JP6941921B2 - 内部加熱を用いたチーズの製造方法 - Google Patents

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本発明は、内部加熱を用いたチーズ、とくにパスタフィラータチーズなどのナチュラルチーズの製造方法に関する。
日本の市場において、ナチュラルチーズが定着しつつある。ナチュラルチーズには、熟成の程度により、乳成分の熟成の風味を楽しめる、いわゆる熟成型ナチュラルチーズ、および新鮮な乳風味を味わえる、いわゆる非熟成型ナチュラルチーズに分類することができる。また、ナチュラルチーズには、その硬さから、特別硬質ナチュラルチーズ、硬質ナチュラルチーズ、半硬質ナチュラルチーズ、軟質ナチュラルチーズに分類することができる。このように、ナチュラルチーズには、熟成の程度(有無)や物性(食感)の違いなどにより、多くの種類が存在する。
ナチュラルチーズのうち、パスタフィラータチーズでは、チーズカードを70〜80℃の温水に浸けて可塑化させるが、その際にストレッチ性を持たせ成型させている。熱水の温度によって、チーズカードが過加熱にならないように、ある程度の練る操作(混練)が必要となる。具体的には、モッツァレラチーズなどにおいて、温水を使用して、チーズカードを加熱しながら混練し、延伸機などを使用して、チーズカードを捏ね上げる方法が知られている(特許文献1、非特許文献1)。また、加熱手段として、温水ではなく、水蒸気を使用して、チーズカードを加熱しながら混練する方法も知られている(特許文献2および3)。
さらに特許文献4では、家庭でモッツァレラチーズを手作りする方法において、やけどを防止するために湯中でチーズカードを混練することに代えて、チーズカードを電子レンジで加熱し、その後、チーズカードを練りまとめてモッツァレラチーズを生成することが記載されている。しかし同文献では、カードに粘りが足りない場合、電子レンジでの加熱ステップと練りまとめのステップを繰り返すとされており(特許文献4の段落[0023])、加熱と混練の両ステップを完全に分け得るものではなかった。
特開2004−267091号公報 特開2005−261434号公報 特開2010−75133号公報 特開2015−39313号公報
齋藤忠夫ら、「現代チーズ科学」163頁、食品資材研究会、2008年10月10日発行
本発明者らは、ナチュラルチーズの製造方法について検討する中で、一般的なモッツァレラチーズの製造方法では、チーズカードを温水中や水蒸気中で加熱して混練することによりチーズカードに弾力性を付けることはできるものの、チーズカードに含まれるホエイタンパク質や乳糖などの乳成分が温水中や水蒸気中に流出してしまい、チーズのミルク感が損なわれているという問題に着目した。
ナチュラルチーズには、風味や食感の異なる様々な種類が存在するなかで、本発明の課題は、弾力性(ストレッチ性)を有するモッツァレラなどを含むナチュラルチーズにおいて、フレッシュ感やミルク感などの風味を一層向上させることにより、ナチュラルチーズ(フレッシュチーズ)として、新規な商品価値をもたらす製品およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、ジュール加熱などの内部加熱によりチーズカードを均一に加熱することで、チーズカードの温度をムラなく昇温させることができ、必ずしも混練を要しないことに着目し、その結果、加熱と混練とは必ずしも同時に行う必要がなく、必要に応じ分離した工程とすることができるとの知見を得た。かかる知見に基づき鋭意検討する中で、加熱において乳成分の流出がなく、練りの程度を自由に調整できる全く新しいタイプのナチュラルチーズを製造できることを見出し、さらに研究を続けた結果、本発明を完成させるに至った。
したがって、本発明は、以下に関する。
[1] チーズカードからチーズを製造する方法であって、混練することなくチーズカードを内部加熱により均一に加熱することを含む、前記方法。
[2] 内部加熱が、ジュール加熱またはマイクロウエーブ加熱である、前記[1]に記載の方法。
[3] ジュール加熱またはマイクロウエーブ加熱が、チーズカードが移動されながらなされる、前記[1]または[2]に記載の方法。
[4] チーズカードが、ホエイとともに加熱される、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 内部加熱により均一に加熱した後のチーズカードの60℃での硬度が、100gf/cm〜1000gf/cmである、前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 内部加熱により均一に加熱した後のチーズカードを、混練しないか、または混練して硬度を調整することを含む、前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の方法で製造された、チーズ。
[8] 60℃での硬度が、100gf/cm〜3000gf/cmである、前記[7]に記載のチーズ。
