JPH11221014A - プロセスチーズ及びその製造方法 - Google Patents

プロセスチーズ及びその製造方法

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JPH11221014A
JPH11221014A JP10044371A JP4437198A JPH11221014A JP H11221014 A JPH11221014 A JP H11221014A JP 10044371 A JP10044371 A JP 10044371A JP 4437198 A JP4437198 A JP 4437198A JP H11221014 A JPH11221014 A JP H11221014A
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彰 木村
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正弘 佐々木
Tsuguaki Nishitani
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融塩を含有せず、加熱時に優れた糸曳き性
を示し、滑らかな組織及び風味の良いプロセスチーズ及
びその製造法の提供。 【解決手段】 多糖を産生する乳酸菌を用いて調製した
熟度指標30%以下のナチュラルチーズを、他のチーズに
30%以上配合し、溶融塩を添加せずに加熱乳化してプロ
セスチーズを製造する方法。このようにして得られたプ
ロセスチーズ。チーズの原料乳として低脂肪乳を用いて
低脂肪プロセスチーズを得ることができる。溶融塩に由
来するリンの過剰摂取を防ぐことができ、品質のよいプ
ロセスチーズを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融塩を添加する
ことなく、加熱乳化して得られる滑らかな組織を有し、
風味も良好で、加熱時に優れた糸曵き性を示すプロセス
チーズ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プロセスチーズは、原料となるナチュラ
ルチーズを粉砕し、これにリン酸ナトリウム等の溶融塩
を添加し、加熱乳化して均質な乳化物を調製し、冷却す
ることにより得られる。乳化時に添加する溶融塩のナト
リウムイオンがナチュラルチーズのカゼイン凝固に介在
したカルシウムイオンと交換され、カゼインのつながり
を分断する。ここで適度な加温と攪拌を与えることによ
り、蛋白質と脂肪が均一に混合される。このように、従
来からプロセスチーズの製造では、粉砕したナチュラル
チーズを加熱乳化する際に、脂肪と蛋白質の乳化を促進
させると共に乳化状態を安定化させる目的で、溶融塩を
添加している。溶融塩を添加せずにプロセスチーズを製
造する方法も報告されている (巽清、Snow Brand R&D R
eport 96,225 (1992)) が、溶融塩を添加せずに製造し
たプロセスチーズは、食べたときの食感が滑らかさに欠
け、もろくて硬い組織となりやすく、製造の際にも乳化
状態が不安定となり、脂肪分離や離水が生じやすい。そ
のため、従来からプロセスチーズの製造では、溶融塩を
添加することが必須である。
【0003】一方で、栄養学上、カルシウムの吸収は、
カルシウム:リンのバランスがある一定の範囲で良好で
あるが、リンの摂取量が増えることにより、カルシウ
ム:リンのバランスが崩れると、カルシウムの吸収が妨
げられるという報告(H. H. Draper and C. A. Scythe
s, Fed. Proc., 40, 2434 ('81))もある。従って、溶
融塩、特にリン酸塩の使用量を抑えることが栄養学的に
も望まれている。
【0004】また、プロセスチーズは滑らかな組織と良
好な風味、さらに加熱調理した際の良好な溶融性や糸曵
き性等の機能特性を有することから、その需要も堅調に
伸びている。プロセスチーズに加熱時の良好な糸曵き性
等の機能特性を付与するには、原料チーズとして熟度の
低いチーズを用いるか、乳化の際に添加する溶融塩の添
