JP2023171620A - パスタフィラータチーズの製造方法 - Google Patents

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【課題】軟らかい食感を有し、かつ外観が滑らかなフレッシュタイプのパスタフィラータチーズを製造する技術を提供する。【解決手段】パスタフィラータチーズの製造方法であって、原料乳のpHを5.7~6.3に調整するpH調整工程と、pHを調整した前記原料乳を発酵させる発酵工程と、発酵後、発酵乳にレンネットを加えて、チーズカードを形成させるカード調製工程と、前記チーズカードを延伸し、成形してチーズ塊を得るチーズ塊形成工程と、前記チーズ塊を、食塩水に浸漬させる浸漬工程と、を備え、前記原料乳の脂肪分が3.0~4.5質量%である、フレッシュタイプのパスタフィラータチーズの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、パスタフィラータチーズの製造方法に関する。
モッツァレラチーズに代表されるフレッシュタイプのパスタフィラータチーズは、さわやかな風味、弾力ある食感等が支持され、我が国でも広く食されている。
ところで、パスタフィラータチーズの製造には、チーズカードを温湯中で混練する工程があり、当該工程の際のチーズカード固形分の流出や、チーズカードへの水分の取り込み方が、最終製品の物性に大きく関わっている。
一定の物性の最終製品を安定的に製造する場合、現状では製造オペレーターの熟練した感覚に頼っているところが大きい。
最終製品の物性のブレを解消するために、最終製品の物性を改善する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、パスタフィラータチーズの物性を改善する方法として、チーズカードを温湯中で練圧する際に、チーズカードと、カルシウムと結合または吸着し得る食感改良剤と接触させる方法が知られている(特許文献1)。
また、特許文献2には、脂肪の添加を行わず、混練工程で温湯を使用しない方法が記載されている。
また本発明者らは、モッツァレラチーズにおける可溶性カルシウム及び不溶性カルシウムの分布の変化の影響について発表しており、原料乳のpHを調整し、カルシウムの分布を変化させることで、モッツァレラチーズの物性を調整することができることについて知見を得ている(非特許文献1)。
国際公開第2004/095936号 特開2016-067319号公報
R. MIZUNO, T.MATSUDA, J.A.LUCEY, and N.ICHIHASHI "Effects of changes in the distribution of soluble and insoluble calcium on Mozzarella cheese" Milchwissenschaft 64 (2) 2009
しかし、従来の改善方法では、パスタフィラータチーズの軟らかさが不十分であったり、特別な工程や装置が必要となるという問題があった。
また、モッツァレラチーズに代表されるパスタフィラータチーズは、そのツルツルとした外観も特徴の一つであり、仮に食感が優れているチーズであっても、外観が悪いと消費者のニーズに応え得る製品ということはできなかった。
そこで、本発明は、軟らかい食感を有し、かつ外観が滑らかなフレッシュタイプのパスタフィラータチーズを製造する技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、パスタフィラータチーズの製造方法について研究を重ねた結果、原料乳のpHを、予め特定の範囲内に調整し、チーズ塊を形成した後、当該チーズ塊を食塩水に浸漬することで、軟らかな食感で、かつ外観が良好なパスタフィラータチーズを安定的に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、前記課題を解決する本発明は、
原料乳のpHを5.7~6.3に調整するpH調整工程と、
pHを調整した前記原料乳を発酵させる発酵工程と、
発酵後、発酵乳にレンネットを加えて、チーズカードを形成させるカード調製工程と、
前記チーズカードを延伸し、成形してチーズ塊を得るチーズ塊形成工程と、
前記チーズ塊を、食塩水に浸漬させる浸漬工程と、を備えるフレッシュタイプのパスタフィラータチーズの製造方法である。
本発明の製造方法によれば、軟らかい食感を有し、かつ外観が滑らかなパスタフィラータチーズを製造することができる。
本発明の好ましい形態では、前記浸漬工程後における、パスタフィラ―チーズの離水率が20質量%以下である。
