JP6929068B2 - 包装袋及びその製造方法 - Google Patents

Description

本発明は、包装袋及びその製造方法に関する。

従来から、食品、医薬品、医療用機器、医療用器具、電子部品、精密機械、記録材料等の分野において、水分及び酸素による品質劣化を防止するために、水蒸気吸収能及び酸素吸収能を有する包装袋中に物品を収納して保存することが行われており、そのための包装袋が提案されている。

例えば特許文献１には、シーラントフィルムと機能性多孔質体とが積層された積層フィルム、及び該積層体から得られる包装袋が記載されている。上記機能性多孔体は、消臭効果を示す粒子及び樹脂成分の組み合わせ、酸素吸収効果を示す粒子及び樹脂成分の組み合わせ、並びに水蒸気吸収効果を示す粒子及び樹脂成分の組み合わせからなる群から選択される機能性物質が担持された多孔質体であってよい。特許文献１には、酸素吸収効果を示す粒子として、酸化セリウム等の無機酸化物、エチレン性不飽和炭化水素等を含有する有機系混合物等が記載されており、水蒸気吸収効果を示す粒子として、天然ゼオライト、合成ゼオライト等が記載されている。

特許文献２には、水分吸収性積層体と酸素吸収性積層体とを使用した酸素水分吸収性パウチが記載されている。上記水分吸収性積層体は、例えば、ゼオライト等の乾燥剤を含有する。上記酸素吸収性積層体は、例えばエチレン系不飽和炭化水素系ポリマー等の酸化性樹脂と、例えばコバルトネオデカノエート等の遷移金属触媒とを含有する。

特開２０１４−４６５８７号公報 特開２００９−４０４３９号公報

酸素及び水蒸気の双方を除去する場合、酸素の吸収に水分の存在を要する酸素吸収剤、例えば鉄系の酸素吸収剤、は使用できない。この場合には、低湿度下においても水分の介在を要さずに酸素を吸収除去できる酸素吸収剤を使用する必要がある。そのような酸素吸収剤としては、有機物系の吸収剤が考えられる。

しかしながら有機物系の酸素吸収剤は、フィルムに練り込んだ場合にブリードアウトし易く、使用中に内容物に付着して汚染する可能性があるため、好ましくない。

上記特許文献１及び２に記載された包装袋又はパウチは、水分の介在を要さずに酸素を吸収除去する機能を有するものであると考えられる。しかしながら、特許文献１に記載された技術は、酸素及び水蒸気の双方を同時に吸収除去することは想定しておらず、その場合の具体的構成は開示されていない。特許文献２に記載されたパウチの酸素吸収能は、未だ不十分である。更に、酸素吸収機能を発揮させるためには、パウチの内側から紫外線を照射する必要があり、手間がかかる。

低湿度下においても酸素を速やかに吸収除去し得る酸素吸収剤として、酸素欠損を有する酸化セリウムが知られている。

酸素欠損を有する酸化セリウムを酸素吸収剤として含有するフィルムを用いて得られた包装袋は、ヒートシール部の端部から包装袋の内部方向に酸素が侵入し、酸素欠損を有する酸化セリウムの酸素吸収活性が失活する、いわゆる「端部失活」の問題が生ずることがある。特に、イージーピールシーラント層を有する包装袋の場合、この端部失活が顕著になる傾向がある。包装袋の端部失活が進行してヒートシール部を越えると、包装袋内部に酸素が侵入することがある。

本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、酸素及び水蒸気の双方を吸収除去することができ、低湿度下においても酸素吸収が可能でありながら、端部失活の問題が抑制された包装袋、及びその製造方法を提供することである。

本発明は、以下のとおりである。

［１］端部にヒートシール部を有し、それによって袋状に成形されている包装袋であって、
前記ヒートシール部が、酸素吸収層と、水蒸気吸収層と、バリア層と、を有し、
前記酸素吸収層が、酸素欠損を有する酸化セリウムを含有する、
前記包装袋。

［２］前記水蒸気吸収層がゼオライトを含有する、［１］に記載の包装袋。

［３］前記ヒートシール部が、バリア層と、酸素吸収層と、水蒸気吸収層と、バリア層とを、この順に有する、［１］又は［２］に記載の包装袋。

［４］前記ヒートシール部が、イージーピール機能を有する層を含む、［１］〜［３］のいずれか一項に記載の包装袋。

［５］バリア層及び酸素吸収層を有する酸素吸収積層フィルムと、
バリア層及び水蒸気吸収層を有する水蒸気吸収積層フィルムと、
が、酸素吸収層及び水蒸気吸収層が内側になるように対向配置され、且つ前記酸素吸収積層フィルム及び前記水蒸気吸収積層フィルムの端部がヒートシールされており、それによって袋状に成形されている、［１］〜［４］のいずれか一項に記載の包装袋。

［６］前記酸素吸収層の片面又は両面にスキン層を有する、［１］〜［５］のいずれか一項に記載の包装袋。

［７］前記水蒸気吸収層の片面又は両面にスキン層を有する、［１］〜［６］のいずれか一項に記載の包装袋。

［８］バリア層及び酸素吸収層を有する酸素吸収積層フィルムと、バリア層及び水蒸気吸収層を有する水蒸気吸収積層フィルムと、を準備すること、
前記酸素吸収積層フィルムと前記水蒸気吸収積層フィルムとを、酸素吸収層及び水蒸気吸収層が内側になるように対向配置すること、
前記対向配置した前記酸素吸収積層フィルム及び前記水蒸気吸収積層フィルムの端部をヒートシールし、それによって袋状に成形すること、
を含む、包装袋の製造方法。

