JP2007264122A - 光学シート及び光学シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電を効果的に防ぐことができる光学シートに関連する技術を提供する。
【解決手段】エンボスシート30は、基体36と、基体36の表面側に設けられたプリズム層32と、基体36の裏面側に設けられた帯電防止層38とを備える。帯電防止層38は、(1)分子内にカルボン酸基を複数有し、重量平均分子量が2000以上の樹脂と、(2)電子電導により導電性を発現する金属酸化物と、(3)平均エポキシ官能基数が3.5〜6.5の架橋剤およびカルボジイミド構造を有する架橋剤のうち少なくともどちらか一方の架橋剤と、を含有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、液晶表示装置などに使用される光学シートおよびその光学シートの製造方法に関し、例えばプリズムシートなどのレンズシートに応用可能な技術に関する。
近年、液晶等の電子ディスプレイの表示を鮮明にするために、プリズムシート等の光学的なレンズシートが使用され、表示の明るさ等の調整が行われている。このようなレンズシートは、非常に薄いプラスチック材料によって構成されることが多く、比較的簡単に帯電する傾向がある。例えば、電子ディスプレイの製造過程、レンズシートを覆う保護シートの剥離時、等にレンズシートが帯電しやすい。
帯電したレンズシートは、その電気的なエネルギーのために、周囲の埃や塵などの異物を吸着したり、電子ディスプレイの他の機器類に対して好ましくない影響を及ぼしたりすることがある。特にレンズシートに付着した異物は、光学特性の悪化や外観の悪化を招くため、可能な限り取り除かれることが好ましい。このような事情の下、レンズシートの帯電に起因する様々な不都合を解消する技術がいくつか提案されている。
例えば特許文献1では、レンズシートのレンズ面あるいはその裏面の少なくとも一方の面に帯電防止処理が施されたレンズシートが開示されている。また特許文献2では、導電性微粒子が分散された樹脂組成物によって構成されるとともに表面抵抗が所定値以下のレンズ層を有するレンズフィルムが開示されている。また特許文献3では、導電性層をもつレンズフイルムが開示されている。
特開平8−286004号公報 特開平11−23815号公報 特開平11−202104号公報
プリズムシートなどの光学シートの製造方法として、支持体上に光硬化樹脂を適切に塗布することによってレンズシートを製造する方法が知られている。この方法では、光硬化樹脂の塗布精度によってレンズシートの光学特性が変わるため、光硬化樹脂が支持体上に適切に塗布されるような工夫が施されることが好ましい。特に、帯電した支持体は、上述のような異物付着等だけではなく、光硬化樹脂をはじいて塗布精度を悪化させてしまうことがある。したがって、光硬化樹脂を適切に塗布するために、防塵性に優れた材質を支持体に使用するとともに、支持体の帯電を防ぐことは非常に有効である。
上記特許文献1乃至3において帯電を防ぐ様々な方法が提案されているが、帯電を完全に防止する技術は未だ提案されておらず、帯電を防ぐ他の技術を従来技術とは異なる観点から提案することは非常に有意義である。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、帯電を効果的に防ぐことができる光学シートに関連する技術を提案することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の光学シートは、基体と、基体の表面側に設けられたレンズシートと、基体とレンズシートとの間の基体の表面側および基体の裏面側のうち少なくともどちらか一方の側に設けられた帯電防止層と、を備える。帯電防止層は、(1)分子内にカルボン酸基を複数有する樹脂であって、重量平均分子量が2000以上の樹脂と、(2)電子電導により導電性を発現する金属酸化物と、(3)平均エポキシ官能基数が3.5〜6.5の架橋剤およびカルボジイミド構造を有する架橋剤のうち少なくともどちらか一方の架橋剤と、を含有する。
この態様によれば、樹脂、金属酸化物、および架橋材を含む帯電防止層によって、帯電が防がれるとともに、防塵性、耐傷性、および滑り性に優れた光学シートが提供される。
樹脂におけるカルボン酸基の一部または全部が、アクリル酸およびメタクリル酸のどちらか一方に由来してもよい。特にこれらの樹脂が用いられる場合に、防塵性、耐傷性、および滑り性に優れた光学シートを提供することができる。
金属酸化物は、酸化スズであり、帯電防止層を基体上に塗布する際に用いられる酸化スズの分散液の溶媒は水であってもよい。特に金属酸化物として酸化スズ(SnO)を用いる場合に、防塵性、耐傷性、および滑り性に優れた光学シートを提供することができる。
金属酸化物は、その短軸に対する長軸の比が3〜50の範囲にある針状構造を有していてもよい。特にこのような針状構造を有する金属酸化物を用いる場合に、防塵性、耐傷性、および滑り性に優れた光学シートを提供することができる。なお、「短軸に対する長軸の比が3〜50」とは、「短軸の長さ:長軸の長さ=1:3〜50」を意味する。
基体は、ポリエステルフィルムであってもよい。特にこのような基体を用いる場合に、光学シートの良好な防塵性、耐傷性、および滑り性が確保される。
帯電防止層上に設けられ、0.01μm〜0.5μmの膜厚を持つ保護層を更に備えてもよい。このような保護層が設けられることによって、光学シートの品質の悪化を防ぐことができる。なお、この時の保護層の膜厚は、乾燥時の膜厚を意味する。
帯電防止層のヘイズ値が5.0%以下であってもよい。このような範囲のヘイズ値を持つ帯電防止層を用いることによって、光学シートの透明性を良好な状態に保つことができる。
なお、ここでいう帯電防止層のヘイズ値は、JIS−K−6714−1977に記載された方法に従って測定した「曇価」の値を基準にする。
帯電防止層の表面電気抵抗値が1×1011Ω以下であってもよい。このように、表面電気抵抗値の小さな帯電防止層を用いることによって、帯電防止層の帯電防止効果を良好に維持することができる。
なお、ここでいう帯電防止層の表面電気抵抗値は、JIS−K−6911−1979に記載された方法に従って測定した「抵抗率」の値を基準にする。
本発明の別の態様は、光学シートの製造方法である。この方法は、基体の表面側にレンズシートを設ける工程と、基体とレンズシートとの間の基体の表面側および基体の裏面側のうち少なくともどちらか一方の側に、(1)分子内にカルボン酸基を複数有する樹脂であって、重量平均分子量が2000以上の樹脂と、(2)電子電導により導電性を発現する金属酸化物と、(3)平均エポキシ官能基数が3.5〜6.5の架橋剤およびカルボジイミド構造を有する架橋剤のうち少なくともどちらか一方の架橋剤と、を含有する帯電防止層を設ける工程と、を備える光学シートの製造方法であって、帯電防止層を設ける工程では、樹脂、金属酸化物、および架橋剤の固形分濃度の和が10質量%以下の水性塗布液が基体に塗布される。
この態様によれば、樹脂、金属酸化物、および架橋材を有する帯電防止層によって、帯電が防がれるとともに、防塵性、耐傷性、および滑り性に優れた光学シートが提供される。
なお、以下の本発明の実施形態、実施例、等に例示されているように、上述の本発明の作用および効果は実験等により確認されている。
本発明によれば、帯電防止層によって、帯電が防がれるとともに、防塵性、耐傷性、および滑り性に優れた光学シートを提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
まず、プリズム層を支持体上に形成する製造工程について説明する。
図1は、本実施形態に係るエンボスシートの製造装置10の構成を示す概念図である。エンボスシートの製造装置10は、上流から下流に向かって順次配置された、支持体供給部11、塗布部12、乾燥部19、ニップロール14、凹凸ロールであるエンボスロール13、樹脂硬化部15、剥離ロール16、保護フィルム供給部17、およびシート巻き取り部18を備える。
支持体供給部11は、シート状の支持体W(ウェブ)が巻回された送り出しロール等よって構成され、支持体Wを順次送り出すシート状体供給手段として機能する。
