合直後の粘度から次第に増加する場合があるが、この増加幅は、取り扱いのしやすさや品質安定の観点から、小さい方が好ましい。この粘度の増加幅の範囲は、25℃で24時間放置後の値が配合直後の値と比較して、20%以内が好ましく、10%以内がより好ましい。
本発明のシリコーン系組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは硬化過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもかまわない。
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ヘキシン−3−オール、3−エチル−1−ペンチン−3−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示されうる。
有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示されうる。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示されうる。
窒素含有化合物としては、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が挙げられる。
スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示されうる。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10-1〜104モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜103モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
本発明に用いるシリコーン系組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ増量剤として粉砕石英、炭酸カルシウム、カーボンなどの充填剤を添加してもよい。
本発明に用いるシリコーン系組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ増量剤として粉砕石英、炭酸カルシウム、カーボンなどの充填剤を添加してもよい。
また、本発明のシリコーン系組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。
この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。
また、本発明のシリコーン系組成物を難燃性、耐火性にするためには二酸化チタン、炭酸マンガン、Fe2O3、フェライト、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレークなどの公知の添加剤を添加してもよい。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
本発明に用いるシリコーン系組成物は、上記した成分を2本ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりすることにより得ることができる。
本発明のシリコーン系組成物は、成形体として使用することができる。成形としては、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、注型成形などの任意の成形加工法を例示することができる。
本発明のシリコーン系組成物は、光学材料として用いることができる。ここで言う光学材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。
本発明のシリコーン系組成物は、様々な用途に用いることができる。用途の具体例としては、液晶ディスプレイ分野では、基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルムなどの液晶用フィルムなどの液晶表示装置周辺材料が例示される。
また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止剤、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤が例示される。
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤が例示される。
光学機器分野では、カメラの撮影レンズ、レンズ用材料、ファインダー、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部が例示される。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤などが例示される。光センシング機器のレンズ用材料、封止剤、接着剤、フィルムなどが例示される。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止剤、接着剤などが例示される。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止剤、接着剤などが例示される。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LED素子の封止剤、接着剤などが例示される。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーが例示される。
半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料が例示される。
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品、自動車の窓ガラス中間膜が例示される。また、鉄道車輌用の複層ガラス中間膜が例示される。また、航空機用途においては、構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コート、窓ガラス中間膜が例示される。
建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料が例示される。農業用では、ハウス被覆用フィルムが例示される。
次世代の光・電子機能有機材料としては、次世代DVD、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
以下の実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(粘度測定)
コーンプレート型E型粘度計(東機産業株式会社製TVE−20H)にローター(1°34‘×R24)を取り付け、サンプルカップに循環式恒温水槽から23℃の水を循環させた状態で、回転数0.5rpmでの液状組成物の粘度を測定した。また測定に使用した液状組成物は、配合後、25℃、湿度55%で1時間開放系で放置後の試料と、25℃、湿度55%で24時間開放系で放置後の試料を測定した。
