JP2023047036A - 基板乾燥用処理液及び基板乾燥方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023047036000001
【課題】基板のパターン形成面に水が付着して残留するのを抑制し、これによりパターンの倒壊の発生を抑制又は低減することが可能な基板乾燥用処理液及び基板乾燥方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る基板乾燥用処理液は、基板のパターン形成面上の液体を除去して前記基板の乾燥に用いる基板乾燥用処理液であって、水を内部に包摂した逆ミセルを、有機溶媒中で形成することが可能な逆ミセル形成剤を少なくとも含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体基板、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の各種基板に付着した液体の除去に用いられる基板乾燥用処理液及び基板乾燥方法に関する。
凹凸のパターンが形成された半導体基板等の基板に対し洗浄液(例えば、脱イオン水(DIW:Deionized Water))を用いて洗浄し乾燥処理を施すと、乾燥処理の際、パターンの凹部に入り込んだ洗浄液と、洗浄液に接する気体との境界面に作用する表面張力が、パターン中の隣接する凸部同士を引き寄せて倒壊させる、いわゆるパターン倒壊の問題がよく知られている。そのため、従来は、基板上に付着しているDIWを、DIWよりも表面張力が小さいイソプロピルアルコール(IPA)に置換してから乾燥処理を施すことで、パターンの倒壊の防止又は低減を行っている。
しかし、凹凸を有するパターンの凸部におけるアスペクト比(パターン凸部における高さと幅の比)が大きくなる等、パターンの微細化に伴い、IPAに置換してから乾燥処理を施すといった対策だけでは、パターンの倒壊の防止は困難になってきている。
例えば、特許文献1には、昇華対象物質をパターンが形成された基板上に供給した後に凝固させ、その後昇華対象物質の気体を含む処理気体を凝固体に供給することで凝固体を昇華させる基板処理方法が開示されている。この特許文献1によれば、昇華対象物質の昇華を緩和し、同時に水の気化を相対的に促進させることで、基板上に水が残留するのを低減し、パターンの倒壊の発生を抑制できるとされている。
しかしながら、特許文献1に記載の基板処理方法であると、昇華対象物質の気体を含む処理気体を供給して凝固体の昇華を行うため、昇華対象物質の蒸発・乾燥速度が低下し、これに起因したパターン倒壊のリスクが高まるという問題がある。
特開2015-142069号公報
本発明は、前記課題を鑑みなされたものであり、基板のパターン形成面に水が付着して残留するのを抑制し、これによりパターンの倒壊の発生を抑制又は低減することが可能な基板乾燥用処理液及び基板乾燥方法を提供することを目的とする。
本発明に係る基板乾燥用処理液は、前記の課題を解決するために、基板のパターン形成面上の液体を除去して前記基板の乾燥に用いる基板乾燥用処理液であって、水を内部に包摂した逆ミセルを、有機溶媒中で形成することが可能な逆ミセル形成剤を少なくとも含むことを特徴とする。
前記の構成によれば、基板乾燥用処理液に逆ミセル形成剤を含有させることにより、当該基板乾燥用処理液を用いて基板のパターン形成面に乾燥処理を施す際、パターン形成面に付着している水や、パターン形成面に形成されているIPA等の液膜中の水を、逆ミセル形成剤が内部に包摂して逆ミセルを形成することができる。また基板乾燥用処理液中に含まれる水に対しても、当該水を内部に包摂して逆ミセルを形成することができる。これにより、基板乾燥用処理液を用いて乾燥処理を施す際、水が基板のパターン形成面に残留するのを防止又は低減し、水の残留に起因して発生するパターン倒壊の発生を防止又は低減することができる。
前記の構成に於いては、前記逆ミセル形成剤が昇華性を有していてもよい。これにより、基板のパターン形成面に供給された基板乾燥用処理液の凝固体を昇華乾燥により除去する際に、逆ミセル形成剤も昇華により除去することができる。
前記の構成に於いては、前記逆ミセル形成剤が、ホスホン酸及びカルボン酸の少なくとも何れかを含んでもよい。これらの化合物は何れも、親水基を有する両親媒性化合物であるので、水分子を内部に包摂した会合体からなる逆ミセルを良好に形成することができる。
前記の構成に於いては、前記カルボン酸が、プロピオン酸及び酢酸の少なくとも何れかであることが好ましい。プロピオン酸は0.39kPa、酢酸は1.5kPaの蒸気圧を有しており(何れも20℃~25℃)、揮発性を備えている。そのため、基板乾燥用処理液の凝固体を昇華させて基板のパターン形成面から除去する際に、逆ミセル形成剤がパターン形成面に残存するのを防止又は低減することができる。
前記の構成に於いては、前記有機溶媒に溶解又は相溶する昇華性物質をさらに含んでもよい。
前記の構成に於いては、前記有機溶媒を溶媒として含んでもよい。逆ミセル形成剤は、有機溶媒中に含まれる水も内部に包摂して、逆ミセルを形成することができる。従って、基板乾燥用処理液に由来する水が基板のパターン形成面に付着して残留して、パターンの倒壊を引き起こすのを防止することができる。
前記の構成に於いては、前記有機溶媒がイソプロピルアルコールであることが好ましい。逆ミセル形成剤は、イソプロピルアルコール中でも水を内部に包摂して逆ミセルを形成することができる。従って、例えば、本発明の基板乾燥用処理液を、基板表面に付着するDIWを置換するための置換液として用いる場合でも、当該置換液に由来する水が基板のパターン形成面に付着して残留して、パターンの倒壊を引き起こすのを防止することができる。
前記の構成に於いては、室温に於ける表面張力が40mN/m以下の範囲であることが好ましい。基板乾燥用処理液の表面張力を40mN/m以下にすることにより、パターン倒壊の発生を防止することができる。
本発明に係る基板乾燥方法は、前記の課題を解決するために、基板のパターン形成面上の水を含む液体を除去して前記基板を乾燥させる基板乾燥方法であって、有機溶媒と、前記有機溶媒中で、水を内部に包摂した逆ミセルの形成が可能な逆ミセル形成剤とを少なくとも含む基板乾燥用処理液、を準備する準備工程と、前記基板のパターン形成面に前記基板乾燥用処理液を供給し、前記基板乾燥用処理液の液膜を形成する供給工程と、前記基板を回転させることにより、前記基板乾燥用処理液の液膜を遠心力で除去する除去工程と、を含み、前記逆ミセル形成剤は、前記準備工程に於いて、前記有機溶媒中に含まれる水を内部に包摂することにより逆ミセルを形成し、及び/又は、前記逆ミセル形成剤は、前記供給工程に於いて、前記パターン形成面に付着した水を内部に包摂することにより逆ミセルを形成することを特徴とする。
前記の構成によれば、基板乾燥用処理液には逆ミセル形成剤が含まれるので、有機溶媒中に不純物の水が含まれる場合でも、準備工程に於いて当該水を内部に包摂する逆ミセルを形成することができる。また、基板のパターン形成面に水が付着している場合にも、供給工程に於いて基板乾燥用処理液がパターン形成面に供給され、当該基板乾燥用処理液の液膜が形成される際に、当該水を逆ミセル形成剤が内部に包摂して逆ミセルを形成することができる。そして、これらの逆ミセルは、除去工程に於いて基板乾燥用処理液の液膜を遠心力で振り切る際に、当該液膜と共に除去される。従って、前記の構成であると、従来の基板乾燥方法の様に、昇華対象物質を含む処理気体を昇華対象物質の凝固体に供給して昇華を行う必要がない。その結果、昇華対象物質の蒸発・乾燥速度の低下に起因したパターンの倒壊の発生を抑制又は低減することができる。
本発明に係る基板乾燥方法は、前記の課題を解決するために、基板のパターン形成面上の水を含む液体を除去して前記基板を乾燥させる基板乾燥方法であって、前記基板のパターン形成面に有機溶媒を供給して、前記有機溶媒の液膜を形成する有機溶媒供給工程と、前期有機溶媒が供給された前記基板のパターン形成面に、基板乾燥用処理液であって、水を内部に包摂した逆ミセルを前記有機溶媒中で形成することが可能な逆ミセル形成剤を少なくとも含むものを供給して、前記有機溶媒と前記基板乾燥用処理液とが混合した液膜を形成し、又は前記有機溶媒の液膜を前記基板乾燥用処理液の液膜に置換して形成する供給工程と、前記基板を回転させることにより、前記有機溶媒と前記基板乾燥用処理液とが混合した液膜を遠心力により除去する除去工程と、を含み、前記逆ミセル形成剤は、前記供給工程に於いて、前記有機溶媒中に含まれる水及び/又は前記パターン形成面に付着した水を内部に包摂することにより逆ミセルを形成することを特徴とする。
前記の構成によれば、供給工程に於いて、基板のパターン形成面上の有機溶媒の液膜に、逆ミセル形成剤を含む基板乾燥用処理液を混合させることで、有機溶媒の液膜中に不純物としての水が含まれる場合にも、逆ミセル形成剤により当該水を内部に包摂させて逆ミセルを形成することができる。また供給工程に於いて、有機溶媒の液膜を基板乾燥用処理液の液膜に置換させることで、基板のパターン形成面に付着し残留している水に対しても、逆ミセル形成剤が内部に包摂して逆ミセルを形成することができる。そして、これらの逆ミセルは、除去工程に於いて基板乾燥用処理液の液膜を遠心力で振り切る際に、当該液膜と共に除去される。従って、前記の構成であると、従来の基板乾燥方法の様に、昇華対象物質を含む処理気体を、昇華対象物質の凝固体に供給して昇華を行う必要がない。その結果、昇華対象物質の蒸発・乾燥速度の低下に起因したパターンの倒壊の発生を抑制又は低減することができる。
本発明に係る基板乾燥方法は、前記の課題を解決するために、基板のパターン形成面上の液体を除去して前記基板を乾燥させる基板乾燥方法であって、有機溶媒と、前記有機溶媒中で、水を内部に包摂した逆ミセルの形成が可能な逆ミセル形成剤とを少なくとも含む基板乾燥用処理液、を準備する準備工程と、前記基板のパターン形成面に前記基板乾燥用処理液を供給し、前記基板乾燥用処理液の液膜を形成する供給工程と、前記基板乾燥用処理液の液膜を凝固させて凝固体を形成し、又は前記基板乾燥用処理液の液膜から前記有機溶媒を気化させた後に前記パターン形成面上で凝固させて凝固体を形成する凝固工程と、前記凝固体を昇華させて、前記パターン形成面から除去する昇華工程と、を含み、前記逆ミセル形成剤は、前記準備工程に於いて、前記有機溶媒中に含まれる水を内部に包摂することにより逆ミセルを形成し、及び/又は、前記逆ミセル形成剤は、前記供給工程に於いて、前記パターン形成面に付着した水を内部に包摂することにより逆ミセルを形成することを特徴とする。
