JP5825949B2 - 離型フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、離型フィルムに関し、特にセラミックグリーンシートの製造に好適に使用される離型フィルムに関する。
従来、電子部品関連製品、例えばセラミックコンデンサの原料であるグリーンシート用の工程フィルムとして、一方の面に離型処理が施された離型フィルムが用いられることが知られている。このような離型フィルムは、グリーンシート作製用のセラミックスラリーや、グリーンシートを接着するのに用いる接着剤等を、その上に適切に塗布やキャスト等できるようにするために、離型層面を平滑にする必要がある。
近年、グリーンシートは薄膜化が進んでおり、例えば1μm以下の薄膜グリーンシートの実用化も検討されている。薄膜のグリーンシートは、離型フィルム上で作製されるとき、離型層に粗大突起があると、セラミックスラリーにはじきが生じ、或いはグリーンシート等にピンホール等の欠点が発生することになり、離型フィルムから剥離される際に破断が生じるなどの不具合が起こりやすくなる。そのため、グリーンシート等の薄膜化が進むにつれ、離型層にもより高い平滑性が求められるようになっている。一方で、離型フィルムは、離型層表面の平滑性を高くすると、滑り性が低下するとともに、ロール状に巻くときやロールから繰り出すときの空気抜けが悪くなるため、巻きずれやブロッキングが発生してハンドリング性が低下する。
例えば特許文献1には、離型フィルムにおいて、離型層側の面とは反対側の面に、無数の粒子が含有された層が設けられ、その反対側の面が粗面とされることが開示されている。また、特許文献1では、粒子の平均粒径と、粒子が含有される最外層の厚さの関係が一定にされつつ、離型フィルム両面の10nm以上の突起の個数が一定の範囲とされている。これにより、特許文献1では、離型層の平滑度や、離型フィルムの滑り性及び空気抜けを良好にしつつ、離型フィルムがロール状に巻かれたとき、反対側の面の突起により離型層面が剥がされたりすることも防止されている。
特開2003−305806号公報
しかしながら、特許文献1の構成によれば、ハンドリング性は比較的良好になるが、離型フィルムの最外層に粒子が含有されるため、使用中に粒子が脱落し、セラミックコンデンサ等の各種製品に異物が混入されるおそれがある。また、粒子の径にはばらつきがあるため、反対側の面において、粗大突起が発生することを完全に抑えることは難しい。このような粗大突起は、離型フィルム上にグリーンシート等が積層され、かつロール状に巻かれたときに、グリーンシート等に凹状に転写され、形状欠陥等を引き起こすことがある。
そこで、本発明は、ハンドリング性を良好に保ちつつも、異物の脱落や、離型フィルム上に積層されるグリーンシート等に生じる形状欠陥を防止することができる離型フィルムを提供することを目的とする。
本発明に係る離型フィルムは、基材フィルムと、基材フィルムの一方の面に設けられた離型層と、基材フィルムの他方の面に設けられた背面樹脂層とを有する離型フィルムであって、背面樹脂層が粒子状フィラーを実質的に含有せず、さらに背面樹脂層の表面の算術平均粗さ(Ra)が10〜80nmであるとともに、離型層の表面の算術平均粗さ(Ra)が、8nm以下であることを特徴とする。
背面樹脂層は、ポリエステル樹脂とアミノ樹脂とを含むことが好ましい。背面樹脂層の厚さは、例えば0.5〜3μmである。また、基材フィルムは、粒子状フィラーを実質的に含有しないフィルムであっても良いし、その表面が粒子状フィラーを実質的に含有しない層で構成されるフィルムであっても良い。
本発明に係る離型フィルムの製造方法は、基材フィルムの一方の面に離型層形成用組成物を塗布して離型層を設ける工程と、基材フィルムの他方の面に樹脂層形成用組成物を塗布して背面樹脂層を設ける工程とを備え、背面樹脂層は、粒子状フィラーを実質的に含有せず、さらに背面樹脂層の表面の算術平均粗さ(Ra)が10〜80nmであるとともに、離型層の表面の算術平均粗さ(Ra)が、8nm以下であることを特徴とする。
本発明では、離型フィルムのハンドリング性を良好に保ちつつ、離型フィルムから異物が脱落しないようにし、かつ離型フィルム上に積層されるグリーンシート等に生じる形状欠陥を防止することができる。
本発明の一実施形態に係る離型フィルムを示す模式的な断面図である。 実施例1の背面樹脂層を光干渉式表面形状観察装置で観察した画像である。
以下、本発明の実施形態についてさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る離型フィルムを示す。本実施形態における離型フィルム10は、基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面に積層された離型層12と、基材フィルム11の他方の面に積層された背面樹脂層13とを有するものである。
