[第1実施形態]
以下、第1実施形態にかかる液体吐出装置10及び液体吐出装置10を備えるインクジェット記録装置1について、図1乃至図7を参照して説明する。各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。図1はインクジェット記録装置1の構成を示す側面図である。図2は液体吐出装置10の構成を示す説明図である。図3、図4は液体吐出装置10の一部の構成を示す斜視図及び正面図である。図5は液体吐出ヘッド20の構成を示す説明図である。図6は循環ポンプ33及び補給ポンプ53の構成を示す説明図である。図7は液体吐出装置10のブロック図である。
図1に示すインクジェット記録装置1は、複数の液体吐出装置10と、液体吐出装置10を移動可能に支持するヘッド支持機構11と、記録媒体Sを移動可能に支持する媒体支持機構12と、ホスト制御装置13と、を備える。
図1に示すように、複数の液体吐出装置10が、所定の方向に並列して配置されヘッド支持機構11に支持される。液体吐出装置10は、液体吐出ヘッド20及び循環装置30を一体に備える。液体吐出装置10は、液体として例えばインクIを液体吐出ヘッド20から吐出することで、対向して配される記録媒体Sに所望の画像を形成する。
複数の液体吐出装置10は、複数の色、例えばシアンインク、マゼンタインク、イエロインク、ブラックインク、ホワイトインクを、それぞれ吐出するが、使用するインクIの色あるいは特性は限定されない。たとえばホワイトインクに換えて、透明光沢インク、赤外線または紫外線を照射したときに発色する特殊インク等を吐出可能である。複数の液体吐出装置10は、それぞれ使用するインクが異なるものの同じ構成である。
図3乃至図5に示される液体吐出ヘッド20は、インクジェットヘッドであり、複数のノズル21aを有するノズルプレート21と、基板22と、基板22に接合されたマニフォルド23と、を備える。基板22は、ノズルプレート21に対向して接合され、ノズルプレート21との間に複数のインク圧力室25を含む所定のインク流路28を形成する所定形状に構成されている。基板22の、各インク圧力室25に面する部位には、アクチュエータ24が設けられている。基板22は、同じ列の複数のインク圧力室25の間に配される隔壁を備える。アクチュエータ24は、ノズル21aに対向配置されており、アクチュエータ24とノズル21aとの間にインク圧力室25が形成される。
液体吐出ヘッド20は、ノズルプレート21と、基板22と、マニフォルド23とによって、内部にインク圧力室25を有する所定のインク流路28を構成する。基板22の各インク圧力室25に面する部位には、電極24a,24bを備えるアクチュエータ24が設けられている。アクチュエータ24は駆動回路に接続される。液体吐出ヘッド20は、モジュール制御部38(図2)の制御によりアクチュエータ24が電圧に応じて変形することで、対向配置されたノズル21aから液体を吐出させる。
図2乃至図4に示すように、循環装置30は、金属製の連結部品により液体吐出ヘッド20の上部に一体に連結されている。循環装置30は、液体吐出ヘッド20を通り液体が循環可能に構成された所定の循環路31と、この循環路31に順に設けられた第1のタンクである上流タンク32と、第1のポンプである循環ポンプ33と、バイパス流路34と、バイパスタンク35と、開閉バルブ37と、液体吐出動作を制御するモジュール制御部38と、を備える。
また、循環装置30は、循環路31の外部に設けられる補給タンクとしてのカートリッジ51と、供給路52と、第2のポンプである補給ポンプ53と、を備える。カートリッジ51は、上流タンク32に供給されるインクを保有可能に構成され、内部の空気室は大気開放されている。供給路52は上流タンク32とカートリッジ51とを接続する流路である。補給ポンプ53は、供給路52に設けられ、カートリッジ51内のインクを上流タンク32へ送液する。
