JP5298889B2 - 窒化物半導体素子 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化物半導体素子に係り、特に窒化物半導体基板を備えた窒化物半導体素子に関する。
近年、横方向成長(ELOG:Epitaxial Lateral Over-Growth)等の窒化物半導体結晶の成長技術の発達により、結晶性の良好な窒化ガリウム基板(GaN基板)からなる成長基板が開発されている。そして、この窒化物半導体基板に導電性を付与することにより、その表面に素子構造を形成し、裏面にn側電極を形成した対向電極構造の窒化物半導体素子が作製されている。
特開2002−299769号公報 特開2007−273844号公報 特開2002−016312号公報 特開2007−067209号公報 特開2004−071657号公報 特開2007−158008号公報 特開平11−016852号公報 特開2004−172568号公報 特開2005−268769号公報 特開2003−069075号公報
c軸成長されたGaN基板は通常、表面の(0001)面がガリウム極性面(Ga面)となり、裏面の(000−1)面が窒素極性面(N面)となるため、この窒素極性面に電極を形成すると、接触抵抗が高くオーミック接触が得られ難い問題がある。また、窒化物半導体基板の転位密度や結晶欠陥の分布、表面状態、及び導電性などの特性は、その結晶成長方法、条件、または製造ばらつきに依存して多様に変化する。そして、その基板に設ける電極のオーミック接触性や密着性などが、このような基板特有の特性に大きく影響される。それについて、上記の特許文献には、GaN基板の裏面である窒素極性面に種々の凹凸加工を施し、そこに電極を形成することにより、GaN基板と電極との接触抵抗を低減させたり、密着性を向上させたりすることが開示されている。
しかしながら、上記の特許文献に開示された窒化物半導体素子は、基板裏面に凹凸加工を施すことにより、電極のオーミック接触性や密着性を向上できたとしても、窒化物半導体基板の裏面の平坦性が損なわれてしまうために、結晶性が低下したり、順電圧の上昇を伴ったりする虞がある。
そこで、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、窒化物半導体基板の裏面に特有の凹凸構造を形成することで、その裏面加工により電極の密着性や耐熱性を十分に向上できることを新規に見出した。よって、本発明の目的は、オーミック接触性、密着性や耐熱性に優れた裏面電極で、長寿命で信頼性の高い窒化物半導体素子を提供することである。
本発明に係る窒化物半導体素子は、下記(1)〜(6)の構成により、上記目的を達成することができる。
(1) 互いに対向する第1面及び第2面を有する窒化物半導体基板と、前記第1面に設けられた素子構造と、前記第2面に設けられた電極と、を備える窒化物半導体素子であって、前記第2面には、底部に凹凸を有する溝部と、窒素極性の平坦部と、が設けられ、前記電極は、前記溝部を覆って設けられていることを特徴とする。
(2) 前記溝部の長手方向において、前記底部の凹凸は該長手方向に複数の凹凸が設けられた構造であり、該長手方向に直交する断面において、前記溝部の断面形状は、1つの尖形状、台形状、凸曲線形状、湾曲形状のいずれかからなることを特徴とする。
(3) 前記溝部の上面視形状は、破線状であることを特徴とする。
(4) 前記溝部は、前記電極の内側にのみ設けられていることを特徴とする。
(5) 前記溝部の深さは、2μm以上10μm以下であることを特徴とする。
(6) 前記溝部は、前記第2面にレーザ光を照射することにより設けられることを特徴とする。
本発明は、窒化物半導体基板の裏面の多くを占める領域を平坦部として、平坦性を保ちながら、他方、一部に設けられ、底部に凹凸構造を有する溝部として、その平坦部と溝部を覆って電極が設けられることで、オーミック接触性、密着性や耐熱性に優れた裏面電極を設けることができ、長寿命で信頼性の高い窒化物半導体素子を提供することができる。これは、基板の電極形成面の第2面において、従来のような面全体又は大面積を占める電極部分に凹凸構造が設けられると、基板面の平坦性が損なわれることで、実装性の低下や実装等の負荷による基板の結晶性の悪化、その実装時の熱履歴による電極の形状変化や熱応力による電極の接触状態の悪化、などにより、基板と電極との密着性や接触抵抗、基板の結晶性が悪化する場合があり、また、このような基板凹凸面と電極との不安定な接触状態、その接触部の基板の結晶状態により、素子駆動に伴って、電気特性が変化して、順電圧の上昇などを招く場合がある。これに比して本発明では、基板の平坦部が安定な電極形成面に寄与し、他方、溝部がその底部の凹凸構造でもって電極接触の電気特性に寄与し、両者が相乗的に働いて、電極の密着性、耐熱性を向上させ、ひいては素子の信頼性を向上させる。
