JP6948516B2 - 食器処理機 - Google Patents

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Description

本発明は、食器等の被処理物が自動で食器かごに配置される構成の食器洗い機および食器乾燥機等の食器処理機に関する。
従来の食器処理機として、例えば、特許文献1に記載された食器洗浄乾燥機がある。この従来の食器洗浄乾燥機は、食器洗浄乾燥機の食器かごに使用者自らが食器類を配置し、食器洗浄乾燥機が食器類の洗浄、乾燥を行う構成となっていた。
特開2016−168204号公報
しかしながら、前記従来の構成では、被処理物である食器類の種類によって配置できる食器かご上の位置がほぼ決まっている。このため、使用者が食器類を配置する順番や場所を考えながら食器類を食器かごにセットする必要があり、使用者に手間を取らせるとともに、食器類のセットに長時間を要していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、使用者が食器等の被処理物をセットする順番や場所を考えなくても、被処理物の形状、数量、材質、種類、色、被処理物に付着した付着物等に応じた最適な処理が行える食器処理機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の食器処理機は、処理槽と、前記処理槽を開閉自在に覆う扉体と、前記処理槽の内部に設けられ被処理物が置かれる載置部と、前記処理槽の内部に設けられ被処理物が配置される食器かごと、前記被処理物を少なくとも洗浄または乾燥する処理部と、前記処理槽の内部または前記処理槽外部の収納部に設けられ前記被処理物を移送する移送装置と、前記移送装置を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記扉体を閉じた状態で前記移送装置により前記被処理物を前記載置部から前記食器かごに自動で配置するように構成されたものである。
これによって、食器等の被処理物が自動で移送装置により移送され、食器かごに配置されるため、使用者が被処理物を配置する順番や場所を考えなくても、被処理物の形状、数量、材質、種類、色、被処理物に付着した付着物等に応じた最適な処理が行える食器処理機を提供することができる。
本発明の食器処理機は、使用者が食器等の被処理物をセットする順番や場所を考えなくても、被処理物の形状、数量、材質、種類、色、被処理物に付着した付着物等に応じた最適な処理が行える食器処理機を提供することができる。
本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の斜視図 本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の側断面図 本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が閉じられた状態の側断面図 本発明の実施の形態1における食器洗い機の移送装置が被洗浄物を把持するときの移送装置の位置について示された側断面図 本発明の実施の形態1における食器洗い機の移送装置が被洗浄物を配置するときの移送装置の位置について示された側断面図 本発明の実施の形態1における食器洗い機の洗浄工程における洗浄水の流れが示された側断面図 本発明の実施の形態2における食器洗い機の扉体が閉じられた状態の側断面図 本発明の実施の形態3における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の斜視図
第1の発明の食器処理機は、処理槽と、前記処理槽の内部に設けられ被処理物が配置される食器かごと、前記被処理物を少なくとも洗浄または乾燥する処理部と、前記被処理物を移送する移送装置と、前記移送装置を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記移送装置により前記被処理物を前記食器かごに自動で配置するように構成されたものである。
この構成によって、被処理物が自動で移送装置により移送され、食器かごの最適な位置に配置されるため、使用者が被処理物を配置する順番や場所を考えなくても、被処理物の形状、数量、材質、種類、色、被処理物に付着した付着物等に応じた最適な処理が行える食器処理機を提供することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記被処理物を認識する認識部が設けられ、前記制御部は、前記認識部により前記被処理物の位置、形状、数量、材質、種類、色、前記被処理物に付着した付着物の少なくとも1つを自動で認識するように構成されたものである。この構成によって、制御部は、移送装置が処理槽、載置部等に当たらない最適な被処理物への移送装置の近付け方、確実かつ最適な被処理物の把持の仕方、移送装置および把持された被処理物が他の被処理物、処理槽、載置部等に当たらない被処理物の食器かごへの最適な配置の仕方を見いだし、移送装置に実行させることができる。
第3の発明は、特に、第2の発明において、前記認識部は、前記移送装置に配設されたものである。この構成によって、移送装置が移動したときに同時に認識部も移動させ、被処理物をより近くで正確に認識させることができる。これにより、被処理物の位置、形状、数量、材質、種類、色、被処理物に付着した付着物の認識をより確実に行うことができる。
第4の発明は、特に、第2または第3の発明において、前記認識部は、前記処理槽の内部に配設されたものである。この構成によって、処理槽の内部の様子を常にモニタリングすることができ、被処理物が載置されたり、取り出されたりしたことを容易に認識することができる。
第5の発明は、特に、第2〜第4のいずれか1つの発明において、前記認識部は、前記処理槽の外部に固定するように配設されたものである。この構成によって、処理槽の内部を認識しながら、洗浄中に認識部が洗浄水により濡れて故障することを防ぐことができる。
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記制御部は、前記被処理物が事前に置かれている載置部を認識し、前記移送装置により前記被処理物を前記
載置部から搬送して前記食器かごに自動で配置するように構成されたものである。この構成によって、使用者は載置部に被処理物を置くだけで、移送装置により被処理物が食器かごに自動で最適な位置に配置される。これにより、使用者が被処理物を配置する順番や場所を考えなくても、被処理物の形状、数量、材質、種類、色、被処理物に付着した付着物等に応じた最適な処理が行える食器処理機を提供することができる。
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、前記移送装置は、前記処理槽の内部に設けられたものである。この構成によって、食器処理機の外形寸法をコンパクトに構成することができる。
第8の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、前記移送装置は、前記処理槽の外部に設けられたものである。この構成によって、洗浄中に移送装置が洗浄水により濡れて故障することを防ぐことができる。
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明において、前記処理槽の開口部を開閉自在に覆う扉体と、前記扉体の開閉状態を検知する開閉検知部が設けられ、前記制御部は、前記開閉検知部により前記扉体が開いたことを検知したとき、前記移送装置を停止させるように構成されたものである。この構成によって、使用者が扉体を開けたときに、動作している移送装置に触れることを防ぐことができる。
第10の発明は、特に、第1〜第9のいずれか1つの発明において、前記扉体を開く、もしくは前記扉体を閉じる、の少なくともいずれか一方の機能を有する開閉装置が設けられたものである。この構成によって、使用者自身が扉体の開閉を行う必要がないため、さらに使用者の手間を軽減できる。
第11の発明は、特に、第1〜第10のいずれか1つの発明において、前記扉体が開かないようにロックする扉体ロック装置が設けられたものである。この構成によって、移送装置が動作しているとき、使用者が扉体を開けることができず、使用者が移送装置に触れることを防ぐことができる。