循環路31は、上流タンク32から液体吐出ヘッド20の供給口20aに至る第1流路31aと、液体吐出ヘッド20の回収口20bから下流タンク36に至る第2流路31bと、下流タンク36から上流タンクに至る第3流路31cと、を備える。
上流タンク32は、循環路31によって液体吐出ヘッド20の一次側に接続され、液体を貯留可能に構成されている。上流タンク32には、上流タンク32内の液面位置を検出する液位センサ54が設けられている。
下流タンク36は、循環路31によって液体吐出ヘッド20の二次側に接続され、液体を貯留可能に構成されている。下流タンク36には、下流タンク36内の液面位置を検出する液位センサ55が設けられている。
上流タンク32及び下流タンク36は、圧力調整機構40に接続されている。
圧力調整機構40は、上流タンク32及び下流タンク36内の空気室を大気に対して開閉する開閉機構や、上流タンク32及び下流タンク36の加圧及び減圧を行う調整機構を、備える。圧力調整機構40は、CPU71(図7)の制御によって、上流タンク32及び下流タンク36の大気開放や下流タンク36の加圧及び減圧をすることで、循環路31の圧力を調整し、ノズル21aのインク圧力を調整する。
第3流路31cには、液体を下流タンク36の下流側である上流タンク32に送る循環ポンプ33が設けられている。
バイパス流路34は、第1流路31aと、第2流路31bと、を接続する流路である。バイパス流路34は循環路31における液体吐出ヘッド20の一次側と液体吐出ヘッド20の二次側とを、液体吐出ヘッド20を通さずに短絡的に接続する。バイパス流路34にはバイパスタンク35が接続されている。すなわち、バイパス流路34は、バイパスタンク35と第1流路31aとを接続する第1バイパス流路34aと、バイパスタンク35と第2流路31bとを接続する第2バイパス流路34bとを備える。
バイパスタンク35には、バイパスタンク35内の空気室(気室)の圧力を検出する圧力検出部(圧力検出器)である圧力センサ39が設けられている。
バイパス流路34の第1バイパス流路34aと、第2バイパス流路34bは長さが同じである。本実施形態において、バイパス流路34の中間地点にバイパスタンク35が設けられ、第1バイパス流路34aと第2バイパス流路34bとは管長と管径が同じである。
また、循環路31において、第1流路31aのバイパス流路34が分岐する分岐点34cから液体吐出ヘッド20の供給口20aまでの距離は、液体吐出ヘッド20の回収口20bから第2流路31bの第2バイパス流路34bとの合流点34dまでの距離と同じである。
本実施形態においてはバイパス流路34側の流路抵抗が、液体吐出ヘッド20側の流路抵抗の2〜5倍となるように、バイパス流路34を循環路31よりも小径とした。例えば、バイパス流路34の第1バイパス流路34a及び第2バイパス流路34bは、同じ長さ及び同じ径を有し、いずれも循環路31よりも小径に構成されている。例えば、本実施形態において、循環路31の径がバイパス流路34の第1バイパス流路34a及び第2バイパス流路34bの直径の2倍〜5倍程度に設定される。一例として、バイパス流路34の流路径は0.7mm以下であり、循環路31の流路径は2.0mm程度としている。また、バイパス流路34の第1バイパス流路34a及び第2バイパス流路34bはそれぞれ長さが2mm程度に構成されている。
循環路31における圧力は、液体吐出ヘッド20の抵抗による圧力損失により、液体吐出ヘッド20の一次側すなわち流入側が、液体吐出ヘッド20の二次側すなわち流出側よりも、高い圧力になっている。したがって、液体吐出ヘッド20を通る循環路31及びバイパス流路34において、液体は、図2中矢印で示すように、圧力の高い一次側から圧力の低い二次側へ向かって流れることになる。
