JP6467947B2 - 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
[1](1)〜(3)を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。
(1)少なくとも片側のフィルム表面が、フィルムの表面を、X線電子光分光法(XPS)を用いて測定される酸素原子Oと炭素原子Cの存在比率O/Cが0.420〜0.430であること。
(2)(1)を満たすフィルムの表面の三次元表面粗さSRaが10〜30nmであること。
(3)フィルムの厚みが1.5〜6μmであること
[2]前記(1)を満たすフィルムの表面のぬれ保持力が90%以上である[1]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[3]前記(1)を満たすフィルム面にコロナ放電処理が施されており、前記コロナ放電処理が施された面のぬれ張力が48mN/m〜50mN/mであり、非処理面のぬれ張力が39mN/m以下である[1]または[2]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[4]熱転写リボン用途に用いられる[1]〜[3]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[5]昇華型熱転写リボン用途に用いられる[1]〜[3]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[6][1]〜[3]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムを巻き取ってなるポリエステルフィルムロールであって、フィルムロールの表面電位が−10kV以上+10kV以下であるポリエステルフィルムロール。
[7]放電電極とそれに対峙する対極を有する放電処理装置を用い、放電電極と対極との間にポリエステルフィルムを位置させることによって、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に下記(a)〜(b)の条件を満たす放電処理が施された後にミルロールとして巻き取られる二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
(a)放電電極と対極間に放電を起こし、放電電極と対極間の放電密度を8.0×104[W/m2]以上1.2×105[W/m2]以下とすること。
(b)放電処理時間が0.005秒以上0.010秒以下であること。
ここで言う放電密度とは、放電処理を行う放電の強さに関係するものであって、以下の式(1)で表すことができる。
放電電極の面積とは、電極表面のうち放電している部分の面積を指す。ただし、フィルムに相対する電極面のほとんど全面で放電光が観測される場合には、電極をフィルム面に投影したときの投影面の面積として計算する。複数の放電電極からなる場合には、各放電電極投影面積の総和である。
以下の装置、測定条件でフィルム表面をXPS(X線電子光分光法)にて、O1S及びC1Sのそれぞれのピーク強度面積に各ピークの相対感度をかけた値の比から酸素と炭素の存在比(O/C)を求めた(例えば、筏 義人編、「高分子表面の基礎と応用(上)」、化学同人発行、1986年、第4章 参照)。
・装置:PHI社製 Quantera SXM
・励起X線:Monochromatic Al Kα1,2線(1486.6eV)
・X線径:200μm
・光電子脱出角度(試料表面に対する検出器の傾き):45°
(2)表面平均粗さSRa
小坂研究所(株)製の光触針式(臨界角焦点エラー検出方式)3次元粗さ計(ET−30HK)を使用して測定した。本発明におけるSRa値は、JIS−B0601(1994年)のRa値に相当する3次元粗さ計での測定値である。測定方向は幅方向とし、カットオフ値0.25mm、測定長0.5mm、送りピッチ5μm、触針荷重10mg、測定スピードは100μm/s、測定本数は80本とした。
フィルムをA4サイズにカットし、5mm方眼紙の上に透明なアクリル板を置き、アクリル板の上にフィルムをしわが入らないように置いた。和光純薬製ぬれ試薬(ぬれ張力試験用混合液、48mN/m2)をスポイトで1ml採取し、採取したぬれ試薬をフィルムにたらし、ベーカー式アプリケーターで0.02mmの厚さに塗り広げ、20分後にぬれ試薬のムラの状態を評価した。ぬれ試薬を塗り広げた面積に対して、ムラの発生した面積を求め、以下の式にてぬれ保持力(%)をもとめた。
ぬれ保持力(%)=(1−(ムラの発生した面積/ぬれ試薬を塗り広げた面積))×100
◎:ぬれ保持力が98%以上(ムラなく良好)
○:ぬれ保持力が90%以上98%未満(実用上問題ない)
△:ぬれ保持力が70%以上90%未満
×:ぬれ保持力が70%未満
(4)ぬれ張力(ぬれ性)
JIS K6768(1999年)プラスチック−フィルム及びシートぬれ張力試験方法に指定された方法により測定した。
JIS C2151(2006年)電気用プラスチックフィルム試験方法のマイクロメーター法を用いて指定された方法で測定した。
1000mm幅のフィルムを巻き取り張力12kg/mにて30000m巻き取り、巻取り後25℃・50%RHの条件下、24時間静置した後、巻き出しを行って下記基準に従って評価した。
○ : 全くブロッキングなく良好
△ : わずかではあるが巻き出し時に抵抗がある
× : 巻き出し時に抵抗があり、フィルム表面に開裂したフィルムの付着がある
(7)印画評価(光沢)
フィルムの放電処理面とは反対面に、アクリル酸エステル/アミノ変性シリコーン/イソシアネート=70/29/1(重量比)で混合させた水系耐熱滑性層を設けた。その後易接着層上に昇華性染料/エチルヒドロキシエチルセルロース/メチルエチルケトン/トルエン=5/5/45/45(重量比)から成る昇華型インクを塗布して、昇華型感熱転写リボンを作製した。昇華型染料としては、イエロー:BASF社製バラニールイエロー5RX、マゼンタ:住友化学工業(株)製イミロカンRED−FBL、シアン:日本化薬(株)製カヤセットブルー714をそれぞれ用いた。この昇華型感熱転写リボンを用い、三菱電機(株)製デジタルカラープリンタCP9550Dで受像紙上に幅20mm、長さ100mmの黒ベタ印画を行った。ベタ印画を行った印画物について、スガ試験器製デジタル変角光沢計UGV−5Dを用いてJIS−Z8741(1997年)規定の方法に従って入射角20°での鏡面光沢度値を測定し、下記基準に従って印画評価(光沢)を評価した。
○ : 鏡面光沢度値100%以上(良好)
× : 鏡面光沢度値100%未満。
上記(7)のベタ印画を行った際の印画物について、X−rite社製分光光度計SpectroEyeを用いて光学濃度OD値を測定し、下記基準に従って印画評価(印画濃度)を評価した。
○ : OD値1.8以上(良好)
× : OD値1.8未満。
