JP6967951B2 - 基板処理方法および基板処理装置 - Google Patents

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Description

開示の実施形態は、基板処理方法および基板処理装置に関する。
従来、半導体の製造工程では、半導体ウェハ等の基板を薬液で処理する液処理工程、基板に残存する薬液をリンス液で除去するリンス工程および基板を乾燥させる乾燥工程が、この順番で連続的に行われる。
乾燥工程では、有機溶剤が使用される場合がある。たとえば、揮発性有機溶剤であるIPA(イソプロピルアルコール)を基板に供給することによって基板上のリンス液をIPAに置換し、IPAの揮発により基板の表面を乾燥させる方法が知られている(特許文献1参照)。
特開2014−130931号公報
しかしながら、有機溶剤には金属不純物が含有されており、乾燥工程において有機溶剤を使用することで、有機溶剤に含有されている金属不純物が基板に付着するおそれがある。
実施形態の一態様は、有機溶剤に含有されている金属不純物の基板への付着を抑制することのできる基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
実施形態の一態様に係る基板処理方法は、液処理工程と、乾燥工程とを含む。液処理工程は、基板に処理液を供給する。乾燥工程は、有機溶剤を使用して液処理工程後の基板を乾燥する。そして、実施形態の一態様に係る基板処理方法では、乾燥工程において使用される有機溶剤に酸性材料が添加される。
実施形態の一態様によれば、有機溶剤に含有されている金属不純物の基板への付着を抑制することができる。
図1Aは、従来の乾燥処理の内容を示す図である。 図1Bは、従来の乾燥処理の内容を示す図である。 図1Cは、従来の乾燥処理の内容を示す図である。 図2は、有機溶剤の供給時間と金属不純物の基板への付着量との関係を示すグラフである。 図3Aは、第1の実施形態に係る乾燥処理の内容を示す図である。 図3Bは、第1の実施形態に係る乾燥処理の内容を示す図である。 図3Cは、第1の実施形態に係る乾燥処理の内容を示す図である。 図4は、第1の実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。 図5は、処理ユニットの概略構成を示す図である。 図6は、第1の実施形態に係る処理ユニットおよび処理流体供給源の構成を示す図である。 図7は、処理ユニットが実行する基板処理の手順の一例を示すフローチャートである。 図8は、第2の実施形態に係る処理流体供給源の構成を示す図である。 図9は、第3の実施形態に係る処理流体供給源の構成を示す図である。 図10は、第4の実施形態に係る処理ユニットおよび処理流体供給源の構成を示す図である。 図11は、第4の実施形態に係る乾燥処理の手順の一例を示すフローチャートである。 図12は、第5の実施形態に係る乾燥処理の手順の一例を示すフローチャートである。 図13は、第6の実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。 図14は、第6の実施形態に係る乾燥処理の手順の一例を示すフローチャートである。 図15は、第7の実施形態に係る処理ユニットおよび処理流体供給源の構成を示す図である。
以下に、本願に係る基板処理方法および基板処理装置を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る基板処理方法および基板処理装置が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
(第1の実施形態)
〔1.乾燥処理の内容〕
まず、第1の実施形態に係る乾燥処理の内容について、従来の乾燥処理と比較しつつ説明する。図1A〜図1Cは、従来の乾燥処理の内容を示す図である。また、図2は、有機溶剤の供給時間と金属不純物の基板への付着量との関係を示すグラフである。また、図3A〜図3Cは、第1の実施形態に係る乾燥処理の内容を示す図である。
図1Aに示すように、従来の乾燥処理では、まず、回転する基板の表面に有機溶剤を供給する(有機溶剤供給処理)。つづいて、図1Bに示すように、有機溶剤の供給を停止し、基板の回転数を増加させることにより、基板上の有機溶剤を振り切りながら揮発させる(振切処理)。これにより、図1Cに示すように、基板上から有機溶剤が除去されて、基板が乾燥する。
ここで、有機溶剤には、金属不純物(以下、単に「金属」と記載する)が微量に含有されている。たとえば、IPA(イソプロピルアルコール)には、0.1ppb以下の金属が含有されている。したがって、乾燥処理において有機溶剤を使用することで、有機溶剤に含有される金属が基板に付着するおそれがある。
図2は、有機溶剤であるIPAを100mL/minの流量で供給した場合における基板への金属の付着量を、有機溶剤の供給時間を変えながら測定した結果を示すグラフである。図2に示すように、乾燥処理後の基板には金属が付着していることがわかる。また、基板に付着する金属の量は、有機溶剤の供給時間が長くなるほど多くなることがわかる。
また、図2に示すグラフにおけるY切片(縦軸との交点)の値は、有機溶剤の供給時間に関係なく、有機溶剤が揮発する過程で基板上に付着する金属の量を示していると考えられる。すなわち、図1Bに示す振切処理の初期において、基板上の有機溶剤は、回転によって振り切られて1μm程度に薄膜化される。その後、有機溶剤が揮発する際に、1μm程度の有機溶剤中に含まれている金属が残留物として基板上に堆積すると推測される。
このように、有機溶剤中の金属が基板に付着するパターンとして、2つのパターンが考えられる。1つは、図1Aに示す有機溶剤供給処理において、基板に対して有機溶剤が順次供給される過程で、有機溶剤とともに順次供給される金属が基板上に徐々に付着していくパターンである。図2に示す付着量A1は、このパターンによって基板上に付着する金属の量を示している。もう1つは、図1Bに示す振切処理において、1μm程度に薄膜化された有機溶剤が揮発することによって、かかる有機溶剤に含有されている金属が基板上に残留するパターンである。図2に示す付着量A2は、このパターンによって基板上に付着する金属の量を示している。
このように有機溶剤に含有されている金属が基板に付着することを抑制するために、第1の実施形態に係る乾燥処理では、酸性材料を添加した有機溶剤を使用することとした。
