JP6740669B2 - セラミックシート製造用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は積層セラミックコンデンサ製造時に用いるキャリアフィルムに関し、詳しくはセラミックグリーンシート圧着性に優れたセラミックシート製造用ポリエステルフィルムに関するものである。
積層セラミックコンデンサ製造時に用いるキャリアフィルムは、表面に離型層を有するセラミックグリーンシート製造用ポリエステルフィルムからなる。セラミックグリーンシートは、例えば離型層が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなるキャリアフィルムの上に、セラミック粉体をバインダー及び溶媒に分散させたスラリーをダイコーターにより塗布し、溶媒を加熱乾燥除去する。その後、スクリーン印刷により内部電極を印刷、形成、溶媒を加熱乾燥してセラミックグリーンシートを製造する。その後、積層工程にて、離型フィルム側より加熱圧着し、離型フィルムを除去してセラミックグリーンシートを積層していく。上記のようにして製造された内部電極付きグリーンシート積層体を、所定のサイズに切断することによりチップ状の積層体とされる。積層セラミックコンデンサは、このチップ状の積層体を焼成し、焼成体の所定の表面に外部電極を形成することにより得ることができる。
近年、積層セラミックコンデンサ等のコンデンサの分野において、回路部品の高集積化に伴い、薄層セラミックコンデンサの小型化及び高性能化が望まれている。積層セラミックコンデンサの小型化及び高性能化を図るためには、セラミック層の厚みを薄くして多層化する必要がでてきた。
一方、キャリアフィルムについては、離型層上の欠点・突起がそのままグリーンシート製造時の欠点となり歩留りが低下することから、キャリアフィルム表面の平滑化が有効である。そのため、離型層表面またはポリエステルフィルム表面における表面粗さをコントロールすることが重要である。
特許第4744772号公報 特開2013−7054号公報 特許第4649702号公報 特許第4159137号公報
現在、上記特許文献に提案のフィルムがキャリアフィルムとして積層セラミックコンデンサ製造工程に用いられている。ところが、積層セラミックコンデンサは、大容量化の要求により、薄層化・多層化が進展していることから、セラミックグリーンシートの厚みが2μm以下と薄くなってきている。一方、焼成前の内部電極は薄くできないことから、内部電極パターンにより発生する段差が顕著化してきた。
そのため、キャリアフィルムの薄膜化が望まれているものの、セラミック圧着工程における電極の段差への追従性の問題があり、歩留まりが低下してしまうという問題がある。
本発明の課題は、優れたセラミックグリーンシート圧着性を有し、積層セラミックコンデンサの大容量化の要求にこたえることのできるセラミックシート製造用ポリエステルフィルムを提供することである。
代表的な本発明は以下のとおりである。
項1.
厚みが9〜31μmであり、下記要件(1)〜(3)を満たすセラミックシート製造用ポリエステルフィルム。
(1)内部に空洞を含有するポリエステル層(B層)の少なくとも一方の面に、実質的に粒子を含有しないポリエステル層(A層)が積層された構成を有する
(2)ポリエステル層(A層)の三次元十点平均粗さ(SRz)は0.23μm以下
(3)見かけ密度が0.80〜1.28g/cm
項2.
