JP6982264B2 - 発光素子の製造方法 - Google Patents
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一方、発光素子の上面視形状が六角形である場合、割断予定線の延長線上に発光素子領域が位置することになるため、改質領域から伸展する亀裂が発光素子領域の内側に達する可能性が高くなる。発光素子領域にまで達した亀裂は、ウェハを割断し、発光素子に個片化する工程において、発光素子の欠けなどが発生する要因となるため、歩留りの低下を引き起こす。
サファイアからなる基板及び前記基板の上面に設けられた半導体構造を有するウェハを準備する工程と、
レーザ光を走査して、前記基板にレーザ光を照射し、上面視形状が六角形の発光素子に割断するための複数の改質領域を前記基板の内部に形成する工程と、
前記ウェハを前記改質領域に沿って割断して、複数の前記発光素子を得る工程とを含み、
複数の前記改質領域を形成する工程は、
前記六角形の辺のうち互いに平行な第1辺と第2辺に平行な第1方向に沿って複数の第1改質領域を形成する第1走査と、
前記六角形の辺のうち互いに平行な第3辺と第4辺に平行な第2方向に沿って複数の第2改質領域を形成する第2走査と、
前記六角形の辺のうち互いに平行な第5辺と第6辺に平行な第3方向に沿って複数の第3改質領域を形成する第3走査と、を含み
前記第1走査は、前記第1辺の一端から前記第1辺の他端に向かって、前記第1辺の一端側から前記第1辺の一端と前記第1辺の他端の間の第1位置まで前記レーザ光を走査する第1照射と、前記第1照射の後、前記第1辺の前記他端から前記第1位置に向かって、前記第1辺の前記他端側から前記第1辺の前記他端と前記第1辺の前記一端の間の第2位置まで前記レーザ光を走査する第2照射とを含む発光素子の製造方法。
サファイアからなる基板及び基板の上面に設けられた半導体構造を有するウェハを準備する工程と、
レーザ光を走査して、基板にレーザ光を照射し、上面視形状が六角形の発光素子に割断するための複数の改質領域を前記基板の内部に形成する工程と、
ウェハを改質領域に沿って割断して、複数の前記発光素子を得る工程とを含む。
さらに、複数の改質領域を形成する工程において、六角形の辺のうち互いに平行な第1辺と第2辺に平行な第1方向に沿って複数の第1改質領域を形成する第1走査において、第1辺の一端から第1辺の他端に向かって、第1辺の一端側から第1辺の一端と第1辺の他端の間の第1位置までレーザ光を走査する第1照射と、第1辺の他端から第1位置に向かって、第1辺の他端側から第1辺の他端と第1辺の前記一端の間の第2位置までレーザ光を走査する第2照射とを含む。
このような製造方法によって、改質領域から伸展する亀裂が、図1Dに示す発光素子領域6にまで伸展することを抑制できる。その結果、上面視形状が六角形である発光素子を歩留りよく製造することができる。
なお、発光素子の六角形形状は正六角形を含む。また、発光素子の六角形形状は、対抗する3組の辺のうち1組の辺の長さが、他の2組の辺の長さと異なる六角形でもよい。
図1A及び1Bに示すように、サファイアからなる基板2と、基板2の上面に設けられた半導体構造3とを有するウェハ10を準備する。ウェハ10は、上面視が略円形状で、円弧の一部を平坦としたオリエンテーションフラット面OLを側面に有する。ウェハ10の主面は、C面、A面及びR面のいずれでもよく、1度〜5度のオフ角を有していてもよい。ウェハ10のサイズは、例えば、直径が50mm〜150mmのものが挙げられる。基板2の厚みは、例えば、50μm〜500μmとすることができる。
図1Cに示すように、準備したウェハ10に対してレーザ光LBを走査し、基板2内にレーザ光LBを照射する。これによって、上面視形状が六角形の発光素子に割断するための複数の改質領域41、42、43を、基板2の内部に形成することができる。
レーザ光の基板への照射は、ウェハ10の半導体構造3側から行ってもよいが、図1Cに示すように、ウェハ10の基板2側から行うことが好ましい。これにより、レーザ光が直接半導体構造3に照射され、損傷を受けることを抑制しつつ、基板2の内部に改質領域41、42、43を形成することができる。なお、図1Cにおいては、基板2の内部における改質領域の形成を例示するために、改質領域41、42、43それぞれを区別せずに示している。
