JP2018149809A - シート成形用キャリアフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】スラリー状原料をシート化する際に使用されるキャリアフィルムにおいて、スラリー塗工性や焼成工程でのグリーンシート同士を剥離する際の焼きつき防止性を良好とするシート成形用キャリアフィルムを提供する。【解決手段】基材層の少なくとも片面に無機粒子および/または有機粒子を含む樹脂層が積層された積層フィルムであって、前記樹脂層が少なくとも一方の表層にあり、前記樹脂層側の10mm×10mm範囲において、最大高さSRzが400nm以上2000nm以下、最大高さSRzの変動係数が0%以上10%以下であり、かつ、中心面平均粗さSRaが25nm以上250nm以下、中心面平均粗さSRaの変動係数が0%以上10%以下であるシート成形用キャリアフィルム。【選択図】なし
Description
本発明はスラリー状原料をシート状へ成形する用途に適して用いられるシート成形用キャリアフィルムに関するものである。
無線給電での給電効率向上やRFIDと呼ばれる無線通信技術の通信精度向上、あるいはインダクタやセラミックパッケージと呼ばれる電子部品を製造する際の積層構成部材としてフェライトシートやセラミックシート等が用いられており、近年、電子デバイスの小型化や軽量化に伴いフェライトシートやセラミックシートの薄膜化需要が高くなっている。一般に、フェライトシートやセラミックシートの製造方法としてキャスティング法があり、この方法はスラリー状のフェライトやセラミック等の原料混練物をキャリアシートの上に塗工して、シート状に成形し、このシートをキャリアフィルムから剥離することでグリーンシートを得る。更に、このグリーンシートを焼成することにより、無線給電、RFID向けフェライトシート、セラミックシートを得ることができる。また、インダクタやセラミックパッケージなど、厚み方向に回路の構造を形成させて製造する電子部品については、グリーンシートからキャリアフィルムを剥離させる前に、直方体などに打ち抜いたキャリアフィルム/グリーンシート積層体をキャリアフィルム側から穿孔させ、グリーンシート面、およびシート形成した穴にメッキや印刷で回路を形成した後、キャリアフィルムから剥離したグリーンシート加工品を積層し、圧着、焼成を行う製造プロセスが用いられている。
しかし、フェライトシートやセラミックシート等の薄膜化により、キャリアシートにスラリーを塗工する際にキャリアフィルムの粗大突起によるスラリー塗工欠点等によるピンホールができる場合があり、特許文献1〜3では、キャリアフィルムの平滑化によりピンホールを抑制する方法が適用されている。ただし、平滑なキャリアフィルムによって得られたグリーンシート等は中心面平均粗さSRaが小さい為、例えば無線給電向け、RFID向けフェライトシート、セラミックシートの製造プロセスのうち、グリーンシートを複数枚重ねて焼成するような生産性を向上させた製造プロセスにおいては、グリーンシート同士の接触面積が大きくなるため焼き付いてしまう場合があり、焼成後にフェライトシートやセラミックシート同士を1枚ずつ積層状態から元に戻す際に割れやすくなり、剥離が困難であるという課題があった。グリーンシートを重ねずに1枚ずつ焼成してもフェライトシートやセラミックシートは得られるが、生産性やコストの面で不利になる。
また、インダクタやセラミックパッケージ向けフェライトシート、セラミックシートにおいては、グリーンシート面内に回路を形成するが、特許文献1〜3のように中心面平均粗さSRaを小さくしすぎると、フィルムの異物欠点などの凸の点と周囲との高低差が大きくなり、回路が断線しやすくなる場合がある。
そこで、本発明では、上記の欠点を解消し、スラリー状原料の塗工性に優れると共に、グリーンシートを重ねて焼成後の焼成シート同士の焼き付き防止や、回路形成時の断線防止に優れたシート成形用キャリアフィルムを提供することにある。
そこで、本発明では、上記の欠点を解消し、スラリー状原料の塗工性に優れると共に、グリーンシートを重ねて焼成後の焼成シート同士の焼き付き防止や、回路形成時の断線防止に優れたシート成形用キャリアフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成を有する。
(1)
基材層の少なくとも片面に無機粒子および/または有機粒子を含む樹脂層が積層された積層フィルムであって、前記樹脂層が少なくとも一方の表層にあり、前記樹脂層表面側の10mm×10mm範囲において、最大高さSRzが400nm以上2000nm以下、最大高さSRzの変動係数が0%以上10%以下であり、かつ、中心面平均粗さSRaが25nm以上250nm以下、中心面平均粗さSRaの変動係数が0%以上10%以下であるシート成形用キャリアフィルム(ここで、変動係数とは、10回測定した値の標準偏差を平均値で除した値を示す)。
(2)
ハンター表色系における色調L値が70以上95以下である(1)に記載のシート成形用キャリアフィルム。
(3)
フィルム面内の長手方向を方向X、方向Xと直交する方向を方向Yとした場合に、フィルムを130℃で1分熱処理を行った後の方向X、方向Yのいずれにおいても破断強度が100MPa以上300MPa以下であり、方向Xと方向Yの破断強度の差の絶対値が50MPa以下である(1)または(2)に記載のシート成形用キャリアフィルム。
(4)
フィルムを130℃で1分熱処理を行った後の前記方向X、前記方向Yのいずれにおいても引裂き強度が20mN以上150mN以下であり、方向Xと方向Yの引裂き強度の差の絶対値が10mN以下である(1)〜(3)のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルム。
(5)
前記樹脂層表面で測定した85°光沢度(Gb85°)が50以上90以下である(1)〜(4)のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルム。
(6)
厚みが10μm以上60μm以下である、(1)〜(5)のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルム。
(7)
スラリー状原料をシート化する際の工程用途に用いられる(1)〜(6)のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルム。
(8)
(1)〜(7)のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルムの樹脂層面側にグリーンシートが積層された、キャリアフィルム/グリーンシート積層体。
(9)
少なくともグリーンシート側に貫通孔が形成されている、(8)に記載のキャリアフィルム/グリーンシート積層体。
(10)
フェライトシート、セラミックシート、インダクタ、およびセラミックパッケージの製造に用いられる、(1)〜(9)に記載のシート成形用キャリアフィルムまたはキャリアフィルム/グリーンシート積層体。
(1)
基材層の少なくとも片面に無機粒子および/または有機粒子を含む樹脂層が積層された積層フィルムであって、前記樹脂層が少なくとも一方の表層にあり、前記樹脂層表面側の10mm×10mm範囲において、最大高さSRzが400nm以上2000nm以下、最大高さSRzの変動係数が0%以上10%以下であり、かつ、中心面平均粗さSRaが25nm以上250nm以下、中心面平均粗さSRaの変動係数が0%以上10%以下であるシート成形用キャリアフィルム(ここで、変動係数とは、10回測定した値の標準偏差を平均値で除した値を示す)。
(2)
ハンター表色系における色調L値が70以上95以下である(1)に記載のシート成形用キャリアフィルム。
(3)
フィルム面内の長手方向を方向X、方向Xと直交する方向を方向Yとした場合に、フィルムを130℃で1分熱処理を行った後の方向X、方向Yのいずれにおいても破断強度が100MPa以上300MPa以下であり、方向Xと方向Yの破断強度の差の絶対値が50MPa以下である(1)または(2)に記載のシート成形用キャリアフィルム。
(4)
フィルムを130℃で1分熱処理を行った後の前記方向X、前記方向Yのいずれにおいても引裂き強度が20mN以上150mN以下であり、方向Xと方向Yの引裂き強度の差の絶対値が10mN以下である(1)〜(3)のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルム。
(5)
前記樹脂層表面で測定した85°光沢度(Gb85°)が50以上90以下である(1)〜(4)のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルム。