［９］［１］〜［７］のいずれか一項に記載の包装袋、及び
前記包装袋に密封されている内容物
を含む、内容物入り包装袋。

［１０］前記内容物が医薬品又は医療用器具である、［９］に記載の内容物入り包装袋。

本発明によると、酸素及び水蒸気の双方を吸収除去することができ、低湿度下においても酸素吸収が可能でありながら、端部失活の問題が抑制された包装袋、及びその製造方法が提供される。

本発明の包装袋は、袋内部の酸素及び水蒸気濃度を低く維持できるから、例えば、食品、医薬品、医療用機器、医療用器具、電子部品、精密機械、記録材料等の内容物を保存するために好適に用いることができる。特に、医薬品又は医療用器具を内容物とする内容物入り包装袋への適用が好適である。

図１は、本発明の包装袋のヒートシール部近傍の層構成の一例を示す概略断面図である。 図２は、本発明の包装袋のヒートシール部近傍の層構成の別の一例を示す概略断面図である。 図３は、実施例及び比較例における包装袋を製造するために用いた積層フィルムの構成を示す概略断面図である。

＜包装袋＞
本発明の包装袋は、
端部にヒートシール部を有し、それによって袋状に成形されている包装袋であって、
前記ヒートシール部が、酸素吸収層と、水蒸気吸収層と、バリア層と、を有し、
前記酸素吸収層が、酸素欠損を有する酸化セリウムを含有する。

本発明の包装袋のヒートシール部は、バリア層と、酸素吸収層と、水蒸気吸収層と、バリア層とを、この順に有していてよい。

本発明の包装袋のヒートシール部は、酸素吸収層の片面又は両面にスキン層を更に有していてもよく、水蒸気吸収層の片面又は両面にスキン層を更に有していてもよい。また、片側又は両側の最外層に、表面樹脂層を更に有していてもよい。

本発明の包装袋のヒートシール部は、イージーピール機能を有する層を含んでいてよい。この場合、酸素吸収層、水蒸気吸収層、及び存在する場合にはスキン層のうちの少なくとも１層がイージーピール機能を有していてもよく、これらの層以外に、イージーピール機能を有する層を更に含んでいてもよい。

本発明の包装袋は、酸素吸収層が酸素欠損を有する酸化セリウムを含有している。そのため、該酸素吸収層は、水分の介在を要さずに酸素を吸収することができる。従って本発明の包装袋は、低湿度環境下においても優れた酸素吸収能を示す。更に、酸素吸収能を発揮させるために、紫外線照射等の面倒な手間をかける必要もない。

本発明の包装袋は、酸素吸収層及び水蒸気吸収層の双方を有することにより、酸素吸収能が向上されており、ヒートシール部における端部失活が極めて抑制されている。この現象の作用機序は詳らかではない。しかし本発明者らは、以下の理由のうちの少なくとも１つが妥当するのではないかと推察している。

（１）包装袋を構成する各層が湿潤すると、酸素が通り易くなる可能性がある。この場合、水蒸気吸収層が存在すると、包装袋各層の湿潤が抑制されて酸素の通過が制限される結果、端部失活が抑制されると考えられる。
（２）酸素欠損を有する酸化セリウムが、水分を還元して消費される結果、酸素吸収能が損なわれる可能性がある。この場合、水蒸気吸収層が存在すると、水分が減少し、酸素欠損を有する酸化セリウムの減少が抑制される結果、当初の酸素吸収能が維持され、端部失活が抑制されると考えられる。
（３）酸素欠損を有する酸化セリウムの表面に、水分子が吸着して失活する可能性がある。この場合、水蒸気吸収層が存在すると、水分が減少し、酸素欠損を有する酸化セリウムの失活が抑制される結果、当初の酸素吸収能が維持され、端部失活が抑制されると考えられる。

以下、本発明の包装袋について、好ましい実施形態を例として説明する。

図１及び図２に、本発明のある実施形態における包装袋の、ヒートシール部近傍の層構成を説明するための概略断面図を示した。

図１の包装袋１００におけるヒートシール部１１０は、表面樹脂層５０、バリア層３０、スキン層４０、酸素吸収層１０、２層のスキン層４０、水蒸気吸収層２０、スキン層４０、バリア層３０、及び表面樹脂層５０の１０層を、この順に有する。包装袋１００のヒートシール部１１０は、酸素吸収層１０の両面にスキン層４０を有している。水蒸気吸収層２０の両面にもスキン層４０を有している。更に、両側の最外層に、それぞれ、表面樹脂層５０を有している。酸素吸収層１０は酸素欠損を有する酸化セリウム１１を含有し、水蒸気吸収層２０は水蒸気吸収剤２１を含有する。

図２の包装袋２００におけるヒートシール部２１０は、表面樹脂層５０、バリア層３０、スキン層４０、酸素吸収層１０、スキン層４０、イージーピール層６０、スキン層４０、水蒸気吸収層２０、スキン層４０、バリア層３０、及び表面樹脂層５０の１１層を、この順に有する。包装袋２００のヒートシール部２１０は、酸素吸収層１０の両面にスキン層４０を有している。水蒸気吸収層２０の両面にもスキン層４０を有している。更に、両側の最外層に、それぞれ、表面樹脂層５０を有している。酸素吸収層１０は酸素欠損を有する酸化セリウム１１を含有し、水蒸気吸収層２０は水蒸気吸収剤２１を含有する。