本実施形態の支持体Wは、帯電防止層、保護層、および接着層が基体上に設けられたシート状の部材であり、接着層34、基体36、帯電防止層38、および保護層40が上方から下方に向かって積層する。したがって、基体36の表面側に接着層34が積層するとともに、基体36の裏面側に帯電防止層38および保護層40が順次積層して、支持体Wが構成されている(後述する図4参照)。なお、必要に応じて、支持体Wを構成する各層間に、下塗り層等の他の層が設けられてもよい。
塗布部12は、樹脂を支持体Wの表面に塗布し、図2に示すように、支持体W上に樹脂層Fを形成する装置である。樹脂層Fは、最終的な製品として提供される凹凸状シート(光学シート)を構成する部分であり、後段に設置されたエンボスロール13によって所定の凹凸パターンが形成される。以下、支持体Wおよび樹脂層Fによって構成されるシート状の積層体を「樹脂塗布シートS」と称する。
図1に示す塗布部12は、樹脂を貯留する放射線硬化樹脂供給源12Aと、放射線硬化樹脂供給源12Aから塗布ヘッド12Cに樹脂を送る樹脂供給ポンプ12Bと、樹脂を吐出する塗布ヘッド12Cと、樹脂の塗布対象の支持体Wを巻き掛けて支持する支持ローラ12Dとを含む。また、放射線硬化樹脂供給源12A、樹脂供給ポンプ12B、および塗布ヘッド12Cの相互間において、樹脂を送る配管やポンプなどが設けられている。
図1に示されている塗布ヘッド12Cは、エクストルージョン型のダイコータであり、液溜め部に貯留されている吐出対象の樹脂液を、スリット状の流路を介してヘッド先端部から吐出させる。なお、塗布ヘッド12Cは、上述のエクストルージョン型のダイコータに限定されるものではなく、任意のタイプの吐出ヘッドを使用することが可能であり、支持体W上に樹脂を適切に塗布することができるものであればよい。
本実施形態の塗布ヘッド12Cから吐出される樹脂は、放射線硬化樹脂であり、後段に設置された樹脂硬化部15から放射される所定の光(放射線)が照射されると硬化するタイプの樹脂である。
乾燥部19は、塗布部12によって支持体Wの表面に塗布された樹脂層Fを、乾燥する。乾燥部19による樹脂層Fの乾燥の程度は調整が可能である。例えば、後段に設置されたエンボスロール13による所定パターンの転写が効果的に行われるように、樹脂塗布シートS中の樹脂層Fが乾燥される。
図3は、エンボスロール13の回転軸(C)の軸方向に沿った断面の概略を示す図である。図1および図2に示されているエンボスロール13は、微細な凹凸状の所定パターンが表面に形成されている。したがって、樹脂塗布シートSの樹脂層Fにエンボスロール13が押し当てられることによって、ロール表面の凹凸状の所定パターンが樹脂層Fに転写形成される。そのため、エンボスロール13は、凹凸パターンの精度、機械的強度、真円度、等が適切に調整されていることが求められる。このようなエンボスロール13としては、例えば金属製の剛体のロールが好ましい。
エンボスロール13の外周面の微細凹凸パターンは、製品として提供されるエンボスシートの表面の微細凹凸パターンを反転した形状パターンであることが求められる。このようにして提供されるエンボスシートとしては、例えば、レンチキュラーレンズやプリズムシートのように微細凹凸パターンが二次元配列されたシート、フライアイレンズのように微細凹凸パターンが三次元配列されたシート、平板レンズのように円錐、角錐等の微細な錐体がXY方向に敷きつめられたシート、等が対象となる。したがって、エンボスロール13の外周面の微細凹凸パターンは、エンボスシートの表面の微細凹凸パターンに対応させる必要がある。
エンボスロール13の外周面の微細凹凸パターンの形成方法としては、例えば、シングルポイントのダイヤモンドバイトによる切削加工、フォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、等によって凹凸パターンを外周面に直接形成する方法や、薄い金属製の板状体の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法、等で凹凸パターンを形成した後、この板状体をロールの周囲に巻き付けて固定したものをエンボスロール13とする方法が挙げられる。また、その他に、金属より加工しやすい素材の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法、等によって凹凸パターンを形成し、この形状の反転型を電鋳等により形成して薄い金属製の板状体を作成し、この板状体をロールの周囲に巻き付けて固定したものをエンボスロール13とする方法も採用することができる。特に反転型を電鋳等によって形成する場合には、1つの原盤(マザー)によって同一形状の板状体が複数得られるという特長がある。
なお、エンボスロール13の表面には、離型処理が施されることが好ましい。エンボスロール13の表面に離型処理が施されることによって、微細凹凸パターンの形状が長期に亘って良好に維持される。離型処理としては、公知の各種方法が採用可能であり、例えばフッ素樹脂によるコーティング処理が採用される。
図1に示されているように、ニップロール14は、エンボスロール13と対になって支持体W上の樹脂層Fを押圧し、エンボスロール13の所定の凹凸パターンを樹脂層Fに転写するロール成形加工を行う。このため、ニップロール14は、機械的強度、真円度、等が適切に調整されていることが求められる。ニップロール14の表面の縦弾性係数(ヤング率)が小さ過ぎると、ロール成形加工が不十分になりやすい。一方、ニップロール14の表面の縦弾性係数(ヤング率)が大き過ぎると、ゴミ等の異物の巻き込みの影響が大きくなる。したがって、ニップロール14表面の縦弾性係数は、適宜の値に設定されることが好ましい。
なお、エンボスロール13とニップロール14との間の隙間(クリアランス)を正確に制御することができるように、エンボスロール13およびニップロール14のうち少なくとも一方にこの隙間の大きさを調整する任意の微調整装置が設けられることが好ましい。また、エンボスロール13とニップロール14との間で所定の押圧力が付与されるように、エンボスロール13およびニップロール14のうち少なくとも一方に任意の加圧装置が設けられることが好ましい。
樹脂硬化部15は、ニップロール14の下流側においてエンボスロール13に対向するようにして設けられる光照射手段である。この樹脂硬化部15は、樹脂層Fの硬化特性に応じた波長の光(放射線)を、樹脂塗布シートSの搬送速度に応じた光量で放射する。樹脂硬化部15によって放射された光は、支持体Wを透過して、樹脂層Fを硬化をさせる。これにより、樹脂層Fに転写された微細凹凸パターンが固定され、プリズム層32が形成される(後述する図4参照)。
このような樹脂硬化部15として、例えば樹脂塗布シートSの幅と略同一の長さの円柱状ランプを採用することができる。なお、この円柱状ランプは複数本平行に設けられてもよく、またこの円柱状ランプの背面に反射板が設けられてもよい。また、樹脂硬化部15から照射される光を利用して樹脂層Fと接着層34とを接着させる場合には、樹脂層Fの硬化特性だけではなく樹脂層Fと接着層34との接着特性に応じた波長の光が樹脂硬化部15から照射される。
図4は、樹脂層Fによって形成されるプリズム層32を含むエンボスシート30(樹脂塗布シートS)の断面構成を示す図である。本実施形態の製造装置10によって製造されるエンボスシート30では、保護層40、帯電防止層38、基体36、接着層34、およびプリズム層32が、下方から上方に向かって、積層する。
図1に示す剥離ロール16は、エンボスロール13と対になってエンボスシート30(樹脂塗布シートS)をエンボスロール13から剥離する。すなわち、エンボスロール13の周面上に巻き掛けられているエンボスシート30が、剥離箇所において、エンボスロール13および剥離ロール16により挟まれ、剥離ロール16に巻き掛けられる。これにより、所定パターンが形成された硬化樹脂層Fを有するエンボスシート30が、エンボスロール13から剥離され、後段へ送られる。
