JP7197902B2 - モッツァレラチーズ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、モッツァレラチーズ及びその製造方法に関する。
モッツァレラチーズは、原料の乳をレンネットで凝固して凝乳を得て、得られた凝乳をチーズカードとホエイとに分離し、チーズカードを加熱しながら混練することなどによって製造されるチーズの1種である(非特許文献1)。
モッツァレラチーズは、あっさりとしたくせの無い味わいで、独特の弾力ある歯ごたえがあるという性質を有する。その性質のために、モッツァレラチーズは、インサラータ・カプレーゼなどのサラダの他に、マルゲリータやチーズホイル焼きといった加熱して調理される料理に使用され、食される。
NPO法人チーズプロフェッショナル協会、「チーズを科学する」、2016年
しかし、モッツァレラチーズは、加熱調理後に温度が低下してくると、ゴムのような弾性のガミー感や口腔内で塊として感じるような硬さの食感になり、好ましくないという問題がある。
そこで、本発明は、加熱調理後に温度が低下しても、食感におけるガミー感又は硬さが低減されたモッツァレラチーズ及びその製造方法を提供することを、発明が解決しようとする課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねたところ、モッツァレラチーズを加熱調理後に温度が低下した際に硬くなる原因として、モッツァレラチーズの保水性が低く、加熱調理によってチーズから水分が滲出し、さらに加熱調理後に温度が低下することによって、モッツァレラチーズを構成するカゼインミセル同士の結びつきが強固な状態となってしまうのではないかと考えた。そして、本発明者らは、保水性を高めつつ、カゼインミセル同士の結びつきを弱めたモッツァレラチーズであれば、加熱調理後に温度が低下しても硬くならないのではないかという考えに至った。
上記のような考えに基づいて、さらに試行錯誤を繰り返したところ、驚くべきことに、所定の保水性及びタンパク質分解度を有するチーズカードを用いて作製したモッツァレラチーズは、加熱調理後に温度が低下しても柔らかく、食感に優れたものであることを見出した。
本発明者らは、これらの知見を基にして、遂に、加熱調理後に温度が低下しても、食感におけるガミー感又は硬さが低減されたモッツァレラチーズを創作することに成功した。本発明はこのような知見及び成功例に基づいて完成するに至った発明である。
したがって、本発明の一態様によれば、以下[1]~[4]のモッツァレラチーズ及び方法が提供される。
[1]原料は取水量が8ml以下である保水性を有し、及びタンパク質分解度が1.1以上であるチーズカードである、モッツァレラチーズ。
[2]前記モッツァレラチーズは、加熱後に温度が低下した際の硬度が0.6kgf以下であるモッツァレラチーズである、請求項1に記載のモッツァレラチーズ。
[3]取水量が8ml以下である保水性を有し、及びタンパク質分解度が1.1以上であるチーズカードを加熱及び混練することにより、モッツァレラチーズを得る工程を含む、モッツァレラチーズの製造方法。
[4]取水量が8ml以下である保水性を有し、及びタンパク質分解度が1.1以上であるチーズカードを用いて、得られるモッツァレラチーズの加熱後に温度が低下した際の硬度を0.6kgf以下にさせる工程を含む、モッツァレラチーズの硬度の低下方法。
本発明の一態様のモッツァレラチーズによれば、インサラータ・カプレーゼなどの加熱調理しない料理だけでなく、マルゲリータやチーズホイル焼きなどの加熱調理する料理を、嗜好性の高い料理にすることができる。
本発明の一態様の方法によれば、所定のチーズカードを使用することにより、簡便かつ工業的規模で本発明の一態様のモッツァレラチーズを生産すること、及びモッツァレラチーズの加熱後に温度が低下した際の硬度を低下させることが可能である。