[9] 10℃での硬度が、400gf/cm〜8600gf/cmである、前記[7]に記載のチーズ。
[10] 10℃での硬度が、400gf/cm〜1200gf/cmである、パスタフィラータチーズ。
本発明は、チーズカードからチーズを製造する方法において、チーズカードを内部加熱により均一に加熱することによって、加熱と混練を完全に分離することができる。したがって、本発明は、例えば、温度ムラによって、チーズカードを混練する間に全体的に冷めてしまい、混練のための再加熱を必要としない。また本発明は、加熱において乳成分を流出させる原因となる温水や水蒸気を用いる必要がないことから、フレッシュ感およびミルク感が向上したナチュラルチーズなどのチーズを提供することができる。また、本発明においては、混練作業を行わずとも昇温時にチーズカード内の温度分布が既に均一であることから、逆に混練による硬度調整は任意に行うことができるため、チーズカードの練りの程度(硬度)を自由に調整することができる。例えば、従来の方法では実現し得なかった、10℃での硬度が400gf/cm〜1200gf/cm程度の比較的柔らかなパスタフィラータチーズを調製することができ、これを混練することなく、あるいは、混練して硬度を調整し、乳風味豊かで硬度を自在に調整したパスタフィラータチーズなどのチーズを提供することができる。
さらに本発明において、ホエイなどの乳成分の含まれている液状の食品(液状乳性食品)とともにチーズカードを加熱すると、フレッシュ感およびミルク感がさらに高まり、味わい豊かなナチュラルチーズを提供することもできる。
図1は、チーズカードをホエイ中でジュール加熱した場合の温度変化を示すグラフである。 図2は、本発明の内部加熱に用いることができる連続式ジュール加熱装置の概要図である。 図3は、連続式ジュール加熱装置における送液量を240L/hとした際のチーズカードのジュール加熱出口温度を示すグラフである。 図4は、高水分チーズ用チーズカードの混練時間と硬度の関係を示すグラフである。 図5は、低水分チーズ用チーズカードの混練時間と硬度の関係を示すグラフである。
本発明は、チーズカードからチーズを製造する方法であって、チーズカードを内部加熱方式により加熱することを含む。本発明においては、混練することなくチーズカードを内部加熱により均一に加熱する。
本発明に係るチーズは、チーズカードを内部加熱により均一に加熱したものをいい、例えば、混練することなく、または混練することにより硬度を調整したもの、内部加熱したチーズカードをそのままチーズ製品としたもの、および、成形などによって製品化したものも包含する。
本発明においてナチュラルチーズとは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)、および公正競争規約で定めるナチュラルチーズの規格のうちいずれかに該当するものである。また本発明におけるナチュラルチーズには、本発明の方法で加熱したチーズカードを、混練して製品化したものや、そのまま混練することなく製品化したものも包含する。
本発明の方法に用いるチーズカードは、とくに限定されない。一般的には、例えば、原料乳をレンネットなどの凝乳酵素などで凝固させ、乳酸菌やpH調整剤(乳酸など)などを添加して、pHを所定値の4〜7に調整してから、ホエイを排出して、チーズカードを得る。
本発明において、製造するナチュラルチーズの風味や食感などは、原料乳の成分を調整することによって多様なものとすることができる。
チーズカードの原料乳とは、未殺菌の生乳のことをいい、牛乳、羊乳、水牛乳、山羊乳などの獣乳であればよく、必要に応じて、その組成を調整することができる。例えば、クリームセパレーターなどを用いて、未殺菌の生乳から脱脂乳およびクリームを分離し、これら脱脂乳およびクリームを様々な混合比率で配合して、乳脂肪の含量を調整することができる。また、公知の分離膜などを用いて、ミネラル、ビタミン、乳糖、乳タンパク質、乳脂肪などを分離し、これらの成分を所定の混合比率で配合して、これらの成分の含量を調整することもできる。とくに、フレッシュ感およびミルク感を付与する場合には、これらの付与につながるよう、生乳のタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミンおよびミネラルからなる群から選択される1種または2種以上の濃度を所定の値に調整することもできる。例えば、ミルク感を高めるためには、原料乳中の乳タンパク質、脂質(乳脂肪)、炭水化物(乳糖)の濃度を高めることができる。また、フレッシュ感を高めるためには、原料乳の濃度を調整する際に、加熱臭などを発生させないよう、冷蔵状態などで十分に冷却された状態で前記の方法などで調整すること、および/または凍結濃縮された乳原料を添加して調整することなどができる。
