JP6983648B2 - 構造物の固有周期推定方法、構造物の耐震性判定方法、構造物の固有周期推定システム及び構造物の耐震性判定システム - Google Patents
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本適用例に係る構造物の固有周期推定方法は、
地震動を受ける構造物の高さ方向における複数の位置に設置された加速度センサで取得した加速度データから部分空間法を用いて一次固有周期、固有ベクトル及び特性行列を算出し、
前記固有ベクトル及び前記特性行列を用いて刺激係数を算出し、
前記刺激係数のうち最も大きい値を全ての刺激係数の和で割った判定値を求め、
前記判定値が1に近い値をとる場合には、前記地震動を受けた後の前記構造物の前記一次固有周期を地震応答解析モデルを作成するための固有周期とすることを特徴とする。
上記適用例に係る構造物の固有周期推定方法において、
前記刺激係数は、下記式(1)で得られ、
前記判定値は、下記式(2)で求められることができる。
本適用例に係る構造物の耐震性判定方法は、
上記適用例の構造物の固有周期推定方法で選択された前記一次固有周期に対応する地震応答解析モデルを作成し、
前記地震応答解析モデルに予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、
前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定することを特徴とする。
傷を考慮した耐震性を判定することができる。
上記適用例に係る構造物の耐震性判定方法において、
前記地震応答解析モデルの作成は、
前記一次固有周期に対応するように前記構造物の一番上の階から前記複数の位置への地震波の伝播時間を求めると共に、前記伝播時間に基づいて、前記構造物の一番上の階から前記構造物の各階への地震波の伝播時間である各階伝播時間を求め、
前記各階伝播時間から前記一番上の階に対する各階の応答を求めることで行うことができる。
本適用例に係る構造物の固有周期推定システムは、
地震動を受ける構造物の高さ方向における複数の位置に設置された加速度センサから取得した加速度データに基づいて演算を行う演算部を含み、
前記演算部は、
前記加速度データから部分空間法を用いて一次固有周期、固有ベクトル及び特性行列を算出し、
前記固有ベクトル及び前記特性行列を用いて刺激係数を算出し、
前記刺激係数のうち最も大きい値を全ての刺激係数の和で割った判定値を求め、
前記判定値が1に近い値をとる場合には、前記地震動を受けた後の前記一次固有周期を地震応答解析モデルを作成するための固有周期とすることを特徴とする。
上記適用例に係る構造物の固有周期推定システムにおいて、
前記刺激係数は、下記式(1)で得られ、
前記判定値は、下記式(2)で求められることができる。
本適用例に係る構造物の耐震性判定システムは、
前記構造物の固有周期推定システムを含み、
前記演算部は、
前記刺激係数を用いて前記一次固有周期を選択すると判定された場合に、前記一次固有周期に対応する地震応答解析モデルを作成し、
前記地震応答解析モデルに予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、
前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定することを特徴とする。
上記適用例に係る構造物の耐震性判定システムにおいて、
前記演算部は、
前記一次固有周期に対応するように前記構造物の一番上の階から前記複数の位置への地震波の伝播時間を求めると共に、前記伝播時間に基づいて、前記構造物の一番上の階から前記構造物の各階への地震波の伝播時間である各階伝播時間を求め、
前記各階伝播時間から前記一番上の階に対する各階の応答を求めることで前記地震応答解析モデルの作成することができる。
ステム及びこれにより推定された固有周期を用いた構造物の耐震性判定システムを提供することができる。
ける複数の位置に設置された加速度センサで取得した加速度データから部分空間法を用いて一次固有周期、固有ベクトル及び特性行列を算出し、前記固有ベクトル及び前記特性行列を用いて刺激係数を算出し、前記刺激係数のうち最も大きい値を全ての刺激係数の和で割った判定値を求め、前記判定値が1に近い値をとる場合には、前記地震動を受けた後の前記構造物の前記一次固有周期を地震応答解析モデルを作成するための固有周期とすることを特徴とする。
デルに予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定することを特徴とする。
図1〜図3を用いて、構造物10の耐震性判定システム20の概要について説明する。図1は本実施形態に係る構造物10の耐震性判定システム20の概要を示す図であり、図2は加速度センサから得られる加速度データの一例を示すグラフであり、図3は本実施形態に係る構造物10の耐震性判定システム20の構成を示すブロック図である。なお、以下、構造物10の耐震性判定システム20は、単に「システム20」という。
加速度センサ22は、地震動を受ける構造物10の高さ方向における複数の位置に設けられ、例えば、構造物10の複数の階に設置される。各階の地震時の変位を求めるためには全ての階に加速度センサ22が設けられることが望ましいが、構造物10における設置スペースや設置コストとの関係で加速度センサ22が設置されない階が存在してもよい。例えば、図1では屋上階(RF)から3階下の階(RF−3F)には加速度センサ22が設置されていない状態を示す。
モニタリングサーバ24は、構造物10に設置された複数の加速度センサ22と接続されており、加速度センサ22からの電気信号を受信することができる。モニタリングサーバ24は、図示しないCPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM等のメモリやハード
ディスク装置等の記憶装置、外部装置との通信を行う通信インターフェース等を備える。図3に示すように、モニタリングサーバ24は、少なくとも演算部26と記憶部28とを含む。演算部26はCPUやRAM等から構成することができ、記憶部28はハードディスク装置等の記憶装置から構成することができる。