コーンプレート型E型粘度計(東機産業株式会社製TVE−20H)にローター(1°34‘×R24)を取り付け、サンプルカップに循環式恒温水槽から23℃の水を循環させた状態で、回転数0.5rpmでの液状組成物の粘度を測定した。また測定に使用した液状組成物は、配合後、25℃、湿度55%で1時間開放系で放置後の試料と、25℃、湿度55%で24時間開放系で放置後の試料を測定した。
(評価用硬化物作成)
株式会社エノモト製LEDパッケージ(品名:TOP LED 1−IN−1)に、0.4mm×0.4mm×0.2mmの単結晶シリコンチップ1個を、株式会社ヘンケルジャパン製エポキシ系接着剤(品名:LOCTITE348)で貼り付け、150℃で30分オーブンに入れて固定した。ここに得られた液状混合物を注入し、対流式オーブンで60℃×3時間、80℃×1時間、100℃×1時間、120℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させて試料を作成した。
株式会社エノモト製LEDパッケージ(品名:TOP LED 1−IN−1)に、0.4mm×0.4mm×0.2mmの単結晶シリコンチップ1個を、株式会社ヘンケルジャパン製エポキシ系接着剤(品名:LOCTITE348)で貼り付け、150℃で30分オーブンに入れて固定した。ここに得られた液状混合物を注入し、対流式オーブンで60℃×3時間、80℃×1時間、100℃×1時間、120℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させて試料を作成した。
(冷熱試験)
評価用硬化物を、熱衝撃試験機(エスペック製 TSA−71H−W)によって、高温保持100℃、5分間、低温保持−40℃、5分間のサイクルを100サイクル行った後、試料を観察した。試験後、目視で変化が無ければ○、クラックが入ったり、パッケージとの間に剥離が起きたりした場合は×とした。
評価用硬化物を、熱衝撃試験機(エスペック製 TSA−71H−W)によって、高温保持100℃、5分間、低温保持−40℃、5分間のサイクルを100サイクル行った後、試料を観察した。試験後、目視で変化が無ければ○、クラックが入ったり、パッケージとの間に剥離が起きたりした場合は×とした。
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに純水400重量部および10重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液12重量部(固形分)を混合したのち窒素雰囲気下で50℃に昇温した。その後アクリル酸ブチル(BA)10重量部、t−ドデシルメルカプタン3重量部、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.01重量部(固形分)を加えた。
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに純水400重量部および10重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液12重量部(固形分)を混合したのち窒素雰囲気下で50℃に昇温した。その後アクリル酸ブチル(BA)10重量部、t−ドデシルメルカプタン3重量部、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.01重量部(固形分)を加えた。
30分後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.18部、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA)0.019重量部、硫酸第一鉄0.019重量部を添加し、1時間攪拌した。BA90重量部、t−ドデシルメルカプタン27重量部、および、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.18重量部(固形分)の混合液を3時間かけて連続追加した。さらに1時間の後重合を行い、シードポリマー(体積平均粒径0.020μm)を含むラテックスを得た。
次に、撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、上述のシードポリマーを2.0重量部(固形分)、10重量%ドデシルベンゼンスルホン酸1.5重量部(固形分)および純水300重量部(シードポリマーを含むラテックスからの持ち込み分を含む)を仕込んだ後、10分間攪拌してから、窒素雰囲気下で系を80℃に昇温させた。これとは別に純水150重量部、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.5重量部(固形分)、オクタメチルシクロテトラシロキサン97重量部、トリメトキシメチルシラン3重量部からなる混合物をホモミキサーにて、8000rpmで5分間強制乳化した後に、この混合液を3.5時間かけて連続追加した。さらに2.5時間の後重合を行い、25℃に冷却して20時間放置して重合を終了し、(A−1)成分であるシリコーン粒子(体積平均粒径0.110μm)を含むラテックスを得た。
(実施例1)
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、合成例1で得られた(A−1)成分であるシリコーン粒子90重量部(固形分)、およびドデシルベンゼンスルホン酸を10重量%水溶液で0.45重量部(固形分)を仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温させた。
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、合成例1で得られた(A−1)成分であるシリコーン粒子90重量部(固形分)、およびドデシルベンゼンスルホン酸を10重量%水溶液で0.45重量部(固形分)を仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温させた。
これとは別に、純水40重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを15重量%水溶液で0.1重量部(固形分)、ジメトキシジメチルシラン7.30重量部((CH3)2SiO2/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して4.5重量部に相当)、エチルシリケート縮合物(多摩化学工業社製、商品名エチルシリケート40、SiO2含有量:39.0〜42.0重量%)11.16重量部(SiO2で表される構造単位の完全縮合物に換算して4.5重量部に相当)からなる混合物をホモミキサーにて5000rpmで5分間強制乳化した後に、20分間かけて滴下して加えた。この溶液を40℃に保ったまま5時間攪拌することで(A−2)成分を形成した。