加量を少なくすればよい。チーズの糸曵き性は、チーズ
中に存在するカゼインの構造の強さに依存しており、熟
成の進行や溶融塩の添加によってカゼインの構造が壊れ
ると、糸曵き性も低下する。従って、熟度の低い原料チ
ーズを用いてプロセスチーズを製造すると、良好な糸曵
き性は付与できる。しかしながら、このようにして得ら
れるプロセスチーズは、風味の乏しいチーズとなる。一
方で、熟度の高い原料チーズを用いてプロセスチーズを
製造すると、風味の豊かなチーズは得られるが、糸曵き
性は低下する。さらに、溶融塩の添加量を少なくすれ
ば、良好な糸曵き性は付与できるが、乳化時に脂肪分離
や離水が生じやすくなる。
【0005】また、近年、国民一人当たりの脂肪摂取量
の増加にともなって、成人病(生活習慣病ともいわれて
いる)の発症率が増加している。このことから、脂肪の
摂り過ぎは好ましくなく、プロセスチーズにおいても脂
肪含量の低いものが市販されているが、これら低脂肪タ
イプのプロセスチーズは組織が脆く、硬くなり滑らかさ
に欠ける傾向がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような現状におい
て、プロセスチーズには(1) 加熱調理時に良好な糸曵き
性を示すこと、(2) 溶融塩を使用しないこと、(3) 風
味、組織が良好であること、さらに (4)低脂肪であるこ
とが求められているが、そのようなプロセスチーズは未
だ提供されていない。従って、本発明は溶融塩を添加す
ることなく、加熱乳化して調製したプロセスチーズであ
って、加熱時に良好な糸曵き性、良好な風味及び組織を
有するプロセスチーズ及びその製造方法を提供すること
を課題とする。また、本発明は溶融塩を添加することな
く、加熱乳化して調製した低脂肪のプロセスチーズであ
って、上記と同様な特性を有する低脂肪のプロセスチー
ズ及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を行なった結果、プロセスチ
ーズ製造の際に使用する原料チーズに着目した。すなわ
ち、原料チーズとして多糖を産生する乳酸菌を用いて調
製したナチュラルチーズを用いることにより、溶融塩を
添加しなくとも乳化が良好に行なわれ、しかも得られた
プロセスチーズが加熱時に良好な糸曵き性を示し、風
味、組織の良好なプロセスチーズとなることを見いだし
た。さらに、低脂肪乳を用いて上記乳酸菌を添加して、
調製されるナチュラルチーズを用いても、溶融塩を添加
しなくとも乳化が良好であり、糸曵き性、風味、組織の
良好な低脂肪プロセスチーズが得られることを見いだし
た。
【0008】本発明は、多糖を産生する乳酸菌を用いて
調製した熟度指標30%以下のナチュラルチーズを30%以
上配合し、溶融塩を添加することなく、加熱乳化するこ
とを特徴とする加熱時に優れた糸曳き性を示すプロセス
チーズの製造方法に関する。本発明は、また低脂肪乳
に、多糖を産生する乳酸菌を用いて調製した熟度指標30
%以下、脂肪率が10〜30%のナチュラルチーズを30%以
上配合し、溶融塩を添加することなく、加熱乳化するこ
とを特徴とする加熱時に優れた糸曳き性を示す低脂肪プ
ロセスチーズの製造方法に関する。本発明はまた、多糖
を産生する乳酸菌を用いて調製した熟度指標30%以下の
ナチュラルチーズを30%以上配合し、溶融塩を添加する
ことなく、加熱乳化することにより得られる加熱時に優
れた糸曳き性を示すプロセスチーズに関する。本発明
は、また低脂肪乳に、多糖を産生する乳酸菌を用いて調
製した熟度指標30%以下、脂肪率が10〜30%のナチュラ
ルチーズを30%以上配合し、溶融塩を添加することな
く、加熱乳化することにより得られる加熱時に優れた糸
曳き性を示す低脂肪プロセスチーズに関する。
【0009】本発明では、原料チーズを製造する際に乳
酸菌として、多糖を産生する乳酸菌を用いることによ
り、乳酸菌により産生される多糖がチーズ製造過程で生
成されるチーズカードの表面及びカード中に粘着物とし
てマトリックスを形成し、多糖類と水との相互作用によ
り結合してチーズカード中の水分を抱き込むため、ホエ
ー排除時の加熱により排出される水分が少なくなり、水
