JP7007222B2 - 構造物の耐震性判定方法及び構造物の耐震性判定システム - Google Patents

構造物の耐震性判定方法及び構造物の耐震性判定システム Download PDF

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本発明は、構造物の耐震性判定方法及び構造物の耐震性判定システムに関する。
建物の地震動に対する損傷状況を判定するための耐震性判定システムとして、複数の加速度センサを建物の複数の階に設置して、構造躯体の損傷、使用安全性、修復可能性などを適切に評価する耐震性判定システムが提案されている(特許文献1)。この耐震性判定システムでは、地震が発生した場合に、加速度センサの出力から層間変形角を算出し、算出された層間変形角を用いて予め設定された複数の基準に従って建物の損傷度を判定している。しかしながら、建物の累積的損傷を考慮した評価は行われていなかった。
また、近年の巨大地震に対する対策についての関心の高まりを受け、地震後の建物健全性評価を目的とするモニタリング技術に対する期待が高まっている。そのようなモニタリング技術がこれまでにも複数提案されている(非特許文献2)。しかしながら、いずれの提案も建物の累積的損傷を考慮した実用的な健全性評価方法ではなかった。
特開2013-254239公報
白石理人、外2名、「モニタリング技術の現状と将来展望」、2016年日本建築学会大会(九州)、日本建築学会、2016年8月、「将来の大地震に備える強震観測とモニタリング」p.25~35
本発明は、地震動を受けた後の構造物の累積損傷を考慮した耐震性を判定することができる構造物の耐震性判定方法及び構造物の耐震性判定システムを提供することを目的とする。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本適用例に係る構造物の耐震性判定方法は、
地震動における構造物の高さ方向における複数の位置の加速度データを取得し、
前記加速度データに基づいて前記地震動を受ける前記構造物の一次固有周期を算出し、
前記一次固有周期に対応する伝達関数を作成し、
前記伝達関数に予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、
前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定し、
前記伝達関数は、
振幅データにおける前記一次固有周期に対応する前記振幅データの一番上の階に対する加速度センサの設置階のスペクトル比を用いて前記一番上の階からの前記設置階への地震動の伝播時間を求め、さらにそれを線形補間して求まる、前記一番上の階から前記構造物の各階への地震動の伝播時間である各階伝播時間により定まり、
前記加速度データは、前記構造物の複数階に設置された加速度センサから取得され、
前記加速度センサは、少なくとも前記構造物の一番上の階と一番下の階に設置され、
前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されている階への各階伝播時間は、下記式(1)で求められ、
前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されていない階への各階伝播時間は、下記式(1)で求める各階伝播時間を線形補間して求めることを特徴とする。
Figure 0007007222000001
本適用例に係る構造物の耐震性判定方法によれば、地震動を受けた後の構造物の累積損傷を考慮して耐震性を判定することができる。また、本適用例によれば、一次固有周期に対応するように求められる各階伝播時間を用いて伝達関数を作成することで、多層階の構造物にも対応することができる。さらに、本適用例によれば、加速度センサが設置されていない階があっても、各階伝播時間を求めることができる
[適用例
本適用例に係る構造物の耐震性判定システムは、
構造物の高さ方向における複数の位置の加速度を測定する加速度センサから取得された加速度データに基づいて演算を行う演算部を含み、
前記演算部は、
地震動における前記加速度センサの出力に基づいて、前記地震動を受ける前記構造物の一次固有周期を算出し、
前記一次固有周期に対応する伝達関数を作成し、
前記伝達関数に予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、
前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定し、
前記伝達関数は、
振幅データにおける前記一次固有周期に対応する前記振幅データの前記一番上の階に対する加速度センサの設置階のスペクトル比を用いて前記一番上の階からの前記設置階への地震動の伝播時間を求め、さらにそれを線形補間して求まる、前記一番上の階から前記構造物の各階への地震動の伝播時間である各階伝播時間により定まり、
前記加速度センサは、少なくとも前記構造物の一番上の階と一番下の階に設置され、
前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されている階への各階伝播時間は、下記式(1)で求められ、
前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されていない階への各階伝播時間は、下記式(1)で求められる各階伝播時間を線形補間して求めることを特徴とする。