フィルムを巻き取り張力12kg/mにて30000m巻き取ったフィルムロールを、ロール表面から50mmの距離で、デジタル静電電位測定器KSD−1000(春日電機製)にて幅方向に均等割した3点のロール表面電位を測定し、その3点の平均値の絶対値を、下記基準に従って評価した。
○ : 電位の絶対値が5kV以下(良好)
△ : 電位の絶対値が5kVを超えて10kV以下
× : 電位の絶対値が10kVを超える
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、下記の実施例に限定されるものではない。
富士シリシア社製、数平均粒径2.6μmの二酸化ケイ素粒子を0.08質量%含有した、固有粘度0.61の東レ製ポリエチレンテレフタレートを押出機中で285℃に溶融させ、口金からシート状に溶融押し出しし、25℃の回転冷却ドラムに密着させて固化させ、未延伸フィルムを得た。加熱したロールの周速差を用いてフィルムの長手方向に125℃で2.4倍に延伸(1段目延伸)を行い、ついで長手方向に115℃で2.5倍に延伸(2段目延伸)して、一軸延伸フィルムを得た。次にこのフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、110℃で予熱した後、幅方向に4.0倍に延伸し、さらに230℃で熱処理し、150℃で幅方向に4.0%弛緩させて厚さ4.5μmの二軸配向延伸ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において放電処理条件を表1に示すように変えたほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において二酸化ケイ素粒子の量を表1に示すように変えたほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において最終厚みを表1に示すように変えたほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において放電処理時間を表1に示すように変えたほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において放電処理条件、放電処理時間を表1に示すように変えたほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、印画評価時に微細なインクの過転写が発生したが、実用上問題のないレベルであった。
実施例1において放電処理条件を表1に示すように変えたほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。表面処理が十分でなかったため、インク層が接着せず、印画評価が行えなかった。
実施例1において放電処理条件を表1に示すように変えたほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において放電処理条件を表1に示すように変えたほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。放電処理時の放電が不安定化し、処理ムラが発生しインク層が接着せず、印画評価が行えなかった。巻き取ったロールの表面電位も高く、静電気による異物の付着や防爆上の観点から好ましくないものであった。
実施例1において二酸化ケイ素粒子の量を表1に示すように変えたほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。比較例5のポリエステルフィルムは、シワが多く発生し、インク層が接着せず、印画評価が行えなかった。巻き取ったロールの表面電位も高く、静電気による異物の付着や防爆上の観点から好ましくないものであった。また、比較例6、7のフィルムは、印画評価に劣るフィルムであった。
実施例1において最終厚みを表1に示すように変えたほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。フィルム厚みが厚い比較例9は、印画評価に劣るフィルムであった。
実施例1において放電処理時間を表1に示すように変えたほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において放電処理条件、放電処理時間を表1に示すように変えたほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。いずれも表面処理が十分でなかったため、インク層が接着せず、印画評価が行えなかった。
Claims (7)
- (1)〜(3)を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。
(1)少なくとも片側のフィルムの表面が、フィルムの表面をX線電子光分光法(XPS)を用いて測定される酸素原子Oと炭素原子Cの存在比率O/Cが0.420〜0.430であること。
(2)(1)を満たすフィルムの表面の三次元表面粗さSRaが10〜30nmであること。
(3)フィルムの厚みが1.5〜6μmであること。 - 前記(1)を満たすフィルムの表面のぬれ保持力が90%以上である請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記(1)を満たすフィルム面にのみコロナ放電処理が施されており、前記コロナ放電処理が施された面のぬれ張力が48mN/m〜50mN/mであり、コロナ処理が施されていない非処理面のぬれ張力が39mN/m以下である請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 熱転写リボン用途に用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 昇華型熱転写リボン用途に用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムを巻き取ってなるポリエステルフィルムロールであって、フィルムロールの表面電位が−10kV以上+10kV以下であるポリエステルフィルムロール。
- 放電電極とそれに対峙する対極を有する放電処理装置を用い、放電電極と対極との間にポリエステルフィルムを位置させることによって、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に下記(a)〜(b)の条件を満たす放電処理が施された後に巻き取られる請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
(a)放電電極と対極間に放電を起こし、放電電極と対極間の放電密度を8.0×104[W/m2]以上1.2×105[W/m2]以下とすること。
(b)放電処理時間が0.005秒以上0.010秒以下であること。
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