バイパスタンク35はバイパス流路34の流路断面積よりも大きい流路断面積を有し、液体を貯留可能に構成されている。バイパスタンク35は例えば上壁、下壁、後壁、前壁、及び左右一対の側壁を有し、内部に液体を貯留する収容室を形成する矩形の箱状に構成されている。バイパスタンク35の一対の側壁に、それぞれバイパス流路34が接続されている。本実施形態において、例えば流入側の第1バイパス流路34aのバイパスタンク35への接続位置と流出側の第2バイパス流路34bのバイパスタンク35への接続位置は、同じ高さに設定される。
バイパスタンク35は、バイパス流路34の流路断面積の200倍〜300倍の流路断面積を有している。バイパスタンク35は、例えばバイパス流路34と直交する2方向である高さ方向と奥行き方向の寸法がそれぞれ10mm、バイパス流路34と並行な幅方向の寸法が20mm程度に構成されている。
バイパスタンク35内の収容室35aの下部領域にはバイパス流路34を流れるインクが配され、収容室の上部領域には空気室が形成される。バイパスタンク35によりバイパス流路34の流路断面積が拡大され、所定量の液体及び空気が貯留可能である。
バイパスタンク35の空気室には大気開放可能に構成された開閉バルブ37が接続されている。すなわち、バイパスタンク35の上壁に、上方に延出する接続管35eが設けられ、この接続管35eの他端部に接続管35e内の流路を開閉する開閉バルブ37が設けられている。
循環路31、バイパス流路34、及び、供給路52は、金属または樹脂材料で構成されるパイプと、パイプの外面を覆うチューブ、例えばPTFEチューブと、を備える。
圧力センサ39は、例えば半導体ピエゾ抵抗圧力センサを利用して圧力を電気信号として出力する。半導体ピエゾ抵抗圧力センサは、外部からの圧力を受けるダイヤフラムと、このダイヤフラムの表面に形成された半導体歪ゲージとを備える。半導体ピエゾ抵抗圧力センサは、外部からの圧力によるダイヤフラムの変形に伴い歪ゲージに生じるピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化を電気信号に変換して圧力を検出する。
液位センサ54、55は、液面に浮かび上下動するフロートと、上下2カ所の所定位置に設けられたホールICと、を備えて構成されている。液位センサ54、55は、ホールICによって、フロートが上限位置及び下限位置に至ることを検出することで、上流タンク32内のインク量を検出し、検出したデータをモジュール制御部38へ送る。
開閉バルブ37は、バイパスタンク35の空気室を大気に対して開閉可能に構成される。開閉バルブ37は、バイパスタンク35に接続された圧力センサ39を校正する場合に開けられる。
循環ポンプ33は、循環路31の第3流路31cに設けられている。循環ポンプ33は、下流タンク36と上流タンク32との間に配され、下流タンク36から上流タンク32に向けて液体を送る。
補給ポンプ53は、供給路52に設けられている。補給ポンプ53は、カートリッジ51内に保有されたインクIを、上流タンク32に向けて送る。
循環ポンプ33及び補給ポンプ53は、例えば図6に示されるように圧電ポンプ60で構成されている。圧電ポンプ60は、ポンプ室58と、ポンプ室58に設けられ電圧により振動する圧電アクチュエータ59と、ポンプ室58の入口及び出口に配された逆止弁61,62と、を備える。圧電アクチュエータ59は、例えば約50Hzから200Hzの周波数で振動可能に構成される。循環ポンプ33及び補給ポンプ53は、配線により駆動回路に接続されモジュール制御部38の制御によって制御可能に構成されている。圧電ポンプ60は、交流電圧が印加され、圧電アクチュエータ59が動作させられると、ポンプ室58の容積が変化する。圧電ポンプ60は、印加する電圧が変化すると圧電アクチュエータ59の最大変化量が変化し、ポンプ室58の容積変化量が変化する。そして、ポンプ室58の容積が大きくなる方向へ変形すると、ポンプ室58の入口の逆止弁61が開き、インクがポンプ室58に流入する。一方ポンプ室58の容積が小さくなる方向へ変化すると、ポンプ室58の出口の逆止弁62が開きインクがポンプ室58から流出する。圧電ポンプ60は、ポンプ室58の拡張と収縮を繰り返してインクIを下流に送液する。したがって、圧電アクチュエータ59に印加する電圧が大きいと送液能力が強く、電圧が小さいと送液能力が弱くなる。例えば本実施形態においては圧電アクチュエータ59に印加する電圧を50Vから150Vの間で変化させている。
