JP6475930B2 - 総合監視装置、総合監視プログラム - Google Patents
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Description
そして、これらの計測手段で計測されたデータは、現場から離れたデータ監視室等に送られ、データ解析コンピュータ等によって収集される。データ解析コンピュータはこの建物の層間変形を算出し、設定値と比較することにより、建物の損傷の有無を判定し、地震発生後の健全性評価や安全性の確認等に使用している(例えば、特許文献1参照)。
以下、図を用いて本発明の第1の実施形態の建物安全性検証システムの説明を行う。図1は、本発明の第1の実施形態による建物安全性検証システムの構成例と、評価対象の建物に設けた加速度センサ及び微振動センサとが接続された構成を表す概念図である。
図1において、建物安全性検証システム1は、インターネットなどからなる情報通信網を介して、建物100に設けられている加速度センサS0からSn(0は基礎、1からnまでは建物の階数)の各々から地震の振動データとして加速度データが供給される。加速度センサS0は、建物の基礎部分における加速度を計測するために設けられており、耐震評価の対象の建物の最下層部分(例えば、地下が無い場合、1階1001の下の地盤上に設けられた基礎)に印加される地動加速度を計測し、加速度データとして情報通信網を介して建物安全性検証システム1に対して出力する。
層間変位計測部11は、例えば、加速度センサS0から加速度センサS6の各々から供給される加速度データを2回積分して、基礎1000、1階1001からn階100nまでの加速度方向の変位を求め、隣接する階同士の変位の差分を算出し、建物100のそれぞれの階の層間変位δを求める。このとき、層間変位計測部11は、各加速度センサから供給される地震における加速度データから、各階毎に最大加速度を抽出して、この最大加速度を2回積分して距離を求め、この距離を各階毎の変位とする。また、層間変位計測部11は、得られた各階の層間変位δの各々を、それぞれの階の高さで除算し、各階の層間変形角Δ(ラジアン)を算出する。なお、加速度データから変位を求める方法は、本実施形態に記載されているもの以外の他の方法を用いても良い。
図2は、建物の固有周期の変化を示す図である。図2において、縦軸は固有周期を示しており、横軸は時間を示している。固有周期は、建物の剛性に対応するものであり、剛性が低い場合に長くなり、剛性が高い場合に短くなる。すなわち、図2に示すように、地震による強い地震により応力が与えられることにより、建物の構造躯体の部材(建物の主要な構造体や骨組みなど)あるいは非構造躯体の部材(雑壁、天井など)に損傷が発生し、建物の剛性が低下し、固有振動数が低くなる。本実施形態においては、層間変形角Δ及び固有周期Tは絶対値にて示される。
また、上述した微振動センサSBの他に、建物の最下層に他の微振動センサを設け、固有周期計測部12がこの他の微振動センサの微少振動データに基づいて、微振動センサSBの出力する微少振動データに重畳しているノイズ成分を除去し、より正確な固有周波数を求める構成としても良い。
また、固有周期の初期値に対して経時変化のマージンを加えて、固有周期の初期値の代わりに固有周期閾値を生成し、この固有周期閾値と固有周期Tとを比較するようにしても良い。ここで、固有周期の初期値<固有周期閾値である。この固有周期の初期値または固有周期閾値と、設計層間変位角とは、予め建物安全性評価部13内の記憶部に記憶されており、建物安全性評価部13が判定を行う際、自身内部の上記記憶部から読み出して用いる。
層間変形角Δが設計層間変形角を超えており、かつ固有周期閾値に比較して固有周期が長くなり剛性が低下していると判断される場合には、建物の損傷の程度は以下に示すように推定される。建物の状況は、構造躯体の損傷は想定以上であり、建物の損傷の大きさが想定以上であると推定される。これにより、判定結果は、「建物の損傷の早急な調査が必要である」とされている。
層間変形角Δが設計層間変形角を超えており、一方、固有周期閾値に比較して固有周期Tに変化がなく剛性が維持されていると判断される場合には、建物の損傷の程度は以下に示すように推定される。固有周期Tの変化がないため、建物の構造躯体が設計における設計層間変形角より高い層間変形角として実際に建造されたとして、設計層間変形角を超えても損傷は想定以下と推定することができる。これにより、判定結果は、「継続使用可能であるが、注意して利用する必要がある」とされている。
層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、一方、固有周期閾値に比較して固有周期Tが長くなり剛性が低下していると判断される場合には、建物の損傷の程度は以下に示すように推定される。固有周期Tが長くなっているが、層間変形角Δが設計層間変形以下であるため、構造躯体ではなく建物の非構造躯体が損傷を受けており、構造躯体の損傷は想定以下と推定することができる。これにより、判定結果は、「継続使用可能であるが、注意して利用する必要がある」とされている。
