JP6907823B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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本発明は、乗用車用の空気入りラジアルタイヤとして好適であり、詳しくは、四輪自動車の旋回性能を向上させるのに役立つ空気入りラジアルタイヤに関する。
図10には、前輪に操舵機構を有する一般的な四輪自動車の旋回動作の時系列的な変化が示される。先ず、状態Aのように、直進走行中にドライバーによってハンドルが操作されると、前輪のタイヤbにスリップ角が与えられ、前輪のタイヤbがコーナリングフォースを発生する(状態B)。ここで、「スリップ角」は、車体cの進行方向とタイヤbとのなす角度である。また、「コーナリングフォース」は、四輪自動車aが旋回する時にタイヤbの接地面に発生する摩擦力のうち、進行方向に対して横向きに作用する力の成分であり、特にスリップ角が1度のときのコーナリングフォースをコーナリングパワーと呼ぶ場合がある。
前輪のタイヤbで生じたコーナリングフォースは、ヨーを伴った車体cの旋回運動をもたらす。この旋回運動は、後輪のタイヤbにスリップ角を与えるので、後輪のタイヤbもコーナリングフォースを発生する(状態C)。そして、車両の重心点CG回りに関し、前輪タイヤbのコーナリングフォースに基づくモーメントと、後輪タイヤbのコーナリングフォースに基づくモーメントとが実質的に釣り合った場合(状態D)、車体cは、ヨー加速度がほぼゼロで斜めに移動する定常状態(以下、このような走行状態を「公転走行状態」と呼ぶ場合がある)となる。
発明者らは、四輪自動車の旋回性能の向上のためには、旋回操舵後に、車体をできるだけ早く公転走行状態へと移行させることが重要であるとの認識の下で、タイヤに関して、種々の研究を重ねた。
一般に、タイヤが車両に装着された状態において、タイヤが発生するコーナリングパワーは、等価コーナリングパワー(以下、「等価CP」)と呼ばれる。この等価CP は、台上試験等で計測されたタイヤ単体のコーナリングパワー(以下、「台上CP」という。)と、下記の式(A)の関係がある。
等価CP = 台上CP × CP 増幅率 ---(A)
等価CP は、いわゆるロールステア、コンプライアンスステア等の影響を含めたコーナリングパワーであり、車両のロール特性及びサスペンション特性等をタイヤに取り込んだと仮定した場合のコーナリングパワーである。これらの特性は、CP 増幅率で代表される。
図11は、一般的な空気入りラジアルタイヤの台上CP と、それに作用する荷重との関係を示すグラフである。通常、台上CP は、荷重の増加とともに増加してピークを迎えた後、徐々に減少することがわかる。また、このグラフには、旋回中のFFの四輪自動車に装着されたタイヤの大凡の荷重域も示されている。先ず、FFの四輪自動車では、前輪タイヤは、後輪タイヤよりも大きな荷重が作用する傾向がある。また、前輪及び後輪それぞれにおいて、旋回外側のタイヤには、旋回内側のタイヤよりも大きな荷重が作用する傾向がある。そのため、前輪側のタイヤと後輪側のタイヤとの間には、旋回時に生じる平均的な台上CP の値Ff 及びFr に関し、比較的大きな差が生じる。
各タイヤへの上述の荷重分布を前提とした場合、車両の旋回動作中に、できるだけ早く公転走行状態に移行させて旋回性能を向上させるためには、前輪のタイヤの等価CP を相対的に下げる一方、後輪のタイヤの等価CP を相対的に高めること、即ち、両者の等価CP を近づけることが有効と考えられる。
発明者らは、前輪のタイヤの等価CP を相対的に下げるために、これまであまり着目されていなかったセルフアライニングトルク(以下、単に「SAT」ということがある。)に着目した。
ここで、SAT について簡単に述べる。図13には、進行方向Yに対してスリップ角αで旋回中のタイヤbの接地面を、路面側から見た図が示されている。図12に示されるように、接地面Pのトレッドゴムは弾性変形し、横方向のCF が発生する。CF の作用点G(ハッチングされた接地面の図心に相当)が、タイヤの接地中心点Pcよりも後方にある場合、タイヤには、その接地中心点Pcの回りに、スリップ角αを小さくする方向のモーメントであるSAT が働く。つまり、SAT は、タイヤの接地中心点Pcの回りにスリップ角を小さくする方向に働く。なお、接地中心点PcとCF の作用点Gとの進行方向Yに沿った距離NT は、ニューマチックトレールと定義される。
発明者らの種々の実験の結果、上記式(A)のCP 増幅率は、SAT の逆数にほぼ比例することが判明している。このため、SAT の大きいタイヤは、前輪においては、等価CP が相対的に減少する。これに対し、後輪においては、操舵機構がなくSAT の影響を受けないため、等価CP の減少が抑えられる。その結果、前輪タイヤと後輪タイヤとの等価CP を、互いに近づけることが可能となる。
以上から明らかなように、四輪自動車、とりわけ前輪により多くの荷重が作用するFFの四輪自動車おいて、旋回走行中に、速やかに公転走行状態に移行させるためには、タイヤには、大きなSAT を発生させる特性が求められる。
発明者らは、SAT とタイヤのトレッドパターンとの関係に関して、さらに研究したところ、ミドル陸部に配される溝を改善することが、SAT を高める上で有効であるとの知見を得た。
特開2012−017001号公報 特開2009−162482号公報
