以下、本開示に係る電子装置の各実施形態について、図1〜図15を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、本開示の第1実施形態に係る電子装置1を示す回路図である。電子装置1は、信号に含まれるグリッチを除去する機能を有する。なお、以下の説明では、「グリッチノイズ」及び「グリッチ」は、単に「グリッチ」として説明されることがある。
電子装置1は、入力された信号のグリッチを除去するグリッチ除去回路10と、グリッチ除去回路10がグリッチを除去した回数をカウントするカウント部20と、カウント部20のカウント数に基づく制御を行う電子装置制御部30と、カウント部20のカウント数が所定のしきい値を超えた場合にその旨を報知する報知部40と、定期的又は所定の事象が発生したときにカウント部20のカウント数をログに残す電子装置記録部50と、外部の機器と通信する電子装置通信部60とを備える。
グリッチ除去回路10は、信号入力端子11と、n段(nは1以上の整数)の原信号遅延素子12と、出力信号を生成する出力信号生成部13と、出力信号を出力する信号出力端子14と、を備える。
信号入力端子11は、不図示の外部デバイスに接続される端子である。信号入力端子11は、外部デバイスから出力された信号の入力を受け付ける。信号入力端子11は、例えば、外部デバイスの設置環境、部品の不良(劣化)等の影響によりグリッチを含む可能性のある信号の入力を受け付ける。なお、信号入力端子11に入力される信号がグリッチ除去回路10と非同期である場合、信号入力端子11とグリッチ除去回路10の間にシンクロナイザ(図示せず)と呼ばれる複数段(典型的には2段又は3段)のDフリップフロップを挿入し、入力信号を同期化してもよい。以下、信号入力端子11に入力される信号又はシンクロナイザ通過後の信号を「原信号」ともいう。
n段の原信号遅延素子12は、原信号が入力される回路である。n段の原信号遅延素子12のうち、1段目の原信号遅延素子12の入力端子は、信号入力端子11に接続される。また、1段目の原信号遅延素子12の出力端子は、次段の原信号遅延素子12の入力端子に接続される。次段の原信号遅延素子12の出力端子は、次々段の原信号遅延素子12の入力端子に接続される。このようにして、n段の原信号遅延素子12は、信号入力端子11に対して直列に接続されて構成される。本実施形態において、n段の原信号遅延素子12のそれぞれは、例えば、Dフリップフロップである。n段の原信号遅延素子12のそれぞれには、同じ立ち上がりタイミングを含むクロック信号が入力される。1段目の原信号遅延素子12は、クロック信号の立ち上がり時に信号入力端子11又はシンクロナイザの出力(原信号)をラッチする。また、2段目以降のn−1段の原信号遅延素子12のそれぞれは、クロック信号の立ち上がり時に前段の出力をラッチする。なお、クロック信号を入力する回路は、簡略化のために図示を省略する。
出力信号生成部13は、n段の原信号遅延素子12のそれぞれから出力される信号と、原信号とから出力信号を生成する回路である。出力信号生成部13の入力端子は、n段の原信号遅延素子12の出力のそれぞれと、信号入力端子11とに接続される。
信号出力端子14は、グリッチ除去された信号を出力する端子である。信号出力端子14は、出力信号生成部13の出力端子に接続される。
カウント部20は、出力信号が入力されるn段の出力信号遅延素子21と、グリッチ除去回路10によるグリッチの除去の有無を示す判定信号を生成する判定信号生成部22と、判定信号生成部22に基づいて、グリッチを除去した回数を係数するインクリメント部23と、を備える。
n段の出力信号遅延素子21は、原信号が入力される回路である。n段の出力信号遅延素子21のうち、1段目の出力信号遅延素子21の入力端子は、出力信号生成部13の出力端子に接続される。また、1段目の出力信号遅延素子21の出力端子は、次段の出力信号遅延素子21の入力端子に接続される。次段の出力信号遅延素子21の出力端子は、次々段の出力信号遅延素子21の入力端子に接続される。このようにして、n段の出力信号遅延素子21は、出力信号生成部13に対して縦続接続されて構成される。本実施形態において、n段の出力信号遅延素子21のそれぞれは、例えば、Dフリップフロップである。n段の出力信号遅延素子21のそれぞれには、同じ立ち上がりタイミングを含むクロック信号が入力される。1段目の出力信号遅延素子21は、クロック信号の立ち上がり時に現在の出力信号をラッチする。また、2段目以降の出力信号遅延素子21は、クロック信号の立ち上がり時にそれぞれの前段の出力信号遅延素子21の出力をラッチする。
判定信号生成部22は、現在の出力信号と出力信号遅延素子21から出力される信号と原信号遅延素子12の最後段から出力される信号とからグリッチの除去の有無を示す判定信号を生成する。
インクリメント部23は、グリッチを除去した回数をインクリメントして保持するインクリメンタ231を有する。インクリメンタ231は、グリッチを除去した回数をインクリメント(カウント)する回路である。本実施形態のインクリメント部は、判定信号生成部22が出力する判定信号をインクリメンタ231の入力端子に直接入力する。インクリメンタ231の出力端子は、バス70等を介して、後述する電子装置制御部30に接続される。
インクリメンタ231は、例えば、加算器とレジスタとにより構成される。判定信号がハイレベルである場合、インクリメンタ231はレジスタに格納されているグリッチを除去した回数に+1(インクリメント)する。
カウント部20は、クロック1周期ごとにグリッチの除去の有無を確認してインクリメンタ231をインクリメントする。つまり、カウント部20は、グリッチ除去回路10が除去したグリッチの時間幅がクロック2周期分以上である場合、そのグリッチを除去した回数を複数回としてカウントする。
電子装置制御部30は、プログラムによって指示される動作を行うプロセッサ(CPU)を有する構成とすることができる。インクリメンタ231の出力値を取得して、後述する報知部40、電子装置記録部50及び電子装置通信部60を制御する。
具体例として、電子装置制御部30は、報知部40を制御するためにグリッチを除去した回数が所定のしきい値を超えたか否かを判断する判断部としての機能を有する。また、電子装置制御部30は、電子装置記録部50にカウント数を記録させるタイミングを判定する機能を有する。また、電子装置制御部30は、電子装置通信部60に外部に送信するカウント数を受け渡す機能を有する。このような電子装置制御部30各種の機能は、それぞれプロセッサの動作を指示するプログラムの一部によって実現することができる。
報知部40、例えば、画面を有するモニタ等の表示装置、音声を発生する再生装置、点灯する光源等を有する出力装置である。報知部40は、表示、音声の発生、光源の点灯等によってカウントされた回数が所定のしきい値を超えたことを報知するよう構成することができる。報知部40は、設置環境の改善や部品交換を促してもよい。
電子装置記録部50は、メモリ、ハードディスクドライブ等の記憶装置を有する構成とすることができる。電子装置記録部50は、カウント部20のカウント数とそのカウント数を確認した時刻とを記録することが好ましい。