層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、かつ固有周期閾値に比較して固有周期Tに変化がなく剛性が維持されていると判断される場合には、建物の損傷の程度は以下に示すように推定される。層間変形角Δが設計層間変形以下であり、かつ固有周期Tに変化がなく剛性が維持されているため、建物の構造躯体及び建物の非構造躯体のいずれも損傷を受けおらず、構造躯体の損傷は想定以下と推定することができる。これにより、判定結果は、「継続使用可能」とされている。
図4のように、1階1001が「継続使用可能」と判定され、2階1002が「継続使用可能だが、注意して利用する必要がある」と判定され、2階1003が「早急な調査が必要」と判定され、4階1004が「継続使用可能だが、注意して利用する必要がある」と判定されている。
層間変位計測部11は、供給されるセンサS0が計測した加速度データから加速度を抽出する。そして、層間変位計測部11は、この抽出した加速度を2回積分し、基礎部分の変位を算出する。
層間変位計測部11は、建物100のk階100k(1≦k≦n)に配置されたセンサSkから供給される、それぞれの加速度センサSkに計測した加速度から、加速度センサS0の加速度を抽出する。そして、層間変位計測部11は、この抽出した加速度を2回積分し、各階の変位を算出し、それぞれ隣接する階の変位の差分を算出し、各階の層間変位δを算出する。ここで、建物100の1階1001の層間変位δは、1階1001の変位から基礎1000の変位を減算して求められる。
層間変位計測部11は、算出したk階100kの層間変位δの各々を、k階100kの高さでそれぞれ除算し、k階100kの層間変形角Δを算出する。
固有周期計測部12は、屋上100Rに配置された微振動センサSBから、地震発生後に供給される微振動データに対し、信号処理を行う。すなわち、固有周期計測部12は、微振動データのフーリエ解析を行い、最も高いパワースペクトルを有する周波数を抽出し、この周波数を固有周波数とする。そして、固有周期計測部12は、抽出した固有周波数の周期を求め、この周期を固有周期Tとする。
建物安全性評価部13は、建物100における1階1001からn階100nまでの全ての階における損傷程度の判定が行われたか否かの判定を行う。
このとき、建物安全性評価部13は、建物100における全ての階に対する判定が終了した場合、処理を終了し、建物100における全ての階に対する判定が終了していない場合、処理をステップS4へ進める。
建物安全性評価部13は、建物100の判定の終了していない階の層間変形角Δを層間変位計測部11から読み込み、この読み込んだ判定対象のk階100kの層間変形角Δと設計層間変形角との比較を行い、層間変形角Δが設計層間変形角を超えているかを判定する(第1の判定結果を求める)。このとき、建物安全性評価部13は、層間変形角Δが設計層間変形角を超えている場合、処理をステップS7へ進め、一方層間変形角Δが設計層間変形角を超えていない場合、処理をステップS6へ進める。
建物安全性評価部13は、固有周期計測部12から供給される固有周期Tと固有周期閾値とを比較し、固有周期Tが固有周期閾値以下であるか否かの判定を行う(第2の判定結果を求める)。このとき、建物安全性評価部13は、固有周期Tが固有周期閾値を超える場合、処理をステップS9へ進め、一方、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、処理をステップS10へ進める。ここで、説明においては、建物100の固有周期の初期値ではなく、この固有周期の初期値に対してマージンを持たせた固有周期閾値を用いている。
建物安全性評価部13は、固有周期計測部12から供給される固有周期Tと固有周期閾値とを比較し、固有周期Tが固有周期閾値以下であるか否かの判定を行う(第2の判定結果を求める)。このとき、建物安全性評価部13は、固有周期Tが固有周期閾値を超える場合、処理をステップS11へ進め、一方、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、処理をステップS12へ進める。
建物安全性評価部13は、データベース14の判定テーブルを参照し、層間変形角Δが設計層間変形角を超え、かつ固有周期Tが固有周期閾値を超えている場合、パラメータパターンが状態Aであることを検出する。
次に、建物安全性評価部13は、パラメータパターンが状態Aの判定である「早急な調査が必要である(A)」を、データベース14の判定結果テーブルにおける対応する評価対象のk階100kの判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS5へ進める。