(6)
厚みが10μm以上60μm以下である、(1)〜(5)のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルム。
(7)
スラリー状原料をシート化する際の工程用途に用いられる(1)〜(6)のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルム。
(8)
(1)〜(7)のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルムの樹脂層面側にグリーンシートが積層された、キャリアフィルム/グリーンシート積層体。
(9)
少なくともグリーンシート側に貫通孔が形成されている、(8)に記載のキャリアフィルム/グリーンシート積層体。
(10)
フェライトシート、セラミックシート、インダクタ、およびセラミックパッケージの製造に用いられる、(1)〜(9)に記載のシート成形用キャリアフィルムまたはキャリアフィルム/グリーンシート積層体。
本発明のシート成形用キャリアフィルムは、スラリー状原料のシート成形時に使用されることにより、特定の表面形状を成形シートに転写可能となることから、成形シートを積層して焼成する際の焼付きを防止する効果、および回路形成時の断線防止効果を奏する。
本発明のシート成形用キャリアフィルム(以下、キャリアフィルム)は、基材層の少なくとも片面に無機粒子および/または有機粒子を含む樹脂層が積層されてなり、樹脂層表面側の10mm×10mm範囲において、最大高さSRz400nm以上2000nm以下、最大高さSRzの変動係数が0%以上10%以下であり、かつ、中心面平均粗さSRaが25nm以上250nm以下、中心面平均粗さSRaの変動係数が0%以上10%以下であることが重要である。
以下では、本発明のキャリアフィルムにおける基材層と樹脂層について、具体的な様態を述べる。
以下では、本発明のキャリアフィルムにおける基材層と樹脂層について、具体的な様態を述べる。
本発明の基材層は単層であっても、2層以上の積層構成を有していても良い。また、スラリー状原料を塗工する層を基材層の片面に積層された樹脂層とした場合に、基材層は、樹脂層への滑らかな表面凹凸形状を伝播させたり、色調L値を特定の範囲としたり、もしくは加熱後の破断強度や引裂き強度を特定の範囲とする観点から、無機粒子および/または有機粒子を含有することが好ましい。
本発明のキャリアフィルムの樹脂層は、無機粒子および/または有機粒子を含むことが重要である。基材層に樹脂層を積層する方法として、樹脂層を構成するマトリックス樹脂と無機粒子および/または有機粒子を基材層と同時に共押出した未延伸シートとする方法や、基材層に樹脂層組成溶液をコーティングする方法などが挙げられる。これらは特に限定されるものではないが、本発明の特徴とする表面形状を形成せしめる目的や経済性の観点から、基材層と同時に共押出した未延伸シートとする方法を用いることが好ましい。
ここで、基材層や樹脂層に使用する無機粒子および/または有機粒子としては特に限定されるものではないが、たとえば、無機粒子としては、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミ、ベンガラ、モリブデンレッド、カドミウムレッド、赤口黄鉛、クロムパーミリオン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルーなどの青色顔料、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレット、二酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸亜鉛、カーボンブラック、黒色酸化鉄など、有機粒子としては、スチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物、縮合アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、ジオキサジン、イソインドリノン、キノフタロン、アンスラキノンなどを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、耐熱性湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。経済性の観点からは、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミが特に好ましく用いられる。なお、これらの外部添加粒子は二種以上を併用してもよい。また、本発明のキャリアフィルムの基材層に含有する無機粒子および/または有機粒子の含有量は、スラリー状原料をグリーンシート化し、積層して焼成する際の焼付き防止性、および塗工欠点抑制両立の観点からは、基材層は、基材層全体を100質量%として無機粒子および/または有機粒子を1質量%以上35質量%以下含有することが好ましく、3質量%以上32質量%以下含有することがより好ましく、6質量%以上28質量%以下含有するとさらに好ましい。また、樹脂層は樹脂層全体を100質量%として無機粒子および/または有機粒子を0.01質量%以上0.8質量%以下含有することが好ましく、0.02質量%以上0.5質量%以下含有することがより好ましく、0.03質量%以上0.5質量%以下含有するとさらに好ましい。
また、本発明のキャリアフィルムの基材層や樹脂層に用いられる無機粒子および/または有機粒子は、うねり形状を表面に形成することで、スラリー状原料をグリーンシート化し、積層して焼成する際の焼付き防止性、および塗工欠点抑制の両立の観点からは、平均粒子径が0.05μm以上3.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2.8μm以下であればさらに好ましく、0.15μm以上2.6μm以下であれば最も好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、D=ΣDi/N(Di:粒子の円相当径、N:粒子の個数)で表される数平均径Dのことを指す。
本発明のキャリアフィルムにおいて、基材層や樹脂層を構成する樹脂は、本発明の各種要件を満たす範囲において特に限定はされないが、たとえば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂にカルボン酸や無水マレイン酸などの側鎖(金属イオンに置換された構造を含む)を有する変性ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびこれらにエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ブタンジオール以外のグリコール成分や、テレフタル酸以外のカルボン酸成分を共重合させたポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体といったフッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)系樹脂、AS(アクリロニトリル・スチレン共重合体)系樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、スラリー状原料を塗工した後、乾燥時の熱で変形を抑制することが可能な観点やコストの観点から、基材層や樹脂層の主成分は、ポリエステル系樹脂であることが好ましい。なお、ここで、主成分とは、各層の全体100質量%に対して50質量%を超える含有比率の成分を指す。
本発明におけるポリエステル系樹脂とは、ジカルボン酸由来の構造単位(ジカルボン酸成分)とジオール由来の構造単位(ジオール成分)のエステル結合により結合されるポリマーを指す。
ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、および、各種芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸とのエステル誘導体が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は1種類のみでもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。これらのジオール成分は1種類のみでもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらのジカルボン酸成分、ジオール成分の中でも、耐溶剤性、耐熱性の観点から、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソソルベート、スピログリコールが好ましく用いられる。耐溶剤性、耐熱性に加え、製造コストの観点からは、テレフタル酸とエチレングリコールの組合せが最も好ましい。
