JP6679166B2 - 安全性診断装置、安全性診断方法及び安全性診断プログラム - Google Patents
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Description
に適用できる安全性診断方法を提供することができるといえる。
図1は、本実施形態に係るシステム構成の一例を示す図である。図1のシステムは、加速度センサ1と、安全性診断装置2とを含む。図1の例では、本システムは地上7階建ての構造物3に設けられているが、構造物3の高さや構造、工法等は特に限定されない。加速度センサ1は、例えば3軸の加速度センサであり、自装置にかかる加速度を測定する。また、加速度センサ1は2階以上のフロア(「計測階」とも呼ぶ)に1つ設けられ、地震が発生した場合は1階(地盤)の入力値でなく当該構造物3の計測階における応答値を測定する。ここで、構造物3の1階で測定される加速度を「入力値」、構造物3の2階以上で測定される加速度を、地震動に対する「応答値」と呼ぶ。なお、図1の例では、加速度センサ1は構造物3の屋上に配置されている。また、加速度センサ1と安全性診断装置2とは通信可能に接続されており、加速度センサ1が測定した測定値は安全性診断装置2へ出力される。安全性診断装置2は、一般的なコンピュータであり、プロセッサが本実施形態に係るプログラムを実行することにより後述する機能を実現する。
図2は、本実施形態に係るシステムの一例を示す機能ブロック図である。図2のシステムは、加速度センサ1と、安全性診断装置2とを含み、両者が接続されている。加速度センサ1は、自装置にかかる加速度を継続的に測定し、測定した値を安全性診断装置2へ送信する。また、加速度センサ1は、例えば、測定した加速度が所定の閾値を超えた場合に、その後所定期間に測定した加速度の値を安全性診断装置2へ送信するようにしてもよいし、測定した加速度をすべて安全性診断装置2へ送信するようにしてもよい。
入力波を推定する。具体的には、加速度センサ1によって測定された加速度のフーリエ振幅スペクトルを伝達関数で割り、逆フーリエ変換を利用して波形に戻すことにより1階における入力波形を求める。
図3は、コンピュータの一例を示す装置構成図である。安全性診断装置2は、例えば図3に示すようなコンピュータである。図3に示すコンピュータ1000は、CPU(Central Processing Unit)1001、主記憶装置1002、補助記憶装置(外部記憶装置)
1003、通信IF(Interface)1004、入出力IF(Interface)1005、ドライブ装置1006、通信バス1007を備えている。CPU1001は、プログラムを実行することにより本実施の形態に係る処理等を行う。主記憶装置1002は、CPU1001が読み出したプログラムやデータをキャッシュしたり、CPUの作業領域を確保したりする。主記憶装置は、具体的には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。補助記憶装置1003は、CPU1001により実行されるプログラムや、本実施の形態で用いる設定情報などを記憶する。補助記憶装置1003は、具体的には、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、eMMC(embedded Multi-Media Card)、フラッシュメモリ等である。主記憶装置1002や補助記憶装
置1003は、記憶部202として働く。通信IF1004は、他のコンピュータとの間でデータを送受信する。通信IF1004は、具体的には、有線又は無線のネットワークカード等である。入出力IF1005は、入出力装置と接続され、ユーザから入力を受け付けたり、ユーザへ情報を出力したりする。入出力装置は、具体的には、キーボード、マウス、ディスプレイ、タッチパネル、加速度センサ1等である。ドライブ装置1006は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の記憶媒体に記録されたデータを読み出したり、記憶媒体にデータを書き込んだりする。そして、以上のような構成要素が、通信バス1007で接続されている。なお、これらの構成要素はそれぞれ複数設けられていてもよいし、一部の構成要素(例えば、通信IF1004やドライブ装置1006)を設けないようにしてもよい。また、入出力装置がコンピュータと一体に構成されていてもよい
。また、ドライブ装置1006で読み取り可能な可搬性の記憶媒体や、フラッシュメモリのような可搬性の補助記憶装置1003、通信IF1004などを介して、本実施の形態で実行されるプログラムが提供されるようにしてもよい。そして、CPU1001がプログラムを実行することにより、上記のようなコンピュータを例えば図2に示した安全性診断装置2として働かせる。なお、例示したコンピュータの構成の少なくとも一部がネットワーク上に存在してもよい。例えば、図2に示した機能部の少なくとも一部を担う1以上のサーバによってサービスが提供される、いわゆるクラウドのような態様であってもよい。
図4は、安全性診断処理の一例を示す処理フロー図である。本処理は、例えば加速度センサ1が予め定められた閾値を超える加速度を検知した場合に実行される。
安全性の診断を可能にしている。
ここで、Cは評価値、faiは推定されたi次の固有振動数(Hz)、fmiはS2において求められたi次の固有振動数(Hz)、βaiはS3において推定されたi次の刺激係数、nは予め定められたモード次数の上限値である。評価関数は、1次の固有振動数に対する2次以上の固有振動数の比に刺激係数による重みを乗じ、予め定められた上限次数までの二乗和を表すものである。刺激関数は、質量及び各次数のモード(変位)を用いて求めることができる。一般的に、モード次数が低いほど刺激係数(刺激関数の最上層での値に相当)の絶対値が大きくなる性質があるため、各次数の刺激係数の絶対値で重みづけしている。なお、以下の式(2)に基づいて固有値ω2が求められる。
([K]−ω2[M]){φ}=0 ・・・(2)
[K]は剛性マトリクス、[M]は質量マトリクス、{φ}は固有ベクトルである。ωは固有円振動数であり、以下の式(3)により上述の振動数fが求められる。