建物安全性評価部13は、データベース14の判定テーブルを参照し、層間変形角Δが設計層間変形角を超え、一方、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、パラメータパターンが状態Bであることを検出する。
次に、建物安全性評価部13は、パラメータパターンが状態Bの判定である「継続使用可能だが、注意して利用する必要がある(B)」を、データベース14の判定結果テーブルにおける対応するk階100kの判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS5へ進める。
建物安全性評価部13は、データベース14の判定テーブルを参照し、層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、一方、固有周期Tが固有周期閾値以下でない場合、パラメータパターンが状態Cであることを検出する。
次に、建物安全性評価部13は、パラメータパターンが状態Cの判定である「継続使用可能だが、注意して利用する必要がある(C)」を、データベース14の判定結果テーブルにおける対応するk階100kの判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS5へ進める。
建物安全性評価部13は、データベース14の判定テーブルを参照し、層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、かつ固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、パラメータパターンが状態Dであることを検出する。
次に、建物安全性評価部13は、パラメータパターンが状態Dの判定である「継続使用可能(D)」を、データベース14の判定結果テーブルにおける対応するk階100kの判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS5へ進める。
また、本実施形態においては、建物100の全層に加速度センサを設けたが、例えば1階おきなど、複数階(複数層)のいくつかの層に加速度センサを設け、加速度センサを設けた階の損傷を判定するようにしても良い。
以下、図を用いて本発明の第2の実施形態の建物安全性検証システムの説明を行う。図6は、本発明の第2の実施形態による建物安全性検証システムの構成例と、評価対象の建物に設けた加速度センサ、微振動センサ及び傾斜角センサとが接続された構成を表す概念図である。
図6において、建物安全性検証システム2は、インターネットなどからなる情報通信網Iを介して、第1の実施形態と同様に、建物100に設けられている加速度センサS0からSn(0は基礎、1からnまでは建物の階数)の各々から地震の振動データとして加速度データが供給される。加速度センサS0、加速度センサS1からSnについては配置箇所が第1の実施形態と同様である。また、第2の実施形態においては、建物100の屋上100Rには、微振動センサSBに加え、傾斜角センサSJが配置されている。この傾斜角センサSJは、微振動センサSBと同様に、屋上100Rでなくとも、屋上100R近傍の最上階の上部(例えば、n階建てであればn階の天井など)に配置しても良い。
傾斜角計測部25は、建物100の屋上100Rに配置された傾斜角センサSJから供給される傾斜データによって、地平に対して垂直方向の軸に対する建物100の傾斜角θを算出する。本実施形態においては、層間変形角Δ、固有周期T及び傾斜角θは絶対値にて示される。
また、固有周期の初期値に対して経時変化のマージンを加えて、固有周期の初期値の代わりに、この固有周期の初期値に対してマージンを加えて固有周期閾値を生成し、この固有周期閾値と固有周期Tとを比較するようにしても良い。ここで、固有周期の初期値<固有周期閾値である。
・パターンP2 層間変形角Δが設計層間変形角を超えており、固有周期Tが固有周期閾値以下であり、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であるパターン
・パターンP3 層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、固有周期Tが固有周期閾値を超えており、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であるパターン
・パターンP4 層間変形角Δが設計層間変形角を超えており、固有周期Tが固有周期閾値を超えており、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であるパターン
・パターンP5 層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、固有周期Tが固有周期閾値以下であり、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えているパターン