本発明のキャリアフィルムを構成する樹脂がポリエステル系樹脂からなり、当該ポリエステル系樹脂がテレフタル酸とエチレングリコールの組合せからなる、いわゆるポリエチレンテレフタレートとなる場合、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分100モル%に対して0モル%以上20モル%以下が好ましく、0モル%以上10モル%以下がより好ましく、0モル%以上2モル%以下がさらに好ましく、特に好ましくは、0モル%、すなわちジカルボン酸成分がテレフタル酸成分のみからなる構成である。テレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分が全ジカルボン酸成分100モル%に対して20モル%を超えると、キャリアフィルムの融点が低下したり結晶性が低下したりして、耐熱性が不十分となったり、厚みムラが大きくなる場合がある。
また、本発明のキャリアフィルムを構成する樹脂がポリエステル系樹脂からなり、当該ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートとなる場合、エチレングリコール以外のジオール成分は、ポリエステルを構成する全ジオール成分100モル%に対して0モル%以上33モル%以下が好ましく、0モル%以上10モル%以下がより好ましく、0モル%以上5モル%以下がさらに好ましく。特に好ましくは0モル%、すなわちジオール成分がエチレングリコールのみからなる構成である。エチレングリコール以外のジオール成分が全ジオール成分100モル%に対して33モル%を超えると、キャリアフィルムの融点が低下したり結晶性が低下したりして、耐熱性が不十分となったり、厚みムラが大きくなる場合がある。
本発明のキャリアフィルムは、樹脂層側の10mm×10mmの範囲において、最大高さSRzが400nm以上2000nm以下、最大高さSRzの変動係数が0%以上10%以下であり、かつ、中心面平均粗さSRaが25nm以上250nm以下、中心面平均粗さSRaの変動係数が0%以上10%以下であることが重要である(ここで、変動係数とは、10回測定した値の標準偏差を平均値で除した値を示し、最大高さSRzおよび中心面平均粗さSRaとは、10回測定した測定値の算術平均値を示す。)。少なくとも片面の10mm×10mmの範囲において、最大高さSRzを400nm以上とすることで2000nm以下とすることで、スラリー塗工時の塗工欠点が抑制され、塗工性良好なキャリアフィルムが得られ、また、変動係数を10%以下とすることで、得られるフェライトシートやセラミックシート等の厚みムラが低減され、透磁性等の特性の均一性が良好となる。
本発明のキャリアフィルムにおいて、樹脂層表面側の10mm×10mmの範囲において、最大高さSRz、最大高さSRzの変動係数を所定の範囲とする方法としては、樹脂層へ平均粒子径が0.15μm以上である粒子を4重量%以下添加したり、延伸ロールへかかる圧力を一定にする方法などが挙げられる。少なくとも片面の10mm×10mm範囲において、最大高さSRzが400nm以上2000nm以下、最大高さSRzの変動係数0%以上10%以下が好ましく、500nm以上1600nm以下、変動係数9%以下がより好ましく、600nm以上1400nm以下、変動係数8%以下が特に好ましい。また、本発明のキャリアフィルムは、少なくとも片面の10mm×10mm範囲において、中心面平均粗さSRaを25nm以上250nm以下とすることで、グリーンシートを積層して焼成する際の焼付きが抑制され、焼成後のシート同士の剥離性が良好なキャリアフィルムを得られ、また、変動係数を0%以上10%以下とすることで、焼成後のシートの剥離ムラが少なく、得られるフェライトシート等の厚みムラが低減され、透磁性等の特性の均一性が良好となる。また、樹脂層の10mm×10mm範囲において、中心面平均粗さSRaが25nm以上250nm以下、中心面平均粗さSRaの変動係数0%以上10%以下が好ましく、30nm以上220nm以下、変動係数9%以下がより好ましく、さらには、35nm以上200nm以下、変動係数8%以下がより好ましい。
本発明のキャリアフィルムにおいて、樹脂層側の10mm×10mmの範囲において、中心面平均粗さSRa、中心面平均粗さSRaの変動係数を所定の範囲とする方法としては樹脂層へ平均粒子径2.6μm以下の粒子を0.1質量%以上添加させることなどが挙げられる。
本発明のキャリアフィルムにおいて、基材層の少なくとも片面に無機粒子および/または有機粒子を含む樹脂層を積層し、前記樹脂層が少なくとも一方の表層にあり、前記樹脂層表面側の10mm×10mm範囲において最大高さSRzや中心面平均粗さSRa、最大高さSRzの変動係数、中心面平均粗さSRaの変動係数の特性すべてを同時に両立したフィルムを得ることは容易ではない。例えば、最大高さSRzを特定の範囲以下にしようとすると、有機粒子や無機粒子などの粒子や顔料の含有量を少なくしたり、または、含有させない必要があるが、粒子や顔料の含有量を少なくしたり、または含有させないと、フィルムの巻きとり性が悪化したり、中心面平均粗さSRaが小さくなり、スラリー状原料をシート化する際のキャリアフィルムとして使用した際に、シートを重ねて焼成させる焼成工程でシート同士の焼付きが生じやすくなる。また、中心面平均粗さSRaを特定の範囲を超える値にしようとすると、有機粒子や無機粒子などの粒子を多量に含有させる必要があるが、粒子を多量に含有させれば、フィルムを構成するポリマーの結晶化が過度に進行し、加熱時の脆化や延伸時の破断が生じやすくなる。また、粒子や顔料を多量に添加することよって、凝集が起こりやすくなり、分散性が悪化し、変動係数が大きくなる問題が生じやすくなる。また、凝集した粒子などによって最大高さSRzが大きくなり、スラリー塗工時に塗工欠点が発生するなどの問題が起こりやすくなる。また、後からエンボス加工を行ったり、マット加工されたキャストロールなど使用してフィルムに粗さを付与させる方法もあるが、経済性や生産性などの観点から不利になる。
本発明のキャリアフィルムにおいて、最大高さSRz及び中心面平均粗さSRa、最大高さSRzの変動係数、中心面平均粗さSRaの変動係数を所定の範囲とする方法として、製造プロセス中に金属ロールと弾性金属ロールでフィルムを圧力をかけて挟みこみ、樹脂層に存在する凝集粒子等を崩してキャリアフィルムの粗大欠点を平滑化する方法も、特にSRa、SRzを所定の範囲にさせる際に好ましく用いられる。フィルムへの圧力を均一に伝えて厚みムラを抑制させつつ、樹脂層の凝集粒子を崩して平滑化させる観点から、挟み込む2本のロールのうち1本は、ゴムロールの表面に金属板を積層させた弾性金属ロールが好ましい。また、弾性金属ロールの幅を狭くできる観点から、キャリアフィルムの製造方法として二軸延伸プロセスを用いる場合は、一軸目の延伸のロール収束差による縦延伸において、延伸ロールと一緒にフィルムを挟み込む位置に弾性金属ロールを配置し、フィルムに圧力をかけるプロセスが好ましく用いられる。弾性金属ロールを用いる方法は、先述した樹脂層、基材層の各層の粒子濃度や平均粒子径を特定の範囲とする方法と組み合わせることで、最大高さSRz及び中心面平均粗さSRa、最大高さSRzの変動係数、中心面平均粗さSRaの変動係数がより制御しやすくなる。
また、本発明のキャリアフィルムにおいて、基材層の少なくとも片面に無機粒子および/または有機粒子を含む樹脂層を積層し、前記樹脂層が少なくとも一方の表層にあり、前記樹脂層表面側の10mm×10mm範囲において最大高さSRzや中心面平均粗さSRa、最大高さSRzの変動係数、中心面平均粗さSRaの変動係数の特性すべてを同時に両立したフィルムを得る方法として、樹脂層において、構成する有機粒子および/または無機粒子の含有量を基材層よりも少なくし、その平均粒子径は基材層よりも大きくすることなどが挙げられる。たとえば、基材層へ数平均粒子径が0.05μm以上0.7μm以下の無機粒子を1質量%以上35質量%以下含有させ、樹脂層へ数平均粒子径0.7μm以上2.6μm以下である有機粒子を0.01質量%以上0.8質量%以下含有させる方法などが挙げられる。
本発明のキャリアフィルムは、ハンター表色系における色調L値が70以上95以下であることが好ましい。ハンター表色系におけるL値が70未満であると、スラリー状原料をキャリアフィルムに塗工した際に、フィルムの視認性が不十分となり、グリーンシートからキャリアフィルムを剥離した際に部分的な剥離残しが生じても気づきにくく、異物や欠点の原因となる場合がある。