レーザ光LBの走査は、当該分野で公知のレーザ光の照射装置を利用することによって行うことができる。この場合、レーザ光の照射装置は、ウェハを載置したステージを移動させるもの、レーザ光源を移動させるもの、ステージとレーザ光源との双方を移動させるもののいずれを用いてもよい。
第1走査R1は、図2A及び2Bに示すように、第1照射r1と、第2照射r2とを含む。第1照射r1は、第1辺11の一端Aから第1辺11の他端Cに向かって、第1辺11の一端A側から第1辺11の一端Aと第1辺11の他端Cとの間の第1位置Bまでレーザ光を走査する。第1照射の後、第2照射は、第1辺11の他端Cから第1位置Bに向かって、第1辺11の他端C側から第1辺11の他端Cと第1辺11の一端Aの間の第2位置Dまでレーザ光を走査する。
これら第1照射r1の始点及び第2照射r2の始点は、六角形の頂点から離れた位置であってもよく、六角形の頂点としてもよい。
また、第1位置B及び第2位置Dは、六角形の頂点から離れた場所に位置する。第1位置B及び第2位置Dが頂点から離れた位置であることによって、第1位置B及び第2位置D付近の改質領域から伸展する亀裂が発光素子領域6の内側に達することを効果的に防止することができる。
また、第1照射r1の照射領域と第2照射r2の照射領域とが重ならない場合においても、第1照射r1による改質領域から伸びる亀裂と、第2照射r2による改質領域から伸びる亀裂とが辺に沿って繋がる又は近接することで、後述するウェハの割断を歩留まり良く行うことが可能である。
なお、第1走査における第1照射と第2照射のように、向かい合わせる複数の照射は、1つの発光素子の六角形に対して、少なくとも第1辺11において行う限り、第2辺12、第3辺13、第4辺14、第5辺15及び第6辺16の1以上に対して行ってもよい。1つの六角形の発光素子において、複数の辺に対して向かい合わせる複数の照射を行うことで、発光素子領域の内側へ亀裂が達することをより低減することが可能である。
例えば、第2照射r2を第2走査R2の後に行う場合は、図2Cに示すように、第2照射r2は、第2走査R2の始点Eと重ならないように行うことが好ましい。この場合、第2照射r2は、第2照射r2の始点Cと第2走査R2の始点Eとの距離P1が2μm〜30μmの範囲で離れるように行うことが好ましい。第2照射r2を、第2照射r2の始点Cと第2走査R2の始点Eとの距離P1が2μm〜30μmの範囲で離れるように行うことにより、亀裂が発光素子領域6の内側に達することを抑制できるとともに、亀裂と他の改質領域からの亀裂とを精度よく繋げることができる。もしくは、第2照射r2の始点Cと第2走査R2の始点Eとの距離P1を上述した2μm〜30μmの範囲とすることにより、後述する割断の際に亀裂と他の改質領域からの亀裂とが精度よく繋がる距離にまで近づけることができる。
第2走査R2は、図2A及び2Dに示すように、第1照射の後、第1照射の始点に向かって行うことが好ましい。これにより、すでに第1照射による改質領域から亀裂が延びているため、この亀裂と、第2走査R2による改質領域から伸びる亀裂とを繋げることができ、発光素子領域6の内側に亀裂が達することを抑制することができる。
第2走査R2は、第1照射の始点と重ならないように行うことが好ましい。これにより、第2走査R2を第1照射r1の始点の手前で終えることができるために、第2走査R2の終点から付近の改質領域から伸びる亀裂が、発光素子領域6の内側に達することを効果的に抑制することができる。特に、第2走査R2を、第2走査R2の終点Fと第1照射r1の始点との距離P2が2μm〜30μmの範囲となるように離れるように行うことが好ましい。これにより発光素子領域6の内側へ亀裂が達することを抑制することができ、第2走査R2の終点の亀裂と第1照射の始点の亀裂とが繋がりやすい距離とすることができる。なお、第2走査R2を第1照射r1の手前で終える場合、第1照射r1は、六角形の頂点を始点とすることが好ましい。また、第2走査R2の後、後述する第3走査R3を行う場合、第2走査R2は、六角形の頂点を始点とすることが好ましい。
第3走査R3は、図2A及び2Cに示すように、第2走査R2の後、第2走査R2の始点Eに向かって行うことが好ましい。この場合、第3走査R3は、第2走査R2の始点Eと重ならないように行うことが好ましい。上述した理由で、第3走査R3は、第3走査R3の終点Hと第2照射の始点Cとの距離P3が2μm〜30μmの範囲となるように離れるように行うことが好ましい。また、図2Dに示すように、第3走査R3の始点Gと第1照射r1の始点Aとを離隔させることが好ましい。第3走査R3の始点Gと第1照射r1の始点Aの距離P4は、上述した2μm〜30μmの範囲とすることが好ましい。