基材フィルム11は、離型層12及び背面樹脂層13を支持する機能を有する。基材フィルム11を構成する材料としては、特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、アクリル樹脂等の各種樹脂が使用できる。これらの中でも、加工のしやすさ、耐久性、耐熱性、コスト等の観点から、ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。また、基材フィルム11は、無延伸フィルムでもよいが一軸又は二軸延伸フィルムであることが好ましい。
基材フィルム11の両表面の算術平均粗さ(Ra)は、離型層12や背面樹脂層13の表面の平滑度を後述するように所定の範囲とするために、1〜10nmであることが好ましく、1〜7nmであることがより好ましい。また、基材フィルム11の両面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)は、1〜100nmであることが好ましく、1〜80nmであることがより好ましい。
基材フィルム11は、粒子脱落を防止し、かつその表面の平滑度を上記したように比較的高くするために、無機粒子等の粒子状フィラーを実質的に含有しないことが好ましい。ただし、基材フィルム11は、その表面の層に粒子状フィラーを含まなければ良く、例えば2層以上の積層構造を有するような場合には、基材フィルム11の両面を構成する層が、粒子状フィラーを実質的に含有しなければ良い。
また、基材フィルム11の両表面は、JIS−K 6768による濡れ指数が30mN/m以上であったほうが良く、40〜70mN/mであることがより好ましい。これにより、基材フィルム11と離型層12や背面樹脂層13との密着性を高めることができる。また、濡れ指数を上記範囲にするために、基材フィルム11の表面には、所望によりプライマーコートが塗布され、またはコロナ処理等が施されていても良い。基材フィルム11の厚さは、特に限定されないが10〜100μmであることが好ましく、12〜50μmであることがより好ましい。
離型層12は、例えば剥離剤を含む離型層形成用組成物の硬化物で形成される。剥離剤としては、離型層12上に積層されるグリーンシート等を、離型フィルム10から剥離させる機能を離型層12に付与できるものであれば特に限定されないが、例えばシリコーン樹脂、長鎖アルキル樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。離型層12の厚さは、0.01〜3μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることが特に好ましい。
離型層12の表面は、その上に形成されるグリーンシート等に欠陥等が発生しないようにするために、できる限り平滑であるほうが良い。具体的には、離型層12の表面の算術平均粗さ(Ra)は、8nm以下であるが、1〜8nmであることが好ましく、1〜7nmであることが特に好ましい。また、離型層12の表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)は、100nm以下であれば良いが、1〜100nmであることが好ましく、1〜80nmであることがより好ましい。
離型層12は、例えば、離型層形成用組成物を基材フィルム11の一方の面に従来公知の塗工方法で塗工した後、所定の温度で加熱して乾燥及び硬化させることによって形成する。このとき、離型層形成用組成物は適当な溶媒等で希釈したものを基材フィルム11に塗工しても良い。溶媒としては、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルや酢酸ブチルなどの脂肪酸エステル、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトンなどのケトン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素等の有機溶剤等を使用することが好ましい。
離型層形成用組成物の塗工方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ゲートロールコート法、ダイコート法などを使用でき、グラビアコート法、バーコート法が好ましく、バーコート法が特に好ましい。また、離型層形成用組成物の加熱・乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥炉などで熱乾燥する方法等が挙げられる。特に制限はないが、乾燥温度は50〜150℃であることが好ましく、また、乾燥時間は10秒間〜5分間であることが好ましい。