図1Aは、後述する実施例に記載されているとおりの、チーズカードAについて、冷却保存期間中に経時的に保水性試験を実施した結果を示す。 図1Bは、後述する実施例に記載されているとおりの、チーズカードBについて、冷却保存期間中に経時的に保水性試験を実施した結果を示す。 図2は、後述する実施例に記載されているとおりの、チーズカードBについて、冷却保存期間中に経時的にタンパク質分解試験を実施した結果を示す。
以下、本発明の一態様であるモッツァレラチーズ及び方法の詳細について説明するが、本発明の技術的範囲は本項目の事項によってのみに限定されるものではなく、本発明はその目的を達成する限りにおいて種々の態様をとり得る。
本明細書における各用語は、別段の定めがない限り、当業者により通常用いられている意味で使用され、不当に限定的な意味を有するものとして解釈されるべきではない。また、本明細書においてなされている憶測や推論は、本発明者らのこれまでの知見や経験によってなされたものであることから、本発明の技術的範囲はこのような憶測や推論のみによって拘泥されるものではない。
「及び/又は」との用語は、列記した複数の関連項目のいずれか1つ、又は2つ以上の任意の組み合わせ若しくは全ての組み合わせを意味する。
「含有量」は、濃度と同義であり、組成物の全体量に対する成分の量の割合を意味する。ただし、成分の含有量の総量は、100%を超えることはない。
数値範囲の「~」は、本明細書において、その前後の数値を含む範囲であり、例えば、「0質量%~100質量%」は、0質量%以上であり、かつ、100質量%以下である範囲を意味する。
本発明の一態様のモッツァレラチーズは、使用される原料が所定のチーズカードであることに特徴がある。
モッツァレラチーズは、通常知られているとおりのモッツァレラチーズであれば特に限定されないが、例えば、レンネットを用いて乳成分を凝固して得られるチーズカードを加熱及び混練することにより得られるチーズであり、このようにしてチーズとして成形した後に熟成をせずに得られるフレッシュチーズの1種であるといえる。
モッツァレラチーズは、ソフトな弾力があり、加熱するとよく伸びるという性質を有する。モッツァレラチーズのその他の特性は、例えば、国連の食糧農業機構(FAO)及び世界保健機構(WHO)の合同食品規格委員会(CODEX)の「CODEX STAN 262-2006 CODEX STANDARD FOR MOZZARELLA」の「2.DESCRIPTION」に記載されている事項を参照できる。
本発明の一態様のモッツァレラチーズの原料となるチーズカードは、所定の保水性及びタンパク質分解度を有するチーズカードである。このようなチーズカードを原料として用いることにより、本発明の一態様のモッツァレラチーズは、加熱調理する料理に使用し、さらに該料理の温度が低下しても、柔らかみが感じられる優れた食感を示し得る。
チーズカードが有する保水性は、後述する実施例における「2-1.チーズカードの保水性試験」に記載の方法によって測定及び決定される。すなわち、チーズカードが有する保水性は、切断したチーズカードを加熱した後に遠心分離に供して得られるチーズカードから取り出された水の量(取水量)によって評価される。
チーズカードが有する保水性は、取水量が8ml以下である保水性であれば、その下限については特に限定されず、例えば、取水量が実質的に0mlである保水性であってもよい。取水量が少ないほど、保水性が良いと評価できることから、チーズカードが有する保水性は、取水量が0ml~7mlである保水性であることが好ましく、取水量が0ml~6mlである保水性であることがより好ましく、取水量が0ml~4mlである保水性であることがさらに好ましい。
チーズカードが有するタンパク質分解度は、後述する実施例における「2-2.チーズカードのタンパク質分解試験」に記載の方法によって測定及び決定される。チーズカードが有するタンパク質分解度は、切断したチーズカードを混ぜ合わせた後、加熱した状態でホモゲナイズ処理し、次いで酸性条件にpHを調整し、さらにろ過して得られるろ液の280nmの吸光度の値によって表される。すなわち、得られた吸光度の値が1.1であれば、タンパク質分解度は「1.1」と評価される。