本発明の一実施の形態に係る窒化物半導体素子の概略断面図である。 本発明の一実施の形態に係る半導体ウエハの(a)概略断面図と(b)裏面(第2面)側の概略上面図である。 本発明の一実施の形態に係る(a)基板の溝部を拡大した概略上面図と(b)該溝部の概略A−A断面図と、(c)(d)(e)該溝部のB−B断面において各々一実施の形態を示す概略断面図である。 本発明の一実施の形態に係る半導体ウエハの概略上面図である。 本発明の一実施の形態に係る半導体ウエハの概略上面図である。 実施例3における電極の接触抵抗の耐熱性を示すグラフである。
(窒化物半導体素子)
図1に示すように、本発明における窒化物半導体素子100は、窒化物半導体基板10の表面(第1面)側に素子構造19が形成され、窒化物半導体基板10の裏面(第2面)側に一方の導電型の電極17が形成された構造、いわゆる対向電極構造を有してなる。そして、窒化物半導体基板10の裏面において、窒素極性の平坦面の平坦部20と、裏面の一部に形成された溝部30と、を有する。また、平坦部20から溝部30を覆って電極17が設けられている。このような対向電極構造は、電流が直線的に流れやすく、熱の偏在が低減されるため、電流密度が高く動作に高い発熱を伴う半導体レーザ素子(LD)などには好適な構造である。そして、このような基板裏面に形成される電極に高い耐熱性が要求される半導体素子に対して、本発明は特に好適に効果を奏する。
図1に示す窒化物半導体素子100は半導体レーザ素子であって、例えば窒化物半導体基板10であるn型GaN基板上面の(0001)面上に、窒化物半導体からなる第1導電型半導体層11、活性層12、及びリッジ14が設けられた第2導電型半導体層13が順に積層され、そのリッジ14側面に埋込膜15と、その上に第2導電型の電極16、さらにパッド電極40が設けられている。また、素子構造19の端面は絶縁膜18に被覆されている。そして、基板裏面の(000−1)面側には窒素極性の平坦部20と溝部30とが設けられ、その平坦部の一部と溝部に第1導電型の電極17が設けられている。なお、本明細書において、上記第1及び第2導電型半導体層11,13をそれぞれn型半導体層、p型半導体層とし、第1及び第2導電型の電極17,16をそれぞれn側電極、p側電極とする例を説明するが、これに限定されず、例えばその逆であってもよい。以下に、図1〜5を参照しながら、その各構成要素について詳述する。
なお、本明細書において、主として窒化物半導体素子100として半導体レーザ素子の例を説明するが、これに限らず、窒化物半導体基板を有し該基板裏面に電極を有する窒化物半導体素子、例えば発光ダイオード素子(LED)でもあってよい。また、溝部及び電極の形成箇所は窒化物半導体基板に限らず、基板を除去した窒化物半導体からなる素子構造、例えば上記第1導電型半導体層11の(000−1)面側、窒素極性面側であってもよい。また、本明細書において、特定の結晶面を示す面指数(ミラー指数)中の「−1」、「−2」などの表記は、それぞれ「1」、「2」にアッパーバー(上線)を設けたものを指す。
(窒化物半導体基板10)
窒化物半導体基板10は、一般式InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなる半導体結晶から形成され、なかでも良好な結晶性が得られるGaN基板であることが好ましい。窒化物半導体基板10は、一般にサファイア基板等の異種基板上に、バッファ層などの下地層を介して、厚膜の窒化物半導体層をエピタキシャル成長(c軸成長)した後、異種基板を除去することにより生成される。結晶成長方法は、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、ハイドライド気相成長法(HVPE)などが用いられる。その他、結晶を育成する方法、例えば超臨界流体中で結晶育成させる水熱合成法、高圧法、フラックス法、溶融法等によるバルク単結晶でも良い。またその後、単体基板の少なくとも異種基板を除去した側の面を研磨して平坦化し鏡面とする。このとき、窒化物半導体基板10は、(000−1)面が窒素極性面となっており、GaN基板の場合、(0001)面がガリウム極性面となっている。ここで、研磨後の窒化物半導体基板10の裏面の表面粗さ(算術平均粗さRa;JIS―B0601規格)は、1nm以下であり、およそ0.5nm程度である。
また、窒化物半導体基板10に適宜、不純物をドープすることにより導電性を付与することができる。裏面にn側電極を形成するためには、特にシリコン(Si)又は酸素(O)をドープしてn型化することが好ましい。なお、p型化する場合のp型不純物としては、マグネシウム(Mg)が挙げられる。不純物濃度としては、好ましくは1×1017/cm3〜1×1021/cm3の範囲、さらに好ましくは5×1017/cm3〜1×1020/cm3の範囲に調整する。このような範囲であれば、電極との良好なオーミック接触が得られる。GaN基板の転位密度は、好ましくは1×106/cm2以下である。