次にこの溶液に、純水27重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを15重量%水溶液で0.03重量部(固形分)、メトキシトリメチルシラン6.42重量部((CH3)3SiO1/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して5.0重量部に相当)、ジメトキシジメチルシラン0.81重量部((CH3)2SiO2/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して0.5重量部に相当)、エチルシリケート縮合物(多摩化学工業社製、商品名エチルシリケート40、SiO2含有量:39.0〜42.0重量%)1.24重量部(SiO2で表される構造単位の完全縮合物に換算して0.5重量部に相当)からなる混合物をホモミキサーにて5000rpmで5分間強制乳化した後に、10分間かけて滴下して加えた。
この溶液を40℃に保ったまま4.5時間攪拌することで(A−3)成分を形成した。この系を25℃に冷却して20時間放置して重合を終了し、(A)成分であるシリコーン系重合体粒子(体積平均粒径0.112μm)を含むラテックスを得た。
(比較例1)
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、合成例1で得られた(A−1)成分であるシリコーン粒子90重量部(固形分)、およびドデシルベンゼンスルホン酸を10重量%水溶液で0.45重量部(固形分)を仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温させた。
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、合成例1で得られた(A−1)成分であるシリコーン粒子90重量部(固形分)、およびドデシルベンゼンスルホン酸を10重量%水溶液で0.45重量部(固形分)を仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温させた。
これとは別に、純水40重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを15重量%水溶液で0.1重量部(固形分)、ジメトキシジメチルシラン8.11重量部((CH3)2SiO2/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して5.0重量部に相当)、エチルシリケート縮合物(多摩化学工業社製、商品名エチルシリケート40、SiO2含有量:39.0〜42.0重量%)12.4重量部(SiO2で表される構造単位の完全縮合物に換算して5.0重量部に相当)からなる混合物をホモミキサーにて5000rpmで5分間強制乳化した後に、20分間かけて滴下して加えた。この溶液を40℃に保ったまま6時間攪拌することで(A−2)成分を形成した。その後、系を25℃に冷却して20時間放置して重合を終了し、シリコーン系重合体粒子(体積平均粒径0.110μm)を含むラテックスを得た。
(実施例2)
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、合成例1で得られた(A−1)成分であるシリコーン粒子90重量部(固形分)、およびドデシルベンゼンスルホン酸を10重量%水溶液で0.45重量部(固形分)を仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温させた。
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、合成例1で得られた(A−1)成分であるシリコーン粒子90重量部(固形分)、およびドデシルベンゼンスルホン酸を10重量%水溶液で0.45重量部(固形分)を仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温させた。
これとは別に、純水40重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを15重量%水溶液で0.1重量部(固形分)、ジメトキシジメチルシラン8.11重量部((CH3)2SiO2/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して5.0重量部に相当)、エチルシリケート縮合物(多摩化学工業社製、商品名エチルシリケート40、SiO2含有量:39.0〜42.0重量%)12.4重量部(SiO2で表される構造単位の完全縮合物に換算して5.0重量部に相当)からなる混合物をホモミキサーにて5000rpmで5分間強制乳化した後に、20分間かけて滴下して加えた。この溶液を40℃に保ったまま5時間攪拌することで(A−2)成分を形成した。
次にこの溶液に、純水27重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを15重量%水溶液で0.03重量部(固形分)、メトキシトリメチルシラン6.42重量部((CH3)3SiO1/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して5.0重量部に相当)からなる混合物をホモミキサーにて5000rpmで5分間強制乳化した後に、10分間かけて滴下して加えた。この溶液を40℃に保ったまま4.5時間攪拌した。この系を25℃に冷却して20時間放置して重合を終了し、シリコーン系重合体粒子(体積平均粒径0.110μm)を含むラテックスを得た。
(実施例3)
実施例1で得られた(A)成分を含むラテックス(樹脂固形分濃度16重量%)の樹脂固形分35重量部に対してメチルエチルケトン/メタノール=8/2 (vol/vol)から成る混合溶媒200重量部を加えて粒子を凝集させた後、遠心分離機で2000rpm、5分間遠心沈降させた。得られた沈殿をメチルエチルケトン/メタノール=5/5 (vol/vol)の混合溶媒200重量部に分散させて洗浄した後、遠心分離機で2000rpm、5分間遠心沈降させた。さらにメチルエチルケトン/メタノール=5/5 (vol/vol)の混合溶媒による洗浄を2回行った後、得られた沈殿35重量部にトルエン350重量部を加えて、(A)成分のトルエン溶液を得た。
実施例1で得られた(A)成分を含むラテックス(樹脂固形分濃度16重量%)の樹脂固形分35重量部に対してメチルエチルケトン/メタノール=8/2 (vol/vol)から成る混合溶媒200重量部を加えて粒子を凝集させた後、遠心分離機で2000rpm、5分間遠心沈降させた。得られた沈殿をメチルエチルケトン/メタノール=5/5 (vol/vol)の混合溶媒200重量部に分散させて洗浄した後、遠心分離機で2000rpm、5分間遠心沈降させた。さらにメチルエチルケトン/メタノール=5/5 (vol/vol)の混合溶媒による洗浄を2回行った後、得られた沈殿35重量部にトルエン350重量部を加えて、(A)成分のトルエン溶液を得た。