Figure 0007007222000002
本適用例に係る構造物の耐震性判定システムによれば、地震動を受けた後の構造物の累積損傷を考慮した耐震性を判定することができる。また、本適用例によれば、一次固有周期に対応するように求められる各階伝播時間を用いて伝達関数を作成することで、多層階の構造物にも対応することができる。さらに、本適用例によれば、加速度センサが設置されていない階があっても、各階伝播時間を求めることができる
本発明によれば、地震動を受けた後の構造物の累積損傷を考慮した耐震性を判定することができる構造物の耐震性判定方法を提供することができる。また、本発明によれば、地震動を受けた後の構造物の累積損傷を考慮した耐震性を判定することができる構造物の耐震性判定システムを提供することができる。
本実施形態に係る構造物の耐震性判定システムの概要を示す図である。 加速度センサから得られる加速度データの一例を示すグラフである。 本実施形態に係る構造物の耐震性判定システムの構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る構造物の耐震性判定方法のフローチャートである。 本実施形態に係る構造物の耐震性判定システムで得られる地震応答解析モデルの一例を示す図である。 地震応答解析モデルにおける各階伝播時間の線形補間を説明する概念図である。 第1推定方法のフローチャートである。 第2推定方法のフローチャートである。 実施例1におけるレーザー変位計で計測された時間-各階変位振幅の実測値と、一次固有周期の推定方法に基づく時間-各階変位振幅の推定値とを示すグラフである。 実施例2の第1推定方法の固有周波数の検証結果を示すグラフである。 実施例2の第1推定方法の層間変形角の検証結果を示すグラフである。 従来のスペクトル比と実施例3の第2推定方法の修正スペクトル比とを示すグラフである。 実施例4の第2推定方法を用いて一次固有周期を算出した結果を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.構造物の耐震性判定システム
図1,2を用いて、構造物10の耐震性判定システム20の概要について説明する。図1は本実施形態に係る構造物10の耐震性判定システム20の概要を示す図であり、図2は加速度センサから得られる加速度データの一例を示すグラフであり、図3は本実施形態に係る構造物10の耐震性判定システム20の構成を示すブロック図である。なお、以下、構造物10の耐震性判定システム20は、単に「システム20」という。
図1に示すように、システム20は、構造物10に設けられる。システム20は、構造物10の高さ方向における複数の位置の加速度を測定する複数の加速度センサ22から得られた加速度データに基づいて演算を行う演算部26を含むモニタリングサーバ24と、を含む。システム20は、地震動を受けた後の構造物10の累積損傷を考慮した耐震性を判定することができる。判定結果は、記憶部28に保存され、例えば図示しないディスプレイに表示し、又はアラームとして出力等してもよい。
構造物10は、土地に定着する人工物である工作物であって、ビル等の建築物を含む。図1における構造物10は、複数階を有する多層建築物である。構造物10は、1階(1F)から屋上階(RF)までの複数階を有し、図1では3階から屋上階から5階下の階までを省略して示す。
1-1.加速度センサ
加速度センサ22は、構造物10の複数の階に設置される。各階の地震時の変位を求めるためには全ての階に加速度センサ22が設けられることが望ましいが、構造物10における設置スペースや設置コストとの関係で加速度センサ22が設置されない階が存在してもよい。例えば、図1では屋上階(RF)から3階下の階(RF-3F)には加速度センサ22が設置されていない状態を示す。
加速度センサ22は、構造物10の一番下の階(図1では1階であるが、地下階がある場合にはその地下階)と一番上の階(図1では屋上階)に少なくとも配置されることが望ましい。これは、固有周期の推定精度を高めるためである。例えば、屋上階に加速度センサ22を設置できない場合には、できるだけ屋上階に近い階に加速度センサ22を設置することが望ましい。
加速度センサ22は、構造物10が地震動を受けるときの構造物10の加速度を測定するものである。加速度データu(t)は、図2に示すような時間(t)に対する加速度(u)のデータであり、各階の床面に対して平行な2軸の加速度データを取得する。加速度センサ22は、構造物10の設置階のフロア又はフロア付近の加速度を測定することが好ましい。加速度センサ22としては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いたものを採用することができる。加速度センサ22は、例えばフロアに平行な2軸の加速度を測定できる。
1-2.演算部
モニタリングサーバ24は、構造物10に設置された複数の加速度センサ22と接続されており、加速度センサ22からの電気信号を受信することができる。モニタリングサーバ24は、図示しないCPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM等のメモリやハードディスク装置等の記憶装置、外部装置との通信を行う通信インターフェース等を備える。図3に示すように、モニタリングサーバ24は、少なくとも演算部26と記憶部28とを含む。演算部26はCPUやRAM等から構成することができ、記憶部28はハードディスク装置等の記憶装置から構成することができる。