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、四輪自動車の旋回性能を向上させるのに役立つ空気入りラジアルタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、ラジアル構造のカーカスと、前記カーカスの外側に配された少なくとも2枚のベルトプライからなるベルト層と、車両への装着の向きが指定されたトレッドパターンが形成されたトレッド部とを含む乗用車用の空気入りラジアルタイヤであって、
前記トレッド部は、車両装着時にそれぞれ車両の外側及び車両の内側に位置する外側トレッド端及び内側トレッド端を有し、
前記トレッド部は、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝によって、複数の周方向陸部に区分されており、
前記周方向陸部は、前記内側トレッド端を含む内側ショルダー陸部と、前記内側ショルダー陸部に隣接する内側ミドル陸部と、前記外側トレッド端を含む外側ショルダー陸部と、前記外側ショルダー陸部に隣接する外側ミドル陸部とを含み、
前記内側ミドル陸部には、前記内側トレッド端側から前記外側トレッド端側にのびる複数の内側ミドルラグ溝が設けられ、前記外側ミドル陸部には、前記内側トレッド端側から前記外側トレッド端側にのびる複数の外側ミドルラグ溝が設けられ、
前記外側ミドルラグ溝の本数Noは、前記内側ミドルラグ溝の本数Niの0.5〜0.7倍であり、
前記内側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向長さL3と前記内側ミドル陸部のタイヤ軸方向幅W10との比L3/W10は、前記外側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向長さL4と前記外側ミドル陸部のタイヤ軸方向幅W13との比L4/W13より大、
前記内側ミドルラグ溝の溝深さd6は、前記外側ミドルラグ溝の溝深さd7より大、
前記内側ミドルラグ溝の溝幅W11は、前記外側ミドルラグ溝の溝幅W14以上である。
本発明に係る空気入りラジアルタイヤでは、前記内側ミドルラグ溝は、前記内側ミドル陸部の内側トレッド端側のエッジからのび、かつ前記内側ミドル陸部内で途切れ、
前記外側ミドルラグ溝は、前記外側ミドル陸部の内側トレッド端側のエッジからのび、かつ前記外側ミドル陸部内で途切れるのが好ましい。
本発明に係る空気入りラジアルタイヤでは、前記外側ミドル陸部に設けられた全ての外側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向長さL4の合計ΣL4は、前記内側ミドル陸部に設けられた全ての内側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向長さL3の合計ΣL3の0.33〜0.70倍であるのが好ましい。
本発明に係る空気入りラジアルタイヤでは、前記内側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向に対する角度θ6、及び前記外側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向に対する角度θ7は0〜10度であるのが好ましい。
本発明に係る空気入りラジアルタイヤでは、前記内側ミドル陸部は、前記内側トレッド端側のエッジから前記外側トレッド端側にのびる複数の内側ミドルサイプを具え、かつ前記外側ミドル陸部は、前記内側トレッド端側のエッジから前記外側トレッド端側にのびる複数の外側ミドルサイプを具えるのが好ましい。
本発明に係る空気入りラジアルタイヤでは、前記内側ミドルサイプのタイヤ軸方向長さL10と 前記内側ミドル陸部のタイヤ軸方向幅W10との比L10/W10は、前記外側ミドルサイプのタイヤ軸方向長さL11と前記外側ミドル陸部のタイヤ軸方向幅W13との比L11/W13より大であるのが好ましい。
本発明に係る空気入りラジアルタイヤでは、前記内側ミドルサイプの深さd10は、前記外側ミドルラグ溝の深さd11より大であるのが好ましい。
本発明に係る空気入りラジアルタイヤでは、下記の走行条件において、下記式(1)を満足するのが好ましい。
装着リム:正規リム
タイヤ内圧:正規内圧
タイヤに負荷する荷重:正規荷重の70%
速度:10km/h
スリップ角:0.7度
キャンバー角:−(マイナス)1.0度
SAT ≧ 0.18×L×CF ---(1)
ここで、"SAT"はセルフアライニングトルク(N・m)、"L"はトレッド部のタイヤ周方向の接地最大長(m)、"CF"は、コーナリングフォース(N)である。
本発明は叙上の如く、外側ミドル陸部に形成される外側ミドルラグ溝の本数Noを、内側ミドル陸部に形成される内側ミドルラグ溝の本数Niの0.5〜0.7倍の範囲と、形成数が少なく設定される。しかも、内側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向長さL3と内側ミドル陸部のタイヤ軸方向幅W10との比L3/W10を、外側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向長さL4と外側ミドル陸部のタイヤ軸方向幅W13との比L4/W13より大、内側ミドルラグ溝の溝深さd6が、外側ミドルラグ溝の溝深さd7より大、内側ミドルラグ溝の溝幅W11が、外側ミドルラグ溝の溝幅W14以上としている。
このようなトレッドパターンでは、内側ミドル陸部の剛性を減じ、かつ外側側ミドル陸部の剛性を高めうるため、大きなSAT を発生させることができる。そのため、本発明の空気入りラジアルタイヤを装着した四輪自動車は、旋回走行中、速やかに公転走行状態に移行でき、優れた旋回性能を発揮することができる。