前記の構成によれば、基板乾燥用処理液には逆ミセル形成剤が含まれるので、有機溶媒中に不純物の水が含まれる場合でも、準備工程に於いて当該水を内部に包摂する逆ミセルを形成することができる。また、基板のパターン形成面に水が付着している場合にも、供給工程に於いて基板乾燥用処理液がパターン形成面に供給され、当該基板乾燥用処理液の液膜が形成される際に、当該水を逆ミセル形成剤が内部に包摂して逆ミセルを形成することができる。そして、これら逆ミセルは、凝固工程及び昇華工程に於いて昇華乾燥により除去されるので、基板のパターン形成面に水が付着して残留するのを防止又は低減することができる。その結果、基板のパターン形成面での水の残留に起因して発生するパターンの倒壊を抑制又は低減することができる。
本発明に係る他の基板乾燥方法は、前記の課題を解決するために、基板のパターン形成面上の液体を除去して前記基板を乾燥させる基板乾燥方法であって、前記基板のパターン形成面に有機溶媒を供給して、前記有機溶媒の液膜を形成する有機溶媒供給工程と、前期有機溶媒が供給された前記基板のパターン形成面に、基板乾燥用処理液であって、水を内部に包摂した逆ミセルを前記有機溶媒中で形成することが可能な逆ミセル形成剤を少なくとも含むものを供給して、前記有機溶媒と前記基板乾燥用処理液とが混合した液膜を形成し、又は前記有機溶媒の液膜を前記基板乾燥用処理液の液膜に置換して形成する供給工程と、前記供給工程に於いて、前記有機溶媒と前記基板乾燥用処理液とが混合する液膜を形成する場合には、前記有機溶媒を気化させた後に、前記パターン形成面上で凝固させて凝固体を形成し、前記基板乾燥用処理液の液膜を形成する場合には、前記基板乾燥用処理液を前記パターン形成面上で凝固させて凝固体を形成する凝固工程と、前記凝固体を昇華させて、前記パターン形成面から除去する昇華工程と、を含み、前記逆ミセル形成剤は、前記供給工程に於いて、前記有機溶媒中に含まれる水及び/又は前記パターン形成面に付着した水を内部に包摂することにより逆ミセルを形成することを特徴とする。
前記の構成によれば、供給工程に於いて、基板のパターン形成面上の有機溶媒の液膜に、逆ミセル形成剤を含む基板乾燥用処理液を混合させることで、有機溶媒の液膜中に不純物としての水が含まれる場合にも、逆ミセル形成剤により当該水を内部に包摂させて逆ミセルを形成することができる。また供給工程に於いて、有機溶媒の液膜を基板乾燥用処理液の液膜に置換させることで、基板のパターン形成面に付着し残留している水に対しても、逆ミセル形成剤が内部に包摂して逆ミセルを形成することができる。そして、これらの逆ミセルは、凝固工程及び昇華工程に於いて昇華乾燥により除去されるので、基板のパターン形成面に水が付着して残留するのを防止又は低減することができる。その結果、基板のパターン形成面での水の残留に起因して発生するパターンの倒壊を抑制又は低減することができる。
前記の構成に於いて、前記逆ミセル形成剤は昇華性を有しており、前記凝固工程は、前記逆ミセルの凝固体を形成する工程であり、前記昇華工程は、前記逆ミセルの凝固体を昇華させる工程であってもよい。
前記の構成に於いては、前記基板乾燥用処理液が前記有機溶媒に溶解又は相溶する昇華性物質をさらに含み、前記凝固工程は、前記昇華性物質を凝固して、前記逆ミセルを含む前記昇華性物質の凝固体を形成する工程であり、前記昇華工程は、前記昇華性物質の凝固体を昇華させると共に、前記凝固体に含まれる逆ミセルを昇華させる工程であってもよい。
前記の構成に於いては、前記逆ミセル形成剤が、ホスホン酸及びカルボン酸の少なくとも何れかを含んでもよい。これらの化合物は何れも、親水基を有する両親媒性化合物であるので、水分子を内部に包摂した会合体からなる逆ミセルを良好に形成することができる。
前記の構成に於いては、前記カルボン酸が、プロピオン酸及び酢酸の少なくとも何れかであることが好ましい。プロピオン酸は0.39kPa、酢酸は1.5kPaの蒸気圧を有しており(何れも20℃~25℃)、揮発性を備えている。そのため、基板乾燥用処理液の凝固体を昇華させて基板のパターン形成面から除去する際に、逆ミセル形成剤がパターン形成面に残存するのを防止又は低減することができる。
前記の構成に於いては、前記有機溶媒がイソプロピルアルコールであることが好ましい。逆ミセル形成剤は、イソプロピルアルコール中でも水を内部に包摂して逆ミセルを形成することができる。従って、例えば、本発明の基板乾燥用処理液を、基板表面に付着するDIWを置換するための置換液として用いる場合でも、当該置換液に由来する水が基板のパターン形成面に付着して残留して、パターンの倒壊を引き起こすのを防止することができる。
前記の構成に於いては、前記基板乾燥用処理液の室温に於ける表面張力が40mN/m以下の範囲であることが好ましい。基板乾燥用処理液の表面張力を40mN/m以下にすることにより、パターン倒壊の発生を防止することができる。
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明は、基板乾燥用処理液に逆ミセル形成剤を含有させ、当該逆ミセル形成剤によりIPA等の有機溶媒中に含まれる水や、基板のパターン形成面に付着している水を内部に包摂して逆ミセルを形成させる。さらに本発明では、この逆ミセルを振り切り工程や昇華乾燥により容易に除去できるので、従来の基板乾燥方法と比較して、基板のパターン形成面での水の残留に起因して発生するパターン倒壊を防止又は低減することができる。
本発明の第1実施形態に係る基板乾燥装置の概略を表す説明図である。 第1実施形態に係る基板処理装置を表す概略平面図である。 図3(a)は基板処理装置に於ける処理液貯留部の概略構成を示すブロック図であり、同図(b)は当該処理液貯留部の具体的構成を示す説明図である。 基板乾燥装置に於ける気体貯留部の概略構成を示すブロック図である。 基板乾燥装置に於ける制御ユニットの概略構成を示す説明図である。 本発明の第1実施形態に係る基板乾燥方法を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る基板乾燥方法の一部の工程に於ける基板の様子を示す模式図である。 基板乾燥用処理液中に形成された逆ミセルを模式的に表す説明図である。 本発明の第2実施形態に係る基板乾燥方法を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る基板乾燥方法の各工程に於ける基板の様子を示す模式図である。 本発明の第3実施形態に係る基板乾燥方法を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る基板乾燥方法の洗浄工程、供給工程及び凝固工程に於ける基板の様子を示す模式図である。 本発明の第3実施形態に係る基板乾燥方法の凝固工程及び昇華工程に於ける基板の様子を示す模式図である。 本発明の第4実施形態に係る基板乾燥方法を示すフローチャートである。 本発明の第4実施形態に係る基板乾燥方法の洗浄工程、有機溶媒供給工程、供給工程及び凝固工程に於ける基板の様子を示す模式図である。 本発明の第4実施形態に係る基板乾燥方法の凝固工程及び昇華工程に於ける基板の様子を示す模式図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、以下に説明する。
本実施形態に係る基板乾燥装置は、例えば、各種の基板の処理に用いることができる。前記「基板」とは、半導体基板、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の各種基板をいう。本実施形態では、基板乾燥装置10を半導体基板(以下、「基板」という。)の処理に用いる場合を例にして説明する。
基板としては、一方主面のみに回路パターン等(以下「パターン」と記載する)が形成されているものを例にしている。ここで、パターンが形成されているパターン形成面(主面)を「表面」と称し、その反対側のパターンが形成されていない主面を「裏面」と称する。また、下方に向けられた基板の面を「下面」と称し、上方に向けられた基板の面を「上面」と称する。尚、以下に於いては上面を表面として説明する。
基板乾燥装置は、基板に付着しているパーティクル等の汚染物質を除去するための洗浄処理(リンス処理を含む。)、及び洗浄処理後の乾燥処理に用いられる枚葉式の基板乾燥装置である。
<1-1 基板乾燥装置の構成>
先ず、本実施形態に係る基板乾燥装置の構成について、図1及び図2に基づき説明する。
図1は、本実施形態に係る基板乾燥装置の概略を表す説明図である。図2は、基板乾燥装置10の内部構成を表す概略平面図である。尚、図1に於いては、図示したものの方向関係を明確にするために、適宜XYZ直交座標軸を表示する。同図に於いて、XY平面は水平面を表し、十Z方向は鉛直上向きを表す。
図1に示すように、基板乾燥装置10は、基板Wを収容する容器であるチャンバ11と、基板Wを保持する基板保持手段51と、基板乾燥装置10の各部を制御する制御ユニット13と、基板Wの表面Wfに処理液を供給する処理液供給手段(供給手段)21と、基板Wの表面Wfに有機溶媒を供給する有機溶媒供給手段31と、基板Wの表面Wfに気体を供給する気体供給手段(凝固手段、昇華手段)41と、IPAや処理液等を捕集する飛散防止カップ12と、後述の各アームをそれぞれ独立に旋回駆動させる旋回駆動部14と、チャンバ11の内部を減圧する減圧手段(昇華手段)71とを少なくとも備える。また、基板乾燥装置10は基板搬入出手段、チャックピン開閉機構及び湿式洗浄手段を備える(何れも図示しない)。基板乾燥装置10の各部について、以下に説明する。尚、図1には、乾燥処理に用いる部位のみが示され、洗浄処理に用いる洗浄用のノズル等が図示されていないが、基板乾燥装置10は当該ノズル等を備えていてもよい。
基板保持手段51は基板Wを保持する手段であり、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wを略水平姿勢に保持して回転させるものである。基板保持手段51は、回転駆動部52と、スピンベース53と、チャックピン54とを備える。スピンベース53は、基板Wよりも若干大きな平面サイズを有している。スピンベース53の周縁部付近には、基板Wの周縁部を把持する複数個のチャックピン54が立設されている。チャックピン54の設置数は特に限定されないが、円形状の基板Wを確実に保持するために、少なくとも3個以上設けることが好ましい。本実施形態では、スピンベース53の周縁部に沿って等間隔に3個配置する(図2参照)。それぞれのチャックピン54は、基板Wの周縁部を下方から支持する基板支持ピンと、基板支持ピンに支持された基板Wの外周端面を押圧して基板Wを保持する基板保持ピンとを備えている。