図1においてシステム20は構造物10内にモニタリングサーバ24が設置されているが、図示しない別の構造物にモニタリングサーバ24を設置して加速度センサ22等と有線又は無線により通信してもよい。
演算部26は、地震動における加速度センサ22の出力に基づいて、その地震動を受けた構造物10の一次固有周期を算出する。演算部26は、算出される一次固有周期に対応する伝達関数を作成する。演算部26は、作成される伝達関数に予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることでその設定地震動条件に対する構造物10の層間変形角を演算する。演算部26は、演算される層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで構造物10の耐震性を判定する。
構造物10は、新築当初の耐震性が経時的に徐々に変化する。例えば、構造物10が比較的強い地震動を受けた場合には、構造物10の一部が塑性変形を生じることもある。また、構造物10の構造材が経時的に劣化していくこともある。したがって、構造物10の正確な耐震性の判定は、現状の構造物10の状況を反映したものでなければならない。そこで、システム20は、地震発生直後の構造物10の状況を把握するために、地震時における構造物10の固有周期から構造物10の耐震性を推定することとしている。
2.構造物の耐震性判定方法
本実施形態に係る構造物の耐震性判定方法は、地震動における構造物の高さ方向における複数の位置の加速度データを取得し、前記加速度データに基づいて前記地震動を受ける前記構造物の一次固有周期を算出し、前記一次固有周期に対応する伝達関数を作成し、前記伝達関数に予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定することを特徴とする。
図1~図6を用いて、構造物10の耐震性判定方法について説明する。図4は、本実施形態に係る構造物10の耐震性判定方法(以下「耐震性判定方法」という)のフローチャートであり、図5は本実施形態に係る構造物の耐震性判定システムで得られる地震応答解析モデルの一例を示す図であり、図6は地震応答解析モデルにおける各階伝播時間の線形補間を説明する概念図である。
図5に示す耐震性判定方法は、図1~図3を用いて説明したシステム20を採用するこ
とができる。
システム20を起動し、耐震性判定を開始する。
S10:地震が発生すると、モニタリングサーバ24は、地震動における構造物10の高さ方向における複数の位置の加速度センサ22から加速度データu(t)の取得を開始し、地震が終了するまで加速度データu(t)を取得し、記憶部28に記録する。
S20:モニタリングサーバ24の演算部26は、取得した加速度データu(t)に基づいて当該地震動を受けた構造物10の一次固有周期の推定値を算出する。一次固有周期は、構造物10の固有周期のうち一番長い周期を有するものである。固有周期は、構造物10の自由振動のときの周期であり、構造物10に固有な値を取るものである。構造物10の一次固有周期は、構造物10が地震動を受けて損傷を受けた場合には、構造物10の設計時の固有周期計算により得られたものとは異なることになる。構造物10の一次固有周期は、地震動を受ける構造物10の加速度センサ22からの加速度データに基づいて算出する。一次固有周期の推定は、例えば、後述する部分空間法を用いた一次固有周期の推定方法(第1推定方法)やスペクトル比を用いた一次固有周期の推定方法(第2推定方法)を用いて行うことができる。
S30:一次固有周期に対応する地震応答解析モデル80(例えば図5)を作成する。図5を用いて、伝達関数の算出の作成について、説明する。図5は、本実施形態に係るシステム20で得られる地震応答解析モデル80の一例を示す図である。地震応答解析モデル80は、演算部26が算出した一次固有周期に対応する多質点系モデルである。多質点系モデルは、構造物10の重量分布を各階の床面に重量が集中していると考える。図5では、一次モードにおける共振時(一次固有周期で揺れた時)の構造物10の変形を表している。地震応答解析モデル80は,構造物10がある地震動を受けるとき、各階における応答変位を解析することができる。
地震応答解析モデル80により求まる構造物10の一番上の階の応答変位に対する各階の応答変位の比は、周波数領域において後述の式(3)の通りに表される。式(3)を利用することにより、構造物10がある地震動を受けるとき、各階における応答変位を求めることができる。この式の計算は、例えば、市販されている表計算プログラム「MICROSOFT EXCEL」(マイクロソフト社の登録商標)や、カシオ計算機社の高機能関数電卓「fx-993ES」などを用いて実施することができる。
伝達関数は、演算部26で作成する。演算部26は、一次固有周期に対応するように構造物10の一番上の階から加速度センサ22が設置された複数の位置(例えば構造物10の各階)への地震波の伝播時間を求めると共に、それを線形補間して、構造物10の一番上の階から構造物10の各階への地震波の伝播時間である各階伝播時間を求め、作成する。このように、一次固有周期に対応するように求める各階伝播時間を用いて伝達関数を作成することで、多層階の構造物10に対応することができる。なお、「一番上の階」は、以下の説明のように屋上階であることが望ましいが、屋上階に近い階としてもよい。