一般に、GaN基板のC面のガリウム極性面と窒素極性面とは化学的性質が異なり、窒素極性面の方が反応性に乏しく、ファセット面などの窒素極性面以外の結晶面に電極が接して設けられることにより、電極のオーミック接触性が向上する傾向にある。本発明においては、窒化物半導体基板10の裏面の窒素極性の平坦面に対し、その一部に特有の形状、例えば平坦部の窒素極性面と異なる表面が露出される形状の底面、内壁面、を有する溝部30を設ける。これにより、その溝部30には、窒素極性面以外の結晶面、例えばM面{1−100}、A面{11−20}、R面{1−102}、又は結晶面に依らず基板の表面が露出されることになる。そして、電極17を平坦部20上と溝部30内に連続して形成することで、溝部30の内面、特にその窒素極性面以外の表面と電極17とが接し、且つ平坦面にも電極が設けられることで、オーミック接触性や耐熱性を大幅に向上させ、且つ、平坦部による密着性の向上とその安定性を向上させることができる。
(電極17)
窒化物半導体基板10に設けられる電極17、基板のオーミック電極は、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)から成る群より選ばれる少なくとも1つを有し、好ましくは、これらの多層膜により形成する。なかでも、窒化物半導体基板10の裏面に接する第1層目はTi、V、Nb、W、Mo、Hfのいずれかが好ましく、例えば、基板側からTi(150Å)/Pt(2000Å)/Au(3000Å)の積層構造とする。電極17はスパッタ法、CVD法、蒸着法などにより形成できる。電極17の総膜厚は10000Å以下、好ましくは6000Å以下とする。また、窒化物半導体基板10の裏面に形成する電極17は、n側電極であることが好ましい。なお、この電極17の上に、メタライズ電極(パッド電極)を別途設けてもよい。
電極17は、半導体ウエハ200上に区画される各素子領域25の略全域に形成してもよく、図2に示すように、1つの素子領域25内に島状、ストライブ状、格子状などパターン形成することもできる。好ましくは、素子領域25の境界より離間して内側に形成し、具体的には該素子領域25の形状に適合した島状、四角形、矩形状に形成すると良い。例えば、矩形状の素子領域25内において、境界近傍の内周部に基板を露出し、その内側に1つの矩形状の電極17を形成する。これにより、半導体ウエハ200のダイシングや劈開を安定的に行うことができる。内周部に露出される平坦部20、つまり離間領域の幅は、10μm〜30μm程度である。
さらに、電極17は後述する溝部30の内壁に沿って、連続的に形成されていることが好ましいが、電極17が形成されず溝部30表面が部分的に露出されていてもよい。また電極17は通常、後述する溝部30の深さよりも膜厚が小さく、電極17の表面にも溝部30の形状に対応した溝状の凹部が設けられる。この電極表面の凹部により、半導体チップ100を実装基板やサブマウントなどに共晶実装した際、電極17と導電性ペーストとの濡れ性、密着性(ダイシェア強度)を調節することもでき、それにより各特性を向上させるともできる。
(溝部30)
窒化物半導体基板10の裏面に溝部30を形成する方法としては、酸・アルカリ薬液によるウエットエッチング、RIE(反応性イオンエッチング)などのドライエッチング、ダイサー、ダイヤモンドスクライバなどの機械的加工やレーザスクライバによるレーザ加工、更にこれらの組合せにより形成することができる。本発明では、特にレーザ加工を用いることが好ましい。レーザ加工、レーザスクライバでは、高速、高精度に溝部加工ができるので好ましい。また、溝部領域の画定においてフォトリソグフィなどの工程を要さず、物理的な接触、負荷や衝撃による半導体ウエハの破損の虞も少ないため、工程の順序を問わず、例えば、基板表面に素子構造を形成後、又は電極、保護膜を形成後に溝部形成工程を設けることができ、溝部を量産性良く形成することができる。以下、そのレーザスクライバにより、半導体ウエハ200の窒化物半導体基板10の裏面に溝部30を形成する場合について詳述する。但し、これに限らず、上記加工方法により、同様の構造を有する溝部を形成しても良い。
レーザスクライブ装置は、高出力のパルス発振のレーザ光源を具備する。一例として、レーザ光の波長は150nm〜600nm程度、エネルギーは0.1W〜10W程度のものが挙げられる。具体的には、YAGレーザ(第3次高調波:THG)、COレーザ、エキシマ・レーザ、フェムト秒レーザなどが好適に用いられる。特に、YAGレーザやフェムト秒レーザは熱による変質が少なく、比較的滑らかな加工面が得られる。また、COレーザは特にレーザ出力を上げることができる。
レーザスクライブ装置によって照射されるレーザ光は、レンズなどの光学系により所望の位置に焦点を調節することができる。そして、基板のレーザ光の照射部が選択的に飛翔することで、基板に凹部が形成される。また、その凹部の形状は、レーザ光のビームスポットの形状、ビーム径、レーザ出力、焦点深度、レーザ光の出力・走査条件などに依存する。例えばフィルタを通すなどして、ビームスポットの形状を真円、円形状、楕円状や矩形状など所望の形状に調節することもできる。通常は、円形状のビームスポットであり、単一のパルス光の照射により、丸みを帯びた内壁の凹部が基板に形成され、その場合、凹部の側面は傾斜面となり、断面形状は図3(c)に示すような1つの曲面からなる凹部となる。これにより、凹部内壁に窒素極性面以外の結晶面、表面が露出される。また、凹部が曲面からなることで、平坦な底面を有する凹部に比べて表面積を増大させることができる。