・パターンP6 層間変形角Δが設計層間変形角を超えており、固有周期Tが固有周期閾値以下であり、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えているパターン
・パターンP7 層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、固有周期Tが固有周期閾値を超えており、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えているパターン
・パターンP8 層間変形角Δが設計層間変形角を超えており、固有周期Tが固有周期閾値を超えており、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えているパターン
判定結果:継続使用可能。
判定理由:パターンP1については、層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、固有周期Tが固有周期閾値以下であり、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であるため、建物100に対する損傷がないと判定される。また、パターンP2については、層間変形角Δが設計層間変形角を超えているが、固有周期Tが固有周期閾値以下であり、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であるため、建物100に対する損傷がないと判定される。ここで、層間変形角Δが設計層間変形角を超えているのに、固有周期Tが固有周期閾値以下であり、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であることから、建物100の実際の耐震性能が設計時より高く建設されているためと推定される。
判定結果:応急復旧時には使用可能と判断できるが、通常時に使用できるかどうかは調査が必要。
判定理由:固有周期Tが固有周期閾値以下であり、建物100の傾斜角θが傾斜角の閾値を超えている場合、建物100の立っている地盤が損傷していると推定される。
判定結果:非構造部材が損傷している可能性があり、応急復旧時に使用するとしても調査が必要。
判定理由:固有周期Tが固有周期閾値を超えており、建物100の傾斜角θが傾斜角の閾値を超えており、層間変形角Δが設計層間変形角以下である場合、建物100の非構造部材及び建物100の立っている地盤が損傷していると推定される。
判定結果:非構造部材が損傷している可能性があり、応急復旧時に使用するとしても調査が必要であるが、通常時の使用に関しては非構造部材を補修すれば継続使用可能。
判定理由:建物100の傾斜角θが傾斜角の閾値以下であるが、固有周期Tが固有周期閾値を超えているため、建物100の構造躯体に損傷が無く、非構造躯体に損傷の可能性があると推定される。
判定結果:継続使用不可。
判定理由:建物100の傾斜角θが傾斜角の閾値を超え、かつ固有周期Tが固有周期閾値を超え、かつ層間変形角Δが設計層間変形角を超えているため、建物100の構造躯体、非構造躯体及び地盤に損傷の可能性があると推定される。
層間変位計測部11は、供給されるセンサS0が計測した加速度データから加速度を抽出する。そして、層間変位計測部11は、この抽出した加速度を2回積分し、基礎部分の変位を算出する。
層間変位計測部11は、建物100のk階100k(1≦k≦n)に配置されたセンサSkから供給される、それぞれの加速度センサSkに計測した加速度から、加速度センサS0の加速度を抽出する。そして、層間変位計測部11は、この抽出した加速度を2回積分し、各階の変位を算出し、それぞれ隣接する階の変位の差分を算出し、各階の層間変位δを算出する。ここで、建物100の1階1001の層間変位δは、1階1001の変位から基礎1000の変位を減算して求められる。
なお、全体曲げ変形やロッキングが支配的な建物などに対しては、層間変位を算出する際に、傾斜角θの計測データを用いることでせん断変形成分をより精緻に算出する。
層間変位計測部11は、算出したk階100kの層間変位δの各々を、k階100kの高さでそれぞれ除算し、k階100kの層間変形角Δを算出する。なお、加速度データから変位を求める方法は、本実施形態に記載されているもの以外の他の方法を用いても良い。
固有周期計測部12は、屋上100Rに配置された微振動センサSBから、地震発生後に供給される微振動データに対し、信号処理を行う。すなわち、固有周期計測部12は、微振動データのフーリエ解析を行い、最も高いパワースペクトルを有する周波数を抽出し、この周波数を固有周波数とする。そして、固有周期計測部12は、抽出した固有周波数の周期を求め、この周期を固有周期Tとする。
傾斜角計測部25は、建物100の屋上100Rに配置されている傾斜角センサSJから供給される傾斜角データにより、建物100の傾斜角θを求める。
建物安全性評価部23は、建物100における1階1001からn階100nまでの全ての階における損傷程度の判定が行われたか否かの判定を行う。