まず、演算部26は、各階伝播時間を求める演算に必要な構造物10の一次固有周期、および一次共振時(一次固有周期と地震動の周期が一致した時)における各階の応答変位(水平方向の変位)を求める。
加速度センサ22を設置した階における変位を屋上階の変位で割った値(各階の変位を屋上階の変位で正規化した値)をα,α,・・・,αとすると、屋上階から各階への地震波の伝播時間(各階伝播時間σ)は、下記式(1)で求めることができる。全て
の階に加速度センサ22が設置されていれば、全ての階の各階伝播時間が得られる。
Figure 0007007222000003
この場合、屋上階のαは、1になる。屋上階に加速度センサ22が無い場合には、屋上階に最も近い階に設置された加速度センサ22の値を用いることができる。なお、nは、加速度センサ22の数である。
設置コストや設置場所の確保の問題から図1のように加速度センサ22が設置されていない階がある場合が考えられる。そのような場合には、加速度センサ22が設置されていない階は、各階伝播時間を線形補間して求めることができる。
図6は、地震応答解析モデル80における各階伝播時間の線形補間を説明する概念図である。図6において、加速度センサ22が設置されている階には質点(○)があり、加速度センサ22が設置されていない階には質点がない(●)。図6に示すように、一番上の階(N)Fから数えてm0番目の階(N-m0)F及びm2番目の階(N-m2)Fに加速度センサ22が設置されており、一番上の階(N)Fから数えてm1番目の階(N-m1)Fに加速度センサ22が設置されていない場合を考える。加速度センサ22が設置されている階の各階伝播時間は、上記式(1)により求めることができるが、加速度センサ22が設置されていない階では水平方向の変位は上記式(1)だけでは求めることができない。そこで、加速度センサ22が設置されていない階の各階伝播時間は、上記式(1)から求められた各階伝播時間を図6及び下記式(2)のように線形補間して求める。構造物10の総階数をFとすると、各階伝播時間は下記式(2)を用いて例えばS,S,・・・,Sとして得られる。
Figure 0007007222000004
次に、各階伝播時間から一番上の階(屋上階)の応答に対する各階の応答の比である、伝達関数を求める。伝達関数は、下記式(3)を用いて求めることができる。下記式(3)は、一番上の階(NF)から数えてf番目の階の応答(揺れ)を求めることができる。下記式(3)では、各階伝播時間をSで表すが、加速度センサ22が設置されている階について上記式(1)で得られるσに等しい。減衰定数(h)は、一般的な建物で0.02~0.05であるが、構造物10の健全性を判定するために、例えば0.01に設定することができる。
Figure 0007007222000005
S40:伝達関数80に予め設定した設定地震動条件(例えばL1地震動条件)を入力して、地震応答解析をすることで設定地震動条件に対する構造物10の層間変形角を演算する。
演算部26は、作成された伝達関数に予め設定した設定地震動条件を入力することでその設定地震動条件に対する構造物10の層間変形角を演算する。
層間変形角は、地震などの横揺れによって住宅などの建築物が変形する時、各階の床と真上または真下の床との、水平方向における変形の角度である。
設定地震動条件は、構造物10の耐震性を判定する基準となる地震動として適当な条件を設定することができるが、建物の耐震設計における地震応答解析に用いられる「レベル1の地震動(以下「L1地震動」という)」を用いることができる。L1地震動は25カイン(cm/s)以上で基準化した地震波であり、建物の供用期間中複数回受けることが想定される規模の地震であるため、L1地震動に対して、主要構造体は弾性範囲内で応答しなければならない。
地震応答解析は、地震動に対して、建物等の構造物等の各部がどのような力を受けたり変形したりするかを検討するために、構造物等を適切な解析モデルに置き換え、相互作用を考慮した上で、設計用の地震動を入力してコンピューターで計算し、地震によって構造物等の各位置が受ける力と揺れの大きさを算出する解析法である。ここでは、伝達関数にL1地震動の条件を入力して解析を行う。
L1地震動の条件を入力した場合の各階変位のフーリエスペクトルは、下記式(4)で演算することができる。すなわち、構造物10の1階部分にL1地震動が入力された場合に、L1地震動は予め定められているので、伝達関数H(ω)およびH(ω)が上記式(3)により求まれば、構造物10の揺れによる各階の変位のフーリエスペクトルの値が下記式(4)により求められる。
Figure 0007007222000006
上記式(5)により得られたY(ω)をフーリエ逆変換すれば、各階の変位の波形y(t)が求められる。ここで、tは時間である。
そして、y(t)について各層で差分をとった最大値が層間変形角になる。層間変形
角は、下記式(5)で求めることができる。
Figure 0007007222000007
S50:演算部26は、上記式(5)で得られた層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで構造物10の耐震性を判定する。予め設定した許容値は、各階ごとに設定することができる。許容値は、層間変形角が構造物10の弾性変形可能な範囲内に設定されている。構造物10の弾性変形可能な範囲とは、構造物10に加えた力を除いたときに生じていた歪みが力を加える以前の状態に戻る範囲である。したがって、今後L1地震動が発生した状況においても、構造物10に塑性変形は生じないと推測され、十分な耐震性を備えると判断できる。