本発明の空気入りラジアルタイヤの一実施形態の子午断面図である。 図1のタイヤのトレッド部の展開図である。 内側ミドル陸部及び外側ミドル陸部の拡大図である。 (a)は図3のD−D線断面図であり、(b)は、図3のE−E線断面図である。 車両が左旋回しているときの前輪タイヤに作用するSAT を示す説明図である。 図2の内側ショルダー陸部の拡大図である。 図7のB−B線断面図である。 図2の外側ショルダー陸部の拡大図である。 図8のC−C線断面図である。 四輪乗用車の旋回動作を示す説明図である。 一般的な空気入りラジアルタイヤの台上CP とそれに作用する荷重との関係を示すグラフである。 車両の旋回時の前輪のタイヤの接地面を示す説明図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1(以下、単に「タイヤ」ということがある。)のタイヤ回転軸を含む子午断面図である。図2は、図1のタイヤ1のトレッド部2の展開図である。図1は、図2のA−A線断面図に相当する。本実施形態のタイヤ1は、乗用車用の空気入りラジアルタイヤとして構成されている。本実施形態のタイヤ1は、静止状態において、前輪に作用する垂直荷重が後輪に作用する垂直荷重よりも大きい乗用車用として好適であり、とりわけFFの乗用車用として好適に用いられる。
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、ラジアル構造のカーカス6及びベルト層7を具えている。
カーカス6は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至る。カーカス6は、例えば、1枚のカーカスプライ6Aで形成されている。カーカスプライ6Aは、例えば、タイヤ周方向に対して75〜90度の角度で傾けて配列された有機繊維からなるカーカスコードで構成されている。
ベルト層7は、少なくとも2枚のベルトプライ7A、7Bで構成されている。ベルトプライ7A、7Bは、例えば、タイヤ周方向に対して10〜45度の角度で配列されたスチールコード等のベルトコードで構成されている。ベルトプライ7Aは、例えば、隣り合うベルトプライ7Bのスチールコードと逆向きに傾斜するスチールコードで構成されている。ベルト層7の外側に、バンド層等のさらなる補強層が配されても良い。
図2に示されるように、トレッド部2には、車両への装着の向きが指定されたトレッドパターンが形成されている。トレッドパターンは、タイヤ赤道Cに関して、非対称形状で形成されている。タイヤ1の車両への装着の向きは、例えば、サイドウォール部3等に、文字又は記号で表示される。
トレッド部2は、外側トレッド端To及び内側トレッド端Tiを有している。外側トレッド端Toは、車両装着時に車両の外側(図2では右側)に位置する。内側トレッド端Tiは、車両装着時に車両の内側(図2では左側)に位置する。
各トレッド端To、Tiは、正規状態のタイヤ1に正規荷重が負荷されキャンバー角0°で平面に接地したときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。正規状態とは、タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法等は、前記正規状態で測定された値である。正規状態において、外側トレッド端Toと内側トレッド端Tiとの間のタイヤ軸方向の距離は、トレッド幅TW(図1に示す)と定義される。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、JATMA であれば "標準リム" 、TRA であれば"Design Rim" 、ETRTO であれば "Measuring Rim" である。「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMA であれば "最高空気圧" 、TRA であれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTO であれば "INFLATION PRESSURE" である。「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMA であれば "最大負荷能力" 、TRA であれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTO であれば "LOAD CAPACITY" である。
本実施形態のトレッド部2には、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝10によって、複数の周方向陸部15に区分されている。主溝10は、内側ショルダー主溝11及び外側ショルダー主溝12を含んでいる。本実施形態の主溝10は、さらに、クラウン主溝13を含んでいる。
内側ショルダー主溝11は、複数本の主溝10の内、最も内側トレッド端Ti側に設けられている。内側ショルダー主溝11は、タイヤ赤道Cよりも内側トレッド端Ti側に設けられている。
外側ショルダー主溝12は、複数本の主溝10の内、最も外側トレッド端To側に設けられている。外側ショルダー主溝12は、タイヤ赤道Cよりも外側トレッド端To側に設けられている。
クラウン主溝13は、内側ショルダー主溝11と外側ショルダー主溝12との間に設けられている。本実施形態では、クラウン主溝13は、タイヤ赤道C上に1本設けられている。しかし他の態様として、クラウン主溝13は、タイヤ赤道Cのタイヤ軸方向の両側に1本ずつ設けられても良い。