［酸素吸収層］
本実施形態における酸素吸収層は、酸素欠損を有する酸化セリウムを含有する。酸素吸収層は、酸素欠損を有する酸化セリウムの他に、樹脂を含有していてもよい。

（酸素欠損を有する酸化セリウム）
酸素欠損を有する酸化セリウムは、酸化セリウムＣｅＯ_２を、強還元雰囲気下で還元処理して、酸化セリウムの結晶格子中から酸素原子を強制的に引き抜くことによって製造されたものであってよい。強還元雰囲気下での還元処理は、例えば水素存在下、例えば８００℃以上又は９００℃以上、例えば１，５００℃以下又は１，２００℃以下、典型的には１，０００℃における熱処理によってよい。

酸化セリウムの結晶格子中からの水素存在下における酸素原子引き抜きは、例えば、例えば下記式（１）に従う反応であってよい。
ＣｅＯ_２＋ｘＨ_２→ＣｅＯ_２−ｘ＋ｘＨ_２Ｏ （１）

上記のような酸素欠損を有する酸化セリウムは、例えば下記式（２）に従う反応によって酸素を吸収することができる。

上記式（１）及び（２）におけるｘは、０を超え１．０以下の数であり、例えば、０．１以上、０．２以上、０．３以上、又は０．４以上の数であってよく、例えば、０．８以下、０．７以下、又は０．６以下の数であってよい。

酸素欠損を有する酸化セリウムは、上記式（２）から理解されるように、酸素を吸収するに際して水分の介在を要さない。従って、酸素吸収層に酸素欠損を有する酸化セリウムを含有する本実施形態の包装袋は、水分を嫌う内容物を収納保存するのに極めて有効である。

酸素欠損を有する酸化セリウムは粒子状であってよい。この場合、酸素欠損を有する酸化セリウムの平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布におけるメジアン径として、例えば、１００ｎｍ以上、５００ｎｍ以上、又は１μｍ以上であってよく、例えば、７０μｍ以下、５０μｍ以下、又は４０μｍ以下であってよい。

本実施形態の酸素吸収層における酸素欠損を有する酸化セリウムの含有割合は、所望の酸素吸収能を有効に発現させる観点から、酸素吸収層の全質量に対して、１質量％以上、５質量％以上、１０質量％以上、又は２０質量％以上であってよい。一方で、酸素吸収層の製造し易さの観点からは、酸化セリウムの含有割合は、酸素吸収層の全質量に対して、７５質量％以下、６５質量％以下、６０質量％以下、５７質量％以下、５５質量％以下、５０質量％以下、４５質量％以下、又は４０質量％以下であってよい。

（樹脂）
本実施形態における酸素吸収層が含有する樹脂は、熱可塑性樹脂であってよい。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリオレフィン、オレフィン系共重合体、ポリ芳香族ビニル化合物、ポリエステル、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等の中から適宜選択して使用してよい。

上記ポリオレフィンは、例えば、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、直鎖低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）、中密度ポリエチレン（ＭＤＰＥ）、高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）、ポリプロピレン、メタロセン触媒によるポリプロピレン、プロピレン−エチレン ブロック共重合体、プロピレン−エチレン ランダム共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル等であってよく、これらの変性物であってもよい。ポリオレフィンの変性物は、例えば、塩素化ポリプロピレン、カルボン酸変性ポリエチレン、カルボン酸変性ポリプロピレン等であってよい。

オレフィン系共重合体は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）、エチレン−アクリル酸共重合体（ＥＡＡ）、エチレン−メタクリル酸共重合体（ＥＭＡＡ）、エチレン−アクリル酸エチル共重合体（ＥＥＡ）、エチレン−アクリル酸メチル共重合体（ＥＭＡＣ）等であってよく、これらの変性物であってもよい。オレフィン系共重合体の変性物は、例えば、カルボン酸変性ＥＶＡ等であってよい。

樹脂は、１種類のみを用いてもよく、２種類以上を混合して使用してもよい。

（酸素吸収層の厚さ）
本実施形態の包装袋における酸素吸収層の厚さは、酸素欠損を有する酸化セリウムの脱落を防止する観点から、例えば、１０μｍ以上、２０μｍ以上、又は３０μｍ以上であってよく、包装袋を製造するときの適度のヒートシール性を確保する観点から、例えば、３００μｍ以下、２００μｍ以下、１００μｍ以下、８０μｍ以下、又は５０μｍ以下であってよい。

［水蒸気吸収層］
本実施形態の包装袋における水蒸気吸収層は、水蒸気吸収能を有する樹脂層であってよく、例えば、水蒸気吸収剤及び樹脂を含有してよい。

（水蒸気吸収剤）
水蒸気吸収剤は、例えば、無機酸化物、無機塩等であってよい。

無機酸化物は、例えば、ゼオライト、酸化カルシウム（生石灰）、シリカゲル、酸化アルミニウム等であってよい。無機塩は、例えば、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等であってよい。

水蒸気吸収剤としては、上記のうちゼオライトが好適である。ゼオライトは、天然ゼオライト、人工ゼオライト、合成ゼオライト等であってよい。合成ゼオライトは、親水性ゼオライトであってよく、好ましくは例えば、モレキュラーシーブ３Ａ、同４Ａ、同５Ａ、及び同１３Ｘの中から適宜選択して用いられる。

水蒸気吸収剤は粒子状であってよい。この場合、水蒸気吸収剤の平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布におけるメジアン径として、例えば、１００ｎｍ以上、５００ｎｍ以上、又は１μｍ以上であってよく、例えば、５０μｍ以下、３０μｍ以下、又は１５μｍ以下であってよい。