チーズカードが有するタンパク質分解度は、1.1以上であれば、その上限については特に限定されないが、例えば、タンパク質分解度が大きくなりすぎることにより、モッツァレラチーズの独特の弾力性が損なわれるおそれがあることから、1.8以下であることが好ましい。したがって、チーズカードが有するタンパク質分解度は、1.1~1.8であることが好ましく、1.1~1.6であることがより好ましく、1.2~1.4であることがさらに好ましい。
本発明の一態様のモッツァレラチーズの原料となるチーズカードの具体例は、取水量が0~8mlである保水性を有し、及びタンパク質分解度が1.1~1.8であるチーズカード;取水量が0~6mlである保水性を有し、及びタンパク質分解度が1.1~1.6であるチーズカード;取水量が0~4mlである保水性を有し、及びタンパク質分解度が1.2~1.4であるチーズカードなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の一態様のモッツァレラチーズの原料となるチーズカードを製造する方法は、上記のように所定の保水性及びタンパク質分解度を有するチーズカードが得られる方法であれば特に限定されない。チーズカードを製造する方法としては、例えば、後述する実施例の「1-1.チーズカードの製造」に記載の方法などが挙げられる。使用する生乳やレンネットの種類や量、抗生物質などのその他の添加物の有無や量、殺菌や乳酸菌発酵の回数やタイミングなどの条件、チーズカードとホエイとの分離方法などは当業者によって適宜変更及び設定し得る。
ただし、後述する実施例に記載の方法に従って作製した直後のチーズカードは、所定の保水性及びタンパク質分解度を有するチーズカードではない。所定の保水性及びタンパク質分解度を有するチーズカードは、例えば、後述する実施例に記載の方法や常法に従って作製したチーズカードを冷却保存し、その期間を延長することなどにより得ることができる。
チーズカードを冷却する保存期間は、チーズカードが所定の保水性及びタンパク質分解度になるような期間であれば特に限定されないが、例えば、チーズカードを後述する実施例に記載の方法に従って作製する場合は、35日以上であり、好ましくは40日以上であり、より好ましくは45日以上であり、さらに好ましくは50日以上である。チーズカードを冷却する保存期間の上限は、チーズカードのタンパク質分解度を考慮に入れれば、70日以下であることが好ましく、60日以下であることがより好ましく、55日以下であることがさらに好ましい。
本発明の一態様のモッツァレラチーズの原料となるチーズカードを製造する方法の具体的態様としては、例えば、搾乳した生乳を殺菌処理に供した後に冷却して殺菌冷却した乳を得る工程;殺菌冷却した乳に乳酸菌及び塩化カルシウムなどの塩類を添加したものを、乳酸菌の培養に適した温度に維持して乳酸発酵に供して発酵乳を得る工程;発酵乳にレンネットを添加したものを、レンネットによる凝固が発揮される温度に維持して凝固処理に供して凝乳を得る工程;凝乳をカッティングしてホエイの一部を分離及び除去し、さらに加温処理、予備圧搾処理及び2次発酵処理に順次供して発酵物を得る工程;発酵物を成形及び冷却し、さらに食塩水を用いた浸漬処理に供してチーズカードを得る工程;チーズカードを包装して、4℃~8℃の冷蔵庫内に35日~70日間保存することにより、所定の保水性及びタンパク質分解度を有するチーズカードを得る工程を含む方法などが挙げられるが、これに限定されない。