電子装置記録部50にカウント数を記録する事象としては、例えば致命的なエラーの発生等を挙げることができる。
電子装置通信部60は、カウント部20のカウント数を外部に送信するカウント送信部として機能する。電子装置通信部60は、例えばイーサーネット通信モジュール、無線通信モジュール等を備える構成とすることができる。
また、電子装置通信部60は、グリッチを除去した回数が所定のしきい値を超えた場合に、外部の機器にカウント部20のカウント数が所定のしきい値を超えたこと示す情報を送信する第2の報知部として使用することもできる。
以上説明した本開示の第1実施形態の電子装置1によれば、以下に説明するような効果を奏する。
電子装置1は、信号に含まれるグリッチを除去する機能を有する電子装置1であって、入力された信号のグリッチを除去するグリッチ除去回路10と、グリッチを除去した回数をカウントするカウント部20と、を備える。これにより、入力信号のグリッチノイズを除去した回数を数え、その回数を記録することができる。したがって、電子装置1は、グリッチを除去した回数、例えば電子装置1の出荷試験においてグリッチを除去した回数等を確認することができる。これにより、グリッチを除去した回数が0回以外であれば、その電子装置1の個体をリジェクトすることができる。また、基板開発時又は装置開発時に、ノイズを印加した試験を行うことで、基板又は装置の耐ノイズ性を評価することができる。グリッチを除去した回数が少なければ、基板又は装置の耐ノイズ性が高い(良い設計)と言える。逆に、グリッチを除去した回数が多ければ、基板又は装置の耐ノイズ性が低い(悪い設計)と言える。このようにして、基板又は装置の設計の改善に役立てることができる。
電子装置1において、グリッチ除去回路10は、原信号が入力されるn段の原信号遅延素子12と、原信号遅延素子12から出力される信号と原信号とから出力信号を生成する出力信号生成部13を備える。これにより、適切にグリッチを除去した出力信号を出力することができる。また、電子装置1において、カウント部20は、出力信号が入力されるn段の出力信号遅延素子21と、現在の出力信号と出力信号遅延素子から出力される信号と原信号遅延素子12の最後段から出力される信号とからグリッチの除去の有無を示す判定信号を生成する判定信号生成部22と、グリッチを除去した回数をインクリメントして保持するインクリメンタ231を有し、判定信号に基づいてインクリメンタ231をインクリメントするインクリメント部23を備える。これにより、グリッチを除去した回数を正確にカウントすることができる。
電子装置1は、カウント部20のカウント数が所定のしきい値を超えたか否かを判断する電子装置制御部30と、カウント部20のカウント数が所定のしきい値を超えたことを報知する報知部40と、を更に備える。これにより、グリッチが所定回数を超えた場合に報知することができる。この構成によって、グリッチ除去不能な大きなグリッチが入力される前に報知することができるので、大きなグリッチによるエラーの発生前に改善を促すことができる。
電子装置1において、報知部40は、カウント部20のカウント数が所定のしきい値を超えたことを画面に表示することができる。これにより、グリッチが所定回数を超えたことを分かりやすく報知することができる。
電子装置1において、第2の報知部としての電子装置通信部60は、カウント部20のカウント数が所定のしきい値を超えたこと示す情報を外部に送信する。これにより、グリッチが所定回数を超えたことを外部の機器に認知させることができるので、複数の電子装置1の状態を一括して把握するようなシステムを構成することができる。
電子装置1は、定期的又は所定の事象が発生したときにカウント部のカウント数をログに残す電子装置記録部50を更に備える。これにより、後でグリッチの発生状況の変化を確認することができる。
[第2実施形態]
図2は、本開示の第2実施形態に係る電子装置1aを示す回路図である。電子装置1aは、ハイレベルの入力信号に載ったローレベル方向のグリッチを除去する装置である。なお、以降の説明において、先に説明した実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して重複する説明を省略することがある。
本実施形態の電子装置1aは、入力された信号のグリッチを除去するグリッチ除去回路10aと、グリッチ除去回路10aがグリッチを除去した回数をカウントするカウント部20aと、カウント部20aのカウント数に基づく制御を行う電子装置制御部30と、を備える。
本実施形態の電子装置1aの電子装置制御部30は、第1実施形態の電子装置1の電子装置制御部30と同様である。本実施形態の電子装置1aも、報知部40、電子装置記録部50及び電子装置通信部60を備え得るが、図示及び説明を省略する。
グリッチ除去回路10aは、信号入力端子11と、n段(nは1以上の整数)の原信号遅延素子12と、出力信号を生成する出力信号生成部13aと、出力信号を出力する信号出力端子14と、を備える。
出力信号生成部13aは、論理和を出力する出力生成OR回路131である。出力信号生成部13aは、n段の原信号遅延素子12のそれぞれから出力される信号と、原信号との論理和を出力する。
以上のグリッチ除去回路10aでは、原信号が信号入力端子11に入力される。このため、原信号遅延素子12には、ハイレベルである時にローレベル方向のグリッチノイズを含む可能性がある信号が入力される。n段の原信号遅延素子12は、クロック信号の立ち上がりに合わせて、原信号又は前段の原信号遅延素子12の出力信号をラッチする。原信号は、出力信号生成部13aに入力される。また、原信号遅延素子12のそれぞれの出力は、出力信号生成部13aに入力される。
グリッチがクロックの立ち上がりに重なりセットアップ時間とホールド時間を満足する十分なパルス幅がある場合、1段目の原信号遅延素子12は、クロックの立ち上がりによりローレベルをラッチする。このとき、次のクロックの立ち上がりにおいて、2段目の原信号遅延素子12は、1段目の原信号遅延素子12の出力であるローレベルをラッチする。次のクロックの立ち上がりにおいて、3段目の原信号遅延素子12は、2段目の原信号遅延素子12の出力であるローレベルをラッチする。このようにして、n段目の原信号遅延素子12は、クロック信号の立ち上がりのn回目において、ローレベルをラッチする。しかしながら、他の原信号遅延素子12がハイレベルをラッチしているため、出力信号生成部13aは、ハイレベルを出力する。
出力信号生成部13aは、原信号がローレベルであり、且つn段の原信号遅延素子12の全てがローレベルをラッチしていない限り、ハイレベルを出力する。つまり、出力信号生成部13aは、原信号にローレベルがn+1回続かない限り、ハイレベルを出力する。これにより、グリッチ除去回路10aは、クロックn周期までの幅のローレベル方向のグリッチを除去することができる。
カウント部20aは、出力信号が入力されるn段の出力信号遅延素子21と、グリッチ除去回路10によるグリッチの除去の有無を示す判定信号を生成する判定信号生成部22aと、判定信号生成部22aに基づいて、グリッチを除去した回数を係数するインクリメント部23と、を備える。