本実施形態の水蒸気吸収層における水蒸気吸収剤の含有割合は、水蒸気吸収層の全質量に対して、１質量％以上、５質量％以上、１０質量％以上、又は２０質量％以上であってよく、７０質量％以下、６５質量％以下、６０質量％以下、又は５５質量％以下であってよい。

（樹脂）
本実施形態における水蒸気吸収層が任意的に含有する樹脂は、熱可塑性樹脂であってよく、酸素吸収層における熱可塑性樹脂として上記に例示したものの中から、適宜選択されてよい。

（水蒸気吸収層の厚さ）
本実施形態の包装袋における水蒸気吸収層の厚さは、水蒸気吸収剤の脱落を防止する観点から、例えば、１０μｍ以上、２０μｍ以上、又は３０μｍ以上であってよく、包装袋を製造するときの適度のヒートシール性を確保する観点から、例えば、１００μｍ以下、９５μｍ以下、９０μｍ以下、８５μｍ以下、８０μｍ以下、又は７５μｍ以下であってよい。

［バリア層］
本実施形態の包装袋におけるバリア層は、外部から包装袋の内部への水蒸気および酸素の侵入を防止するための層である。

バリア層は、例えば、金属箔、透明ガスバリアフィルム等であってよい。金属箔は、例えば、純アルミニウム、アルミニウム合金等から成る箔であってよい。透明ガスバリアフィルムは、ポリオレフィン、ビニル系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド等の樹脂フィルムに、アルミニウム蒸着膜、シリカ蒸着膜、アルミナ蒸着膜、若しくはシリカ・アルミナ二元蒸着膜等の無機物蒸着膜、又はポリ塩化ビニリデンコーティング膜、若しくはポリフッ化ビニリデンコーティング膜等の有機物コーティング膜を備えたフィルムであってよい。

バリア層の厚みは、包装袋に適度の強度を与え、ヒートシール等の加工性を確保するため、例えば、５μｍ以上又は７μｍ以上であってよく、例えば、４５μｍ以下、３０μｍ以下、２０μｍ以下、又は１０μｍ以下であってよい。本実施形態の包装袋が、特にヒートシール部において２層以上のバリア層を有する場合、上記の厚みは１層のバリア層についての値である。

［スキン層］
本実施形態の包装袋は、酸素吸収層の片面又は両面にスキン層を有していてもよく、水蒸気吸収層の片面又は両面にスキン層を有していてもよい。スキン層は、これらの吸収層を保護し、成膜安定性を向上し、これら吸収層からの水蒸気吸収剤又は酸素欠損を有する酸化セリウムの脱落を防止し、更にこれらの吸収層を他の層と積層するための表面平滑性を付与する機能を有する。スキン層は更に、ヒートシールによって包装袋を形成するためのヒートシール性を有していてよい。

スキン層は、例えば、熱可塑性樹脂から構成されていてよい。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリオレフィンであってよい。ポリオレフィンは、例えば、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、直鎖低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）、中密度ポリエチレン（ＭＤＰＥ）、高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）、ポリプロピレン、メタロセン触媒によるポリプロピレン、プロピレン−エチレン ブロック共重合体、プロピレン−エチレン ランダム共重合体等であってよく、これらの変性物であってもよい。ポリオレフィンの変性物は、例えば、塩素化ポリプロピレン、カルボン酸変性ポリエチレン、カルボン酸変性ポリプロピレン等であってよい。これらの熱可塑性樹脂は、１種類のみを用いてもよく、２種類以上を混合して使用してもよい。

スキン層は、厚さ２５μｍのフィルム状に成形し、温度４０℃、湿度９０％−ＲＨにおいて測定したときの水蒸気透過度が、十分に高い水蒸気吸収速度を確保するために、５ｇ／（ｍ^２・ｄａｙ）以上であってよく、一方で製造工程中における吸収能の失活を防止するために、１００ｇ／（ｍ^２・ｄａｙ）以下であってよい。

スキン層の密度は、例えば、０．８５ｇ／ｍ^３以上又は０．８７ｇ／ｍ^３以上であってよく、例えば、１．５ｇ／ｍ^３以下又は０．９５ｇ／ｍ^３以下であってよい。

スキン層の厚さは、水蒸気吸収剤又は酸素欠損を有する酸化セリウムの脱落を効果的に防止するために、例えば、２μｍ以上、３μｍ以上、５μｍ以上、又は８μｍ以上であってよく、適度のヒートシール性及び吸収速度を確保するために、例えば、２０μｍ以下、１８μｍ以下、１５μｍ以下、又は１２μｍ以下であってよい。本実施形態の包装袋が、２層以上のスキン層を有する場合、上記の厚みは１層のスキン層についての値である。

［表面樹脂層］
本実施形態の包装袋における表面樹脂層は、バリア層を保護してバリア性を維持するとともに、本実施形態の包装袋を構成する積層フィルムに、フィルムとして必要な強度、加工の際に要求されるコシ等を付与するために、バリア層の包装袋外側（酸素吸収層および水蒸気吸収層の配置される面とは反対の側）に配置されてよい。

本実施形態の包装袋における表面樹脂層としては、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム等から構成される単層又は多層のフィルムであってよい。表面樹脂層は、印刷が施されていてもよい。

ポリエステル系樹脂フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート等から成るフィルムであってよい。ポリアミド系樹脂フィルムは、例えば、各種のナイロン等から成るフィルムであってよい。ポリオレフィン系樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等から成るフィルムであってよい。これらのフィルムは、得られる包装袋の耐熱性及び耐衝撃性をより向上させるため、２軸延伸加工を施したものであってもよい。