具体的には、図3Aに示すように、第1の実施形態に係る乾燥処理では、有機溶剤供給処理において、酸性材料を添加した有機溶剤を基板の表面に供給することとした。
有機溶剤に酸性材料を添加すると、有機溶剤中の金属はイオン化される。イオン化された金属は、基板に付着するよりも有機溶剤中に溶け込んでいる方が安定するため、基板に付着することなく、基板の回転によって飛散する。したがって、有機溶剤供給処理中において有機溶剤中の金属が基板に付着することが抑制される。
その後、図3Bに示すように、振切処理によって基板上の有機溶剤は薄膜化され、薄膜化された有機溶剤が揮発することにより、図3Cに示すように、薄膜化された有機溶剤に含有される金属だけが基板上に残留する。すなわち、基板に付着する金属の量は、図2に示す付着量A2のみとなり、従来の乾燥処理と比較して、図2に示す付着量A1分だけ少なくなる。
図2に示すように、乾燥処理において基板に付着する金属の量は、振切処理において付着する量(付着量A2)よりも、有機溶剤供給処理において付着する量(付着量A1)の方が多い。したがって、第1の実施形態に係る乾燥処理によれば、有機溶剤に含有されている金属の基板への付着を好適に抑制することができる。
以下、このような乾燥処理を実行する基板処理システムについて、詳細に説明する。
〔2.基板処理システムの構成〕
まず、基板処理システムの構成について図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図4に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、本実施形態では半導体ウェハ(以下ウェハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウェハWの搬送を行う。
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウェハWに対して所定の基板処理を行う。
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
制御装置4の制御部18は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、後述する制御を実現する。
制御装置4の記憶部19は、たとえば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
〔3.処理ユニットの構成〕
次に、処理ユニット16について図5を参照し説明する。図5は、処理ユニット16の概略構成を示す図である。
図5に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持機構30と、処理流体供給部40と、回収カップ50とを備える。
チャンバ20は、基板保持機構30と処理流体供給部40と回収カップ50とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
基板保持機構30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備える。保持部31は、ウェハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。かかる基板保持機構30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウェハWを回転させる。
処理流体供給部40は、ウェハWに対して処理流体を供給する。処理流体供給部40は、処理流体供給源70に接続される。
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウェハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、かかる排液口51から処理ユニット16の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口52が形成される。
〔4.処理流体供給源の構成〕
次に、処理流体供給源70の構成について図6を参照して説明する。図6は、第1の実施形態に係る処理ユニット16および処理流体供給源70の構成を示す図である。
図6に示すように、処理流体供給源70は、薬液供給系と、リンス液供給系と、有機溶剤供給系とを備える。
処理流体供給源70は、薬液供給系として、薬液供給源101と、第1流量調整部102とを備える。薬液供給源101は、薬液を貯留するタンクである。たとえば、薬液供給源101は、薬液としてDHF(希フッ酸)を貯留する。第1流量調整部102は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、薬液供給源101から供給されるDHFの流量を調整する。
なお、薬液供給源101に貯留される薬液は、DHFに限定されず、SC1(アンモニア、過酸化水素および水の混合液)等の他の薬液であってもよい。
また、処理流体供給源70は、リンス液供給系として、リンス液供給源103と、第2流量調整部104とを備える。リンス液供給源103は、リンス液を貯留するタンクである。たとえば、リンス液供給源103は、リンス液として純水(Deionized Water:以下、「DIW」と記載する)を貯留する。第2流量調整部104は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、リンス液供給源103から供給されるDIWの流量を調整する。なお、薬液およびリンス液は、処理液の一例である。
また、処理流体供給源70は、有機溶剤供給系として、有機溶剤供給源105と、第3流量調整部106と、酸性材料供給源107と、第4流量調整部108と、混合タンク109と、ポンプ110と、第5流量調整部111とを備える。
有機溶剤供給源105は、有機溶剤を貯留するタンクである。たとえば、有機溶剤供給源105は、揮発性有機溶剤であるIPAを貯留する。第3流量調整部106は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、有機溶剤供給源105から供給されるIPAの流量を調整する。
酸性材料供給源107は、酸性材料を貯留するタンクである。たとえば、酸性材料供給源107は、酸性材料として、塩酸を貯留する。第4流量調整部108は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、酸性材料供給源107から供給される塩酸の流量を調整する。