このような剥離ロール16は、機械的強度、真円度、等が適切に調整されていることが求められる。また、硬化により樹脂等の温度が上昇する場合には、剥離時にエンボスシート30を冷却することによってエンボスシート30の剥離性を向上させるために、剥離ロール16に任意の冷却装置を設けることが好ましい。
なお、図示は省略したが、ニップロール14による押圧箇所(図1の9時の位置)と剥離ロール16による剥離箇所(図の3時の位置)との間に、樹脂塗布シートS(エンボスシート30)が巻き掛けられたエンボスロール13と対向するようにして、複数のバックアップロールが設けられてもよい。この場合、複数のバックアップロールおよびエンボスロール13によって樹脂塗布シートSが支持された状態で樹脂層Fの硬化処理が行われるので、エンボスロール13の所定凹凸パターンが精度良く樹脂層Fに転写される。
シート巻き取り部18は、エンボスシート30(樹脂塗布シートS)を巻き取る巻き取りロール等を有し、エンボスロール13から剥離されたエンボスシート30を巻き取って収納する。なお、シート巻き取り部18によってエンボスシート30が収納される際に、保護フィルム供給部17から保護フィルムHがエンボスシート30上に供給され、支持体W、樹脂層F、および保護フィルムHが重なった状態でシート巻き取り部18に巻き取られる。
保護フィルム供給部17は、シート巻き取り部18に隣接して設けられ、シート巻き取り部18によって巻き取られる直前のエンボスシート30上に保護フィルムHを供給する。なお、保護フィルムHは、必要に応じた任意のものが用いられうる。
なお、エンボスシートの製造装置10において、塗布部12とエンボスロール13との間や、剥離ロール16とシート巻き取り部18との間に、エンボスシート30(樹脂塗布シートS)の搬送路を形成するガイドローラ等を設置したり、樹脂塗布シートSの搬送中の弛みを吸収するテンションローラ等を設置したりしてもよい。
上述のような構成を有するエンボスシートの製造装置10において、各ロールには、任意の駆動装置が設けられており、これらの駆動装置によって各ロールは図中の矢印方向へ回転させられる。
次に、支持体Wを形成する帯電防止層38、保護層40、および基体36の具体的な構成について説明する。
(帯電防止層)
帯電防止層38は、導電性に優れており、基体36等の帯電を防止する機能を有する。本実施形態の帯電防止層38は、(1)分子内にカルボン酸基を複数有する樹脂であって、重量平均分子量が2000以上の樹脂と、(2)電子電導により導電性を発現する金属酸化物と、(3)平均エポキシ官能基数が3.5〜6.5の架橋剤およびカルボジイミド構造を有する架橋剤のうち少なくともどちらか一方の架橋剤と、を含有する。この帯電防止層38は、必要に応じて、マット剤、界面活性剤、滑り剤等の他の成分を含んでいてもよい。
帯電防止層38は、基体的に任意の手法で形成可能であり、例えば以下の方法により形成される。
まず、結合剤を含む水分散液や水溶液に対し金属酸化物粒子を添加、混合して、帯電防止層形成用の塗布液(以下、「帯電防止層用塗布液」とも称する)を調整する。この時、金属酸化物粒子は、そのままの状態で、または水等の溶媒(必要に応じて、分散剤、結合剤を含む。)に分散させた分散液の状態で、結合剤に添加される。また、金属酸化物粒子と結合剤の混合時には、必要に応じて分散も行われる。結合剤として、例えば、ポリマー、エポキシ化合物及び適当な添加剤が用いられうる。
そして、帯電防止層用塗布液が、基体36の表面のうちプリズム層32が設けられない側の面に、公知の塗布方法によって塗布される。なお、帯電防止層用塗布液を基体36上に塗布する公知の塗布方法としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法等が挙げられる。
その後、基体36上の帯電防止層用塗布液を乾燥させることにより、帯電防止層38が形成される。
塗布膜(帯電防止層膜)が水系の液膜の場合、乾燥速度等の観点からは、塗布後の乾燥を、例えば乾燥時の最高温度が170℃以上となる雰囲気下で行うのが有利である。しかしながら、本実施形態では、塗布された液膜の造膜性の観点から、乾燥初期から最高温度までの温度範囲(乾燥温度)が、120〜140℃の範囲にあることが好ましい。このような範囲に設定することにより、帯電防止層38の膜強度を高めることができる。
帯電防止層38の層厚としては、0.01〜1μmが好ましく、0.01〜0.2μmがより好ましい。帯電防止層38の層厚が0.01μm未満の場合には、塗布液を均一に塗布することが難しいので塗布ムラを生じ易く、帯電防止層38の層厚が1μmを超える場合には、帯電防止性能、耐傷性、透明性、膜強度が悪化することがある。
(金属酸化物粒子)
帯電防止層38に含まれる金属酸化物粒子としては、一般の金属酸化物を使用可能である。例えば、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、MgO、BaO、MoO3、これらの複合酸化物、またはこれらの金属酸化物に更に異種原子を少量含む金属酸化物、等を帯電防止層38に含有させることができる。このような金属酸化物のうち金属酸化物粒子としては、SnO2、ZnO、Al23、TiO2、In2O、MgOが好ましく、SnO2、ZnO、In22、TiO2がより好ましく、SnO2が特に好ましい。
帯電防止層38に含まれる「異種原子を少量含む金属酸化物」としては、例えば、ZnOに対してAlまたはInを少量ドープしたもの、TiO2に対してNbまたはTaを少量ドープしたもの、In23に対してSnを少量ドープしたもの、或いはSnO2に対してSb、Nb又はハロゲン元素を少量ドープしたもの、等が挙げられる。ここで、金属酸化物に対してドープする異種元素のドープ量としては、0.01〜30モル%が好ましく、0.1〜10モル%がより好ましい。なお、異種元素のドープ量が0.01モル%未満の場合には、酸化物又は複合酸化物に十分な導電性を付与することができない場合がある。一方、異種元素のドープ量が30モル%を超えると、金属酸化物の粒子自体の黒化度が増して帯電防止層38が黒ずみ、その結果、プリズムシートによるプリズム作用などの光学用途に帯電防止層38が適さなくなることがある。
また、帯電防止層38は、結晶構造中に酸素欠陥を含むものが好ましい。異種原子を少量含む金属酸化物の中でも、アンチモンがドープされたSnO2粒子が好ましく、特に0.2〜2.0モル%のアンチモンがドープされたSnO2粒子が好ましい。
金属酸化物は、球状粒子のみならず、針状粒子であってもよい。一般に、帯電防止層(導電層)38の塗布工程において、搬送ロールなどと帯電防止層38との接触摩擦によって金属(酸化物)粒子がフィルム表面から脱落してロールに付着し、キズや塗布不良を発生させる場合がある。しかしながら、針状粒子の金属酸化物が用いられる場合には、帯電性能を低下させることなく導電性金属(酸化物)の添加量を減少させることができ、上記の粒子の脱落を効果的に抑制しうるという利点を有する。
針状粒子の金属酸化物の平均長軸長は、帯電防止層38の平面性の観点からは、0.01〜0.5μm以下が好ましく、0.02〜0.4μm以下がより好ましく、0.02〜0.3μmが特に好ましい。針状粒子の金属酸化物の粒子構造において、短軸に対する長軸の比が3〜50の範囲にある針状構造が好ましく、その比が4〜40の範囲にある針状構造がより好ましい。なお、短軸に対する長軸の比を3以下の針状構造粒子が用いられる場合には、帯電防止層38を薄膜状に塗布したときの粒子同士の接触確率が低くなって、電導性が低くなる懸念がある。
帯電防止層38を構成する導電性材料の粒子形状は、電子顕微鏡により10万倍以上の画像を撮影することによって確認可能である。特に、帯電防止層38の膜中の粒子の集合状態は、透過型電子顕微鏡によって観察可能である。
帯電防止層38を形成する塗布液に対して添加される導電性材料の添加量は、固形分換算で、10〜95質量%の範囲であることが好ましく、20〜90質量%の範囲であることがより好ましい。