背面樹脂層13は、無機粒子等の粒子状フィラーを実質的に含有しない樹脂によって形成されるものである。背面樹脂層13は、図2に示すように、略平坦面である樹脂層表面に複数の凹部が形成された構造を有する。このような複数の凹部は、粒子状フィラーによる突起形成に基づくものではなく、例えば下記で詳述するように、樹脂層13が硬化されて形成される際に、硬化樹脂皮膜自体が粗面化することにより形成される。
このような構成を有する背面樹脂層13の表面の算術平均粗さ(Ra)は、10〜80nmとなるが、10〜40nmであることが好ましい。また、背面樹脂層13の表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)は、10〜500nmであることが好ましく、10〜300nmであることがより好ましい。これら算術平均粗さ(Ra)や最大断面高さ(Rt)が、上記範囲未満となると、離型フィルム10をロール状に巻き取ったときのブロッキングや巻きずれ等が生じやすくなり、ハンドリング性を十分に向上させることができない。一方、上記範囲より大きくとなると、離型フィルム10の背面に比較的大きな凸部が存在することとなり、離型層12の上にグリーンシート等が積層され、かつロール状にされたときに、グリーンシート等に比較的大きな凹部が転写され、グリーンシート等に形状欠陥等が生じやすくなる。
背面樹脂層13の厚さは、0.1〜3μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることが特に好ましい。背面樹脂層13の厚さがこの範囲未満となると、樹脂層表面に凹部が形成しにくくなるとともに、上記範囲より大きくなると、離型フィルム10の厚さを必要以上に大きくしてしまうことになる。
背面樹脂層13を形成する材料としては、表面に凹部が容易に形成できるようにするために、表面自由エネルギーが異なる2種以上の樹脂を用いることが好ましい。また、それら種類の異なる樹脂の表面自由エネルギーの差は、平滑度を上記したように一定の範囲に制御するために、10mJ/m以上であることが好ましく、15〜35mJ/mであることがより好ましい。さらに、背面樹脂層13を形成するために使用する樹脂としては、特に限定されないが、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂等が挙げられる。背面樹脂層13では、これら2種以上の樹脂が反応されて架橋物となっていても良い。
背面樹脂層13に使用するポリエステル樹脂としては、例えば、多価アルコールと多塩基酸との縮合反応によって得られる樹脂であって、二塩基酸と二価アルコールとの縮合物若しくは不乾性油脂肪酸等で変性したものである不転化性ポリエステル樹脂、及び二塩基酸と三価以上のアルコールとの縮合物である転化性ポリエステル樹脂等が挙げられ、本実施形態においては、これらのうちいずれも使用することができる。
ポリエステル樹脂の原料として用いられる多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの二価アルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの三価アルコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニット、ソルビット等の四価以上の多価アルコールが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、多塩基酸としては、例えば無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水トリメット酸等の芳香族多塩基酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族飽和多塩基酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸等の脂肪族不飽和多塩基酸、シクロペンタジエン−無水マレイン酸付加物、テルペン−無水マレイン酸付加物、ロジン−無水マレイン酸付加物等のディールズ・アルダー反応による多塩基酸等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも芳香族多塩基酸を用いることが好ましく、すなわちポリエステル樹脂として芳香族ポリエステル樹脂を使用することが好ましい。