混合タンク109は、有機溶剤供給源105から供給されるIPAと、酸性材料供給源107から供給される塩酸とを貯留する。IPAと塩酸とは、混合タンク109において混合される。
IPAに対する塩酸の添加量は、1mg/L以上10000mg/L以下(1ppm〜1wt%)であることが望ましい。塩酸の添加量が1mg/Lよりも少ないと、IPA中の金属を満遍なくイオン化することができず、十分な金属付着抑制効果を得ることができないためである。また、塩酸の添加量が10000mg/Lよりも多いと、塩酸がウェハWに悪影響を及ぼしたり、ウェハW上にパーティクルがつきやすくなったりするためである。なお、IPAと塩酸との混合比率は、第3流量調整部106および第4流量調整部108を用いて調整される。
ポンプ110は、塩酸が添加されたIPA(以下、「酸添加IPA」と記載する)を混合タンク109から処理ユニット16の処理流体供給部40へ送り出す。第5流量調整部111は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、混合タンク109から供給される酸添加IPAの流量を調整する。
なお、有機溶剤供給系は、酸添加IPAを加熱する加熱部を備えていてもよい。加熱部は、酸添加IPAを所定の温度(たとえば、70℃程度)に加熱する。
〔5.基板処理のフローチャート〕
次に、処理ユニット16が実行する基板処理の内容について図7を参照して説明する。図7は、処理ユニット16が実行する基板処理の手順の一例を示すフローチャートである。図7に示す各処理手順は、制御部18による制御に従って実行される。
基板搬送装置17(図4参照)によって各処理ユニット16に搬送されてきたウェハWは、不図示の搬入出口を介してチャンバ20内に搬入される。基板搬送装置17は、基板保持機構30の保持部31にウェハWを載置した後、チャンバ20内から退避する。
保持部31にウェハWが載置された後、駆動部33が保持部31を回転させる。また、処理流体供給部40が、ウェハWの外方における待機位置からウェハWの中央上方における処理位置まで移動する。
その後、薬液処理が開始される(ステップS101)。薬液処理では、第1流量調整部102の開閉弁が所定時間開放されることにより、薬液供給源101から供給されるDHFが、処理流体供給部40からウェハWの表面に吐出される。ウェハWの表面に吐出されたDHFは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハW上に広がる。これにより、ウェハWの表面がDHFによって処理(たとえば洗浄)される。
つづいて、リンス処理が開始される(ステップS102)。リンス処理では、第2流量調整部104の開閉弁が所定時間開放されることにより、リンス液供給源103から供給されるDIWが、処理流体供給部40からウェハWの表面に吐出される。ウェハWの表面に吐出されたDIWは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハW上に広がる。これにより、ウェハWに残存するDHFがDIWによって洗い流される。
つづいて、乾燥処理が開始される(ステップS103)。乾燥処理では、上述したように、有機溶剤供給処理と振切処理とが行われる。
まず、有機溶剤供給処理では、第5流量調整部111の開閉弁が所定時間開放され、ポンプ110が混合タンク109から処理流体供給部40へ酸添加IPAを送り出す。これにより、処理流体供給部40からウェハWの表面に酸添加IPAが供給される。ウェハWの表面に吐出された酸添加IPAは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハW上に広がる。これにより、ウェハWに残存するDIWが酸添加IPAに置換される。
酸添加IPA中の金属は、塩酸によってイオン化されており、ウェハWに付着するよりも酸添加IPAに溶け込んでいる方が安定する。このため、酸添加IPA中の金属はウェハWに付着し難い。
つづいて、振切処理が行われる。振切処理では、ウェハWの回転数を増加させることにより、ウェハW上の酸添加IPAを振り切りながら揮発させる。これにより、ウェハW上から酸添加IPAが除去されて、ウェハWが乾燥する。この振切処理において、ウェハW上に残存する薄膜化された酸添加IPA中の金属は、揮発せずにウェハW上に残留することとなる(図2中の付着量A2に相当)。しかしながら、第1の実施形態に係る乾燥処理では、有機溶剤供給処理におけるウェハWへの金属の付着(図2中の付着量A1に相当)が抑制されている。したがって、従来の乾燥処理と比べてウェハWに付着する金属の量を低減することができる。
上述してきたように、第1の実施形態に係る処理ユニット16(基板処理装置の一例)は、処理流体供給部40および処理流体供給源70(薬液供給部および有機溶剤供給部の一例)を備える。薬液供給部としての処理流体供給部40および処理流体供給源70は、ウェハW(基板の一例)にDHF(薬液の一例)を供給する。また、有機溶剤供給部としての処理流体供給部40および処理流体供給源70は、ウェハWにIPA(有機溶剤の一例)および塩酸(酸性材料の一例)を供給する。そして、処理ユニット16は、薬液供給部としての処理流体供給部40および処理流体供給源70を用いてウェハWをDHFで処理する薬液処理を実行した後、有機溶剤供給部としての処理流体供給部40および処理流体供給源70を用いて薬液処理後のウェハWを乾燥する乾燥処理を実行する。
したがって、第1の実施形態に係る処理ユニット16によれば、有機溶剤に含有されている金属不純物のウェハWへの付着を抑制することができる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、混合タンク109において有機溶剤と酸性材料とを予め混合しておく場合の例について説明したが、酸性材料を有機溶剤に添加するタイミングは、有機溶剤がウェハWに供給される直前であってもよい。
図8は、第2の実施形態に係る処理ユニットおよび処理流体供給源の構成を示す図である。なお、図8では、薬液供給系およびリンス液供給系を省略している。また、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図8に示すように、第2の実施形態に係る処理流体供給源70Aは、有機溶剤供給系として、有機溶剤供給源105と、第3流量調整部106と、酸性材料供給源107と、第4流量調整部108とを備える。