耐震性の判定は、構造物10において算出される層間変形角の最大値が予め設定した許容値を超えている場合には構造物10の耐震性能が不足していると判定し、当該最大値が許容値を超えていなければ耐震性能に変化がないと判定する。
このように、本実施形態に係る耐震性判定方法によれば、地震動を受けた後の構造物10の累積損傷を考慮した耐震性を判定することができる。
2-1.一次固有周期の推定方法
図4におけるS20の一次固有周期の推定方法について説明する。地震動を受けた構造物10は、いずれかの箇所に損傷を受けることで設計時または施工時の固有周期と異なる固有周期を有する可能性がある。本実施形態では、地震動を受けた後の構造物10の一次固有周期を加速度データから推定することで、地震動を受けた後の構造物10の累積損傷を考慮した現実に近い耐震性を判定することができる。
構造物10の加速度データから一次固有周期を推定する方法として、処理効率の良い以下の2つの方法を採用することが好ましい。
2-1-1.第1推定方法
図6及び図7を用いて、第1推定方法について説明する。図7は、第1推定方法のフローチャートである。
第1推定方法は、構造物10の一次固有周期の推定方法であって、地震動を受ける構造物10の加速度データから部分空間法を用いて固有周期、固有ベクトル及び特性行列を算出し(S210)、固有ベクトル及び特性行列を用いて刺激係数を算出し(S220)、固有周期の中から地震動を受けた後の構造物10の一次固有周期を選択するか否かについて刺激係数を用いて判定する(S240)。一次固有周期の推定方法によれば、刺激係数を用いることで実用的な方法で地震動を受けた後の構造物の一次固有周期を推定することができる。上述した構造物10の固有周期推定システム30の演算部26は、少なくともS210,S220及びS240の処理を行う。
図7に示すように、第1推定方法を開始すると、S210~S260の処理を実行して適切な一次固有周期を選択することができる。一次固有周期の推定方法によれば、刺激係数を用いることで実用的な方法で地震動を受けた後の構造物の一次固有周期を推定することができる。上述した構造物10の固有周期推定システム30の演算部26は、少なくと
もS210,S220及びS240の処理を行う。
S210:モニタリングサーバ24の演算部26は、地震動を受ける構造物10の加速度データu(t)から部分空間法を用いて固有周期T,T,...,T、固有ベクトルφ,φ,...,φ及び特性行列A,B,C,Dを算出する。ここで、「n」は構造物10に設置された加速度センサ22の個数であり、全ての階に加速度センサ22が設置されれば総階数(RFを含む)と一致する。図3における1階(1F)、屋上階の1つ下の階(RF-1F)及び屋上階(RF)における一次固有周期Tに対応する固有ベクトルはφ ,φ ,φ で表すことができる。
部分空間法は、地震応答解析に用いられる公知のアルゴリズムを用いることができ、例えばN4SID(Numerical algorithms for Subspace State Space System IDentification)法、Ordinary MOESP(Multivariable Output-Error State sPace)法、PO-MOESP(Past Output Multivariable Output-Error State sPace)法などを用いることができる。
S220:演算部26は、S210で得られた固有ベクトル及び特性行列を下記式(6)に代入して各モードの刺激係数βを算出する。各モードとは、構造物10を数学的な振動モデルに置き換えたときの固有周期に対応する揺れの形(固有振動モード)である。構造物10が多層階建物である場合には、固有周期及び固有振動モードは建物の階数の数だけ存在する。
Figure 0007007222000008
S230:演算部26は、S220で得られた各モードの刺激係数βを下記式(7)に代入し、部分空間法による計算結果の信頼性判定指標値である判定値wを算出する。下記式(7)において、判定値wは、刺激係数βのうち最も大きい値を全ての刺激係数βの和で割った値として求められる。判定値wは加速度データu(t)における一次固有モードの寄与率を示している。一般に地震入力を受けた構造物の応答加速度データにおいては、この判定値wが1に近い大きい値をとることが分かっているので、この値が1に近ければ部分空間法による計算結果の信頼性は高く、逆にこの値が小さい場合は、計算の元となったデータが異常であって部分空間法によって推定された諸元の信頼性も低いものと判定できる。
Figure 0007007222000009
S240:演算部26は、固有周期の中から地震動を受けた後の構造物10の一次固有周期Tを選択するか否かについて刺激係数βを用いて判定する。ここでは、上記式(7)で得られる判定値wによって固有周期の中から一次固有周期Tを選択するか否かを判定する。より具体的には、上記式(7)で得られた判定値wが、予め設定されたしきい値εを超えた場合に、S210で得られた固有周期の中から一次固有周期Tを選択する。刺激係数βに係る判定値wを用いることでより正確な一次固有周期Tを推定することができる。しきい値εは、0.6~1.0に予め設定することができる。