本発明のキャリアフィルムのL値は視認性を良好とする観点から、70以上が好ましく、75以上がより好ましく、80以上が特に好ましい。また、本発明のキャリアフィルムのL値が大きいほど視認性は良好となるが、製膜性を良好とする観点からは、L値が95以下である事が好ましい。
本発明のキャリアフィルムのL値を70以上とするための方法としては、白色顔料を所定量フィルムに含有させる方法が挙げられる。白色顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナなどが挙げられ、中でも酸化チタンが好ましい。白色顔料として酸化チタンを含む場合、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタンのいずれを含んでもよい。これらの白色顔料の中でも、製造時のスリット性の観点からは、アナターゼ型酸化チタンが好ましい。本発明のキャリアフィルムとして例えばアナターゼ酸化チタンを用いる場合、L値を70以上とするためには、フィルム厚みによって異なるものの、フィルム全体に対して5質量%以上40質量%以下含む態様が好ましく、より好ましくは7質量%以上35質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下、特に好ましくは、15質量%以上25質量%以下含む態様である。フィルム全体に対して白色顔料が5質量%未満含まれると、L値が70未満となる場合がある。また、フィルム全体に対して白色顔料が40質量%を超えて含まれると、白色顔料が起点となってフィルムを構成するポリエステルの結晶化が過度に進行し、加熱時の脆化や延伸時に破断してキャリアフィルムが得られない場合がある。
本発明のキャリアフィルムではフィルム面内の長手方向を方向X、方向Xと直交する方向を方向Yとした場合に、フィルムを130℃で1分熱処理を行った後の方向X、方向Yのいずれにおいても破断強度が100MPa以上300MPa以下であり、方向Xと方向Yの破断強度の差の絶対値が50MPa以下であることが好ましい。フィルムを130℃で1分熱処理を行った後の方向X、方向Yのいずれにおいても破断強度が100MPa以下であると、スラリーを塗工後の乾燥工程で強度が不十分となり、キャリアフィルムが破断してしまう場合があり、300MPa以上であると、ビアホール加工時の打ち抜き性が不十分となる場合がある。また、方向Xと方向Yの破断強度の絶対値が50MPa以上であると、搬送時の張力調整が難しく、取扱い性や搬送性が悪化する場合がある。
本発明のキャリアフィルムはスラリーの塗工耐熱性や取扱い性、搬送性の観点からフィルム面内の長手方向を方向X、方向Xと直交する方向を方向Yとした場合に、フィルムを130℃で1分熱処理を行った後の方向X、方向Yのいずれにおいても破断強度が100MPa以上300MPa以下であり、方向Xと方向Yの破断強度の差の絶対値が50MPa以下であることが好ましく、破断強度が150MPa以上270MPa以下であり、方向Xと方向Yの破断強度の差の絶対値が40MPa以下であるとより好ましい。
本発明のキャリアフィルムの熱処理後の破断強度や方向Xと方向Yの破断強度の差を所定の範囲とする方法は、フィルムを構成するポリエステルの結晶化を進行させる結晶核剤や顔料、粒子等を添加する方法や縦と横の延伸倍率をそれぞれ調整する方法、熱処理温度分布を一定として熱処理ムラを小さくする方法などが挙げられる。
本発明のキャリアフィルムはフィルムを130℃で1分熱処理を行った後の前記方向X、前記方向Yのいずれにおいても引裂き強度が20mN以上150mN以下であり、方向Xと方向Yの引裂き強度の差の絶対値が10mN以下であることが好ましい。フィルムを130℃で1分熱処理を行った後の前記方向X、前記方向Yのいずれにおいても引裂き強度が20mN以下であるとビアホール加工後のホールを起点として破れが発生し、キャリアフィルムが破断してしまう場合があり、150mN以上であると、シート状に切断する際にフィルム残りが発生する場合がある。また、方向Xと方向Yの破断強度の絶対値が10mN以上であると、シート切断不良が起こるなど、取扱い性が悪化する場合がある。
本発明のキャリアフィルムは切断時のフィルム残りや取扱いの観点からフィルムを130℃で1分熱処理を行った後の前記方向X、前記方向Yのいずれにおいても引裂き強度が20mN以上150mN以下であり、方向Xと方向Yの引裂き強度の差の絶対値が10mN以下であることが好ましく、さらには、引裂き強度が40mN以上140mN以下、引裂き強度の差の絶対値が7mN以下であることが好ましい。
本発明のキャリアフィルムを130℃で1分熱処理を行った後の前記方向X、方向Yの引裂き強度とその絶対値を所定の範囲とする方法は、フィルムを構成するポリエステルの結晶化を進行させる結晶核剤や顔料、粒子等を添加する方法や縦と横の延伸倍率をそれぞれ調整する方法、熱処理温度分布を一定として熱処理ムラを小さくする方法などが挙げられる。
本発明のキャリアフィルムは前記樹脂層表面で測定した85°光沢度(Gb85°)が50以上90以下であることが好ましい。85°光沢度(Gb85°)が50以下であると、スラリー状原料をキャリアフィルムに塗工した際に、フィルムの視認性が不十分となり、グリーンシートからキャリアフィルムを剥離した際に部分的な剥離残しが生じても気づきにくく、フェライトシートやセラミックシートの異物や欠点の原因となる場合があり、85°光沢度(Gb85°)が90を超えた値の場合は粒子や顔料が多く、加熱時の脆化や延伸時の破断が起こりやすくなる場合がある。
本発明のキャリアフィルムでは剥離時の視認性の観点から前記樹脂層表面で測定した85°光沢度(Gb85°)が65以上80以下がより好ましい。
本発明のキャリアフィルムの樹脂層表面で測定した85°光沢度(Gb85°)を50以上90以下とする方法は、白色顔料を所定量フィルムに含有させる方法が挙げられる。白色顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナなどが挙げられ、中でも酸化チタンが好ましい。白色顔料として酸化チタンを含む場合、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタンのいずれを含んでもよい。これらの白色顔料の中でも、製造時のスリット性の観点からは、アナターゼ型酸化チタンが好ましい。本発明のキャリアフィルムとして例えばアナターゼ酸化チタンを用いる場合、L値を70以上とするためには、フィルム厚みによって異なるものの、フィルム全体に対して5質量%以上40質量%以下含む態様が好ましく、より好ましくは7質量%以上35質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下、特に好ましくは、15質量%以上25質量%以下含む態様である。フィルム全体に対して白色顔料が5質量%未満含まれると、L値が70未満となる場合がある。また、フィルム全体に対して白色顔料が40質量%を超えて含まれると、白色顔料が起点となってフィルムを構成するマトリックスの結晶化が過度に進行し、加熱後の脆化や延伸時に破断して良品位のキャリアフィルムが得られない場合がある。
本発明のキャリアフィルムは、厚みが10〜60μmであることが好ましい。厚みが10μm未満であると、加工時の取り扱い性が困難になったり、製膜性が不十分となる場合がある。また、厚みが60μmを超えると、フィルムの搬送性が悪化したりする場合がある。本発明のキャリアフィルムは、取り扱い性、搬送性の観点から、16〜50μmが好ましく、18〜40μmがより好ましく、20〜30μmが特に好ましい
本発明のキャリアフィルムの厚みを10〜60μmとするための方法としては、ポリマーの吐出量、キャストドラム速度、延伸倍率などの製造条件を調整する方法が挙げられる。
本発明のキャリアフィルムの厚みを10〜60μmとするための方法としては、ポリマーの吐出量、キャストドラム速度、延伸倍率などの製造条件を調整する方法が挙げられる。
本発明のキャリアフィルムは、スラリー状原料をシート化する際に、スラリー塗布欠点や焼成工程での焼付きを防止したり、シートの透磁性やレーザー打ち抜き性を良好としたり、搬送性や取扱いに優れることから、スラリー状の原料を塗工して、シート化する工程用途などに好ましく用いられる。
本発明のキャリアフィルムは、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に含有させてもよい。