また、第2の実施形態に係る処理ユニット16Aは、混合部160を備える。混合部160は、有機溶剤供給源105から所定の流速で供給されるIPAと、酸性材料供給源107から所定の流速で供給される塩酸とを、流速を保った状態で予め設定された混合比で混合することにより、酸添加IPAを生成する。
混合部160は、処理ユニット16Aのチャンバ20(図6参照)内に配置される。たとえば、混合部160は、処理流体供給部40Aが備えるノズル41を保持するアームに設けることができる。また、図6の例に限らず、混合部160は、処理流体供給源70A内等他の位置に配置しても良い。
第2の実施形態に係る乾燥処理では、第3流量調整部106の開閉弁が所定時間開放されるとともに、第4流量調整部108の開閉弁が所定時間開放される。これにより、混合部160に対してIPAと塩酸とが流速を保った状態で供給されて、混合部160において混合される。IPAと塩酸との混合比は、予め設定された混合比となるように、第3流量調整部106および第4流量調整部108の流量制御弁によって調整される。
その後、混合部160において生成された酸添加IPAがノズル41からウェハWの表面に吐出される。ウェハWの表面に吐出された酸添加IPAは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハW上に広がる。これにより、ウェハWに残存するDIWが酸添加IPAに置換される。
このように、処理ユニット16Aは、有機溶剤供給源105から供給される有機溶剤と、酸性材料供給源107から供給される酸性材料とを流速を保った状態で混合してもよい。これにより、混合タンク109が不要となるため、省スペース化を図ることができる。
(第3の実施形態)
また、酸性材料は、ウェハW上で有機溶剤に添加されてもよい。図9は、第3の実施形態に係る処理ユニットおよび処理流体供給源の構成を示す図である。なお、図9では、薬液供給系およびリンス液供給系を省略している。
図9に示すように、第3の実施形態に係る処理流体供給源70Bは、有機溶剤供給系として、有機溶剤供給源105と、第3流量調整部106と、酸性材料供給源107と、第4流量調整部108とを備える。
第3の実施形態に係る処理ユニット16Bは、処理流体供給部40Bを備える。処理流体供給部40Bは、有機溶剤供給源105に接続され、有機溶剤供給源105から供給されるIPAをウェハWに吐出する第1ノズル42と、酸性材料供給源107に接続され、酸性材料供給源107から供給される塩酸をウェハWに吐出する第2ノズル43とを備える。
第3の実施形態に係る乾燥処理では、第3流量調整部106の開閉弁が所定時間開放されるとともに、第4流量調整部108の開閉弁が所定時間開放される。これにより、有機溶剤供給源105から第1ノズル42に対してIPAが供給され、酸性材料供給源107から第2ノズル43に対して塩酸が供給される。そして、第1ノズル42からウェハWの表面にIPAが吐出されるとともに、第2ノズル43からウェハWの表面に塩酸が吐出される。これにより、ウェハW上でIPAと塩酸とが混合されて酸添加IPAが生成される。生成された酸添加IPAは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハW上に広がる。これにより、ウェハWに残存するDIWが酸添加IPAに置換される。
このように、酸性材料は、ウェハW上で有機溶剤に添加されてもよい。なお、ここでは、ウェハW上にIPAと塩酸とを同時に供給する場合の例について説明したが、ウェハWに対してIPAよりも先に塩酸を供給するようにしてもよい。塩酸を先出しして、ウェハW上に塩酸の膜を張ることで、IPA中の金属のウェハWへの付着を好適に抑制することができる。
(第4の実施形態)
乾燥処理の内容は、第1の実施形態において説明したものに限定されない。以下では、乾燥処理の他の例について説明する。図10は、第4の実施形態に係る処理ユニットおよび処理流体供給源の構成を示す図である。また、図11は、第4の実施形態に係る乾燥処理の手順の一例を示すフローチャートである。
なお、図10では、薬液供給系およびリンス液供給系を省略している。また、図11に示す乾燥処理は、第1の実施形態において説明した薬液処理(ステップS101)およびリンス処理(ステップS102)の後に実行される。
図10に示すように、第4の実施形態に係る処理流体供給源70Cは、有機溶剤供給系として、置換用有機溶剤供給系と、乾燥用有機溶剤供給系とを備える。
処理流体供給源70Cは、置換用有機溶剤供給系として、置換用有機溶剤供給源121と、第6流量調整部122と、酸性材料供給源123と、第7流量調整部124と、混合タンク125と、ポンプ126と、第8流量調整部127とを備える。
置換用有機溶剤供給源121は、置換用有機溶剤を貯留するタンクである。たとえば、置換用有機溶剤供給源121は、揮発性有機溶剤であるIPAを貯留する。IPAは、リンス液であるDIWに対して親和性を有する。第6流量調整部122は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、置換用有機溶剤供給源121から供給されるIPAの流量を調整する。
酸性材料供給源123は、酸性材料として、たとえば塩酸を貯留する。第7流量調整部124は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、酸性材料供給源123から供給される塩酸の流量を調整する。
混合タンク125は、置換用有機溶剤供給源121から供給されるIPAと、酸性材料供給源123から供給される塩酸とを貯留する。IPAと塩酸とは、かかる混合タンク125において混合される。IPAに対する塩酸の添加量は、第6流量調整部122および第7流量調整部124によって、1mg/L以上10000mg/L以下(1ppm〜1wt%)に調整される。
ポンプ126は、混合タンク125から処理ユニット16の処理流体供給部40に酸添加IPAを送り出す。第8流量調整部127は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、混合タンク125から供給される酸添加IPAの流量を調整する。
また、処理流体供給源70Cは、乾燥用有機溶剤供給系として、乾燥用有機溶剤供給源128と、第9流量調整部129と、酸性材料供給源130と、第10流量調整部131と、混合タンク132と、ポンプ133と、第11流量調整部134とを備える。