本発明において、原料乳の乳脂肪の含量は、とくに限定されず、必要に応じて調整することができる。原料乳中の乳脂肪分の含量は、全固形分中の乳脂肪分の割合で表すことができる。例えば、全固形分中の乳脂肪分の割合が低ければ、いわゆる低脂肪タイプのナチュラルチーズとなり、全固形分中の乳脂肪分の割合が高ければ、いわゆる高脂肪タイプのナチュラルチーズとなる。本発明の原料乳の全固形分中の乳脂肪分の割合は特に制限はないが、例えば、0〜80重量%、0〜70重量%、0.5〜65重量%、0.5〜60重量%、1〜55重量%、2〜55重量%、5〜55重量%、10〜55重量%、15〜55重量%、20〜55重量%、25〜55重量%、30〜55重量%、35〜55重量%である。このとき、好ましくは、20〜50重量%であり、さらに好ましくは、25〜45重量%であり、最も好ましくは、30〜45重量%である。
本発明において、原料乳を凝乳する方法では、公知の方法を使用することができる。例えば、原料乳にレンネットなどの凝乳酵素を添加(配合)する方法、原料乳のpHを調整してから加熱する方法などを使用することができる。
本発明において、乳酸菌による発酵、および/または酸の添加により、原料乳を凝乳するpHを調整することができる。ここで、本発明の乳酸菌では、ナチュラルチーズで使用することができる乳酸菌であればよく、その属および種は任意であり、例えば、ラクチス菌、クレモリス菌、ブルガリア菌、サーモフィラス菌などの公知の乳酸菌を挙げることができる。酸による添加の場合、乳酸、酢酸、クエン酸、リン酸などの、食品および/または食品添加物で使用している公知の酸を原料乳に直接添加することもできる。本発明において、凝乳されたチーズカードでは、例えば、pHが4〜7、pHが4.2〜6.8、pHが4.4〜6.7、pHが4.6〜6.4、pHが4.8〜6.2、pHが5〜6、pHが5.0〜5.6、pHが5.2〜5.8、pHが5.4〜5.6である。このとき、好ましくは、pHが4〜7、より好ましくは、pHが4.4〜6.7、さらに好ましくは、pHが4.8〜6.2、さらに好ましくは、pHが5〜6である。
チーズカードおよびチーズの硬度は、レオテック社のレオメータRTC−3002D−Cなど、市販のレオメータを用いて測定することができる。
チーズカードおよびチーズの硬度は、例えば、下記の測定条件(1)で測定することができる。
測定条件(1):温度60℃、縦30mm×横45mm×幅(厚み)1mmの2つの直方体を中心で重ね十字状に組み合わせた十字状プランジャー、テーブル上昇速度:30cm/分。
また、チーズの硬度は、例えば、下記の測定条件(2)で測定することもできる。
測定条件(2):温度10℃、直径3mmの丸棒型プランジャー、テーブル上昇速度:15cm/分。
60℃で測定したチーズカードの硬度(ホエイを排出し、内部加熱により均一に加熱した直後の硬度)は、100gf/cm〜1000gf/cm程度である。チーズカードの硬度は、例えば、原料乳のタンパク質量などの各成分の割合や、凝乳酵素の添加量、カードメイキング時のカッティングサイズ、原料乳のpHおよびpH変化速度、加熱昇温時間などによって調整することができる。チーズカードから製造されたナチュラルチーズの硬度は、チーズカードの硬度により調整され得る。
チーズカードから調製されるチーズの硬度は、混練することによって調整することができる。混練の方法は、とくに限定されないが、大規模に品質の均一な製品を効率よく生産できるとの観点からニーダーを用いた混練が好ましい。ニーダーの回転速度や時間を調整することで、チーズの硬度を容易に調整することができる。
調整されたチーズの硬度は、とくに限定されない。従来にない柔らかなパスタフィラータチーズとするためには、硬度は、60℃で、1000gf/cm以下、好ましくは100gf/cm〜1000gf/cm、とくに好ましくは300gf/cm〜800gf/cm、さらに好ましくは500gf/cm〜800gf/cmに調整する。
また、本発明で製造されるチーズの硬度は、10℃で、例えば、400gf/cm〜8600gf/cm、好ましくは、570gf/cm〜5720gf/cm、とくに好ましくは、700gf/cm〜5150gf/cmに調整することができる。
本発明のチーズを高水分のパスタフィラータチーズ(水分50%以上)とする場合は、10℃での硬度は、例えば、400gf/cm〜2300gf/cm、400gf/cm〜1780gf/cm、400gf/cm〜1200gf/cm、好ましくは、570gf/cm〜1570gf/cm、とくに好ましくは、700gf/cm〜1200gf/cmに調整することができる。
本発明のチーズを低水分のパスタフィラータチーズ(水分50%未満)とする場合は、10℃での硬度は、例えば、1570gf/cm〜5720gf/cm、好ましくは、2420gf/cm〜5430gf/cm、さらに好ましくは、3430gf/cm〜5130gf/cm、とくに好ましくは、3570gf/cm〜5130gf/cmに調整することができる。
一般に、パスタフィラータチーズとは、その製造中において、パスタフィラータ(pasta filata)プロセスを必要とするチーズであり、パスタフィラータプロセスとは、適切なpHで、チーズカードを加熱しながら、大きな塊がなくなるまで捏ね上げて、物性が滑らかになるまで混練や展延することである。