本実施形態では、主溝10は、例えば、タイヤ周方向に沿って直線状にのびている。しかし他の態様として、主溝10は、例えば、波状やジグザグ状にのびても良い。主溝10の溝幅(内側ショルダー主溝11の溝幅W1、外側ショルダー主溝12の溝幅W2、及び、クラウン主溝13の溝幅W3)は、慣例に従って任意に定めることができる。トレッド部2のパターン剛性を維持しながら十分な排水性能を提供するために、前記各溝幅W1、W2及びW3は、例えば、トレッド幅TWの2.5%〜5.0%程度が望ましい。各主溝11〜13の溝深さは、乗用車用ラジアルタイヤの場合、例えば、5〜10mm 程度であるのが望ましい。
また周方向陸部15は、内側トレッド端Tiを含む内側ショルダー陸部17と、この内側ショルダー陸部17に隣接する内側ミドル陸部18と、前記外側トレッド端Toを含む外側ショルダー陸部16と、この外側ショルダー陸部16に隣接する外側ミドル陸部19とを具える。
図3は、内側ミドル陸部18及び外側ミドル陸部19の拡大図である。図3に示されるように、内側ミドル陸部18には、内側トレッド端Ti側から外側トレッド端To側にのびる複数の内側ミドルラグ溝36が設けられる。また外側ミドル陸部19には、内側トレッド端Ti側から外側トレッド端To側にのびる複数の外側ミドルラグ溝40が設けられる。
本実施形態では、内側ミドルラグ溝36は、内側ミドル陸部18の内側トレッド端Ti側のエッジ18eからのび、かつ内側ミドル陸部18内で途切れている。同様に、外側ミドルラグ溝40は、外側ミドル陸部19の内側トレッド端Ti側のエッジ19eからのび、かつ外側ミドル陸部19内で途切れている。
そして、外側ミドル陸部19の剛性が、内側ミドル陸部18の剛性に比して大となるように両者に剛性差を設けることにより、SAT を増大でき、旋回走行に際して車両を公転走行状態に早期に移行させることが可能になる。
前述したように、旋回走行に際して車両を公転走行状態に早期に移行させるためには、大きなSAT を発生させるのが有効である。発明者らは、タイヤの旋回中の接地面の圧力分布を詳細に分析したところ、以下のような知見を得た。これについて、図5を用い、車両が左旋回している場合を例に挙げて説明する。
進行方向に対してスリップ角がついた前輪タイヤは、路面とトレッド面との摩擦によって、反時計回りに周方向陸部15が変形する。そしてスリップ角がほぼ一定となったとき、変形した各周方向陸部15は、元に戻ろうとし、図中の矢印のように、時計回りに反力、即ちSAT を発生させる。このSAT、即ち、接地中心点Pcの周りの時計方向のトルクを高めるためには、SAT への寄与が高い旋回外側のタイヤ(右側のタイヤ)において、接地面の第4象限の領域X4(旋回方向外側かつ進行方向後方側の領域)で大きな駆動方向の力を発生させることが有効である。これについては、外側ミドル陸部19の剛性(特にタイヤ周方向剛性)を高めることで、第4象限の領域X4での駆動方向の力を高めることができる。
また、SAT を高めるためには、SAT への寄与が高い旋回外側のタイヤ(右側のタイヤ)において、接地面の第2象限の領域X2(旋回方向内側かつ進行方向前方側の領域)で大きな制動方向の力を発生させることも有効である。これについては、内側ミドル陸部18の剛性(特にタイヤ周方向剛性)を減じ、路面に対して柔軟に追従する接地性を向上させることで、第2象限の領域X2での制動方向の力を高めることができる。
しかも図3に示されるように、内側ミドル陸部18では、内側ミドルラグ溝36が、内側トレッド端Ti側のエッジ18eからのび、かつ内側ミドル陸部18内で途切れている。これにより、内側ミドル陸部18内において、その内側トレッド端Ti側の剛性を相対的に小、即ち、制動方向の力を相対的に大としている。ここで、内側ミドル陸部18内において、内側トレッド端Ti側の領域は、外側トレッド端To側の領域に比して、接地中心点Pcから離れている。そのため、モーメントであるSAT への影響が大であり、SAT をより高めることができる。
同様に、外側ミドル陸部19では、外側ミドルラグ溝40が、内側トレッド端Ti側のエッジ19eからのび、かつ外側ミドル陸部19内で途切れている。これにより、外側ミドル陸部19内において、その外側トレッド端To側の剛性を相対的に大、即ち駆動方向の力を相対的に大としている。ここで、外側ミドル陸部19内において、外側トレッド端To側の領域は、内側トレッド端Ti側の領域に比して、接地中心点Pcから離れている。そのため、モーメントであるSAT への影響が大であり、SAT をより高めることができる。
本発明では、内側ミドル陸部18と外側ミドル陸部19との間に剛性差を設けるために、内側ミドルラグ溝36と、外側ミドルラグ溝40とを、下記の要件(ア)〜(エ)を満たすように構成している。
(ア)外側ミドルラグ溝40の本数Noを、内側ミドルラグ溝36の本数Niの0.5〜0.7倍:
(イ)内側ミドルラグ溝36のタイヤ軸方向長さL3と内側ミドル陸部18のタイヤ軸方向幅W10との比L3/W10は、外側ミドルラグ溝40のタイヤ軸方向長さL4と外側ミドル陸部19のタイヤ軸方向幅W13との比L4/W13よりも大:
(ウ)内側ミドルラグ溝36の溝深さd6(図4(a)に示す)は、外側ミドルラグ溝40の溝深さd7(図4(b)に示す)よりも大:
(エ)内側ミドルラグ溝36の溝幅W11は、外側ミドルラグ溝の溝幅W14以上:である。
具体的には、内側ミドル陸部18に形成される内側ミドルラグ溝36の総本数Niは、例えば、80〜150本であるのが好ましい。
内側ミドルラグ溝36は、タイヤ軸方向に対して0〜10度の角度θ6でのびるのが好ましい。本実施形態では、タイヤ軸方向に沿って直線状にのびた場合が示される(角度θ6=0度)。このような内側ミドルラグ溝36は、内側ミドル陸部18のタイヤ軸方向の剛性を十分に維持し、とりわけタイヤ1が車両の後輪に装着されたとき、大きな等価CP を提供することができる。