各チャックピン54は、基板保持ピンが基板Wの外周端面を押圧する押圧状態と、基板保持ピンが基板Wの外周端面から離れる解放状態との間で切り替え可能となっており、装置全体を制御する制御ユニット13からの動作指令に応じて状態切替が実行される。
より詳しくは、スピンベース53に対して基板Wを搬入出する際には、それぞれのチャックピン54を解放状態とし、基板Wに対して後述する洗浄処理から昇華処理までの基板処理を行う際には、それぞれのチャックピン54を押圧状態とする。チャックピン54を押圧状態とすると、チャックピン54は基板Wの周縁部を把持して、基板Wがスピンベース53から所定間隔を隔てて水平姿勢(XY面)に保持される。これにより、基板Wは、その表面Wfを上方に向けた状態で水平に保持される。この様に本実施形態では、スピンベース53とチャックピン54とで基板Wを保持しているが、基板保持方式はこれに限定されるものではない。例えば、基板Wの裏面Wbをスピンチャック等の吸着方式により保持するようにしてもよい。
スピンベース53は、回転駆動部52に連結される。回転駆動部52は、制御ユニット13の動作指令によりZ方向に沿った軸A1周りに回転する。回転駆動部52は、公知のベルト、モータ及び回転軸により構成される。回転駆動部52が軸A1周りに回転すると、これに伴いスピンベース53の上方でチャックピン54により保持される基板Wは、スピンベース53とともに軸A1周りに回転する。
次に、処理液供給手段21について説明する。
処理液供給手段21は、基板保持手段51に保持されている基板Wのパターン形成面に基板乾燥用処理液(以下、「処理液」という場合がある。)を供給するユニットである。処理液供給手段21は、図1に示すように、ノズル22と、アーム23と、旋回軸24と、配管25aと、バルブ26aと、処理液貯留部27とを少なくとも備える。
処理液貯留部27は、図3(a)及び図3(b)に示すように、処理液貯留タンク271と、処理液貯留タンク271内の処理液を撹拌する撹拌部277と、処理液貯留タンク271を加圧して処理液を送出する加圧部274と、処理液貯留タンク271内の処理液の温度調整を行う温度調整部272とを少なくとも備える。尚、図3(a)は処理液貯留部27の概略構成を示すブロック図であり、同図(b)は当該処理液貯留部27の具体的構成を示す説明図である。
ノズル22は、水平に延設されたアーム23の先端部に取り付けられており、スピンベース53の上方に配置される。アーム23の後端部は、Z方向に延設された旋回軸24により軸J1まわりに回転自在に支持され、旋回軸24はチャンバ11内に固設される。アーム23は、旋回軸24を介して旋回駆動部14と連結される。旋回駆動部14は、制御ユニット13と電気的に接続し、制御ユニット13からの動作指令によりアーム23を軸J1まわりに回動させる。アーム23の回動に伴って、ノズル22も移動する。尚、ノズル22は、通常は基板Wの周縁部より外側であって、飛散防止カップ12よりも外側の退避位置に配置される。アーム23が制御ユニット13の動作指令により回動すると、ノズル22は基板Wの表面Wfの中央部(軸A1又はその近傍)の上方位置に配置される。
処理液貯留部27は、図3(a)及び図3(b)に示すように、処理液貯留タンク271と、処理液貯留タンク271内の処理液を撹拌する撹拌部277と、処理液貯留タンク271を加圧して処理液を送出する加圧部274と、処理液貯留タンク271内の処理液を加熱する温度調整部272とを少なくとも備える。
撹拌部277は、処理液貯留タンク271内の処理液を撹拌する回転部279と、回転部279の回転を制御する撹拌制御部278を備える。撹拌制御部278は制御ユニット13と電気的に接続している。回転部279は、回転軸の先端(図3(b)に於ける回転部279の下端)にプロペラ状の攪拌翼を備えており、制御ユニット13が撹拌制御部278へ動作指令を行い、回転部279が回転することで、攪拌翼が処理液を撹拌し、処理液中の含有成分の濃度及び温度を均一化する。
また、処理液貯留タンク271内の処理液の濃度及び温度を均一にする方法としては、前述した方法に限られず、別途循環用のポンプを設けて処理液を循環する方法等、公知の方法を用いることができる。
加圧部274は、処理液貯留タンク271内を加圧する気体の供給源である窒素ガスタンク275、窒素ガスを加圧するポンプ276及び配管273により構成される。窒素ガスタンク275は配管273により処理液貯留タンク271と管路接続されており、また配管273にはポンプ276が介挿されている。
温度調整部272は制御ユニット13と電気的に接続しており、制御ユニット13の動作指令により処理液貯留タンク271に貯留されている処理液を加熱等して温度調整を行うものである。温度調整は、処理液の液温が、当該処理液に含まれる逆ミセル形成剤(詳細については後述する。)の融点以上となるように行われるのが好ましい。これにより、処理液において逆ミセル形成剤を液体状態に維持することができる。尚、温度調整の上限としては、逆ミセル形成剤及び有機溶媒の沸点よりも低い温度であることが好ましい。また、温度調整部272としては特に限定されず、例えば、抵抗加熱ヒータや、ペルチェ素子、温度調整した水を通した配管等、公知の温度調整機構を用いることができる。尚、本実施形態に於いて、温度調整部272は任意の構成である。例えば、基板乾燥装置10の設置環境が逆ミセル形成剤の融点よりも高温の環境にある場合には、当該処理液の融解状態を維持することができるので、処理液の加熱は不要となる。その結果、温度調整部272を省略することができる。
処理液貯留部27(より詳細には、処理液貯留タンク271)は、配管25aを介して、ノズル22と管路接続しており、配管25aの経路途中にはバルブ26aが介挿される。また、処理液貯留タンク271は、配管25bを介して、IPA等の有機溶媒が貯留されている有機溶媒貯留部37(詳細については、後述する。)と管路接続しており、配管25bの経路途中にはバルブ26bが介挿される。バルブ26bは制御ユニット13と電気的に接続されており、通常は閉栓されている。また、バルブ26bの開閉は、制御ユニット13の動作指令によって制御される。そして、制御ユニット13が処理液供給手段21へ動作指令を行い、バルブ26bを開栓すると、有機溶媒貯留部37から有機溶媒が圧送され、配管25bを介して処理液貯留タンク271に供給される。これにより、逆ミセル形成剤を含有した有機溶媒を処理液貯留タンク271内で調製することができる。逆ミセル形成剤を含有した有機溶媒は、例えば、基板上の洗浄液除去のために用いられたリンス液を置換するための置換液に用いることができる。
処理液貯留タンク271内には気圧センサ(図示しない)が設けられ、制御ユニット13と電気的に接続されている。制御ユニット13は、気圧センサが検出した値に基づいてポンプ276の動作を制御することにより、処理液貯留タンク271内の気圧を大気圧より高い所定の気圧に維持する。一方、バルブ26aも制御ユニット13と電気的に接続しており、通常は閉栓されている。また、バルブ26aの開閉も、制御ユニット13の動作指令によって制御される。そして、制御ユニット13が処理液供給手段21へ動作指令を行い、バルブ26aを開栓すると、加圧されている処理液貯留タンク271内から処理液が圧送され、配管25aを介してノズル22から吐出される。これにより、処理液を基板Wの表面Wfに供給することができる。尚、処理液貯留タンク271は、前述のとおり窒素ガスによる圧力を用いて処理液を圧送するため、気密に構成されることが好ましい。
有機溶媒供給手段31は、図1に示すように、基板保持手段51に保持されている基板WにIPA等の有機溶媒を供給するユニットであり、ノズル32と、アーム33と、旋回軸34と、配管35と、バルブ36と、有機溶媒貯留部37とを備える。
ノズル32は、水平に延設されたアーム33の先端部に取り付けられて、スピンベース53の上方に配置される。アーム33の後端部は、Z方向に延設された旋回軸34により軸J2まわりに回転自在に支持され、旋回軸34はチャンバ11内に固設される。アーム33は、旋回軸34を介して旋回駆動部14に連結される。旋回駆動部14は、制御ユニット13と電気的に接続し、制御ユニット13からの動作指令によりアーム33を軸J2まわりに回動させる。アーム33の回動に伴って、ノズル32も移動する。尚、ノズル32は、通常は基板Wの周縁部より外側であって、飛散防止カップ12よりも外側の退避位置に配置される。アーム33が制御ユニット13の動作指令により回動すると、ノズル32は基板Wの表面Wfの中央部(軸A1又はその近傍)の上方位置に配置される。
バルブ36は制御ユニット13と電気的に接続しており、通常は、閉栓されている。バルブ36の開閉は、制御ユニット13の動作指令によって制御される。制御ユニット13の動作指令によりバルブ36が開栓すると、有機溶媒が配管35を通って、ノズル32から基板Wの表面Wfに供給される。
有機溶媒貯留部37は、配管35を介して、ノズル32と管路接続しており、配管35の経路途中にはバルブ36が介挿される。有機溶媒貯留部37には、有機溶媒が貯留されており、図示しないポンプにより有機溶媒貯留部37内の有機溶媒が加圧され、配管35からノズル32方向へ有機溶媒が送られる。
気体供給手段41は、図1に示すように、基板保持手段51に保持されている基板Wへ気体を供給するユニットであり、ノズル42と、アーム43と、旋回軸44と、配管45と、バルブ46と、気体貯留部47とを備える。
図4は、気体貯留部47の概略構成を示すブロック図である。気体貯留部47は、気体を貯留する気体タンク471と、気体タンク471に貯留される気体の温度を調整する気体温度調整部472とを備える。気体温度調整部472は制御ユニット13と電気的に接続しており、制御ユニット13の動作指令により気体タンク471に貯留されている気体を加熱又は冷却して温度調整を行うものである。温度調整は、気体タンク471に貯留される気体が処理液の凝固点以下の温度になるように行われればよい。
気体温度調整部472としては特に限定されず、例えば、ペルチェ素子、温度調整した水を通した配管等、公知の温度調整機構を用いることができる。
気体貯留部47(より詳しくは、気体タンク471)は、配管45を介して、ノズル42と管路接続しており、配管45の経路途中にはバルブ46が介挿される。図示しない加圧手段により気体タンク471内の気体が加圧され、配管45へ送られる。尚、加圧手段は、ポンプ等による加圧の他、気体を気体タンク471内に圧縮貯留することによっても実現できるため、いずれの加圧手段を用いてもよい。