乾燥用有機溶剤供給源128は、乾燥用有機溶剤を貯留するタンクである。たとえば、乾燥用有機溶剤供給源128は、IPAに対して親和性を有し、且つ、IPAよりも表面張力が小さいHFO(ハイドロフルオロオレフィン)を貯留する。IPAと同様、HFOにも微量の金属が含有されている。第9流量調整部129は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、乾燥用有機溶剤供給源128から供給されるHFOの流量を調整する。
酸性材料供給源130は、酸性材料として、たとえば塩酸を貯留する。第10流量調整部131は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、酸性材料供給源130から供給される塩酸の流量を調整する。
混合タンク132は、乾燥用有機溶剤供給源128から供給されるHFOと、酸性材料供給源130から供給される塩酸とを貯留する。HFOと塩酸とは、かかる混合タンク132において混合される。HFOに対する塩酸の添加量は、第9流量調整部129および第10流量調整部131によって、1mg/L以上10000mg/L以下(1ppm〜1wt%)に調整される。
ポンプ133は、塩酸が添加されたHFO(以下、「酸添加HFO」と記載する)を混合タンク132から処理ユニット16の処理流体供給部40に送り出す。第11流量調整部134は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、混合タンク132から供給される酸添加HFOの流量を調整する。
図11に示すように、第4の実施形態に係る乾燥処理では、まず、置換用有機溶剤供給処理が行われる(ステップS201)。置換用有機溶剤供給処理では、第8流量調整部127の開閉弁が所定時間開放され、ポンプ126が混合タンク125から処理流体供給部40へ酸添加IPAを送り出す。これにより、処理流体供給部40からウェハWの表面に酸添加IPAが供給される。ウェハWの表面に吐出された酸添加IPAは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハW上に広がる。これにより、ウェハWに残存するDIWが酸添加IPAに置換される。IPAは、DIWに対して親和性を有するため、DIWからIPAへの置換は容易である。また、IPAは、HFOに対する親和性も有するため、IPAからHFOへの置換も容易である。
つづいて、乾燥用有機溶剤供給処理が行われる(ステップS202)。乾燥用有機溶剤供給処理では、第11流量調整部134の開閉弁が所定時間開放され、ポンプ133が混合タンク132から処理流体供給部40へ酸添加HFOを送り出す。これにより、処理流体供給部40からウェハWの表面に酸添加HFOが供給される。ウェハWの表面に吐出された酸添加HFOは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハW上に広がる。これにより、ウェハW上の酸添加IPAが酸添加HFOに置換される。
HFOは、IPAと比較して表面張力が小さいため、第1〜第3の実施形態に係る乾燥処理のように、乾燥用有機溶剤としてIPAを用いる場合と比較してパターン倒壊を生じ難くすることができる。
つづいて、振切処理が行われる(ステップS203)。振切処理では、ウェハWの回転数を増加させることにより、ウェハW上の酸添加HFOを振り切りながら揮発させる。これにより、ウェハW上から酸添加HFOが除去されて、ウェハWが乾燥する。
ここでは、置換用有機溶剤であるIPAおよび乾燥用有機溶剤であるHFOの両方に酸性材料である塩酸を添加することとしたが、塩酸は、IPAおよびHFOの一方にのみ添加されてもよい。
このように、乾燥処理は、リンス処理後、DIWに対して親和性を有するIPA(置換用有機溶剤の一例)をウェハWに供給する置換用有機溶剤供給処理(第1供給工程の一例)と、置換用有機溶剤供給処理後、IPAに対して親和性を有し、且つ、IPAよりも表面張力が小さいHFO(乾燥用有機溶剤の一例)をウェハWに供給する乾燥用有機溶剤供給処理(第2供給工程の一例)とを含んでいてもよい。この場合、置換用有機溶剤であるIPAおよび乾燥用有機溶剤であるHFOの少なくとも1つに塩酸を添加することで、有機溶剤に含有されている金属のウェハWへの付着を抑制することができる。
なお、ここでは、処理流体供給源70Cが混合タンク125,132を備える場合の例について説明したが、有機溶剤と酸性材料とは、第2の実施形態において説明したように混合部160において混合されてもよいし、第3の実施形態において説明したように、ウェハW上で混合されてもよい。
(第5の実施形態)
乾燥処理は、ウェハWの表面を撥水化させる処理を含んでいてもよい。かかる場合の例について図12を参照して説明する。図12は、第5の実施形態に係る乾燥処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、図12に示す乾燥処理は、第1の実施形態において説明した薬液処理(ステップS101)およびリンス処理(ステップS102)の後に実行される。
第5の実施形態に係る処理流体供給源は、たとえば、第4の実施形態に係る処理流体供給源70Cが備える乾燥用有機溶剤供給系に代えて、撥水化剤供給系を備える。撥水化剤供給系は、たとえば、処理流体供給源70Cの乾燥用有機溶剤供給系が備える乾燥用有機溶剤供給源128に代えて、撥水化剤供給源を設けた構成を有する。
撥水化剤供給源は、撥水化剤を貯留するタンクである。撥水化剤は、たとえばシリル化剤またはシランカップリング剤であり、シンナーで所定の濃度に希釈されている。シンナーとしては、エーテル類溶剤や、ケトンに属する有機溶剤などが用いられる。これらのシンナーにも金属が含有される。したがって、IPAおよびHFOと同様、撥水化剤にも金属が含有される。なお、撥水化剤は、IPAに対して親和性を有する。
撥水化剤供給源から供給される撥水化剤は、混合タンク132に貯留され、混合タンク132において酸性材料供給源130から供給される塩酸と混合される。
図12に示すように、第5の実施形態に係る乾燥処理では、まず、第1置換用有機溶剤供給処理が行われる(ステップS301)。第1置換用有機溶剤供給処理では、図11に示す置換用有機溶剤供給処理と同様の処理である。すなわち、第8流量調整部127の開閉弁が所定時間開放され、ポンプ126が混合タンク125から処理流体供給部40へ酸添加IPAを送り出す。これにより、処理流体供給部40からウェハWの表面に酸添加IPAが供給される。ウェハWの表面に吐出された酸添加IPAは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハW上に広がる。これにより、ウェハWに残存するDIWが酸添加IPAに置換される。