S250:演算部26は、S240において判定値wがしきい値εより大きい場合に、部分空間法で得られた一次固有周期Tを出力する。ここで選択された一次固有周期Tは、判定値wを用いて異常値を排除しているので、正確性が高い。演算部26から出力された一次固有周期Tは、例えば記憶部28に地震動後の構造物10の一次固有周期Tとして保存され、図5のS30における一次固有周期Tに対応する伝達関数の作成に用いられる。
S260:演算部26は、S240において判定値wがしきい値ε以下である場合に、地震動後の構造物10の一次固有周期Tは、記憶部28に保存されている構造物10の一次固有周期Tに変化が無いと出力する。すなわち、地震動後の構造物10の一次固有周期Tは地震動前の構造物10の一次固有周期Tと同じあるため、図5のS30以降の処理を行わない。
S250又はS260の処理の後、第1推定方法が終了する。
2-1-2.第2推定方法
図6及び図8を用いて、第2推定方法について説明する。図8は第2推定方法のフローチャートである。
第2推定方法は、構造物10の一次固有周期の推定方法であって、地震動を受ける構造物10の加速度データu(t)から周波数ごとの振幅データを算出し(S310)、振幅データから構造物の一番下の階に対する一番上の階のスペクトル比を算出するに際し、分母にパワースペクトルの平均値に基づく値を加算してスペクトル比を算出し(S320)、スペクトル比から増幅率が一番大きな固有周波数を選択し(S330)、固有周波数から一次固有周期を算出する(S350)。一次固有周期の推定方法によれば、パワースペクトルの平均値に基づく値を分母に加算したスペクトル比を用いることにより、実用的な方法で地震動を受けた後の構造物10の一次固有周期を推定することができる。上述した構造物10の固有周期推定システム30の演算部26は、少なくともS310,S320,S330及びS350の処理を行う。
図8に示すように、第2推定方法を開始すると、S310~S380の処理を実行して適切な一次固有周期を得ることができる。
S310:モニタリングサーバ24の演算部26は、地震動を受ける構造物10の加速度データu(t)から周波数ごとの振幅データを算出する。周波数ごとの振幅U(ω)は
、地震動における構造物10の加速度データu(t)をフーリエ変換することで得られる振幅のフーリエスペクトルである。加速度データu(t)は、図6を用いて上述したので説明を省略する。
S320:演算部26は、S310で得られた振幅データから構造物10の一番下の階(例えば1階(1F))に対する一番上の階(例えば屋上階(RF))の修正スペクトル比G(ω)を算出する。修正スペクトル比G(ω)は、下記式(8)で算出する。下記式(8)では、従来のようなスペクトル比と異なり、分母にパワースペクトルの平均値Pに基づく値(aP)を加算して修正スペクトル比G(ω)を算出する。従来のスペクトル比と区別するために「修正スペクトル比」という。
Figure 0007007222000010
修正スペクトル比G(ω)は、一番下の階と一番上の階とでスペクトル比をとることで、各周波数について構造物10内でどれだけ振幅が増幅しているかがわかる。振幅の増幅率が最も大きな周波数に対応する周期が一次固有周期となる。上記式(8)において、補正係数aはゼロ除算を回避するため適宜設定することができ、例えば0.5とすることができる。パワースペクトルの平均値Pは、フーリエスペクトルの振幅に共役複素数を掛けて全周波数帯域で合算して平均値をとったものである。上記式(1)を用いることにより、スペクトル比を用いて適切な一次固有周期を得ることができる。修正スペクトル比G(ω)は、従来の単純なスペクトル比(1階に対する屋上階のスペクトル比)に比べると振幅データのノイズによる誤差を排除することができる。
S330:演算部26は、修正スペクトル比G(ω)から増幅率が一番大きな固有周波数(ピーク周波数ω)を検出し、選択する。演算部26は、ピーク周波数ωを記憶部28に記憶する。
S340:演算部26は、修正スペクトル比G(ω)があらかじめ設定されたしきい値εよりも大きいか否かを判定する。固有周波数における修正スペクトル比G(ω)が予め設定されたしきい値εよりも大きい場合に、固有周波数から一次固有周期を算出する。しきい値εは記憶部28に保存されている。構造物10が共振するのは、構造物10の一番上の階と一番下の階とで少なくとも2倍以上に増幅するため、しきい値εは例えば2~10と設定することができる。修正スペクトル比G(ω)をしきい値以上とすることで、構造物の共振時以外の修正スペクトル比G(ω)を排除して、共振時の修正スペクトル比G(ω)に絞り込むことができる。これにより、振幅データにおける誤差を排除して、S350で一次固有周期Tを算出することができる。修正スペクトル比G(ω)がしきい値εよりも大きい値であれば、S350の処理に進む。修正スペクトル比G(ω)がしきい値εよりも小さい値であれば、S380の処理に進む。
S350:演算部26は、ピーク周波数ωから地震動を受けた後の構造物10の一次
固有周期Tを下記式(9)で求める。
Figure 0007007222000011
S360:演算部26は、記憶部28から地震発生前の構造物10の一次固有周期Tと、地震動を受けた後の構造物10の一次固有周期T(上記式(9)で算出される)との比をとり、予め設定しているしきい値εより大きい場合にS370の処理に進み、しきい値ε以下であればS380の処理に進む。S360の処理によって、固有周波数が修正スペクトル比G(ω)から得られたピーク周波数のうち最も低周波数側である場合に、固有周波数から一次固有周期を選択する。一次固有周期Tに対応する固有周波数は最も低周波数側にあるため、選択された固有周期から一次固有周期Tを確実に算出することができる。