帯電防止層38中における金属酸化物粒子の含有量としては、後述の結合剤の総質量(例えば、下記ポリマー及び架橋剤との硬化物の場合は、ポリマー及び架橋剤の質量の合計)の10〜1000質量%が好ましく、200〜600質量%がより好ましい。金属酸化物粒子の含有量が結合剤の総質量の10質量%未満の場合には、十分な帯電防止性能が得られないことがある。一方、金属酸化物粒子の含有量が結合剤の総質量の1000質量%を超える場合には、ヘイズ値が高くなり、透明性が著しく低下することがある。
(結合剤)
一般に、金属酸化物粒子を分散および固定する目的で、帯電防止層38に結合剤が混ぜられる。このような結合剤としては、例えば、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の種々のポリマーが挙げられる。
また、白粉汚れを防止する観点から、ポリマー(好ましくは、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂)と架橋剤との硬化物が結合剤として用いられる。特に、良好な作業環境の維持および大気汚染防止の観点からは、エマルジョン等の水分散状態の或いは水溶性のポリマー、およびエポキシ架橋剤またはカルボジイミド架橋剤が結合剤として好ましい。ポリマーは、架橋剤との架橋反応が可能になるように、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、およびグリシジル基のうちいずれかの基を有することが好ましく、特にカルボキシル基またはアミノ基を有することがより好ましい。ポリマー中における上記の好ましい基(特に好ましくはカルボキシル基)の存在量としては、0.0001〜1当量/1kgが好ましく、0.001〜1当量/1kgがより好ましい。
結合剤として働くアクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド、およびメタクリロニトリルのうち、いずれかのモノマーの単独重合体、又はこれらのモノマーの2種以上の重合により得られる共重合体、等を挙げることができる。これらの中でも、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のうち、いずれかのモノマーの単独重合体、又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のうち、いずれかのモノマーの単独重合体、又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。
本実施形態において結合剤として働くアクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、架橋剤との架橋反応が可能なように、例えばメカルボキシル基、水酸基、アミノ基、及びグリシジル基のうちいずれかの基を有するモノマーを、一部に使用して得られるポリマーである。
結合剤として働くビニル樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくは、エチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくは、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体)がより好ましい。
結合剤として働くビニル樹脂は、架橋剤との架橋反応が可能なように、以下のようなポリマーが使用可能である。すなわち、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、及びポリ酢酸ビニルの場合には、例えば、ビニルアルコール単位をポリマー中に残すことにより水酸基を有するポリマーが使用可能である。また、他のポリマーの場合には、例えば、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、及びグリシジル基のうちいずれかの基を有するモノマーを、一部使用することにより架橋可能なポリマーとすることができる。
結合剤として働くポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシ化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等)、ポリヒドロキシ化合物と多塩基酸との反応により得られる脂肪族ポリエステル系ポリオール、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、及びポリエチレンテレフタレートポリオールのうち、いずれか一種、又はこれらの混合物とポリイソシアネートとから誘導されるポリウレタンが挙げられる。ポリウレタン樹脂では、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応後、未反応要素として残った水酸基を、メラミン化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。
結合剤として働くポリエステル樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシ化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等)と多塩基酸との反応によって一般的に得られるポリマーが挙げられる。なお、ポリエステル樹脂では、例えば、ポリオールと多塩基酸との反応終了後、未反応要素として残った水酸基やカルボキシル基を、架橋剤との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。また、水酸基等の官能基を有する第三成分をポリエステル樹脂に添加してもよい。
上述のポリマーの中でもアクリル樹脂およびポリウレタン樹脂が結合剤として好ましく、アクリル樹脂が結合剤として特に好ましい。
(架橋剤)
帯電防止層38に含まれる架橋剤のうちエポキシ架橋剤やカルボジイミド架橋剤は、帯電防止層38の膜強度を向上させ、基体との耐剥離性を高め、帯電防止剤の脱離を防止し、白粉汚れやディスプレイ組立て時のゴミ除去作業の負担を回避または軽減することができる。
帯電防止層38に含まれうるエポキシ架橋剤としては、例えば、エポキシ官能基を有する単官能および多官能のエポキシ化合物が挙げられる。例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、等がエポキシ架橋剤として挙げられる。また、市販品としては、例えば、ナガセ化成(株)製のデナコールシリーズ(例えば、デナコールEX−313、同EX−314、同EX−421、同EX−512、同EX−521、同EX−611、同EX−614、同EX−622等)、等がエポキシ架橋剤として挙げられる。
本実施形態では、膜強度を向上させるとともに帯電防止層38中の帯電防止剤の脱離を防止する観点から、分子中の平均エポキシ官能基数が3.5〜6.5のエポキシ架橋剤が好ましい。このようなエポキシ架橋剤としては、市販品として、例えば、ナガセ化成(株)製のデナコールEX−521等が挙げられる。
帯電防止層38中のエポキシ架橋剤の塗布量としては、5〜100mg/m2が好ましく、10〜25mg/m2がより好ましい。エポキシ架橋剤の塗布量が5mg/m2未満の場合には、帯電防止層38の十分な膜強度が得られず、搬送時等の接触摩擦によって層の剥離や帯電防止剤の脱離を防止できないことがある。また、エポキシ架橋剤の塗布量が100g/m2を超える場合には、金属酸化物粒子の凝集により均一な塗膜が形成されないことがある。
本実施形態の帯電防止層38中のカルボジイミド構造を有する架橋剤(以下、カルボジイミド系架橋剤と称する)としては、分子内に複数のカルボジイミド基を有する化合物であれば、特に制限なく使用することができる。
架橋剤として用いられるポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。上述したように、本実施形態では、帯電防止層38の形成用の塗布液として水性塗布液が用いられることが好ましい。水性塗布液中にカルボジイミド構造を複数有する化合物を配合する場合には、末端イソシアネートに対し、イソシアネート基との反応性を有する官能基とともに親水性基を有する化合物を反応させることで、親水性を付与することが好ましい。