このとき、建物安全性評価部23は、建物100における全ての階に対する判定が終了した場合、処理を終了し、建物100における全ての階に対する判定が終了していない場合、処理をステップS27へ進める。
建物安全性評価部23は、傾斜角計測部25から供給される傾斜角θと建物100の傾斜角の初期値との比較を行い、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えているか否かを判定する(第3の判定結果を求める)。このとき、建物安全性評価部23は、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えていない場合、処理をステップS28へ進め、一方、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えている場合、処理をステップS29へ進める。
建物安全性評価部23は、固有周期計測部12から供給される固有周期Tと固有周期閾値とを比較し、固有周期Tが固有周期閾値以下であるか否かの判定を行う(第2の判定結果を求める)。このとき、建物安全性評価部23は、固有周期Tが固有周期閾値を超える場合、処理をステップS32へ進め、一方、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、処理をステップS31へ進める。ここで、説明においては、建物100の固有周期の初期値ではなく、この固有周期の初期値に対してマージンを持たせた固有周期閾値を用いている。
建物安全性評価部23は、固有周期計測部12から供給される固有周期Tと固有周期閾値とを比較し、固有周期Tが固有周期閾値以下であるか否かの判定を行う。このとき、建物安全性評価部23は、固有周期Tが固有周期閾値を超える場合、処理をステップS30へ進め、一方、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、処理をステップS33へ進める。
建物安全性評価部23は、建物100の判定の終了していない階の層間変形角Δを層間変位計測部11から読み込み、この読み込んだ判定対象のk階100kの層間変形角Δと設計層間変形角との比較を行い、層間変形角Δが設計層間変形角を超えているかを判定する(第1の判定結果を求める)。このとき、建物安全性評価部23は、層間変形角Δが設計層間変形角を超えている場合、処理をステップS35へ進め、一方層間変形角Δが設計層間変形角を超えていない場合、処理をステップS34へ進める。
建物安全性評価部23は、データベース24の判定テーブルを参照し、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であり、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、パラメータパターンが状態Dであることを検出する。
次に、建物安全性評価部23は、パラメータパターンが状態Dの判定である「継続使用可能(D)」を、データベース24の判定結果テーブルにおける対応するk階100kの判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS26へ進める。
建物安全性評価部23は、データベース24の判定テーブルを参照し、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であり、固有周期Tが固有周期閾値を超えている場合、パラメータパターンが状態Gであることを検出する。
次に、建物安全性評価部23は、パラメータパターンが状態Gの判定である「非構造部材が損傷している可能性があり、応急復旧時に使用するとしても調査が必要であるが、通常時の使用に関しては非構造部材を補修すれば継続使用可能(G)」を、データベース24の判定結果テーブルにおける対応するk階100kの判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS26へ進める。
建物安全性評価部23は、データベース24の判定テーブルを参照し、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えており、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、パラメータパターンが状態Eであることを検出する。
次に、建物安全性評価部23は、パラメータパターンが状態Eの判定である「応急復旧時には使用可能と判断できるが、通常時に使用できるかどうかは調査が必要(E)」を、データベース24の判定結果テーブルにおける対応するk階100kの判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS26へ進める。