バルブ46は、制御ユニット13と電気的に接続しており、通常は閉栓されている。バルブ46の開閉は、制御ユニット13の動作指令によって制御される。制御ユニット13の動作指令によりバルブ46が開栓すると、気体タンク471に貯留されている気体が、配管45を通ってノズル42から吐出され、基板Wの表面Wfに供給される。
ノズル42は、水平に延設されたアーム43の先端部に取り付けられて、スピンベース53の上方に配置される。アーム43の後端部は、Z方向に延設された旋回軸44により軸J3まわりに回転自在に支持され、旋回軸44はチャンバ11内に固設される。旋回軸44を介して、アーム43は旋回駆動部14と連結される。旋回駆動部14は、制御ユニット13と電気的に接続し、制御ユニット13からの動作指令によりアーム43を軸J3まわりに回動させる。アーム43の回動に伴って、ノズル42も移動する。
図2に実線で示すように、ノズル42は、通常は基板Wの周縁部より外側であって、飛散防止カップ12よりも外側の退避位置P3に配置される。アーム43が制御ユニット13の動作指令により回動すると、ノズル42は矢印AR3の経路に沿って移動し、基板Wの表面Wfの中央部(軸A1又はその近傍)の上方位置に配置される。表面Wf中央部の上方位置にノズル42が配置される様子を、図2に於いて点線で示す。
気体タンク471には、逆ミセル形成剤や有機溶媒及び昇華性物質(詳細については後述する。)に対して少なくとも不活性な気体、より具体的には窒素ガスが貯留されている。また、貯留されている窒素ガスは、気体温度調整部472に於いて、処理液の凝固点以下の温度に調整されている。窒素ガスの温度は処理液の凝固点以下の温度であれば特に限定されないが、通常は、0℃以上、15℃以下の範囲内に設定することができる。窒素ガスの温度を0℃以上にすることにより、チャンバ11の内部に存在する水蒸気が凝固して基板Wの表面Wfに付着等するのを防止し、基板Wへ悪影響が生じるのを防止することができる。
また、第1実施形態で用いる窒素ガスは、その露点が0℃以下の乾燥気体であることが好適である。窒素ガスを大気圧環境下で凝固体に吹き付けると、窒素ガス中に凝固体中の逆ミセル形成剤が昇華する。窒素ガスは凝固体に供給され続けるので、昇華により発生した気体状態の逆ミセル形成剤の窒素ガス中における分圧は、気体状態の逆ミセル形成剤の当該窒素ガスの温度に於ける飽和蒸気圧よりも低い状態に維持され、少なくとも凝固体表面においては、気体状態の逆ミセル形成剤がその飽和蒸気圧以下で存在する雰囲気下で満たされる。
また、本実施形態では、気体供給手段41により供給される気体として窒素ガスを用いるが、本発明の実施としては、逆ミセル形成剤等に対して不活性な気体であれば、これに限られない。第1実施形態に於いて、窒素ガスの代替となる気体としては、アルゴンガス、ヘリウムガス又は空気(窒素ガス濃度80%、酸素ガス濃度20%の気体)が挙げられる。あるいは、これら複数種類の気体を混合した混合気体であってもよい。
減圧手段71は、チャンバ11の内部を大気圧よりも低い環境に減圧する手段であり、排気ポンプ72と、配管73と、バルブ74とを備える。排気ポンプ72は配管73を介してチャンバ11と管路接続し、気体に圧力を加える公知のポンプである。排気ポンプ72は、制御ユニット13と電気的に接続しており、通常は停止状態である。排気ポンプ72の駆動は、制御ユニット13の動作指令によって制御される。また、配管73にはバルブ74が介挿される。バルブ74は、制御ユニット13と電気的に接続しており、通常は閉栓されている。バルブ74の開閉は、制御ユニット13の動作指令によって制御される。
制御ユニット13の動作指令により排気ポンプ72が駆動され、バルブ74が開栓されると、排気ポンプ72によって、チャンバ11の内部に存在する気体が配管73を介してチャンバ11の外側へ排気される。
飛散防止カップ12は、スピンベース53を取り囲むように設けられる。飛散防止カップ12は図示省略の昇降駆動機構に接続され、Z方向に昇降可能となっている。基板Wの表面Wfに処理液やIPAを供給する際には、飛散防止カップ12が昇降駆動機構によって図1に示すような所定位置に位置決めされ、チャックピン54により保持された基板Wを側方位置から取り囲む。これにより、基板Wやスピンベース53から飛散する処理液やIPA等の液体を捕集することができる。
制御ユニット13は、基板乾燥装置10の各部と電気的に接続しており(図1参照)、各部の動作を制御する。制御ユニット13は、図5に示すように、演算処理部15と、メモリ17とを有するコンピュータにより構成される。図5は、制御ユニット13の構成を示す模式図である。演算処理部15としては、各種演算処理を行うCPUを用いる。また、メモリ17は、基板処理プログラム18を記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM及び制御用ソフトウェアやデータ等を記憶しておく磁気ディスクを備える。磁気ディスクには、基板Wに応じた基板処理条件(レシピ)が、予め格納されている。CPUは、基板処理条件をRAMに読み出し、その内容に従って基板乾燥装置10の各部を制御する。
<1-2 処理液>
次に、本実施形態で用いる処理液について、以下に説明する。
本実施形態の処理液は、基板Wのパターン形成面(表面Wf)上に存在する液体を除去するための乾燥処理に於いて、当該乾燥処理を補助する乾燥補助液としての機能を果たす。液体としては、基板Wの表面Wfを洗浄するための洗浄液や、洗浄液除去のために用いられたリンス液を置換するための置換液等が挙げられる。
本実施形態の処理液は、逆ミセル形成剤を少なくとも含む。また、処理液は逆ミセル形成剤のみからなる態様であってもよい。逆ミセル形成剤は、水を内部に包摂した逆ミセルを、有機溶媒中で形成することを可能にする。ここで、本明細書に於いて「逆ミセル」とは、少なくとも1つの水分子を核として、親水性部分(親水基)が中心部を向き、疎水性部分(疎水基)が外側を向いた状態で形成される会合体を意味する。また、本明細書において「逆ミセル形成剤」とは、少なくとも1つの水分子に対しその様な逆ミセルの形成を可能にする両親媒性化合物(又はカチオン型界面活性剤)を意味する。
逆ミセル形成剤は、水を内部に包摂した逆ミセルを有機溶媒中で形成することが可能な両親媒性化合物であれば特に限定されない。但し、疎水基と比べ鎖長が長い親水基を有する両親媒性化合物の場合、親水性相互作用が強くなることにより逆ミセルの形成が容易になると推察される。従って、逆ミセル形成剤として、鎖長が長い親水基を有する両親媒性化合物を用いるのが好ましい。その一方、親水基と比べ鎖長が長い疎水基を有する両親媒性化合物の場合、疎水性相互作用が強くなり、逆ミセルの形成が困難になることがある。また、親水基がベンゼン環に直接結合する様な両親媒性化合物の場合、立体障害により、両親媒性化合物が少なくとも1つの水分子に対し隙間なく吸着することが困難になり、逆ミセルの形成が困難になることがある。その結果、基板Wのパターン形成面に残留している水を逆ミセルにして除去することができず、パターン倒壊の発生が増大する。
逆ミセル形成剤の具体例としては、例えば、ホスホン酸及びカルボン酸の少なくとも何れかを含むものが挙げられる。また、カルボン酸としては、プロピオン酸及び酢酸等が挙げられる。
逆ミセル形成剤は昇華性を有していてもよい。昇華性を有する逆ミセル形成剤を用いることにより、処理液を基板Wの表面Wfから除去するために、当該処理液の凝固体を昇華して除去する際、逆ミセル形成剤も同様に昇華させて除去することができる。良好な昇華性を有するとの観点からは、逆ミセル形成剤は酢酸(融点:約16.6℃)等であることが好ましい。尚、本明細書において「昇華性」とは、単体、化合物若しくは混合物が液体を経ずに固体から気体、又は気体から固体へと相転移する特性を有することを意味する。
また、逆ミセル形成剤は揮発性を有しており、常温での蒸気圧が0.1kPa以上であることが好ましく、0.3kPa以上であることがより好ましく、1kPa以上であることが特に好ましい。このような逆ミセル形成剤であると、有機溶媒等と共に揮発させることができ、基板Wの表面Wf上に残留するのを防止又は低減することができる。その様な逆ミセル形成剤としては、例えば、プロピオン酸(蒸気圧:0.39kPa(20℃))、及び酢酸(蒸気圧:1.5kPa(20℃))等が挙げられる。尚、本明細書に於いて「常温」とは5℃~35℃の温度範囲にあることを意味する。
逆ミセル形成剤の含有量に関し、その下限値は、処理液の全質量に対し0.005質量%以上であることが好ましく、0.025質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることが特に好ましい。その一方、逆ミセル形成剤の含有量の上限値は、処理液の全質量に対し100質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。逆ミセル形成剤の含有量の下限値を0.005質量%以上にすることにより、逆ミセル形成剤が少なくとも1つの水分子に対し隙間なく吸着し安定した逆ミセルを形成することができる。尚、逆ミセル形成剤の含有量が過剰であると、例えば、基板Wの表面Wfになど、好ましくない部分に逆ミセル形成剤が吸着する場合がある。また、逆ミセル形成剤の含有量が水分量に対して過剰であると、水分に対して全て逆ミセルを形成しても、逆ミセル形成剤が余ることが考えられる。従って、逆ミセル形成剤の含有量の上限値については、これらを考慮した上で適宜設定するのが好ましい。
処理液は有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒は逆ミセル形成剤を溶解させるもの、又は液体状態の逆ミセル形成剤と相溶するものが好ましい。有機溶媒としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、IPA、アセトン、ベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、ヘキサン、デカリン、テトラリン、酢酸、シクロヘキサノール、エーテル、ハイドロフルオロエーテル(Hydro Fluoro Ether)等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。また、これらの有機溶媒は、前述の例示した逆ミセル形成剤と任意に組み合わせて用いることができる。例えば、有機溶媒としてIPAを用いる場合、本実施形態の処理液は、基板W上の洗浄液除去のために用いられたリンス液を置換するための置換液として用いることができる。