本発明の製造方法によれば、保存時における離水率が少なく、長期間風味やジューシーさが維持されるパスタフィラータチーズを製造することができる。
本発明の好ましい形態では、前記pH調整工程が、原料乳に酸を加える工程である。
このような工程とすることで、原料乳のpH調整を容易に行うことができる。
本発明の好ましい形態では、前記酸がクエン酸及び/又は乳酸である。
本発明の好ましい形態では、前記クエン酸及び/又は乳酸が、1~20質量%クエン酸水溶液、及び/又は1~20質量%乳酸水溶液である。
このよう形態で酸を原料乳に添加することで、容易に原料乳のpHを調整することができる。
本発明の好ましい形態では、前記レンネットが、微生物由来のレンネットである。
本発明の製造方法によれば、軟らかい食感を有し、かつ滑らかな外観を有するパスタフィラータチーズを製造することができる。
なお、本発明の製造方法により製造されたチーズは、さらにジューシーさ及び口溶けに優れる。
本明細書において、乳、乳製品に関する分類、及び製品中の製造の測定方法は、特に断らない限り、『乳及び乳製品の成分規格等に関する省令』(以下、「乳等省令」という。)に基づくものである。
本発明において「フレッシュタイプ」のチーズとは、一定の温度及び湿度で発酵させるといった熟成を経ずに、水やホエイ液等の液体に浸漬されたチーズ、又はそのような熟成を経ずに、真空パックされたチーズをいう。本発明にいうフレッシュタイプのパスタフィラータチーズには、代表的なものとしてモッツァレラチーズ、及びストリングチーズが含まれる。
以下、本発明を実施するための実施形態について説明する。なお、従来のフレッシュタイプのパスタフィラータチーズの製造方法と同様の工程、及び当該チーズの製造に用いられる既存の装置については、その説明を簡略化する。
<1>原料乳の調製
本発明の製造方法において用いられる原料乳(チーズ製造のための原料に用いられる乳)としては、パスタフィラータチーズを製造するのに通常用いられる牛由来の原料乳を用いることができ、具体的には生乳、牛乳、成分調整牛乳を用いることができる。
原料乳の脂肪分は特に限定されないが、3.0~4.5質量%が好ましく、3.3~4.2質量%がより好ましく、3.5~4.0質量%がさらに好ましく、3.6~3・8質量%が特に好ましい。
原料乳は、原料乳は常法により殺菌処理が行われる。例えば、プレート式熱交換機を用い、HTST法で71~75℃、15秒殺菌を行うことができる。
原料乳は、加熱殺菌後、好ましくは20~60℃、より好ましくは25~55℃、さらに好ましくは30~50℃、特に好ましくは35~45℃に調節する。
本発明は、原料乳のpHを5.7~6.3に調整するpH調整工程を備える。
原料乳のpHは、通常6.6~6.8である。すなわち、原料乳のpHを下げることで、原料乳のpHを5.7~6.3に調整する。
本発明においては、酸を添加することでpHを調整することが好ましい。
酸としては、食用酸であれば特に限定されず、酢酸、リン酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸及びこれらの金属塩等が例示できる。
本発明においては、クエン酸、及び/又は乳酸を用いることが好ましい。
また、本発明においては、前記クエン酸、及び/又は乳酸を、水溶液の状態で添加することが好ましい。
水溶液とすることで、添加が容易となり、ムラなく均一に添加することができる。
前記水溶液は、好ましくは20~60℃、より好ましくは25~55℃、さらに好ましくは30~50℃、特に好ましくは35~45℃に加温された状態で、原料乳に添加することが好ましい。
上述の通り、原料乳は殺菌処理を行い、その後冷却される。
酸の水溶液を添加することで、原料乳の温度が高すぎる、又は低すぎると、スターターの酵素活性温度まで原料乳の温度を調節する必要があり、手間を要する。また、余計な加熱、及び冷却は、最終製品の品質の低下を招く。
酸の水溶液を上記温度範囲内に調節した状態で原料乳に添加することで、原料乳が酵素活性温度から大きく外れることなく、pHを調整することができる。
前記水溶液における、クエン酸及び/又は乳酸の含有量は、好ましくは1~20質量%、より好ましくは3~17質量%、さらに好ましくは5~15質量%、特に好ましくは8~12質量%である。
原料乳のpH調整のための成分として、クエン酸を採用した場合、pHを5.8~6.3に調整することで、軟らかい食感、かつ滑らか外観を有するパスタフィラータチーズを得ることができる。