ここで分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物の合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されない。そのような有機ジイソシアネートの有機基として、例えば、芳香族系および脂肪族系のうちのいずれか、またはそれらの混合系を使用することができる。また、反応性の観点からは、有機ジイソシアネートの有機基として脂肪族系が特に好ましい。
合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、及び/又は有機トリイソシアネート、等が使用される。有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及びそれらの混合物を使用可能である。具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等を用いることができる。また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等を使用することができる。
また、本実施形態で用いられうるカルボジイミド系化合物は、例えば、カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡社製)などの市販品としても入手可能である。
本実施形態の帯電防止層38において膜強度向上に寄与する反応生成物は、カルボン酸とカルボジイミドとの付加反応により形成された架橋構造を有する。すなわち、反応生成物は、カルボジイミド官能基の炭素原子にカルボン酸の酸素原子が求核付加した構造を有し、このような架橋構造は、被膜乾燥時の30〜140℃程度の加熱、特に短時間で加熱する場合には、60〜140℃の加熱により形成されることが好ましい。この場合、150℃以上の加熱のように、支持体基材に悪影響を及ぼすような高温での加熱を回避することができる。
帯電防止層38中におけるカルボン酸基を含有する樹脂とカルボジイミド系化合物との好適な混合比率は、樹脂の酸価と、カルボジイミド系化合物のカルボジイミド当量とに基づいて計算できる。架橋構造の形成による膜強度の向上効果、および形成された皮膜の柔軟性の観点からは、カルボジイミド基のモル数とカルボン酸基のモル数の比(カルボジイミド基のモル数:カルボン酸基のモル数)は、1:20〜10:1が好ましく、1:10〜5:1がより好ましく、1:5〜3:1が特に好ましい。
帯電防止層38の形成用の塗布液を調製するにあたっては、塗布液の経時安定性の観点からは、カルボン酸基含有樹脂とカルボジイミド架橋剤との固形分濃度の和を10質量%以下にすることが好ましい。両者を合計した固形分濃度が10質量%より高濃度になると、カルボン酸基とカルボジイミド官能基との分子間距離が短くなって両者の衝突確率が高くなる。そのため、塗布液中において、カルボン酸基およびカルボジイミド官能基に基づく所望されない反応が生起されやすくなり、その結果、ポットライフが短くなるため、製造適性上好ましくない。カルボン酸基含有樹脂とカルボジイミド架橋剤との固形分濃度の和は、0.1〜8質量%の範囲が好ましく、0.3〜6質量%の範囲がより好ましい。
また、形成された被膜(導電膜)中におけるカルボン酸基含有樹脂とカルボジイミド系化合物との反応生成物の固形分濃度は、5〜90質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲がより好ましく、15〜60質量%の範囲が特に好ましい。
(他の成分)
帯電防止層38には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、マット剤、界面活性剤、滑り剤、等の他の成分を添加してもよい。
マット剤としては、例えば0.001〜10μmの粒径を有する、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物の粒子、ポリメチルメタクリレートやポリスチレンなどの重合体、或いは共重合体等の粒子、等が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、等が挙げられる。滑り剤としては、例えば、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステル若しくはそのアミノ塩;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸及びそのエステル類;シリコーン系化合物;等が挙げられる。
(保護層)
本実施形態の帯電防止フィルム(エンボスシート30)では、帯電防止層38を保護するために、帯電防止層38の上層に保護層40が設けられる。
保護層40に使用される素材は、帯電防止層38との密着が十分得られるとともに膜形成が可能であれば、特に限定されない。例えば、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、SBR樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース誘導体、ゼラチン類、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂、等を保護層40に用いることができる。
保護層40は、帯電防止層38上に任意の手法で形成可能であり、例えば以下の方法により形成される。すなわち、保護層40を構成する樹脂を適当な溶剤に溶解させた溶液を調製し、その溶液を帯電防止層38上に塗布すればよい。樹脂を溶解させる溶剤は、用いられる樹脂の特性に応じて適宜選択される。また、樹脂の塗布方法は、有機溶剤に溶解して塗布する方法、水分散物または水溶液として塗布する方法、等が挙げられる。
本実施形態では、必要に応じて、保護層40にマット剤やワックスを使用して、その表面特性、特に摩擦係数を調整してもよい。マット剤やワックスの例としては、上述した帯電防止層38に用いられるマット剤やワックスと同様のものが使用可能である。
また塗布性を改善するために、界面活性剤を保護層40の形成用の塗布液に添加されていてもよい。界面活性剤としては特に限定されないが、脂肪族、芳香族、フッ素系のいずれの界面活性剤でもよく、またノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤を使用可能である。
保護層40の乾燥時の膜厚は、用いられる樹脂の特性に応じて決められるが、一般的には、0.01μm〜0.5μmの範囲であることが好ましく、0.01μm〜0.3μmの範囲であることがより好まく、0.02μm〜0.2μmの範囲であることが特に好ましい。保護層40の膜厚が薄すぎる場合には、帯電防止層38の十分な保護効果が得られない場合がある。また、保護層40の膜厚が0.5μm以上になると、表面抵抗が高くなり、帯電防止層38に起因する帯電防止効果を低下させる懸念がある。
このように、帯電防止層38上には、主として、滑り性の向上、耐傷性の向上、および帯電防止層38の金属酸化物粒子の脱離防止を補助する目的で、保護層40が設けられることが望ましい。
(基体)
基体36としては、プラスチックフィルムが好適であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンのフィルムを挙げることができる。プラスチックフィルムの状態は、逐次二軸延伸前の状態、同時二軸延伸前の状態、一軸延伸後で再延伸前の状態、あるいは二軸延伸後の状態のいずれであってもよい。
それらの中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが基体36として好ましく、安定性や強靭さなどの観点からは、二軸延伸および熱固定されたポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
基体36の厚さは、特に制限がなく、15〜500μmが一般的であり、取扱性や汎用性などの観点からは50〜300μmが好ましい。
また、基体36は、所望の透明性を維持し得る範囲で、染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有していてもよい。