処理液が有機溶媒を含有する場合、有機溶媒の含有量の下限値は、処理液の全質量に対し50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。その一方、有機溶媒の含有量の上限値は、処理液の全質量に対し99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが特に好ましい。有機溶媒の含有量の下限値を50質量%以上にすることにより、安定した逆ミセルを形成することができる。
処理液の室温に於ける表面張力に関し、その上限値は40mN/m以下であることが好ましく、35mN/m以下であることがより好ましく、30mN/m以下であることが特に好ましい。処理液の表面張力の上限値を40mN/m以下にすることにより、パターン倒壊の発生を防止することができる。良好な表面張力を有するとの観点からは、逆ミセル形成剤は酢酸(20℃での表面張力:27.7mN/m)等であることが好ましい。尚、ここで「室温」とは、20℃~25℃の範囲を意味する。また、処理液の下限値については特に限定されないが、例えば、10mN/m以上に設定することができる。
<1-3 基板乾燥方法>
次に、本実施形態の基板乾燥装置10を用いた基板乾燥方法について、図6~図8に基づき以下に説明する。図6は、第1実施形態に係る基板乾燥装置10の動作を示すフローチャートである。図7は、本実施形態に係る基板乾燥方法の一部の工程に於ける基板Wの様子を示す模式図である。図8は、処理液中に形成された逆ミセルを模式的に表す説明図である。尚、本実施形態の基板乾燥方法に於いては、基板乾燥装置10に於ける気体供給手段41及び減圧手段71を省略することができる。
本実施形態の基板乾燥方法で処理の対象となる基板Wは、その表面Wf上に凹凸のパターンWpが形成されている(図7参照)。パターンWpは、凸部Wp1及び凹部Wp2を備える。凸部Wp1は、例えば、高さを100~600nmの範囲に設定し、幅を10~50nmの範囲に設定することができる。また、隣接する2個の凸部Wp1間に於ける最短距離(凹部Wp2の最短幅)を、例えば、10~50nmの範囲に設定することができる。さらに、凸部Wp1のアスペクト比、即ち高さを幅で除算した値(高さ/幅)を10~20の範囲に設定することができる。
また、本実施形態の基板乾燥方法は、特に明示しない限り、大気圧環境下で行うことができる。ここで、大気圧環境とは標準大気圧(1気圧、1013hPa)を中心に、0.7気圧~1.3気圧の環境のことを意味する。特に、基板乾燥装置10が陽圧となるクリーンルーム内に配置される場合には、基板Wの表面Wfの環境は、1気圧よりも高くなる。
先ず、所定の基板Wに応じた基板処理プログラム18がオペレータにより実行指示される。その後、基板Wを基板乾燥装置10に搬入する準備として、制御ユニット13が動作指令を行い以下の動作をする。即ち、チャック回転機構56の回転を停止し、チャックピン54を基板Wの受け渡しに適した位置へ位置決めする。また、バルブ26a、36、46、74を閉栓し、ノズル22、32、42をそれぞれ退避位置に位置決めする。そして、チャックピン54を図示しない開閉機構により開状態とする。
未処理の基板Wが、図示しない基板搬入出機構により基板乾燥装置10内に搬入され、チャックピン54上に載置されると、図示しない開閉機構によりチャックピン54を閉状態とする。
未処理の基板Wが基板保持手段51に保持された後、基板に対して、図示しない湿式洗浄手段により、洗浄工程S11を行う。洗浄工程S11には、基板Wの表面Wfに洗浄液を供給して洗浄した後、当該洗浄液を除去するためのリンス処理が含まれる。洗浄液としては特に限定されず、例えば、SC-1(アンモニア、過酸化水素水、及び水を含む液体)やSC-2(塩酸、過酸化水素水、及び水を含む液体)等が挙げられる。また、リンス液としては特に限定されず、例えば、DIW等が挙げられる。洗浄液及びリンス液の供給量は特に限定されず、洗浄する範囲等に応じて適宜設定することができる。また、洗浄時間についても特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
尚、本実施形態に於いては、湿式洗浄手段により、基板Wの表面WfにSC-1を供給して当該表面Wfを洗浄した後、更に表面WfにDIWを供給して、SC-1を除去する。そのため、パターンWpが形成された基板Wの表面Wfには、図7(a)に示すように、洗浄工程S11に於いて供給されたDIWの液膜60が形成されている。
次に、制御ユニット13がバルブ26bに動作指令を行い、バルブ26bを開栓させる。これにより、有機溶媒貯留部37から配管25bを介して、有機溶媒が、処理液貯留部27に供給される。一方、制御ユニット13は撹拌制御部278へ動作指令を行い、撹拌制御部278が回転部279を回転させることで、攪拌翼が逆ミセル形成剤を撹拌し、逆ミセル形成剤及び有機溶媒を均一に混合させ、それらの濃度及び処理液の温度を均一化させる。これにより、本実施形態の処理液を調製する(準備工程S12)。尚、処理液の調製は、洗浄工程S11と並行して行われる場合(すなわち、後述の処理液の供給工程が行われる直前)の他、後述の処理液の供給工程で行われるなど、適時的に行うことができる。
ここで、有機溶媒中に不純物としての水が含まれる場合でも、混合される逆ミセル形成剤が当該水を内部に包摂して逆ミセルを形成することができる。これにより、後述の供給工程に於いて処理液が基板Wの表面Wf上に供給される際、当該表面Wf上に水が付着するのを防止又は低減することができる。
次に、基板Wの表面Wfに付着しているDIWの液膜60を除去するために、処理液の供給工程S13を行う。すなわち、制御ユニット13が回転駆動部52へ動作指令を行い、基板Wを軸A1まわりに一定速度で回転させる。続いて、制御ユニット13が旋回駆動部14へ動作指令を行い、ノズル22を基板Wの表面Wf中央部へ位置決めする。そして、制御ユニット13がバルブ26aへ動作指令を行い、バルブ26aを開栓する。これにより、処理液を、処理液貯留タンク271から配管25a及びノズル22を介して、基板Wの表面Wfに供給する。
基板Wの表面Wfに供給された処理液は、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により、基板Wの表面Wf中央付近から基板Wの周線部に向かって流動し、基板Wの表面Wfの全面に拡散する。これにより、図7(b)に示すように、基板Wの表面Wfに付着するDIWの液膜60が処理液の供給によって除去され、基板Wの表面Wfの全面が処理液の液膜61で覆われる。ここで、処理液の液膜61中に含まれる逆ミセル形成剤62は、図8に示すように、基板Wの表面Wfに付着する水63を内部に包摂する逆ミセル64を形成する。これにより、基板Wの表面Wfに水が付着して残存するのを防止することができる。尚、基板Wの回転速度は、処理液の液膜61の膜厚が、表面Wfの全面に於いて、凸部Wp1の高さよりも高くなる程度に設定されるのが好ましい。また、処理液の供給量は特に限定されず、適宜設定することができる。
供給工程S13の終了後、制御ユニット13がバルブ26aへ動作指令を行い、バルブ26aを閉栓する。また、制御ユニット13が旋回駆動部14へ動作指令を行い、ノズル22を退避位置P1に位置決めする。
基板Wの表面Wfに付着した処理液を除去する除去工程S14を行う。除去工程S14では、例えば、基板Wを回転させることにより生ずる遠心力の作用を利用して、処理液を振り切る振り切り工程を行うことができる。すなわち、制御ユニット13が回転駆動部52へ動作指令を行い、基板Wを軸A1まわりに一定速度で回転させる。そして基板Wの表面Wfに付着している処理液は、図7(c)に示すように、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により振り切られ除去される。これにより、基板Wの表面Wfの乾燥が完了する。
以上により、一連の基板乾燥処理が終了する。上述のような基板乾燥処理の後、図示しない基板搬入出機構により、乾燥処理済みの基板Wがチャンバ11から搬出される。
以上のように、本実施形態では、洗浄液除去のために用いられたDIW等のリンス液を置換するために、逆ミセル形成剤を含む処理液を置換液として用いる。そして本実施形態では、処理液中に含まれる不純物としての水や、基板Wの表面Wf上に付着している水を、逆ミセル形成剤が逆ミセルにした上で、振り切り工程等により容易に除去する。そのため、従来の基板乾燥方法の様に、昇華対象物質を含む処理気体を、昇華対象物質の凝固体に供給して昇華を行う必要がない。その結果、本実施形態の基板乾燥方法であると、昇華対象物質の蒸発・乾燥速度の低下に起因したパターンWpの倒壊を抑制又は低減することができる。
(第2実施形態)
本発明に係る第2実施形態について、以下に説明する。
本実施形態は、第1実施形態と比較して、洗浄工程と供給工程との間に、有機溶媒を基板Wの表面Wf上に供給する有機溶媒供給工程を行う点が異なる。この様な構成によっても、本実施形態では、パターンWpの倒壊を一層抑制しつつ、基板Wの表面Wfを良好に乾燥することができる。
<2-1 基板乾燥装置の構成及び処理液>
第2実施形態に係る基板乾燥装置及び制御ユニットは、第1実施形態に係る基板乾燥装置10及び制御ユニット13と基本的に同一の構成を有するものであるため(図1~図5参照)、その説明は同一符号を付して省略する。また、本実施形態で使用する処理液も、第1実施形態に係る処理液と同様であるため、その説明を省略する。
<2-2 基板乾燥方法>
次に、第1実施形態と同様の構成の基板乾燥装置10を用いた、第2実施形態に係る基板乾燥方法について説明する。
以下、図1~図5、及び図9及び10を適宜参照して基板処理の工程を説明する。図9は、第2実施形態に係る基板乾燥装置10の動作を示すフローチャートである。図10は、本実施形態に係る基板乾燥方法の各工程に於ける基板Wの様子を示す模式図である。尚、本実施形態に係る基板乾燥方法は、特に明示しない限り、大気圧環境下で行うことができる。
本実施形態に於いて、洗浄工程S11は第1実施形態と同様である。従って、当該工程の詳細な説明を省略する。
図9に示すように、洗浄工程S11を第1実施形態と同様に行った後、リンス液としてのDIWが付着している基板Wの表面Wfに有機溶媒を供給する有機溶媒供給工程S15を行う。すなわち、制御ユニット13が回転駆動部52へ動作指令を行い、基板Wを軸A1まわりに一定速度で回転させる。
次に、制御ユニット13が旋回駆動部14へ動作指令を行い、ノズル32を基板Wの表面Wf中央部へ位置決めする。そして、制御ユニット13がバルブ36へ動作指令を行い、バルブ36を開栓させる。これにより、有機溶媒を、有機溶媒貯留部37から配管35及びノズル32を介して、基板Wの表面Wfに供給する。