分を多く含んだ組織の軟らかいチーズカードが得られ
る。また、多糖はチーズカード形成過程においてカゼイ
ン同志の結着を阻害するため、チーズカードのシネリシ
スを遅延させる。このような多糖類の作用によりチーズ
カードの保水性が上がり、構造がゆるやかなものとな
る。従って、このチーズカードを熟成させたチーズは、
水分を多く含有し、組織も軟らかいため、溶融塩を添加
しなくとも乳化が良好に行なわれ、得られるプロセスチ
ーズも組織の滑らかなものとなる。このような効果をも
たらすためには、チーズカード中に多糖を0.01%以上含
有することが必要であり、それ以下では、効果は得られ
ない。
【0010】また、前述のように、加熱時の糸曵き性は
チーズ中のカゼインの構造の強さに依存しており、カゼ
インの構造が強固であるほど、糸曵き性は良好になる。
しかしながら、このようにカゼインの構造が強固なチー
ズを用いた場合、乳化時に添加する溶融塩の量を増加さ
せるか、又は水分を多く含有させる必要が生じるが、溶
融塩を多く添加すると、糸曳き性を低下させることにな
る。一方、多糖を産生する乳酸菌を用いて製造したナチ
ュラルチーズは、水分を多く含有し、組織が軟らかいた
め、このチーズを用いるとカゼインの構造が強固であっ
ても溶融塩を添加することなく、十分に乳化が可能であ
り、糸曳き性の良好なものが得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。本発明で使用する原料チーズは、以下のようにし
て調製することができる。まず、乳の乳脂肪を 0.5〜4
%に調整し、63〜75℃で殺菌し、その後静置して30℃ま
で冷却して原料乳を調製する。ここで、「乳」として
は、チーズ製造に通常用いられている乳であればいずれ
の乳を使用してもよく、例えば全乳、脂肪調節乳、還元
乳、濃縮乳、バターミルク、クリーム又はこれらの混合
物を挙げることができる。
【0012】この原料乳に、乳酸菌スターターを約0.05
〜4重量%と凝乳酵素を 0.001〜0.01重量%添加し、29
〜34℃の温度において、乳を凝固させ、チーズカードを
得る。なお、乳酸菌スターターは、殺菌する前の乳に添
加してもよく、又はレンネット添加時、ホエー排除の際
の加温時、加塩時、型詰め時等適宜に行うことができ
る。ここで、「乳酸菌」としては、多糖を産生する乳酸
菌であれば、いずれの乳酸菌を使用してもよく、例え
ば、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus
helveticus)、ラクトバチルス・デルブルッキー サブ
スピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrue
ckii subsp. bulgaricus) 、ラクトコッカス・ラクチス
サブスピーシーズ・クレモリス (Lactococcus lacti
s subsp. cremoris )等を使用することができる。この
ような乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス・ヘル
ベティカスSBT2171(受託番号FERM P-10053)、ラクトコ
ッカス・ラクチス サブスピーシーズ・クレモリスSBT0
495(受託番号FERM P-14381)等を例示することができ
る。このほか市販の乳酸菌も多糖を産生する乳酸菌であ
れば使用可能である。また、通常チーズの製造に使用さ
れている乳酸菌を併用することもでき、このような乳酸
菌には、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ
・ラクチス (Lactococcus subsp. lactis) 、ラクトコ
ッカス・ラクチスサブスピーシーズ・クレモリス (Lact
ococcus lactis subsp. cremoris) 、ロイコノストック
・シトロボルム (Leuconostoc citrovorum) 等を挙げる
ことができる。「凝乳酵素」としては、チーズの製造に
通常用いられる凝乳酵素であればいずれの凝乳酵素を使