本発明におけるパスタフィラータチーズは、上記のパスタフィラータプロセスにおいて、加熱と混練とを別の工程として行うことによって調製された新しいタイプのパスタフィラータチーズである。
本発明の高水分のパスタフィラータチーズの硬度は、60℃で、好ましくは100gf/cm〜1000gf/cm、とくに好ましくは300gf/cm〜800gf/cmさらに好ましくは500gf/cm〜800gf/cmである。
一般に加熱方式は、外部加熱と内部加熱の2つに大別される。外部加熱とは、加熱対象の外部から熱を加えるものであり、例えば、従来のチーズカードを加熱する際の熱水や水蒸気による加熱方式が挙げられる。一方、内部加熱とは、電磁波エネルギーが加熱対象の内部において熱エネルギーに変換されて、加熱対象の内部から昇温されるものであり、本発明においては、内部加熱により、チーズカードの表面および内部が均一にムラなく昇温される。
本発明において、内部加熱として、ジュール加熱およびマイクロウエーブ加熱などが挙げられるが、ジュール加熱が好ましい。例えば、ジュール加熱では、チーズカードに電気を通電することにより、迅速、且つ、均一に加熱することができ、フレッシュ感およびミルク感を向上させた、ナチュラルチーズを調製することができる。過度な加熱とならないよう、その通電量(電力、電圧など)を適宜調節する。ここでいう、ジュール加熱とは、通電加熱、オーミックヒーティングなどとも称されているが、対象物に電気を通電して均一加熱する方法であれば、加熱方式の名称に関係なく、本発明でいう内部加熱に該当することは言うまでもない。また、マイクロウエーブ加熱でも、フレッシュ感およびミルク感を向上させた、弾力性があるナチュラルチーズを調製することができる。過度な加熱とならないよう、その出力などは適宜調節する。ここでいう、マイクロウエーブ加熱とは、電磁加熱、電子レンジ加熱などとも称されているが、対象物にマイクロ波を当てて対象物質を均一加熱する方法であれば、加熱方式の名称に関係なく、本発明でいう内部加熱に該当することは言うまでもない。ただし、家庭用電子レンジは、均一に加熱できない場合もあるので好ましくない。
また本発明の内部加熱としては、チーズカードを移動させながら内部加熱できる方式により、例えば、チーズカードをターンテーブルや移送管で移動させながら加熱することが、より均一な加熱を可能にするので好ましい。
本発明の内部加熱により、チーズカードは設定した所定の温度に均一に加熱される。本発明においては、混練の必要がなくなる程度に均一に加熱されており、加熱されたチーズカードの任意の部位による最大温度差は、所定の温度に対して、例えば、±9℃、好ましくは、±5℃、より好ましくは、±3℃、最も好ましくは、±0.5℃である。
本発明において、チーズカードは、チーズカード単独で、または、チーズカードを液状乳性食品と共に緩やかに加熱する。液状乳性食品と共に加熱した場合、チーズカードのフレッシュ感およびミルク感がさらに向上する。
本発明において、チーズカードを加熱する温度は、とくに限定されないが、極度の焦げ臭、および/または褐変化を防ぐように設定される。加熱されたチーズカードの温度として、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃および57℃のいずれか1つを下限値とし、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、63℃および60℃のいずれか1つを上限値とする温度範囲であればよく、例えば、30〜100℃、35〜90℃、40〜80℃、45〜70℃、50〜65℃、55〜65℃である。好ましくは、45℃〜65℃であり、さらに好ましくは、50〜63℃であり、さらに好ましくは、57〜63℃である。
本発明において、液状乳性食品とは、乳成分が含まれている液状の食品、すなわち、乳原料が含まれている液状の食品であれば、とくに限定されない。例えば、生乳、脱脂乳、部分脱脂乳、脱塩脱脂乳、成分調整乳、ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、れん乳、クリーム、乳原料由来のパーミエイト、還元乳、還元脱脂乳、還元ホエイなどが挙げられる。これらは1種類または2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、加工された原料(粉乳、バター、濃縮乳、れん乳、乳糖、乳清ミネラルなど)を改めて還元して液状化した還元乳も使用することができる。例えば、ナチュラルチーズの製造で排出されたホエイを液状乳性食品として、チーズカードと共に加熱し、混練することは、原料乳からの収率の低下を抑制する点で有効である。
本発明において、風味(例えば、熟成の風味など)や食感(例えば、クリーミーで、滑らかな食感など)を調節するために、他のナチュラルチーズ(ナチュラルチーズを製造するためのチーズカードを含む)を添加(配合)することができる。例えば、本発明のチーズカードなどを混練する前に、他のナチュラルチーズを添加して共に混練する方法や、本発明のチーズカードなどを混練した後に、他のナチュラルチーズを添加する方法などがある。