また、基体面に対して各層を強固に接着させるために、各種の層が積層される基体36の表面および/または裏面には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸処理、等の表面活性処理が予め施されていることが好ましい。すなわち、帯電防止層用塗布液、プリズム層形成用の塗布液、等の塗布液が塗布される基体36の表面および/または裏面に、上記の表面活性処理を施すことによって、基体面に対して塗布層がしっかりと接着される。
例えば、プリズム層形成用の塗布液(以下、「プリズム層用塗布液」とも称する)を基体36に塗布してプリズムシートを作製する場合、基体36と層との間の接着性を確保する方法として、(1)基体36に表面活性処理を施した後、基体36の表面上にプリズム層用塗布液を直接塗布して接着力を得る方法、および(2)基体36に表面活性処理を施した後に、下塗り層を設けて、この下塗り層上にプリズム層用塗布液を塗布する方法、等が挙げられる。これらの方法のうち、方法(2)がより有効であり、一般的に広く行われている。
ほとんどの処理において、表面処理による接着性の向上は、本来は疎水性であった基体36の表面に多少の極性基を形成すること、基体36の表面における接着性に対してマイナスの要因になる薄層を除去すること、或いは基体36の表面の架橋密度を増加させて接着力を増加させることのいずれかに基づいている。したがって、例えば、下塗り層形成用の溶液に含まれる成分と極性基との親和力を増加させること、接着表面の堅牢度を増加させること、等により、下塗り層と基体面との接着性を向上させうる。
下塗り層が含有する高分子物質としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等から選択される単量体を出発原料とする共重合体、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂グラフト化ゼラチン、ニトロセルロース、等が挙げられる。
また、必要に応じて、例えばフェノール、レゾルシン、等の膨潤剤を下塗り層に添加してもよい。下塗り層に対する膨潤剤の添加量は、下塗り層形成用の塗布液1リットル当り1〜10gが好適である。更に、親水性ポリマー、ブロッキング防止剤、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、等の各種成分を下塗り層に添加してもよい。
親水性ポリマーとしては、例えば、ゼラチン等の天然ポリマー、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、アクリル酸/アクリルアミド共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体等の合成ポリマーが挙げられる。ブロッキング防止剤としては、二酸化ケイ素、ポリメチルアクリレート、ポリスチレン等のマット剤が挙げられる。また、下塗り層に対して、ジクロロトリアジン誘導体やエポキシ化合物などの硬化剤が一般には併用される。
下塗り層形成用の塗布液は、例えば、ディップコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法等の公知の塗布方法、あるいはポッパーを使用するエクストルージョンコート法(例えば米国特許第2681294号明細書参照)、等により塗布することができる。
下塗り層の塗布量としては、固形分として、ポリエステルフィルム基体36の1m2当り0.01〜10gが好ましく、0.2〜3gがより好ましい。
上述の本実施形態によれば、高い透明性および耐傷性を持つ帯電防止層38によって帯電防止性能が得られ、また帯電防止層38及び保護層40の膜強度の向上も図ることができる。その結果、製造工程や取扱時(塗布、搬送時等)における層の剥離や帯電防止剤の脱離を効果的に防止し、基体36等の白粉汚れや塵埃付着を回避し、基体36上におけるプリズム層用液塗布液のはじきを防ぐことができる。これにより、基体36に対するプリズム層32の接着性を向上させるとともに、プリズムシート組立て時のゴミ除去等の作業負担を軽減することができる。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形が加えられることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
例えば、上述の実施形態では、帯電防止層38が、プリズム層32が設けられる基体36の表面側とは反対側の裏面側に設けられている例について説明したが、基体36の表面側に帯電防止層38が設けられてもよい。図5は、エンボスシート30の一変形例の断面構成を示す図である。図5に示すように、基体36の裏面側に帯電防止層38を設ける代わりに、基体36の表面側に帯電防止層38を設けることもできる。図5では、基体36と接着層34との間に帯電防止層38が配置される例が示されており、この場合にも、帯電防止層38による帯電防止効果が効果的に奏される。また、図6は、エンボスシート30の他の変形例の断面構成を示す図である。図6に示すように、基体36の裏面側だけではなく表面側にも帯電防止層38を設けることもできる。図6では、基体36と接着層34との間に第1の帯電防止層38aが配置されるとともに基体36と保護層40との間に第2の帯電防止層38bが配置される例が示されており、この場合にも、帯電防止層38による帯電防止効果が効果的に奏される。
また、上述の実施形態では、基体36とプリズム層32とを接着する接着層34が支持体Wに予め設けられている例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、塗布部12において支持体W上に樹脂液を塗布する際に接着剤が支持体W上に塗布されて接着層34が形成される構成であってもよい。接着層34を形成する接着剤は、基体36とプリズム層32とを適切に接着することが可能であれば、任意のタイプのものを使用することができる。
次に、上述の実施形態に基づく実施例について説明する。なお、上述の事項と同様の部分に関しては詳細な説明を省略する。
(基体の準備)
以下のようにして基体36を準備した。すなわち、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを縦方向および横方向の各々に3.3倍する二軸延伸を行った後に、PETフィルムを240℃で10分間熱固定化した。その後、そのPETフィルムの両側の表面にコロナ放電処理を施すことによって製造された、180μmの厚みを持つPETフィルムを基体36として準備した。
(支持体の作製)
基体36の一方の面に下塗り層形成用の塗布液をバーコーターによって塗布し、その塗布面を140℃の環境下で30秒間乾燥して、0.6μm厚の下塗り層を基体36上に形成した。
(易接着第1層塗布)
下塗り層が形成された基体36上に、下記の組成を持つ第1の下塗り液が、ワイヤーバーによって6ml/m の割合で塗布され、120℃で2分間乾燥された。これにより基体36上に易接着第1層が形成される。
ブタジエン−スチレン共重合ラテックス 13ml
(固形分43%、ブタジエン/スチレン重量比=32/68)
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩 8%水溶液
7ml
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1%水溶液 1.6ml
蒸留水 80ml
(易接着第2層塗布)
易接着第1層の上に、下記の組成を持つ第2の下塗り液が、ワイヤーバーによって9ml/mの割合で塗布され、185℃で5分間乾燥された。これにより、基体36上に易接着第2層が形成される。
ゼラチン 0.9g
メチルセルロース(メトローズSM15 置換度1.79〜1.83) 0.1g
酢酸(濃度99%) 0.02ml
蒸留水 99ml
(バック第1層塗布(帯電防止層))
基体36の面のうち上記の下塗り層が設けられていない側の面に、0.15μmの厚さを持つ帯電防止層38を形成した。この帯電防止層38は、下記の組成に蒸留水を加えて100重量部となるように調整した帯電防止層用の塗布液をバーコーターにより基体36上に塗布し、その塗布液を基体36上において140℃で30秒間乾燥することによって形成された。