判定信号生成部22aは、原信号遅延素子12の最後段から出力される信号を反転する遅延信号反転器221と、遅延信号反転器221の出力、現在の出力信号、及び全ての出力信号遅延素子21から出力される信号が入力され、これらの論理積を出力する判定AND回路222とを有する。
判定信号生成部22aは、現在の出力信号と過去n回の出力信号とがハイレベルであり、且つn回前の原信号がローレベルである場合にのみ、グリッチを除去したことを示すハイレベルとなり、他の場合にはローレベルとなる判定信号を出力する。
図3に、電子装置1aにおけるクロック信号、原信号、出力信号及びインクリメンタ231のカウントと継時変化を示す。なお、図3は、n=1の場合である。
出力信号生成部13aは、原信号がハイレベルになると、出力信号をハイレベルに遷移させる。出力信号生成部13aは、出力信号がハイレベルである場合、n+1回以上続けてクロック信号の立ち上がり時に原信号がローレベルにならなければ出力信号をハイレベルのまま保持する。このため、出力信号は、原信号がローレベルになってからクロックn周期分遅れたクロック信号の立ち上がり時にローレベルに遷移する。このため、出力信号生成部13aは、原信号がグリッチノイズによってクロックn周期分以下の短時間だけローレベルとなったとしても、出力信号をハイレベルのまま保持、つまりグリッチを除去した出力信号を出力する。
判定信号生成部22aは、出力信号がn回前から現在まで続けてn+1回ハイレベルであり、且つn回前の原信号と同じ値を出力する最後段の原信号遅延素子12の出力がグリッチを示すローレベルである場合にのみ、判定信号をハイレベルにする。つまり、判定信号生成部22aは、n回前のクロックの立ち上がり時に原信号がローレベルであったにもかかわらず出力信号がハイレベルのままn+1回保持されたときに、グリッチが除去されたことを示す判定信号を出力する。
インクリメント部23は、判定信号生成部22aから出力される判定信号がハイレベルになる度に、インクリメンタ231のカウントを1ずつインクリメントする。nが2以上であり、グリッチが複数のクロックの立ち上がりに跨る場合、判定信号生成部22aは、クロック複数周期にわたって判定信号をハイレベルに保持する。したがって、グリッチの幅が大きい場合、インクリメンタ231のカウントは1以上増えることになる。
以上説明した第2実施形態の電子装置1aによれば、先に説明した第1実施形態の効果に加え、以下のような効果を奏する。
電子装置1aにおいて、判定信号生成部22aは、現在の出力信号と全ての出力信号遅延素子21から出力される信号とが等しく、かつ現在の出力信号と原信号遅延素子12の最後段から出力される信号とが異なる場合に、グリッチを除去したことを示す値となる判定信号を生成する。これにより、グリッチが除去された回数を正確にカウントすることができる。
電子装置1aにおいて、原信号遅延素子12は、ハイレベル時にローレベル方向のグリッチノイズを含む可能性がある信号が入力されるものであり、出力信号生成部13aは、原信号遅延素子のそれぞれから出力される信号と原信号との論理和を出力する。これにより、原信号遅延素子12の全ての出力及び原信号がハイレベルでない場合以外には、出力信号生成部13aは、ハイレベルを出力する。したがって、グリッチのパルス幅が複数のクロックの立ち上がりに跨る場合であっても、グリッチを除去することができる。
[第3実施形態]
図4は、本開示の第3実施形態に係る電子装置1bを示す回路図である。電子装置1bは、ローレベルの入力信号に載ったハイレベル方向のグリッチを除去する装置である。
本実施形態の電子装置1bは、入力された信号のグリッチを除去するグリッチ除去回路10bと、グリッチ除去回路10bがグリッチを除去した回数をカウントするカウント部20bと、カウント部20bのカウント数に基づく制御を行う電子装置制御部30と、を備える。
第3実施形態の電子装置1bの電子装置制御部30は、第1実施形態の電子装置1の電子装置制御部30と同様である。
グリッチ除去回路10bは、信号入力端子11と、n段(nは1以上の整数)の原信号遅延素子12と、出力信号を生成する出力信号生成部13bと、出力信号を出力する信号出力端子14と、を備える。
出力信号生成部13bは、n段の原信号遅延素子12のそれぞれから出力される信号と、原信号との論理積を出力する出力生成AND回路132である。
グリッチ除去回路10bでは、原信号遅延素子12には、ハイレベルである時にローレベル方向のグリッチノイズを含む可能性がある信号が入力される。
出力信号生成部13bは、原信号がハイレベルであり、且つn段の原信号遅延素子12の全てがハイレベルをラッチしていない限り、ローレベルを出力する。つまり、出力信号生成部13bは、原信号にハイレベルがn+1回続かない限り、ローレベルを出力する。これにより、グリッチ除去回路10bは、クロックn周期までの幅のローレベル方向のグリッチを除去することができる。
カウント部20bは、出力信号が入力されるn段の出力信号遅延素子21と、グリッチ除去回路10によるグリッチの除去の有無を示す判定信号を生成する判定信号生成部22bと、判定信号生成部22bに基づいて、グリッチを除去した回数を係数するインクリメント部23と、を備える。
判定信号生成部22bは、原信号遅延素子12の最後段から出力される信号を反転する遅延信号反転器221と、遅延信号反転器221の出力、現在の出力信号、及び全ての出力信号遅延素子21から出力される信号が入力され、これらの否定論理和を出力する判定NOR回路223とを有する。
判定信号生成部22bは、現在の出力信号と過去n回の出力信号とがローレベルであり、且つn回前の原信号がハイレベルである場合にのみ、グリッチを除去したことを示すハイレベルとなり、他の場合にはローレベルとなる判定信号を出力する。
以上説明した第3実施形態の電子装置1bによれば、先に説明した第1実施形態の効果に加え、以下のような効果を奏する。
電子装置1bにおいて、判定信号生成部22bは、現在の出力信号と全ての出力信号遅延素子21から出力される信号とが等しく、かつ現在の出力信号と原信号遅延素子12の最後段から出力される信号とが異なる場合に、グリッチを除去したことを示す値となる判定信号を生成する。これにより、グリッチが除去された回数を正確にカウントすることができる。
電子装置1bにおいて、原信号遅延素子12は、ローレベル時にハイレベル方向のグリッチノイズを含む可能性がある信号が入力されるものであり、出力信号生成部13bは、原信号遅延素子12のそれぞれから出力される信号と原信号との論理積を出力する。これにより、出力信号生成部13bは、n段の原信号遅延素子12の全ての出力及び原信号がハイレベルでない場合以外には、出力信号としてローレベルを出力する。したがって、出力信号生成部13bは、原信号に含まれるn+1周期以上継続しないハイレベルの信号をグリッチノイズとして適切に除去することができる。
[第4実施形態]
図5は、本開示の第4実施形態に係る電子装置1cを示す回路図である。電子装置1cは、ローレベルの入力信号に載ったハイレベル方向のグリッチを除去すると共に、ハイレベルの入力信号に載ったローレベル方向のグリッチを除去する装置である。