本発明のキャリアフィルムは、グリーンシートを積層した状態でも搬送性や取扱い性、打ち抜き加工性が良好なことから、キャリアフィルムの樹脂層面側にグリーンシートが積層された、キャリアフィルム/グリーンシート積層体として好適に用いられる。なお、本発明のキャリアフィルムが樹脂層/基材層/樹脂層のような、両表層に樹脂層が配置された構造の場合は、いずれか片方の樹脂層にグリーンシートを積層したキャリアフィルム/グリーンシート構成体の構成が好ましい。また、厚み方向に回路を形成させるため、少なくともグリーンシート側に貫通孔が形成されている、キャリアフィルム/グリーンシート積層体として好適に用いられる。
本発明のキャリアフィルムは、スラリーの塗工欠点によるピンホールを抑制でき、さらにグリーンシートを積層して焼成するプロセスでの焼付き防止性、打ち抜き加工性が良好なことから、無線給電、RFID向けフェライトシート、セラミックシートや、厚み方向に回路構造を形成させて製造するインダクタ、セラミックパッケージなどの電子部品の製造用途として好適に用いられる。
次に、本発明のキャリアフィルムの好ましい製造方法を以下に説明するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
キャリアフィルムを構成する各層のポリマーをベント式二軸押出機に供給し溶融押出する。この際、押出機内を流通窒素雰囲気下で、酸素濃度を0.7体積%以下とし、樹脂温度は265℃〜295℃に制御することが好ましい。また、2種類以上の異なる層を積層させる場合はそれぞれ別々のベント式二軸押出機に供給して溶融押出した後、フィードブロック、マルチマニホールドなどの装置を使用して各溶融押出ポリマーを合流させて積層状態にする。
ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャストドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャストドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャストドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。キャストドラムの表面温度は、隠蔽性と高温での加工適性、延伸性の両立の観点から、15℃以下が好ましい。
本発明のキャリアフィルムは、高温での加工適性、厚みムラの抑制などの観点から、二軸配向フィルムとすることが好ましい。二軸配向フィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、長手方向に、好ましくは、2.8倍以上3.5倍以下、さらに好ましくは3倍以上3.3倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また長手方向の延伸温度は、95℃以上130℃以下が好ましく、延伸前に85℃で1秒以上予熱することが好ましい。
隠蔽性と高温での加工適性を両立させるため、高濃度の白色顔料を含む高結晶性の未延伸フィルムを延伸する場合は、その後の横延伸時の破断を抑制させるため、一度に所望の倍率まで延伸せずに、2段階以上で低倍率の延伸を繰り返して延伸時の配向結晶化を抑制する方法が好ましく用いられる。低倍率の延伸において、一度の延伸倍率は、3倍以下が好ましく、2倍以下がより好ましく、1.8倍以下がさらに好ましく、特に好ましくは1.5倍以下である。また、縦延伸トータルでの延伸倍率は2.5倍以上が好ましく、2.7倍以上がより好ましく、3倍以上が特に好ましい。
また、キャリアフィルムの樹脂層側の粗大欠点を抑制し、最大高さSRz及び中心面平均粗さSRa、最大高さSRzの変動係数、中心面平均粗さSRaの変動係数を所定の範囲にしやすくする観点から、長手方向に延伸する一軸目の延伸の際に、延伸用金属ロール(延伸倍率に相当する周速比で回転しているロール)とともにフィルムを挟み込む位置に弾性金属ロールを配置し、フィルムを金属ロールと弾性金属ロールで挟み込ませることが好ましい。
幅方向の延伸倍率としては、好ましくは2.8倍以上3.5倍以下、さらに好ましくは、3倍以上3.5倍以下で、長手方向の延伸倍率にそろえることが好ましい。幅方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また、85℃の熱収縮率を抑制させるため、延伸前半温度を100℃以上120℃以下、延伸中盤温度を105℃以上130℃以下、さらに延伸後半温度を110℃以上150℃以下とし、延伸前に85℃で1秒以上予熱することが好ましい。
その後、必要に応じて2回目の縦延伸を行ってもよい。2回目の縦延伸を行う場合の延伸倍率は、1倍以上2倍以下が好ましく、1.2倍以上1.6倍以下がより好ましい。また、延伸温度は、140℃以上160℃以下が好ましい。
幅方向の延伸倍率としては、好ましくは2.8倍以上3.5倍以下、さらに好ましくは、3倍以上3.5倍以下で、長手方向の延伸倍率にそろえることが好ましい。幅方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また、85℃の熱収縮率を抑制させるため、延伸前半温度を100℃以上120℃以下、延伸中盤温度を105℃以上130℃以下、さらに延伸後半温度を110℃以上150℃以下とし、延伸前に85℃で1秒以上予熱することが好ましい。
その後、必要に応じて2回目の縦延伸を行ってもよい。2回目の縦延伸を行う場合の延伸倍率は、1倍以上2倍以下が好ましく、1.2倍以上1.6倍以下がより好ましい。また、延伸温度は、140℃以上160℃以下が好ましい。
さらに、二軸延伸、あるいは2回目の縦延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は120℃以上ポリエステルの結晶融解ピーク温度以下の温度で行われるが、好ましくは190℃以上が好ましい。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うのがよい。
さらに、印刷層や粘着層などとの接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を行ったり、易接着層をコーティングさせることもできる。コーティング層をフィルム製造工程内で設ける方法としては、少なくとも一軸延伸を行ったフィルム上にコーティング層組成物を水に分散させたものをメタリングリングバーやグラビアロールなどを用いて均一に塗布し、延伸を施しながら塗剤を乾燥させる方法が好ましく、その際、易接着層厚みとしては0.01μm以上1μm以下とすることが好ましい。また、易接着層中に各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料、染料、有機または無機粒子、帯電防止剤、核剤などを添加してもよい。易接着層に好ましく用いられる樹脂としては、接着性、取扱い性の点からアクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。さらに、140〜200℃条件下でオフアニールすることも好ましく用いられる。
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)ポリマーの組成
公知のポリマー組成分析手法(FT−IR、NMRなど)によりキャリアフィルムの各層の組成を求めた。各層のうちポリエステルが含まれている場合においては、各層を積層厚みに応じて削りとった後、ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、1H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
公知のポリマー組成分析手法(FT−IR、NMRなど)によりキャリアフィルムの各層の組成を求めた。各層のうちポリエステルが含まれている場合においては、各層を積層厚みに応じて削りとった後、ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、1H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
(2)中心面平均粗さSRa、最大高さSRz
フィルム面内の長手方向を方向X、方向Xに直交する方向を方向Yとして、方向Xおよび方向Yの中央部から、長さ4.0cm×幅3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、触針法の高精細微細形状測定器(3次元表面粗さ計)を用いてJIS B0601−1994に準拠して、下記条件にてキャリアフィルムの表面形態を測定した。