また、基板2に、複数回のレーザ光の照射を行う場合、複数回のレーザ光照射において基板2内の照射位置を同じ深さの位置に設定して行ってもよい。
ウェハ10をレーザ光照射によって形成された改質領域に沿って割断し、それぞれの上面視形状が六角形である複数の発光素子を得る。これによって、意図した割断予定線に沿って、平面視形状が六角形の発光素子を、割断予定線から逸れて割断されることなく、良好な歩留まりで製造することができる。
ウェハは、例えば、伸縮性シート等を利用して割断することが好ましい。つまり、ウェハを伸縮性シートに貼着し、伸縮性シートを伸張することにより、ウェハを割断することができる。また、ローラー及びノッチ等を使用したチップブレーカーを利用する方法でウェハを割断してもよい。
ウェハの研削及び研磨は、当該分野で公知の方法のいかなる方法を利用してもよい。なかでも、ダイヤモンド等の砥粒を用いた研削及び研磨が好ましい。
上述した方法によって得られる発光素子20は、図3A、3B及び3Cに示すように、サファイアからなる基板2及びこの基板の上面に設けられた半導体構造3を備え、平面視形状が六角形の発光素子である。
半導体構造3は、基板2の上面側から順に、n側半導体層3aと、活性層3bと、p側半導体層3cとが積層された、例えば、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)による半導体層を有する。n側半導体層3aにはn電極4が電気的に接続され、p側半導体層3cにはp電極5が電気的に接続されている。なお、図3Aにおいて、n電極4とp電極5は省略されている。
さらに、図3Aに示すように六角形の頂点の近傍に相当するサファイア基板の一側面には、レーザ光が照射されずに亀裂によって割断された、改質領域が存在しない領域Tを有する。従って、発光素子におけるサファイアからなる基板2は、領域Sに相当する帯状の領域と、領域Tに相当する領域がその側面に存在している。また、領域Tには、領域Sから伸びる亀裂が存在していてもよい。なお、領域Tは存在していなくてもよい。
図1Aに示すように、サファイアからなる基板2のC面上に窒化物半導体からなる半導体構造3が形成されたウェハ10を準備する。基板2は、直径が4インチのものを用い、研磨後のウェハ10の厚みを200μmとした。その後、半導体構造の一部をエッチング除去して第1半導体層に接続した第1電極、第2半導体層に接続した第2電極をそれぞれ形成した。
次いで、得られたウェハを伸縮性シートの上に貼着し、図1Cに示すように、基板2の内部に、レーザ光LBを照射した。レーザ光LBの走査は、第1走査、第2走査及び第3走査を行った。レーザ光LBの第1走査、第2走査及び第3走査のそれぞれはサファイア基板のm軸に沿うように行った。さらに、レーザ光LBの走査は、第1方向に沿って第1走査を行うことで改質領域41を形成し、第2方向に沿って第2走査を行うことで改質領域42を形成し、第3方向に沿って第3走査を行うことで改質領域43を形成することで、発光素子領域6の上面視形状が六角形になるように行った。ここでの改質領域の形成は、レーザ光の照射を、第1走査における第1照射、第2走査、第3走査、第1走査における第2照射の順で行った。また、第1走査における第1照射と第1走査における第2照射は、平面視でウェハ3のオリエンテーションフラット面と平行な方向に行った。第1走査、第2走査及び第3走査のそれぞれのレーザ光の照射は、ウェハ10における半導体積層体が設けられていない側の面から2回行った。2回それぞれの集光位置の設定は、基板2の下面側から25μmの深さの位置に設定して行った。また、レーザ光の照射は、出力を0.18W、走査速度を400mm/s、周波数を50kHz、パルス幅を500psec、波長を532nm、スポット径を1μm〜2μm程度で行った。なお、第1走査は、第1照射の終点と第2照射の終点とが一致するように行った。
このような一連の工程によって得られた発光素子の歩留まりを評価した。
比較例として、第1走査において第1照射と第2照射とを行わず、第1走査を発光素子の一辺に相当する領域に連続的にレーザ光照射した以外は、上記と同様の条件でレーザ光照射を行って、平面視形状が正六角形の発光素子を製造した。