電子装置1cは、入力された信号のグリッチを除去するグリッチ除去回路10cと、グリッチ除去回路10cがグリッチを除去した回数をカウントするカウント部20cと、カウント部20cのカウント数に基づく制御を行う電子装置制御部30と、を備える。
第4実施形態の電子装置1cの電子装置制御部30は、第1実施形態の電子装置1の電子装置制御部30と同様である。
グリッチ除去回路10cは、信号入力端子11と、n段(nは1以上の整数)の原信号遅延素子12と、出力信号を生成する出力信号生成部13cと、出力信号を出力する信号出力端子14と、を備える。
出力信号生成部13cは、全ての原信号遅延素子12の出力信号及び原信号の論理和を出力する出力生成OR回路131と、全ての原信号遅延素子12の出力信号及び原信号の論理積を出力する出力生成AND回路132と、出力生成OR回路131による論理和を無効にすることができる第1スイッチ133と、出力生成AND回路132による論理積を無効にすることができる第2スイッチ134と、第1スイッチ133の出力及び第2スイッチ134の出力の排他的論理和を出力するXOR回路135と、出力信号生成部13cが出力する出力信号をラッチする出力ラッチ遅延素子136と、原信号又は出力ラッチ遅延素子136の出力を選択して出力信号生成部13cの出力信号として出力する出力セレクタ137と、ハイレベルの原信号に含まれるローレベル方向のグリッチを除去するか否かを選択する選択信号が入力される第1選択端子138と、ローレベルの原信号に含まれるハイレベル方向のグリッチを除去するか否かを選択する選択信号が入力される第2選択端子139と、を備える。
第1スイッチ133は、出力生成OR回路131の出力及び原信号が入力されると共に第1選択端子138から選択信号が入力され、選択信号がハイレベルである場合には出力生成OR回路131の出力をXOR回路135に出力し、選択信号がローレベルである場合には出力生成OR回路131の出力を無効にして原信号をXOR回路135に出力するセレクタである。第2スイッチ134は、原信号及び出力生成AND回路132の出力が入力されると共に第2選択端子139から選択信号が入力され、選択信号がハイレベルである場合には出力生成AND回路132の出力をXOR回路135に出力し、選択信号がローレベルである場合には出力生成AND回路132の出力を無効にして原信号をXOR回路135に出力するセレクタである。XOR回路135の出力は、出力セレクタ137に選択信号として入力される。出力ラッチ遅延素子136は、例えばDフリップフロップであり、クロック周期1回前の出力信号を記憶する。出力セレクタ137は、XOR回路135の出力がハイレベルである場合には、出力ラッチ遅延素子136の出力、つまり前回と同じ値の信号を出力信号として出力し、XOR回路135の出力がローレベルである場合には、原信号を出力信号として出力する。
このような構成を有する出力信号生成部13cの動作について、先ず、第1選択端子138及び第2選択端子139にそれぞれハイレベルの信号が入力されているときの動作を場合分けして説明する。
(原信号がグリッチを含む可能性のあるハイレベル信号である場合)
出力生成OR回路131は、原信号がローレベルであり、n段の原信号遅延素子12の全てがローレベルをラッチしていない限り、ハイレベルを出力する。これにより、出力生成OR回路131は、原信号にローレベルがn+1回続かない限り、ハイレベルを出力する。このとき、出力生成AND回路132は、原信号がハイレベルであり、n段の原信号遅延素子12の全てがハイレベルをラッチしている限り、ハイレベルを出力する。一方、出力生成AND回路132は、n段の原信号遅延素子12の一部がローレベルをラッチしていると、ローレベルを出力する。
出力生成AND回路132及び出力生成OR回路131が共にハイレベルを出力している場合、XOR回路135は、出力セレクタ137にローレベルを出力する。一方、出力生成AND回路132がローレベルを出力している場合、XOR回路135は、出力セレクタ137にハイレベルを出力する。
XOR回路135からローレベルが出力されている場合、出力セレクタ137は、信号出力端子14に原信号であるハイレベルを出力する。一方、XOR回路135からハイレベルが出力されている場合、出力ラッチ遅延素子136にラッチされている1クロック前の出力セレクタ137の出力であるハイレベルを出力する。これにより、ハイレベル信号に含まれるローレベル方向のグリッチを除去することができる。
(原信号がグリッチを含む可能性のあるローレベル信号である場合)
出力生成OR回路131は、原信号がハイレベルであるか、n段の原信号遅延素子12のいずれかがハイレベルをラッチしていない限り、ローレベルを出力する。このとき、出力生成AND回路132は、原信号がローレベルであり、n段の原信号遅延素子12の全てがローレベルをラッチしていない限り、ハイレベルを出力する。これにより、出力生成AND回路132は、原信号にハイレベルがn+1回続かない限り、ローレベルを出力する。
出力生成AND回路132及び出力生成OR回路131が共にローレベルを出力している場合、XOR回路135は、出力セレクタ137にローレベルを出力する。一方、出力生成OR回路131がハイレベルを出力している場合、XOR回路135は、出力セレクタ137にハイレベルを出力する。
XOR回路135からローレベルが出力されている場合、出力セレクタ137は、信号出力端子14に原信号であるハイレベルを出力する。一方、XOR回路135からハイレベルが出力されている場合、出力ラッチ遅延素子136にラッチされている1クロック前の出力セレクタ137の出力であるハイレベルを出力する。これにより、ローレベル信号に含まれるハイレベル方向のグリッチを除去することができる。
以上のように、グリッチ除去回路10cは、ハイレベル方向のグリッチとローレベル方向のグリッチとの両方を除去することができる。
次に、第1選択端子138及び第2選択端子139の少なくともいずれかにローレベルの信号が入力されているときの動作について説明する。
第1選択端子138から第1スイッチ133に入力される選択信号がローレベルであり、且つ第2選択端子139から第2スイッチ134に入力される選択信号がハイレベルである場合、出力生成OR回路131の論理和が無効となり、出力生成AND回路132の論理積が有効となっている。この場合、図5のグリッチ除去回路10cは、図2のグリッチ除去回路10aと等価となるので、図2のグリッチ除去回路10aと同様にハイレベルの原信号に含まれるローレベル方向のグリッチを除去する。
第1選択端子138から第1スイッチ133に入力される選択信号がハイレベルであり、且つ第2選択端子139から第2スイッチ134に入力される選択信号がローレベルである場合、出力生成OR回路131の論理和が有効となり、出力生成AND回路132の論理積が無効となっている。この場合、図5のグリッチ除去回路10cは、図4のグリッチ除去回路10bと等価となるので、図4のグリッチ除去回路10bと同様にローレベルの原信号に含まれるハイレベル方向のグリッチを除去する。