本発明のナチュラルチーズでは、塩分を調整することができる。このとき、塩分の調整方法として、例えば、混練後のナチュラルチーズに食塩などを添加して加塩する方法、前記の液状乳性食品に加塩して混練すると同時に加塩する方法、混練後の弾力性があるナチュラルチーズを塩水に浸漬する方法などがあるが、どの工程においても塩分を調整することができる。
本発明のナチュラルチーズでは、例えば、フレッシュモッツァレラのように、公知の保存液に浸漬した状態で保存をしてもよい。このとき、その保存性が確保できれば、その保存液は特に制限されない。なお、公知の保存液として、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどを添加した水(塩水)が代表的であるが、その他の原料も添加することができる。
本発明のナチュラルチーズでは、従来のパスタフィラータチーズと比べて、フレッシュ感およびミルク感が向上しているため、そのまま食することができる。また、本発明の弾力性があるナチュラルチーズでは、従来のパスタフィラータチーズと比べて、様々な料理やデザートなどの素材として加工したときに、その料理やデザートにもフレッシュ感およびミルク感を付与することができる。したがって、本発明のナチュラルチーズでは、その後の加工などは特に制限されない。
本発明のナチュラルチーズには、本発明の効果が損なわれない限り、その製造工程において、本発明で規定していない新たな工程を任意に付加することができる。
本発明のナチュラルチーズには、本発明の効果が損なわれない限り、本発明で規定していない食品原料および/または食品添加物を任意に添加することができる。
以下では、例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これにより限定されるものではない。
[例1]バッチ式ジュール加熱装置による内部加熱試験
一般的なナチュラルチーズの製造方法に準じて、殺菌して33℃まで冷却した原料乳に乳酸(10%乳酸)を添加してpH5.5まで調整し、その後に調整した原料乳にレンネット(RENCO社製(ニュージーランド))を46ppmとなるよう添加した。レンネットを添加した原料乳を40分間静置してチーズカードを形成させ、チーズカードを7mmの立方体にカッティングしてから再び30分間の静置をした。その後、ホエイを排出し、チーズカードを得た。得られたチーズカードを、排出したホエイと共に、混練せずに静置した状態で、電極リングと絶縁パイプを備えたバッチ式ジュール加熱装置(emmepiemme社製)で、電極リング間に電圧を200〜400Vの範囲で印加しながら、ジュール加熱(通電)を行い、所定の温度まで上昇するのに達した時間を計測した。ここで、温度は、加熱中に温度計を用いてカード(中心)とホエイの代表的な値を同時に測定している。結果を表1および図1に示す。
Figure 0006941921
チーズカードもホエイも、ジュール加熱によって、ほとんど同じ傾向で昇温していくことが明らかとなった。加熱開始から同じ時間で比較すると、チーズカードとホエイの温度差は1〜2℃程度となっていた。
従来のパスタフィラータチーズは、70〜80℃の熱水を用いてカードを60℃程度に昇温させるため、カードの中心と表面での温度を均一にするために、加熱と同時に混練工程が必須となる。またチーズカードは、57℃以上の高温に長い時間さらされると脂肪が遊離するため強い混練を与えて混ぜる必要があった。一方、本発明の方法では、内部加熱方式を採用することにより、チーズカード全体が温度ムラなく均一に昇温するため、部分的にでさえ、高温に曝されることがなく、チーズカードから脂肪などが溶出することを最小限にとどめることができ、乳風味の強い製品を製造することができることが確認された。
また本発明の方法では、チーズカードとホエイとの間に、温度ムラがないために、温度を均一にするための混練工程(加熱と同時の混練工程)が不要であることが確認できた。したがって、本発明の製造方法では、混練工程を加熱と同時に行う必要がなく、混練工程と加熱工程とに完全に分けて行うことができ、例えば、カードとホエイを均一に昇温させた後に混練を行うなど、必要に応じて製造工程を自由に設計することが可能である。
[例2]連続式ジュール加熱装置による内部加熱試験
生乳にクリームを混合して全固形分中の乳脂肪分の割合を40.5重量%に調整した原料乳720kgを63℃で30分間殺菌し、冷却した。次いで、30℃に調整した原料乳にグルコノデルタラクトンを0.7重量%およびレンネット(MRS(名糖産業社製))を35ppmとなるよう添加した。レンネットを添加した原料乳を40分間静置してチーズカードを形成させ、チーズカードを30mmの立方体状にカッティングしてから再びpH5.4に到達するまで静置した。その後、ホエイを排出し、チーズカードを得た。得られたチーズカードを、排出したホエイと共に、連続式ジュール加熱装置(emmepiemme社製)へ送液し、ジュール加熱(通電)を行い、所定の温度まで昇温させた。温度はジュール加熱部出口に設置した温度計を用いてホエイの温度を連続的に測定した。チーズカードの温度は、バッチ式ジュール加熱装置でジュール加熱した際と同様にホエイの温度よりも約1℃低かったが、均一に昇温されていることが確認された。