所定の保水性及びタンパク質分解度を有するチーズカードを原料として用いて得られる本発明の一態様のモッツァレラチーズは、加熱後に温度が低下した後であっても、柔らかみのある優れた食感を示す。本発明の一態様のモッツァレラチーズの食感は、例えば、後述する実施例における「2-4.モッツァレラチーズの硬度試験」に記載の方法によって測定及び決定される、モッツァレラチーズを加熱後に温度が低下した際の硬度によって評価し得る。モッツァレラチーズが有する硬度は、加熱後に温度が低下したモッツァレラチーズをレオメーターを用いて硬度として測定された値によって表される。
加熱後に温度が低下した際の硬度が0.6kgfより大きいモッツァレラチーズはガミー感や硬さが感じられるものであることから、モッツァレラチーズが有する加熱後に温度が低下した際の硬度は、0.6kgf以下、すなわち、0.64kgf以下であることが好ましく、0.50kgf以下であることがより好ましく、0.30kgf以下であることがさらに好ましく、0.25kgf以下であることがなおさらに好ましい。モッツァレラチーズが有する加熱後に温度が低下した際の硬度の下限は、適度な弾力性を示し得るために、0.10kgf以上であることが好ましい。
本発明の一態様のモッツァレラチーズのその他の物理化学的性質、例えば、水分、タンパク質量、脂肪分、pHなどについては、市販のモッツァレラチーズと同程度である。
本発明の一態様のモッツァレラチーズは、所定の保水性及びタンパク質分解度を有するチーズカードを用いて、常法に従って製造することができる。例えば、本発明の一態様のモッツァレラチーズは、所定の保水性及びタンパク質分解度を有するチーズカードを加熱及び混練することにより、モッツァレラチーズを得る工程を含む方法などによって製造することができるが、本発明の一態様のモッツァレラチーズを製造する方法は該方法に限定されない。
本発明の一態様のモッツァレラチーズを製造する方法の具体的態様としては、例えば、所定の保水性及びタンパク質分解度を有するチーズカードを、水蒸気又は温水を用いて加熱した後に、又は加熱しながら、手動又は機械的に混練することにより、モッツァレラチーズを得る工程を含む方法などが挙げられるが、これに限定されない。
本発明の別の一態様は、本発明の一態様のモッツァレラチーズを製造する方法としての、モッツァレラチーズの製造方法である。本発明の一態様のモッツァレラチーズの製造方法は、所定の保水性及びタンパク質分解度を有するチーズカード、すなわち、取水量が8ml以下である保水性を有し、及びタンパク質分解度が1.1以上であるチーズカードを加熱及び混練することにより、モッツァレラチーズを得る工程を少なくとも含む。
本発明の別の一態様は、モッツァレラチーズの硬度の低下方法である。本発明の一態様のモッツァレラチーズの硬度の低下方法は、取水量が8ml以下である保水性を有し、及びタンパク質分解度が1.1以上であるチーズカードを用いて、得られるモッツァレラチーズの加熱後に温度が低下した際の硬度を0.6kgf以下にする工程を少なくとも含む。また、モッツァレラチーズの加熱後に温度が低下した際の硬度を0.6kgf以下にすることにより、得られるモッツァレラチーズは食感が向上することから、本発明の一態様のモッツァレラチーズの硬度の低下方法は、モッツァレラチーズの食感の向上方法と表現することもできる。
本発明の一態様の方法は、本発明の課題を解決し得る限り、上記した工程の前段若しくは後段又は工程中に、種々の工程や操作を加入することができる。
本発明の一態様のモッツァレラチーズは、それ単独で、若しくは様々な食材と合わせて、非加熱調理又は加熱調理に供して食することができる。本発明の一態様のモッツァレラチーズを用いた料理は、加熱調理後に温度が下がった状態でも、モッツァレラチーズに由来するガミー感や硬さの食感が低減されたものであることから、弁当用の具材などとしても有用である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
[例1.チーズカード及びモッツァレラチーズの製造]
1-1.チーズカードの製造