S370:演算部26は、S350の処理で得られた一次固有周期Tを出力する。演算部26から出力された一次固有周期Tは、例えば記憶部28に地震動後の構造物10の一次固有周期Tとして保存され、図5のS30における一次固有周期Tに対応する伝達関数の作成に用いられる。すなわち、一次固有周期Tは構造物10の累積損傷を考慮した現実に近いものとなる。
S380:演算部26は、地震動後の構造物10の一次固有周期Tは、記憶部28に保存されている構造物10の一次固有周期Tに変化が無いと出力する。すなわち、地震動後の構造物10の一次固有周期Tは地震動前の構造物10の一次固有周期Tと同じあるため、図5のS30以降の処理を行わない。
S370又はS380の処理の後、第2推定方法が終了する。
2-2.伝達関数の算出
図5のS30において、一次固有周期に対応する地震応答解析モデル80(図3)を作成する。
伝達関数の算出は、第1推定方法又は第2推定方法により一次固有周期Tを選択すると判定された場合に、一次固有周期Tに対応するように構造物10の一番上の階(例えば屋上階(RF))から加速度センサ22が設置された複数の位置への地震波の伝播時間を求めると共に、伝播時間に基づいて、構造物10の一番上の階から構造物の各階への地震波の伝播時間である各階伝播時間を求め、各階伝播時間から一番上の階に対する各階の応答を求めることで行う。一次固有周期Tに対応するように求める各階伝播時間を用いて伝達関数を作成することで、多層階の構造物にも対応することができる。
伝達関数の作成については、上述したため、重複する説明を省略する。
構造物10に加速度センサ22が設置されていない階がある場合には、以下のように処理することができる。加速度データは、構造物10の複数階に設置された加速度センサ22から取得され、加速度センサ22は、少なくとも構造物10の一番上の階と一番下の階に設置され、構造物10の一番上の階から加速度センサ22が設置されている階への各階伝播時間は、下記式(1)で求められ、構造物10の一番上の階から加速度センサ22が
設置されていない階への各階伝播時間は、下記式(1)で求める各階伝播時間を線形補間して求めることができる。線形補間をすることで、加速度センサが設置されていない階があっても、各階伝播時間を求めることができる。
Figure 0007007222000012
上記式(1)におけるαとしては、第1推定方法で得られた一次固有周期Tに対応する固有ベクトル(φ)の比を用いることができる。αは、一番上の階(例えば屋上階RF)の固有ベクトルに対する各階の固有ベクトルの比である。αは、一番上の階の変形量(ここでは固有ベクトル)で正規化された一次共振時の変形量として求めることができる。αは、下記式(10)で求めることができる。
Figure 0007007222000013
上記式(1)におけるαとしては、第2推定方法で得られた振幅データにおけるピーク周波数(一次固有周期Tに対応する周波数)における振幅の比を用いることができる。αは、一番上の階(例えば屋上階RF)の振幅に対する各階の振幅の比である。αは、一番上の階の変形量(ここでは振幅)で正規化された一次共振時の変形量として求めることができる。αは、下記式(11)で求めることができる。
Figure 0007007222000014
加速度センサ22が設置されていない階の応答計算については、上述したため、重複する説明を省略する。
(実施例1)
上記第1推定方法について、振動台上に設置した高さ3mの3階建て建物の模型(試験体)を用いて実験を行った。各階及び屋上階に戸田建設社製ユレかんち(加速度センサを含むビルメディカルシステム)を設置した。各階の水平方向の実際の変位は、レーザー変位計で測定した。加振条件は、平成7年(1995年)兵庫県南部地震のJMA神戸加振と、東北地方太平洋沖地震加振(最大振幅周辺の時間帯)と、を用いた。
図9は、実施例1における実験の結果であり、レーザー変位計で計測された時間-各階変位振幅の実測値と、上記第1推定方法に基づいて時間-各階変位振幅の推定値と示すグラフである。同図において、薄い灰色の太い線がレーザー変位計による実測値であり、濃い黒い線が推定値である。また、同図横軸は時間(s)であり、同図の縦軸は下が2層変位(cm)、上が3層変位(cm)である。実験の結果、実測値と推定値とは高い整合性を示した。この結果より、上記一次固有周期推定結果を用いた層間変形角の推定結果が実測と良く整合し、信頼できるものであることが確認できた。
(実施例2)
振動台上に設置した高さ20mの18階の建物の模型(試験体)を用いて振動台の水平振動を繰り返す実験を行ったデータを用いて、上記第1推定方法の検証を行った。試験体は33回目の振動試験で倒壊した。図10は、試験体の固有周波数を縦軸に、振動試験の回数を横軸に、図7のS230で求めたwを右側のカラーバーに表した。ここではカラーバーに対応する各点の色は判別できないが、図10の符号90で示した点の色はwの値が0.16以下であり、異常値である。したがって、図7のS240で0.6未満のもの(符号92で示した点)を排除することで、図10に示す通り適正な固有周期(固有周波数の逆数)が得られた。