用してもよく、レンネットの他、動物、例えば豚、微生
物又は植物から得られた代用レンネットや遺伝子組み換
えレンネット等を使用することもできる。
【0013】次いで、得られたチーズカードを、例え
ば、幅約10〜40mmの立方体になるようにカッティング
し、穏やかな攪拌を加えて、チーズカードのシネリシス
(凝縮)を促進させる。チーズカードをカッティングし
た際に生じたホエーの一部を排除し、さらに攪拌を続け
ながら、チーズカードを30〜38℃で加温し、残りのホエ
ーの全量を排除する。次いで加塩を行なう。加塩は、チ
ーズカードの重量に対して、1〜2%とするのが好まし
く、加塩方法は直接加塩、ブライン加塩のいずれでもよ
い。加塩後、チーズカードを成形機に充填して、圧搾す
る。圧搾は、チーズの製造において通常用いられる加圧
型、自重型または真空型のプレス機を用いて行なうこと
ができる。次いで、チーズカードを5℃まで冷却し、熟
成させる。熟成は温度5〜15℃で1〜6カ月間、通常の
ナチュラルチーズと同様の方法で行なうことができる。
【0014】なお、前述のようにして本発明の原料チー
ズを製造することができるが、本発明では、熟度指標30
%以下のチーズを30%以上用いる。ここで「熟度」と
は、(可溶性窒素(STN)/全窒素(TN)) ×100 で示される
いわゆる熟度指標(%)のことである。熟度指標は、チ
ーズ中に含有される全窒素及び可溶性窒素の量を以下の
方法に従って測定し、上記の計算式に基づいて算出すれ
ばよい。全窒素の測定は、例えばチーズ10g を採取し、
それに0.5Nクエン酸ナトリウム40mlを加え、ホモブレン
ダーで5分間磨砕後、メスフラスコに移し、蒸留水を加
えて 200mlに定容し、これを試料液とする。試料液10ml
を採取し、ケルダール法で測定することができる。可溶
性窒素の測定は、試料液10mlに1.41N の塩酸を10ml加え
た後、蒸留水で 125mlに定容し、生成した蛋白沈殿物を
濾過し、濾液10mlを採取しケルダール法で可溶性窒素を
測定することができる。なお原料チーズの熟度指標が30
%を越えると、カゼインの構造が崩れ、得られるプロセ
スチーズに十分な糸曵き性を付与することができないば
かりか、乳化時にオイルオフを生じるため、好ましくな
い。また、本発明では、原料チーズを製造する際の原料
乳を低脂肪乳とすることで低脂肪のプロセスチーズを得
ることができる。原料乳の脂肪率は、 0.5〜1.4 %に調
整するのが好ましく、このような低脂肪乳を用いて調製
されるチーズの脂肪率は10〜30%となる。
【0015】次いで、得られたナチュラルチーズを原料
チーズとして、プロセスチーズを製造する。プロセスチ
ーズの製造は、溶融塩を添加しないこと以外、公知の方
法に従って行なえばよい。例えば、前述のように多糖を
産生する乳酸菌を用いて製造した原料チーズを乳化機に
投入し、70〜100 ℃に加熱しながら、30〜3000回転/分
で混練して加熱乳化する。このとき乳化機は、ケトル
型、ステファン型、サーモシリンダー型等の公知の乳化
機を用いることができる。次いで、得られた乳化物を適
宜容器に充填し、冷却成形することにより本発明のプロ
セスチーズを得ることができる。成形は、板状、ブロッ
ク状、棒状等、特に限定はない。
【0016】
【実施例】
【実施例1】(1)原料チーズの製造(通常脂肪率のチ
ーズ) 多糖を産生する乳酸菌のうち、次の3菌種から2株ずつ
6株を選定し、これらの株それぞれを乳酸菌スターター
として6種の原料チーズを製造した。用いた菌株はラク
トバチルス・ヘルベティカス (Lactobacillus helveti
cus)(SBT2171)(SBT23670) 、ラクトバチルス・デルブル
ッキー サブスピーシーズ・ブルガリカス (Lactobacil
lus delbrukii subsp. bulgaricus)(SBT30089),(SBT
30110)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ
・クレモリス (Lactoccus lactis subsp. cremoris)(S
BT25066),(SBT45226) である。常法に従い、上記乳酸菌
