JP6961928B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
このようなセラミックシートの製造に使用されるキャリアフィルムとしては、セラミックスラリーとの剥離をスムーズに行うため、ポリエステルフィルムに離型層を設けた離型フィルムが用いられることが知られている。(特許文献1、2)
本発明の課題は、上記課題である剥離性と密着性を持つ、ポリエステルフィルムを提供することにある。
(あ) 少なくとも一方のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面において、表面粗さSRa(nm)と、表面のぬれ張力N(mN/m)が下記式(1)および(2)を満足することを特徴とする離型用途に用いられるポリエチレンテレフタレートフィルム。
(1) −0.07×SRa+45 ≦ N ≦ −0.07×SRa+55
(2) 10nm≦SRa≦200nm
(い) 前記の表面粗さSRaと表面のぬれ張力Nが下記式(3)を満足することを特徴とする(あ)に記載のポリエチレンテレフタレートフィルム。
(3) 30mN/m≦N≦55mN/m
(う)前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの長手方向の破断強度と幅方向の破断強度のうちの高い値Aが下記式(4)を満足することを特徴とする(あ)または(い)に記載のポリエチレンテレフタレートフィルム。
(4)100MPa≦A≦210MPa
(え) 前記ポリエチレンテレフタレートフィルムが、少なくとも結晶核剤を含有する層(基材層)と、基材層に接しており、かつポリエチレンテレフタレートフィルム表面を有する層(外層)を有することを特徴とする(あ)〜(う)のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレートフィルム。
(お) 前記外層の厚みが、ポリエチレンテレフタレートフィルムの総厚みに対して5〜15%であり、前記外層が粒子を含有することを特徴とする(え)に記載のポリエチレンテレフタレートフィルム。
(か) 前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの総厚みが10μm以上30μm以下であることを特徴とする請求(あ)〜(お)のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレートフィルム。
(き) 離型用途に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレートフィルム。
(く) グリーンシート離型用途に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレートフィルム。
表面粗さとぬれ張力が式(1)を満たす事により、セラミックスラリーとの適度な密着性と剥離性を両立する事が出来る。上記式(1)の範囲外になるとセラミックスラリーとの密着性が強すぎ、剥離出来ないという不具合が発生したり、反対に密着性が弱く、導通インクがセラミックスラリーとキャリアフィルム間に流れ出てしまうという不具合が発生する。密着性と剥離性の観点からより好ましくは −0.06×SRa+45 ≦ N ≦ −0.06×SRa+55が好ましい。
ぬれ張力を制御する方法としては、フィルム表面をコロナ処理により改質する方法やコーティング膜を形成する方法や表面改質剤をフィルムに練り混む方法が挙げられる。生産性やコストの観点からフィルム表面にコロナ処理を実施する方法が好ましい。コロナ放電処理とは、電線に高電圧をかけた場合のように、強い電場の領域が局在するとき、その領域に限定された局部的な放電が起こるが、これをコロナ放電処理と呼び、その放電下にフィルムを介在させて表面処理を行なうことをいう。さらにコロナ放電処理を空気中、窒素または炭酸ガス下で行なってもよく、例えば特開平1−20236号公報、特公昭57−30854号公報などのようなコロナ放電処理が好ましく用いることができる。コロナ放電処理時の強度は、E値として表される。E値=W/(D・V)で求められ、Wは処理強度(W)、Dは処理幅(m)、Vはフィルム速度(m/分)である。表面粗さに応じ、該E値を制御する事により、式(1)を満たす範囲にぬれ張力を調整する事が可能である。
式(2) 10nm≦SRa≦200nm
表面粗さSRaが10nm未満になるとフィルムのスベリ・エア抜け性が悪くなり、フィルム巻き取り工程で凹凸欠点等が発生し、生産性が低下する場合がある。表面粗さSRaが200nmを超えるとセラミックスラリーに突起形状が転写され、セラミックシートに窪みが発生し、厚み変動アップにつながり、セラミックコンデンサー製品の性能低下につながる場合がある。生産性とセラミックコンデンサー製品の性能の観点からより好ましくは、20nm≦SRa≦180nmが好ましい。表面粗さを制御する方法は、前述した方法が挙げられる。しかしながら、本発明のポリエステルフィルムを得る方法はこれらに限定されない。
式(3) 30mN/m≦N≦54mN/m
ぬれ張力Nが30mN/m未満になるとフィルムとセラミックスラリーの密着性が低下し、導通インクがセラミックスラリーとキャリアフィルム間に流れ出てしまうという不具合が発生する場合がある。ぬれ張力Nが54mN/mを超えるとフィルムとセラミックスラリーの密着性が上がり、導通インクがセラミックスラリーとフィルムが剥離出来ないという不具合が発生する場合がある。密着性と剥離性の観点からより好ましくは、34mN/m≦N≦50mN/mが好ましい。ぬれ張力Nを制御する方法としては、前述した方法が挙げられる。しかしながら、本発明のポリエステルフィルムを得る方法はこれらに限定されない。
式(4)100MPa≦A≦210MPa
強度Aが100MPa未満になるとフィルムの剛性がなくなり、セラミックコンデンサーの加工工程でフィルムが破断する等の不具合が発生する場合がある。強度Aが210MPaを超えると穴あき加工時に穴をあける事が困難になり、加工設備を傷める等の不具合が発生する場合がある。加工性の観点からより好ましくは、150MPa≦A≦200MPaが好ましい。また、長手方向の破断強度と幅方向の破断強度のいずれもが、150MPa以上200MPa以下であることが寄り好ましい。破断強度を制御する方法は、ポリエステルフィルムに粒子等の結晶核剤を含有させ、ポリエステルフィルムの結晶性を制御する方法や、延伸方法・延伸温度・延伸倍率を調整する方法が挙げられる。しかしながら、本発明のポリエステルフィルムを得る方法はこれらに限定されない。
ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャストドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャストドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャストドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。キャストドラムの表面温度は、延伸性の観点から、15℃以下が好ましい。
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、1H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量した。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取して評価した。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
ポリエステル樹脂およびフィルムの固有粘度は、ポリエステルをオルトクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。積層フィルムの場合は、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体の固有粘度を評価した。
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルムの長手方向の断面をミクロトームで切り出した。該断面を日立製作所製S−2100A形走査型電子顕微鏡を用いて倍率4000倍にてフィルムの断面を撮影し、フィルム厚みおよびポリエステル層の厚みを求めた。
3次元表面粗さ計(小坂研究所製、ET4000AK)を用い、次の条件で触針法により測定を行った。なお、表面粗さ(SRa)は、粗さ曲面の高さと粗さ曲面の中心面の高さの差をとり、その絶対値の平均値を表したものであり、なお、本発明における表面粗さ(SRa)、はフィルムの両側表面を測定し、数値が低い値とする。
針径 2(μmR)
針圧 10(mg)
測定長 500(μm)
縦倍率 20000(倍)
CUT OFF 250(μm)
測定速度 100(μm/s)
測定間隔 5 (μm)
記録本数 80本
ヒステリシス幅 ±6.25(nm)
基準面積 0.1(mm2) 。
和光純薬(株)製ぬれ試薬を使用し、JIS K6768に準じ、フィルム表面のぬれ張力測定を実施した。綿棒をぬれ試薬に浸し、5mm×100mmの形状にぬれ試薬を約1秒で塗布し、塗布2秒後の塗布形状にて、塗布直後と形状変化無き状態となるぬれ指数をぬれ張力とした。
“テンシロン”(引っ張り試験機)を用いて、引っ張り速度300mm/min、幅10mm、試料長100mmとして、測定回数n=5とし、長手方向、幅方向のそれぞれが試料長方向になるよう測定し、その平均値を破断強度とした。
セラミック原料粉体100重量部に対し、バインダー樹脂としてポリビニルブチラールを10重量部、トルエン/酢酸エチル/ブタノール混合溶媒90重量部の割合で加え、分散機を用いてセラミックスラリーを作成した。このスラリーをフィルム上にドクターブレードを用いて、乾燥膜厚で100μmになるように塗布し、100℃で90分間乾燥してグリーンシートを作成した。その後、記で得られたグリーンシートからキャリアフィルムを剥離したときの状態から以下の基準に従い判定した。
○:スムーズに剥離ができ、離型フィルム表面にセラミック残渣が付着していないもの。△:スムーズに剥離できたが、離型フィルム表面に点状のセラミック残渣が付着したもの。
セラミック原料粉体100重量部に対し、バインダー樹脂としてポリビニルブチラールを10重量部、トルエン/酢酸エチル/ブタノール混合溶媒90重量部の割合で加え、分散機を用いてセラミックスラリーを作成した。このスラリーをフィルム上にドクターブレードを用いて、乾燥膜厚で100μmになるように塗布し、100℃で90分間乾燥してグリーンシートを作成した。上記で作製したグリーンシートを120mm角に切断した後、温度90℃に40分加熱し、溶媒を蒸発させた。次にクロムマスクを用いて径60μmのビアホール数6000本を有するクロムマスクを用いて、上面から1500mJ/cm2 の出力の超高圧水銀灯で紫外線露光した。次に25℃に保持したモノエタノールアミンの0.5重量%の水溶液に浸漬して現像し、その後スプレーを用いて光硬化していないビアホールを水洗浄した。次にグリーンシートのビアホールにスクリーン印刷法でタングステンまたは銀−パラジウム合金の導体ペーストを埋め込み、配線の層間接続用の導体を形成した。上記で形成したビアホールの断面を走査型電子顕微鏡で観察し、断面の導体ペーストの状態から以下基準に従い、判定した。
○:導体ペーストがビアホール下部(キャリアフィルムと接触している部分)
からキャリアフィルムへはみ出していない。
×:導体ペーストがビアホール下部からキャリアフィルムへはみ出している。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)。
ポリエステルA中に数平均粒子径0.2μmのアナターゼ型酸化チタン粒子を粒子濃度50重量%で含有したポリエチレンテレフタレート結晶核剤マスター(固有粘度0.65)。
ポリエステルA中に数平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2重量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
ポリエステルA中に数平均粒子径4.0μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度6重量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有濃度0.65)。
