[第1実施形態]
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
<プリンタの全体構成>
図1に示すように、第1実施形態に係るプリンタ1は、記録部2と給紙部3とを備えている。記録部2は、図1、図2に示すように、搬送ローラ11(本発明の「第1搬送ローラ」)、排紙ローラ12(本発明の「第2搬送ローラ」)、インクジェットヘッド13(本発明の「記録ヘッド」)、スキャナ14、プラテン15、用紙端センサ16などを備えている。
搬送ローラ11及び排紙ローラ12は、記録用紙P(本発明の「被記録媒体」)を搬送方向に搬送する。共に、水平に配置され、走査方向(搬送方向と直交する方向:本発明の「配列方向」)に延びる。搬送方向について、搬送ローラ11は上流側に配置され、排紙ローラ12は下流側に配置されている。両ローラ11、12は、上下に並んだ一対のローラである。一対のローラのうち、一方は駆動ローラであり、他方は従動ローラである。駆動ローラは、ギヤ(不図示)等を介して、搬送モータ56(図3参照)に接続されている。また、搬送ローラ11の駆動ローラには、ロータリーエンコーダ57(図3参照)が同軸に取り付けられている。
搬送モータ56を駆動させると、駆動ローラが回転し、記録用紙Pがローラ対に挟まれながら搬送される。このとき、ロータリーエンコーダ57は、駆動ローラ(搬送ローラ11)の回転軸が所定の単位回転量だけ回転すると、1つの信号を出力する。
インクジェットヘッド13は、搬送方向において、両ローラ11、12の間に配置されている。インクジェットヘッド13は、いわゆるラインヘッドである。インクジェットヘッド13は、その下面が吐出面であり、複数のノズル10が形成されている。より詳細に説明すると、複数のノズル10は、走査方向に並んでノズル列9を構成している。ノズル列9は、記録用紙Pの全長より長い。4つのノズル列9が、搬送方向に並んで、ノズル列群を構成している。各ノズル列9は、上流側から順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクに対応する。
スキャナ14は、搬送方向におけるインクジェットヘッド13と排紙ローラ12との間に配置されている。スキャナ14は、その下面が検出面であり、複数の検出素子14aが配置されている。複数の検出素子14aは、走査方向に並んで、素子列を構成している。素子列の長さは、ノズル列9と同様に、記録用紙Pの全長以上ある。スキャナ14は、検出素子14aの配置密度で走査方向の解像度が決まり、記録用紙Pの搬送速度と検出周波数で搬送方向の解像度が決まるが、いずれも記録される画像の解像度以上である。なお、素子列は、色毎にあってよい。また、搬送方向において、搬送ローラ11とインクジェットヘッド13との距離L1は、インクジェットヘッド13とスキャナ14との距離L2以下である。
プラテン15は、搬送方向における搬送ローラ11と排紙ローラ12との間に配置され、インクジェットヘッド13及びスキャナ14の下面と対向している。プラテン15は、走査方向に記録用紙Pの全体を下方から支持する。用紙端センサ16は、搬送ローラ11に対して、搬送方向の上流側近傍に配置されている。用紙端センサ16は、記録用紙Pの後端を検出する。そして、プリンタ1では、用紙端センサ16によって記録用紙Pの後端が検出された後、ロータリーエンコーダ57からの信号が所定回数検出されると、記録用紙Pの後端が搬送ローラ11を抜けたこと判定される。
給紙部3は、カセット装着部21、用紙カセット22、給紙ローラ23などを備えている。給紙部3は、記録部2の下方に位置する。カセット装着部21は、用紙カセット22が取り外し可能に装着される。用紙カセット22には、複数の記録用紙Pが収容されている。給紙ローラ23は、カセット装着部21に設置され、ギヤ(不図示)などを介して給紙モータ58(図3参照)に接続されている。給紙経路24は、ガイド部材やローラ(不図示)で構成され、記録用紙Pを給紙部3から記録部2に導く。給紙モータ58が駆動されると、給紙ローラ23が回転し、用紙カセット22から記録用紙Pが順次繰り出される。記録用紙Pは、給紙経路24(図1の矢印A参照)に沿って搬送され、記録部2の搬送ローラ11に供給される。
<制御装置>
次に、プリンタ1の動作を制御する制御装置50について説明する。図3に示すように、制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)54、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)55等を備え、搬送モータ56、インクジェットヘッド13、給紙モータ58などの動作を制御する。また、ロータリーエンコーダ57、用紙端センサ16等から出力された信号が制御装置50に入力される。