6株を数代継代培養した後、スターターとして単菌培養
した。75℃で15秒間殺菌した脂肪調節乳(脂肪含有率
3.0重量%)を30℃に冷却し、通常のチーズ製造に用い
ている乳酸菌スターターとしてラクトコッカス・ラクチ
ス サブスピーシーズ・ラクチス (Lactococcus lactis
subsp. lactis) を 0.5%及び上記乳酸菌スターターを
0.5%づつ添加し、さらにレンネット (クリチャン ハ
ンセン社製; HA LA RENNET POWDER)を添加して緩やかに
攪拌、静置してチーズカードを得た。チーズカードを刃
幅10mmのカードナイフでサイコロ状に細断し、品温が38
℃となるまで緩やかに加熱攪拌しながら、ホエーを排除
した。その後、得られたチーズカードをプレス後、20%
濃度の食塩中で浸漬し、10℃で3カ月間熟成させた。得
られたチーズの熟度を確認したところ、それぞれの熟度
指標は15%であった。
【0017】(2)プロセスチーズの製造 (1) で製造した6種のナチュラルチーズをそれぞれ0、
10、20、30、40、50重量%の割合で配合し、残りは熟度
指標20%のチェダーチーズを用い、全量1000kgとし、原
料チーズを得た。これをケトル型乳化機に投入し、200
回転/分で攪拌しながら、約10分間、85℃に到達させる
ように加熱乳化を行ない、乳化物を得、カートンに充填
し、冷蔵庫内で冷却してプロセスチーズを得た。
【0018】
【比較例1】乳酸菌として、ラクトコッカス・ラクチス
サブスピーシーズ・ラクチス (Lactococcus lactis s
ubsp. lactis) を 0.5%及びレンネットを添加し、実施
例1に従ってチーズを調製した。なお、チーズの熟度指
標は15%となるように3カ月間熟成させた。得られたチ
ーズを30%用い、残りを熟度指標20%のチエダーチーズ
として、プロセスチーズを製造した。この時、溶融塩は
添加しなかった。
【0019】
【試験例1】実施例1及び比較例1で製造したプロセス
チーズについて、乳化適性及び糸曵き性の評価と官能評
価(組織の滑らかさと風味)を行なった。評価の方法は
以下に示す。なお、比較例1は溶融塩を添加しなかった
ため、乳化が良好に行われなかった。
【0020】乳化適性;チーズを乳化したときのオイル
オフの状態を目視で観察した。乳化状態の良好なものを
(○)、オイルオフを生じたものを(×)とした。 糸曵き性;糸曵き性は、次に示す2通りの方法で行なっ
た。 (I) サンドイッチ用にスライスした食パン(5cm×5cm)に
ピザ用ソースを薄く塗り、実施例1のチーズを 0.5cm×
1.5cm ×0.2cm にシュレッドしたものを10g のせ、240
℃のオーブン内で2分30秒間加熱した。オーブンから取
り出し30秒間静置した後、これを半分に切って互いに引
っ張り、その時のチーズの状態を観察した。その評価は
下記の基準で行った。評価A:細かく何本もの糸を曵
き、良く伸びる。評価B:良好な糸曵きを示すが、細か
く何本もの糸を曵かない、評価C:糸曵きは多少認めら
れるが不十分、評価D:糸曵きなし。
【0021】(II)チーズ20g をシャーレに採取し、これ
を電磁加熱器 (90℃) で1分間加熱し、溶融させた。そ
の後、直ちにシャーレを取り出し30秒放置後、引っ張り
測定機を用いて毎秒10cmの速度で引き上げ、糸が切れる
までの長さを測定した。この試験を5回繰り返し、これ
らの測定値の最大値を代表値とした。上記(I) 、(II)の
測定結果から、(I) で、評価A又はBであり、かつ(II)
では糸が切れるまでの長さが30cm以上のものを合格
(○)、この条件を満たさないものを不合格(×)とし
た。
【0022】官能評価;プロセスチーズを30名のパネラ
ーにチーズ10g ずつ食してもらい、組織の滑らかさ及び
風味について、5点:大変好ましい、4点:好ましい、
3点:どちらでもない、2点:好ましくない、1点:大
変好ましくないの5段階 で評価し、その平均点で表し
た。なお、小数点第2位を四捨五入した。以上の結果を
表1から表6に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】