A層の厚みが5〜20μmである項1に記載のセラミックシート製造用ポリエステルフィルム。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムは、優れたセラミックグリーンシート圧着性を有するので、積層セラミックコンデンサ製造工程用フィルムとして好適である。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムは、下記要件(1)〜(3)を満たす
(1)内部に空洞を含有するポリエステル層(B層)の少なくとも一方の面に、実質的に粒子を含有しないポリエステル層(A層)が積層された構成を有する
(2)ポリエステル層(A層)の三次元十点平均粗さ(SRz)は0.23μm以下
(3)見かけ密度が0.80〜1.28g/cm
ポリエステル層(B層)が内部に空洞を含有するためクッション性を有することから、セラミックグリーンシート圧着時に、電極の段差にかかる応力を面方向に分散させることができる。そのため、セラミックグリーンシートがずれることなく、均一に圧着することができる。
ポリエステル層(A層)が平滑であることから、その表面に塗布される離型層の平滑性を阻害せず、セラミックグリーンシートの欠点となる表面突起を抑制することができる。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムは、ポリエステル層(A層)/ポリエステル層(B層)の少なくとも2層の層構成からなる積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステル層(A層)は実質的に粒子を含有しない層であり、ポリエステル層(B層)は内部に空洞を含有してなる層である。以降、ポリエステル層(A層)、ポリエステル層(B層)を、それぞれ単に、A層、B層を呼ぶことがある。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムは、A層/B層、A層/B層/A層、A層/B層/C層の積層構成とすることができ、さらに、各層の間に「他の層」を積層しても構わない。例えば、B層とC層の間に「他の層」を有していてもよい。C層や前述の「他の層」もポリエステルからなる層であることが好ましい。重要なことは、A層の平滑性とB層のクッション性であり、それらを阻害しない範囲であれば層構成は限定されない。本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムのA層表面には、離型層が設けられることが好ましい。なお、セラミックシート製造用ポリエステルフィルムがA層/B層/A層構成の場合には、少なくとも一方のA層表面に離型層が設けられることが好ましい。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムのA層、B層等の各層を構成するポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂よりなることが好ましい。ここで、ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、エチレングリコールおよびテレフタル酸を主な構成成分として含有し、エチレンテレフタレート単位が85モル%以上のものが好ましい。特に好ましくはポリエチレンテレフタレートである。本発明の目的を阻害しない範囲であれば、他のジカルボン酸成分およびグリコール成分を共重合させても良い。上記の他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス−(4−カルボキシフェニルエタン)、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シクロヘキサン−1、4−ジカルボン酸等が挙げられる。上記の他のグリコール成分としては、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ビスフェノールA等のエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。この他、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸成分も使用してもよい。
このようなポリエチレンテレフタレート系樹脂(以下、単にPETと記載した場合は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を指す)の重合法としては、テレフタル酸とエチレングリコール、および必要に応じて他のジカルボン酸成分およびジオール成分を直接反応させる直接重合法、およびテレフタル酸のジメチルエステル(必要に応じて他のジカルボン酸のメチルエステルを含む)とエチレングリコール(必要に応じて他のジオール成分を含む)とをエステル交換反応させるエステル交換法等の任意の製造方法が利用され得る。
また、前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度は、0.45dl/g〜0.70dl/gの範囲が好ましい。固有粘度が0.45dl/gよりも低いと、フィルムが裂けやすくなる傾向にあり、0.70dl/gより高いと濾圧上昇が大きくなって高精度濾過が困難となる恐れがある。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムの表面層であるA層は実質的に粒子を含有しない。「粒子が実質的に含有しない」とは、例えば無機粒子の場合、原子吸光分析法や発光分析法など予め他の分析法での分析結果から作成した検量線を用いて、蛍光X線分析法で粒子に起因する元素を定量した際に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。これは、積極的に粒子をフィルム中に含有させなくても、原料ポリマーやフィルム製造時に微量の付着物、汚れ、外来異物が混入する場合があるためである。