つづいて、撥水化剤供給処理が行われる(ステップS302)。撥水化剤供給では、第11流量調整部134の開閉弁が所定時間開放され、ポンプ133が混合タンク132から処理流体供給部40へ塩酸が添加された撥水化剤(以下、「酸添加撥水化剤」と記載する)を送り出す。これにより、処理流体供給部40からウェハWの表面に酸添加撥水化剤が供給される。ウェハWの表面に吐出された酸添加撥水化剤は、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハW上に広がる。これにより、ウェハW上の酸添加IPAが酸添加撥水化剤に置換される。また、酸添加撥水化剤によってウェハWの表面が撥水化される。
このように、ウェハWの表面を撥水化させることにより、ウェハW表面のパターンに表面張力が作用しにくくなるため、パターン倒壊を抑制することができる。
つづいて、第2置換用有機溶剤供給処理が行われる(ステップS303)。第2置換用有機溶剤供給処理は、第1置換用有機溶剤供給処理と同様の処理である。第2置換用有機溶剤供給処理により、ウェハWに残存する酸添加撥水化剤が酸添加IPAに置換される。
つづいて、振切処理が行われる(ステップS304)。振切処理では、ウェハWの回転数を増加させることにより、ウェハW上の酸添加IPAを振り切りながら揮発させる。これにより、ウェハW上から酸添加IPAが除去されて、ウェハWが乾燥する。
ここでは、第1置換用有機溶剤、第2置換用有機溶剤および撥水化剤の全てに酸性材料である塩酸を添加することとしたが、塩酸は、第1置換用有機溶剤、第2置換用有機溶剤および撥水化剤の少なくとも1つに添加されていればよい。
このように、乾燥処理は、リンス処理後、DIWに対して親和性を有するIPA(第1置換用有機溶剤の一例)をウェハWに供給する第1置換用有機溶剤供給処理(第1供給工程の一例)と、第1置換用有機溶剤供給処理後、IPAに対して親和性を有し、且つ、有機溶剤を含んだ撥水化剤をウェハWに供給する撥水化剤供給処理(第2供給工程の一例)と、撥水化剤供給処理後、撥水化剤に対して親和性を有するIPA(第2置換用有機溶剤の一例)をウェハWに供給する第2置換用有機溶剤供給処理(第3供給工程の一例)とを含んでいてもよい。この場合、IPAおよび撥水化剤の少なくとも1つに塩酸を添加することで、有機溶剤に含有されている金属のウェハWへの付着を抑制することができる。
(第6の実施形態)
乾燥処理は、超臨界状態の処理流体を用いてウェハWを乾燥させる超臨界乾燥処理を含んでいてもよい。かかる場合の例について図13および図14を参照して説明する。
図13は、第6の実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。また、図14は、第6の実施形態に係る乾燥処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、図14に示す乾燥処理は、第1の実施形態において説明した薬液処理(ステップS101)およびリンス処理(ステップS102)の後に実行される。
図13に示すように、第6の実施形態に係る基板処理システム1Dは、液処理ユニット16Dと、乾燥ユニット80とを備える。
液処理ユニット16Dは、たとえば、図5に示す処理ユニット16と同様の構成を有する。また、液処理ユニット16Dに接続される処理流体供給源は、たとえば、図6に示す処理流体供給源70と同様の構成を有する。
乾燥ユニット80は、超臨界乾燥処理を行う処理ユニットである。たとえば、乾燥ユニット80は、16〜20MPa程度の高圧環境を形成することのできる圧力容器と、圧力容器内に処理流体を供給する供給部と、圧力容器から処理流体を排出する排出部とを備える。かかる乾燥ユニット80は、供給部から圧力容器内に処理流体(たとえば、CO2)を供給しつつ、圧力容器内の処理流体を排出部から排出する。処理流体の排出路には、処理流体の排出量を調整するダンパが設けられており、圧力容器内の圧力が所望の圧力に調整されるようにダンパによって処理流体の排出量が調整される。これにより、圧力容器内において処理流体の超臨界状態が維持される。以下では、超臨界状態の処理流体を「超臨界流体」と記載する。
図14に示すように、第6の実施形態に係る乾燥処理では、まず、液処理ユニット16Dにおいて、液膜形成処理が行われる(ステップS401)。液膜形成処理では、ウェハWの表面に酸添加IPAを供給することにより、ウェハWの表面に酸添加IPAの液膜を形成する。その後、ウェハWは、酸添加IPAの液膜が形成された状態のまま、乾燥ユニット80の圧力容器内に搬入される。
つづいて、乾燥ユニット80において、超臨界乾燥処理が行われる(ステップS402)。超臨界乾燥処理では、液膜形成処理後のウェハWを超臨界状態の処理流体と接触させることによって液膜形成処理後のウェハWを乾燥させる。
具体的には、ウェハWの表面(パターン形成面)に存在する酸添加IPAは、高圧状態(たとえば、16MPa)である超臨界流体と接触することで、徐々に超臨界流体に溶解していき、最終的には、超臨界流体に置き換わる。これにより、パターンの間の隙間は、超臨界流体によって満たされた状態となる。その後、乾燥ユニット80は、圧力容器内の圧力を高圧状態から大気圧まで減圧する。これにより、パターン間の隙間を満たしていた超臨界流体が通常のすなわち気体状態の処理流体に変化することで、ウェハWが乾燥する。
このように、乾燥処理は、リンス処理後、ウェハWの表面に酸添加IPAの液膜を形成する液膜形成処理(液膜形成工程の一例)と、液膜形成処理後、超臨界状態の処理流体を用いてウェハWを乾燥させる超臨界乾燥処理(超臨界乾燥工程の一例)とを含んでいてもよい。液膜形成処理において使用されるIPAに塩酸を添加することで、IPAに含有されている金属のウェハWへの付着を抑制することができる。
(第7の実施形態)
上述した第1〜第6の実施形態では、ウェハWを1枚ずつ乾燥させる枚葉式の乾燥処理の例について説明したが、基板処理は、複数のウェハWを一括して乾燥させるバッチ式の乾燥処理であってもよい。以下、バッチ式の乾燥処理を行う処理ユニットの例について図15を参照して説明する。図15は、第7の実施形態に係る処理ユニットおよび処理流体供給源の構成を示す図である。