第12の発明は、特に、第1〜第11のいずれか1つの発明において、前記移送装置の周囲の物体を認識する移送装置認識部が設けられ、前記制御部は、前記移送装置認識部により前記移送装置に物体が近付いてきたことを自動で認識し、前記移送装置を停止させるように構成されたものである。この構成によって、使用者が意図せず移送装置に近付いたり、移送経路上に障害物が存在したりしたとしても移送装置が停止する。これにより、使用者の安全を確保することができるとともに、移送装置が障害物に衝突し破損することを防ぐことができる。
第13の発明は、特に、第1〜第12のいずれか1つの発明において、前記移送装置は、圧力検知部が設けられ、前記制御部は、前記圧力検知部により前記移送装置に所定の圧力を越えて圧力が加えられたことを検知し、前記移送装置を停止させるように構成されたものである。この構成によって、使用者が移送装置に触れたとしても、その圧力を検知して移送装置が停止し、使用者の安全を確保することができる。
第14の発明は、特に、第1〜第13のいずれか1つの発明において、前記移送装置は、周方向に回転自在に形成された複数のアームを、回転自在な関節部で連結して構成されたものである。この構成によって、制御部は、移送装置の姿勢を多様に変化させて制御することができる。これにより、被処理物が自動で移送装置により移送され、食器かごの最適な位置に配置される際に、移送装置が他の被処理物や処理槽、載置部に当たらないようにして、移送装置を移動させることができる。
第15の発明は、特に、第1〜第14のいずれか1つの発明において、前記移送装置は、先端部に、前記被処理物を把持および把持解除可能に構成された把持部を備えたものである。この構成によって、移送装置は、載置部に載置された被処理物を確実に把持し、食器かごまで被処理物を落とすことなく移送し、食器かごの最適な位置において確実に把持解除し、配置することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。例えば、本発明の食器処理機は、食器洗い機と食器乾燥機を含み、実施の形態は食器洗い機で説明するが、食器乾燥機においても同様である。食器乾燥機は、手洗いにて洗浄した食器等の被処理物を処理槽に収容して乾燥させるものが対象となる。また、引き出し式のビルトイン型食器洗い機で説明するが、特にこれに限定されるものではなく、フロントオープン式のビルトイン型食器洗い機および卓上型の食器洗い機等も含まれる。
なお、食器洗い機において、処理は洗浄を意味し、処理槽は洗浄槽に該当し、処理部は洗浄ノズル等の洗浄部に該当する。また、食器乾燥機において、処理は乾燥を意味し、処理槽は乾燥室に該当し、処理部はヒータ等の乾燥部に該当する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の斜視図である。
図1に示されるように、食器洗い機1は、前面開口部2を有した洗浄槽3と、洗浄槽3の前面開口部2を開閉自在に覆い前後に移動可能な扉体4と、洗浄槽3と扉体4とで形成された洗浄空間5と、洗浄空間5内に収納され、被洗浄物6を洗浄可能な状態に載置し、前後に移動可能で金属製の線材で構成された食器かご7と、食器かご7と同様に前後に移動可能で金属製の線材で構成され、使用者が被洗浄物6を載置する載置部8を備え、システムキッチン11内にビルトインされている。
扉体4の上面には、操作部9が設けられている。使用者は、操作部9のボタンを押すことにより、電源の入り切り、スタート、一時停止、洗浄および乾燥のコースや条件の切り替えが行える。
なお、本実施の形態においては、洗浄槽3の前面開口部2側を前方とし、この前方より後方に向かって右側を右方とし、前方より後方に向かって左側を左方として、以下の説明を行う。
また、本実施の形態においては、1つの食器かごが設けられているが、必要とされる被洗浄物6の量に応じて2つ以上の食器かごが設けられてもよい。さらに、本実施の形態においては、食器かご7および載置部8は金属製の線材で構成されているが、コーティングされた金属あるいは樹脂材料が用いられてもよい。
図2は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の側断面図である。図3は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が閉じられた状態の側断面図である。
図2および図3に示されるように、被洗浄物6を洗浄する洗浄部(処理部)である洗浄ノズル10が設けられている。洗浄ノズル10は、食器かご7の下方で、食器かご7を上方から見て略中央部に導水路12と連結されて回転自在に設けられている。洗浄ノズル1
0は、洗浄水を通す中空空間を有し、食器かご7上の被洗浄物6に向けて洗浄水を噴射する複数の噴射孔10aが上面に設けられている。洗浄ノズル10は、導水路12から供給される洗浄水が噴射孔10aから噴射される際に発生する反力により回転される。
なお、本実施の形態においては、噴射孔10aは洗浄ノズル10の上面にのみ設けられているが、洗浄後、洗浄ノズル10内に洗浄水が溜まらないように下方に噴射孔10aが設けられていてもよい。
導水路12は、略水平前後方向に伸び、洗浄ノズル10の上方で下方に屈曲し、中空のパイプ形状で構成されている。導水路12は、食器かご7の下部線材7cに固定され、食器かご7とともに前後方向に移動する。導水路12が前方に移動すると、導水路12後端と洗浄槽3の奥面に固定されたパイプ形状の結合部13との結合が外れる。食器かご7および導水路12が後方に移動すると、導水路12後端が結合部13と結合し、洗浄ノズル10に洗浄水を送水することができる。
食器かご7は、洗浄ノズル10の上方で、上方から見て洗浄空間5のほぼ全体に設けられている。食器かご7は、食器かご7の左右両側面において、洗浄槽3の左右両方の内側壁3e、3fの下部に保持された左右一対の食器かごレール14により前後移動可能に支えられている。これにより、食器かご7は、洗浄槽3の前面開口部2から洗浄槽3の前方へ引き出すことができるように構成されている。
使用者が被洗浄物6を載置する載置部8が、食器かご7より上方に設けられている。載置部8は、扉体4と載置部8の前部で固定されている。載置部8は、扉体4が閉じられているとき、上方から見て洗浄槽3の左右方向のほぼ全体で奥行き方向において前方側約半分に位置するように設けられている。載置部8は、載置部8の左右両側面において、洗浄槽3の内側壁3e、3fの上部に保持された左右一対の載置部レール17により前後移動可能に支えられている。これにより、載置部8は、洗浄槽3の前面開口部2から洗浄槽3の前方へ引き出すことができるように構成されている。
なお、載置部8に被洗浄物6を保持するピン等を設けることにより、食器かごの役割をもたせて、被洗浄物6を洗浄できるようにしてもよい。また、食器かご7の一部を載置部として、被洗浄物6を置くスペースを設けてもよい。
洗浄水ポンプ18が、洗浄槽3の底面の外側下方に配置されている。洗浄水ポンプ18は、被洗浄物6を洗浄する洗浄水を洗浄ノズル10に送水する。また、洗浄水ポンプ18は逆転することにより弁を切り替え、洗浄が終わった後の洗浄槽3内の洗浄水を食器洗い機1の外部に排水する。ポンプ水路31は、洗浄槽3の内部の洗浄空間5の最下部に設けられた凹形状の排水口30と洗浄水ポンプ18とを連通する経路である。洗浄水ポンプ18から送水された洗浄水は、結合部13を経て、洗浄ノズル10に送水される。
なお、本実施の形態においては、洗浄と排水を1つのポンプで動作させているが、別々に2つの専用ポンプが用いられてもよい。
本実施の形態の食器洗い機1は、食器かご7および載置部8に載置された被洗浄物6から落下する水滴を受ける主トレイ20および補助トレイ21を備えている。主トレイ20および補助トレイ21は、扉体4とともに前方に引き出される。主トレイ20および補助トレイ21は、扉体4とともに円滑に洗浄槽3に対し出し入れできるように、洗浄槽3の左方の内側壁3eおよび右方の内側壁3fとの間に隙間を設けて配置されている。主トレイ20は、扉体4が閉じられているとき、洗浄空間5内に位置し、食器かご7下方に、食器かご7上方から見て食器かご7より左右方向に大きいサイズに構成されている。補助ト