アクリル樹脂水分散液 1.9重量部
(ジュリマーET410、固形分30重量%、日本純薬(株)製)
ニ酸化スズ−アンチモン複合金属酸化物水分散物 9.1重量部
(TDL−S 三菱マテリアル社製 17重量%)
ドデシルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム 0.1重量部
(サンデットBL 三洋化成製 44.6% )
ポリオキシエチレンフェニルエーテル 0.1重量部
エポキシ架橋剤 0.2重量部
(デナコール EX−614B ナガセ化成社製)
(バック第2層塗布(保護層))
上記の帯電防止層38上に、0.08μmの乾燥膜厚を持つ保護層40を形成した。この保護層40は、下記の組成に蒸留水を加えて100重量部となるように調整したポリオレフィンラテックス水分散液を、乾燥膜厚が0.08μmとなるように塗布し、その塗布液を基体36上において140℃で3分間乾燥することによって、形成された。
ポリオレフィン 1.6重量部
(ケミパールS−120、27重量%、三井石油化学(株)製)
ポリエチレン微粒子 0.04重量部
(ケミパールW950 40重量%、三井石油化学(株)製)
コロイダルシリカ 1.1重量部
(スノーテックスC、20%重量 日産化学(株)製)
エポキシ架橋剤 0.2重量部
(デナコールEX−614B、ナガセ化成(株)製)
(プリズム層の作製)
(樹脂液の調整)
図7に示す化合物を図7に記載の重量比で混合した混合液を、50℃に加熱しながら撹拌して化合物を溶解させることによって樹脂液を得た。なお、図7の各化合物の名称と内容は以下の通りである。
EB3700:エベクリル3700、ダイセルUC(株)製 ビスフェノ−ルAタイプエポキシアクリレ−ト(粘度2200mPa・s/65℃)
BPE200:NKエステルBPE-200、新中村化学(株)製、エチレンオキシド付加ビスフェノールAメタクリル酸エステル(粘度590mPa・s/25℃)
BR-31:ニュ−フロンティアBR-31、第一工業製薬工業(株)製、トリブロモフェノキシエチルアクリレ−ト(常温で固体、融点50℃以上)
LR8893X:Lucirin LR8893X、BASF(株)製の光ラジカル発生剤、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルォスフィンオキシド
MEK:メチルエチルケトン
(プリズム層の形成)
図1のエンボスシートの製造装置10を使用して、支持体W上にプリズム層32を形成した。この時、用いられた支持体Wの幅方向の大きさは500mmであった。
エンボスロール13として、支持体Wの幅方向の長さが700mm、直径が300mm、そして表面の材質がニッケルであるS45C製のロールを使用した。このエンボスロール13の表面の略500mm幅の全周に、ダイヤモンドバイト(シングルポイント)を使用した切削加工によって、ロール軸方向のピッチが50μmの溝を形成した。溝の断面形状は、頂角が90度の三角形状で、溝の底部も平坦部分のない90度の三角形状であった。すなわち、溝幅が50μmであり、溝深さが約25μmであった。この溝は、エンボスロール13の周方向に継ぎ目がないエンドレスとなっている。その溝加工後、エンボスロール13の表面にニッケルメッキを施した。このようなエンボスロール13が支持体W上の樹脂層に押し当てられて、シートWに所望のプリズムレンズが形成された。
塗布部12として、エクストルージョンタイプの塗布ヘッド12Cであるダイコータを使用した。
塗布液F(樹脂液)として、図7に記載の各液を使用した。なお、後述の図8に示す樹脂液Fと走行速度の組み合わせとによって、各実施例および比較例のサンプルの製造を行った。
基体36上の塗布液F(樹脂液)の湿潤状態の厚さが有機溶剤乾燥後に20μmになるように、樹脂供給ポンプ12Bを制御して、塗布ヘッド12Cに対する各塗布液Fの供給量を調整した。
乾燥部19として、熱風循環式の乾燥装置を用いた。熱風の温度は100℃とした。
ニップロール14として、直径が200mmで、表面にゴム硬度が90のシリコンゴムの層を形成したロールを使用した。エンボスロール13とニップロール14とで樹脂塗布シートSを押圧する実効のニップ圧は、0.5Paとした。
樹脂硬化部15として、メタルハライドランプを使用し、1000mJ/cm2 のエネルギーの光(放射線)を放射した。
以上の条件下で、実施例1に係るエンボスシート30(プリズムシ−ト)を得た。
(実施例2)
帯電防止層38を変更したこと以外は実施例1と同様の条件によって、実施例2に係るプリズムシートを得た。
(実施例2の帯電防止層)
本例の帯電防止層38は、下記の組成に蒸留水を加えて100重量部となるように調整した。
アクリル樹脂水分散液 1.9重量部
(ジュリマーET410、固形分30重量%、日本純薬(株)製)
ニ酸化スズ−アンチモン複合金属酸化物水分散物 9.1重量部
(TDL−S 三菱マテリアル社製 17重量%)
ドデシルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム 0.1重量部
(サンデットBL 三洋化成製 44.6% )
ポリオキシエチレンフェニルエーテル 0.1重量部
カルボジイミド架橋剤 0.35重量部
(カルボジライトV−02−L2 固形分40% 日清紡社製)
(実施例3)
帯電防止層38を変更したこと以外は実施例1と同様の条件によって、実施例3に係るプリズムシートを得た。
(実施例3の帯電防止層)
本例の帯電防止層38は、下記の組成に蒸留水を加えて100重量部となるように調整した。
アクリル樹脂水分散液 1.9重量部
(ジュリマーET410、固形分30重量%、日本純薬(株)製)
ニ酸化スズ−アンチモン複合針状金属酸化物水分散物 7.7重量部
(FS−10D 石原産業製 20重量%)
ドデシルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム 0.1重量部
(サンデットBL 三洋化成製 44.6% )
ポリオキシエチレンフェニルエーテル 0.1重量部
カルボジイミド架橋剤 0.35重量部
(カルボジライトV−02−L2 固形分40% 日清紡社製)
(実施例4)
帯電防止層38を変えたこと以外は実施例1と同様の条件によって、実施例4に係るプリズムシートを得た。
(実施例4の帯電防止層)
本例の帯電防止層38は、下記の組成に蒸留水を加えて100重量部となるように調整した。
アクリル樹脂水分散液 1.9重量部
(ジュリマーET410、固形分30重量%、日本純薬(株)製)
ニ酸化スズ−アンチモン複合針状金属酸化物水分散物 13.0重量部
(FS−10D 石原産業製 20重量%)
ドデシルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム 0.1重量部
(サンデットBL 三洋化成製 44.6% )
ポリオキシエチレンフェニルエーテル 0.1重量部
カルボジイミド架橋剤 0.35重量部
(カルボジライトV−02−L2 固形分40% 日清紡社製)
(比較例)
(比較例1)
帯電防止層38と、帯電防止層38上に形成された保護層40とが存在しないこと以外は実施例1と同様の条件によって、比較例1に係るプリズムシートを得た。
(比較例2)
帯電防止層38からニ酸化スズ−アンチモン複合金属酸化物水分散物を除去したこと以外は実施例1と同様の条件によって、比較例2に係るプリズムシートを得た。
(比較例3)
帯電防止層38からエポキシ架橋剤を除去したこと以外は実施例1と同様の条件によって、比較例3に係るプリズムシートを得た。
(比較例4)
保護層40が存在しないこと以外は実施例1と同様の条件によって、比較例4に係るプリズムシートを得た。
(実施例および比較例の評価)
図8は、上記の実施例1〜4および比較例1〜4に基づいて生成されたプリズムシート(エンボスシート30)の表面電気抵抗、ヘイズ、塵埃の付着性、耐傷性、および滑り性を示す。
(表面電気抵抗(SR))