次に、得られた固有周期を用いて、L1地震動条件を用いて各階の層間変形角を演算した結果を図11に示す。図11の縦軸は試験体の階数であり、横軸は層間変形角であり、振動回数を右側のカラーバーに示した。L1地震動に対する許容値(0.01)を超えるのは加振回数25回の時点(符号93で示した点)であり、最終的に試験体が倒壊するのは加振33回目なので、許容値を超えた25回目の時点で「耐震性不足」の判定が出れば、まだ大地震8回分の加振に耐える余力を残して補修・補強あるいは解体等の対策が打てることになる。この結果から、層間変形角の許容値「0.01」は、前述の通り法的に適切なだけでなく、建物の倒壊および倒壊による被害を未然に防ぐ意味でも有用であることが分かる。
(実施例3)
上記第2推定方法について、従来のスペクトル比102と図8のS320で求めた修正スペクトル比104との違いを図12のグラフに示した。図12の縦軸は一番下の階1Fと一番上の階(屋上階)RFとのスペクトル比であり、横軸は周波数である。従来のスペクトル比102は同じ程度の高さのピークが複数あるが、修正スペクトル比104は0.7Hz付近のピークを一次モードの周波数として確実に選択することができた。修正スペクトル比104を用いることで、従来の単純なスペクトル比102に比べると振幅データのノイズによる誤差を排除することができることがわかった。
(実施例4)
実際のビルに設置した加速度センサの加速度データを用いて、上記第2推定方法によりビルの一次固有周期を推定した結果を図13に示した。図13において、縦軸は第2推定方法により推定した一次固有周期であり、横軸は実際に地震が観測された日付である。このビルの初期の一次固有周期Tが約4秒であったので、図13で1秒付近に表れている推定された一次固有周期Tは、T/Tが0.25となり、図8のS360で設定し
たしきい値εが0.7であったので、一次固有周期を異常値として排除できた。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…構造物、20…システム、22…加速度センサ、24…モニタリングサーバ、26…演算部、28…記憶部、80…地震応答解析モデル

Claims (2)

  1. 地震動における構造物の高さ方向における複数の位置の加速度データを取得し、
    前記加速度データに基づいて前記地震動を受ける前記構造物の一次固有周期を算出し、
    前記一次固有周期に対応する伝達関数を作成し、
    前記伝達関数に予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、
    前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定し、
    前記伝達関数は、
    振幅データにおける前記一次固有周期に対応する前記振幅データの一番上の階に対する加速度センサの設置階のスペクトル比を用いて前記一番上の階からの前記設置階への地震動の伝播時間を求め、さらにそれを線形補間して求まる、前記一番上の階から前記構造物の各階への地震動の伝播時間である各階伝播時間により定まり、
    前記加速度データは、前記構造物の複数階に設置された加速度センサから取得され、
    前記加速度センサは、少なくとも前記構造物の一番上の階と一番下の階に設置され、
    前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されている階への各階伝播時間は、下記式(1)で求められ、
    前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されていない階への各階伝播時間は、下記式(1)で求める各階伝播時間を線形補間して求めることを特徴とする、構造物の耐震性判定方法。
    Figure 0007007222000015
  2. 構造物の高さ方向における複数の位置の加速度を取得する加速度センサから取得された加速度データに基づいて演算を行う演算部を含み、
    前記演算部は、
    地震動における前記加速度センサの出力に基づいて、前記地震動を受ける前記構造物の一次固有周期を算出し、
    前記一次固有周期に対応する伝達関数を作成し、
    前記伝達関数に予め設定した設定地震動条件を入力して、地震応答解析をすることで前記設定地震動条件に対する前記構造物の層間変形角を演算し、
    前記層間変形角が予め設定した許容値を超えているか否かで前記構造物の耐震性を判定し、
    前記伝達関数は、
    振幅データにおける前記一次固有周期に対応する前記振幅データの前記一番上の階に対する加速度センサの設置階のスペクトル比を用いて前記一番上の階からの前記設置階への地震動の伝播時間を求め、さらにそれを線形補間して求まる、前記一番上の階から前記構造物の各階への地震動の伝播時間である各階伝播時間により定まり、
    前記加速度センサは、少なくとも前記構造物の一番上の階と一番下の階に設置され、
    前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されている階への各階伝播時間は、下記式(1)で求められ、
    前記構造物の一番上の階から前記加速度センサが設置されていない階への各階伝播時間は、下記式(1)で求められる各階伝播時間を線形補間して求めることを特徴とする、構造物の耐震性判定システム。
    Figure 0007007222000016
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