本発明において、窒化物半導体基板10の裏面に形成する溝部30は、図3(a)上面図、(b)AA断面図に示すように、上記集光された単一のパルス光により形成される凹部30aが、互いにその一部が重なり合うように形成され、複数の凹部30aが連結されることにより形成されることが好ましい。これは、レーザ光の走査速度、発振周波数、及びビーム径(凹部の径)の関係に起因する。ただ、これに限定されず、各凹部が互いに離間されて形成され、ドット状に分布した複数の凹部とすることもできる。
また上述のように、本発明の溝部30は、図3(b)に示すように、複数の凹部30aが連結されて構成されることで、溝部30の長手方向に沿った断面において、溝部30の底部には凹凸が形成される。この凹凸構造は、各凹部30aの底部が連結されて形成され、隣接する凹部30aの連結部が尖形状の凸部となっている。このように、溝部底部の凹凸構造が、凹曲面を溝の長手方向に連続して設けた構造とすることで、その凹部30aの表面に電極17を連続的に滑らかに密着させて設けることが可能となる。この凹凸の段差は0.1〜0.3μm程度となる。また、複数の凹凸からなっており、基本的には周期的な凹凸である。この周期は、主に上記レーザ光のパルスと走査条件によって決まり、通常3〜5μm程度となる。他方、長手方向に直交する断面においては、図3(c)〜(e)に示すように、単一の尖形状、台形状、凸曲線形状、湾曲形状のいずれかからなっている方が良い。つまり、その直交断面で複数の凹部が設けられる形状より、1つの凹形状で構成される方が、電極の形成において、好適な接触面が形成される。これは、溝の幅は溝方向に比して、十分に小さな寸法であるため、幅方向に複数の凹部を有する形態、例えば図3(c)〜(e)の点線部(電極17)で示すような形態、であると、細かな凹凸構造と電極との間や凹部内に充填された電極内部に、空隙や成膜の偏りができ、却って接触不良の発生や耐熱性悪化になり易いことによる。溝部30の底部に凹凸が形成されることで、窒素極性面以外の面がその凹凸構造の表面に多く露出されることになる。図3(c)のように台形状であると、比較的に広く平坦な底部を有することで、上記底部の凹凸と電極17との接触、密着を良好にできる形態であり、図3(d)のように円形状、楕円形状、凸曲線形状であると、上記図3(c)に劣るが、それでも比較的広く平坦な底部で好ましく、また側壁部と底部とが緩やかであるため、その境界部分、側壁部分での電極17の形成、及び接触、密着を良好にできる形態であり、特に溝深さが浅い場合に有利となる。他方、図3(e)のように三角形状、尖形状であると、その尖った部分で上記空隙、偏りが発生しやすく、電極17の接触、密着で劣る形態となる。また、基板の信頼性、割れやすさは、図3(d)の上記滑らかな形態が好ましく、次に、比較的に広く平坦な底部の図3(c)の形態が良く、図3(e)のように尖形状の形態であると割れやすくなる傾向にある。尚、図3(c)〜(e)では、平坦部20と溝部30との境界に角を有しているが、丸みを帯びた形状のように、比較的滑らかで、なだらかに変化する境界でも良く、深さが電極の厚さより十分に大きい場合には、断絶を避けるために後者の形態が好ましい。
図3(a)に示すように、細かく見れば、上面視における溝部30の輪郭は、複数の円弧が連結されたような形状を有している。このような形状を有することにより、溝部内壁の表面積が増大され、ひいては溝部内壁に露出される窒素極性面以外の結晶面、表面を増大させることができる。なお、溝部30の表面積(総計)は、窒素極性面の平坦部の表面積に対する比において、少なくとも0.005、好ましくは0.05以上とする。0.005未満では、窒素極性面以外の面の露出が少なく電極への効果が得られ難く、0.05未満では効果が不安定となりやすい。上限値は0.5以下、好ましくは0.3以下、さらに好ましくは0.2以下とする。溝部30の占める割合が上記範囲より大きくなると、基板裏面の平坦性が損なわれ、基板が脆くなる虞がある。
さらに、溝部30の深さは2μm以上10μm以下であることが好ましく、さらに5μm以上8μm以下が好ましい。2μm未満では溝部形成による電極の耐熱性向上の効果が不安定となる傾向がある。他方、10μmより深く形成すると、ダイシング工程や劈開工程において、溝部30が基点となって、半導体ウエハ200やチップ100にクラックや割れを生じる虞がある。なお、ここでいう「深さ」とは、基板裏面の平坦部20の上面から溝部30の最深部までの長さとする。溝部30の幅は、上記レーザ光のスポット径により決まり、特に限定されないが5〜10μm程度である。