図7に示すように、モジュール制御部38は、循環装置30に一体に搭載された制御基板上に、CPU71と、各要素を駆動する駆動回路と各種データを記憶する記憶部72と、外部に設けられるホスト制御装置(ホストコンピュータ)13との通信用の通信インターフェース73と、を備える。記憶部72は例えばプログラムメモリ及びRAMを備えて構成される。
モジュール制御部38は、通信インターフェース73によってホスト制御装置13と接続された状態で、ホスト制御装置13と通信することにより、動作条件等の各種情報を受信する。
ユーザの入力操作やインクジェット記録装置1のホスト制御装置13からの指示は、通信インターフェース73によって、モジュール制御部38のCPU71に送信される。また、モジュール制御部38が取得する各種情報は、通信インターフェース73経由でPCアプリケーションまたはインクジェット記録装置1のホスト制御装置13に送られる。
CPU71は、モジュール制御部38の中枢部分に相当する。CPU71は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに従って、液体吐出装置の各種の機能を実現するべく、各部を制御する。
CPU71には、循環装置30の循環ポンプ33、補給ポンプ53、圧力調整機構40、及び開閉バルブ37の、駆動回路75a,75b,75c,75dや、液位センサ54、55、圧力センサ39、液体吐出ヘッド20の駆動回路75eが接続されている。
例えばCPU71は、循環ポンプ33の動作を制御することで、インクを循環させる循環手段としての機能を有する。
また、CPU71は、液位センサ54、55によって検知した情報に基づき、補給ポンプ53、の動作を制御することで、カートリッジ51からインクを循環路31に補給する補給手段としての機能を有する。
さらにCPU71は、圧力センサ39にて検知した情報に基づき、圧力調整機構40を制御することで、ノズル21aのインクの圧力を調整する圧力調整手段としての機能を有する。CPU71は圧力調整処理として、例えば下流タンク36の気体圧力を加圧もしくは減圧することで、ノズル21aのインクの圧力を調整する。
記憶部72は、例えばプログラムメモリやRAMを備える。記憶部72には、アプリケーションプログラムや各種の設定値が記憶されている。記憶部72には、例えば圧力制御に用いられる制御データとして、ノズル21aのインク圧力を算出する算出式や、目標圧力範囲、各ポンプの調整最大値などの各種設定値が記憶されている。
以下本実施形態にかかる液体吐出装置10の制御方法について、図8のフローチャートを参照して説明する。
CPU71は、Act1において、循環開始の指示を待機する。例えばホスト制御装置13からの指令により循環開始の指示を検知すると(Act1のYES)、Act2の処理に進む。なお、印字動作として、ホスト制御装置13は、記録媒体Sの搬送方向に対して直交する方向に液体吐出装置10を往復移動させながら、インクの吐出動作を行うことにより記録媒体Sに画像を形成する。具体的には、CPU71は、ヘッド支持機構11に設けられたキャリッジ11aを記録媒体Sの方向に搬送し、矢印A方向に往復移動する。また、CPU71は、画像データに応じた画像信号を液体吐出ヘッド20の駆動回路75eに送り、液体吐出ヘッド20のアクチュエータ24を選択的に駆動して、ノズル21aから記録媒体Sにインク滴を吐出する。