搾乳した生乳を74℃、15秒及び74℃、20秒の条件で順次殺菌した。殺菌後の乳をチーズカード製造用OSTバットに入れて、30~35℃に冷却した。冷却後の乳に、乳酸菌及び塩化カルシウムを添加し、乳の温度を35.0℃に維持して、乳のpHが6.4程度になるまで(又は1時間程度)発酵を行い、発酵乳を得た。
得られた発酵乳に、微生物レンネット(「Fromase(登録商標)」;DSM社製)を添加して、発酵乳の温度を35℃に維持することにより、発酵乳が凝固した凝乳を得た。
得られた凝乳をカッティングしてホエイの一部を分離及び除去し、チーズカード及びホエイの混合物を得た。得られた混合物を45℃の温水に浸漬し、次いで予備圧搾をした後に残存するホエイのpHが5.4になるまで2次発酵に供した。得られた発酵物を成形し、12℃に冷却した後、20w/v%飽和食塩水に4~8時間浸漬することにより、チーズカードを得た。
得られたチーズカードは、包装して、6℃の冷蔵庫内に冷却保存した。冷却保存後24時間のチーズカードのpHは5.3~5.7であり、水分は42~46%であった。
冷却保存したチーズカードを、経時的に保水性試験及びタンパク質分解試験に供した。
1-2.モッツァレラチーズの製造
チーズカードに水蒸気を添加して加熱し、次いでストレッチングすることにより、モッツァレラチーズを得た。
[例2.チーズカード及びモッツァレラチーズの特性評価]
2-1.チーズカードの保水性試験
包丁で賽の目に切ったチーズカードを、ミキサーにかけて切断した。切断したチーズカード 100gを、遠心分離機用の遠沈管に入れて、60℃に温めたオーブン内で2時間静置した。保温した遠沈管を、12,500G、25℃、1時間15分の条件で遠心分離に供した。遠心分離後に得た上清を入れた遠沈管を、3,000rpm、10分間の条件で遠心分離に供した。分離した水の量(取水量)は、遠沈管の目盛を読むことで確認した。
2-2.チーズカードのタンパク質分解試験
チーズカードを1/4サイズにカットし、薄切りにした後、5mm大の大きさにみじん切りにした。みじん切りにしたチーズカードを、まな板上でよく混ぜ合わせた。ホモゲナイザーの容器に、混ぜ合わせたチーズカード 10.0gを入れ、次いで60℃のイオン交換水を入れることにより全量を100gとした。
チーズカード及び水を入れた容器を、10,000rpm、1分間の条件でホモゲナイザーに供した。次いで、得られたホモゲナイズ処理物を、200ml容のビーカーに移し、スターラーを入れて撹拌しながら、pHが4.6となるように1N HClを滴下した。
pH調整後のホモゲナイズ処理物を、4℃の冷蔵庫内で1時間静置した後、ヒダ折りにしたろ紙(5A、150mm)を用いてろ過して、ろ液を得た。得られたろ液をさらに孔径が0.45μmのフィルターを用いたフィルターろ過に供して得られたろ液について、分光光度計を用いて280nmの吸光度を測定し、得られた値をタンパク質分解度とした。なお、吸光度測定に際してブランクはイオン交換水を用いて測定して得られた値とした。
2-3.チーズカード及びモッツァレラチーズの物性試験
チーズカード及びモッツァレラチーズの水分、脂肪分、タンパク質量及びpHは、チーズ分析装置(「フードスキャン 2 Dairy」;FOSS社製)を用いて測定した。
2-4.モッツァレラチーズの硬度試験
200ml容ガラスビーカーにモッツァレラチーズ 50gを投入して、電子レンジを用いて600w、120秒の条件で加熱してチーズを溶解した。溶解後のチーズ厚さは15mmであった。
溶解したチーズを、約10分間、室温の条件で冷却して荒熱を取り、チーズの温度が40℃~45℃に低下したところで、レオメーター(「FUDOH RHEO METER RTC-3002」;レオテック社製)を用いて硬度を測定した。レオメーターの設定は、プランジャー:20mmΦ、進入距離:0.5mm、最大2k/20Nとした。また、測定箇所によりばらつきが生じることから、位置をずらして3点で計測し、平均値を硬度とした。
2-5.チーズカードの試験結果及び評価