また、レーザ光の走査により形成される溝部30の上面視形状は、図2(b)に示すように、基本的に線状となり、その場合、上記溝部の長手方向は走査方向になる。この線状の溝部30は、曲線状、円環状に形成してもよいが、直線状に形成することが加工効率の上で好ましい。さらに、溝部30は連続する1つの線状であってもよいが、複数に分断された破線状、又は点線状に形成することが好ましい。また、溝部30を複数、例えば1つの素子領域において線状の溝を複数本、形成する場合は、図2に示すように互いに略平行に形成するほか、互いに異なる方向、例えば図4に示すように、縦溝31と横溝32が互いに交差する十字状、格子状などに形成することもできる。また図5に示すように、レーザ光の走査条件などにより、走査方向に直交する方向に隣接する2つの素子領域25内において、2つの縦溝33と34の位置が走査方向にオフセットされていてもよい。図5ではウエハ200内で互いに溝部間隔の異なる溝33,34としているが、このように溝の周期を異ならせるには、溝部の長さ、間隔のいずれかを異なるようにウエハ内に形成すれば良い。また、1つの素子領域内に複数の溝部を設けて、同様な配置の溝部としても良い。
連続した溝、溝部の形態よりも、分断された溝及びその溝部とすることで、後述のウエハ割れに対して、それを抑制でき、また、その分断に平坦部が配置されることで、その平坦部による効果を高められ、溝が連続することによる電極不良も低減でき好ましい。また、溝及び溝部の形状において、交差する方向に溝が設けられると、電極領域内で広く溝部が設けられて好ましいが、後述のウエハ割れを抑えるため、一方向に設けられることが好ましい。また、互いに周期構造等の配列が異なる溝若しくは長さと間隔が異なる複数の溝部である線状の溝の形態の場合において、互いに相違することで、溝による後述の割れ作用、誘因傾向を互いに異ならしめることでそれを抑え、電極領域内で広く点在した溝部と、それに隣接する平坦部とでき、各部の作用を広く機能させることができ好ましい。他方、それが同一の形態の場合は、各部の作用、特に溝部の作用を、電極領域内でその集中部に高めることができ好ましい。このように、溝部による作用効果が、溝の方向、溝部の長手方向に依存する傾向があるため、適宜その方向、形態を設定すると良く、例えば、長手形状の電極に対しては、その長手方向に略平行な溝部とすると、その方向に溝部による接触作用を高められる。さらに、電極内に溝部が配置され、その溝部を囲んで、溝部が配置される溝部領域は、上記溝及び溝部の形態に依存するため、同様に、溝部領域の長手方向を素子領域、電極の形状に合わせると良い。
溝部30は、半導体ウエハ200上において、区画される素子領域25に対して、境界を跨って連続して形成する形態でもよいが、境界から離間されて設けられることが好ましい。つまり、ウエハ割断後、チップ化後のバー状ウエハや半導体チップ100において、基板裏面の端部近傍(周縁部)には窒素極性面の平坦部20が設けられており、その周縁部より内側に溝部30が形成されている。隣接する素子領域25に連続して溝部30を形成すると、切断後のチップ端面に電極20のダレが生じやすく、そこから電極20が剥がれる虞があるが、上記のように離間領域を設ければ、これを防止することができる。また素子領域25の周縁部に溝部30を設けず平坦部20を残存させることで、基板を強固に保ち、後述のようなウエハ分割に誘因される割れを防止することができる。このため、溝部30は、基板裏面の電極17の内側のみに形成することが好ましい。
また、後述の実施例で説明するように、このようなウエハに設けられる溝は、ウエハ切断用の溝と同様な方法で形成されるものであるため、溝及び溝部の形態、具体的には溝方向及び深さ、に依っては、ウエハ割れの誘因となるため、それを抑えるように設けることが好ましい。例えば、実施例のように補助溝を設ける場合には、溝部30深さをその補助溝深さより浅くすること、特に、溝形態の異なる補助溝が複数ある場合には、その深い方の補助溝より浅く形成し、好ましくは、いずれの補助溝より浅く形成する。また、深さより影響が小さいが、溝部30の幅、長さにも依存するため、その幅及び/又は長さを、補助溝、若しくは異なる形態の補助溝の内、狭い方及び/又は短い方より、広く及び/又は短く形成し、好ましくは、いずれの補助溝よりも広く及び/又は短く形成し、さらに好ましくはその幅及び長さを具備することである。さらに、溝及び溝部は、その補助溝と面内で同じ位置にあるより、離間されていることが好ましく、具体的には、素子領域周縁から離間され、好ましくは、その周縁から離間されて形成された電極内に設けられる。それとは別に、溝方向、溝部の長手方向は、上記補助溝によるウエハ切断時に、その補助溝の方向に略平行であると、それに誘導されて割れが発生する虞があるが、その補助溝方向に交差する方向、例えば傾斜角が30度以上、であると、その影響を低く抑えることができる。他方、レーザ素子のように、素子領域が長手形状である場合には、それに合わせて電極が長手形状に形成される場合が多く、この場合、実施例などで説明するように、その長手方向に合わせて、溝、溝部を設けることが好ましい。