基板Wの表面Wfに供給された有機溶媒は、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により、基板Wの表面Wf中央付近から基板Wの周線部に向かって流動し、基板Wの表面Wfの全面に拡散する。これにより、図10(a)に示すように、基板Wの表面Wfに付着するDIWが有機溶媒の供給によって除去され、基板Wの表面Wfの全面が有機溶媒の液膜65で覆われる。基板Wの回転速度は、有機溶媒の液膜65の膜厚が、表面Wfの全面に於いて、凸部Wp1の高さよりも高くなる程度に設定されるのが好ましい。また、有機溶媒の供給量は特に限定されず、適宜設定することができる。
有機溶媒供給工程S15で使用される有機溶媒としては特に限定されないが、DIWに対し溶解姓を示すものが好ましい。そのような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、IPA、アセトン、ベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、ヘキサン、デカリン、テトラリン、酢酸、シクロヘキサノール、エーテル、ハイドロフルオロエーテル(Hydro Fluoro Ether)等が挙げられる。これらの有機溶媒のうち、本実施形態ではIPAが好ましい。
有機溶媒供給工程S15の終了後、制御ユニット13がバルブ36へ動作指令を行い、バルブ36を閉栓する。また、制御ユニット13が旋回駆動部14へ動作指令を行い、ノズル32を退避位置P2に位置決めする。
有機溶媒供給工程S15の終了時に於ける基板Wに於いては、図10(a)に示すように、パターンWpが形成された基板Wの表面Wfに、有機溶媒供給工程S15に於いて供給された有機溶媒の液膜65が形成されており、DIWは有機溶媒に置換されて基板Wの表面Wfから除去されている。
次に、基板Wの表面Wfに付着している有機溶媒の液膜65に処理液を混合するため、処理液の供給工程S13’を行う。すなわち、制御ユニット13が回転駆動部52へ動作指令を行い、基板Wを軸A1まわりに一定速度で回転させる。続いて、制御ユニット13が旋回駆動部14へ動作指令を行い、ノズル22を基板Wの表面Wf中央部へ位置決めする。そして、制御ユニット13がバルブ26aへ動作指令を行い、バルブ26aを開栓する。これにより、処理液を、処理液貯留タンク271から配管25a及びノズル22を介して、基板Wの表面Wfに供給する。
処理液が基板Wの表面Wfに供給されることで、当該処理液が混合された有機溶媒の液膜66が形成される。供給される処理液としては逆ミセル形成剤のみからなるものを用いることができる。処理液が混合された有機溶媒の液膜66中では、図10(c)に示すように、逆ミセル形成剤が、有機溶媒の液膜66中に存在する水や基板Wの表面Wfに付着している水を内部に包摂する逆ミセル64を形成する。これにより、基板Wの表面Wfに水が付着して残存するのを防止することができる。尚、基板Wの回転速度は、処理液が混合された有機溶媒の液膜66の膜厚が、表面Wfの全面に於いて、凸部Wp1の高さよりも高くなる程度に設定されるのが好ましい。また、処理液の供給量は有機溶媒が処理液に置換されない範囲であれば特に限定されず、適宜設定することができる。
供給工程S13’の終了後、制御ユニット13がバルブ26aへ動作指令を行い、バルブ26aを閉栓する。また、制御ユニット13が旋回駆動部14へ動作指令を行い、ノズル22を退避位置P1に位置決めする。
続いて、処理液が混合された有機溶媒の液膜66を除去する除去工程S14を行う。除去工程S14では、第1実施形態の場合と同様、図7(d)に示すように、基板Wを回転させることにより生ずる遠心力の作用を利用して、処理液を振り切る振り切り工程を行うことができる。これにより、基板Wの表面Wfの乾燥が完了する。
以上により、一連の基板乾燥処理が終了する。上述のような基板乾燥処理の後、図示しない基板搬入出機構により、乾燥処理済みの基板Wがチャンバ11から搬出される。
尚、本実施形態に於いて、供給工程S13’で供給される処理液は、第1実施形態の場合と同様、逆ミセル形成剤の他に有機溶媒を含むものであってもよい。この場合、処理液に含まれる有機溶媒は、有機溶媒供給工程S15に於いて基板Wの表面Wf上に供給される有機溶媒と同種のものを用いるのが好ましい。
また、本実施形態に於いては、供給工程S13’に於いて、有機溶媒の液膜65に処理液を混合させる場合を例にして説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えば、基板Wの表面Wf上に付着している有機溶媒を処理液に置き換えて、当該処理液からなる液膜を形成する様にしてもよい。この場合、処理液としては、逆ミセル形成剤の他に、さらに有機溶媒を含むものを用いるのが好ましい。有機溶媒としては、第1実施形態に於いて説明したものを特に限定することなく用いることができる。また有機溶媒は、有機溶媒供給工程S15で使用される有機溶媒と同種であってもよく異種であってもよい。
以上のように、本実施形態では、リンス液除去のために用いられたIPA等の有機溶媒からなる液膜に、逆ミセル形成剤を含む処理液を添加して混合し、あるいは当該処理液からなる液膜に置き換える。これにより、本実施形態では、有機溶媒の液膜中や、基板Wの表面Wf上に付着して残留する水を逆ミセルにした上で、振り切り工程等により容易に除去する。そのため、従来の基板乾燥方法の様に、昇華対象物質を含む処理気体を、昇華対象物質の凝固体に供給して昇華を行う必要がない。その結果、本実施形態の基板乾燥方法であると、昇華対象物質の蒸発・乾燥速度の低下に起因したパターンWpの倒壊を抑制又は低減することができる。
(第3実施形態)
本発明に係る第3実施形態について、以下に説明する。
本実施形態は、第1実施形態と比較して、除去工程に代えて、凝固工程及び昇華工程を順次行う点が異なる。この様な構成によっても、本実施形態では、パターンWpの倒壊を一層抑制しつつ、基板Wの表面Wfを良好に乾燥することができる。
<3-1 基板乾燥装置の構成>
第3実施形態に係る基板乾燥装置及び制御ユニットは、第1実施形態に係る基板乾燥装置10及び制御ユニット13と基本的に同一の構成を有するものであるため(図1~図5参照)、その説明は同一符号を付して省略する。但し、本実施形態の基板乾燥方法に於いては、凝固工程及び昇華工程を行うため、基板乾燥装置10に於ける気体供給手段41及び減圧手段71を省略することはできず、少なくとも何れか一方を必須の構成とする。
<3-2 処理液>
本実施形態に於いては、第1実施形態に係る処理液を用いることができる。加えて、本実施形態に於いては、第1実施形態に係る処理液に、さらに昇華性物質を含んだものも用いることができる。これにより、昇華性物質を含んだ処理液に於いても、不純物としての水を内部に包摂して逆ミセルとして容易に除去することができる。処理液中に昇華性物質と有機溶媒とを含有させる場合、昇華性物質としては有機溶媒に対し溶解又は相溶するものが好ましい。
昇華性物質としては特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、1,3,5-トリオキサン、1-ピロリジンカルボジチオ酸アンモニウム、メタアルデヒド、パラフィン(C2n+2(n:20~48))、t-ブタノール、パラジクロロベンゼン、ナフタレン、L-メントール、フッ化炭素化合物等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。また、これらの昇華性物質は、前述の例示した逆ミセル形成剤及び有機溶媒と任意に組み合わせて用いることができる。
昇華性物質を含有させる際、昇華性物質の含有量については、適宜必要に応じて設定することができる。
<3-3 基板乾燥方法>
次に、第1実施形態と同様の構成の基板乾燥装置10を用いた、第3実施形態に係る基板乾燥方法について説明する。
以下、図1~図5、及び図11~図13を適宜参照して基板処理の工程を説明する。図11は、第3実施形態に係る基板乾燥装置10の動作を示すフローチャートである。図12は、本実施形態に係る基板乾燥方法に於ける洗浄工程、供給工程及び凝固工程での基板Wの様子を示す模式図である。図13は、本実施形態に係る基板乾燥方法に於ける凝固工程及び昇華工程での基板Wの様子を示す模式図である。尚、本実施形態に係る基板乾燥方法は、特に明示しない限り、大気圧環境下で行うことができる。
本実施形態に於いて、洗浄工程S11、準備工程S12及び供給工程S13は第1実施形態と同様である。従って、これらの工程の詳細な説明を省略する。
図11に示すように、洗浄工程S11、準備工程S12及び供給工程S13を第1実施形態と同様に順次行った後、基板Wの表面Wfに形成された処理液の液膜61を凝固させて、処理液の凝固体を形成する凝固工程S16を行う。まず、制御ユニット13が回転駆動部52へ動作指令を行い、基板Wを軸A1まわりに一定速度で回転させる。このとき、基板Wの回転速度は処理液の液膜61が表面Wfの全面で凸部Wplよりも高い所定厚さの膜厚を形成できる程度の速度に設定される。
続いて、制御ユニット13が旋回駆動部14へ動作指令を行い、ノズル42を基板Wの表面Wf中央部へ位置決めする。そして、制御ユニット13がバルブ46へ動作指令を行い、バルブ46を開栓する。これにより、気体(本実施形態では、凝固点以下に冷却された窒素ガス)を、気体タンク471から配管45及びノズル42を介して、基板Wの表面Wfに向けて供給する。
基板Wの表面Wfに向けて供給された窒素ガスは、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により、基板Wの表面Wf中央付近から基板Wの周縁部方向に向かって流動し、処理液の液膜61で覆われた基板Wの表面Wfの全面に拡散する。これにより、図13(a)に示すように、基板Wの表面Wfに形成されている処理液の液膜61が、処理液の凝固点以下の低温に冷却されて凝固し、凝固体67が形成される。
尚、凝固工程S16に於いては、処理液の液膜61に有機溶媒が含まれる場合、図12(c)に示すように、当該処理液の液膜61から有機溶媒を気化させた後に、凝固体67を形成してもよい。この場合、処理液の液膜61に含まれる有機溶媒としては、逆ミセル形成剤と比べ揮発性が高く、沸点が低いものが好ましい。有機溶媒は昇華性物質及び逆ミセル形成剤と比べ揮発性が高いと、有機溶媒は、昇華性物質及び逆ミセル形成剤よりも先に気化させることができる。これにより、処理液の液膜61には、昇華性物質及び逆ミセル形成剤の少なくともいずれかを残すことができる。その後、処理液の凝固点以下の低温に冷却されることにより、有機溶媒を含まない処理液の液膜61が凝固して、凝固体67が形成される。