レイ21は、主トレイ20の下方に配設されており、扉体4が閉じられているとき、洗浄空間5の外部に位置する。補助トレイ21は、扉体4が引き出されているとき、主トレイ20との間に高さ方向において、例えば5cm以上の使用者の手が入る間隔が確保されて配設されている。
主トレイ20は剛性の高い樹脂材料で形成され、後方に向かって下方に傾斜(例えば、傾斜角5度)して上方に開口している。主トレイ20の前端部は扉体4に設けられた主トレイ爪部20aと爪嵌合で着脱自在に固定されている。主トレイ20の後方に向かう下方への傾斜は、少なくとも底部の上面に形成されていればよいが、底部の下面(裏面)にも形成されていればさらによい。また、上記の主トレイ20の後方に向かう下方への傾斜は、主トレイ20前端部と扉体4との固定において、主トレイ20を後方に向かって下方に傾斜させて配置し、固定することによって構成されてもよい。なお、主トレイ20の後方に向かう下方への傾斜は、本実施の形態では一定の傾斜角としてあるが、複数の傾斜角で構成されてもよいし、徐々に連続的に変化する傾斜角で構成されてもよい。
主トレイ20後端部左右には回転自在のトレイローラー23(転動支持部)が備えられている。トレイローラー23は、洗浄槽3の左右両方の内側壁3e、3fに設けられたトレイレール24の上面を転がりながら主トレイ20を支える。扉体4が引き出されると、主トレイ20は、トレイローラー23によって支えられ、扉体4とともに引き出される。
補助トレイ21は剛性の高い樹脂材料で形成され、第1の補助トレイ21aと、第1の補助トレイ21aより下方に設けられた第2の補助トレイ21bとで構成されている。第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bはともに上方が開口している。扉体4が閉じられているときは、第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bは上下に重なったように位置している。扉体4が引き出されると、第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bは、互いに相対的に前後方向に変位しつつ扉体4とともに引き出される。
扉体4の洗浄槽3側の面(内面)には外周に沿ってシール部25が設けられている。シール部25は、シリコンゴムで中空に形成され、洗浄槽3側の面には磁力を有するゴム磁石(図示せず)が内蔵されている。シール部25に対向する洗浄槽3の洗浄槽シール面26は磁性を有する金属であるSUS430で構成されている。これによって、扉体4が引き出された状態から閉じられるとき、シール部25は洗浄槽シール面26に磁力によって引き込まれ、扉体4は洗浄槽3に対して水密性を保って閉じられる。
シール部25が洗浄槽シール面26に引き込まれた後、シール部25全面が洗浄槽シール面26と磁力で吸引されてシールされる。これにより、多少、扉体4や洗浄槽シール面26のそり等による変形や、扉体4の前倒れが起こったとしても、洗浄中のシール性を確保でき、洗浄空間5外への水漏れを防止することができる。
なお、本実施の形態においては方形状に連続してシール部25が設けられているが、一部シール部の繋がりが途切れていたりしていても、扉体4と洗浄槽3とのシールが確保できていればよい。
また、洗浄槽シール面26の材料としてSUS430が用いられているが、磁性を有する材料、例えば鉄のような材料であってもよく、洗浄槽シール面26以外の洗浄槽3の前面は樹脂等の磁性を有しない物質が用いられてもよい。さらに、シール部25は、扉体4側に設けられているが、洗浄槽3側に設けられ、対向する扉体4の面に磁性を有する材料が用いられてもよい。
また、洗浄槽シール面26は洗浄槽3の前面3aより後方に構成されている。この構成
により、洗浄槽シール面26を伝って下方に流れてくる洗浄水を受けたり、洗浄中に扉体4が引き出された場合、洗浄水ポンプ18が停止するまでの間、シール部25と洗浄槽シール面26の隙間から洗浄槽シール面26を伝って流れてくる洗浄水を受けたりすることができる。
また、洗浄槽3前方の底面には、上方に開口した受け部27が設けられている。これによって、多少の洗浄水が流れてきても溢れることなく受けることができる。さらに、下方の洗浄槽シール面26に部分的に孔部26aが設けられている。これによって、受け部27内に溜まった洗浄水を洗浄槽3内に戻すことができる。
扉体4の洗浄空間5側の内壁には、鍵形状のフック28が設けられている。このフック28に食器かご7の前部略中央の線材が係合され、扉体4と食器かご7とが連動して前後に移動可能に構成されている。また、使用者が食器かご7を外したいときには、食器かご7の前部線材を持ち上げることによりフック28から食器かご7を容易に外すことができる。また、フック28の後方には傾斜面が設けられている。これにより、扉体4を前方に引き出しているときで、フック28から食器かご7を外して洗浄槽3内に位置している状態でも、扉体4が閉じられると食器かご7の前部線材がフック28の傾斜面を上り、扉体4が閉じられた状態では食器かご7の前部線材がフック28に係合され、次回、扉体4が前方に引き出されたときには、食器かご7も同時に引き出される。
洗浄槽3の後部上方に給水弁29が配設されている。洗浄水は水道と直結された給水弁29から洗浄槽3内に給水される。
洗浄槽3の外側後部下方にファン33が設けられている。ファン33は、食器洗い機1の乾燥工程などで動作して、外気を吸い込み、送風経路34を経て送風口35から洗浄空間5内に供給する。洗浄空間5内に供給された空気は、洗浄空間5の下方に位置するヒータ36により暖められて、洗浄空間5内の被洗浄物6を乾燥させ、扉体4の上面または側壁に設けられた排気口37より排気される。排気口37は、洗浄槽3の天面または側壁に設けられていてもよい。
温度検知部38が、洗浄槽3の底面外側に密着して配設されている。温度検知部38は、洗浄槽3内の洗浄水、空気およびヒータ36の温度を間接的に検知する。
制御部40が、洗浄槽3の底面下方に設けられている。制御部40は、使用者によって操作される操作部9からの信号により、給水弁29を制御して洗浄槽3内への洗浄水の供給を制御したり、温度検知部38の出力に基づいてヒータ36を制御したりするとともに、洗浄水ポンプ18、ファン33等を制御して、洗浄、すすぎ、乾燥の一連の工程を逐次実行する。制御部40は、また、後述されるハンドカメラ103および固定カメラ104によって得られる撮影情報を解析し、その解析結果に基づいて移送装置100を制御する。
扉体4を開閉する開閉装置である扉体駆動モータ70が、洗浄槽3の前部で底面下方に設けられている。扉体4の内部には加速度センサ71が設けられている。加速度センサ71は、扉体4が閉まっているとき、使用者の手等で叩かれたときに加わった衝撃を検知し、制御部40は、加速度センサ71からの検知情報を受けて、扉体駆動モータ70を駆動させ、扉体4を前方に動作させることにより、扉体4を開ける。また、加速度センサ71は、扉体4が開いているとき、同様に衝撃を検知し、制御部40は、加速度センサ71からの検知情報を受けて、扉体駆動モータ70を駆動させ、扉体4を後方に動作させることにより、扉体4を閉じる。
扉体4の開閉を検知する開閉検知部である扉体検知スイッチ72が、洗浄槽3の底面下方前方で補助トレイ21の上方に設けられている。扉体検知スイッチ72の検知状態によって、制御部40は、扉体駆動モータ70の回転方向を制御し、扉体4の開閉を適正に行う。
なお、本実施の形態においては、扉体4の開閉動作の開始情報源として加速度センサ71が用いられているが、静電容量の変化を認識する静電センサや、音声を認識するマイク等が扉体4の開閉のトリガーとして用いられてもよい。
また、扉体駆動モータ70は、扉体4を開くおよび閉じる、の両方の機能を有しているが、扉体4を開く、もしくは扉体4を閉じる、のいずれか一方の機能を有するものであってもよい。
被洗浄物6を移送する移送装置100が、洗浄槽3の内部後方に備えられている。移送装置100の構成について説明する。