以上のように、本発明においては、窒化物半導体基板の裏面において、窒素極性面以外の結晶面を溝部内に局所的かつ高密度に露出させることができる。したがって、研磨やエッチングにより裏面のほぼ全面に凹凸加工を施す従来技術に比べて、より少ない加工量で、窒化物半導体基板の裏面に、耐熱性及びオーミック接触性の高い電極を形成することが可能である。また、基板裏面に凸部ではなく溝部を形成し、該溝部内において窒素極性面以外の結晶面を露出させることで、加工後においても基板裏面の平坦性や結晶性を維持することができる。
以下、本発明に係る実施例を挙げて、素子構造など、本発明に係る他の構成についても併せて説明する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
〔実施例1〕
本発明の基板上の素子構造の例として、以下に窒化物半導体レーザ素子の構造及びその製造方法を説明する。まず、厚さ400μmのn型GaNからなる窒化物半導体基板10をMOCVD反応容器内にセットし、以下の窒化物半導体層を積層して、素子構造19を形成する。基板表面はC面(0001)であり、下記半導体結晶をc軸成長させる。n側層の第1導電型層として、膜厚2μmのSiドープAl0.03Ga0.97Nのn側クラッド層層、膜厚175nmのGaNのn側ガイド層、を積層し、
次に活性層として、膜厚14nmのSiドープIn0.02Ga0.98Nの障壁層と膜厚7nmのSiドープIn0.07Ga0.93Nの井戸層を2回繰り返して、最後に障壁層を積層し、
次にp側層の第2導電型層として、膜厚10nmのMgドープAl0.3Ga0.7Nの電子閉じ込め層、膜厚145nmのGaNのp側ガイド層、各膜厚2.5nmMgドープAl0.1Ga0.9NとGaNを交互に積層してなる超格子の膜厚0.45μmのp側クラッド層、膜厚15nmのMgドープGaNのp側コンタクト層、を積層し、
積層構造を形成する。
次いで、上記基板10上に窒化物半導体層の素子構造19を有する半導体ウエハ200を、反応容器から取り出し、p側コンタクト層上に所望の形状、パターンのSiO2のマスクを形成し、このマスクを介して、p側コンタクト層側から、n側クラッド層の途中までエッチングし、図1,2に示すように、n側クラッド層の露出領域(及び第1の分割補助溝)を形成して、複数の素子領域25に区分する。本実施例1では、1つの素子領域25の寸法は、共振器方向の長さを300μm(共振器長)、共振器方向に直交する幅を120μmとする。続いて、素子領域25の最上層のp側コンタクト層の表面に、幅2.3μmのストライプ状のSiOよりなるマスクパターンを形成し、RIE(反応性イオンエッチング)を用い、p側クラッド層とp側光ガイド層との界面付近までエッチングを行い、ストライプ状のリッジ14を形成する。ここで、窒化物半導体レーザ素子の寸法としては、共振器長は200〜1mm、幅は100〜500μm、程度の各範囲とできる。
次に、前記マスクを有する状態で、窒化物半導体層の表面に膜厚100nmのZrO2の保護膜を形成し、リフトオフ法によりSiO2よりなるマスクとともに、p側コンタクト層上に形成されている保護膜を除去する。これにより、図1に示すように、素子領域25のリッジ14側面とその横に露出されるp側ガイド層表面に、ZrO2の埋込層15が設けられる。続いて、p側コンタクト層のリッジ最表面に、リッジ14よりも幅広のストライプ状で、上記絶縁膜を覆ってp側オーミック電極16を形成し、さらにSiO2からなる絶縁膜18を埋込膜の端部から素子構造の側面にわたって形成した後、その上にp側オーミック電極16と電気的に接続したp側パッド電極を形成する。更に、レーザスクライブ装置で、破線状にレーザ光を走査して、第1の分割補助溝の中央部分に第2の分割補助溝を形成する。この時、第1,2の分割補助溝は、それぞれ、深さ約2.5μm、幅約2〜3μmと、深さ約6〜8μm、幅約6〜8μmと、する。
次に、n型GaN基板10の裏面を機械的に研磨して、ウエハの厚さ約80μmとする。そして、レーザスクライブ装置で、GaN基板10の裏面(研磨面)にレーザ光を走査して溝部30を形成する。ここでは、周波数70kHzのパルス発振のYAGレーザ(THG光:波長355nm)を光源とするレーザスクライブ装置を用いる。レーザ光の走査により形成される1つの溝部30は、共振器方向に略平行な線状で、長さ約50〜100μm、幅約5〜8μm、深さが約5μmであり、1つの素子領域25内において、1本の溝に溝部30が等間隔、約60μmで配列された破線状の溝で、素子内の3本の溝を間隔約50μmに形成する。特に本実施例1では、素子領域25の中央部に1本、その両側に略均等の間隔で1本ずつ溝及びその溝部30を形成して、1つの素子領域25に3本の破線の溝、合計6つの溝部30を形成する。この時、溝部の平面形状は略長方形状であり、その長手方向は走査方向となり、該方向の線状の溝を複数設けた形態となっている。尚、図1,2(a)は共振器方向に略垂直な断面の概略図であり、図2(b)、及び図4,5は、電極17の長手方向が共振器方向となっている。また、その内の少なくとも1本の溝は、導波路に重なって設けられ、このように導波路の溝部とすることで、好適な電流注入が可能となる。