例1の1-1に記載の方法により作製した2種類のチーズカードA及びチーズカードBについて、冷却保存期間中に経時的に保水性試験を実施した結果をそれぞれ図1A及び図1Bに示す。
図1A及び図1Bが示すとおりに、冷却保存期間が30日以上であるチーズカードは、安定して取水量が8ml以下であった。
また、チーズカードBについて、冷却保存期間中に経時的にタンパク質分解試験を実施した結果を図2に示す。
図2が示すとおりに、冷却保存期間が40日以上であるチーズカードは、安定してタンパク質分解度が1.1以上であった。
これらの結果より、冷却保存期間が40日以上であるチーズカードは、取水量が8ml以下であり、及びタンパク質分解度が1.1以上であるチーズカードであることがわかった。
2-6.モッツァレラチーズの試験結果及び評価
チーズカードBを43日間及び50日間冷却保存して得たチーズカードを用いて、例1の1-2に記載の方法により実施例1~2のモッツァレラチーズを作製した。例1の1-1に記載の方法により作製したチーズカードCを40日間及び46日間冷却保存して得たチーズカードを用いて、同様の方法により、実施例3~4のモッツァレラチーズを作製した。例1の1-1に記載の方法により作製したチーズカードDを32日間冷却保存して得たチーズカードを用いて、同様の方法により、比較例1のモッツァレラチーズを作製した。市販のチーズカード(「NISKY」(Cagilata 45% F.i.Tr.Block);molkerei niesky社製)を用いて、同様の方法により、比較例2のモッツァレラチーズを作製した。
実施例1~4及び比較例1~2のモッツァレラチーズについて、硬度及び物性を測定した。このうち、硬度の測定結果を表1に示す。
Figure 0007197902000001
表1に示すとおり、冷却保存期間が40日以上であるチーズカード、すなわち、取水量が8ml以下であり、及びタンパク質分解度が1.1以上であるチーズカードを用いて作製したモッツァレラチーズは、加熱後に温度が低下した後であっても、比較例1~2のモッツァレラチーズと比較して、硬度が小さく、柔らかいものであった。さらに、実施例1~4のモッツァレラチーズは、市販されている一般的なモッツァレラチーズと同程度の物性を有していた。
また、モッツァレラチーズを加熱後に温度が低下した後の食感を官能的に評価したところ、比較例1~2のモッツァレラチーズはガミー感又は硬さが感じられるものであったが、実施例1~4のモッツァレラチーズはそのような食感が感じられずに、柔らかみのある食感に優れたものであった。
したがって、取水量が8ml以下であり、及びタンパク質分解度が1.1以上であるチーズカードを用いて作製したモッツァレラチーズは、加熱調理する料理に使用しても、柔らかみが感じられる、食感に優れたものであることがわかった。
本発明によれば、それ単独で、若しくは様々な食材と合わせて、非加熱調理又は加熱調理に供して食することができるモッツァレラチーズを、工業的規模で製造及び使用することができる。


Claims (3)

  1. 原料は取水量が8ml以下である保水性を有し、及びタンパク質分解度が1.1以上であるチーズカードであかつ加熱後に温度が低下した際の硬度が0.6kgf以下である、モッツァレラチーズ。
  2. 取水量が8ml以下である保水性を有し、及びタンパク質分解度が1.1以上であるチーズカードを加熱及び混練することにより、加熱後に温度が低下した際の硬度が0.6kgf以下であるモッツァレラチーズを得る工程を含む、モッツァレラチーズの製造方法。
  3. 取水量が8ml以下である保水性を有し、及びタンパク質分解度が1.1以上であるチーズカードを用いて、得られるモッツァレラチーズの加熱後に温度が低下した際の硬度を0.6kgf以下にさせる工程を含む、モッツァレラチーズの硬度の低下方法。
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