各実施例および各比較例において得られたプリズムシート(エンボスシート30)の表面電気抵抗を、JIS−K−6911−1979の抵抗率に記載されている方法に基づいて測定した。この表面電気抵抗の測定は、各プリズムシートを23℃、65%RHの雰囲気下で6時間放置して調湿した後、同雰囲気下で定電圧電源(TR−300C、タケダ理研工業(株)製)、電流計(TR−8651、タケダ理研工業(株)製)、及びサンプルチャンバー(TR−42、タケダ理研工業(株)製)を用いて行われた。
(ヘイズ)
エンボスシート30上にプリズム層32が形成される前のフィルムのヘイズをJIS−K−6714−1977の曇価に記載されている方法に基づいて測定し、エンボスシート30の透明性を示す指標とした。ここでいう「プリズム層32が形成される前のフィルム」とは、例えば、基体36の一方の面に上記の第1の下塗り液および第2の下塗り液が形成されるとともに、基体36の他方の面に帯電防止層38および保護層40が形成された部材を指す。このヘイズ値の測定は、ヘイズメータ(NDH−1001P、日本電色工業(株)製)を用いて行った。なお、ヘイズ値の数値が大きいほど透明性に優れる。
(搬送による粒子の脱離、塵埃等の付着)
基体36上にプリズム層32を形成する前のフィルム、すなわち基体36の一方の面に上記の下塗り層が形成されるとともに、基体36の他方の面に帯電防止層38び保護層40が形成された状態のフィルムを、18cm幅の長尺フィルムに加工して、25℃、65%RHの雰囲気に3日間保存した。その後、塗布機の模擬装置であるハンドリングテスト機を用いて、その長尺フィルムをラインスピード100m/分で搬送し、180度のラップ角を持つハンドリングテスト機の駆動ロール(フラットロール)を逆回転させて、その駆動ロールの周速が90m/分の状態で、その長尺フィルムを5分間搬送した。その後、駆動ロール表面に付着した粉状物の量を、下記基準に従って目視で評価した。
(基準)
AA:塵埃の付着が全く認められなかった。
BB:塵埃の付着がごく僅かに認められた。
CC:塵埃の付着が少量程度認められた。
DD:かなりの量の塵埃の付着が認められた。
(耐傷性)
プリズム層32を含むエンボスシート30を構成する各材料を、25℃、65%RHの雰囲気下に3日間保存した。その後、帯電防止層38のある面の耐傷性を、引掻強度試験機(HEIDON−18、新東科学(株)製)を用いて測定した。この時、帯電防止層38を押圧する0.025Rダイヤモンド針の荷重を0〜100gまで連続的に増加させる条件で、帯電防止層38の耐傷性を測定し、帯電防止層38に傷が入り始める荷重をグラム単位で表した。したがって、図8中の耐傷性の数値の値が大きいほど、耐傷性に優れるといえる。
(滑り性)
プリズム層32を含むエンボスシート30を構成する各材料を、25℃、65%RHの雰囲気下に3日間保存した。その後、帯電防止層38のある面の動摩擦係数を、動摩擦係数測定機(東洋ボールドウィン(株)製)を用いて測定した。この時、20gの荷重を加えた直径5mmの鋼球を試料フィルム表面に接触させて、20cm/分の速度でこのフィルムを滑走させた時の抵抗を歪みゲージで検出することによって動摩擦係数を求めた。したがって、図8中の滑り性の数値が大きいほど、滑り難いといえる。
図8に示すように、本発明に基づく実施例1〜4と比較例1〜4とを比較すると、塵埃の付着性、耐傷性、および滑り性の項目に関し、いずれの実施例も比較例より良好な結果を示した。すなわち、本発明に係る実施例によれば、塵埃などの汚れが付着しにくく、傷つけられにくく、滑り難いエンボスシート30が得られた。したがって、本発明によれば、塵埃の付着性、耐傷性、および滑り性に優れたエンボスシート30が提供されることが確認された。また、表面電気抵抗およびヘイズに関しても、各実施例は、全体として、比較例よりも良好な結果を示している。したがって、本発明に係る実施例によれば、表面電気抵抗が小さく、透明性の高いエンボスシート30が得られる。したがって、本発明によれば、良好な表面電気抵抗およびヘイズを有するエンボスシート30が提供されることが確認された。
エンボスシートの製造装置の構成を示す概念図である。 支持体および樹脂層の断面構成を示す図である。 エンボスロールの回転軸の軸方向に沿った断面の概略を示す図である。 樹脂層によって形成されるプリズム層を含むエンボスシートの断面構成を示す図である。 帯電防止層の配置の一変形例を示す図である。 帯電防止層の配置の他の変形例を示す図である。 実施例で使用される樹脂液を構成する化合物の重量比を示す図である。 実施例1〜4および比較例1〜4に基づいて生成されたエンボスシートの表面電気抵抗、ヘイズ、塵埃の付着性、耐傷性、および滑り性を示す図である。
符号の説明
10…エンボスシートの製造装置、11…シート供給部、12…塗布部、13…エンボスロール、14…ニップロール、15…樹脂硬化部、16…剥離ロール、17…保護フィルム供給手段、18…シート巻き取り手段、H…保護フィルム、W…シート

Claims (9)

  1. 基体と、
    前記基体の表面側に設けられたレンズシートと、
    前記基体と前記レンズシートとの間の前記基体の表面側および前記基体の裏面側のうち少なくともどちらか一方の側に設けられた帯電防止層と、を備え、
    前記帯電防止層は、
    (1)分子内にカルボン酸基を複数有する樹脂であって、重量平均分子量が2000以上の樹脂と、
    (2)電子電導により導電性を発現する金属酸化物と、
    (3)平均エポキシ官能基数が3.5〜6.5の架橋剤およびカルボジイミド構造を有する架橋剤のうち少なくともどちらか一方の架橋剤と、
    を含有することを特徴とする光学シート。
  2. 前記樹脂における前記カルボン酸基の一部または全部が、アクリル酸およびメタクリル酸のどちらか一方に由来することを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
  3. 前記金属酸化物は、酸化スズであり、
    前記帯電防止層を前記基体上に塗布する際に用いられる前記酸化スズの分散液の溶媒は水であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学シート。
  4. 前記金属酸化物は、その短軸に対する長軸の比が3〜50の範囲にある針状構造を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学シート。
  5. 前記基体は、ポリエステルフイルムであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学シート。
  6. 前記帯電防止層上に設けられ、0.01μm〜0.5μmの膜厚を持つ保護層を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光学シート。
  7. 前記帯電防止層のヘイズ値が5.0%以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光学シート。
  8. 前記帯電防止層の表面電気抵抗値が1×1011Ω以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光学シート。
  9. 基体の表面側にレンズシートを設ける工程と、
    前記基体と前記レンズシートとの間の前記基体の表面側および前記基体の裏面側のうち少なくともどちらか一方の側に、(1)分子内にカルボン酸基を複数有する樹脂であって、重量平均分子量が2000以上の樹脂と、(2)電子電導により導電性を発現する金属酸化物と、(3)平均エポキシ官能基数が3.5〜6.5の架橋剤およびカルボジイミド構造を有する架橋剤のうち少なくともどちらか一方の架橋剤と、を含有する帯電防止層を設ける工程と、を備える光学シートの製造方法であって、
    前記帯電防止層を設ける工程では、前記樹脂、前記金属酸化物、および前記架橋剤の固形分濃度の和が10質量%以下の水性塗布液が前記基体に塗布されることを特徴とする光学シートの製造方法。
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