A層の厚みは5〜20μmが好ましい。A層の厚みが5μm未満の場合は、B層に含有されている微細空洞や粒子が、表面層であるA層の表面平滑性に悪影響を与える場合があるので好ましくない。一方、A層の厚みが20μmを超える場合には、クッション性が低下する傾向にあるため好ましくない。A層の厚みは、表面平滑性の観点から、9μm以上がより好ましく、12μm以上がさらに好ましい。
A層表面の三次元十点平均粗さ(SRz)は、0.23μm以下とすることが重要である。SRzは0.21μm以下が好ましく、0.19μm以下がさらに好ましく、特に好ましくは0.16μm以下である。A層表面のSRzの下限は、平滑性の点から、可能な限りゼロに近いことが好ましい。しかしながら、極限レベルの表面平滑化は極めて高度な技術を要すること、またそれを検出するための測定器の測定精度に加え、実用上の光線反射率や工業レベルでの安定生産性を考慮すると、SRzの下限値は0.05μmで十分である。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムを構成するB層は、内部に空洞を含有してなる層である。クッション性の観点から微細空洞含有ポリエステル層であることが好ましい。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムは、A層/B層、A層/B層/C層の積層構成を取りえるが、表面層であるA層とは反対側のもう一方の表面層には、作業性(滑り性)の観点から、無機粒子が含まれていることが好ましい。すなわち、A層/B層の場合にはB層に、A層/B層/C層の場合には、C層に無機粒子が含まれていてもよい。
無機粒子としては、微粒子を添加してフィルムの作業性(滑り性)を良好なものとすることが好ましい。粒子としては任意のものが選べるが、たとえば、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、カオリナイト、タルクなどの無機粒子やその他の有機粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、B層の樹脂組成物に対し、0.05〜25質量%含有させることが好ましい。0.1〜15質量%がより好ましく、0.2〜5質量%がさらに好ましい。0.05質量%未満であると十分な滑り性を発現できず、製膜中にA層にキズが入る可能性があり好ましくない。無機粒子の含有量を増やしすぎると、フィルム製造時に破断が多発し、工業レベルで安定した生産が行えなくなる恐れがある。
B層を構成するポリエステル中に空洞を含有させる方法としては、(1)発泡剤を含有せしめ押出時や製膜時の熱によって発泡、あるいは化学的分解により発泡させる方法、(2)押出時又は押出後に炭酸ガスなどの気体又は気化可能な物質を添加し、発泡させる方法、(3)ポリエステルと該ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を添加し、溶融押出後、1軸又は2軸に延伸する方法、(4)有機もしくは無機の微粒子を添加して溶融押出後、1軸又は2軸に延伸する方法などを挙げることができる。
前記の空洞を含有させる方法の中で、前記(3)の方法、すなわちポリエステル樹脂と非相溶性の熱可塑性樹脂(空洞発現剤)を添加し、溶融押出後、1軸又は2軸に延伸する方法が好ましい。フィルム原料を溶融、押出し成形する工程で、ポリエステル樹脂中にポリエステル樹脂と非相溶な熱可塑性樹脂を分散させることが好ましく、ポリエステル樹脂中に非相溶熱可塑性樹脂が分散した未延伸フィルムを延伸処理することにより、非相溶熱可塑性樹脂の分散粒子とポリエステルの界面に空洞が発現され、空洞含有フィルムが得られる。ここで、ポリエステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂としては、何ら制限されるものではないが、ポリプロピレンやポリメチルペンテンに代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂などが例示される。
これらの、ポリステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂は単独で用いてもよく、また複数の熱可塑性樹脂を組合せて用いてもよい。これらポリステル樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂の含有量は、空洞含有ポリエステル層(B層)を形成する樹脂に対し3〜20質量%が好ましく、さらに好ましいのは5〜15質量%である。ここで、「空洞含有ポリエステル層(B層)を形成する樹脂に対し」とは、B層がポリエステル樹脂と非相溶の熱可塑性樹脂からなる場合は、それらの樹脂の質量を合算した値に対しての意味である。