図1〜図7を用いて、構造物10の耐震性判定方法について説明する。図4は、本実施形態に係る構造物10の耐震性判定方法(以下「耐震性判定方法」という)のフローチャートであり、図5は一次固有周期の推定方法のフローチャートであり、図6は本実施形態に係る構造物の耐震性判定システムで得られる地震応答解析モデルの一例を示す図であり、図7は地震応答解析モデルにおける各階伝播時間の線形補間を説明する概念図である。
部分空間法は、地震応答解析に用いられる公知のアルゴリズムを用いることができ、例えばN4SID(Numerical algorithms for Subspace State Space System IDentification)法、Ordinary MOESP(Multivariable Output−Error State sPace)法、PO−MOESP(Past Output Multivariable Output−Error State sPace)法などを用いることができる。
、建物に設定地震条件が入力された際の一番上の階から数えてf番目の階の周波数領域における応答Yf(ω)は、下記式(6)のようになる。これが本発明における地震応答解析モデル80である。ここでの設定地震条件には、後述のL1地震動を用いることができる。また、減衰定数(h)は、一般的な建物で0.02〜0.05であるが、構造物10の健全性を判定するために、例えば0.01に設定することができる。
演算部26は、上記式(7)で得られた層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで構造物10の耐震性を判定する。予め設定した許容値は、各階ごとに設定することができる。
上記一次固有周期の推定方法について、振動台上に設置した高さ3mの3階建て建物の模型(試験体)を用いて実験を行った。各階及び屋上階に戸田建設社製ユレかんち(加速度センサを含むビルメディカルシステム。戸田建設社の登録商標)を設置した。各階の水平方向の実際の変位は、レーザー変位計で測定した。加振条件は、平成7年(1995年)兵庫県南部地震のJMA神戸加振と、東北地方太平洋沖地震加振(最大振幅周辺の時間帯)と、を用いた。
振動台上に設置した高さ20mの18階の建物の模型(試験体)を用いて振動台の水平振動を繰り返す実験を行ったデータを用いて、上記一次固有周期の推定方法の検証を行った。試験体は33回目の振動試験で倒壊した。図9は、試験体の固有周波数を縦軸に、振動試験の回数を横軸に、図5のS230で求めたwを右側のカラーバーに表した。ここで
はカラーバーに対応する各点の色は判別できないが、図9の符号90で示した点の色はwの値が0.16以下であり、異常値である。したがって、図5のS240で0.6未満のもの(符号92で示した点)を排除することで、図9に示す通り適正な固有周期(固有周波数の逆数)が得られた。
Claims (8)
- 地震動を受ける構造物の高さ方向における複数の位置に設置された加速度センサで取得した加速度データから部分空間法を用いて一次固有周期、固有ベクトル及び特性行列を算出し、
前記固有ベクトル及び前記特性行列を用いて刺激係数を算出し、
前記刺激係数のうち最も大きい値を全ての刺激係数の和で割った判定値を求め、
前記判定値が1に近い値をとる場合には、前記地震動を受けた後の前記構造物の前記一次固有周期を地震応答解析モデルを作成するための固有周期とすることを特徴とする、構造物の固有周期推定方法。 - 請求項1または請求項2の構造物の固有周期推定方法で選択された前記一次固有周期に対応する地震応答解析モデルを作成し、
前記地震応答解析モデルに予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、
前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定することを特徴とする、構造物の耐震性判定方法。 - 請求項3において、
前記地震応答解析モデルの作成は、
前記一次固有周期に対応するように前記構造物の一番上の階から前記複数の位置への地震波の伝播時間を求めると共に、前記伝播時間に基づいて、前記構造物の一番上の階から前記構造物の各階への地震波の伝播時間である各階伝播時間を求め、
前記各階伝播時間から前記一番上の階に対する各階の応答を求めることで行うことを特徴とする、構造物の耐震性判定方法。 - 地震動を受ける構造物の高さ方向における複数の位置に設置された加速度センサから取得した加速度データに基づいて演算を行う演算部を含み、
前記演算部は、
前記加速度データから部分空間法を用いて一次固有周期、固有ベクトル及び特性行列を算出し、
前記固有ベクトル及び前記特性行列を用いて刺激係数を算出し、
前記刺激係数のうち最も大きい値を全ての刺激係数の和で割った判定値を求め、
前記判定値が1に近い値をとる場合には、前記地震動を受けた後の前記一次固有周期を地震応答解析モデルを作成するための固有周期とすることを特徴とする、構造物の固有周期推定システム。 - 請求項5または請求項6の構造物の固有周期推定システムを含み、
前記演算部は、
前記刺激係数を用いて前記一次固有周期を選択すると判定された場合に、前記一次固有周期に対応する地震応答解析モデルを作成し、
前記地震応答解析モデルに予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、
前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定することを特徴とする、構造物の耐震性判定システム。 - 請求項7において、
前記演算部は、
前記一次固有周期に対応するように前記構造物の一番上の階から前記複数の位置への地震波の伝播時間を求めると共に、前記伝播時間に基づいて、前記構造物の一番上の階から前記構造物の各階への地震波の伝播時間である各階伝播時間を求め、
前記各階伝播時間から前記一番上の階に対する各階の応答を求めることで前記地震応答解析モデルの作成することを特徴とする、構造物の耐震性判定システム。
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