実施例において、比較例と比較して発光素子領域の内側へ亀裂が達した割合が大きく減少した理由として、サファイア基板における、亀裂が伸展しやすい方向が、第1走査における第1照射及び第1走査における第2照射を行った辺の方向に沿っていたためであると考えられる。つまり、実施例においては、平面視でウェハ3のオリエンテーションフラット面と平行な方向が、サファイア基板における亀裂が伸展しやすい方向に沿っており、平面視でウェハ3のオリエンテーションフラット面と平行な方向に第1走査における第1照射及び第1走査における第2照射を行ったことにより、発光素子領域の内側に亀裂が達する割合が大きく低減したと考えられる。
3 半導体構造
3a n側半導体層
3b 活性層
3c p側半導体層
4 n電極
5 p電極
6 発光素子領域
10 ウェハ
11 第1辺
12 第2辺
13 第3辺
14 第4辺
15 第5辺
16 第6辺
20 発光素子
41 第1改質領域
42 第2改質領域
43 第3改質領域
A (第1照射の)一端(始点)
B 第1位置
C (第2照射の)他端(始点)
D 第2位置
E (第2走査の)始点
F (第2走査の)終点
G (第3走査の)始点
H (第3走査の)終点
LB レーザ光
OL オリエンテーションフラット面
R1 第1走査
R2 第2走査
R3 第3走査
r1 第1照射
r2 第2照射
Claims (12)
- サファイアからなる基板及び前記基板の上面に設けられた半導体構造を有するウェハを準備する工程と、
レーザ光を走査して、前記基板に前記レーザ光を照射し、上面視形状が六角形の発光素子に割断するための複数の改質領域を前記基板の内部に形成する工程と、
前記ウェハを前記改質領域に沿って割断して、複数の前記発光素子を得る工程とを含み、
複数の前記改質領域を形成する工程は、
前記六角形の辺のうち互いに平行な第1辺と第2辺に平行な第1方向に沿って複数の第1改質領域を形成する第1走査と、
前記六角形の辺のうち互いに平行な第3辺と第4辺に平行な第2方向に沿って複数の第2改質領域を形成する第2走査と、
前記六角形の辺のうち互いに平行な第5辺と第6辺に平行な第3方向に沿って複数の第3改質領域を形成する第3走査とを含み、
前記第1走査は、前記第1辺の一端から前記第1辺の他端に向かって、前記第1辺の一端側から前記第1辺の一端と前記第1辺の他端の間の第1位置まで前記レーザ光を走査する第1照射と、前記第1照射の後、前記第1辺の前記他端から前記第1位置に向かって、前記第1辺の前記他端側から前記第1辺の前記他端と前記第1辺の前記一端の間の第2位置まで前記レーザ光を走査する第2照射とを含む発光素子の製造方法。 - 前記第1照射の照射領域と前記第2照射の照射領域とを、一部重ねる請求項1に記載の発光素子の製造方法。
- 前記第1照射の後、前記第1照射の始点に向かって前記第2走査を行う請求項1または2に記載の発光素子の製造方法。
- 前記第2走査を、前記第1照射の始点と重ならないように行う請求項3に記載の発光素子の製造方法。
- 前記第2走査を、前記第2走査の終点と前記第1照射の始点との距離が2μmから30μmの範囲となるように行う請求項3または4に記載の発光素子の製造方法。
- 前記第2走査の後、前記第2走査の始点に向かって前記第3走査を行う請求項3〜5のいずれか一項に記載の発光素子の製造方法。
- 前記第3走査を、前記第2走査の始点と重ならないように行う請求項6に記載の発光素子の製造方法。
- 前記第3走査を、前記第3走査の終点と前記第2照射の始点との距離が2μmから30μmの範囲となるように行う請求項6または7に記載の発光素子の製造方法。
- 前記第2照射は、前記第3走査の後に行う請求項6〜8のいずれか一項に記載の発光素子の製造方法。
- 前記第2照射を、前記第2走査の始点と重ならないように行う請求項9に記載の発光素子の製造方法。
- 前記第2照射を、前記第2照射の始点と前記第2走査の始点との距離が2μmから30μmの範囲となるように行う請求項9または10に記載の発光素子の製造方法。
- 前記レーザ光の照射を前記基板側から行う請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光素子の製造方法。
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