内側ミドルラグ溝36のタイヤ軸方向長さL3は、内側ミドル陸部18のタイヤ軸方向幅W10の0.45〜0.85倍であるのが好ましい。なお内側ミドル陸部18の前記幅W10は、トレッド幅TW(図1に示す)の0.10〜0.20倍の範囲が好ましい。
内側ミドルラグ溝36の溝幅W11は、例えば、トレッド幅TWの0.5〜2.0%の範囲が好ましい。図4(a)に、図3の内側ミドルラグ溝36のD−D線断面図が示される。図4(a)に示されるように、内側ミドルラグ溝36の深さd6は、例えば、クラウン主溝13の溝深さd5の0.20〜0.90倍の範囲が好ましい。
本実施形態では、内側ミドル陸部18は、例えば、75〜85%のランド比を有しているのが望ましい。このような内側ミドル陸部18は、ウェット性能と操縦安定性とをバランス良く高めることができる。なお外側ミドル陸部19は、内側ミドル陸部18よりも大きいランド比を有する。本明細書において、「ランド比」とは、対象となる陸部に設けられた溝を全て埋めた仮想接地面の全面積Saに対する、実際の陸部の合計接地面積Sbの比Sb/Saとして定義される。
次に、外側ミドル陸部19に形成される外側ミドルラグ溝40の総本数Noは、前記内側ミドルラグ溝36の総本数Niの0.5〜0.7倍の範囲に設定される。
外側ミドルラグ溝40は、内側ミドルラグ溝36と同様、タイヤ軸方向に対して0〜10度の角度θ7でのびるのが好ましい。本実施形態では、タイヤ軸方向に沿って直線状にのびた場合が示される(角度θ7=0度)。このような外側ミドルラグ溝40は、外側ミドル陸部19のタイヤ軸方向の剛性を十分に維持し、とりわけタイヤ1が車両の後輪に装着されたとき、大きな等価CP を提供することができる。また角度θ6、θ7をそれぞれ0度に近づけることで、SAT を高める効果を奏しうる。
外側ミドルラグ溝40のタイヤ軸方向長さL4については、前記内側ミドルラグ溝36のタイヤ軸方向長さL3と内側ミドル陸部18のタイヤ軸方向幅W10との比L3/W10が、前記長さL4と外側ミドル陸部19のタイヤ軸方向幅W13との比L4/W13よりも大、即ち、L3/W10>L4/W13となるように設定される。好ましくは、比L3/W10が、比L4/W13の1.25倍以上、さらには1.5倍以上であるのが望ましい。
なお外側ミドル陸部19のタイヤ軸方向幅W13は、トレッド幅TWの0.10〜0.20倍の範囲が好ましい。本実施形態では、W13>W10の場合が示されるが、W13=W10であっても良い。
また外側ミドルラグ溝40の溝幅W14については、内側ミドルラグ溝の溝幅W11が、前記外側ミドルラグ溝の溝幅W14以上、即ち、W13≧W14となるように設定される。
図4(b)に、図3の外側ミドルラグ溝40のE−E線断面図が示される。図4(b)に示されるように、外側ミドルラグ溝40の深さd7については、前記内側ミドルラグ溝36の深さd6が、外側ミドルラグ溝40の深さd7より大、即ち、d6>d7となるように設定される。好ましくは、深さの比d6/d7が、1.2倍以上、さらには1.4倍以上であるのが望ましい。
このように、上記要件(ア)〜(エ)を満たすことで、内側ミドル陸部18と外側ミドル陸部19との間に剛性差を十分に設けることができ、大きなSAT を発生させることが可能となる。
ここで、ラグ溝の本数の比No/Niが0.5倍を下回ると、内側ミドル陸部18と外側ミドル陸部19との剛性差が過大となる。その結果、レーンチェンジ時および旋回時におけるリニアリティ(公転走行状態への移行性)は向上するものの、ハンドル操作直後の応答性が低下する。逆に比No/Niが0.7倍を超えると、剛性差が小、即ちSAT が小となって、リニアリティ(公転走行状態への移行性)の向上効果が十分得られない。
また内側ミドルラグ溝36の長さL3と内側ミドル陸部18の幅W10との比L3/W10が、外側ミドルラグ溝40の長さL4と外側ミドル陸部19の幅W13との比L4/W13以下の場合、前記比L3/W10が比L4/W13以下の場合、溝深さd6が溝深さd7以下の場合、及び、溝幅W11が溝幅W14より小の場合、剛性差が小となって、リニアリティ(公転走行状態への移行性)の向上効果が十分得られない。
本実施形態では、外側ミドル陸部19に設けられた全ての外側ミドルラグ溝40のタイヤ軸方向長さL4の合計ΣL4は、内側ミドル陸部18に設けられた全ての内側ミドルラグ溝36のタイヤ軸方向長さL3の合計ΣL3の0.33〜0.70の範囲が望ましい。ΣL4がΣL3の0.33倍を下回ると、剛性差が過大となってリニアリティ(公転走行状態への移行性)は向上するものの、ハンドル操作直後の応答性が低下する。逆にΣL4がΣL3の0.70倍を超えると、剛性差が小となって、リニアリティ(公転走行状態への移行性)の向上効果が十分得られない。
図3に示されるように、内側ミドル陸部18及び外側ミドル陸部19に、内側ミドルサイプ45及び外側ミドルサイプ46を設けることができる。本明細書において、「サイプ」とは、幅が0.8mm 以下の切れ込みとして定義され、これよりも大きい幅を有する「溝」とは区別される。
内側ミドルサイプ45は、周方向で隣り合う内側ミドルラグ溝36間を通って、内側トレッド端Ti側から外側トレッド端To側にのびる。本実施形態では、内側ミドルサイプ45は、内側ミドルラグ溝36と同様、内側ミドル陸部18の内側トレッド端Ti側のエッジ18eからのび、かつ内側ミドル陸部18内で途切れる。なお内側ミドルサイプ45の形成本数niは、内側ミドルラグ溝36の前記本数Ni以下が好ましい。本実施形態では、ni:Niが1:2であり、内側ミドルサイプ45間に2本の内側ミドルラグ溝36が介在している。