表面樹脂層の厚さは、バリア層を十分に保護し、包装袋に適度な強度及びコシを付与するために、例えば、２μｍ以上、３μｍ以上、５μｍ以上、又は８μｍ以上であってよく、得られる包装袋の総厚さを過度に厚くしないために、例えば、２０μｍ以下、１８μｍ以下、又は１５μｍ以下であってよい。本実施形態の包装袋が、２層以上の表面樹脂層を有する場合、上記の厚みは１層の表面樹脂層についての値である。

［イージーピール機能を有する層］
イージーピール機能を有する層は、酸素吸収層、及び水蒸気吸収層、並びに存在する場合にはスキン層のうちの少なくとも１層がイージーピール機能を有する場合であってもよく、これらの層以外に、イージーピール機能を有する層を別個に含んでいてもよい。イージーピール機能を有する層を別個に含む場合、酸素吸収層と水蒸気吸収層の間に配置するのが好ましい。特には、イージーピール機能及びヒートシール性の双方を有する、イージーピールシーラント層の場合である。ここで、イージーピール機能とは、包装袋を剥離開封するときの剥離強度をＪＩＳ Ｋ６８５４−３に準拠して測定したときに、１Ｎ〜１０Ｎ／１５ｍｍの範囲の値を示すことを意味するものである。

イージーピールシーラント層は、例えば、組成の異なる樹脂を混合して海−島構造を付与した樹脂からなる凝集剥離する層を有する積層体であるか、又は最外層のうちの少なくとも片方がヒートシール性を有する積層体であって開封時に層間剥離する多層樹脂層等であってよい。

イージーピールシーラントとして市販品を使用してもよい。例えば、ジェイフィルム株式会社製の品名「ＩＭＸフィルム」、「ＶＭＸフィルム」、「ＬＣＸフィルム」、「ＳＭＸフィルム」等；三菱化学株式会社製の品名「ＶＭＸ（登録商標）」等、；東セロ株式会社製の品名「ＣＭＰＳ（登録商標）」、「Ｔ．Ａ．Ｆ．（登録商標）」；住化プラステック株式会社製の品名「アシストＡＥ」シリーズ、「アシストＭ」シリーズ、「アシストＰ」シリーズ；オカモト株式会社製の品名「アロマーフィルム」；サン・トックス株式会社製の品名「サントックス−ＣＰ」等から適宜選択されてよい。

イージーピール機能を有する層、特にイージーピールシーラント層の厚みは、例えば、５μｍ以上、１０μｍ以上、１５μｍ以上、又は２０μｍ以上であってよく、例えば、１００μｍ以下、５０μｍ以下、又は４０μ以下であってよい。

［包装袋の層構成］
本実施形態の包装袋は、
バリア層及び酸素吸収層を有する酸素吸収積層フィルムと、
バリア層及び水蒸気吸収層を有する水蒸気吸収積層フィルムと、
が、酸素吸収層及び水蒸気吸収層が内側になるように対向配置され、且つ前記酸素吸収積層フィルム及び前記水蒸気吸収積層フィルムの端部がヒートシールされており、それによって袋状に成形されているものであってよい。

包装袋をこのような構成にすることにより、酸素吸収層及び水蒸気吸収層の双方が包装袋の内部と近い位置に配置されることになるため、包装袋内部の酸素濃度及び湿度の双方を効果的に低減することができ、かつ端部失活を抑制することができる。これに対して、酸素吸収層及び水蒸気吸収層の双方をどちらかの積層フィルム側にまとめて配置すると、端部失活を抑制することはできるものの、酸素吸収層及び水蒸気吸収層のうちのいずれかの吸収層が、他の吸収層を介して包装袋内部と対峙することになり、当該吸収能が損なわれるおそれがある。例えば、バリア層、酸素吸収層、及び水蒸気吸収層をこの順に有する積層フィルムと、バリア層を有する積層フィルムとを、水蒸気吸収層が内側になるように対向配置した端部をヒートシールして袋状に成形して成る包装袋は、酸素吸収層が水蒸気吸収層を介して包装袋内部と対峙することになるから、酸素吸収能が損なわれるおそれがある。

酸素吸収積層フィルム及び水蒸気吸収積層フィルムは、これらを酸素吸収層及び水蒸気吸収層が内側になるように対向配置して端部をヒートシールしたヒートシール部が上記の構成になるように選択される。従って、酸素吸収積層フィルムは、酸素吸収層の片面又は両面にはスキン層を更に有していてもよく、水蒸気吸収積層フィルムは、水蒸気吸収層の片面又は両面にスキン層を更に有していてもよい。また、酸素吸収積層フィルム及び水蒸気吸収積層フィルムは、それぞれのバリア層に対して各吸収層とは逆側の面上に、表面樹脂層を更に有していてもよい。

本発明の包装袋のヒートシール部がイージーピール機能を有する層を含む場合、酸素吸収積層フィルム及び水蒸気吸収積層フィルムのいずれかは、各吸収層、又は存在する場合にはスキン層の面上に、イージーピール機能を有する層を更に有していてよい。

＜包装袋の製造方法＞
本実施形態の包装袋は、例えば、
バリア層及び酸素吸収層を有する酸素吸収積層フィルムと、バリア層及び水蒸気吸収層を有する水蒸気吸収積層フィルムと、を準備すること（積層フィルム準備工程）、
酸素吸収積層フィルムと水蒸気吸収積層フィルムとを、酸素吸収層及び水蒸気吸収層が内側になるように対向配置すること（配置工程）、
対向配置した酸素吸収積層フィルム及び水蒸気吸収積層フィルムの端部をヒートシールし、それによって袋状に成形すること（ヒートシール工程）、
を含む方法によって製造されてよい。