被洗浄物6を移送する移送装置100は、第1のアーム100a、第2のアーム100b、第3のアーム100cおよび第4のアーム100dと、これらの各アームを回転自在に連結する第1の関節部101a、第2の関節部101bおよび第3の関節部101cと、先端部である第4のアーム100dに設けられたハンド102、ハンドカメラ103およびハンドライト105とによって構成されている。
第1のアーム100aは、モータを内蔵し円周方向に回転自在な円筒形に形成され、一端が洗浄槽3の奥面に固定されている。第1のアーム100aの他端は、第1のアーム100aの軸方向に対して垂直方向に回転自在な第1の関節部101aに接続されている。円筒形に形成された第2のアーム100bは、一端が第1の関節部101aに接続され、他端が、第2のアーム100bの軸方向に対して垂直方向に回転自在な第2の関節部101bに接続されている。円筒形に形成された第3のアーム100cは、一端が第2の関節部101bに接続され、他端が、第3のアーム100cの軸方向に対して垂直方向に回転自在な第3の関節部101cに接続されている。
第4のアーム100dは、モータを内蔵し円周方向に回転自在な円筒形に形成され、一端が第3の関節部101cに接続されている。第4のアーム100dの他端、すなわち移送装置100の先端部には、被洗浄物6を把持および把持解除する把持部であるハンド102が備えられている。
ハンド102は、第4のアーム100dの軸方向に対して垂直方向に回転自在に設けられている。ハンド102は、上記第4のアーム100dの他端に接続された基部に、一対の把手102aが回動可能に備えられている。一対の把手102aがモータ等によって回動されることにより、ハンド102は開閉され、被洗浄物6の把持および把持解除が行われる。ハンド102には、被洗浄物6を破壊しないように所定の力で把持するためのトルクセンサ(図示せず)と、被洗浄物6が滑り出すのを検知する滑りセンサ(図示せず)が設けられている。
また、第4のアーム100dには、ハンドカメラ103およびハンドライト105が備えられている。ハンドカメラ103は、食器等の被洗浄物6を認識する認識部であり、被洗浄物6の位置、形状、材質、種類、色、被洗浄物6に付着した付着物等を認識するために必要な画像を撮影する。ハンドライト105は、ハンドカメラ103の撮影先を照らす。
洗浄槽3の内部の上面には同様に、固定カメラ104および固定ライト106が、それぞれ下方に向けて設けられている。固定カメラ104は、食器等の被洗浄物6を認識する認識部であり、洗浄槽3の内部を撮影する。固定ライト106は、固定カメラ104の撮影先を照らす。
なお、本実施の形態においては、ハンドカメラ103と固定カメラ104は画像を撮影するカメラが用いられているが、位置や形状を認識するためであれば、例えば距離を測定する近接センサ等の距離センサが用いられてもよい。また、温度を測定する赤外線センサ等が用いられてもよく、また、それらを組み合わせて用いられてもよい。
また、本実施の形態においては、ハンドカメラ103と固定カメラ104の2台のカメラが設けられたが、洗浄槽3の大きさ、形状に応じて、ハンドカメラ103のみが設けられたり、固定カメラ104のみが設けられたりしてもよく、また、複数のハンドカメラ103、複数の固定カメラ104が設けられたりしてもよい。
また、固定カメラ104は洗浄槽3の外部に設けられ、洗浄槽3に備えられた孔部から洗浄槽3の内部を撮影するように構成すれば、洗浄槽3の内部を認識しながら、洗浄中に固定カメラ104が洗浄水により濡れて故障することを防ぐことができる。また、洗浄槽3の内部を全体的に撮影するために、固定カメラ104をモータ等で首振り駆動させてもよい。
また、本実施の形態においては、ハンド102で被洗浄物6を挟み込むようにして把持する構成としたが、ポンプを用いて吸引して被洗浄物6を保持してもよい。また、被洗浄物6を把持して移送するような移送装置を用いずに、ベルトコンベアやエレベータのような別種の移送装置が用いられてもよい。
移送装置100には、洗浄水がかかっても電気部がショートしないように防水するシート状のカバー107が設けられている。また、カバー107には、移送装置100に外部から圧力が加わったときに圧力を検知する圧力センサが内蔵されている。圧力センサが、例えば人間が移送装置100に触れたことを検知すると、制御部40は、安全のために移送装置100の動作を停止させる。
洗浄中、乾燥中、および移送装置100の動作中に、使用者が扉体4を手で叩いて開けようとした場合、制御部40は、安全のために、洗浄中であれば洗浄水ポンプ18を停止させ、乾燥中であればファン33およびヒータ36を停止させる。また、移送装置100の動作中であれば、移送装置100を、洗浄槽3の内部の被洗浄物6や食器かご7等と当たらない位置まで動作させて停止させた後、扉体駆動モータ70を動作させ扉体4を開く。このとき、使用者が被洗浄物6を取出しやすくするために、移送装置100を初期位置まで戻して停止した後、扉体駆動モータ70を動作させ扉体4を開いてもよい。
洗浄槽3の底面下方前方で補助トレイ21の上方に設けられた扉体検知スイッチ72は、扉体4が閉まっていることを検知し、制御部40は、その検知情報を受けて、洗浄中に洗浄水が洗浄槽3外に飛び出ないように洗浄水ポンプ18を制御する。また、扉体検知スイッチ72が扉体4が開いたことを検知した場合、制御部40は、安全のために、洗浄中であれば洗浄水ポンプ18を停止し、乾燥中であればファン33およびヒータ36を停止し、移送装置100の動作中であれば移送装置100を停止させる。
また、本実施の形態においては、扉体4は扉体駆動モータ70によって開閉される構成としたが、扉体4に手動で扉体4を開閉するためのハンドル等を設け、使用者が手動で扉体4を開閉する構成としてもよい。この構成による場合、扉体4が閉じられているときに
扉体4が開かないようにロックする扉体ロック装置(図示せず)が設けられていることが望ましい。制御部40は、安全のために、洗浄中、乾燥中および移送装置100の動作中においては、扉体ロック装置によって扉体4にロックをかけて扉体4を開かなくさせる。
なお、使用者が扉体4を開けたい場合は、ロック解除ボタン(図示せず)を押せば、制御部40は、洗浄中であれば洗浄水ポンプ18を停止し、乾燥中であればファン33およびヒータ36を停止し、移送装置100の動作中であれば移送装置100を停止させてから、扉体ロック装置を動作させて扉体4のロックを解除する。この状態になると、使用者が扉体4を開けることができる。このとき、使用者が被洗浄物6を取出しやすくするために、移送装置100を初期位置まで戻して停止した後、扉体ロック装置を解除し、使用者が扉体4を開けることができるようにしてもよい。
以上のように、扉体ロック装置等を用いた構成によって、移送装置100が動作しているときは扉体4が開かないようにロックできる。これにより、洗浄中、乾燥中および移送装置100の動作中において、使用者が扉体4を開けることができず、移送装置100に触れることを防ぐことができる。
なお、扉体ロック装置は、扉体駆動モータ70によって扉体4が開閉される構成において用いられてもよい。この構成によれば、扉体駆動モータ70が万一誤動作を起こした場合においても、使用者の安全を確保することができる。また、洗浄槽3の前面開口部2と扉体4との間の水密性を維持することができ、洗浄水が食器洗い機1の外部に飛散したり、床面に落下したりすることを防止することができる。
以上のように構成された食器洗い機1について、その動作および作用を説明する。
図4は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の移送装置が被洗浄物を把持するときの移送装置の位置について示された側断面図である。図5は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の移送装置が被洗浄物を配置するときの移送装置の位置について示された側断面図である。
使用者が扉体4を正面から手で叩くと、制御部40は、加速度センサ71によって衝撃を検知した情報を受けて、扉体4を扉体駆動モータ70により前方に引き出す。扉体4にフック28によって係合された食器かご7と、載置部8と、主トレイ20および補助トレイ21とは、扉体4に連動して前方に引き出される。