同様に、外側ミドルサイプ46は、周方向で隣り合う外側ミドルラグ溝40間を通って、内側トレッド端Ti側から外側トレッド端To側にのびる。本実施形態では、外側ミドルサイプ46は、外側ミドルラグ溝40と同様、外側ミドル陸部19の内側トレッド端Ti側のエッジ19eからのび、かつ外側ミドル陸部19内で途切れる。なお外側ミドルサイプ46の形成本数noは、外側ミドルラグ溝40の前記本数No以下が好ましい。本実施形態では、no:Noが、ni:Niと等しく、外側ミドルサイプ46間に2本の外側ミドルラグ溝40が介在している。
内側ミドルサイプ45のタイヤ軸方向長さL10と、内側ミドル陸部18のタイヤ軸方向幅W10との比L10/W10は、外側ミドルサイプ46のタイヤ軸方向長さL11と外側ミドル陸部19のタイヤ軸方向幅W13との比L11/W13より大であるのが好ましい。これにより、内側ミドル陸部18と外側ミドル陸部19との剛性差をさらに設け、SAT の増大を図りうる。なお内側ミドルサイプ45のタイヤ軸方向長さL10は、内側ミドルラグ溝36のタイヤ軸方向長さL3より小であるのが好ましい。また外側ミドルサイプ46のタイヤ軸方向長さL11は、外側ミドルラグ溝40のタイヤ軸方向長さL4より小であるのが好ましい。
内側ミドルサイプ45の深さd10(図4(a)に示す)は、外側ミドルサイプ46の深さd11(図4(b)に示す)より大であるのが好ましい。これにより、内側ミドル陸部18と外側ミドル陸部19との剛性差をさらに設け、SAT の増大を図りうる。
図5に示されるように、外側ショルダー陸部16の剛性を内側ショルダー陸部17よりも高めることも、上記とほぼ同様のメカニズムでSAT を増加させるために好ましい。そのために,本実施形態では、内側ショルダー陸部17及び外側ショルダー陸部16を以下のように構成している。
具体的には、図6に示されるように、内側ショルダー陸部17には、複数の内側ショルダーラグ溝21が設けられている。内側ショルダーラグ溝21は、例えば、内側トレッド端Tiからタイヤ軸方向内側にのび、かつ内側ショルダー陸部17の内部で途切れている。内側ショルダーラグ溝21は、タイヤ軸方向に対して、例えば10〜30度の角度θ1で傾斜するのが好ましい。本実施形態では、内側ショルダーラグ溝21が、タイヤ軸方向に対して一定の角度で傾斜するように直線状にのびている場合が示される。このような内側ショルダーラグ溝21は、タイヤ周方向剛性とタイヤ軸方向剛性とのバランスを最適化するのに役立つ。
内側ショルダーラグ溝21のタイヤ軸方向の長さL1は、例えば、内側ショルダー陸部17のタイヤ軸方向の幅W4の0.70〜0.85倍であるのが望ましい。なお内側ショルダー陸部17の前記幅W4は、トレッド幅TWの0.25〜0.35倍が好ましい。内側ショルダーラグ溝21の溝幅W5は、例えば、内側ショルダー主溝11の溝幅W1の0.30〜0.45倍であるのが望ましい。本実施形態では、溝幅W5が一定とされているが、変化しても良い。内側ショルダーラグ溝21の長さL1及び溝幅W5を前記範囲に規定した場合、内側ショルダー陸部17のタイヤ周方向剛性及びタイヤ軸方向剛性を、バランスよく低下させながら、良好なウェット性能を提供できる。
図7には、内側ショルダーラグ溝21のB−B線断面図が示されている。図7に示されるように、内側ショルダーラグ溝21は、例えば、内側トレッド端Tiから内側ショルダー主溝11側に向かって溝深さを漸減している。上述のように、内側ショルダー陸部17の剛性を下げるべく多くの内側ショルダーラグ溝21を配置した場合、走行中のポンピングノイズが大きくなる傾向がある。しかし、本実施形態のように、内側ショルダーラグ溝21のタイヤ軸方向の内端側の溝容積を大幅に減少させることにより、そのようなポンピングノイズの音圧を低下させることができる。特に好ましい態様では、内側ショルダーラグ溝21の内端での深さd1は、内側トレッド端Tiでの深さd2の40%〜60%であるのが望ましい。なお、内端の深さd1は、内側ショルダーラグ溝21の内端から、前記タイヤ軸方向長さL1の25%の長さL5をタイヤ軸方向の外側に隔てた位置で測定されるものとする。
内側ショルダーラグ溝21の本数(合計本数)N1は、例えば、内側ミドルラグ溝36の本数Ni以下、かつ外側ミドルラグ溝40の本数Noより大であるのが望ましい。
内側ショルダー陸部17では、内側ショルダーラグ溝21が、内側トレッド端Tiからのび、かつ内側ショルダー陸部17内で途切れている。これにより、内側ショルダー陸部17内において、その内側トレッド端Ti側の剛性を相対的に小、即ち、制動方向の力を相対的に大としている。ここで、内側ショルダー陸部17内において、内側トレッド端Ti側の領域は、外側トレッド端To側の領域に比して、接地中心点Pcから離れているため、モーメントであるSAT への影響が大であり、SAT をより高めることができる。
内側ショルダー陸部17のランド比は、75〜85%の範囲であって、内側ミドル陸部18と同程度であるのが望ましい。
図8に示されるように、外側ショルダー陸部16には、複数の外側ショルダーラグ溝28が設けられている。外側ショルダーラグ溝28は、例えば、外側トレッド端Toからタイヤ軸方向内側にのび、かつ外側ショルダー陸部16内で途切れている。本実施形態では、各外側ショルダーラグ溝28が同一の形状を有しているが、このような態様に限定されるものではない。
外側ショルダーラグ溝28は、タイヤ軸方向に対して、前記角度θ1よりも小な角度θ4で配される。前記角度θ4は0〜10度が望ましく、本実施形態では、外側ショルダーラグ溝28がタイヤ軸方向に沿って直線状にのびる場合が示される(角度θ4=0度)。このように角度θ4を0度に近づけることで、SAT を高める効果を奏しうる。