Act2において、CPU71は、循環ポンプ33を駆動し、インク循環動作を開始する。ここで、第1流路31aのインクIは、バイパス流路34やバイパスタンク35の管路抵抗に応じた配分で、液体吐出ヘッド20に流れる液体と、バイパス流路34を通じてバイパスタンク35流れる液体とに、分配される。すなわち、インクIの一部は、上流タンク32から、第1流路31aを通って液体吐出ヘッド20に至り、第2流路31bを通って下流タンク36に至り、再び上流タンク32に流入するように循環する。またインクIの残りの一部は、第1流路31aからバイパス流路34及びバイパスタンク35内を通って、液体吐出ヘッド20を通らずに、第2流路31bに送られ、下流タンク36を通って再び上流タンク32に流入する。この循環動作によりインクIに含まれる不純物は循環路31に設けられたフィルタによって除去される。
Act3において、CPU71は、液位センサ54、55から送信されるデータに基づいて、上流タンク32及び下流タンク36の液位を検出する。
Act4において、CPU71は、圧力センサ39から送信される圧力データを検出する。
Act5において、CPU71は、液面調整を開始する。具体的には、CPU71は、液位センサ54、55の検知結果に基づき、補給ポンプ53を駆動することで、カートリッジ51からのインク補給を行い、液面位置を適正範囲に調整する。例えばプリント時にノズル21aからインクIを吐出し、上流タンク32や下流タンク36のインク量が瞬間的に減少し、液面が下がると、インク補給を行う。再びインク量が増加し、液位センサ54の出力が反転したら、CPU71は補給ポンプ53を停止する。
Act6において、CPU71は、圧力データからノズルのインク圧力を検出する。具体的には、圧力センサ39から送信されるバイパスタンク35の圧力データに基づいて、所定の演算式を用いて、ノズル21aのインク圧力を算出する。
例えば、バイパスタンク35で検出される圧力は第1流路31aのインクの圧力値Phと第2流路31bのインクの圧力値Plの平均値であるため、このバイパスタンク35の圧力値に、圧力測定ポイントの高さとノズル面高さの水頭差によって発生する圧力ρghを足すことでノズル21aのインク圧力Pnを得ることができる。ここで、ρ:インクの密度、g:重力加速度、h:圧力測定ポイントとノズル面の高さ方向の距離、とする。
また、CPU71は、圧力調整処理として、圧力データからノズル21aのインク圧力Pnを算出する。そして、CPU71はノズルのインク圧力Pnを適正値になるように、圧力調整機構40を駆動することで、液体吐出ヘッド20のノズル21aからインクIが漏れず、且つノズル21aから気泡を吸引しない程度の負圧を維持し、メニスカスMe(図5)を維持する。ここでは一例として目標値の上限をP1H、下限をP1Lとする。
CPU71はAct7において、ノズルのインク圧力Pnが適正範囲内であるか、すなわちP1L≦Pn≦P1Hであるか、を判定する。適正範囲外である場合に(Act7のNo)、CPU71はAct8として、ノズルのインク圧力Pnが目標値上限P1Hを上回るか否かを判定する。
具体的には、ノズルのインク圧力Pnが適正範囲外であり(Act7のNo)、かつノズルのインク圧力Pnが目標値上限P1Hを上回らない場合(Act8のNo)、CPU71は、Act9として、圧力調整機構40を駆動し、上流タンク32や下流タンク36を加圧することで、ノズル21aのインクの圧力を加圧する(Act9)。
Act8において、ノズルのインク圧力Pnが目標値上限P1Hを上回る場合(Act8のyes)には、CPU71は、圧力調整機構40を駆動し、上流タンク32や下流タンク36を減圧することで、ノズル21aのインクの圧力を減圧する(Act10)。
以降、CPU71は、Act11において循環終了指令を検出するまで、Act4〜Act10のフィードバック制御を行う。そして、CPU71は、例えばホスト制御装置13からの指令により循環終了の指示を検出すると(Act11のYes)、循環ポンプ33を停止し、循環処理を終了する(Act12)。