使用者は、被洗浄物6を載置部8に積み重ねた状態に置き、洗剤を洗浄槽3の内部に投入する。そして、使用者は、扉体4上面に設けられた操作部9によって洗浄および乾燥のコースや条件を入力し、スタートボタンを押す。そして、再度、扉体4を正面から手で叩くと、加速度センサ71が衝撃を検知し、制御部40が扉体駆動モータ70を駆動させて扉体4を閉じる。このときの状態が、図4に示されている。
制御部40は、扉体4が閉じられたことを扉体検知スイッチ72により検知すると、ハンドカメラ103および固定カメラ104により、洗浄槽3の内部の被洗浄物6を撮影する。そして、制御部40は、その撮影データから被洗浄物6の位置、形状、数量、材質、種類、色、被洗浄物6に付着した付着物等の認識を自動で行う。
その後、制御部40は、認識した結果に基づいて、載置部8上の被洗浄物6に対する移送装置100の近付け方、被洗浄物6の把持方法、被洗浄物6の移送方法、被洗浄物6の食器かご7への配置方法等の計画を立てる。制御部40は、立てた計画に従って、被洗浄物6の載置部8から食器かご7への移送および配置を以下の通り実行する。
まず、被洗浄物6の形状、数量に応じて、制御部40は、移送装置100を駆動制御して、食器かご7上に設けられた被洗浄物6を洗浄するために保持する可動ピン(図示せず)を立てたり、畳んだりする。
次に、制御部40は、載置部8上に積み重ねられている一番上の被洗浄物6をハンド102で把持できる位置まで移送装置100を近付ける。このとき、制御部40は、移送装置100が他の被洗浄物6や洗浄槽3、載置部8に当たらないように、第1〜第4のアーム100a〜100dおよび第1〜第3の関節部101a〜101cの角度を調整する。
次に、制御部40は、ハンド102を開閉および回動させ、載置部8上に積み重ねられている一番上の被洗浄物6を把持する。このとき、制御部40は、被洗浄物6の位置、形状、材質、種類、付着物、その他の被洗浄物6との距離等の情報から、最適な把持位置(被洗浄物6の縁、側面、取っ手等)および把持方法(つまむ、握る等)を決定する。また、制御部40は、ハンド102を動作させる時は、他の被洗浄物6や洗浄槽3、載置部8に当たらないように、第1〜第4のアーム100a〜100dおよび第1〜第3の関節部101a〜101cの角度を調整する。
そして、制御部40は、ハンド102が把持している被洗浄物6を離したときに食器かご7上に配置できる位置まで移送装置100を動かす。このとき、制御部40は、移送装置100が他の被洗浄物6や洗浄槽3、載置部8、食器かご7に当たらないように、第1〜第4のアーム100a〜100dおよび第1〜第3の関節部101a〜101cの角度を調整する。
ハンド102が把持している被洗浄物6が配置されるべき食器かご7の位置までハンド102が移動されると、制御部40は、ハンド102を開いて把持していた被洗浄物6を離し、食器かご7上の計画された位置に被洗浄物6を配置する。ハンド102の動作に際しては、制御部40は、他の被洗浄物6、洗浄槽3、載置部8、食器かご7に当たらないように、第1〜第4のアーム100a〜100dおよび第1〜第3の関節部101a〜101cの角度を調整する。
制御部40は、同様に移送装置100を駆動制御して、載置部8上に積み重ねられている被洗浄物6を上から順に食器かご7の配置されるべき位置に移動させ、配置する。
このとき、制御部40は、被洗浄物6と移送装置100との接触や被洗浄物6同士の接触を回避するため、基本的に移送装置100から離れた遠い位置(扉体4近傍)から優先的に配置していく。この構成によって、移送装置100から離れた位置に被洗浄物6を移送、配置するときに、移送装置100に近い位置に配置された他の被洗浄物6と接触しにくくし、被洗浄物6が破損することを防ぐことができる。
特に大きい被洗浄物6(例えば、大皿や鍋、フライパン等の調理道具)や割れやすい被洗浄物6(例えばガラス食器等)を移送装置100から離れた遠い位置に配置していき、移送装置100近傍に向かって徐々に小さい被洗浄物6を配置していく。この構成によって、被洗浄物6を移送、配置するときに、他の被洗浄物6と接触しにくくし、特に割れやすいガラス食器等の被洗浄物6が破損することを防ぐことができる。ただし、全体の被洗浄物6の種類や数量によっては、この限りではない。
また、被洗浄物6が載置部8に積み重ねられて置かれたとき、往々にして大きい被洗浄物6は下の方に置かれる。このため、初めに移送装置100を用いて把持し、移送することが難しい。このとき、制御部40は、ハンドカメラ103または固定カメラ104によ
って載置部8に積み重ねられている被洗浄物6の状態を検知し、その大きさと上下位置関係を認識する。その認識結果に基づいて、制御部40は、移送装置100を駆動制御して、上方に積み重ねられた小さい被洗浄物6を、一旦、載置部8や食器かご7の空きスペースに仮置きし、大きい被洗浄物6を先に食器かご7の移送装置100から離れた遠い位置に移送し、その後、小さい被洗浄物6を移送するように、移送装置100を駆動制御する。この構成によって、相対的に大きい被洗浄物6を先に移送、配置することができ、他の被洗浄物6と接触しにくくし、被洗浄物6が破損することを防ぐことができる。ただし、一旦置く空きスペースの有無によっては、この限りではない。
さらに、制御部40は、被洗浄物6の付着物を認識して、洗浄しづらい付着物が付着している被洗浄物6を、噴射孔10aからの洗浄水が付着物に直接当たるような洗浄力の強い場所に配置し、付着物を落としやすくしてもよい。この構成によって、洗浄しづらい付着物が付着している被洗浄物6を効率的に洗浄することができる。
また、制御部40は、被洗浄物6の材質を認識して、陶器に比べて熱容量が小さいプラスチック食器のような乾燥しづらい被洗浄物6は、送風口35からの温風が直接当たるような乾燥しやすい場所に配置してもよい。この構成によって、乾燥しづらいプラスチックのような被洗浄物6を効率的に乾燥することができる。
さらに、制御部40は、被洗浄物6の形状もしくは種類を認識して、形状もしくは種類ごとに食器かご7の同じ箇所にまとめて移動し、配置してもよい。これにより、使用者が洗浄の終わった被洗浄物6を取り出し、収納したり、料理を盛り付けたりする際に、分かりやすくさせてもよい。
さらに、制御部40は、被洗浄物6の形状、種類もしくは色を認識して、父親の使う食器、母親の使う食器、子供の使う食器をまとめるというような家族それぞれの被洗浄物6をまとめたりして、食器かご7に移動、配置してもよい。これにより、使用者が洗浄の終わった被洗浄物6を効率よく取り出し、効率よく食器棚に収納したり、料理を盛り付けたりすることができる。
本実施の形態の食器洗い機においては、これらの被洗浄物6の食器かご7へのセット位置に関する優先度は、工場出荷時に決められているが、使用者が操作部9より再設定することも可能に構成されている。
また、初期に食器かご7上に被洗浄物6以外の障害物が置かれており、載置部8から被洗浄物6を食器かご7上への移動の邪魔になる場合、制御部40は、ハンドカメラ103または固定カメラ104によって被洗浄物6以外の障害物を認識すると、移送装置100を駆動制御して、その障害物をハンド102で把持し、邪魔にならない位置に再配置する。また、被洗浄物6以外の物体や食器洗い機で洗えない物体(例えば電化製品や、耐熱温度の低いプラスチック食器等)が置かれていた場合、報知部(図示せず)の音または表示等によって使用者に報知し、取り除いてもらう。この構成によって、被洗浄物6と障害物とが接触して被洗浄物6が破損することを防ぐことができる。
また、本実施の形態の食器洗い機は、使用者が操作部9からの入力により、被洗浄物6の食器かご7への配置位置を指定することができるように構成されている。この構成によって、使用者は、食器かご7の好みの位置に被洗浄物6を配置することができる。例えば、使用者の身長に合わせて取りやすい位置に被洗浄物6を配置したり、利き手に合わせて取りやすい位置に被洗浄物6を配置したりすることができる。
このように、被洗浄物6の自動配置が終わると、制御部40は、移送装置100を洗浄
槽3の内部の後方の初期位置に戻し、洗浄乾燥運転を開始する。