さらに、変性剤である不乾性油脂肪酸等としては、例えばオクチル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸、脱水リシノレイン酸、あるいはヤシ油、アマニ油、キリ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、大豆油、サフラワー油、およびこれらの脂肪酸等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ポリエステル樹脂としても、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル樹脂は、アミノ樹脂等の他の種類の樹脂と反応するために反応性官能基を有することが好ましく、その反応性官能基は水酸基であることがより好ましい。そして、ポリエステル樹脂の水酸基価は、5〜500mgKOH/gであることが好ましく、20〜300mgKOH/gであることがより好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量は、例えば500〜10000であるが、1000〜5000であることが好ましい。また、ポリエステル樹脂の表面自由エネルギーは、例えば40〜60mJ/mであるが、45〜55mJ/mであることが好ましい。
背面樹脂層13に使用するアミノ樹脂としては、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂等のメラミン樹脂;メチル化尿素樹脂、ブチル化尿素樹脂等の尿素樹脂;メチル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチル化ベンゾグアナミン樹脂等のベンゾグアナミン樹脂などが挙げられる。
アミノ樹脂の数平均分子量は、例えば300〜3000であるが、400〜2000であることが好ましい。また、アミノ樹脂の表面自由エネルギーは、通常上記したポリエステル樹脂よりも高く、例えば50〜90mJ/mであるが、55〜85mJ/mであることが好ましい。
また、背面樹脂層13を構成する材料には、所望により、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂や、塩酸、p−トルエンスルホン酸などの公知の酸性触媒が加えられても良い。
背面樹脂層13を構成する樹脂としてポリエステル樹脂とアミノ樹脂が使用される場合、ポリエステル樹脂とアミノ樹脂との質量比は、20:80〜80:20であることが好ましく、25:75〜75:25であることがより好ましい。
背面樹脂層13は、特に限定されないが、表面自由エネルギーの異なる2種以上の樹脂および溶媒を含む樹脂層形成用組成物を、基材フィルム11の他方の面に従来公知の塗工方法で塗工した後、例えば所定の温度で加熱して乾燥及び硬化させることにより形成することが好ましい。そして、このような樹脂層13の硬化過程において、樹脂層13の表面に上記した多数の凹部が形成されることになる。
具体的な凹部形成のメカニズムは、以下のように推定される。すなわち、樹脂層形成用組成物の状態では溶媒の存在により安定に溶解していた2種以上の樹脂が、溶媒の揮散に伴って相溶性が低下し、それにより、表面自由エネルギーの小さい樹脂の方が表面に濃化する現象が起こるとともに、相分離によって海島構造が形成される現象も起こり、これら2つの現象が相俟って凹部形成が引き起こされるものと推定される。このようなメカニズムにより、背面樹脂層13の表面には、上記範囲内の算術平均粗さ(Ra)を有するように無数の凹部が形成される一方で、粗大突起が生じることはなく最大断面高さ(Rt)を上記範囲内にすることができる。
樹脂層形成用組成物に使用される溶媒としては、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルや酢酸ブチルなどの脂肪酸エステル、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトンなどのケトン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素等の有機溶剤等が好適に使用される。
樹脂層形成用組成物の塗工方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ゲートロールコート法、ダイコート法などが使用でき、グラビアコート法、バーコート法が好ましく、バーコート法が特に好ましい。樹脂層形成用組成物の加熱・乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥炉などで熱乾燥する方法等が挙げられる。特に制限されることはないが、乾燥温度は50〜150℃であることが好ましく、また、乾燥時間は10秒間〜5分間であることが好ましい。
本実施形態においては、離型層形成用組成物を塗工して離型層を形成する工程と、樹脂層形成用組成物を塗工して背面樹脂層を形成する工程とは、別のラインで行われても良いが、コーターヘッドを2基備えたタンデム式塗工機等が用いられて、インラインで連続的に行われることが好ましい。