図15に示すように、第7の実施形態に係る処理流体供給源70Eは、リンス液供給系と、有機溶剤供給系とを備える。
処理流体供給源70Eは、リンス液供給系として、リンス液供給源141と、第12流量調整部142と、酸性材料供給源143と、第13流量調整部144とを備える。リンス液供給源141は、リンス液として、たとえばDIWを貯留する。第12流量調整部142は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、リンス液供給源141から供給されるDIWの流量を調整する。酸性材料供給源143は、酸性材料として、たとえば塩酸を貯留するタンクである。第13流量調整部144は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、酸性材料供給源143から供給される塩酸の流量を調整する。
また、処理流体供給源70Eは、有機溶剤供給系として、有機溶剤供給源151と、第14流量調整部152と、酸性材料供給源153と、第15流量調整部154と、混合タンク155と、キャリアガス供給源156と、第16流量調整部157と、蒸発ユニット158とを備える。
有機溶剤供給源151、第14流量調整部152、酸性材料供給源153、第15流量調整部154および混合タンク155の構成は、第1の実施形態に係る処理流体供給源70が備える有機溶剤供給源105、第3流量調整部106、酸性材料供給源107、第4流量調整部108および混合タンク109と同様である。よって、ここでの説明は省略する。
キャリアガス供給源156は、キャリアガスとして、たとえば所定の温度に加熱された窒素ガス(以下、「ホットN2ガス」と記載する)を貯留するタンクである。第16流量調整部157は、開閉弁、流量制御弁、流量計などを含んで構成され、第16流量調整部157から供給されるホットN2ガスの流量を調整する。蒸発ユニット158は、混合タンク155およびキャリアガス供給源156に接続され、混合タンク155から供給される酸添加IPAと、キャリアガス供給源156から供給されるホットN2ガスとを混合することにより、酸添加IPAの蒸気(以下、「IPA蒸気」と記載する)を生成する。
また、第7の実施形態に係る処理ユニット16Eは、チャンバ91と、処理槽92と、第1供給部93と、第2供給部94とを備える。
チャンバ91は、処理槽92を収容する。処理槽92は、リンス液を貯留する。第1供給部93は、リンス液供給源141および酸性材料供給源143に接続され、処理槽92に対し、DIWと塩酸とを供給する。したがって、処理槽92には、リンス液として、DIWによって希釈された塩酸(以下、「希釈塩酸」と記載する)が貯留される。
第2供給部94は、蒸発ユニット158に接続され、蒸発ユニット158において生成されたIPA蒸気をチャンバ91内に供給する。
処理ユニット16Eでは、処理槽92においてリンス処理が行われた後、処理槽92の上方における乾燥処理空間においてIPA蒸気を用いた乾燥処理が行われる。
具体的には、複数のウェハWは、薬液を貯留する薬液槽(図示せず)に浸漬されることによって処理された後で、処理ユニット16Eのチャンバ91内に搬入される。その後、複数のウェハWは、図示しない昇降機構によって処理槽92に貯留された希釈塩酸に浸漬される。
ここで、薬液槽の中には、ウェハWを処理することによって、ウェハWの表面に付着していた金属不純物が溶けこみ、ウェハ処理を重ねていくと、薬液中の金属不純物の濃度は高くなる。薬液槽から持ち出されたウェハWの表面には薬液が付着しており、この薬液中には金属不純物が存在する。その後、処理槽92でのリンス処理中に、薬液および薬液中の金属不純物はリンス液によって希釈されるが、この希釈される過渡的な状態でウェハWの表面に金属不純物が付着することが確認されている。
そこで、処理ユニット16Eでは、塩酸を添加したDIWすなわち希釈塩酸がリンス液として使用される。リンス液に混入した金属は、リンス液中の塩酸によってイオン化され、ウェハWに付着しにくくなる。したがって、リンス液に混入した金属のウェハWへの付着を抑制することができる。
つづいて、リンス処理後の複数のウェハWは、図示しない昇降機構によって処理槽92から取り出され、処理槽92上方の乾燥処理位置に配置される。その後、第2供給部94からチャンバ91内にIPA蒸気が供給され、チャンバ91内にIPA蒸気が充満する。IPA蒸気は、常温のウェハWの表面に接触することによってウェハWの表面で結露してウェハWに付着する。これにより、ウェハWに残留するリンス液がIPAに置換される。そして、ウェハWに付着したIPAが揮発することで、ウェハWが乾燥する。
第7の実施形態に係る処理ユニット16Eでは、かかる乾燥処理において使用されるIPAに塩酸を添加することで、乾燥処理においてIPA中の金属がウェハWに付着することを抑制することができる。
(その他の実施形態)
上述した各実施形態では、酸性材料として塩酸を例に挙げて説明したが、酸性材料は、塩酸に限定されない。酸性材料は、たとえば、塩酸以外の無機酸(硫酸または硝酸等)であってもよい。また、酸性材料は、カルボン酸またはスルフォン酸であってもよい。また、酸性材料は、必ずしも液体であることを要さず、気体や固体であってもよい。
また、有機溶剤についても、上述した各実施形態において例示したものに限定されない。乾燥用有機溶剤としては、IPA等のアルコール類、HFO、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、HFE(ハイドロフルオロエーテル)およびPFC(パーフルオロカーボン)のうちいずれかの単体またはこれらを少なくとも1つ含む混合物を用いることができる。また、置換用有機溶剤としては、IPA等のアルコール類、あるいは、HFO、HFCまたはHFEとアルコール類との混合物を用いることができる。
また、上述した各実施形態では、基板処理システム1,1Dにおいて有機溶剤と酸性材料とを混合する場合の例について説明した。しかし、これに限らず、予め酸性材料が添加された有機溶剤を貯留するタンクを有機溶剤供給源として基板処理システム1,1Dに接続し、かかるタンクから各処理ユニットに対し、酸性材料が添加された有機溶剤を供給するようにしてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
W ウェハ
1 基板処理システム
16 処理ユニット
70 処理流体供給源
105 有機溶剤供給源
107 酸性材料供給源
109 混合タンク

Claims (11)