第1選択端子138から第1スイッチ133に入力される選択信号がローレベルであり、且つ第2選択端子139から第2スイッチ134に入力される選択信号がローレベルである場合、出力生成OR回路131の論理和及び出力生成AND回路132の論理積がいずれも無効となっている。この場合、図5のグリッチ除去回路10cは、常に原信号をそのまま出力信号として出力する。
以上のように、図5の電子装置1cは、1つのグリッチ除去回路10aに対して、第1スイッチ133及び第2スイッチ134の設定によって、4つの動作モードが選択され得る。
カウント部20cは、出力信号が入力されるn段の出力信号遅延素子21と、グリッチ除去回路10によるグリッチの除去の有無を示す判定信号を生成する判定信号生成部22cと、判定信号生成部22cに基づいて、グリッチを除去した回数を係数するインクリメント部23と、を備える。なお、出力ラッチ遅延素子136が出力信号遅延素子21の1段目を兼ねてもよい。
判定信号生成部22cは、現在の出力信号及び全ての出力信号遅延素子21から出力される信号が入力され、論理積を出力する判定AND回路224と、現在の出力信号及び全ての出力信号遅延素子21から出力される信号が入力され、否定論理和を出力するNOR回路225と、判定AND回路224の出力又はNOR回路225の出力を選択して出力するセレクタ226とを備える。セレクタ226には、選択信号としてグリッチ除去回路10cの最後段の原信号遅延素子12の出力が入力され、この選択信号がハイレベルである場合にはNOR回路の出力をインクリメント部23に出力し、選択信号がローレベルである場合にはAND回路の出力をインクリメント部23に出力する。
これにより、判定信号生成部22cは、現在の出力信号と全ての出力信号遅延素子21から出力される信号とが等しく、かつ現在の出力信号と原信号遅延素子12の最後段から出力される信号とが異なる場合に、グリッチを除去したことを示す値となる判定信号を生成する。
以上説明した第4実施形態の電子装置1cによれば、先に説明した第1実施形態の効果に加え、以下のような効果を奏する。
え、以下のような効果を奏する。
電子装置1cにおいて、判定信号生成部22cは、現在の出力信号と全ての出力信号遅延素子21から出力される信号とが等しく、かつ現在の出力信号と原信号遅延素子12の最後段から出力される信号とが異なる場合に、グリッチを除去したことを示す値となる判定信号を生成する。これにより、グリッチが除去された回数を正確にカウントすることができる。
電子装置1cにおいて、原信号遅延素子12は、ハイレベル時にローレベル方向のグリッチノイズを含む可能性があり且つローレベル時にハイレベル方向のグリッチノイズを含む可能性がある信号が入力されるものであり、出力信号生成部13は、原信号遅延素子12のそれぞれから出力される信号と原信号との論理和及び論理積のそれぞれに対する排他的論理和に基づいて、出力信号を生成する。これにより、原信号がハイレベル信号であっても、グリッチを除去することができる。また、信号出力端子14に出力される信号と、原信号遅延素子12の最後段の出力とを比較することで、グリッチを除去した回数をカウントすることができる。したがって、電子装置1cは比較的汎用性が高い。
電子装置1cにおいて、出力信号生成部13cは、論理和を有効にする第1スイッチ133と、論理積を有効にする第2スイッチ134と、を更に備える。これにより、選択的に原信号のグリッチを除去することができる。したがって、電子装置1cは比較的汎用性が高い。
[第5実施形態]
図6は、本開示の第5実施形態に係る電子装置1dを示す回路図である。本実施形態に係る電子装置1dは、ローレベルの入力信号に載ったハイレベル方向のグリッチを除去すると共に、ハイレベルの入力信号に載ったローレベル方向のグリッチを除去する装置である。
電子装置1dは、入力された信号のグリッチを除去するグリッチ除去回路10dと、グリッチ除去回路10dがグリッチを除去した回数をカウントするカウント部20dと、カウント部20dのカウント数に基づく制御を行う電子装置制御部30と、を備える。
第5実施形態の電子装置1dの電子装置制御部30は、第1実施形態の電子装置1の電子装置制御部30と同様である。
グリッチ除去回路10dは、信号入力端子11と、n段(nは1以上の整数)の原信号遅延素子12と、出力信号を生成する出力信号生成部13dと、出力信号を出力する信号出力端子14と、を備える。
出力信号生成部13dは、全ての原信号遅延素子12の出力信号及び原信号の論理和を出力する出力生成OR回路131と、全ての原信号遅延素子12の出力信号及び原信号の論理積を出力する出力生成AND回路132と、ハイレベルの原信号に含まれるローレベル方向のグリッチを除去するか否かを選択する選択信号が入力される第1選択端子138と、ローレベルの原信号に含まれるハイレベル方向のグリッチを除去するか否かを選択する選択信号が入力される第2選択端子139と、出力生成OR回路131の出力と第1選択端子138から入力される選択信号との論理積を出力する第1選択AND回路140と、第1選択AND回路140の出力と原信号との論理和を出力する第1選択OR回路141と、第1選択端子138から入力される選択信号を反転する選択信号反転器142と、出力生成AND回路132の出力と選択信号反転器142の出力との論理和を出力する第2選択OR回路143と、第2選択OR回路143の出力と原信号との論理積を出力する第2選択AND回路144と、出力信号をラッチする出力ラッチ遅延素子136と、第2選択OR回路143の出力と出力ラッチ遅延素子136の出力との論理和を出力する出力OR回路145と、出力OR回路145の出力と第1選択OR回路141の出力との論理積を出力する出力AND回路146と、を備える。
第1選択AND回路140は、第1選択端子138から入力される選択信号がハイレベルである場合には出力生成OR回路131の出力をそのまま出力し、第1選択端子138から入力される選択信号がローレベルである場合には出力生成OR回路131の出力にかかわらずローレベルの信号を出力する。出力生成OR回路131の出力は、原信号がハイレベルである場合には必ずハイレベルとなる。このため、第1選択OR回路141の出力は、原信号(出力生成OR回路131による論理和を無効にした出力)又は出力生成OR回路131の出力(出力生成OR回路131による論理和を有効にした出力)となる。
第2選択OR回路143は、第2選択端子139から入力される選択信号がハイレベルである場合には出力生成AND回路132の出力をそのまま出力し、第2選択端子139から入力される選択信号がローレベルである場合には出力生成AND回路132の出力にかかわらずハイレベルの信号を出力する。出力生成AND回路132の出力は、原信号がローレベルである場合には必ずローレベルとなる。このため、第2選択AND回路144の出力は、原信号(出力生成AND回路132による論理積を無効にした出力)又は出力生成AND回路132の出力(出力生成AND回路132による論理積を有効にした出力)となる。