その後、溝部30が設けられたGaN基板10の裏面を、酸などを用いて洗浄して溝部30内の残渣を除去する。そして、GaN基板10の裏面に化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を施して更に窒素極性面の平坦化を行う。これにより、溝部の深さは約5μmとなる。その後、溝部30を有するGaN基板10の裏面に、Ti(膜厚15nm)/Pt(200nm)/Au(300nm)を順に積層してn側オーミック電極17を形成する。このn側オーミック電極17は、素子領域の共振器方向の端から各々約10μm、その両側の端から各々約15μm、それぞれ内側にその端部が位置する矩形状に形成する。すなわち、GaN基板10裏面のn側オーミック電極17の外周には窒素極性面(平坦部20)の露出領域が形成される。
次に、第1,2の分割補助溝に沿ってウエハを劈開してバー状とし、そのレーザバーの劈開面に共振器面となる。上記レーザバーの共振器面に誘電体膜として、光出射側には膜厚70nmのAl23を、反射側にはZrO2及びSiO2(総膜厚700nm)の積層膜を形成する。その後、共振器方向に略平行な方向に、例えば、図2のリッジ14の長手方向に沿って、素子領域25間を分割し、バー状のウエハをチップ化し、図1に示すレーザ素子を作製する。
このようにして得られる半導体レーザ素子は、発振波長約405nm、共振器長約300μm、幅約120μmのレーザチップである。そして、サブマウントまたは導電性ペーストを介してステムなどの基体にダイボンディング及びワイヤーボンディング後、キャップを施して半導体レーザ装置とすることができる。
〔実施例2〜4及び比較例1〕
以下に、溝部の数、形状による電極の密着性への影響について調べる。比較例1は、窒化物半導体基板10の裏面に溝部30を形成せず、窒素極性面からなる平坦部20のみとする。実施例2は、1つの素子領域25内の溝部30の数を実施例1より増やして5本の破線の溝(合計10の溝部)とする。実施例3は、溝部の数を実施例1より減らして1本の破線(合計2つの溝部)とする。なお、これらの溝の破線(溝部の間隔)、溝部の長さ、幅、深さについては上記実施例と同じである。この他、実施例4として、図4に示すように、素子領域25内の共振器方向及びそれに直交する方向の溝が中央で交差し、素子領域25を横断する溝部30を形成して十字状の溝部30とする。この時、溝部の幅と深さは実施例1と同様とする。
各実施例、比較例1の窒化物半導体レーザ素子のn側オーミック電極17側をサブマウント上に共晶実装して剥離した際のダイシェア強度を評価する。比較例1のダイシェア強度を1.0として規格化すると、実施例3が1.2、実施例1が1.4、実施例2及び4がともに1.9のものが得られる。これらから、ダイシェア強度、すなわち窒化物半導体基板10の裏面に対する電極17の密着性は、溝部30の加工面積の増加に伴って大きくなる傾向がある。また、実施例2と実施例4とを比較すると、ダイシェア強度は同じであるが、溝部30の総面積、又は素子領域もしくは電極領域に占める平坦部と溝部の比、[(平面視の)溝部の面積]/[平坦部の面積]、は実施例4のほうが実施例2より小さい。したがって、十字状あるいは格子状など、複数の溝部30、溝の長手方向が互いに異なる上面視形状、また溝部同士が交差する構造のほうが電極の密着性には有効であることがわかる。
〔実施例5〜7〕
以下に、溝部の深さによる電極の耐熱性への影響について調べる。実施例5では、実施例1における溝部30の深さを2.5〜2.9μmとしてその他は同様にレーザ素子を作製する。また、実施例6は実施例1における溝部30の深さを0.2〜0.3μmとし、実施例7は、実施例1における溝部30を1本の破線の溝(2つの溝部を有する素子)とし、その深さを0.7〜2.0μmとして、それぞれレーザ素子を作製する。なお、比較の為に、上記比較例1を用いる。なお、図6においては、実施例5,6,7、比較例1をそれぞれ(A)、(B)、(C)、(D)として表記している。また、図中(X)は高温保管試験前を示す。
これらの溝部30を形成した窒化物半導体レーザ素子を、大気中、各温度条件下で30分間放置し、その後の接触抵抗を測定して電極17の耐熱性を評価すると、図6に示されるように、250℃までは各例とも大差はないが、300℃から接触抵抗の上昇傾向が観測され、各例でその傾向に違いが観られるものとなる。そのなかで、最も深い溝部30が形成されている実施例5(図中A)において、接触抵抗の上昇が最も抑制されており、電極17の耐熱性が向上していることがわかる。また、実施例6(図中B)と実施例7(図中C)を比較すると、溝部の数は多いが比較的浅い溝部を有する実施例6のほうが、接触抵抗の上昇が抑制されており、ごく浅い溝部であっても電極17の耐熱性の向上効果が高いことがわかる。このように、窒化物半導体基板10の裏面に設ける電極17の耐熱性についても、溝部30の加工面積の増加に伴って大きくなる傾向がある。ただ、浅い溝部では、溝の形成及び電極特性にバラツキが生じ易いため、安定的に耐熱性の向上効果を得るには、溝部30の深さを2μm以上とすることが好ましい。このように、実施例5と6の比較から、溝部の条件が同じ場合に、その深さが深い方が特性に優れ、特に、電極の膜厚(約0.5μm)よりも深い実施例5において、それより浅い実施例6より、効果に優れることが分かる。これは、図1に示すように、浅い溝部では溝部内の表面積が小さくなることにも起因するが、溝部底面の凹凸構造を有するため、溝が浅いと、研磨時に溝部の内面、特に底部の凹凸に悪影響が与えられたり、それによる不十分な凹凸形成となったり、その電極との接触が不十分となったり、することによると考えられ、また、製造時のバラツキを考慮すれば、溝部の深さを深くする方が良い。