一方で、乳酸を採用した場合、pHを5.7~6.3に調整することで、上記特性を有するパスタフィラータチーズを得ることができる。
<2>発酵工程
本発明の製造方法は、pH調整された原料乳を、常法により発酵させる。
スターターとしては、チーズの製造において通常用いられるものを用いることができる。例えば、乳酸菌スターターとして、ラクトバチルス・ブルガリクス(L.bulgaricus)、ラクトコッカス・ラクチス(L.lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(S.thermophilus)等を用いることができる。
上述したような、乳酸菌スターターを用いる場合の発酵温度は、37~40℃が好ましい。
乳酸菌スターターの添加量は特に限定されないが、原料乳100質量%に対して、好ましくは0.1~5質量%であり、より好ましくは0.5~4質量%であり、さらに好ましくは1~3質量%である。
<3>カード形成工程
次いで、発酵工程を経て得られた発酵乳から、カードを調製する。
カードの調整は、常法により行うことができる。すなわち、発酵乳に、レンネット(凝乳酵素)を加えて凝固させる。
レンネットの添加、混合後、一定時間静置することにより、カードが形成されたら、これを例えば2~5cmの四方にカッティングする。カッティングしたカードを撹拌、静置することにより、カードからホエイを排出する。
次いで、カードを堆積し、カードのpHが5.0~5.8となるまで、好ましくはおH5.1~5.4となるまで、さらに好ましくはpH5.2~5.3となるまで発酵が進んだら、カードを例えば1~3cm四方にカッティングする。
本発明の製造方法においては、レンネットとして、微生物由来のレンネットを用いることが好ましい。
その中でも、酵素活性温度が30~50℃のレンネットが好ましく、35~45℃のレンネットがより好ましい。また、45℃より高い温度では、失活するレンネットが好ましい。
そのようなレンネットとして、例えば、Rhizomucor miehei由来のレンネットが例示できる。
また、レンネットとしては、精製されたレンネットを用いることが好ましく、クロマトグラフィー精製されたレンネットを用いることがより好ましい。
クロマトグラフィー精製としては、陽イオン交換クロマトグラフィーによる精製、及び疎水クロマトグラフィーによる精製等が例示できる。
一般的に微生物由来のレンネットを使用してチーズを製造すると、仔牛由来のレンネットを使用して製造したチーズと比して、苦味が強いと言われている。
クロマトグラフィー精製された微生物由来のレンネットを用いることで、アミラーゼ及びグルカナーゼ等の、凝乳酵素以外の酵素が除去されていることから、苦味が少ない。また、他の酵素分解反応が起こり難いことから、チーズの物性をよりコントロールしやすくなる。
<4>チーズ塊形成工程
前記カード形成工程において、ホエイ除去後、カードを裁断してから、加熱及び混練を行う。
カードの加熱及び混練は、カードに湯を加えて行う、いわゆる湯練りを採用することができる。
また、カードを水蒸気加熱、又はジュール加熱(通電加熱、オーミック加熱ともいう)により加熱した後に、混練を行っても良い。
加熱は、カードの温度が50℃~80℃となるように、好ましくは50~70℃となるように、さらに好ましくは55~65℃となるように行うことが好ましい。
混練は、カードを延伸(ストレッチング)することにより、パスタフィラータチーズ特有の繊維状の組織を形成するように行われる。
混練は、常法により行うことができ、カードの混練に用いられる混錬機を用いて行うことができる。
混練されたカードは、球形などの所望の形状に成形機を用いて成形し、チーズ塊とする。
カードの混練及び成形は、連続式で行ってもよく、バッチ式で行ってもよい。
チーズ塊1個当たりの重量は、特に制限されないが、通常4~200gであり、好ましくは50~200gであり、特に好ましくは80~120gである。
チーズ塊は、成形後、常法により冷却される。
例えば、10~20℃である液中にチーズ塊を投入することにより冷却する。
<5>浸漬工程
冷却後のチーズ塊を、食塩水に浸漬することで、本発明のフレッシュタイプのパスタフィラータチーズが完成する。
食塩水の濃度は、特に限定されないが、通常0.1~20質量%であり、好ましくは0.2~10質量%であり、より好ましくは0.25~2質量%であり、さらに好ましくは0.3~1質量%である。
食塩水に浸漬させることで、パスタフィラータチーズに塩味を付与することができる。また、パスタフィラータチーズの保存性が向上する。