f=ω/2π ・・・(3)
み平坦であると仮定し、共振曲線の近似置換による手法などを適用して観測記録のみから減衰定数を求める方法でもよい。
本実施形態に係る安全性診断装置2によれば、1つの加速度センサ1からの測定データと、予め保持している簡易的な設定とに基づき、解析モデルを利用することなく、構造物の安全性が診断できる。すなわち、簡易的に設定された構造物の各層の質量を用いて、実測値に基づく固有振動数比に近似する各層の剛性を探索することにより、1階入力波の推定や各層の応答値の推定が可能になっている。応答値は構造物の実際の揺れの特徴を含む波形である。本実施形態によれば、ある階で測定した応答値を他の階にも展開するような形で推定値を求めることができる。この点で、構造物の揺れを反映しない地震動の波形である入力値を用いて構造物の揺れをすべて解析的に求めるような場合よりも、本実施形態による推定値の妥当性は高いものといえる。
加速度センサ1の代わりに、速度センサを用いるようにしてもよい。この場合も、例えば1階積分を行うことにより各層の速度から変位を求め、層間変形角を算出することができる。
のようにAi分布比を初期値として用いることにより、近似値を求めるための計算量を低減することができる。
また、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変更することができる。また、上記の実施形態及び適宜言及した変形例は、可能な限り組み合わせて実施することができる。
2 安全性診断装置
201 測定値取得部
202 記憶部
203 固有振動数推定部
204 固有値解析部
205 伝達関数設定部
206 入力値推定部
207 モード分解部
208 応答値推定部
209 層間変形角推定部
210 安全性診断部
3 構造物
Claims (5)
- 地震発生後における構造物の安全性を診断する安全性診断装置であって、
前記構造物に生じる応答値を測定するセンサから取得した応答値と、予め定められた前記構造物の質量とを用いて固有値解析を行い、前記構造物の剛性の値を求めると共に、前記質量と求められた剛性の値との組合せに基づいて固有モード及び刺激関数を求める固有値解析部と、
前記応答値から推定される固有振動数、及び前記固有値解析部が求めた刺激関数を用いて求められる伝達関数と、前記応答値とを用いて当該構造物に対する地震波の入力値を求める入力値推定部と、
前記伝達関数を用いて求められる前記応答値の固有モードごとの波形と、前記入力値推定部が求めた前記入力値との差分に、前記固有値解析によって求められる固有モード形状を乗じて得られる相対加速度又は相対速度と、前記入力値とを加算して絶対加速度応答又は絶対速度応答を求める応答値推定部と、
前記応答値推定部が求めた前記絶対加速度応答又は絶対速度応答を積分し、前記構造物の各階について得られる絶対変位と、前記構造物の階高とを用いて求められる層間変形角に基づいて、前記構造物の安全性を判断する安全性診断部と、
を備える安全性診断装置。 - 前記固有値解析部は、1次の固有振動数に対する2次以上の固有振動数の比が実測値に近づくように、剛性マトリクスの値を求める
請求項1に記載の安全性診断装置。 - 前記応答値から推定される各次の固有振動数と、所定の減衰定数とに基づいて求められる1自由度の伝達関数に前記刺激関数を掛け合わせ、多自由度に合成して伝達関数を求める伝達関数設定部
をさらに備える請求項1又は2に記載の安全性診断装置。 - 地震発生後における構造物の安全性を診断するための安全性診断方法であって、
前記構造物に生じる応答値を測定するセンサから取得した応答値と、予め定められた前記構造物の質量とを用いて固有値解析を行い、前記構造物の剛性の値を求めると共に、前記質量と求められた剛性の値との組合せに基づいて固有モード及び刺激関数を求める固有値解析ステップと、
前記応答値から推定される固有振動数、及び前記固有値解析ステップにおいて求められた刺激係数を用いて求められる伝達関数と、前記応答値とを用いて当該構造物に対する地震波の入力値を求める入力値推定ステップと、
前記伝達関数を用いて求められる前記応答値の固有モードごとの波形と、前記入力値推定ステップにおいて求められた前記入力値との差分に、前記固有値解析によって求められる固有モード形状を乗じて得られる相対加速度又は相対速度と、前記入力値とを加算して絶対加速度応答又は絶対速度応答を求める応答値推定ステップと、
前記応答値推定ステップにおいて求められた前記絶対加速度応答又は絶対速度応答を積分し、前記構造物の各階について得られる絶対変位と、前記構造物の階高とを用いて求められる層間変形角に基づいて、前記構造物の安全性を判断する安全性診断ステップと、
をコンピュータが実行する安全性診断方法。 - 地震発生後における構造物の安全性を診断するための安全性診断プログラムであって、
前記構造物に生じる応答値を測定するセンサから取得した応答値と、予め定められた前記構造物の質量とを用いて固有値解析を行い、前記構造物の剛性の値を求めると共に、前記質量と求められた剛性の値との組合せに基づいて固有モード及び刺激関数を求める固有値解析ステップと、
前記応答値から推定される固有振動数、及び前記固有値解析ステップにおいて求められた刺激関数を用いて求められる伝達関数と、前記応答値とを用いて当該構造物に対する地震波の入力値を求める入力値推定ステップと、
前記伝達関数を用いて求められる前記応答値の固有モードごとの波形と、前記入力値推定ステップにおいて求められた前記入力値との差分に、前記固有値解析によって求められる固有モード形状を乗じて得られる相対加速度又は相対速度と、前記入力値とを加算して絶対加速度応答又は絶対速度応答を求める応答値推定ステップと、
前記応答値推定ステップにおいて求められた前記絶対加速度応答又は絶対速度応答を積分し、前記構造物の各階について得られる絶対変位と、前記構造物の階高とを用いて求められる層間変形角に基づいて、前記構造物の安全性を判断する安全性診断ステップと、
をコンピュータに実行させる安全性診断プログラム。
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