以上の様に構成された液体吐出装置10は、液体吐出ヘッド20の上流側と下流側の流路をバイパス流路34で接続し、バイパス流路34の中間位置に設けられたバイパスタンク35に圧力センサ39を設けることで、液体吐出ヘッド20の圧力を算出することができる。このため、液体吐出装置10では、圧力センサ39をヘッド付近の流路に設けることができ、循環装置30側の圧力センサ39を省略できる。また1つの圧力センサ39で液体吐出ヘッド20の上流側と下流側の平均値を算出することにより、圧力センサ39の必要数を減らし、装置構成を単純化することができる。
液体吐出装置10は、液体吐出ヘッド20の上流側と下流側の流路をバイパス流路34で接続し、液体吐出装置10はバイパス流路34の管路抵抗を適切に設定することで、液体吐出ヘッド20を通るインクとバイパス流路34を流れるインクの流量を適切に保つことが可能となる。
また、液体吐出装置10は、液体吐出ヘッド20の上流側と下流側の流路をバイパス流路34で接続し、バイパスタンク35を備えることで、液体吐出ヘッド20の吐出性能を安定させることが可能である。すなわち、液体吐出ヘッド20の上流側と下流側の流路をバイパス流路34で接続し、バイパスタンク35と液体吐出ヘッド20を並列に配置することで、バイパス流路34とバイパスタンク35との流路断面積の変化とバイパスタンク35内の空気層の空気ばねとしての作用で、バイパス流路34における圧力変動を吸収し、脈動を吸収することにより、吐出性能を安定させる。
例えば大量のインク吐出により循環路31が負圧になった場合にはバイパスタンク35の容積は縮小し、そして、バイパスタンク35の液面が下がることにより、循環路31側の圧力変動を吸収することができる。
また、液体吐出装置10は、液体吐出ヘッド20のバイパス流路34の圧力を検出し、圧力をフィードバック制御することにより、ノズルのインク圧力を適正に維持することが可能となる。このため、例えば経時的にポンプ性能が変化した場合であっても適正な圧力制御を実現することができる。
以上説明した実施形態の液体循環装置及び液体吐出装置の構成は限定されない。例えば上記第1実施形態として、第1流路31a及び第2流路31bに、上流タンク32及び下流タンク36を備える構成を例示したが、これに限られるものではない。例えば図9に示す液体吐出装置10Aのように、第1実施形態で説明した液体吐出装置10の下流タンク36を省略し、液体吐出ヘッド20の流出側を上流タンク32に接続する構成としてもよい。液体吐出装置10Aは、回収側の第2流路31bに循環ポンプ33を備えるとともに、供給側の第1流路31aに第3のポンプとしての循環ポンプ56を備える。例えば循環ポンプ56は循環ポンプ33と同様の構成である。各循環ポンプ33,56は、それぞれ減圧ポンプ及び加圧ポンプとなり、圧力調整機構として機能する。液体吐出装置10Aにおいても上記第1実施形態にかかる液体吐出装置10と同様の効果が得られる。
例えば液体吐出装置10は、インク以外の液体を吐出することもできる。インク以外を吐出する液体吐出装置としては、例えばプリント配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出する装置等であっても良い。
液体吐出ヘッド20は、上記の他、例えば静電気で振動板を変形してインク滴を吐出する構造、あるいはヒータ等の熱エネルギーを利用してノズルからインク滴を吐出する構造等でもよい。
また、上記実施形態においては液体吐出装置はインクジェット記録装置1に用いられる例を示したが、これに限られるものではなく、例えば3Dプリンタ、産業用の製造機械、医療用途にも用いることが可能であり、小型軽量化及び低コスト化が可能である。
なお、循環ポンプ33及び補給ポンプ53として、圧電ポンプ60に代えて例えばチューブポンプ、ダイヤフラムポンプ、或いはピストンポンプ等を利用しても良い。
この発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。