本実施形態に係る離型フィルム10は、電子部品関連製品、例えばセラミックコンデンサの原料であるグリーンシート用の工程フィルムとして使用することが好ましい。具体的には、離型フィルム10の離型層12の表面に、セラミック粉末が分散されたセラミックスラリーを塗布した後、乾燥してグリーンシートを作製するのに使用する。なお、グリーンシートは、離型フィルム10から剥離されかつ多層に積層され、焼成されることによりセラミックシートにされるとともに、そこに電極が形成されることにより、セラミックコンデンサとされる。
また、離型フィルム10は、その使用過程において、単体で、又は離型層12の上にグリーンシートが積層された状態で、ロール状に巻き取られて保管等される。
以上のように本実施形態によれば、離型フィルム10の背面には粗大突起がないので、離型フィルム10の上にグリーンシート等が積層されロール状に巻き取られても、グリーンシート等に大きな凹部が転写されることが防止される。また、離型フィルム10は、離型面自体も平滑にされているため、離型面上にセラミックスラリーが塗布される時にはじきが生じたり、そのスラリーから形成されるグリーンシートにピンホールなどの欠点が発生したりすることが防止される。したがって、グリーンシートを剥離する際にグリーンシートが破断したり、グリーンシートの形状欠陥が生じたりすることが防止される。
また、離型フィルム10の背面は、所定の平滑度に保たれるので、フィルム10の滑り性や、ロール状に巻き取り、又はロールから繰り出すときの空気の抜けが良好となる。したがって、離型フィルム10のハンドリング性を良好に保つことができる。また、背面樹脂層13には、粒子状フィラーが含有されないため、異物の脱落等が生じることもない。
なお、本明細書において算術平均粗さ(Ra)及び粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)とは、接触型粗さ計「SU3000S4」((株)ミツトヨ社製)を用いて、JIS B0601−2001に準じて測定したものをいう。
また、各樹脂の表面自由エネルギーとは、各樹脂成分について、樹脂被膜を背面樹脂層と同様に形成して、その樹脂皮膜表面の接触角を測定し、北崎・畑法(北崎寧昭他、日本接着協会誌、Vol.8, No.3, 1972, pp.131-141参照)により算出したものをいう。下記で詳述する実施例では、背面樹脂層形成用組成物に用いる各樹脂成分について、トルエン/メチルエチルケトン(MEK)混合溶媒(トルエン:MEK(質量比)=50:50)で希釈混合して固形分濃度30質量%の樹脂溶液を調製し、該樹脂溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上にマイヤーバー#5で塗布し、80℃で1分間乾燥させて、乾燥後の厚さが1μmの樹脂皮膜を形成した。そして、その樹脂皮膜表面の接触角を下記測定溶媒と下記接触角計を用いて測定して、北崎・畑法により各樹脂の表面自由エネルギーを算出した。
接触角計:協和界面科学(株)製 全自動接触角計DM−701
測定溶媒:水、ジヨードメタン、1-ブロモナフタレン
また、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて下記測定条件で測定したポリスチレン換算の値である。
[GPC]
GPC測定装置:東ソー(株)製HLC−8020
GPCカラム(以下の順に通過):TSK guard column HXL−H、TSK gel GMHXL(×2)、TSK gel G2000HXL(以上、東ソー(株)製)
測定溶媒:テトラヒドロフラン 測定温度:40℃ 流速:1.0m/分
検出器:Refractive Index Detector
次に、本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は下記で述べる実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
まず、基材フィルムとして、その両面の算術平均粗さ(Ra)が5nm、粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が57nmであって、粒子状フィラーを含有しない厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用意した。次いで、バーコーターを2基備えたタンデム式塗工機を用い、基材フィルムの一方の面に、剥離性シリコーン(信越化学(株)製、商品名「シリコーンKS−847H」、固形分1.4質量%)100質量部に白金触媒(信越化学(株)製、商品名「PL−50T」)2質量部を添加混合した剥離剤を、マイヤーバー#4で塗工し、130℃で1分間乾燥・硬化させて厚さ0.1μmの離型層を形成した。