・測定装置 :3次元微細形状測定器((株)小坂研究所製、ET−4000A型)
・解析機器 :3次元表面粗さ解析システム(TDA−31型)
・触針 :先端半径0.5μmR、径2μm、ダイヤモンド製
・針圧 :100μN
・測定方向 :切り出したサンプルの幅方向
・X測定長さ:1.0mm
・X送り速さ:0.1mm/s(測定速度)
・Y送りピッチ:5μm(測定間隔)
・Yライン数:81本(測定本数)
・Z倍率 :20倍(縦倍率)
・低域カットオフ:0.20mm
・高域カットオフ:R+Wmm(粗さカットオフ値)R+Wとはカットオフしないことを意味する。
・フィルタ方式:ガウシアン空間型
・レベリング:あり(傾斜補正)
・基準面積 :1mm2。
上記条件にて測定を行い、その後解析システムを用いて中心面平均粗さSRa、最大高さSRzを算出した。なお、測定は10回行い、10mm×10mmの範囲で、同じ位置を2回以上測定せず、毎回位置を変更して測定した。得られた10回のSRa、SRzそれぞれの測定値に対し、標準偏差と算術平均値をそれぞれ求め、標準偏差を算術平均値で除した値である変動係数(%)を求めた。また、10回のSRa、SRzそれぞれの測定値の算術平均値を中心面平均粗さSRa、最大高さSRzとして採用した。
フィルム面内の長手方向を方向X、方向Xに直交する方向を方向Yとして、方向Xおよび方向Yの中央部から、長さ4.0cm×幅3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、触針法の高精細微細形状測定器(3次元表面粗さ計)を用いてJIS B0601−1994に準拠して、下記条件にてキャリアフィルムの表面形態を測定した。
・測定装置 :3次元微細形状測定器((株)小坂研究所製、ET−4000A型)
・解析機器 :3次元表面粗さ解析システム(TDA−31型)
・触針 :先端半径0.5μmR、径2μm、ダイヤモンド製
・針圧 :100μN
・測定方向 :切り出したサンプルの幅方向
・X測定長さ:1.0mm
・X送り速さ:0.1mm/s(測定速度)
・Y送りピッチ:5μm(測定間隔)
・Yライン数:81本(測定本数)
・Z倍率 :20倍(縦倍率)
・低域カットオフ:0.20mm
・高域カットオフ:R+Wmm(粗さカットオフ値)R+Wとはカットオフしないことを意味する。
・フィルタ方式:ガウシアン空間型
・レベリング:あり(傾斜補正)
・基準面積 :1mm2。
上記条件にて測定を行い、その後解析システムを用いて中心面平均粗さSRa、最大高さSRzを算出した。なお、測定は10回行い、10mm×10mmの範囲で、同じ位置を2回以上測定せず、毎回位置を変更して測定した。得られた10回のSRa、SRzそれぞれの測定値に対し、標準偏差と算術平均値をそれぞれ求め、標準偏差を算術平均値で除した値である変動係数(%)を求めた。また、10回のSRa、SRzそれぞれの測定値の算術平均値を中心面平均粗さSRa、最大高さSRzとして採用した。
(3)平均粒子径、粒子濃度
フィルムの表面から熱可塑性樹脂をプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させた。処理条件は、熱可塑性樹脂は灰化されるが、粒子はダメージを受けない条件を選択した。これを走査型電子顕微鏡((株)日立研究所製、S−2100A型)で観察し、粒子の画像をイメージアナライザーで処理した。観察箇所を変えて、粒子数1000個以上で、次の式による数値処理によって求めた算術平均値Dを平均粒子径とした。式のDiは粒子のヘイウッド径(投影面積円相当径)、Nは粒子数である。積層構成の場合は、各層それぞれについて平均粒子径を求めた。
フィルムの表面から熱可塑性樹脂をプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させた。処理条件は、熱可塑性樹脂は灰化されるが、粒子はダメージを受けない条件を選択した。これを走査型電子顕微鏡((株)日立研究所製、S−2100A型)で観察し、粒子の画像をイメージアナライザーで処理した。観察箇所を変えて、粒子数1000個以上で、次の式による数値処理によって求めた算術平均値Dを平均粒子径とした。式のDiは粒子のヘイウッド径(投影面積円相当径)、Nは粒子数である。積層構成の場合は、各層それぞれについて平均粒子径を求めた。
D=ΣDi/N・・・・・(式)
(4)ハンター表色系におけるL値
カラーメーター(スガ試験機(株)製、SM−T型)を用いて、JIS P812213−1961に従ってハンター方式での透過モードで測定した値を測定した。片側の最表面を光の入射面として5回、その反対面を光の入射面として5回、両面合計10回測定した。合計10回の測定値の平均を求め、これを当該フィルムの色調L値とした。
(4)ハンター表色系におけるL値
カラーメーター(スガ試験機(株)製、SM−T型)を用いて、JIS P812213−1961に従ってハンター方式での透過モードで測定した値を測定した。片側の最表面を光の入射面として5回、その反対面を光の入射面として5回、両面合計10回測定した。合計10回の測定値の平均を求め、これを当該フィルムの色調L値とした。
(5)熱処理後の破断強度
A4サイズのフィルムを、2枚のA4サイズの金属枠(4辺それぞれ20mmずつ残し、中心を切り抜いた形状)で挟みこんで金属クリップで固定し、130℃に設定した熱風オーブンに1分間投入したものを熱処理後のフィルムとした。熱処理後のフィルム面内の任意の一方向を方向X、方向Xに直交する方向を方向Yとして、150mm×10mm(方向X×方向Y)の矩形に切り出して試験片サンプルを作製した後、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ引張試験を行った。サンプルが破断する直前のフィルムにかかっていた荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(フィルム厚み×10mm)で除した値を破断強度とした。なお、測定は各サンプル、各方向に5回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
A4サイズのフィルムを、2枚のA4サイズの金属枠(4辺それぞれ20mmずつ残し、中心を切り抜いた形状)で挟みこんで金属クリップで固定し、130℃に設定した熱風オーブンに1分間投入したものを熱処理後のフィルムとした。熱処理後のフィルム面内の任意の一方向を方向X、方向Xに直交する方向を方向Yとして、150mm×10mm(方向X×方向Y)の矩形に切り出して試験片サンプルを作製した後、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ引張試験を行った。サンプルが破断する直前のフィルムにかかっていた荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(フィルム厚み×10mm)で除した値を破断強度とした。なお、測定は各サンプル、各方向に5回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
(6)熱処理後の引裂き強度
A4サイズのフィルムを、2枚のA4サイズの金属枠(4辺それぞれ20mmずつ残し、中心を切り抜いた形状)で挟みこんで金属クリップで固定し、130℃に設定した熱風オーブンに1分間投入したものを熱処理後のフィルムとした。熱処理後のフィルム面内の任意の一方向を方向X、方向Xに直交する方向を方向Yとして、フィルムを幅50mm×長さ64mmに切り出し、幅中央位置の端部から長さ方向に13mmの切れ込みを入れ、試験片サンプルを作成した。このサンプルを軽荷重式引き裂き試験機(東洋精機(株)製)を用いて、JIS K−7128−2−1998に従って測定した。幅中央位置の長さ方向の残り51mmを引き裂いたときの強度を読み取り、引裂き強度とした。なお、測定は各サンプル、各方向に5回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
A4サイズのフィルムを、2枚のA4サイズの金属枠(4辺それぞれ20mmずつ残し、中心を切り抜いた形状)で挟みこんで金属クリップで固定し、130℃に設定した熱風オーブンに1分間投入したものを熱処理後のフィルムとした。熱処理後のフィルム面内の任意の一方向を方向X、方向Xに直交する方向を方向Yとして、フィルムを幅50mm×長さ64mmに切り出し、幅中央位置の端部から長さ方向に13mmの切れ込みを入れ、試験片サンプルを作成した。このサンプルを軽荷重式引き裂き試験機(東洋精機(株)製)を用いて、JIS K−7128−2−1998に従って測定した。幅中央位置の長さ方向の残り51mmを引き裂いたときの強度を読み取り、引裂き強度とした。なお、測定は各サンプル、各方向に5回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