パスタフィラータチーズの製造方法においては、上述した延伸後に食塩水を添加し、成形を行う方法も知られているが、本発明においては、成形後のチーズ塊を食塩水に浸漬する工程を備えることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、軟らかい食感で、かつ滑らかな外観を有するパスタフィラータチーズを、安定的に製造することができる。
パスタフィラータチーズの軟らかい食感は、例えば、10℃での硬度が1.0~8.0×10N/mである。
ここで、本明細書における滑らかな外観とは、チーズの表面に荒れ等が発生せず、ツルツルとしている状態を意味する。
また、本発明の製造方法により製造されたパスタフィラータチーズは、さらに、ジューシーで(みずみずしくて)、濃厚なコク味を有する。
ここで、コク味という用語は広範に用いられているが、特に乳製品のコク味については、乳脂肪感やクリーミー感がコク味として表現されている(参考文献:日本味と匂学会誌、第16巻、第3号、2009年12月、第637-640頁)。
また、本発明の製造方法により製造されたパスタフィラータチーズは、浸漬工程後におけるパスタフィラータチーズの離水率が、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下である。
このように、保存時における離水が十分に抑制されていることから、本発明の製造方法により製造されたパスタフィラータチーズは、組織が均一で、滑らかな外観を有している。
離水率は、例えば、パスタフィラータチーズをスライスしたチーズ片を室温環境下で30分ほど静置し、「遊離した水の重量/元のチーズ片の重量×100」との式に各パラメーターを当てはめることで求めることができる。
<チーズの製造例>
(1)原料乳のpH調整
100Lの全乳を、プレート式熱交換機を用いて、HTST法で75℃15秒の加熱処理条件で殺菌した。殺菌した原料乳を40℃に冷却後、40℃に加温した10質量%クエン酸水溶液を、原料乳が所定のpHとなる量添加した(比較例:pH5.7、実施例1:pH5.8、実施例2:pH6.3、比較例2:pH6.4)。
(2)発酵工程
pHを調整した原料乳に、バルクスターター(クリスチャンハンセン社製)を所定量添加し、混合し、1時間発酵を行った。
(3)カード調製工程
発酵後、発酵液にレンネット(DSM社製、Fromase XLG)を3g添加し、混合し、30分間静置してカードを形成した。
得られたカードを2.0cm四方の立方体にカッティングした後、ホエイ排出を行った。
レンネット添加から全量排出までは、約4時間で行った。さらに、カッティングしたカードを1時間撹拌し、その後静置した。
ホエイ排出後、カードを40℃に保温しながら堆積し、pHを5.3にした。
(4)チーズ塊形成工程
得られたカードを、1cm四方の立方体にカットしてから、85℃のお湯30Lを加え、延伸を行った。延伸は、カードの温度が60℃に達するまで行った。
延伸されたカードを、モールダーを用いて100g/1個の球形に成形し、これを15℃の冷水に投入し、チーズ塊を得た。
(5)浸漬工程
チーズ塊を、食塩水に浸漬し、フレッシュタイプのパスタフィラータチーズを得た。当該パスタフィラータチーズを、5℃で保存した。
<官能評価>
本発明の技術分野に精通するパネラーに、5℃で保存開始5日後の実施例1~2、及び比較例1~2のパスタフィラータチーズを観察、及び喫食してもらい、軟らかさ、ジューシーさ、口溶けの良さ、及び組織の均一さ(表面の滑らかさ)を、評価した。
評価は、各項目について、最高点を5点、最低点を1点とした。
結果を表1に示す。
<硬度測定>
製造したチーズの保存開始後1日後に、各試料を2つずつ取り出し、硬度を測定した。
硬度の測定は、各試料から3cm×3cm×高さ2cmのサンプルを切り出し、レオメーター((株)山電製;RE-3305RHEONER)を用いて、品温10℃で、直径8mmの円柱型のプランジャーを、1.0mm/sでサンプルに1.5cm差し込み、破断強度を測定し、平均値を算出した。結果を表2に示す。
<離水率測定>
離水率は各試料から4等分にスライスした1片を室温で30分静置し、遊離した水の重量/元のチーズ片重量×100で算出した。
結果を表2に示す。
表1に示す通り、実施例1(原料乳のpH5.8)は、ほとんどのパネラーが軟らかい食感を有し、組織が均一で表面が滑らかであると評価された。さらに、実施例1は、ジューシーで、口溶けも良いと評価された。