建物安全性評価部23は、データベース24の判定テーブルを参照し、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えており、固有周期Tが固有周期閾値を超えており、層間変形角Δが設計層間変形角以下である場合、パラメータパターンが状態Fであることを検出する。
次に、建物安全性評価部23は、パラメータパターンが状態Fの判定である「非構造部材が損傷している可能性があり、応急復旧時に使用するとしても調査が必要(F)」を、データベース24の判定結果テーブルにおける対応するk階100kの判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS26へ進める。
建物安全性評価部23は、データベース24の判定テーブルを参照し、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えており、固有周期Tが固有周期閾値を超えており、層間変形角Δが設計層間変形角を超えている場合、パラメータパターンが状態Hであることを検出する。
次に、建物安全性評価部23は、パラメータパターンが状態Hの判定である「継続使用不可(H)」を、データベース24の判定結果テーブルにおける対応するk階100kの判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS26へ進める。
以下、図を用いて本発明の第3の実施形態による複数の建物安全性検証システムを監視する総合監視装置について説明する。図9は、本発明の第3の実施形態による複数の建物安全性検証システムを監視する総合監視装置の構成の一例を模式的に示す図である。
図9において、総合監視装置500は、インターネットなどからなる情報通信網Iを介して、建物安全性検証システム1A〜1Cから送信される計測データを取得する。そして、総合監視装置500は、取得した計測データに基づいて派遣優先度を決定し、決定した派遣優先度を示す情報をオペレータOPa、OPbの使用するオペレータ端末Ta、Tbに送信する。以下、いずれの建物安全性検証システムであるかを区別しない場合、単に「建物安全性検証システム1」と称する。また、いずれのオペレータであるかを区別しない場合、単に「オペレータOP」と称する。なお、本実施形態において、監視対象の構造物である建物の数や建物安全性検証システムの数、オペレータの数、オペレータ端末の数等に、特段の制約は存在しない。また、総合監視装置500は、第2実施形態における建物安全性検証システム2から送信される計測データに基づいて派遣優先度を決定してもよい。
決定部516は、緊急地震速報サーバSemgから送信された緊急地震速報によって示される震度の情報や、建物安全性検証システム1によって計測された震度の情報を、対応情報生成部514が生成した対応情報に適用することで建物の損傷度を算出する。決定部516は、例えば、算出した損傷度と、予め設定された閾値(一例として閾値Th1およびTh2)とを比較することで、建物の危険度を複数段階(一例として3段階)で算出する。
決定部516は、取得した震度の情報を、図11に例示した関係を規定する対応情報Aに当てはめることで、対応する建物の損傷度(最大層間変形角Δmax)を抽出し、抽出した建物の損傷度(最大層間変形角Δmax)を、実際の建物の損傷度(最大層間変形角Δmax)と推定する。対応情報Aを含む各種対応情報は、例えば、マップ、或いは関数といった形式で記憶部520に記憶されている。
そして、決定部516は、推定した建物の損傷度(最大層間変形角Δmax)が閾値Th1以下の建物を、危険度が最も低いことを示す危険度IIIと判定し、推定した建物の損傷度(最大層間変形角Δmax)が閾値Th1を越え、且つ閾値Th2以下の損傷度の建物を危険度IIと判定し、推定した建物の損傷度(最大層間変形角Δmax)が閾値Th2を越える損傷度の建物を危険度が最も高いことを示す危険度Iと判定する。
閾値Th1は、例えば、層間変形角Δが限界層間変形角を越えるか否かを判定する値として設定される。損傷度が、閾値Th1以下の場合(危険度IIIに該当)、前述したパラメータパターンCおよびDに該当し、閾値Th1を越えた場合、前述したパラメータパターンAおよびBに該当する。閾値Th2は、例えば、損傷度が閾値Th1を越え、且つ固有周期閾値に比較して固有周期が長いか否かを判定する値として設定される。損傷度が、閾値Th2以下の場合、前述したパラメータパターンB、CおよびDに該当し、閾値Th2を越えた場合(危険度Iに該当)、前述したパラメータパターンAに該当する。なお、これら閾値Th1およびTh2は、政府や団体等が定めた建物の被害認定の基準に基づいて設定されてもよい。また、図11において、「計測された震度」を一例として示したが、建物の揺れの大きさを示す他の指標を用いてもよい。例えば、「計測された震度」に代えて、建物の1階または基礎の部分で検出した水平方向の加速度や速度、変位量等を用いてもよい。
図14に示すように、決定部516は、例えば、閾値Th3以下の重み付け値の建物を重要度IIIと判定し、閾値Th3を越え、且つ閾値Th4以下の重み付け値の建物を重要度IIと判定し、閾値Th4を越える重み付け値の建物を重要度Iと判定する。