(7)光沢度
フィルムの樹脂層側表面をデジタル変角光沢計(スガ試験機(株)製、UGV−5B型)を用い、入射角85°、受光角85°(85°光沢度)で、JIS Z8741に準じて測定した。サンプルは50mm角に切り出し、樹脂層側から光を入射して行った。測定は、まず任意の測定位置において行い、該測定位置を中心に30°刻みでシートを360°回転させ、それぞれの方向において測定し、得られた全ての方向の測定値の平均をGbとする。また、面内における最大値をGbmax、最小値をGbminとした。フィルムの両表層に樹脂層を有する場合は、フィルム両面について、測定を行った。
フィルムの樹脂層側表面をデジタル変角光沢計(スガ試験機(株)製、UGV−5B型)を用い、入射角85°、受光角85°(85°光沢度)で、JIS Z8741に準じて測定した。サンプルは50mm角に切り出し、樹脂層側から光を入射して行った。測定は、まず任意の測定位置において行い、該測定位置を中心に30°刻みでシートを360°回転させ、それぞれの方向において測定し、得られた全ての方向の測定値の平均をGbとする。また、面内における最大値をGbmax、最小値をGbminとした。フィルムの両表層に樹脂層を有する場合は、フィルム両面について、測定を行った。
(8)フィルム厚み
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出した。該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製、TEM H7100型)で5000倍の倍率で観察し、フィルム厚みを求めた。
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出した。該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製、TEM H7100型)で5000倍の倍率で観察し、フィルム厚みを求めた。
(9)スラリー塗工性
軟磁性フェライト粉末(平均粒子径0.7μm)100部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製「エスレック BM−S」)30部、可塑剤(フタール酸ジオクチル)5部、トルエン/エタノール混合溶媒(混合比率:6:4)200部よりなるフェライトスラリーをフィルム樹脂層上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、乾燥条件は100℃×5分とし、フィルム上にスラリー乾燥膜(フェライト系スラリーを乾燥して得られた層)を作製した。A4サイズのフィルムの長手方向および幅方向の中央部から、長手10×幅10cmの寸法において、フェライトスラリーを樹脂層上に塗工した状態を観察し、下記判定基準で評価した。ここで、塗工ムラとはスラリー塗工直後のスジ等の発生や乾燥後にフィルムから剥離したスラリー乾燥膜において、長手方向および幅方向に任意で5点ずつ測定したスラリー乾燥膜厚みの最大厚みと最小厚みの差が1.5μm以上であることを示す。また、スラリー乾燥膜の厚みは(8)フィルム厚みの測定方法と同様にして測定した。また、ピンホールとは、塗工の抜け等により発生した針先状の微少な穴のことであり、ここでは、フィルム側から蛍光灯を照らして、塗工したすべてのスラリー乾燥膜を目視で検査し、穴の有無を判断し、下記基準にて△以上を合格とした。
○:塗工ムラがなく、ピンホールも発生なし
△:塗工ムラは発生するが、ピンホールの発生なし
×:塗工ムラ、ピンホールの発生あり。
軟磁性フェライト粉末(平均粒子径0.7μm)100部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製「エスレック BM−S」)30部、可塑剤(フタール酸ジオクチル)5部、トルエン/エタノール混合溶媒(混合比率:6:4)200部よりなるフェライトスラリーをフィルム樹脂層上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、乾燥条件は100℃×5分とし、フィルム上にスラリー乾燥膜(フェライト系スラリーを乾燥して得られた層)を作製した。A4サイズのフィルムの長手方向および幅方向の中央部から、長手10×幅10cmの寸法において、フェライトスラリーを樹脂層上に塗工した状態を観察し、下記判定基準で評価した。ここで、塗工ムラとはスラリー塗工直後のスジ等の発生や乾燥後にフィルムから剥離したスラリー乾燥膜において、長手方向および幅方向に任意で5点ずつ測定したスラリー乾燥膜厚みの最大厚みと最小厚みの差が1.5μm以上であることを示す。また、スラリー乾燥膜の厚みは(8)フィルム厚みの測定方法と同様にして測定した。また、ピンホールとは、塗工の抜け等により発生した針先状の微少な穴のことであり、ここでは、フィルム側から蛍光灯を照らして、塗工したすべてのスラリー乾燥膜を目視で検査し、穴の有無を判断し、下記基準にて△以上を合格とした。
○:塗工ムラがなく、ピンホールも発生なし
△:塗工ムラは発生するが、ピンホールの発生なし
×:塗工ムラ、ピンホールの発生あり。
(10)焼きつき防止性
(9)項で得られたスラリー乾燥膜の長手方向および幅方向の中央部から、長手10cm×幅10cmの形状にスリットを入れた後、真空吸着機でスラリー乾燥膜を吸引して、フィルムから剥離し、スラリー乾燥膜のみを10枚重ねて1000℃×6時間の焼成処理を行い、焼成シートを得た。得られた焼成シートを10枚の焼成シート間で剥離し、下記判定基準にて評価し、△以上を合格とした。
◎:割れた焼成シートの枚数が0枚。
○:割れた焼成シートの枚数が1枚以上2枚以下。
(9)項で得られたスラリー乾燥膜の長手方向および幅方向の中央部から、長手10cm×幅10cmの形状にスリットを入れた後、真空吸着機でスラリー乾燥膜を吸引して、フィルムから剥離し、スラリー乾燥膜のみを10枚重ねて1000℃×6時間の焼成処理を行い、焼成シートを得た。得られた焼成シートを10枚の焼成シート間で剥離し、下記判定基準にて評価し、△以上を合格とした。
◎:割れた焼成シートの枚数が0枚。
○:割れた焼成シートの枚数が1枚以上2枚以下。
△: 割れた焼成シートの枚数が3枚以上5枚以下。
×:割れた焼成シートの枚数が6枚以上。
(11)耐カール性
(9)と同様にして得られた、長手10×幅10cmのキャリアフィルム/スラリー乾燥膜について、四隅が浮くような向きで水平面に設置し、フィルムの端面の四隅(4箇所)の水平面からの平均高さを測定し、以下の基準で評価した。
○:1mm未満。
(9)と同様にして得られた、長手10×幅10cmのキャリアフィルム/スラリー乾燥膜について、四隅が浮くような向きで水平面に設置し、フィルムの端面の四隅(4箇所)の水平面からの平均高さを測定し、以下の基準で評価した。
○:1mm未満。
△:1mm以上5mm未満。
×:5mm以上、もしくは筒状にカールした状態。
製膜に供したポリマーは以下のように準備した。
製膜に供したポリマーは以下のように準備した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)。
(白色顔料マスターB)
ポリエステルA中に数平均粒子径1μmのアナターゼ型酸化チタン粒子を粒子濃度50質量%で含有したポリエチレンテレフタレート白色顔料マスター(固有粘度0.65)。
ポリエステルA中に数平均粒子径1μmのアナターゼ型酸化チタン粒子を粒子濃度50質量%で含有したポリエチレンテレフタレート白色顔料マスター(固有粘度0.65)。
(粒子マスターC)
ポリエステルA中に数平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
ポリエステルA中に数平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
(粒子マスターD)
ポリエステルA中に数平均粒子径0.7μmの炭酸カルシウム粒子を粒子濃度2質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有濃度0.65)。
ポリエステルA中に数平均粒子径0.7μmの炭酸カルシウム粒子を粒子濃度2質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有濃度0.65)。
(実施例1)