［積層フィルム準備工程］
本実施形態の包装袋の製造方法においては、先ず、バリア層及び酸素吸収層を有する酸素吸収積層フィルムと、バリア層及び水蒸気吸収層を有する水蒸気吸収積層フィルムと、を準備する。これら酸素吸収積層フィルム及び水蒸気吸収積層フィルムは、それぞれ、これらの層以外に、上記した任意的な層を有していてよい。

（酸素吸収層の製造方法）
酸素吸収層は、酸素欠損を有する酸化セリウム、及び使用する場合には熱可塑性樹脂を、必要に応じて予備混合して得られた組成物を、適宜の方法、例えば、プレス成型、押出し成形、射出成形等によってフィルム状に成形することにより、得ることができる。押出し成形は、例えば、インフレーション法、Ｔダイ法等であってよい。これらのうち、インフレーション法及びＴダイ法が便利である。酸素吸収層の片面又は両面にスキン層を配置する場合には、酸素吸収層の製造時に共押出のインフレーション法又はＴダイ法を採用し、酸素吸収層とともに所望のスキン層を合わせて成膜することが便利である。

（水蒸気吸収層の製造方法）
水蒸気吸収層は、水蒸気吸収剤、及び使用する場合には熱可塑性樹脂を用いて、酸素吸収層の場合と略同様の手順により、得ることができる。水蒸気吸収層の片面又は両面にスキン層を配置する場合には、水蒸気吸収層の製造時に共押出のインフレーション法又はＴダイ法を採用し、水蒸気吸収層とともに所望のスキン層を合わせて成膜することが便利である点も、同様である。

（各層の積層）
酸素吸収積層フィルム及び水蒸気吸収積層フィルムにおける各層の積層は、公知のサンドラミネート法、ドライラミネート法、共押出法等を適宜に適用することにより、行われてよい。

［配置工程］
次いで配置工程において、酸素吸収積層フィルムと水蒸気吸収積層フィルムとを、酸素吸収層及び水蒸気吸収層が内側になるように対向配置する。これらのフィルムがイージーピールシーラント層を有する場合には、該イージーピールシーラント層が最内層となり、イージーピールシーラント層を有さず、且つスキン層を有する場合には、該スキン層が最内層となってよい。

［ヒートシール工程］
更にヒートシール工程において、対向配置した酸素吸収積層フィルム及び水蒸気吸収積層フィルムの端部をヒートシールして袋状に成形することにより、本実施形態の包装袋を得ることができる。

ヒートシールは公知の方法によって適宜に行われてよい。ヒートシール幅は、例えば、３ｍｍ以上、５ｍｍ以上、又は７ｍｍ以上であってよく、例えば、２０ｍｍ以下、１５ｍｍ以下、又は１２ｍｍ以下であってよい。

＜内容物入り包装袋＞
本発明は、内容物入包装袋も提供する。

本発明のある実施形態において、内容物入包装袋は、例えば、上記したような本実施形態の包装袋、及び該包装袋に密封された内容物を含む。

内容物入包装袋における内容物は、例えば、食品、医薬品、医療用機器、医療用器具、電子部品、精密機械、記録材料等から選択されてよい。内容物が医薬品又は医療用器具であるとき、本発明の効果が最大限に発現されるため、好ましい。

１．酸素吸収積層フィルム１の作製
（１）酸素吸収層用組成物の作製
酸素欠損を有する酸化セリウムＣｅＯ_２−ｘ（ｘ＝０．５）５５質量部、及びＬＤＰＥ４５質量部を、窒素雰囲気下、二軸押出機を用いて混錬した後、押出すことにより、酸素吸収層用組成物ペレットを作製した。

（２）両面にスキン層を有する酸素吸収層の作製
２種３層フィルム用の空冷方式インフレーション成形機を用いた共押出成形により、スキン層２０μｍ／酸素吸収層３５μｍ／スキン層２０μｍの層構成を有する３層フィルムを作製した。

酸素吸収層には、上記（１）で得た酸素吸収層用組成物ペレットを用いた。スキン層には、両層とも、ＬＬＤＰＥ（株式会社プライムポリマー製、品名「エボリューＳＰ２５２０」）を用いた。

（３）バリア層のラミネート
バリア層として厚さ９μｍのアルミニウム箔を、表面樹脂層として厚さ１２μｍのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、これらをドライラミネートして得られたＰＥＴ１２μｍ／／アルミニウム箔９μｍの層構成を有する積層フィルムのアルミニウム箔面上に、上記の両面にスキン層を有する酸素吸収層を、接着樹脂としてＬＤＰＥ（旭化成株式会社製、品名「サンテックＬＤ（Ｌ１８５０Ｋ）」）を用いてサンドラミネートすることにより、以下の層構成を有する酸素吸収積層フィルム１を作製した。
ＰＥＴ１２μｍ／／アルミニウム箔９μｍ／接着樹脂１５μｍ／スキン層２０μｍ／酸素吸収層３５μｍ／スキン層２０μｍ

２．水蒸気吸収積層フィルム１の作製
（１）水蒸気吸収層用組成物の作製
ゼオライト（ユニオン昭和株式会社製、品名「モレキュラーシーブ ３Ａ」）５５質量％、及びエチレン・メタクリル酸共重合体（三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、品名「ニュクレル ４２１４Ｃ」）４５質量部を二軸押出機を用いて混錬した後、押出すことにより、水蒸気吸収層用組成物ペレットを作製した。