(ワックスマスターポリエステルE)
ポリエステルAにカルナウバワックス成分を0.2%重量%に含有した マスターポリマー
(実施例1)
表1のA層欄に記載した組成に混合し、150℃3時間真空乾燥して単軸押出機に供給した(A層)。さらに、表1のB層欄に記載した組成に混合し、別の単軸押出機にも乾燥し供給した(B層)。これらポリマを別流路として280℃で溶融し、フィードブロックでA層/B層/A層(積層比1/8/1)となるように積層し、Tダイより15℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ、未延伸シートを得た。次いで、長手方向への予熱温度100℃で1.5秒間予熱を行い、延伸温度101℃で長手方向に3.1倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度110℃で1.5秒予熱を行い、延伸温度115℃、で幅方向に3.6倍延伸し、そのまま、ロール加熱方式により100℃の加熱処理を行った後、テンター内にて、熱処理温度200℃で3秒、220℃で4秒実施し、幅方向に7%のリラックスを掛けながら熱処理を行った。その後、コロナ放電処理をE値16で実施し、ポリエステルフィルムを得た。
E値を14に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
A層の組成とA層厚みとB層の厚みを表の様に変更し、コロナ放電処理を行わない以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
表2のB層に記載した組成に混合し、150℃3時間真空乾燥して単軸押出機に供給した。Tダイより15℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ、未延伸シートを得た。次いで、長手方向への予熱温度100℃で1.5秒間予熱を行い、延伸温度101℃で長手方向に3.1倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度110℃で1.5秒予熱を行い、延伸温度115℃、で幅方向に3.6倍延伸し、そのまま、ロール加熱方式により100℃の加熱処理を行った後、テンター内にて、熱処理温度200℃で3秒、220℃で4秒実施し、幅方向に7%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、厚み30μmのポリエステルフィルムを得た。
A層の組成とフィルム厚みと積層比を表の様に変更し、コロナ放電処理を行わない以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
A層の組成を表の様に変更し、コロナ放電処理を行わない以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
A層の組成とフィルム厚みと積層比を表の様に変更し、コロナ放電処理を行わない以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
A層側にメタバー方式により下記の積層膜形成塗液を塗布した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
積層膜形成塗料の固形分の内訳はTg27℃のアクリル樹脂90重量%、オキサゾリン系架橋剤9重量%(“エポクロス”(登録商標)WS−500((株))日本触媒製)、シリカ粒子1重量%(スフェリカ(登録商標)スラリー140日揮触媒化成(株))の割合であった。
B層の組成を表の様に変更し、実施例4と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
A層の組成を表の用に変更し、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
Claims (7)
- 少なくとも一方のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面において、表面粗さSRa(nm)と、表面のぬれ張力N(mN/m)が下記式(1)および(2)を満足することを特徴とする離型用途に用いられるポリエチレンテレフタレートフィルム。
(1) −0.07×SRa+45 ≦ N ≦ −0.07×SRa+55
(2) 10nm≦SRa≦200nm - 前記の表面粗さSRaと表面のぬれ張力Nが下記式(3)を満足することを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレートフィルム。
(3) 30mN/m≦N≦55mN/m - 前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの長手方向の破断強度と幅方向の破断強度のうちの高い値A(MPa)が下記式(4)を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のポリエチレンテレフタレートフィルム。
(4)100MPa≦A≦210MPa - 前記ポリエチレンテレフタレートフィルムが、少なくとも、結晶核剤を含有する層(基材層)と、基材層に接しており、かつポリエチレンテレフタレートフィルム表面を有する層(外層)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレートフィルム。
- 前記外層の厚みが、ポリエチレンテレフタレートフィルムの総厚みに対して5〜15%であり、前記外層が粒子を含有することを特徴とする請求項4に記載のポリエチレンテレフタレートフィルム。
- 前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの総厚みが10μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレートフィルム。
- グリーンシート離型用途に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレートフィルム。
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