組成を表の通りとして、原料をそれぞれ酸素濃度を0.2体積%とした別々のベント同方向二軸押出機に供給し、樹脂層押出機シリンダー温度を280℃、基材層押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、フィードブロック内で樹脂層/基材層2層構成になるよう合流させ、合流後の短管温度を275℃、口金温度を280℃で、Tダイより10℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ、キャストドラム上のポリマーに吹きつけながら未延伸シートを得た。次いで、長手方向への予熱温度85℃で1.5秒間予熱を行い、延伸温度115℃で長手方向に3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。なお、長手方向に延伸する際に、延伸用金属ロール(延伸倍率に相当する周速比で回転しているロール)と弾性金属ロールでフィルムを挟み込みながら延伸を行った。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度85℃で1.5秒予熱を行い、延伸前半温度115℃、延伸中盤温度135℃、延伸後半温度145℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて、熱処理温度210℃で、幅方向に5%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、樹脂層厚み3μm、基材層の厚み17μm、フィルム厚み20μmのキャリアフィルムを得た。
組成を表の通りとして、原料をそれぞれ酸素濃度を0.2体積%とした別々のベント同方向二軸押出機に供給し、樹脂層押出機シリンダー温度を280℃、基材層押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、フィードブロック内で樹脂層/基材層2層構成になるよう合流させ、合流後の短管温度を275℃、口金温度を280℃で、Tダイより10℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ、キャストドラム上のポリマーに吹きつけながら未延伸シートを得た。次いで、長手方向への予熱温度85℃で1.5秒間予熱を行い、延伸温度115℃で長手方向に3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。なお、長手方向に延伸する際に、延伸用金属ロール(延伸倍率に相当する周速比で回転しているロール)と弾性金属ロールでフィルムを挟み込みながら延伸を行った。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度85℃で1.5秒予熱を行い、延伸前半温度115℃、延伸中盤温度135℃、延伸後半温度145℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて、熱処理温度210℃で、幅方向に5%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、樹脂層厚み3μm、基材層の厚み17μm、フィルム厚み20μmのキャリアフィルムを得た。
(実施例2〜5、比較例1〜2)
組成を表の通りとした以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み20μmのキャリアフィルムを得た。
組成を表の通りとした以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み20μmのキャリアフィルムを得た。
(実施例7〜9、比較例3〜4)
厚みを表の通りとした以外は実施例1と同様にして、キャリアフィルムを得た。
厚みを表の通りとした以外は実施例1と同様にして、キャリアフィルムを得た。
(比較例5)
弾性金属ロールをシリコーンゴムロールに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャリアフィルムを得た。
弾性金属ロールをシリコーンゴムロールに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャリアフィルムを得た。
(実施例10〜13)
組成を表の通りとして、溶融した原料をフィードブロック内で樹脂層/基材層/樹脂層の3層構成になるよう合流させた以外は実施例1と同様にして、キャリアフィルムを得た。
組成を表の通りとして、溶融した原料をフィードブロック内で樹脂層/基材層/樹脂層の3層構成になるよう合流させた以外は実施例1と同様にして、キャリアフィルムを得た。
本発明はスラリー状原料をシート化する際のキャリアフィルム用途に適して用いられるシート成形用キャリアフィルムに関するものであり、スラリー状原料をシート化する際に、塗工性や打ち抜き性を良好としたり、焼成工程でのグリーンシート同士の剥離性を良好としたりすることから、キャリアフィルム上にスラリー状原料を塗工してシート化する際のキャリアフィルム用途に好ましく用いられる。
Claims (10)
- 基材層の少なくとも片面に無機粒子および/または有機粒子を含む樹脂層が積層された積層フィルムであって、前記樹脂層が少なくとも一方の表層にあり、前記樹脂層表面側の10mm×10mm範囲において、最大高さSRzが400nm以上2000nm以下、最大高さSRzの変動係数が0%以上10%以下であり、かつ、中心面平均粗さSRaが25nm以上250nm以下、中心面平均粗さSRaの変動係数が0%以上10%以下であるシート成形用キャリアフィルム(ここで、変動係数とは、10回測定した値の標準偏差を平均値で除した値を示す)。
- ハンター表色系における色調L値が70以上95以下である請求項1に記載のシート成形用キャリアフィルム。
- フィルム面内の長手方向を方向X、方向Xと直交する方向を方向Yとした場合に、フィルムを130℃で1分熱処理を行った後の方向X、方向Yのいずれにおいても破断強度が100MPa以上300MPa以下であり、方向Xと方向Yの破断強度の差の絶対値が50MPa以下である請求項1または2に記載のシート成形用キャリアフィルム。
- フィルムを130℃で1分熱処理を行った後の前記方向X、前記方向Yのいずれにおいても引裂き強度が20mN以上150mN以下であり、方向Xと方向Yの引裂き強度の差の絶対値が10mN以下である請求項1〜3のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルム。
- 前記樹脂層表面で測定した85°光沢度(Gb85°)が50以上90以下である請求項1〜4のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルム。
- 厚みが10μm以上60μm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルム。
- スラリー状原料をシート化する際の工程用途に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のシート成形用キャリアフィルムの樹脂層面側にグリーンシートが積層された、キャリアフィルム/グリーンシート積層体。
- 少なくともグリーンシート側に貫通孔が形成されている、請求項8に記載のキャリアフィルム/グリーンシート積層体。
- フェライトシート、セラミックシート、インダクタ、およびセラミックパッケージの製造に用いられる、請求項1〜9に記載のシート成形用キャリアフィルムまたはキャリアフィルム/グリーンシート積層体。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017046977 | 2017-03-13 | ||
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020100139A (ja) * | 2018-12-20 | 2020-07-02 | 株式会社日本触媒 | セラミックシート及びその製造方法 |
JP7512784B2 (ja) | 2020-09-15 | 2024-07-09 | 東レ株式会社 | 二軸延伸ポリエステルフィルム |
-
2018
- 2018-03-08 JP JP2018041456A patent/JP2018149809A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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