なお、連携度を図る際の他の建物は、センサが取り付けられた建物であってもよいし、それ以外の建物であってもよい。また、この対応情報において、例えば、社会基盤を支える情報通信や交通、電力、ガス、政府行政サービス、医療等のインフラ設備が配置された建物等は、必要度および連携度が高く設定される。対応情報は、例えば、情報通信のインフラ設備が配置された建物A(データセンタ)の場合、必要度が80、連携度が90のような数値データによって構成される。なお、総合監視装置500は、例えば、連携度に関するデータおよび必要度に関するデータを予め取得しておき、記憶部520に記憶させている。
決定部516は、例えば、式(1)に基づく重み付け演算を行い、演算結果を閾値Th3およびTh4と比較することで、図14に示す分類のいずれに該当するかを決定する。式(1)において、α1は連携度、α2は必要度を表す。
図17に示すように、決定部516は、例えば、閾値Th5以下の重み付け値の建物を効果度IIIと判定し、閾値Th5を越え、且つ閾値Th6以下の重み付け値の建物を効果度IIと判定し、閾値Th6を越える重み付け値の建物を効果度Iと判定する。なお、総合監視装置500は、例えば、使用者の人数に関するデータおよび費用対効果に関するデータを予め取得しておき、記憶部520に記憶させている。
決定部516は、例えば、式(2)に基づく重み付け演算を行い、演算結果を閾値Th5およびTh6と比較することで、図17に示す分類のいずれに該当するかを決定する。式(2)において、β1は費用対効果、β2は使用者の人数を表す。
Claims (7)
- 多層階の建物の各階層に取り付けられたセンサによって収集された、振動特性を示すデータを取得する取得部と、
前記取得部により取得されたデータに基づいて、前記多層階の建物の各階層の変位を算出する算出部と、
前記算出部により算出された各階層の変位に基づいて、前記多層階の建物の損傷度を判定する判定部と、
前記判定部によって判定された前記多層階の建物の損傷度に基づく第1指標値と、他の建物に対する前記多層階の建物の連携度および有事の際の前記多層階の建物の必要度に基づく第2指標値との組み合わせに基づいて、前記多層階の建物へオペレータを派遣させる際の派遣優先度を決定する決定部と、
を備える総合監視装置。 - 前記取得部は、前記センサによって収集された振動特性を示すデータについて、時間に関する最大値を抽出する処理が行われた結果を示すデータを取得する、
請求項1に記載の総合監視装置。 - 前記取得部は、前記建物の振動を示す最大の振動値のデータを更に取得し、
前記決定部は、前記取得部により取得されたデータに基づいて、前記振動値および前記建物の損傷度の対応情報を生成しておき、前記振動値が入力されると、前記入力される振動値と対応する前記損傷度を求め、前記損傷度を閾値と比較することで前記建物の危険度を算出し、前記算出された危険度に基づいて前記派遣優先度を決定する、
請求項1または2に記載の総合監視装置。 - 前記取得部は、震度のデータを更に取得し、
前記決定部は、前記取得部により取得されたデータに基づいて、前記震度および前記建物の損傷度の対応情報を生成しておき、前記震度が入力されると、前記入力される震度と対応する前記損傷度を求め、前記損傷度を閾値と比較することで前記建物の危険度を算出し、前記算出された危険度に基づいて前記派遣優先度を決定する、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の総合監視装置。 - 前記決定部は、連携度および必要度に応じて、前記建物の重要度を算出し、前記算出された重要度に基づいて前記派遣優先度を決定する、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の総合監視装置。 - 前記決定部は、費用対効果および使用者の人数に応じて、前記建物の保全に関する効果度を算出し、前記算出された効果度に基づいて前記派遣優先度を決定する、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の総合監視装置。 - 総合監視装置のコンピュータに、
多層階の建物の各階層に取り付けられたセンサによって収集された振動特性を示すデータを取得する処理と、
前記取得されたデータに基づいて、前記多層階の建物の各階層の変位を算出する処理と、
前記算出した各階層の変位に基づいて、前記多層階の建物の損傷度を判定する処理と、
前記判定した前記多層階の建物の損傷度に基づく第1指標値と、他の建物に対する前記多層階の建物の連携度および有事の際の前記多層階の建物の必要度に基づく第2指標値との組み合わせに基づいて、前記多層階の建物へオペレータを派遣させる際の派遣優先度を決定する処理と
を実行させる総合監視プログラム。
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