〔実施例8〜10〕
次に、実施例8として、電極材料による電極の密着性及び耐熱性への影響について調べる。電極の材料以外の構造及び製造方法は、実施例1と同様とし、n側オーミック電極17の第1層をTiにより形成する。同様に、実施例9では、n側オーミック電極17の第1層をバナジウムVにより形成し、V/Pt/Auの積層構造とし、実施例10ではn側オーミック電極17の第1層をNbにより形成し、Nb/Pt/Auの積層構造とする。
これらの電極構造を有する窒化物半導体レーザ素子について、密着性及び耐熱性を評価する。耐熱性においては、溝部30を形成しない状態では、実施例8(Ti)が最も良く、次いで実施例9(Nb)、実施例10(V)の順に低下するが、全ての電極構造においてほぼ同等の耐熱性となり、溝部の形成により電極構造に依らず耐熱性が向上する。また、密着性(ダイシェア強度)については、溝部30を形成しない状態では、実施例10(Nb)が最も良く、次いで実施例8(Ti)、実施例9(V)の順であるが、溝部30の形成により全ての電極構造において密着性が向上する。したがって、いずれの実施例においても、溝部30の形成により、密着性及び耐熱性の向上が確認でき、またn側オーミック電極17としてTiが好ましい。
以上より、従来の基板裏面を粗面化したり、凹凸構造を設けたり、して接触面の略全面で粗面、凹凸構造が設けられる電極の場合に比して、本発明の素子では、基板に平坦部を有して溝部が部分的に設けられることで、平坦部が設けられることによる電極との安定な接触面の形成に寄与し、他方、部分的、比較的小面積で設けられる溝部において、その内壁面、特に底面に特有の凹凸構造、基板結晶の露出表面を設けることで、基板と電極との接触等の電気特性に寄与し、然るに、その平坦部と溝部を有する電極構造とすることで、耐熱性、接触抵抗に優れ、ひいては実装性、素子信頼性に優れる素子とできる。
本発明は、窒化物半導体基板の窒素極性面側に電極を有する全ての半導体素子及び該半導体素子が実装された半導体装置に好適に適用することができる。例えば半導体レーザ、発光ダイオードなどの発光素子のほか、トランジスタなどの電子デバイス、また受光素子や太陽電池などに利用可能である。
10 窒化物半導体基板
11 第1導電型半導体層(n型半導体層)
12 活性層
13 第2導電型半導体層(p型半導体層)
14 リッジ
15 埋込膜
16 第2導電型の電極(p側電極)
17 第1導電型の電極(n側電極)
18 絶縁膜
19 素子構造
20 平坦部(窒素極性面)
25 素子領域
30 溝部
31 縦溝1
32 横溝
33 縦溝2
34 縦溝3
40 パッド電極
100 窒化物半導体素子、半導体チップ
200 半導体ウエハ

Claims (3)

  1. 互いに対抗する第1面及び第2面を有する窒化物半導体基板と、前記第1面に設けられた素子構造と、前記第2面に設けられた電極と、を備え、共振器面が劈開面である窒化物半導体レーザ素子の製造方法であって、
    前記窒化物半導体基板の第1面に前記素子構造が形成されたウエハを準備する工程と、
    前記窒化物半導体基板の第2面に、レーザ加工により、共振器方向と平行な方向において、深さが2μm以上10μm以下であり底部に凹凸を有する溝部を形成する工程と、
    前記窒化物半導体基板の第2面において、前記溝部と、前記溝部が設けられていない窒素極性の平坦部と、を覆うように前記電極を形成する工程と、
    前記ウエハを劈開することにより、前記共振器面を有する複数のレーザバーを得る工程と、
    前記レーザバーを共振器方向に平行な方向に分割して個々の窒化物半導体レーザ素子を得る工程と、を備える窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  2. 前記溝部を形成する工程において、レーザを複数回照射することで、前記溝部を形成する請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  3. 前記溝部を形成する工程において、前記溝部の側面を傾斜するように形成する請求項1乃至2に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
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