実施例2(原料乳のpH6.3)は、わずかに実施例1に劣るものの、十分な軟らかさ、ジューシーさ、口どけの良さ、組織の均一さを有していると評価された。
一方で、比較例1(原料乳のpH5.7)は、軟らかく、ジューシーで、口どけが良好であるが、表面が溶けた状態で荒れており、外観が不良であった。
比較例2は、全ての評価項目において、実施例1及び2と比べて劣っていた。
また、表2に示す通り、比較例1は、実施例1、2及び比較例2と比して、硬度が低く軟らかいものの、離水率が1.6~2.3倍ほど高いことがわかる。
推定ではあるが、この高い離水率が、チーズの組織が崩壊し、表面が溶けて荒れた外観の原因になったと考えられる。
一方、比較例2は、離水率は実施例1及び2と比べても遜色ないが、硬度が高く、軟らかいパスタフィラータチーズと言うことはできなかった。
これらの結果より、本発明の製造方法によれば、軟らかい食感と、表面の滑らかさとが両立したフレッシュタイプのパスタフィラータチーズを製造できることがわかる。
加えて、本発明の製造方法により製造されたパスタフィラータチーズは、ジューシーで、口どけも良く、優れた嗜好性を有するチーズであった。
なお、上記実験例では、原料乳のpHを調整する酸として、クエン酸を利用したが、乳酸を利用した場合には、pHが5.7の場合であっても、軟らかい食感を有し、かつ組織が均一で、滑らかな外観を有するパスタフィラータチーズを製造できることを確認している。
したがって、本発明の製造方法は、原料乳のpHを5.7~6.3に調整することが発明の特徴であるといえる。
本発明は、軟らかい食感を有し、かつ滑らかな外観を有するフレッシュタイプのパスタフィラータチーズの製造に利用できる。

Claims (10)

  1. パスタフィラータチーズの製造方法であって、
    原料乳のpHを5.7~6.3に調整するpH調整工程と、
    pHを調整した前記原料乳を発酵させる発酵工程と、
    発酵後、発酵乳にレンネットを加えて、チーズカードを形成させるカード調製工程と、
    前記チーズカードを延伸し、成形してチーズ塊を得るチーズ塊形成工程と、
    前記チーズ塊を、食塩水に浸漬させる浸漬工程と、
    を備え、
    前記原料乳の脂肪分が3.0~4.5質量%である、
    フレッシュタイプのパスタフィラータチーズの製造方法。
  2. 前記チーズ塊形成工程は、チーズ塊1個当たりの重量が4g~200gのチーズ塊を得る工程である、請求項1に記載のパスタフィラータチーズの製造方法。
  3. 前記チーズ塊形成工程が、前記チーズカードを延伸し、成形後、液中に投入することにより冷却することでチーズ塊を得る工程である、請求項1又は2に記載のパスタフィラータチーズの製造方法。
  4. 前記pH調整工程が、原料乳にクエン酸及び/又は乳酸を加える工程であり、
    前記クエン酸及び/又は乳酸が、1~20質量%クエン酸水溶液、及び/又は1~20質量%乳酸水溶液であることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のパスタフィラータチーズの製造方法。
  5. 前記レンネットがクロマトグラフィー精製された微生物由来のレンネットであり、
    前記レンネットの酵素活性温度が30~50℃のレンネットであることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載のパスタフィラータチーズの製造方法。
  6. 前記チーズ塊形成工程が、前記チーズカードに湯を加えて加熱及び混錬を行い、該加熱は前記チーズカードの温度が50~80℃となるように行われる、請求項1~5の何れか一項に記載のパスタフィラータチーズの製造方法。
  7. (1)10℃での硬度が1.0~8.0×10N/mであり、かつ、
    (2)離水率が、20質量%以下である、
    フレッシュタイプのパスタフィラータチーズ。
  8. 前記離水率は、前記パスタフィラータチーズを4等分にスライスした1片を室温環境下で30分静置し、遊離した水の重量/元のチーズ片重量×100の式に当てはめて算出する、請求項7に記載のパスタフィラータチーズ。
  9. 前記パスタフィラータチーズの原料乳が、脂肪分を3.0~4.5質量%含む、請求項7又は8に記載のパスタフィラータチーズ。
  10. さらに、チーズ塊1個当たりの重量が4g~200gである、請求項7~9の何れか一項に記載のパスタフィラータチーズ。

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