また、チャンバ11内の温度が逆ミセル形成剤の凝固点よりも低い場合(処理液が昇華性物質も含むときは、逆ミセル形成剤及び昇華性物質の少なくとも何れかの凝固点よりも低い場合)、凝固体67を形成するために処理液の液膜61を冷却するのを省略することができる。この場合、逆ミセル形成剤(及び/又は昇華性物質)は、チャンバ11内の温度に於いては固体として存在する。そのため、処理液の液膜61からの有機溶媒の気化が進行すると、逆ミセル形成剤(及び/又は昇華性物質)が、処理液の液膜61から析出し始める。そして、有機溶媒が完全に気化すると、逆ミセル形成剤(及び/又は昇華性物質)が凝固体67として残る。
次に、基板Wの表面Wfに形成された凝固体67を昇華させて、基板Wの表面Wfから除去する昇華工程S17を行う。これにより、逆ミセル形成剤や、水を内部に包摂した逆ミセルを除去することができる。また、昇華性物質を含む場合には、当該昇華性物質も昇華により除去することができる。昇華工程S17に於いても、凝固工程S16から引続き、ノズル42からの気体(窒素ガス)の供給が継続される。
ここで、窒素ガスに於ける逆ミセル形成剤や昇華性物質の蒸気の分圧は、それぞれ当該窒素ガスの供給温度に於ける逆ミセル形成剤や昇華性物質の飽和蒸気圧よりも低く設定される。従って、この様な窒素ガスを基板Wの表面Wfに供給し凝固体67に接触すると、当該凝固体67から逆ミセル形成剤及び逆ミセルが窒素ガス中に昇華する。また、凝固体67に昇華性物質が含まれる場合は、当該昇華性物質も昇華する。これにより、基板Wの表面Wf上に形成されていた凝固体67は、図13(b)に示すように除去される。尚、窒素ガスは処理液の融点よりも低温であるため、凝固体67の融解を防止しつつ、凝固体67の昇華を行うことができる。
昇華工程S17の終了後、制御ユニット13がバルブ46へ動作指令を行い、バルブ46を閉栓する。また、制御ユニット13が旋回駆動部14へ動作指令を行い、ノズル42を退避位置P3に位置決めする。
以上により、一連の基板乾燥処理が終了する。上述のような基板乾燥処理の後、図示しない基板搬入出機構により、乾燥処理済みの基板Wがチャンバ11から搬出される。
以上のように、本実施形態では、洗浄液除去のために用いられたリンス液を置換するために、逆ミセル形成剤を含む処理液を置換液として用いる。そして、処理液中に含まれる不純物としての水や、基板Wの表面Wf上に付着している水を逆ミセルにした上で、昇華乾燥を行い除去するので、例えば、従来のIPAのみからなる置換液を用いた場合と比較して、基板Wの表面Wfでの水の付着に起因したパターンWpの倒壊の発生を抑制又は低減することができる。
尚、本実施形態では、凝固工程S16及び昇華工程S17に於いて、気体供給手段41に代えて減圧手段71を用いてもよい。具体的には、凝固工程S16において、制御ユニット13が排気ポンプ72へ動作指令を行い、排気ポンプ72の駆動を開始する。そして制御ユニット13がバルブ74へ動作指令を行い、バルブ74を開栓する。これにより、チャンバ11内部の気体を、配管73を介してチャンバ11外部ヘ排気する。チャンバ11内部を配管73以外について密閉状態とすることで、チャンバ11の内部環境を大気圧から減圧される。
減圧は、大気圧(約1気圧、約1013hPa)から、0.5気圧(506Pa)程度にまで行われる。尚、本願発明の実施に於いては当該気圧に限られず、減圧後のチャンバ11内の気圧は、チャンバ11等の耐圧性等に応じて適宜設定されてもよい。チャンバ11内が減圧されると、基板Wの表面Wfに供給された処理液の液膜61から処理液の蒸発が生じる。このとき、処理液から気化熱が奪われるため、当該処理液が冷却され凝固する。
また、昇華工程S17に於いては、チャンバ11内の環境は減圧処理により逆ミセル形成剤の飽和蒸気圧よりも低い圧力となる。その結果、この様な減圧環境を維持することにより、凝固体67から逆ミセル形成剤や逆ミセルの昇華が生じる。また、凝固体67が昇華性物質も含む場合には、チャンバ11内の環境は昇華性物質の飽和蒸気圧よりも低い圧力にすることで、昇華性物質の昇華も生じさせることができる。
(第4実施形態)
本発明に係る第4実施形態について、以下に説明する。
本実施形態は、第2実施形態と比較して、除去工程に代えて、凝固工程及び昇華工程を順次行う点が異なる。この様な構成によっても、本実施形態では、パターンWpの倒壊を一層抑制しつつ、基板Wの表面Wfを良好に乾燥することができる。
<4-1 基板乾燥装置の構成>
第4実施形態に係る基板乾燥装置及び制御ユニットは、第1実施形態に係る基板乾燥装置10及び制御ユニット13と基本的に同一の構成を有するものであるため(図1~図5参照)、その説明は同一符号を付して省略する。但し、本実施形態の基板乾燥方法に於いては、凝固工程及び昇華工程を行うため、基板乾燥装置10に於ける気体供給手段41及び減圧手段71を省略することはできず、少なくとも何れか一方を必須の構成とする。また、本実施形態で使用する処理液は、第3実施形態に係る処理液と同様であるため、その説明を省略する。
<4-2 処理液>
本実施形態で使用する処理液は、第3実施形態に係る処理液と同様である。すなわち、本実施形態に於いては、第1実施形態に係る処理液を用いることができる。また、本実施形態に於いては、第1実施形態に係る処理液に、さらに昇華性物質を含んだものも用いることができる。従って、その詳細な説明は省略する。
<4-3 基板乾燥方法>
次に、第1実施形態と同様の構成の基板乾燥装置10を用いた、第4実施形態に係る基板乾燥方法について説明する。
以下、図1~図5、及び図14~図16を適宜参照して基板処理の工程を説明する。図14は、第4実施形態に係る基板乾燥装置10の動作を示すフローチャートである。図15は、本実施形態に係る基板乾燥方法の洗浄工程、有機溶媒供給工程、供給工程及び凝固工程に於ける基板Wの様子を示す模式図である。図16は、本実施形態に係る基板乾燥方法の凝固工程及び昇華工程に於ける基板Wの様子を示す模式図である。尚、本実施形態に係る基板乾燥方法は、特に明示しない限り、大気圧環境下で行うことができる。
本実施形態に於いて、洗浄工程S11、有機溶媒供給工程S15及び供給工程S13’は第2実施形態と同様である。従って、これらの工程の詳細な説明を省略する。
図14に示すように、洗浄工程S11、有機溶媒供給工程S15及び供給工程S13’を第2実施形態と同様に順次行った後、凝固工程S16’を行う。凝固工程S16’は、処理液が混合された有機溶媒の液膜66を凝固させて、基板Wの表面Wf上に凝固体を形成する工程である。
先ず、図15(d)に示すように、当該処理液の液膜66から有機溶媒を気化させる。有機溶媒を気化させる方法としては、第3実施形態で述べた通りである。
次に、制御ユニット13が回転駆動部52へ動作指令を行い、基板Wを軸A1まわりに一定速度で回転させる。このとき、基板Wの回転速度は処理液が混合された有機溶媒の液膜66が表面Wfの全面で凸部Wplよりも高い所定厚さの膜厚を形成できる程度の速度に設定される。
続いて、制御ユニット13が旋回駆動部14へ動作指令を行い、ノズル42を基板Wの表面Wf中央部へ位置決めする。そして、制御ユニット13がバルブ46へ動作指令を行い、バルブ46を開栓する。これにより、気体(本実施形態では、凝固点以下に冷却された窒素ガス)を、気体タンク471から配管45及びノズル42を介して、基板Wの表面Wfに向けて供給する。
基板Wの表面Wfに向けて供給された窒素ガスは、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により、基板Wの表面Wf中央付近から基板Wの周縁部方向に向かって流動し、処理液が混合された有機溶媒の液膜66で覆われた基板Wの表面Wfの全面に拡散する。これにより、図16(a)に示すように、基板Wの表面Wfに形成されている当該液膜66が、処理液及び有機溶媒の凝固点以下の低温に冷却されて凝固し、凝固体68が形成される。
尚、チャンバ11内の温度が逆ミセル形成剤の凝固点よりも低い場合(処理液が昇華性物質も含むときは、逆ミセル形成剤及び昇華性物質の少なくとも何れかの凝固点よりも低い場合)、凝固体68を形成するために処理液の液膜66を冷却するのを省略することができる。この場合、逆ミセル形成剤(及び/又は昇華性物質)は、チャンバ11内の温度に於いては固体として存在する。そのため、処理液の液膜66からの有機溶媒の気化が進行すると、逆ミセル形成剤(及び/又は昇華性物質)が、処理液の液膜66から析出し始める。そして、有機溶媒が完全に気化すると、逆ミセル形成剤(及び/又は昇華性物質)が凝固体68として残る。
ここで供給工程S13’が有機溶媒を含まない処理液を使用し、かつ有機溶媒の液膜65を処理液の液膜に置き換える工程である場合には、凝固工程S16’は有機溶媒を気化させるプロセスを省略して処理液の液膜66を凝固させ、凝固体68を形成させることができる。
次に、基板Wの表面Wfに形成された凝固体68を昇華させて、基板Wの表面Wfから除去する昇華工程S17を行う。これにより、逆ミセル形成剤や、水を内部に包摂した逆ミセルを除去することができる。また、昇華性物質を含む場合には、当該昇華性物質も昇華により除去することができる。昇華工程S17に於いても、凝固工程S16’から引続き、ノズル42からの気体(窒素ガス)の供給が継続される。
ここで、窒素ガスに於ける逆ミセル形成剤や昇華性物質の蒸気の分圧は、当該窒素ガスの供給温度に於ける逆ミセル形成剤や昇華性物質の飽和蒸気圧よりも低く設定される。従って、この様な窒素ガスを基板Wの表面Wfに供給し凝固体68に接触すると、当該凝固体68から逆ミセル形成剤及び逆ミセルが窒素ガス中に昇華する。また、凝固体68に昇華性物質が含まれる場合は、当該昇華性物質も昇華する。これにより、基板Wの表面Wf上に形成されていた凝固体68は、図16(b)に示すように除去される。尚、窒素ガスは処理液及び有機溶媒の融点よりも低温であるため、凝固体68の融解を防止しつつ、凝固体68の昇華を行うことができる。
昇華工程S17の終了後、制御ユニット13がバルブ46へ動作指令を行い、バルブ46を閉栓する。また、制御ユニット13が旋回駆動部14へ動作指令を行い、ノズル42を退避位置P3に位置決めする。
以上により、一連の基板乾燥処理が終了する。上述のような基板乾燥処理の後、図示しない基板搬入出機構により、乾燥処理済みの基板Wがチャンバ11から搬出される。