連続式ジュール加熱装置の概要図を図2に示す。ホッパーに投入されたチーズカードは、ポンプを介して管状加熱部に移送され、ジュール加熱される。また該加熱装置は、管状加熱部の出口に温度計を備えており、加熱後のチーズカードの温度を測定することができる。
連続式ジュール加熱装置における送液量を240L/hとした際のチーズカードのジュール加熱出口温度を図3に示す。図3に示すとおり、ジュール加熱後のチーズカードの温度は均一であり、所定の温度に対し、おおよそ±0.5℃で温度制御できることが確認された。
さらに、ジュール加熱装置での送液流量および使用したジュール加熱部(管状加熱部)のセクション数(管状加熱部の本数)を変更して目標温度57〜63℃に加熱した結果を表2に示す。連続式ジュール加熱装置を用いることで、75秒という短時間で目標温度に昇温可能であることが確認された。
Figure 0006941921
また、240L/hの場合も400L/hの場合も、チーズカードに温度ムラがなくほぼ一定の温度差の範囲内に制御可能であった。また、50℃、60℃および70℃のそれぞれの設定温度でジュール加熱を行った場合、いずれの温度でも、ほぼ一定の温度差の範囲内に制御可能であった。したがって、チーズカードを加熱する温度域において、流量を変化させても連続的にチーズカードを均一に加熱し続けることが可能であり、本発明のチーズが工業的に大量生産することが可能であることが確認された。
[例3]混練によるカード硬度の調整(高水分チーズ用カード)
ジュール加熱後の高水分チーズ用カードをバッチ式ニーダーで混練した時のカード硬度の変化を調べた。
カード硬度の測定には、レオテック社のレオメータRTC−3002D−Cを用いた。具体的には、試料となるチーズカードを60℃に保持した直径48mm×深さ50mmの恒温槽に100g投入し、十字状の特殊プランジャーを恒温槽開口部より5mm内側の位置から垂直に30mm針入させて加重をかけ、その時の負荷を計測した。
測定条件:温度60℃、縦30mm×横45mm×幅(厚み)1mmの2つの直方体を中心で重ね十字状に組み合わせた十字状プランジャー、テーブル上昇速度:30cm/分。
例2に記載と同様にジュール加熱したチーズカード9kgを田中テック社の小型バッチ式ニーダーLDS−50に取り、低速(20Hz)で混練した場合と、高速(40Hz)で混練した場合とのそれぞれの硬度(60℃)を経時的に測定した。測定結果を図4に示す。同図に示すとおり、高速および低速のいずれの場合も、チーズカードの硬度は混練開始から2分ほどで一気に上昇していることが分かる。また、本バッチ式ニーダーで、回転速度や時間を調整することで硬度100gf/cm〜1000gf/cmの調整が可能であることを確認した。
従来の加熱方法であるパスタフィラータでは、チーズカードでは熱水混練後、60℃の温度条件で、既に1000gf/cm以上の硬度に達しており、100gf/cm〜1000gf/cm程度の硬度の低いチーズカードを大量生産することは事実上不可能であることを確認した。
[例4]混練によるカード硬度の調整(低水分チーズ用カード)
ジュール加熱後の低水分チーズ用カードをバッチ式ニーダーで混練した時のカード硬度の変化を調べた。
カード硬度の測定には、レオテック社のレオメータRTC−3002D−Cを用いた。具体的には、試料となるチーズカードを60℃に保持した直径48mm×深さ50mmの恒温槽に100g投入し、十字状の特殊プランジャーを恒温槽開口部より5mm内側の位置から垂直に30mm針入させて加重をかけ、その時の負荷を計測した。
測定条件:温度60℃、縦30mm×横45mm×幅(厚み)1mmの2つの直方体を中心で重ね十字状に組み合わせた十字状プランジャー、テーブル上昇速度:30cm/分。
下記製造例3に記載と同様にジュール加熱したチーズカード7kgを田中テック社の小型バッチ式ニーダーLDS−50に取り、高速(40Hz)で混練した場合の硬度(60℃)を経時的に測定した。測定結果を図5に示す。同図に示すとおり、チーズカードの硬度は混練開始直後に一旦減少し、その後は混練時間に比例して上昇していることが分かる。また、本バッチ式ニーダーで、回転速度や時間を調整することで硬度100gf/cm〜3000gf/cmの調整が可能であることを確認した。
[製造例1]ジュール加熱による高水分のパスタフィラータチーズの調製