【実施例2】(1)原料チーズの製造(低脂肪のチー
ズ) 生乳をセパレーターに通し、乳脂肪率が 1.0%となるよ
うに調製した。これを原料乳として、実施例1に従って
脂肪分が10%の原料チーズを製造した。なお、使用した
乳酸菌はラクトバチルス・ヘルベティカス (Lactobacil
lus helveticus (SBT 2171)) を用い、3カ月熟成させ
た。得られたチーズの熟度指標は15%であった。
【0030】(2)プロセスチーズの製造 (1) で製造した低脂肪ナチュラルチーズ(脂肪率10%)
を50%及びチェダーチーズ(脂肪率32%)を50%添加
し、全量1000kgの原料チーズとした。実施例1の(2) と
同様の方法でプロセスチーズを製造した。
【0031】
【試験例2】乳化適性、糸曵き性、組織の滑らかさ、風
味について試験例1と同様の評価方法で評価した。結果
を表7に示す。
【0032】
【表7】
【0033】
【実施例3】(1)原料チーズの製造 実施例1と同様の方法で原料とするナチュラルチーズを
調製した。使用した乳酸菌はラクトバチルス・ヘルベテ
ィカス (Lactobacillus helveticus (SBT 2171)) を用
いた。この時、チーズの熟度指標が20%、25%、30%、
35%となるように熟成させた。
【0034】(2)プロセスチーズの製造 得られたナチュラルチーズを30%配合して、残りはチェ
ダーチーズを用い、全量1000kgの原料チーズを得た。実
施例1と同様の方法で加熱乳化し、プロセスチーズを製
造した。
【0035】
【試験例3】乳化適性、糸曵き性、組織の滑らかさ、風
味について試験例1と同様の評価方法で評価した。以上
の結果を表8に示す。
【0036】
【表8】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、加熱乳化時に溶融塩を
添加しなくとも乳化が良好に行われ、加熱調理時に良好
な糸曵き性を示し、組織、風味の良好なプロセスチーズ
を得ることができる。また、原料乳に低脂肪乳を用いて
も、溶融塩を使用しないで加熱乳化した加熱調理時に良
好な糸曵き性し、風味、組織の良好な低脂肪のプロセス
チーズを提供することができる。本発明のチーズは乳化
時に溶融塩を添加しないので、リンの過剰摂取の傾向も
抑制することができ、カルシウム:リンのバランスを一
定の範囲に保つことが可能となる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多糖を産生する乳酸菌を用いて調製した
    熟度指標30%以下のナチュラルチーズを30%以上配合
    し、溶融塩を添加することなく、加熱乳化することを特
    徴とする加熱時に優れた糸曳き性を示すプロセスチーズ
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 低脂肪乳に、多糖を産生する乳酸菌を用
    いて調製した熟度指標30%以下、脂肪率が10〜30%のナ
    チュラルチーズを30%以上配合し、溶融塩を添加するこ
    となく、加熱乳化することを特徴とする加熱時に優れた
    糸曳き性を示す低脂肪プロセスチーズの製造方法。
  3. 【請求項3】 多糖を産生する乳酸菌を用いて調製した
    熟度指標30%以下のナチュラルチーズを30%以上配合
    し、溶融塩を添加することなく、加熱乳化することによ
    り得られる加熱時に優れた糸曳き性を示すプロセスチー
    ズ。
  4. 【請求項4】 低脂肪乳に、多糖を産生する乳酸菌を用
    いて調製した熟度指標30%以下、脂肪率が10〜30%のナ
    チュラルチーズを30%以上配合し、溶融塩を添加するこ
    となく、加熱乳化することにより得られる加熱時に優れ
    た糸曳き性を示す低脂肪プロセスチーズ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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