出力ラッチ遅延素子136は、クロック周期1回前の出力信号を記憶する。出力OR回路145の出力は、1回前の出力信号がハイレベルである場合及び第2選択AND回路144の出力がハイレベルである場合にハイレベルとなる。出力AND回路146の出力は、出力OR回路145の出力及び第1選択OR回路141の出力が共にハイレベルである場合にハイレベルとなる。出力AND回路146に第1選択OR回路141の出力(出力生成OR回路131の出力)及び第2選択AND回路144の出力(出力生成AND回路132の出力)を直接入力すると、ハイレベルの信号中のローレベル方向を含む信号が出力される。しかしながら、出力信号生成部13は出力ラッチ遅延素子136及び出力OR回路145を有するため、ひとたび出力信号がハイレベルとなると、第2選択AND回路144の出力がローレベルになっても、第1選択OR回路141の出力がハイレベルであった次の回には、出力OR回路145がハイレベルの信号を出力する。これにより、出力AND回路146の出力は、原信号からローレベル方向のグリッチ及びハイレベル方向のグリッチを除去した信号となる。
カウント部20dは、出力信号が入力されるn段の出力信号遅延素子21と、グリッチ除去回路10によるグリッチの除去の有無を示す判定信号を生成する判定信号生成部22dと、判定信号生成部22dに基づいて、グリッチを除去した回数を係数するインクリメント部23と、を備える。
判定信号生成部22dは、原信号遅延素子12の最後段から出力される信号を反転する遅延信号反転器221と、遅延信号反転器221の出力、現在の出力信号、全ての出力信号遅延素子21から出力される信号が入力され、これらの論理積を出力する判定AND回路222と、及び全ての出力信号遅延素子21から出力される信号が入力され、これらの否定論理和を出力する判定NOR回路223と、判定AND回路222の出力と判定NOR回路223との論理和を出力する判定OR回路227と、を有する。
判定AND回路222の出力は、グリッチ除去回路10dがハイレベルの原信号中のローレベル方向のグリッチを除去したときにハイレベルとなる。判定NOR回路223の出力は、グリッチ除去回路10dがローレベルの原信号中のハイレベル方向のグリッチを除去したときにハイレベルとなる。このため、判定NOR回路223の出力は、グリッチ除去回路10dがいずれかの方向のグリッチを除去したときにハイレベルとなる。
以上説明した第5実施形態の電子装置1dも、先に説明した第4実施形態の電子装置1cと同様の効果を奏する。
[第6実施形態]
図7は、本開示の第6実施形態に係る電子装置1eを示す回路図である。本実施形態の電子装置1eは、ローレベルの入力信号に載ったハイレベル方向のグリッチを除去すると共に、ハイレベルの入力信号に載ったローレベル方向のグリッチを除去する装置である。
電子装置1eは、入力された信号のグリッチを除去するグリッチ除去回路10cと、グリッチ除去回路10cがグリッチを除去した回数をカウントするカウント部20eと、カウント部20eのカウント数に基づく制御を行う電子装置制御部30と、を備える。
第6実施形態の電子装置1eのグリッチ除去回路10cは、第4実施形態の電子装置1cのグリッチ除去回路10cと同様である。第6実施形態の電子装置1eの電子装置制御部30は、第1実施形態の電子装置1の電子装置制御部30と同様である。
カウント部20eは、出力信号が入力されるn段の出力信号遅延素子21と、グリッチ除去回路10によるグリッチの除去の有無を示す判定信号を生成する判定信号生成部22eと、判定信号生成部22eに基づいて、グリッチを除去した回数を係数するインクリメント部23eと、を備える。
判定信号生成部22eは、原信号遅延素子12の最後段から出力される信号を反転する遅延信号反転器221と、遅延信号反転器221の出力、現在の出力信号、全ての出力信号遅延素子21から出力される信号が入力され、これらの論理積を出力する判定AND回路222と、及び全ての出力信号遅延素子21から出力される信号が入力され、これらの否定論理和を出力する判定NOR回路223とを有する。判定信号生成部22eは、判定AND回路222の出力を第1の判定信号としてインクリメント部23eに出力すると共に、判定NOR回路223の出力を第2の判定信号としてインクリメント部23eに出力する。
インクリメント部23eは、判定AND回路222が出力する第1の判定信号がハイレベルになる度にグリッチを除去した回数をインクリメントする第1インクリメンタ232と、判定NOR回路223が出力する第2の判定信号がハイレベルになる度にグリッチを除去した回数をインクリメントする第2インクリメンタ233と、を有する。つまり、インクリメント部23eは、グリッチ除去回路10cがハイレベルの原信号中のローレベル方向のグリッチを除去した回数を第1インクリメンタ232によりカウントし、グリッチ除去回路10cがローレベルの原信号中のハイレベル方向のグリッチを除去した回数を第2インクリメンタ233によりカウントする。
以上説明した第6実施形態の電子装置1eは、ローレベル方向のグリッチを除去した回数と、ハイレベル方向のグリッチを除去した回数とをインクリメント部23eによって別々にカウントするため、グリッチの発生状況をより詳細に把握することができる。
[第7実施形態]
図8は、本開示の第7実施形態に係る電子装置1fを示す回路図である。本実施形態の電子装置1fは、ローレベルの入力信号に載ったハイレベル方向のグリッチを除去すると共に、ハイレベルの入力信号に載ったローレベル方向のグリッチを除去する装置である。
電子装置1fは、入力された信号のグリッチを除去するグリッチ除去回路10dと、グリッチ除去回路10dがグリッチを除去した回数をカウントするカウント部20eと、カウント部20eのカウント数に基づく制御を行う電子装置制御部30と、を備える。
本実施形態の電子装置1fにおけるグリッチ除去回路10dは、第5実施形態の電子装置1dにおけるグリッチ除去回路10dと同様である。また、本実施形態の電子装置1fにおけるカウント部20eは、第6実施形態の電子装置1eにおけるカウント部20eと同様である。
この第7実施形態の電子装置1fも、ローレベル方向のグリッチを除去した回数と、ハイレベル方向のグリッチを除去した回数とをインクリメント部23eによって別々にカウントするため、グリッチの発生状況をより詳細に把握することができる。
[初期化回路]
図9は、本開示の第1乃至第7実施形態の電子装置1a乃至1fに付加し得る初期化回路80を示す回路図である。第1乃至第7実施形態の電子装置1a乃至1fに初期化回路80を付加した電子装置は本開示の別の実施形態である。
初期化回路80は、常時ハイレベルでグリッチ除去した回数のカウントを初期化するときにのみローレベルとなる負論理信号であるリセット信号が入力されるリセット端子81と、原信号を反転する原信号反転器82と、原信号反転器82の出力とリセット端子81から入力されるリセット信号との論理和を出力する第1初期化OR回路83と、原信号とリセット端子81から入力されるリセット信号との論理和を出力する第2初期化OR回路84とを備える。