  1. 基板に処理液を供給する液処理工程と、
    有機溶剤を使用して前記液処理工程後の前記基板を乾燥する乾燥工程と
    を含み、
    前記乾燥工程において使用される有機溶剤に、前記有機溶剤中の金属をイオン化させる酸性材料であって硫酸、硝酸、カルボン酸およびスルフォン酸のうちいずれかの前記酸性材料が添加されること
    を特徴とする基板処理方法。
  2. 前記液処理工程は、
    前記基板に薬液を供給する薬液供給工程と、
    前記薬液供給工程後の前記基板にリンス液を供給するリンス工程と
    を含み、
    前記乾燥工程は、
    前記リンス工程後、前記有機溶剤および前記酸性材料を前記基板に供給する有機溶剤供給工程
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板処理方法。
  3. 基板に処理液を供給する液処理工程と、
    有機溶剤を使用して前記液処理工程後の前記基板を乾燥する乾燥工程と
    を含み、
    前記乾燥工程において使用される有機溶剤に、塩酸、硫酸、硝酸、カルボン酸およびスルフォン酸のうちいずれかの酸性材料が添加され、
    前記液処理工程は、
    前記基板に薬液を供給する薬液供給工程と、
    前記薬液供給工程後の前記基板にリンス液を供給するリンス工程と
    を含み、
    前記乾燥工程は、
    前記リンス工程後、前記リンス液に対して親和性を有する置換用有機溶剤を前記基板に供給する第1供給工程と、
    前記第1供給工程後、前記置換用有機溶剤に対して親和性を有し、且つ、前記置換用有機溶剤よりも表面張力が小さい乾燥用有機溶剤を前記基板に供給する第2供給工程と
    を含み、
    前記置換用有機溶剤および前記乾燥用有機溶剤の少なくとも1つに前記酸性材料が添加されること
    を特徴とする基板処理方法。
  4. 前記液処理工程は、
    前記基板に薬液を供給する薬液供給工程と、
    前記薬液供給工程後の前記基板にリンス液を供給するリンス工程と
    を含み、
    前記乾燥工程は、
    前記リンス工程後、前記リンス液に対して親和性を有する第1置換用有機溶剤を前記基板に供給する第1供給工程と、
    前記第1供給工程後、前記第1置換用有機溶剤に対して親和性を有し、且つ、前記有機溶剤を含んだ撥水化剤を前記基板に供給する第2供給工程と、
    前記第2供給工程後、前記撥水化剤に対して親和性を有する第2置換用有機溶剤を前記基板に供給する第3供給工程と
    を含み、
    前記第1置換用有機溶剤、前記撥水化剤および前記第2置換用有機溶剤の少なくとも1つに前記酸性材料が添加されること
    を特徴とする請求項1に記載の基板処理方法。
  5. 前記液処理工程は、
    前記基板に薬液を供給する薬液供給工程と、
    前記薬液供給工程後の前記基板にリンス液を供給するリンス工程と
    を含み、
    前記乾燥工程は、
    前記リンス工程後、前記基板の表面に前記酸性材料が添加された前記有機溶剤の液膜を形成する液膜形成工程と、
    前記液膜形成工程後、超臨界状態の処理流体を用いて前記基板を乾燥させる超臨界乾燥工程と
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板処理方法。
  6. 基板に処理液を供給する液処理工程と、
    有機溶剤を使用して前記液処理工程後の前記基板を乾燥する乾燥工程と
    を含み、
    前記乾燥工程において使用される有機溶剤に、塩酸、硫酸、硝酸、カルボン酸およびスルフォン酸のうちいずれかの酸性材料が添加され、
    前記液処理工程は、
    前記基板に薬液を供給する薬液供給工程と、
    前記薬液供給工程後の前記基板にリンス液を供給するリンス工程と
    を含み、
    前記乾燥工程は、
    前記リンス工程後、前記リンス液に対して親和性を有する第1置換用有機溶剤を前記基板に供給する第1供給工程と、
    前記第1供給工程後、前記第1置換用有機溶剤に対して親和性を有し、且つ、前記有機溶剤および前記酸性材料を含んだ酸添加撥水化剤を前記基板に供給する第2供給工程と、
    前記第2供給工程後、前記酸添加撥水化剤に対して親和性を有する第2置換用有機溶剤を前記基板に供給する第3供給工程と
    を含むこと
    を特徴とする基板処理方法。
  7. 前記酸性材料は、
    前記有機溶剤に添加された状態で前記基板に供給されること
    を特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の基板処理方法。
  8. 基板に処理液を供給する液処理工程と、
    有機溶剤を使用して前記液処理工程後の前記基板を乾燥する乾燥工程と
    を含み、
    前記基板上で、前記乾燥工程において使用される有機溶剤に、塩酸、硫酸、硝酸、カルボン酸およびスルフォン酸のうちいずれかの酸性材料が添加されること
    を特徴とする基板処理方法。
  9. 前記有機溶剤は、
    アルコール類、HFO(ハイドロフルオロオレフィン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、HFE(ハイドロフルオロエーテル)およびPFC(パーフルオロカーボン)のうちいずれかの単体またはこれらを少なくとも1つ含む混合物であること
    を特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の基板処理方法。
  10. 前記有機溶剤に対する前記酸性材料の添加量は、
    1mg/L以上10000mg/L以下であること
    を特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の基板処理方法。
  11. 基板に処理液を供給する処理液供給部と、
    前記基板に有機溶剤と、前記有機溶剤中の金属をイオン化させる酸性材料であって硫酸、硝酸、カルボン酸およびスルフォン酸のうちいずれかの前記酸性材料を供給する有機溶剤供給部と
    を備え、
    前記処理液供給部を用いて前記基板に前記処理液を供給する液処理を実行した後、前記有機溶剤供給部を用いて前記液処理後の前記基板を乾燥する乾燥処理を実行すること
    を特徴とする基板処理装置。
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