図6は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の洗浄工程における洗浄水の流れが示された側断面図である。
まず、洗浄水ポンプ18が動作して、前回の運転等で洗浄槽3の内部に残っている洗浄水の残水を食器洗い機1外へ排出する。次に、給水弁29が動作して、所定量の水道水が洗浄水として洗浄槽3の内部に供給される。洗浄槽3の内部に所定量の洗浄水が供給されると、排水口30からポンプ水路31によって接続された洗浄水ポンプ18の内部にも洗浄水が洗剤とともに流れ込む。洗浄水ポンプ18が駆動され、洗浄水ポンプ18による加圧が開始され、洗剤が溶け込んだ洗浄水が、結合部13、導水路12を経て、洗浄ノズル10に送られる。洗浄ノズル10に送水された洗浄水は、洗浄ノズル10に設けられた噴射孔10aから被洗浄物6に向けて上方に噴射される。そして同時に、噴射孔10aから噴射される洗浄水の反力を利用して洗浄ノズル10を回転させる。
洗浄ノズル10から噴射されて被洗浄物6を洗浄した洗浄水の大半は、主トレイ20上に落ちて後方に向かう下り傾斜に沿って流れる。そして、まず、トレイフィルタ41で粗めの残菜が漉しとられる。次に、排水フィルタ50で細かい残菜が漉しとられる。残菜が漉しとられた洗浄水は、その後、排水口30に回収され、ポンプ水路31を介して洗浄水ポンプ18に再び流れ込む。このように、洗剤が溶け込んだ洗浄水が循環し、被洗浄物6を洗浄する洗浄工程が行われる。この洗浄工程では、制御部40は洗浄槽3の内部に設けられたヒータ36に通電して、洗浄水を循環させながら所定温度まで加熱する。
洗浄工程は、通常、洗浄乾燥運転前にあらかじめ設定された所定時間行われるが、ハンドカメラ103および固定カメラ104により、被洗浄物6の付着物をモニタリングし、付着物が所定のレベル以下に落ちるまで洗浄を続けてもよい。また、移送装置100を動作させ、噴射孔10aからの洗浄水が直接当たるような洗浄力の強い場所に付着物の多い被洗浄物6を移送したり、ハンド102で被洗浄物6の付着物に洗浄水が直接当たるように把持した状態にしたりして洗浄を行ってもよい。洗浄工程が、所定時間あるいは被洗浄物6の付着物が所定のレベル以下に落ちるまで行われると、洗浄水ポンプ18が被洗浄物6から洗い落とされた汚れを含む洗浄水を食器洗い機1外へ排出する。
制御部40は、洗浄工程が終わると、すすぎ工程を実行する。制御部40は、新たに給水弁29を開いて洗浄槽3の内部に洗浄水を供給し、洗浄ノズル10に設けられた噴射孔10aから再び洗浄水が噴射されて、洗剤や残菜等で汚れた被洗浄物6をすすぐ、すすぎ工程を実行する。
制御部40は、すすぎ工程が終わると、洗浄水ポンプ18は洗浄水を再び食器洗い機1外へ排出する。このすすぎ工程は連続して複数回繰り返される。そして、複数回行われるすすぎ工程の後に、ヒータ36により洗浄水を所定温度(例えば60℃)まで加熱してすすぐ、加熱すすぎ工程が行われる。
加熱すすぎ工程が終了すると乾燥工程が開始される。この乾燥工程では、ファン33が動作し、外気が送風経路34を介して送風口35から洗浄槽3の内部へ送り込まれる。洗浄槽3の内部に送り込まれた空気は、送風口35の下流方向に設けられたヒータ36により加熱された後、被洗浄物6を乾燥させて排気口37より食器洗い機1の外に排気される。
乾燥工程は、通常、運転前にあらかじめ設定された所定時間行われる。しかし、ハンドカメラ103および固定カメラ104により、被洗浄物6表面の乾き具合をモニタリング
し、乾ききるまで乾燥を続けてもよい。また、移送装置100を動作させ、より乾燥しやすい送風口35からの温風が直接当たるような位置に乾燥しづらい被洗浄物6を移送したり、ハンド102で被洗浄物6に温風が直接当たるように把持した状態にしたりして乾燥を行ってもよい。
乾燥工程終了後、制御部40は、食器洗い機1の運転を終了し、ブザーで使用者に運転終了を報知する。
食器洗い機1の運転終了後、使用者が扉体4を正面から手で叩くと、制御部40は、加速度センサ71によって衝撃を検知した情報を受けて、扉体4を扉体駆動モータ70により前方に自動で引き出す。そして、使用者は洗浄乾燥の終わった被洗浄物6を取り出すことができる。
なお、洗浄乾燥の終わった被洗浄物6を種類ごとに分けて重ねたり、家族ごとに分けて重ねたり、洗浄乾燥運転前に載置部8に置かれていたのと同じように載置部8に配置したり、洗浄槽3外のシステムキッチン11の収納スペースに収納したり、など、使用者の使いやすい指定の位置に配置するように、移送装置100の動作を操作部9から設定できるように構成してもよい。
また、制御部40は、ハンドカメラ103や固定カメラ104により、トレイフィルタ41や排水フィルタ50の残菜の詰まり具合をモニタリングし、残菜が所定量以上に詰まってきたら、手入れを使用者に報知するように構成してもよい。さらに、移送装置100によってトレイフィルタ41や排水フィルタ50を把持し、使用者が取出しやすい位置に配置したり、使用者に直接渡せる位置まで移送し、手渡したりするように構成することもできる。
また、移送装置100を自動で手入れできるモードを設け、移送装置100をあらゆる方向に動かしながら洗浄水で洗浄するように構成することもできる。さらに、移送装置100を手動で手入れできるモードも設け、扉体4を開け、使用者が直接布で拭いたりして手入れしやすいように移送装置100を移動させる構成とすることもできる。この際、使用者の手入れ中には、移送装置100を停止させる、もしくは使用者に危険が及ばないように動かすことが望ましい。
以上のように、本実施の形態における食器洗い機1は、洗浄槽3と、洗浄槽3の内部に設けられ被洗浄物6が配置される食器かご7と、被洗浄物6を洗浄する洗浄ノズル10と、被洗浄物6を移送する移送装置100と、移送装置100を制御する制御部40とを備え、制御部40は、移送装置100により被洗浄物6を食器かご7に自動で配置するように構成されたものである。この構成によって、被洗浄物6が自動で移送装置100により移送され、食器かご7の最適位置に配置される。したがって、使用者が被洗浄物6を配置する順番や場所を考えなくても、被洗浄物6の形状、数量、材質、種類、色、被洗浄物6に付着した付着物等に応じた最適な洗浄が行える食器洗い機1を提供することができる。
さらに、被洗浄物6を認識するハンドカメラ103が設けられ、制御部40は、ハンドカメラ103により被洗浄物6の位置、形状、数量、材質、種類、色、被洗浄物6に付着した付着物の少なくとも1つを自動で認識するように構成されたものである。この構成によって、制御部40は、移送装置100が洗浄槽3、載置部8等に当たらない最適な被洗浄物6への移送装置100の近付け方、確実かつ最適な被洗浄物6の把持の仕方、移送装置100および把持された被洗浄物6が他の被洗浄物6、洗浄槽3、載置部8等に当たらない被洗浄物6の食器かご7への最適な配置の仕方を解析によって見いだし、移送装置100に実行させることができる。
また、ハンドカメラ103は、移送装置100に配設されたものである。この構成によって、移送装置100が移動したときに同時にハンドカメラ103も移動させ、被洗浄物6をより近くで正確に認識させることができる。これにより、被洗浄物6の位置、形状、数量、材質、種類、色、被洗浄物6に付着した付着物の認識をより確実に行うことができる。
さらに、固定カメラ104は、洗浄槽3の内部に配設されたものである。この構成によって、洗浄槽3の内部の様子を常にモニタリングすることができ、被洗浄物6が載置されたり、取り出されたりしたことを容易に認識することができる。
さらに、固定カメラ104は、洗浄槽3の外部に固定するように配設されたものである。この構成によって、洗浄槽3の内部を認識しながら、洗浄中に固定カメラ104が洗浄水により濡れて故障することを防ぐことができる。
また、制御部40は、被洗浄物6が事前に置かれている載置部8を認識し、移送装置100により被洗浄物6を載置部8から搬送して食器かご7に自動で配置するように構成されたものである。この構成によって、使用者は載置部8に被洗浄物6を置くだけで、移送装置100により被洗浄物6が食器かご7に自動で最適に配置される。これにより、使用者が被洗浄物6を配置する順番や場所を考えなくても、被洗浄物6の形状、数量、材質、種類、色、被洗浄物6に付着した付着物等に応じた最適な洗浄が行える食器洗い機1を提供することができる。