リセット端子81に入力されるリセット信号は、第1初期化OR回路83及び第2初期化OR回路84の他、インクリメンタ231のクリア端子にも入力される。第1初期化OR回路83の出力は、各出力信号遅延素子21の保持値をハイレベルに設定するプリセット端子に入力される。一方、第2初期化OR回路84の出力は、各出力信号遅延素子21の保持値をローレベルに設定するクリア端子に入力される。これらのクリア端子やプリセット端子は全て負論理とする。このため、インクリメンタ231は、リセット端子81に入力されるリセット信号がローレベルとなったときにカウントがゼロにリセット(初期設定)される。出力信号遅延素子21は、第1初期化OR回路83の出力がローレベルとなったときに保持値がハイレベルに設定され、第2初期化OR回路84の出力がローレベルとなったときに保持値がローレベルに設定される。
第1初期化OR回路83の出力は、原信号がハイレベルであり且つリセット端子81から入力されるリセット信号がローレベルであるときにのみローレベルとなる。第2初期化OR回路84の出力は、原信号がローレベルであり且つリセット端子81から入力されるリセット信号がローレベルであるときにのみローレベルとなる。このため、リセット信号がローレベルとなったときに原信号がハイレベルであった場合には、各出力信号遅延素子21の保持値がハイレベルに初期設定される。また、リセット信号がローレベルとなったときに原信号がローレベルであった場合には、各出力信号遅延素子21の保持値がローレベルに初期設定される。
[第8実施形態]
図10は、本開示の第8実施形態に係る電子装置1gを示す回路図である。本実施形態の電子装置1gは、本開示の第6実施形態の電子装置1eに図9の初期化回路80を付加したものである。
電子装置1gにおいて、リセット端子81に入力されるリセット信号は、第1初期化OR回路83及び第2初期化OR回路84に入力されると共に、第1インクリメンタ232及び第2インクリメンタ233のクリア端子に反転入力される。第1初期化OR回路83の出力は、各出力信号遅延素子21のプリセット端子と、各原信号遅延素子12のプリセット端子と、出力ラッチ遅延素子136のプリセット端子とにそれぞれ反転入力される。第2初期化OR回路84の出力は、各出力信号遅延素子21のクリア端子と、各原信号遅延素子12のクリア端子と、出力ラッチ遅延素子136のクリア端子とにそれぞれ反転入力される。
以上説明した第8実施形態の電子装置1gによれば、先に説明した第1及び第6実施形態の効果に加え、以下のような効果を奏する。
電子装置1gは、リセット信号が入力された場合に、原信号遅延素子12、出力信号遅延素子21及びインクリメント部23e(インクリメンタ231,232)を初期化する初期化回路80を備える。これにより、電子装置1gは、グリッチ除去回路10cとカウント部20eとを初期化することができる。このため、グリッチの発生状況をより詳細に把握することができる。
[第9実施形態]
図11は、本開示の第9実施形態に係る電子装置1hを示す回路図である。本実施形態の電子装置1hは、本開示の第7実施形態の電子装置1fに図9の初期化回路80を付加したものである。
電子装置1hにおいて、リセット端子81に入力されるリセット信号は、第1初期化OR回路83及び第2初期化OR回路84に入力されると共に、第1インクリメンタ232及び第2インクリメンタ233のクリア端子に反転入力される。第1初期化OR回路83の出力は、各出力信号遅延素子21のプリセット端子と、各原信号遅延素子12のプリセット端子と、出力ラッチ遅延素子136のプリセット端子とにそれぞれ反転入力される。第2初期化OR回路84の出力は、各出力信号遅延素子21のクリア端子と、各原信号遅延素子12のクリア端子と、出力ラッチ遅延素子136のクリア端子とにそれぞれ反転入力される
以上説明した第9実施形態の電子装置1hによっても、電子装置1hは、グリッチ除去回路10dとカウント部20eとを初期化することができる。このため、グリッチの発生状況をより詳細に把握することができる。
[第10実施形態]
図12は、本開示の第10実施形態に係る電子装置1iを示す回路図である。本実施形態の電子装置1iは、ハイレベルの入力信号に載ったローレベル方向のグリッチを除去する装置である。
本実施形態の電子装置1iは、入力された信号のグリッチを除去するグリッチ除去回路10aと、グリッチ除去回路10aがグリッチを除去した回数をカウントするカウント部20iと、カウント部20iのカウント数に基づく制御を行う電子装置制御部30と、を備える。
本実施形態の電子装置1iにおけるグリッチ除去回路10aは、第2実施形態の電子装置1aにおけるグリッチ除去回路10aと同様である。また、本実施形態に係る電子装置1iの電子装置制御部30は、第1実施形態に係る電子装置1の電子装置制御部30と同様である。
カウント部20iは、出力信号が入力されるn段の出力信号遅延素子21と、グリッチ除去回路10によるグリッチの除去の有無を示す判定信号を生成する判定信号生成部22aと、判定信号生成部22に基づいて、グリッチを除去した回数を係数するインクリメント部23iと、を備える。本実施形態の電子装置1iは、インクリメント部23iの構成のみが、第2実施形態の電子装置1aと異なる。
インクリメント部23iは、判定信号生成部22aが出力する判定信号をラッチする判定信号遅延素子234と、判定信号遅延素子234の出力を反転する判定信号反転素子235と、判定信号生成部22aが出力する判定信号と判定信号反転素子235の出力との論理積を出力するインクリメントAND回路236と、インクリメントAND回路236の出力がハイレベルとなるたびにカウントをインクリメントするインクリメンタ231とを備える。
インクリメント部23iは、現在の判定信号がハイレベルでありかつ前回の判定信号がローレベルである場合のみインクリメンタ231をインクリメントする。このため、インクリメント部23iは、グリッチ除去回路10aがクロック周期の複数回にわたって連続してグリッチを除去した場合、インクリメンタを1回だけインクリメントする。つまり、カウント部20iは、グリッチ除去回路10aが除去したグリッチのアサートエッジをカウントする。
以上説明した第10実施形態の電子装置1iによれば、先に説明した第1実施形態の効果に加え、以下のような効果を奏する。
電子装置1iは、グリッチ除去回路10aが除去したグリッチの時間幅がクロック2周期分以上である場合に、カウント部20iによってそのグリッチを除去した回数を1回としてカウントする。これにより、グリッチの発生状況を正確に把握することができる。
[第11実施形態]
図13は、本開示の第11実施形態に係る電子装置1jを示す回路図である。本実施形態の電子装置1jは、ローレベルの入力信号に載ったハイレベル方向のグリッチを除去する装置である。
本実施形態の電子装置1jは、入力された信号のグリッチを除去するグリッチ除去回路10bと、グリッチ除去回路10bがグリッチを除去した回数をカウントするカウント部20jと、カウント部20jのカウント数に基づく制御を行う電子装置制御部30と、を備える。