生乳にクリームを混合して全固形分中の乳脂肪分の割合を40.5重量%に調整した原料乳7kgを63℃で30分間殺菌し、冷却した。原料乳を5℃以下に冷却保持しながら、乳酸(10%乳酸)を添加してpH5.5まで調整し、その後に調整した原料乳にレンネット(RENCO社製(ニュージーランド))を46ppmとなるよう添加した。レンネットを添加した原料乳を40分間静置してチーズカードを形成させ、チーズカードを7mmの立方体にカッティングしてから再び30分間の静置をした。その後、ホエイを排出し、チーズカードを得た。得られたチーズカードを、排出したホエイと共に、電極リングと絶縁パイプを備えたジュール加熱装置(emmepiemme社製)で、電極リング間に電圧を200〜400Vの範囲で印加しながら、チーズカードの温度を33℃から57℃まで昇温させ、一般的なパスタフィラータチーズの製法で採用されている混練処理をし、パスタフィラータチーズを調製した。混練したパスタフィラータチーズに、塩分濃度が0.6重量%となるように乾塩を混ぜ込み、丸型に成形した。成形されたパスタフィラータチーズを、チーズ重量あたり等量の0.5重量%塩化ナトリウムの保存液に入れ、冷蔵保存した。得られたパスタフィラータチーズの外観は良好であった。
[製造例2]マイクロウエーブ加熱による高水分のパスタフィラータチーズの調製
生乳にクリームを混合して全固形分中の乳脂肪分の割合を40.5重量%に調整した原料乳7kgを63℃で30分間殺菌し、冷却した。原料乳を5℃以下に冷却保持しながら、乳酸(10%乳酸)を添加してpH5.5まで調整し、その後に調整した原料乳にレンネット(RENCO社製(ニュージーランド))を46ppmとなるよう添加した。レンネットを添加した原料乳を40分間静置してチーズカードを形成させ、チーズカードを7mmの立方体にカッティングしてから再び30分間の静置をした。その後、ホエイを排出し、チーズカードを得た。得られたチーズカードを、排出したホエイと共に、出力500Wの電子レンジ(東芝社製)による加熱をして、チーズカードの温度を33℃から57℃まで昇温させ、一般的なパスタフィラータチーズの製法で採用されている混練処理をし、パスタフィラータチーズを調製した。混練したパスタフィラータチーズに、塩分濃度が0.6重量%となるように乾塩を混ぜ込み、丸型に成形した。成形されたパスタフィラータチーズを、チーズ重量あたり等量の0.5重量%塩化ナトリウムの保存液に入れ、冷蔵保存した。得られたパスタフィラータチーズの外観は良好であった。
[製造例3]ジュール加熱による低水分のパスタフィラータチーズの調製
生乳にクリームを混合して全固形分中の乳脂肪分の割合を32.0重量%に調整した原料乳7kgを63℃で30分間殺菌し、冷却した。次いで、30℃に調整した原料乳に塩化カルシウム・2水和物を0.03重量%、グルコノデルタラクトンを0.7重量%およびレンネット(MRS(名糖産業社製))を35ppmとなるよう添加した。レンネットを添加した原料乳を15分間静置してチーズカードを形成させ、チーズカードを5mmの立方体状にカッティングした。30分間静置後に撹拌を行いながら35℃まで加温し、チーズカードからのホエイ排出を促した。pH5.4に到達後、ホエイを排出し、チーズカードを得た。得られたチーズカードを、排出したホエイと共に、電極リングと絶縁パイプを備えたバッチ式ジュール加熱装置(emmepiemme社製)で、電極リング間に電圧を200〜400Vの範囲で印加しながら、チーズカード温度を35℃から60℃まで昇温させた。ジュール加熱したチーズカード500g、ホエイ200g、乾塩10gを卓上バッチニーダー(入江商会社製)に投入して28rpmで90秒間混練し、低水分のパスラフィラータチーズを調整した。丸型に成形後、真空包装し、冷蔵保存した。得られた低水分のパスラフィラータチーズの外観は良好であった。
[比較例1]温水加熱による高水分のパスラフィラータチーズの調製
生乳にクリームを混合して全固形分中の乳脂肪分の割合を40.5重量%に調整した原料乳7kgを63℃で30分間殺菌し、冷却した。原料乳を5℃以下に冷却保持しながら、乳酸(10%乳酸)を添加してpH5.5まで調整し、その後に調整した原料乳にレンネット(RENCO社製(ニュージーランド))を46ppmとなるよう添加した。レンネットを添加した原料乳を40分間静置してチーズカードを形成させ、チーズカードを7mmの立方体にカッティングしてから再び30分間の静置をした。その後、ホエイを排出し、チーズカードを得た。得られたチーズカードを、85℃の温水の中で、チーズカードの温度を33℃から57℃まで昇温させ、一般的なパスラフィラータチーズの製法で採用されている混練処理をし、パスラフィラータチーズを調製した。混練したパスラフィラータチーズに、塩分濃度が0.6重量%となるように乾塩を混ぜ込み、丸型に成形した。成形されたパスラフィラータチーズを、チーズ重量あたり当量の0.5重量%塩化ナトリウムの保存液に入れ、冷蔵保存した。得られたパスラフィラータチーズの外観は良好であった。
[比較例2]温水加熱による低水分のパスラフィラータチーズの調製