そして、非相溶性の熱可塑性樹脂の含有量が空洞含有ポリエステル層を形成する樹脂に対し3質量%未満では、フィルム内部に形成される空洞含有量が少なくなるため、クッションが低下する傾向にある。一方、非相溶性の熱可塑性樹脂の含有量が、空洞含有ポリエステル層(中間層B)を形成する樹脂に対し20質量%を超える場合には、フィルム製造工程での破断が多発する恐れがあり好ましくない。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムの厚みは、特に制限されるものではないが、9〜31μmの範囲で市場で使用する際の用途、製造工程により一般的に決められる。一方、A層の厚みは、B層の内部に存在する空洞や粒子が、A層の平滑性に悪影響を与えない範囲で、例えば5〜20μmが設定することができる。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムは、見かけ密度が0.80〜1.28g/cmであることが好ましい。見かけ密度の下限は、取り扱い性の点から、0.80g/cmがより好ましく、特に好ましくは0.90g/cmである。一方、見かけ密度の上限は、軽量化の点から、1.20g/cmがより好ましく、特に好ましくは1.10g/cmである。見かけ密度が0.80g/cm未満の場合、フィルム中の空洞含有率が高すぎるため、ポリエステルフィルムの強度が低下し、腰も弱くなり取り扱い性が悪化するなど、ポリエステルフィルムとしての特徴が損なわれる傾向がある。一方、見かけ密度が1.28g/cmを超える場合、フィルム中の空洞含有率が低すぎて、クッション性の効果が不十分となる。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムは、A層表面に離型層を積層することが好ましい。離型層を形成する離型剤の成分は、特に限定されることはなく、公知の材料を用いることができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂、硬化性シリコーン樹脂、アルキッド樹脂が挙げられるが、軽い剥離強度を得るには、硬化性シリコーン樹脂が最も好ましい。
離型剤に硬化性シリコーン樹脂を用いる場合、その種類としては、例えば、溶剤付加型、溶剤縮合型、溶剤紫外線硬化型、無溶剤付加型、無溶剤縮合型、無溶剤紫外線硬化型、無溶剤電子線硬化型が挙げられるが、いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。
離型剤に用いる硬化性シリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業(株)製のKS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、KNS−305、KNS−3000、X−62−1256;ダウ・コーニング・アジア(株)製のDKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210;東芝シリコーン(株)製のYSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
離型層の形成方法は、特に限定されないが、離型剤を調製し、これをセラミックシート製造用ポリエステルフィルム上に塗布、乾燥、熱処理する方法が好ましい。離型剤は、例えば、帯電防止剤、ポリオレフィン樹脂、必要に応じて架橋剤などを溶媒に加え、溶液または分散液として調製する。
離型層の厚さは、塗工性の面から、0.01〜1μmが好ましい。離型層の厚みが0.01μm未満であると、塗工性の点で安定性に欠ける傾向があり、均一な塗膜を得るのが困難となることがある。一方、離型層の厚みが1μmを超えると、フィルム巻取り性が不十分となる傾向がある。
セラミックシート製造用ポリエステルフィルムに離型剤を塗布する方法としては、バーコート、リバースロールコート、グラビアコート、ロッドコート、エアドクターコート、ドクターブレードコートなどの従来より公知の塗工方式を用いることができる。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムは、機械的強度、耐薬品性、耐熱性などの点から、二軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましい。延伸方法は特に限定されず、逐次二軸延伸方法、または同時二軸延伸方法が適宜使用される。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムにおける製造方法について説明する。ポリエチレンテレフタレートのペレットを用いた代表例について詳しく説明するが、当然これに限定されるものではない。
まず、フィルム原料を乾燥あるいは熱風乾燥によって、水分率が100ppm未満となるように乾燥する。次いで、A層、B層等がそれぞれ設計の組成となるように各原料を計量、混合して2台以上の押出し機を用いて各層の原料を押出し、多層フィードブロック(例えば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて両層を合流させ、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。あるいは多層フィードブロックを用いる代わりにマルチマニホールドダイを用いても良い。
また、溶融樹脂が280℃に保たれた任意の場所で、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行うことが好ましい。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は、特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の場合、Si、Ti、Sb、Ge、Cuを主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れ好適である。