カウント部20jは、出力信号が入力されるn段の出力信号遅延素子21と、グリッチ除去回路10によるグリッチの除去の有無を示す判定信号を生成する判定信号生成部22aと、判定信号生成部22に基づいて、グリッチを除去した回数を係数するインクリメント部23iと、を備える。本実施形態の電子装置1jは、第3実施形態の電子装置1bのインクリメント部23を第10実施形態の電子装置1iのインクリメント部23iに置換したものである。
この第11実施形態の電子装置1jによれば、除去されたハイレベル方向のグリッチのアサートエッジをカウントし、ハイレベル方向のグリッチの発生状況を正確に把握することができる。
[初期化回路]
図14は、第10実施形態の電子装置1又は第11実施形態の電子装置1jに、図9の初期化回路80を付加する際の結線を示す回路図である。
インクリメント部23iを有する電子装置1i,1jに初期化回路80を付加する場合、リセット端子81に入力されるリセット信号は、判定信号遅延素子234のクリア端子にも入力される。このため、リセット端子81から入力されるリセット信号がローレベルであるとき、判定信号遅延素子はローレベルに初期化される。
[第12実施形態]
図15は、本開示の第12実施形態に係る電子装置1kを示す回路図である。本実施形態の電子装置1kは、ローレベルの入力信号に載ったハイレベル方向のグリッチを除去すると共に、ハイレベルの入力信号に載ったローレベル方向のグリッチを除去する装置である。
電子装置1kは、入力された信号のグリッチを除去するグリッチ除去回路10dと、グリッチ除去回路10dがグリッチを除去した回数をカウントするカウント部20kと、カウント部20kのカウント数に基づく制御を行う電子装置制御部30と、を備える。
第12実施形態の電子装置1kのグリッチ除去回路10dは、第5実施形態の電子装置1dのグリッチ除去回路10dと同様である。第12実施形態の電子装置1kの電子装置制御部30は、第1実施形態の電子装置1の電子装置制御部30と同様である。
カウント部20kは、出力信号が入力されるn段の出力信号遅延素子21と、グリッチ除去回路10によるグリッチの除去の有無を示す判定信号を生成する判定信号生成部22eと、判定信号生成部22eに基づいて、グリッチを除去した回数を係数するインクリメント部23kと、を備える。
本実施形態のカウント部20kの判定信号生成部22eは、第6実施形態のカウント部20eの判定信号生成部22eと同様である。
インクリメント部23kは、判定信号生成部22eの判定AND回路222から出力される第1の判定信号をラッチする第1判定信号遅延素子237と、第1判定信号遅延素子237の出力を反転する第1判定信号反転素子238と、判定AND回路222から出力される第1の判定信号と第1判定信号反転素子238の出力との論理積を出力する第1インクリメントAND回路239と、第1インクリメントAND回路239の出力がハイレベルとなるたびにカウントをインクリメントする第1インクリメンタ232と、判定信号生成部22eの判定NOR回路223から出力される第2の判定信号をラッチする第2判定信号遅延素子240と、第2判定信号遅延素子240の出力を反転する第2判定信号反転素子241と、判定AND回路222から出力される第2の判定信号と第2判定信号反転素子241の出力との論理積を出力する第2インクリメントAND回路242と、第2インクリメントAND回路242の出力がハイレベルとなるたびにカウントをインクリメントする第2インクリメンタ233と、を備える。
第1インクリメンタ232は、グリッチ除去回路10dが除去したローレベル方向のグリッチのアサートエッジをカウントする。第2インクリメンタ233は、グリッチ除去回路10dが除去したハイレベル方向のグリッチのアサートエッジをカウントする。
以上説明した第12実施形態の電子装置1kは、除去されたローレベル方向のグリッチのアサートエッジ回数と、除去されたハイレベル方向のグリッチのアサートエッジの数とをインクリメント部23kによって別々にカウントするため、グリッチの発生状況をより詳細に把握することができる。
[ノイズ除去システム]
以下、本開示に係るノイズ除去システムの実施形態について、図16を参照して説明する。図16は、本開示に係るノイズ除去システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
ノイズ除去システムは、複数の電子装置1と、1又は複数の電子装置1と通信する情報処理装置2と、を備える、
本実施形態のノイズ除去システムにおける電子装置1は、第1実施形態の電子装置1の同様である。
情報処理装置2は、電子装置1の電子装置通信部60と通信することによりグリッチを除去した回数(カウント数)を受信する情報処理装置通信部91と、情報処理装置通信部91を制御する情報処理装置制御部92と、情報処理装置通信部91が受信したカウント数を記録する情報処理装置記憶部93と、を備える。
情報処理装置通信部91は、電子装置通信部60と同様の、例えばイーサーネット通信モジュール、無線通信モジュール等を備える構成とすることができる。
情報処理装置制御部92は、プログラムによって指示される動作を行うプロセッサ(CPU)を有する構成とすることができる。
情報処理装置記憶部93は、メモリ、ハードディスクドライブ等の記憶装置を有する構成とすることができる。
情報処理装置2において、情報処理装置制御部92は、情報処理装置通信部91を介して各電子装置1がカウントしたグリッチを除去した回数を取得する。情報処理装置制御部92は、電子装置1の番号と、その電子装置1のカウント数とを対応付けて情報処理装置記憶部93に記憶させる。情報処理装置2は、電子装置1の位置情報を取得してもよい。位置情報は、GPS等の位置情報取得システムを用いて取得してもよく、予め設定しておいた電子装置1の配置に基づいて電子装置1の番号から求めてもよい。
各電子装置1からのカウント数の取得、及び情報処理装置記憶部93へのカウント数等の記録は、定期的又は致命的なエラーの発生等の所定の事象が発生した時に行うことが好ましい。
情報処理装置制御部92は、電子装置1から取得したグリッチの除去回数を解析してもよい。グリッチ除去回数の解析は、各電子装置1のグリッチ除去回数を時系列に沿ったデータとして利用してもよく、電子装置1の位置情報を利用してもよい。
情報処理装置2は、グリッチの除去回数の解析結果を報知するモニタ等の解析結果報知部を更に備えてもよい。また、情報処理装置は、情報処理装置通信部91を介してグリッチの除去回数の解析結果を電子装置1又は他の機器に送信してもよい。
以上説明した本開示の一実施形態のノイズ除去システムによれば、以下に説明するような効果を奏する。
以上説明した本開示の一実施形態のノイズ除去システムは、電子装置1と、電子装置1からカウント数を受信し、受信したカウント数を記録する情報処理装置2と、を備える。これにより、1又は複数の電子装置1がグリッチノイズを除去した回数を取得し、グリッチの発生状況を総合的に把握することができる。
以上、本開示の電子装置の好ましい各実施形態につき説明したが、本開示は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態において、原信号遅延素子12はDフリップフロップで説明されたが、これに制限されない。原信号遅延素子12は、JK型フリップフロップであってもよい。