次いで、上記タンデム式塗工機を用いてインラインで連続して、基材フィルムの他方の面に、芳香族ポリエステル樹脂(数平均分子量:3000、水酸基価:50mgKOH/g、表面自由エネルギー:45mJ/m)70質量部と、メチル化メラミン樹脂(数平均分子量:500、表面自由エネルギー:70mJ/m)30質量部と、触媒としてのp−トルエンスルホン酸メタノール溶液(固形分濃度50質量%)5質量部とを、トルエン/メチルエチルケトン(MEK)混合溶媒(トルエン:MEK(質量比)=50:50)で希釈混合して得られた固形分濃度30質量%の背面樹脂層形成用組成物を、マイヤーバー#5で塗工し、80℃で1分間乾燥・硬化させて厚さ1μmの背面樹脂層を形成し、離型フィルムを作製した。図2は、実施例1の背面樹脂層をVeeco社製の光干渉式表面形状観察装置で観察した画像である。
[実施例2]
背面樹脂層形成用組成物を、芳香族ポリエステル樹脂(数平均分子量:3000、水酸基価:50mgKOH/g、表面自由エネルギー:45mJ/m)60質量部と、メチル化メラミン樹脂(数平均分子量:500、表面自由エネルギー:70mJ/m)40質量部と、触媒としてのp−トルエンスルホン酸メタノール溶液(固形分濃度50質量%)5質量部とを、トルエン/メチルエチルケトン(MEK)混合溶媒(トルエン:MEK(質量比)=50:50)で希釈混合して得られた固形分濃度30質量%の背面樹脂層形成用組成物に変更した点以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製した。
[比較例1]
背面樹脂層を形成しなかった点以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製した。
[離型フィルムの評価]
各実施例、比較例1の離型層及び背面樹脂層の表面の算術平均粗さ(Ra)と粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)を測定した。その測定結果を、離型層及び背面樹脂層を形成する前に測定した基材フィルム表面の算術平均粗さ(Ra)と粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)とともに、表1に示す。
また、各実施例及び比較例の離型フィルムをロール状にして、ハンドリング性についても評価した。実施例1、2の離型フィルムは、滑り性が良く、かつ離型フィルムをロール状にするときの空気抜けが良かったため、離型フィルムの巻きズレを防止でき、さらにロールから繰り出すときにブロッキングが発生することがなく、ハンドリング性が良好となった。また、ロールにしたとき、異物の脱落も認められなかった。一方で、比較例1の離型フィルムは、滑り性が悪く、ロール状に巻いたときの空気の抜けも悪かったため、巻きズレが生じ、さらにロールから繰り出すときにブロッキングが発生し、ハンドリング性は良好ではなかった。
10 離型フィルム
11 基材フィルム
12 離型層
13 背面樹脂層

Claims (5)

  1. 基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面に設けられた離型層と、前記基材フィルムの他方の面に設けられた背面樹脂層とを有する離型フィルムであって、
    前記背面樹脂層は、海島構造により凹部が形成され、算術平均粗さ(Ra)が10〜80nmである表面を有するとともに、前記離型層の表面の算術平均粗さ(Ra)が、8nm以下であることを特徴とする離型フィルム。
  2. 前記背面樹脂層が、ポリエステル樹脂とアミノ樹脂とを含むことを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
  3. 前記背面樹脂層の厚さが、0.5〜3μmであることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
  4. 前記基材フィルムは、粒子状フィラーを含有しないフィルム、又はその表面が粒子状フィラーを含有しない層で構成されるフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
  5. 基材フィルムの一方の面に離型層形成用組成物を塗布して離型層を設ける工程と、前記基材フィルムの他方の面に樹脂層形成用組成物を塗布して背面樹脂層を設ける工程とを備え、
    前記背面樹脂層は、表面自由エネルギーの異なる2種類以上の樹脂および溶剤を含む樹脂層形成用組成物を加熱して乾燥及び硬化させることにより、海島構造により凹部が形成され、算術平均粗さ(Ra)が10〜80nmである表面を有するとともに、前記離型層の表面の算術平均粗さ(Ra)が、8nm以下であることを特徴とする離型フィルムの製造方法。

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