次に、前記の方法で得られた未延伸フィルムを逐次二軸延伸し、次いで熱処理を行う。最も一般的に用いられる逐次二軸延伸方法、特に未延伸フィルムを長手方向に縦延伸し、次いで幅方向に横延伸する方法を例に説明する。まず、長手方向への縦延伸工程では、フィルムを加熱し、周速が異なる2本あるいは多数本のロール間で2.5〜5.0倍に延伸する。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の加熱媒体を用いる方法でもよく、それらを併用してもよいが、フィルムの温度を(Tg−10℃)〜(Tg+50℃)の範囲とすることが好ましい。次いで1軸延伸フィルムをテンターに導入し、幅方向に(Tg−10℃)〜Tm−10℃以下の温度で2.5〜5倍に延伸することで2軸延伸フィルムが得られる。但し、Tgはポリエステル樹脂のガラス転移温度、Tmはポリエステル樹脂の融点である。また上記より得られるフィルムに対し、必要に応じて熱処理を施すことが好ましく、処理温度としては(Tm−60℃)〜Tmの範囲で行うのが好ましい。
次に、本発明の効果を実施例および比較例を用いて説明する。まず、本発明で使用した特性値の評価方法を下記に示す。
(1)三次元十点平均粗さ(SRz)
フィルムのA層表面を触針式三次元表面粗さ計(株式会社小坂研究所社製、ET4000−AK31)を用いて、MD方向1.25mm、TD方向0.3mmの範囲を測定倍率20,000、測定速度0.2m/min、総データ点数94526点として評価を行った。カットオフ値0.25として解析を行い、三次元十点平均粗さSRzを求めた。SRzの単位はμmである。なお、測定は3回行い、それらの平均値を採用した。
(2)見かけ密度
フィルムを5.0cm四方の正方形に4枚切り出し、4枚を重ね合わせマイクロメーターを用いて有効数字4桁で、総厚みの場所を変えて10点測定し、4枚重ね合わせた厚みの平均値を求めた。この平均値を4で除して有効数字3桁に丸め、一枚あたりの平均厚み(t:μm)とした。同試料4枚の重量(w:g)を有効数字4 桁で自動上皿天秤を用いて測定し、次式より見かけ密度を求めた。なお、見かけ密度は有効数字2桁に丸めた。
見かけ密度(g/cm)=w/(5.0×5.0×t×10−4×4)
(3)積層フィルムの層厚み
ミクロトームを用いてフィルムを切削し、フィルム表面に垂直な断面を得た。この断面に白金・パラジウム合金をスパッタリングによって被覆したものを観察サンプルとした。走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−510型)を用いてフィルム断面を観察し、フィルム全厚みが一視野となる適当な倍率で写真撮影した。この像より、スケールを用いて各層の厚みを測定した。独立に作成した3点の断面サンプルについて測定を行い、この平均値をもって積層フィルムの層厚みとした。
(4)固有粘度(IV)
ポリエステル樹脂を粉砕して乾燥した後、パラクロロフェノール/テトラクロロエタン=75/25(重量比)の混合溶媒に溶解した。ウベローデ粘度計を用いて、30℃で0.4g/dlの濃度の溶液の流下時間及び溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用い、Hugginsの定数が0.38であると仮定してポリエステル樹脂の固有粘度を算出した。
(セラミックグリーンシート加工評価)
(5)セラミックグリーンシートのピンホール
(a)評価用セラミックグリーンシートの作製
チタン酸バリウム系誘電体セラミック粉末100質量部に対し、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール5質量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート30質量部とを配合し、さらに容量比でトルエン及びエタノールを1:1で含む溶剤を添加し、10〜20時間湿式混合してセラミックスラリーを作製した。得られたセラミックスラリーを用い、後述する「離型層が積層されたセラミックシート製造用ポリエステルフィルム」の離型面にドクターブレード法により厚み2μmとなるようにセラミックスラリーを塗布した。120℃で乾燥し評価用セラミックグリーンシート(ポリエステルフィルム付き)を作製した。
(b)ピンホール評価
上記により得られた評価用セラミックグリーンシートを100mm×100mmにカットしシートの反対面から光をあて、ピンホールの発生状況を観察し、下記基準により評価した。
×:ピンホールが多数あり。
○:ピンホールなし。
(6)セラミックグリーンシート圧着性
(a)擬似被着体の作製
導電性ペースト剤(東洋紡社製、DW−114L−1)を、ガラス板上に、スクリーン印刷で乾燥後の膜厚が1μmになるようにパターンを塗布、80℃で1分乾燥し、ガラス板上に1μmの段差を有する擬似被着体を作製した。
(b)評価
熱ラミネーターを用い、温度80℃、面圧100MPaで、擬似被着体上に、(5)で作成した評価用セラミックグリーンシートをセラミックグリーンシート面が接触するように圧着し、これを評価用サンプルとした。作製したサンプルをガラス面から顕微鏡観察し、擬似被着体の段差部分の気泡の有無を確認した。
気泡が発生:×、気泡の発生無し:○
(実施例1)
(1)ポリエステル樹脂(A)の製造