こうして得られた(A)成分であるシリコーン系重合体粒子の樹脂固形分35重量部に対して、(B)成分である三次元構造を有するビニル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQV−7、ビニル基含有量3.5モル/kg)を36.2重量部、(C)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−5、ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を57.9重量部と、同じく(C)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−8、ヒドロシリル基含有量7.5モル/kg)を5.9重量部配合し、この混合物をロータリーエバポレーターで濃縮してトルエンを留去した。
その後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部、ほう酸トリメチル1.0重量部、1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重量部、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)を0.0062重量部を加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い液状混合物を得た。
この液状混合物の粘度測定をし、さらに一部を所定時間加熱して硬化させることで、評価用硬化物を得た。各種評価結果を表2に示す。
(比較例2)
比較例1で得られたシリコーン系重合体粒子を含むラテックスを用いたこと以外は実施例3と同様の方法で液状混合物を得た。この液状混合物の粘度測定をし、さらに一部を所定時間加熱して硬化させることで、評価用硬化物を得た。各種評価結果を表2に示す。
比較例1で得られたシリコーン系重合体粒子を含むラテックスを用いたこと以外は実施例3と同様の方法で液状混合物を得た。この液状混合物の粘度測定をし、さらに一部を所定時間加熱して硬化させることで、評価用硬化物を得た。各種評価結果を表2に示す。
(実施例4)
実施例2で得られたシリコーン系重合体粒子を含むラテックスを用いたこと以外は実施例3と同様の方法で液状混合物を得た。この液状混合物の粘度測定をし、さらに一部を所定時間加熱して硬化させることで、評価用硬化物を得た。各種評価結果を表2に示す。
実施例2で得られたシリコーン系重合体粒子を含むラテックスを用いたこと以外は実施例3と同様の方法で液状混合物を得た。この液状混合物の粘度測定をし、さらに一部を所定時間加熱して硬化させることで、評価用硬化物を得た。各種評価結果を表2に示す。
表2に示されるように、実施例3と比較例2のシリコーン系組成物の粘度を比較すると、実施例3の(A)成分を配合した液状組成物は、初期の粘度が低く、さらに24時間室温放置後も粘度変化がほとんど無いことが分かる。このことから(A−3)成分が必要であることが分かる。
次に実施例3と実施例4のシリコーン系組成物の粘度を比較すると、初期の粘度は共に低いが、24時間室温放置後に実施例4の方が少し増粘した。このことから、(A−3)成分は(a)成分である1官能性アルコキシシラン化合物単独で効果があるが、2〜4官能性アルコキシシラン化合物との併用がさらに有効であることがわかる。また、1官能性アルコキシシラン化合物と2〜4官能性アルコキシシラン化合物の併用は、硬化物の冷熱試験においても良好な結果を示す。
Claims (8)
- シリコーン粒子(A−1)に、アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第1シェル成分(A−2)、さらにその後アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第2シェル成分(A−3)からなる、シリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有する、(A)シリコーン系重合体粒子。
- (A−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が、(a)成分を必須成分とし、(b)成分、(c)成分および(d)成分から選ばれる少なくとも1種類を反応させて得られる縮合物である請求項1に記載の(A)シリコーン系重合体粒子。
(a)成分:一般式(1)
(b)成分:一般式(2)
(c)成分:一般式(3)
(d)成分:一般式(4)
- (A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が、(b)成分、(c)成分および(d)成分から選ばれる少なくとも1種類を反応させて得られる縮合物である請求項1または2のいずれかに記載の(A)シリコーン系重合体粒子。
(b)成分:一般式(2)
(c)成分:一般式(3)
(d)成分:一般式(4)
- (A−1)成分であるシリコーン粒子40〜98重量%に対して、(A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が1〜40重量%、(A−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が1〜30重量%被覆した重合体(ただし、(A−1)成分と(A−2)成分と(A−3)成分を合わせて100重量%)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の(A)シリコーン系重合体粒子。
- (A)請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリコーン系重合体粒子、
(B)一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン、
(C)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および
(D)ヒドロシリル化触媒、
を含有するシリコーン系組成物。 - さらに、(E)接着性付与剤を含有することを特徴とする、請求項5に記載のシリコーン系組成物。
- (A)成分をマスターバッチ法により組成物中に均一に分散させたことを特徴とする、請求項5または6のいずれかに記載のシリコーン系組成物。
- 請求項5〜7のいずれか1項に記載のシリコーン系組成物を硬化してなる硬化物。
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