（２）両面にスキン層を有する水蒸気吸収層の作製
２種３層フィルム用の空冷方式インフレーション成形機を用いた共押出成形により、スキン層１０μｍ／水蒸気吸収層６０μｍ／スキン層１０μｍの層構成を有する３層フィルムを作製した。

水蒸気吸収層には、上記（１）で得た水蒸気吸収層用組成物ペレットを用いた。スキン層には、両層とも、ＬＬＤＰＥ（株式会社プライムポリマー製、品名「エボリューＳＰ２５２０」）を用いた。

（３）バリア層のラミネート
バリア層として厚さ９μｍのアルミニウム箔を、表面樹脂層として厚さ１２μｍのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、これらをドライラミネートして得られたＰＥＴ１２μｍ／／アルミニウム箔９μｍの層構成を有する積層フィルムのアルミニウム箔面上に、上記の両面にスキン層を有する水蒸気吸収層を、接着樹脂としてＬＤＰＥ（旭化成株式会社製、品名「サンテックＬＤ（Ｌ１８５０Ｋ）」）を用いてサンドラミネートすることにより、以下の層構成を有する水蒸気吸収積層フィルム１を作製した。
ＰＥＴ１２μｍ／／アルミニウム箔９μｍ／接着樹脂１５μｍ／スキン層１０μｍ／水蒸気吸収層６０μｍ／スキン層１０μｍ

３．水蒸気吸収積層フィルム２の作製
イージーピール層としてジェイフィルム株式会社製のイージーピールシーラントフィルム、品名「ＩＭＸ−Ｌ」（厚さ３０μｍ）を用いた。上記２で得た水蒸気吸収積層フィルム１における最外層となるスキン層の上に、上記のイージーピール層をドライラミネートすることにより、イージーピール層を有する水蒸気吸収積層フィルム２を得た。この積層フィルム２は以下の層構成を有する。
ＰＥＴ１２μｍ／／アルミニウム箔９μｍ／接着樹脂１５μｍ／スキン層１０μｍ／水蒸気吸収層６０μｍ／スキン層１０μｍ／／イージーピール層３０μｍ

上記において、記号「／／」はドライラミネートを表す（以下同じ。）。

４．比較例用積層フィルム１
比較例用積層フィルム１としては、ＰＥＴ１２μｍ／／アルミニウム箔９μｍ／／ＬＬＤＰＥ層４０μｍの層構成を有する３層フィルムを用いた。

５．比較例用積層フィルム２の作製
上記４の比較例用積層フィルム１のＬＬＤＰＥ層側にイージーピール層をドライラミネートすることにより、イージーピール層を有する比較例用積層フィルム２を作製した。比較例用積層フィルム２は以下の層構成を有する。
ＰＥＴ１２μｍ／／アルミニウム箔９μｍ／／ＬＬＤＰＥ層４０μｍ／／イージーピール層３０μｍ

イージーピール層としてジェイフィルム株式会社製のイージーピールシーラントフィルム、品名「ＩＭＸ−Ｌ」（厚さ３０μｍ）を用いた。

＜実施例１＞
上記１で得た酸素吸収積層フィルム１、及び上記２で得た水蒸気吸収積層フィルム１を、スキン層同士が接するように対向させて重ね、インパルスシーラーを用いて４辺をシール幅１０ｍｍにてヒートシールすることによって４方シールの包装袋を作製した。

上記で得られた包装袋を恒温恒湿槽に入れ、７日間経過後に取り出してヒートシール部分を剥がし、端部失活における失活距離を測定した。恒温恒湿層は、内温を４０℃に設定し、内部の湿度は３０％−ＲＨ及び７５％−ＲＨの２水準とした。

失活距離とは、包装袋におけるヒートシール部の端部から包装袋内部に向かって、酸素吸収層の酸素吸収能が失活した距離である。

失活距離は、酸素吸収積層フィルム１における酸素吸収層中の酸素欠損を有する酸化セリウムが、下記式（２）で表される化学反応によって、酸素欠陥を有さない酸化セリウムに変化するときの色の変化を利用して測定した。

＜比較例１＞
上記１で得た酸素吸収積層フィルム１、及び上記４の比較例用積層フィルム１を、酸素吸収積層フィルムのスキン層と、比較例用積層フィルム１のＬＬＤＰＥ層とが接するように対向させて重ね、インパルスシーラーを用いて４辺をシール幅１０ｍｍにてヒートシールすることによって４方シールの包装袋を作製し、実施例１と同様にして評価した。

＜実施例２＞
上記１で得た酸素吸収積層フィルム１、及び上記３で得た水蒸気吸収積層フィルム２を、酸素吸収積層フィルムのスキン層と、水蒸気吸収積層フィルム２のイージーピール層とが接するように対向させて重ね、インパルスシーラーを用いて４辺をシール幅１０ｍｍにてヒートシールすることによって４方シールの包装袋を作製し、実施例１と同様にして評価した。

＜比較例２＞
上記１で得た酸素吸収積層フィルム１、及び上記５で得た比較例用積層フィルム２を、酸素吸収積層フィルムのスキン層と、比較例用積層フィルム２のイージーピール層とが接するように対向させて重ね、インパルスシーラーを用いて４辺をシール幅１０ｍｍにてヒートシールすることによって４方シールの包装袋を作製し、実施例１と同様にして評価した。