以上のように、本実施形態では、DIW等のリンス液除去のために用いられたIPA等の有機溶媒からなる液膜に、逆ミセル形成剤を含む処理液を添加して混合し、あるいは当該処理液からなる液膜に置き換える。そして、有機溶媒からなる液膜中や基板Wの表面Wf上に付着して残留する水を逆ミセルにした上で、昇華乾燥を行い除去するので、基板Wの表面Wfでの水の付着に起因したパターンWpの倒壊の発生を抑制又は低減することができる。
尚、本実施形態では、凝固工程S16’及び昇華工程S17に於いて、気体供給手段41に代えて減圧手段71を用いてもよい。具体的には、凝固工程S16’において、制御ユニット13が排気ポンプ72へ動作指令を行い、排気ポンプ72の駆動を開始する。そして制御ユニット13がバルブ74へ動作指令を行い、バルブ74を開栓する。これにより、チャンバ11内部の気体を、配管73を介してチャンバ11外部ヘ排気する。チャンバ11内部を配管73以外について密閉状態とすることで、チャンバ11の内部環境を大気圧から減圧される。
減圧は、大気圧(約1気圧、約1013hPa)から、0.5気圧(506Pa)程度にまで行われる。尚、本願発明の実施に於いては当該気圧に限られず、減圧後のチャンバ11内の気圧は、チャンバ11等の耐圧性等に応じて適宜設定されてもよい。チャンバ11内が減圧されると、基板Wの表面Wf上の、処理液が混合された有機溶媒の液膜66から処理液の蒸発が生じる。このとき、処理液から気化熱が奪われるため、当該処理液が冷却され凝固する。
また、昇華工程S17に於いて、チャンバ11内の環境は減圧処理により逆ミセル形成剤の飽和蒸気圧よりも低い圧力となる。その結果、この様な減圧環境を維持することにより、凝固体68から逆ミセル形成剤や逆ミセルの昇華が生じる。また、凝固体68が昇華性物質を含む場合には、チャンバ11内の環境は昇華性物質の飽和蒸気圧よりも低い圧力にすることで、昇華性物質の昇華も生じさせることができる。
(変形例)
以上の説明に於いては、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その他の様々な形態で実施可能である。
例えば、第1実施形態~第4実施形態では、1個のチャンバ11内に於いて、基板Wに対し各工程が実行される。しかしながら、本発明の実施に関してはこれに限られず、各工程ごとにチャンバが用意されてもよい。例えば、第3実施形態及び第4実施形態に於いて、凝固工程までを第1チャンバで実行し、基板Wの表面Wfに凝固体が形成された後、第1チャンバから基板Wを搬出し、別の第2チャンバヘ凝固体が形成された基板Wを搬入して、第2チャンバにて昇華工程を行ってもよい。
本発明は、基板の表面に付着する水を除去する乾燥技術、及び当該乾燥技術を用いて基板の表面を処理する基板処理技術全般に適用することができる。
10 基板乾燥装置
11 チャンバ
12 飛散防止カップ
13 制御ユニット
14 旋回駆動部
15 演算処理部
17 メモリ
18 基板処理プログラム
21 処理液供給手段
22、32、42 ノズル
23、33、43 アーム
25a、25b、35、45 配管
26a、26b、36、46、74 バルブ
27 処理液貯留部
271 処理液貯留タンク
272 温度調整部
273 配管
274 加圧部
275 窒素ガスタンク
276 ポンプ
277 撹拌部
278 撹拌制御部
279 回転部
31 有機溶媒供給手段
37 有機溶媒貯留部
41 気体供給手段
47 気体貯留部
471 気体タンク
472 気体温度調整部
51 基板保持手段
52 回転駆動部
53 スピンベース
54 チャックピン
56 チャック回転機構
61 (基板乾燥用)処理液の液膜
62 逆ミセル形成剤
63 水
64 逆ミセル
65 有機溶媒の液膜
67、68 凝固体
71 減圧手段
72 排気ポンプ
S11 洗浄工程
S12 準備工程
S13、S13’ 供給工程
S14 除去工程
S15 有機溶媒供給工程
S16、S16’ 凝固工程
S17 昇華工程
W 基板
Wf (基板の)表面
Wb (基板の)裏面
Wp (基板表面の)パターン
Wp1 (パターンの)凸部
Wp2 (パターンの)凹部

Claims (18)

  1. 基板のパターン形成面上の液体を除去して前記基板の乾燥に用いる基板乾燥用処理液であって、
    水を内部に包摂した逆ミセルを、有機溶媒中で形成することが可能な逆ミセル形成剤を少なくとも含む基板乾燥用処理液。
  2. 前記逆ミセル形成剤が昇華性を有する請求項1に記載の基板乾燥用処理液。
  3. 前記逆ミセル形成剤が、ホスホン酸及びカルボン酸の少なくとも何れかを含む請求項1又は2に記載の基板乾燥用処理液。
  4. 前記カルボン酸が、プロピオン酸及び酢酸の少なくとも何れかである請求項3に記載の基板乾燥用処理液。
  5. 前記有機溶媒に溶解又は相溶する昇華性物質をさらに含む請求項1~4の何れか1項に記載の基板乾燥用処理液。
  6. 前記有機溶媒を溶媒として含む請求項1~5の何れか1項に記載の基板乾燥用処理液。
  7. 前記有機溶媒がイソプロピルアルコールである請求項1~6の何れか1項に記載の基板乾燥用処理液。
  8. 室温に於ける表面張力が40mN/m以下の範囲である請求項1~7の何れか1項に記載の基板乾燥用処理液。
  9. 基板のパターン形成面上の水を含む液体を除去して前記基板を乾燥させる基板乾燥方法であって、
    有機溶媒と、前記有機溶媒中で、水を内部に包摂した逆ミセルの形成が可能な逆ミセル形成剤とを少なくとも含む基板乾燥用処理液、を準備する準備工程と、
    前記基板のパターン形成面に前記基板乾燥用処理液を供給し、前記基板乾燥用処理液の液膜を形成する供給工程と、
    前記基板を回転させることにより、前記基板乾燥用処理液の液膜を遠心力で除去する除去工程と、
    を含み、
    前記逆ミセル形成剤は、前記準備工程に於いて、前記有機溶媒中に含まれる水を内部に包摂することにより逆ミセルを形成し、
    及び/又は、前記逆ミセル形成剤は、前記供給工程に於いて、前記パターン形成面に付着した水を内部に包摂することにより逆ミセルを形成する基板乾燥方法。
  10. 基板のパターン形成面上の水を含む液体を除去して前記基板を乾燥させる基板乾燥方法であって、
    前記基板のパターン形成面に有機溶媒を供給して、前記有機溶媒の液膜を形成する有機溶媒供給工程と、
    前期有機溶媒が供給された前記基板のパターン形成面に、基板乾燥用処理液であって、水を内部に包摂した逆ミセルを前記有機溶媒中で形成することが可能な逆ミセル形成剤を少なくとも含むものを供給して、前記有機溶媒と前記基板乾燥用処理液とが混合した液膜を形成し、又は前記有機溶媒の液膜を前記基板乾燥用処理液の液膜に置換して形成する供給工程と、
    前記基板を回転させることにより、前記有機溶媒と前記基板乾燥用処理液とが混合した液膜を遠心力により除去する除去工程と、
    を含み、
    前記逆ミセル形成剤は、前記供給工程に於いて、前記有機溶媒中に含まれる水及び/又は前記パターン形成面に付着した水を内部に包摂することにより逆ミセルを形成する基板乾燥方法。
  11. 基板のパターン形成面上の液体を除去して前記基板を乾燥させる基板乾燥方法であって、
    有機溶媒と、前記有機溶媒中で、水を内部に包摂した逆ミセルの形成が可能な逆ミセル形成剤とを少なくとも含む基板乾燥用処理液、を準備する準備工程と、
    前記基板のパターン形成面に前記基板乾燥用処理液を供給し、前記基板乾燥用処理液の液膜を形成する供給工程と、
    前記基板乾燥用処理液の液膜を凝固させて凝固体を形成し、又は前記基板乾燥用処理液の液膜から前記有機溶媒を気化させた後に前記パターン形成面上で凝固させて凝固体を形成する凝固工程と、
    前記凝固体を昇華させて、前記パターン形成面から除去する昇華工程と、
    を含み、
    前記逆ミセル形成剤は、前記準備工程に於いて、前記有機溶媒中に含まれる水を内部に包摂することにより逆ミセルを形成し、
    及び/又は、前記逆ミセル形成剤は、前記供給工程に於いて、前記パターン形成面に付着した水を内部に包摂することにより逆ミセルを形成する基板乾燥方法。
  12. 基板のパターン形成面上の液体を除去して前記基板を乾燥させる基板乾燥方法であって、
    前記基板のパターン形成面に有機溶媒を供給して、前記有機溶媒の液膜を形成する有機溶媒供給工程と、
    前期有機溶媒が供給された前記基板のパターン形成面に、基板乾燥用処理液であって、水を内部に包摂した逆ミセルを前記有機溶媒中で形成することが可能な逆ミセル形成剤を少なくとも含むものを供給して、前記有機溶媒と前記基板乾燥用処理液とが混合した液膜を形成し、又は前記有機溶媒の液膜を前記基板乾燥用処理液の液膜に置換して形成する供給工程と、
    前記供給工程に於いて、前記有機溶媒と前記基板乾燥用処理液とが混合する液膜を形成する場合には、前記有機溶媒を気化させた後に、前記パターン形成面上で凝固させて凝固体を形成し、前記基板乾燥用処理液の液膜を形成する場合には、前記基板乾燥用処理液を前記パターン形成面上で凝固させて凝固体を形成する凝固工程と、
    前記凝固体を昇華させて、前記パターン形成面から除去する昇華工程と、
    を含み、
    前記逆ミセル形成剤は、前記供給工程に於いて、前記有機溶媒中に含まれる水及び/又は前記パターン形成面に付着した水を内部に包摂することにより逆ミセルを形成する基板乾燥方法。
  13. 前記逆ミセル形成剤は昇華性を有しており、
    前記凝固工程は、前記逆ミセルの凝固体を形成する工程であり、
    前記昇華工程は、前記逆ミセルの凝固体を昇華させる工程である請求項11又は12に記載の基板乾燥方法。
  14. 前記基板乾燥用処理液が前記有機溶媒に溶解又は相溶する昇華性物質をさらに含み、
    前記凝固工程は、前記昇華性物質を凝固して、前記逆ミセルを含む前記昇華性物質の凝固体を形成する工程であり、
    前記昇華工程は、前記昇華性物質の凝固体を昇華させると共に、前記凝固体に含まれる逆ミセルを昇華させる工程である請求項11又は12に記載の基板乾燥方法。
  15. 前記逆ミセル形成剤が、ホスホン酸及びカルボン酸の少なくとも何れかを含む請求項9~14の何れか1項に記載の基板乾燥方法。
  16. 前記カルボン酸が、プロピオン酸及び酢酸の少なくとも何れかである請求項15に記載の基板乾燥方法。
  17. 前記有機溶媒がイソプロピルアルコールである請求項9~16の何れか1項に記載の基板乾燥方法。
  18. 前記基板乾燥用処理液の室温に於ける表面張力が40mN/m以下の範囲である請求項9~17の何れか1項に記載の基板乾燥方法。
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