生乳にクリームを混合して全固形分中の乳脂肪分の割合を32.0重量%に調整した原料乳7kgを63℃で30分間殺菌し、冷却した。次いで、30℃に調整した原料乳に塩化カルシウム・2水和物を0.03重量%、グルコノデルタラクトンを0.7重量%およびレンネット(MRS(名糖産業社製))を35ppmとなるよう添加した。レンネットを添加した原料乳を15分間静置してチーズカードを形成させ、チーズカードを5mmの立方体状にカッティングした。30分間静置後、撹拌を行いながら35℃まで加温し、チーズカードからのホエイ排出を促した。pH5.4に到達後、ホエイを排出し、チーズカードを得た。得られたチーズカード350gおよび85℃の温水350gを卓上バッチニーダー(入江商会社製)に投入して28rpmで90秒間混練後、温水を排出して再度85℃の温水350gを卓上バッチニーダーに投入し、90秒間混練した。再度、温水を排出して85℃の温水および乾塩10gを卓上バッチニーダーに投入し、28rpmで90秒間の混練を行い、低水分のパスラフィラータチーズを調製した。丸型に成形後、真空包装して冷蔵保存した。得られた低水分のパスラフィラータチーズの外観は良好であった。
[官能評価試験]
製造例1〜3並びに比較例1および2について、専門パネラーの5名で、各パスタフィラータチーズの官能評価を実施した。この官能評価では、ミルク風味、食感を評価の項目とし、「5、4、3、2、1」の5段階で評価の程度を表現した。ここでいう、ミルク風味とは、口に含んだミルクの風味(香味や呈味など)の強さを意味し、評価5が「極めて良好」、評価4が「良好」、評価3が「製品として許容できるレベル」、評価2が「不良」、評価1が「極めて不良」を意味する。食感はパスタフィラータチーズとしての適当な食感を意味し、評価5が「極めて良好」、評価4が「良好」、評価3が「製品として許容できるレベル」、評価2が「不良」、評価1が「極めて不良」を意味する。これらの各パスタフィラータチーズの官能評価における専門パネラーの5名の平均値を表3に示した。なお、この官能評価は、冷蔵保存の開始から4日後に実施した。
Figure 0006941921
表3より、ミルク風味の評価の項目においては、その平均値は、製造例1では4.4、製造例2では4.2、製造例3では4.4、比較例1では3.0、比較例2では3.0であった。製造例1、製造例2および製造例3は、比較例1および2よりもミルク感の強いフレッシュなチーズであることがわかった。また、表3より、食感の項目においては、その平均値は、製造例1では4.0、製造例2では3.8、製造例3では4.4、比較例1では4.2、比較例2では4.0であった。製造例1、製造例2、製造例3、比較例1、比較例2は弾力性のあるチーズとして同等の食感であることがわかった。
官能評価試験の結果から、チーズカードをホエイ中で加熱混練した場合、水中で加熱混練した場合よりも、ミルク感の強いフレッシュな高水分のパスタフィラータチーズや低水分のパスタフィラータチーズを調製できることが明らかとなった。かかる結果は、本発明の加熱と混練とが別工程のナチュラルチーズの製造方法においても、ホエイ中で加熱することによって、よりミルク感が強く、フレッシュなナチュラルチーズが製造できることが予測される。
[例5]チーズの硬度試験
本発明のチーズ(製造例1および3)および市販のチーズの硬度を測定した。測定には、FUDOHレオメータRTC−3002D−C(株式会社レオテック社製)を用いた。
各チーズの温度を10℃に調整し、15mmの厚さに切断したものを試料とし、試料に直径3mmの丸棒型プランジャーを15cm/分の速度で10mm針入した時の負荷(硬度)および最大応力を測定し、硬さの指標とした。
結果を表4および5に示す。
Figure 0006941921
Figure 0006941921
表4および表5に示されるように、本発明のチーズ製品の硬度は自在に調整することができた。とくに、製造例1は、従来にない柔らかさを有するパスタフィラータチーズ製品であることが確認された。
本発明によれば、ナチュラルチーズを製造する方法において、チーズカードを内部加熱方式により加熱することによって、加熱工程と混練工程とを完全に分離することができ、必要に応じて製造工程を自由に設計することが可能である。また本発明によれば、従来法においては製造できない柔らかなパスタフィラータチーズなどの全く新しいチーズ製品を提供することができる。

Claims (3)

  1. チーズカードから、10℃での硬度が、400gf/cm〜1200gf/cmである、パスタフィラータチーズを製造する方法であって、
    ここで、硬度は、15mmの厚さに切断したパスタフィラータチーズを試料とし、試料に直径3mmの丸棒型プランジャーを15cm/分の速度で10mm針入した時の負荷を測定したものであり、
    チーズカードを内部加熱により混練することなく均一に加熱することを含み、
    チーズカードが、ホエイとともに加熱され、
    内部加熱により均一に加熱した後のチーズカードの60℃での硬度が、100gf/cm〜1000gf/cmであり、
    内部加熱により均一に加熱した後のチーズカードを混練して硬度を調整することを含む、前記方法。
  2. 内部加熱が、ジュール加熱またはマイクロウエーブ加熱である、請求項1に記載の方法。
  3. ジュール加熱またはマイクロウエーブ加熱が、チーズカードが移動されながらなされる、請求項1または2に記載の方法。
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