外側ショルダーラグ溝28のタイヤ軸方向長さL2は、内側ショルダーラグ溝21のタイヤ軸方向長さL1よりも小さいのが望ましい。例えば、外側ショルダーラグ溝28の前記長さL2は、内側ショルダーラグ溝21の前記長さL1の0.90〜0.98倍であるのが望ましい。このような外側ショルダーラグ溝28は、外側ショルダー陸部16のタイヤ周方向の剛性も相対的に高め、ひいてはSAT を高めることができる。
外側ショルダーラグ溝28は、例えば、内側ショルダーラグ溝21の溝幅W5と同一か、それよりも小さい溝幅W8を有しているのが望ましい。具体的には、外側ショルダーラグ溝28の溝幅W8は、内側ショルダーラグ溝21の溝幅W5の0.80〜1.0倍程度であるのが望ましい。本実施形態では、溝幅W8は、一定とされているが、変化しても良い。
図9には、外側ショルダーラグ溝28のC−C線断面図が示されている。図9に示されるように、外側ショルダーラグ溝28は、例えば、外側トレッド端Toからタイヤ軸方向内側に向かって溝深さが漸減している。このような外側ショルダーラグ溝28は、先に説明したように、走行中のポンピングノイズを低減させるのに役立つ。上述の効果をさらに高めるために、外側ショルダーラグ溝28の内端での深さd3は、外側トレッド端Toでの深さd4の40%〜60%と溝容積を大きく変化させることが望ましい。なお、内端の深さd3は、外側ショルダーラグ溝28の内端から、そのタイヤ軸方向長さL2の25%の長さをタイヤ軸方向の外側に隔てた位置で測定されるものとする。
外側ショルダーラグ溝28の本数(合計本数)N2は、例えば、内側ショルダーラグ溝21の本数N1よりも小であることが望ましい。本実施形態では、内側ショルダーラグ溝21の本数N1が、例えば、外側ショルダーラグ溝28の本数N2の1.1倍以上に設定されているのが望ましい。このように内側ショルダーラグ溝21及び外側ショルダーラグ溝28の本数N1、N2に差を設けることにより、外側ショルダー陸部16と内側ショルダー陸部17とに、剛性差を設けることができる。
同様の観点から、外側ショルダー陸部16は、例えば、内側ショルダー陸部17よりも大きいランド比を有するのが望ましい。外側ショルダー陸部16のランド比は、例えば、内側ショルダー陸部17のランド比の1.05〜1.10倍の範囲にあるのが望ましい。
好ましい態様では、タイヤ1は、例えば、台上試験(例えば、フラットベルト式のタイヤ試験機を用いた試験である。)において、下記の走行条件において、下記式(1)を満足するのが望ましい。
装着リム:正規リム
タイヤ内圧:正規内圧
タイヤに負荷する荷重:正規荷重の70%
速度:10km/h
スリップ角:0.7度
キャンバー角:−(マイナス)1.0度
SAT ≧ 0.18×L×CF ---(1)
ここで、"SAT"はセルフアライニングトルク(N・m)、"L"はトレッド部2のタイヤ周方向の接地最大長(m)、"CF"は、コーナリングフォース(N)である。また、キャンバー角の"マイナス"は、タイヤの上部が車両の中心側に向くような傾きを意味する。
上記測定条件は、四輪自動車で頻繁に発生する傾向がある旋回状態(横加速度0.2G程度)における前輪の状況に基づいている。発明者らは、四輪自動車に各種のセンサーを搭載して、上記旋回状態でのタイヤの状況(荷重、キャンバー角、スリップ角、及び、角度)を測定し、これを台上試験で近似させるものとして、上記走行条件を得た。従って、上記式(1)を満たすタイヤ1は、通常の旋回状態においてSAT を確実かつ十分に大きく発生させることができる。即ち、旋回走行中の車両を、より速やかに公転走行状態に移行させることができる。
以上、本発明の一実施形態のタイヤが詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施され得る。
図2の基本パターンを有するサイズ225/65R17のタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。各テストタイヤについて、操縦安定性の試験が行われた。内側ミドルラグ溝、外側ミドルラグ溝、内側ミドルサイプ、外側ミドルサイプの仕様のみ相違し、それ以外の仕様は各タイヤとも実質的に同一である。なお内側ミドルラグ溝、外側ミドルラグ溝、内側ミドルサイプ、外側ミドルサイプはタイヤ軸方向に対する角度は0度である。
(1)操縦安定性能(リニアリティ):
試供タイヤを、リム(17×7J)、内圧(220kPa)の条件にて車両(排気量2400ccのFF車両)の全輪に装着し、乾燥アスファルト路面のテストコースを走行した。そして、レーンチェンジ時および旋回時におけるリニアリティ(公転走行状態への移行性:ハンドル操作時の車両追従性能)について、テストドライバーによる官能評価により10点法で評価している。数値が大きいほど良好である。
(2)操縦安定性能(応答性):
上記の実車走行において、レーンチェンジ時および旋回時における応答性(ハンドル操作直後の応答性)についてテストドライバーによる官能評価により10点法で評価している。数値が大きいほど良好である。
(3)台上試験:
フラットベルト式のタイヤ試験機を使用して、下記の条件で、SAT、トレッド部のタイヤ周方向の接地最大長L 及びCF が測定され、各テストタイヤが下記式(1)を満たすかどうかについて調査された。式(1)を満たすものを○、満たさないものを×で示している。
装着リム:正規リム
タイヤ内圧:正規内圧
速度:10km/h
スリップ角:0.7度
キャンバー角:−1.0度
タイヤの荷重:正規荷重の70%
SAT ≧ 0.18×L×CF ---(1)