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコールを64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部及びトリエチルアミンを0.16質量部添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kgf/cm、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、酢酸マグネシウム4水和物0.071質量部、次いでリン酸トリメチル0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部、次いで酢酸ナトリウム0.0036質量部を添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下260℃から280℃へ徐々に昇温し、285℃で重縮合反応を行った。
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られたポリエステル樹脂(A)は、融点が257℃、固有粘度が0.616dl/g、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。
(2)ポリエステル樹脂(B)の製造
添加剤としてシリカ粒子(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア310、平均粒径2.7μm)を2000ppm含有させた以外はポリエステル樹脂(A)と同様にして、ポリエステル樹脂(B)を作製した。
(3)熱可塑性樹脂(C)の作製
メルトフローレート1.5のポリスチレン樹脂(日本ポリスチ社製、G797N)20質量%、メルトフローレート3.0の気相法重合ポリプロピレン樹脂(出光石油化学社製、F300SP)20質量%及びメルトフローレート180のポリメチルペンテン樹脂(三井化学社製:TPX DX−820)60質量%をペレット混合し、2軸押出機に供給して十分に混練りし、ストランドを冷却、切断して熱可塑性樹脂(C)を作製した。
(4)セラミックシート製造用ポリエステルフィルムの製造
A層の原料として、ポリエステル樹脂(A)100質量部を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機1に供給した。B層の原料として、ポリエステル樹脂(A)92質量部と熱可塑性樹脂(C)を8質量部とをペレット混合し、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2に供給した。押出機2、及び押出機1に供給された各原料を、押出機の溶融部、混練り部、配管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280℃、その後の配管では275℃とし、2層合流ブロックを用いてA層/B層となるように積層し、口金よりシート状に溶融押し出した。なお、A層とB層との厚み比率は、A層/B層=48/52となるように、各層のギアポンプを用いて制御した。
そして、押し出した樹脂を、表面温度30℃の冷却ドラム上にキャスティングして静電印加法を用いて冷却ドラム表面に密着させて冷却固化し、厚さ340μmの未延伸フィルムを作成した。
得られた未延伸シートを長手方向に105℃で3.4倍延伸した後、テンターに導き、120℃で幅方向に4.0倍に延伸し、230℃の熱処理を行い厚み25μmのセラミックシート製造用ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム物性を表1に示す。
実施例2〜5、比較例1,2
表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にしてセラミックシート製造用ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム物性を表1に示す。
(離型層が積層されたセラミックシート製造用ポリエステルフィルムの作成)
紫外線カチオン硬化型シリコーンレジン(東芝シリコン社製、UV9315)を溶剤(ノルマルヘキサン)中に樹脂固形分濃度が2重量%となるように分散させ、シリコーンレジン100重量部に対し、1重量部のビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートを硬化触媒として添加し、シリコーン樹脂を含む塗布液を作成した。上記シリコーン樹脂を含む塗布液を、各実施例で得られたセラミックシート製造用ポリエステルフィルムのA層表面に、ワイヤーバーを用いて、塗布液を塗布し、100℃×30秒で乾燥後、紫外線照射装置で紫外線照射(300mj/cm)し、離型層が積層されたセラミックシート製造用ポリエステルフィルム(シリコーン離型層の乾燥後塗布量0.10g/m)を得た。
本発明のセラミックシート製造用ポリエステルフィルムは、優れたセラミックグリーンシート圧着性を有するので、積層セラミックコンデンサ製造工程用フィルムとして好適である。

Claims (2)

  1. 厚みが9〜31μmであり、下記要件(1)〜(3)を満たすセラミックシート製造用ポリエステルフィルム。
    (1)内部に空洞を含有するポリエステル層(B層)の少なくとも一方の面に、実質的に粒子を含有しないポリエステル層(A層)が積層された構成を有する
    (2)ポリエステル層(A層)の三次元十点平均粗さ(SRz)は0.23μm以下
    (3)見かけ密度が0.80〜1.28g/cm
  2. A層の厚みが5〜20μmである請求項1に記載のセラミックシート製造用ポリエステルフィルム。
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