上記実施例及び比較例の評価結果は表１に示した。表１中に略称で示した各積層フィルムの層構成は表２に示した。また、上記実施例及び比較例で用いた各積層フィルムの層構成を図３に示した。

表１の結果により、従来技術における包装袋は、低湿度（４０℃、湿度３０％−ＲＨ）下と比較して、高湿度（４０℃、湿度７５％−ＲＨ）下においては端部失活距離が大きくなるのに対して、本実施形態の包装袋における端部失活距離は、湿度の高低に依存しないことが検証された。

＜実施例３＞
上記２で得た酸素吸収積層フィルム２、及び上記３で得た水蒸気吸収積層フィルム１を、それぞれ６５ｍｍ×６５ｍｍにカットした。これらのカット辺を、スキン層同士が接するように重ね合わせ、インパルスシーラーを用いて３辺をヒートシールした。シールしていない１辺の開口部から袋内部に小型湿度データロガーを入れた後、開口辺を、対向辺のシール方向と垂直の方向にヒートシールして、上記の小型湿度データロガーが封入された四面体袋を形成した。

上記で得られた四面体袋を、温度２３℃及び湿度５０％−ＲＨの環境下に静置し、内部の湿度及び酸素吸収量を、それぞれ以下の方法によって測定した。
湿度：四面体袋内に封入したデータロガーの表示によった。
酸素吸収量：飯島電子工業株式会社製のガルバニ電池式酸素センサ、型式名「パックマスターＲＯ−１０３」の測定針を四面体袋に刺して測定された酸素濃度から、計算によって求めた。

測定開始から３時間後におけるデータロガーの表示は０であった。この時点で既に湿度の測定限界値を下回ったものと考えられる。測定開始から７日間経過後の酸素吸収量は０．０７ｍＬ／ｃｍ^２であった。これらのことから、本発明の包装袋は、水蒸気吸収層が存在していても優れた酸素吸収性能を示すこと、及び低湿度環境下においても優れた酸素吸収性能を示すことが検証された。

１０ 酸素吸収層
１１ 酸素欠損を有する酸化セリウム
２０ 水蒸気吸収層
２１ 水蒸気吸収剤
３０ バリア層
４０ スキン層
５０ 表面樹脂層
６０ イージーピール層
１００ 包装袋
１１０ ヒートシール部
２００ 包装袋
２１０ ヒートシール部

Claims (10)

1. 第１のバリア層及び酸素吸収層を有する酸素吸収積層フィルムと、
   第２のバリア層及び水蒸気吸収層を有する水蒸気吸収積層フィルムと、
   が対向配置され、且つ前記酸素吸収積層フィルム及び前記水蒸気吸収積層フィルムの端部にヒートシール部を有し、それによって袋状に成形されている包装袋であって、
   前記ヒートシール部が、酸素吸収層と、水蒸気吸収層と、バリア層と、を有し、
   前記酸素吸収層が、酸素欠損を有する酸化セリウムを含有し、
   前記酸素吸収積層フィルムは、前記酸素吸収層が前記第１のバリア層よりも内側になるように配置されており、
   前記水蒸気吸収積層フィルムは、前記水蒸気吸収層が前記第２のバリア層よりも内側になるように配置されており、且つ、
   前記酸素吸収積層フィルムの酸素吸収層及び前記水蒸気吸収積層フィルムの水蒸気吸収層は、それぞれ、他の吸収層を介さずに前記包装袋の内部と対峙している、
   前記包装袋。
2. 前記水蒸気吸収層がゼオライトを含有する、請求項１に記載の包装袋。
3. 前記ヒートシール部が、イージーピール機能を有する層を含む、請求項１又は２に記載の包装袋。
4. 前記酸素吸収層の片面又は両面にスキン層を有する、請求項１〜３のいずれか一項に記載の包装袋。
5. 前記水蒸気吸収層の片面又は両面にスキン層を有する、請求項１〜４のいずれか一項に記載の包装袋。
6. 前記第１のバリア層の面のうちの、前記酸素吸収層と反対側の面上に、表面樹脂層を有する、請求項１〜５のいずれか一項に記載の包装袋。
7. 前記第２のバリア層の面のうちの、前記水蒸気吸収層と反対側の面上に、表面樹脂層を有する、請求項１〜６のいずれか一項に記載の包装袋。
8. 第１のバリア層及び酸素吸収層を有し、前記酸素吸収層が、酸素欠損を有する酸化セリウムを含有する酸素吸収積層フィルムと、第２のバリア層及び水蒸気吸収層を有する水蒸気吸収積層フィルムと、を準備すること、
   前記酸素吸収積層フィルムと前記水蒸気吸収積層フィルムとを対向配置すること、ここで、前記酸素吸収積層フィルムは、前記酸素吸収層が前記第１のバリア層よりも内側になるように配置され、且つ、前記水蒸気吸収積層フィルムは、前記水蒸気吸収層が前記第２のバリア層よりも内側になるように配置され、且つ、前記酸素吸収積層フィルムの酸素吸収層及び前記水蒸気吸収積層フィルムの水蒸気吸収層は、それぞれ、他の吸収層を介さずに前記包装袋の内部と対峙するように配置される、並びに、
   前記対向配置した前記酸素吸収積層フィルム及び前記水蒸気吸収積層フィルムの端部をヒートシールし、それによって袋状に成形すること、
   を含む、包装袋の製造方法。
9. 請求項１〜７のいずれか一項に記載の包装袋、及び
   前記包装袋に密封されている内容物
   を含む、内容物入り包装袋。
10. 前記内容物が医薬品又は医療用器具である、請求項９に記載の内容物入り包装袋。

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