Figure 0006907823
テストの結果、実施例のタイヤは、リニアリティ及び応答性に優れ、高い旋回性能を発揮しうるのが確認できた。
1 空気入りラジアルタイヤ6カーカス
2 トレッド部
7 ベルト層
7A、7B ベルトプライ
10 主溝
15 周方向陸部
16 外側ショルダー陸部
17 内側ショルダー陸部
18 内側ミドル陸部
18e エッジ
19 外側ミドル陸部
19e エッジ
36 内側ミドルラグ溝
40 外側ミドルラグ溝
45 内側ミドルサイプ
46 外側ミドルサイプ
To 外側トレッド端
Ti 内側トレッド端

Claims (8)

  1. ラジアル構造のカーカスと、前記カーカスの外側に配された少なくとも2枚のベルトプライからなるベルト層と、車両への装着の向きが指定されたトレッドパターンが形成されたトレッド部とを含む乗用車用の空気入りラジアルタイヤであって、
    前記トレッド部は、車両装着時にそれぞれ車両の外側及び車両の内側に位置する外側トレッド端及び内側トレッド端を有し、
    前記トレッド部は、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝によって、複数の周方向陸部に区分されており、
    前記周方向陸部は、前記内側トレッド端を含む内側ショルダー陸部と、前記内側ショルダー陸部に隣接する内側ミドル陸部と、前記外側トレッド端を含む外側ショルダー陸部と、前記外側ショルダー陸部に隣接する外側ミドル陸部とを含み、
    前記内側ミドル陸部には、前記内側トレッド端側から前記外側トレッド端側にのびる複数の内側ミドルラグ溝が設けられ、前記外側ミドル陸部には、前記内側トレッド端側から前記外側トレッド端側にのびる複数の外側ミドルラグ溝が設けられ、
    前記外側ミドルラグ溝の本数Noは、前記内側ミドルラグ溝の本数Niの0.5〜0.7倍であり、
    前記内側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向長さL3と前記内側ミドル陸部のタイヤ軸方向幅W10との比L3/W10は、前記外側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向長さL4と前記外側ミドル陸部のタイヤ軸方向幅W13との比L4/W13より大、
    前記内側ミドルラグ溝の溝深さd6は、前記外側ミドルラグ溝の溝深さd7より大、
    前記内側ミドルラグ溝の溝幅W11は、前記外側ミドルラグ溝の溝幅W14以上である空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記内側ミドルラグ溝は、前記内側ミドル陸部の内側トレッド端側のエッジからのび、かつ前記内側ミドル陸部内で途切れ、
    前記外側ミドルラグ溝は、前記外側ミドル陸部の内側トレッド端側のエッジからのび、かつ前記外側ミドル陸部内で途切れる請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記外側ミドル陸部に設けられた全ての外側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向長さL4の合計ΣL4は、前記内側ミドル陸部に設けられた全ての内側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向長さL3の合計ΣL3の0.33〜0.70倍である請求項1又は2記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記内側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向に対する角度θ6、及び前記外側ミドルラグ溝のタイヤ軸方向に対する角度θ7は0〜10度である請求項1〜3の何れかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記内側ミドル陸部は、前記内側トレッド端側から前記外側トレッド端側にのびる複数の内側ミドルサイプを具え、かつ前記外側ミドル陸部は、前記内側トレッド端側から前記外側トレッド端側にのびる複数の外側ミドルサイプを具える請求項1〜4の何れかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 前記内側ミドルサイプのタイヤ軸方向長さL10と 前記内側ミドル陸部のタイヤ軸方向幅W10との比L10/W10は、前記外側ミドルサイプのタイヤ軸方向長さL11と前記外側ミドル陸部のタイヤ軸方向幅W13との比L11/W13より大である請求項5記載の空気入りラジアルタイヤ。
  7. 前記内側ミドルサイプの深さd10は、前記外側ミドルサイプの深さd11より大である請求項5又は6記載の空気入りラジアルタイヤ。
  8. 下記の走行条件において、下記式(1)を満足する請求項1〜7記載の何れかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
    装着リム:正規リム
    タイヤ内圧:正規内圧
    タイヤに負荷する荷重:正規荷重の70%
    速度:10km/h
    スリップ角:0.7度
    キャンバー角:−(マイナス)1.0度
    SAT ≧ 0.18×L×CF ---(1)
    ここで、"SAT"はセルフアライニングトルク(N・m)、"L"はトレッド部のタイヤ周方向の接地最大長(m)、"CF"は、コーナリングフォース(N)である。
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