さらに、移送装置100は、洗浄槽3の内部に設けられたものである。この構成によって、食器洗い機1の外形寸法をコンパクトに構成することができる。
また、洗浄槽3の前面開口部2を開閉自在に覆う扉体4と、扉体4の開閉状態を検知する扉体検知スイッチ72が設けられ、制御部40は、扉体検知スイッチ72により扉体4が開いたことを検知したとき、移送装置100を停止させるように構成されたものである。この構成によって、使用者が扉体4を開けたときに、動作している移送装置100に触れることを防ぐことができる。
さらに、扉体4を開く、もしくは扉体4を閉じる、の少なくともいずれか一方の機能を有する扉体駆動モータ70が設けられたものである。この構成によって、使用者自身が扉体4の開閉を行う必要がないため、さらに使用者の手間を軽減できる。
また、移送装置100は、圧力検知部であるカバー107が設けられ、制御部40は、カバー107に内蔵された圧力センサにより移送装置100に所定の圧力を越えて圧力が加えられたことを検知し、移送装置100を停止させるように構成されたものである。この構成によって、使用者が移送装置100に触れたとしても、その圧力を検知して移送装置100が停止し、使用者の安全を確保することができる。
なお、本実施の形態においては、安全を確保する方策として、移送装置100を停止させる構成としたが、停止までさせずに安全な速度に落としてもよい。
また、移送装置100は、周方向に回転自在に形成された複数のアーム100a〜100dを、回転自在な関節部101a〜101cで連結して構成されたものである。この構成によって、制御部40は、移送装置100の姿勢を多様に変化させて制御することができる。これにより、被洗浄物6が自動で移送装置100により移送され、食器かご7の最適な位置に配置される際に、移送装置100が他の被洗浄物6や洗浄槽3、載置部8に当
たらないようにして、移送装置100を移動させることができる。
また、移送装置100は、先端部に、被洗浄物6を把持および把持解除可能に構成されたハンド102を備えたものである。この構成によって、移送装置100は、載置部8に載置された被洗浄物6を確実に把持し、食器かご7まで被洗浄物6を落とすことなく移送し、食器かご7の最適な位置において確実に把持解除し、配置することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における食器洗い機について、図面を参照しながら説明する。以下、実施の形態1の構成、動作との相違点を中心に述べ、実施の形態1と同一構成要素については同一符号を付してその構成、動作の詳細な説明を省略する。
図7は、本発明の実施の形態2における食器洗い機の扉体が閉じられた状態の側断面図である。図7に示されるように、洗浄槽3の後方外部に、移送装置100を収納する移送装置収納部120が設けられている。洗浄槽3の奥面に、移送装置収納部120の前側開口部121に対向させて洗浄槽開口部110が設けられている。洗浄槽開口部110の後方に、洗浄槽開口部110を覆うようにスライド開閉部111が設けられている。制御部40は、開閉部駆動モータ112によりスライド開閉部111を上下にスライドさせ、洗浄槽開口部110を開閉する。
以上のように構成された食器洗い機1について、その動作および作用を説明する。
載置部8に載置された被洗浄物6を食器かご7に配置する工程において、制御部40は、載置部8上に積み重ねられている一番上の被洗浄物6をハンド102で把持できる位置まで移送装置100を近付ける。このとき、移送装置100の駆動に先立って、開閉部駆動モータ112によりスライド開閉部111をスライドさせて洗浄槽開口部110を開く。その後、制御部40は、移送装置100が他の被洗浄物6、洗浄槽3の壁面および載置部8に当たらないように移送装置100の各関節部の角度を調整しながら、移送装置収納部120の前側開口部121および洗浄槽開口部110を通過させて、洗浄槽3の内部に進入させる。
実施の形態1と同様にして、移送装置100が被洗浄物6を把持して移送し、食器かご7への自動配置が終わると、制御部40は、移送装置100を洗浄槽3後方の移送装置収納部120内の初期位置に戻す。そして、開閉部駆動モータ112によりスライド開閉部111をスライドさせて洗浄槽開口部110を閉じる。その後、実施の形態1と同様にして、洗浄乾燥運転が行われる。
なお、本実施の形態において、開閉部駆動モータ112によりスライド開閉部111を開いているが、移送装置100のハンド102によりスライド開閉部111を動かし、洗浄槽開口部110を開閉させてもよい。また、移送装置100は洗浄槽3の外部後方に設けられているが、洗浄槽3の外部であれば、上方、下方、左右側方のいずれであってもよい。
また、スライド開閉部111に替えて、開き戸や折り戸によって開閉部を構成して洗浄槽開口部110を開閉させてもよい。
以上のように、本実施の形態における食器洗い機1は、移送装置100が洗浄槽3の外部に設けられたものである。この構成によって、洗浄中に移送装置100が洗浄水により濡れて故障することを防ぐことができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における食器洗い機について、図面を参照しながら説明する。以下、実施の形態1の構成、動作との相違点を中心に述べ、実施の形態1と同一構成要素については同一符号を付してその構成、動作の詳細な説明を省略する。
図8は、本発明の実施の形態3における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の斜視図である。図8に示されるように、システムキッチン11には、シンク15と、シンク15の上方に位置するシンクカメラ108と、食器洗い機1の上方でシステムキッチン11の上面に位置し被洗浄物6を移送する移送装置100と、移送装置100の上方に位置する安全カメラ109と、システムキッチン11の上面で移送装置100の近傍に位置する操作部9とが設けられている。
シンクカメラ108は、食器等の被洗浄物6を認識する認識部であり、シンク15の内部を撮影する。安全カメラ109は、移送装置100の周囲の物体を認識する移送装置認識部であり、移送装置100の周辺部を撮影する。
食器洗い機1は、前後に移動可能で金属製の線材で構成された下食器かご7aと、下食器かご7aの上方に配され、同様に前後に移動可能で金属製の線材で構成された上食器かご7bとを備え、システムキッチン11内にビルトインされている。
上食器かご7bは、上食器かご7bを前後方向に駆動する上食器かご駆動モータ(図示せず)により洗浄槽3から自動で引き出されたり、収納されたりするように、制御部40によって制御されている。
なお、本実施の形態においては、シンクカメラ108と安全カメラ109は画像を撮影するカメラが用いられているが、位置や形状を認識するためであれば、例えば距離を測定する近接センサ等の距離センサが用いられてもよい。また、温度を測定する赤外線センサ等が用いられてもよく、また、それらを組み合わせて用いられてもよい。
以上のように構成された食器洗い機1について、その動作および作用を説明する。
使用者は、被洗浄物6をシンク15の底面に積み重ねた状態で置き、システムキッチン11上に設けられた操作部9によって洗浄および乾燥のコースや条件を入力し、スタートボタンを押す。
すると、制御部40は、シンクカメラ108により、シンク15の底面に置かれた被洗浄物6を撮影し、その撮影データから位置、形状、数量、材質、種類、色、被洗浄物6に付着した付着物等の認識を自動で行う。
その後、制御部40は、シンク15の底面上の被洗浄物6に対する移送装置100の近付け方、被洗浄物6の把持方法、被洗浄物6の移送方法、被洗浄物6の下食器かご7aおよび上食器かご7bへの配置方法等の計画を立てる。
次に、制御部40は、シンクカメラ108および安全カメラ109の撮影データから、シンク15の近傍、移送装置100の近傍および扉体4の動作方向には人体や障害物等がないことを確認する。
次に、制御部40は、扉体4を扉体駆動モータ70により前方に引き出す。これと同時に、制御部40は、上食器かご7bも上食器かご駆動モータにより前方に引き出す。
次に、制御部40は、シンク15の底面上に積み重ねられている一番上の被洗浄物6をハンド102で把持できる位置まで移送装置100を近付ける。このとき、制御部40は、移送装置100が他の被洗浄物6やシンク15、システムキッチン11に当たらないように移送装置100の各関節部の角度を調整する。
次に、制御部40は、ハンド102を開閉および回動させ、一番上に積み重ねられている被洗浄物6を把持する。このとき、制御部40は、被洗浄物6の位置、形状、材質、種類、付着物、その他の被洗浄物6との距離等の情報から、最適な把持位置および把持方法を決定する。また、ハンド102の動作時には、制御部40は、他の被洗浄物6やシンク15、システムキッチン11に当たらないように移送装置100の各アームおよび各関節部の角度を調整する。
そして、制御部40は、ハンド102が把持している被洗浄物6を離したときに上食器かご7b上に配置できる位置まで移送装置100を動かす。このとき、制御部40は、移送装置100が他の被洗浄物6や扉体4、シンク15、システムキッチン11、上食器かご7bに当たらないように移送装置100の各アームおよび各関節部の角度を調整する。
ハンド102が把持している被洗浄物6が配置されるべき上食器かご7bの位置までハンド102が移動されると、制御部40は、ハンド102を開いて把持していた被洗浄物6を離し、上食器かご7b上の計画された位置に被洗浄物6を配置する。ハンド102の動作に際しては、制御部40は、移送装置100が他の被洗浄物6、上食器かご7bに当たらないように移送装置100の各アームおよび各関節部の角度を調整する。
被洗浄物6の上食器かご7bへの自動配置が終わると、制御部40は、上食器かご7bを上食器かご駆動モータにより後方に収納し、下食器かご7aへの自動配置を同様に行う。
なお、上食器かご7bおよび下食器かご7aへの被洗浄物6の自動配置の順番はどちらの食器かごから先に行ってもよい。また、途中で上食器かご7bを引き出したり収納したりして、各食器かごに交互に被洗浄物6を配置してもよい。
このように、被洗浄物6の自動配置が終わると、制御部40は、移送装置100をシステムキッチン11の上面の初期位置に戻し、洗浄乾燥運転を開始する。
実施の形態1と同様に洗浄乾燥運転は行われ、乾燥工程終了後、制御部40は、食器洗い機1の運転を終了し、ブザーで使用者に運転終了を報知する。
以上のように本実施の形態における食器洗い機1は、移送装置100が洗浄槽3の外部に設けられたものである。この構成によって、洗浄中に移送装置100が洗浄水により濡れて故障することを防ぐことができる。
また、移送装置100の周囲の物体を認識する移送装置認識部として、安全カメラ109が設けられている。制御部40は、安全カメラ109により人体や移送装置100による移送の際の障害物を自動で認識し、それらの存在を認識した場合、移送装置100を停止させるように構成されたものである。この構成によって、使用者が意図せず移送装置100に近付いたり、移送装置100による移送経路上に障害物が存在したりしたとしても移送装置100が停止する。これにより、使用者の安全を確保することができるとともに、移送装置100が障害物に衝突し破損することを防ぐことができる。
なお、移送装置認識部である安全カメラ109に替えて、もしくは追加して、移送装置
100に圧力検知部が設けられていてもよい。圧力検知部によって移送装置100に所定の圧力を越えて圧力が加えられたことを検知した場合、制御部40は、移送装置100の動作を停止させるように構成する。この構成によって、使用者が意図せず移送装置100に触れたり、移送装置100による移送経路上に障害物が存在していて衝突したりしたとしても移送装置100が停止する。これにより、使用者の安全を確保することができるとともに、移送装置100が障害物に衝突し破損することを防ぐことができる。
なお、本実施の形態においては、使用者がシンク15の底面上に被洗浄物6を置くこととしたが、システムキッチン11の上面や上方、システムキッチン11の内部、もしくはシステムキッチン11の外部に載置部を設けて、その載置部に被洗浄物6を置いたとしても、その被洗浄物6を認識できるように移送装置100の近傍や被洗浄物6の近傍にカメラを設置し、上食器かご7bおよび下食器かご7aに被洗浄物6を移送可能な位置および長さの移送装置100を設ければ、本発明を実施可能な形態を構成できる。
以上のように、本発明にかかる食器処理機は、使用者が食器等の被処理物を食器かごに配置する順番や場所を考えなくても、被処理物が自動で移送装置により移送され、食器かご上の被処理物の特性に応じた適正な位置に配置されるものである。したがって、食器洗い機および食器乾燥機のみならず保管庫等の用途にも適用できる。
1 食器洗い機(食器処理機)
2 前面開口部(開口部)
3 洗浄槽(処理槽)
4 扉体
6 被洗浄物(被処理物)
7 食器かご
7a 下食器かご
7b 上食器かご
8 載置部
10 洗浄ノズル(処理部)
40 制御部
70 扉体駆動モータ(開閉装置)
72 扉体検知スイッチ(開閉検知部)
100 移送装置
102 ハンド(把持部)
103 ハンドカメラ(認識部)
104 固定カメラ(認識部)
107 カバー(圧力検知部)
108 シンクカメラ(認識部)
109 安全カメラ(移送装置認識部)

Claims (12)

  1. 処理槽と、前記処理槽を開閉自在に覆う扉体と、前記処理槽の内部に設けられ被処理物が置かれる載置部と、前記処理槽の内部に設けられ被処理物が配置される食器かごと、前記被処理物を少なくとも洗浄または乾燥する処理部と、前記処理槽の内部または前記処理槽外部の収納部に設けられ前記被処理物を移送する移送装置と、前記移送装置を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記扉体を閉じた状態で前記移送装置により前記被処理物を前記載置部から前記食器かごに自動で配置するように構成された食器処理機。
  2. 前記被処理物を認識する認識部が設けられ、
    前記制御部は、前記認識部により前記被処理物の位置、形状、数量、材質、種類、色、前記被処理物に付着した付着物の少なくとも1つを自動で認識するように構成された請求項1に記載の食器処理機。
  3. 前記認識部は、前記移送装置に配設された請求項2に記載の食器処理機。
  4. 前記認識部は、前記処理槽の内部に配設された請求項2または3に記載の食器処理機。
  5. 前記認識部は、前記処理槽の外部に固定するように配設された請求項2〜4のいずれか1項に記載の食器処理機。
  6. 前記処理槽の開口部を開閉自在に覆う扉体と、前記扉体の開閉状態を検知する開閉検知部が設けられ、
    前記制御部は、前記開閉検知部により前記扉体が開いたことを検知したとき、前記移送装置を停止させるように構成された請求項1〜のいずれか1項に記載の食器処理機。
  7. 前記扉体を開く、もしくは前記扉体を閉じる、の少なくともいずれか一方の機能を有する開閉装置が設けられた請求項1〜のいずれか1項に記載の食器処理機。
  8. 前記扉体が開かないようにロックする扉体ロック装置が設けられた請求項1〜のいずれ
    か1項に記載の食器処理機。
  9. 前記移送装置の周囲の物体を認識する移送装置認識部が設けられ、
    前記制御部は、前記移送装置認識部により前記移送装置に物体が近付いてきたことを自動で認識し、前記移送装置を停止させるように構成された請求項1〜のいずれか1項に記載の食器処理機。
  10. 前記移送装置は、圧力検知部が設けられ、
    前記制御部は、前記圧力検知部により前記移送装置に所定の圧力を越えて圧力が加えられたことを検知し、前記移送装置を停止させるように構成された請求項1〜のいずれか1項に記載の食器処理機。
  11. 前記移送装置は、周方向に回転自在に形成された複数のアームを、回転自在な関節部で連結して構成された請求項1〜1のいずれか1項に記載の食器処理機。
  12. 前記移送装置は、先端部に、前記被処理物を把持および把持解除可能に構成された把持部を備えた請求項1〜1のいずれか1項に記載の食器処理機。
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