なお、図3では、CPU51を1つだけ図示しているが、制御装置50は、CPU51を1つだけ備え、この1つのCPU51が処理を一括して行ってもよいし、CPU51を複数備え、これら複数のCPU51が処理を分担して行ってもよい。また、図3では、ASIC55を1つだけ図示しているが、制御装置50は、ASIC55を1つだけ備え、この1つのASIC55が処理を一括して行ってもよいし、ASIC55を複数備え、これら複数のASIC55が処理を分担して行ってもよい。
<記録時の制御>
次に、記録用紙Pに記録するとき、制御装置50が行う制御について説明する。制御装置50は、画像データを含む記録指令が入力されると、図4のフローに従って処理を実行する。
まず、制御装置50は、給紙処理を実行する(S101)。制御装置50は、給紙モータ58を制御して、給紙ローラ23に1つの記録用紙Pを繰り出させる。記録用紙Pは、用紙カセット22から記録部2へ供給される。
続いて、制御装置50は、第1記録処理を開始させる(S102)。制御装置50は、搬送モータ56を制御して、搬送ローラ11及び排紙ローラ12に記録用紙Pを搬送させつつ、インクジェットヘッド13を制御して、複数のノズル10から記録用紙Pに向けてインクを吐出させる。なお、記録のタイミングは、ロータリーエンコーダ57からの信号に同期している。
ここで、用紙端センサ16は、記録用紙Pの端部を検出するセンサである。用紙端センサ16は、記録用紙Pの有無により出力信号が異なり、記録用紙Pの部位により出力信号の形態が異なる。例えば、記録用紙Pの先端に対して、出力信号の形態は、記録用紙Pが“無い”を示す信号に続く“有る”を示す信号の組となる。記録用紙Pの後端については、“有る”を示す信号に続く“無い”を示す信号の組となる。制御装置50は、信号の組の違いで先端と後端を識別し、信号の変化点を先端又は後端の検出時点とする。また、第1記録処理は、先端の検出時点から所定の時間経過後に開始される。この所定時間は、先端の検出後、先端がノズル10と所定の対向位置となるまでの所要時間に相当し、搬送速度から決められる。
このとき、記録用紙Pには、画像用ドット61に加えて、設定用ドット62が記録される。画像用ドット61は、記録すべき画像を構成し、画像データに基づいて形成される。設定用ドット62は、第2記録処理(後述)の記録タイミングを設定するドット群を構成し、ロータリーエンコーダ57の出力(エンコーダ出力)と同期して形成される。設定用ドット62は、一種のマーカといえる。
これより、走査方向に沿うドットの並び(ドット列63)は、画像用ドット61及び1つの設定用ドット62で構成されることになる。また、全てのエンコーダ出力に対して、それぞれ1つの設定用ドット62が、同期(エンコーダ同期)して形成される。設定用ドット62は、記録用紙Pの左右両端に交互に配置され、搬送方向にそれぞれ1つ置きの列をなしている。つまり、搬送方向について、下流端のドット列63は、例えば、左端に1つの設定用ドット62を有する。1つ上流側のドット列63では、右端に1つの設定用ドット62を有する。上流側に向かって、この2つの形態が、交互に繰り返されている。
なお、本実施の形態では、記録用紙Pの両端に、設定用ドット62の列が1つずつ形成された。しかし、この配置形態に限られない。比較的広い余白領域が、画像の記録領域の両側にあれば、各余白領域に設定用ドット62が複数の列をなしていて良い。このとき、1つの設定用ドット62は、搬送方向にも走査方向にも、別の設定用ドット62と隣接しない。搬送方向には、全てのエンコーダ出力に対して、それぞれ1つの設定用ドット62が、同期して形成されておればよい。
また、設定用ドット62のサイズは、記録される画像の解像度に対応した記録用紙Pの単位搬送量よりも小さいことが好ましい。具体的には、搬送方向の記録密度が600dpiの場合には、設定用ドット62のサイズは42μm未満が好ましく、搬送方向の記録密度が1200dpiの場合には、サイズは21μm未満が好ましい。例えば、設定用ドット62は、最も小さい画像用ドット61よりも小さいものとなっている。
図4に戻って、制御装置50は、記録用紙Pの後端が搬送ローラ11を抜けるまで(S103:NO)、第1記録処理を継続する。そして、記録用紙Pの後端が搬送ローラ11を抜けたときに(S103:YES)、制御装置50は、第1記録処理を終了し、第2記録処理に移行する(S104)。第2記録処理は、後端の検出時点から別の所定時間が経過後、開始される。別の所定時間は、後端の検出後、後端が搬送ローラ11を抜けるまでの所要時間に相当し、搬送速度から決められる。
第2記録処理では、制御装置50は、搬送モータ56を制御して、駆動ローラ(搬送ローラ11及び排紙ローラ12)を回転する。しかし、記録用紙Pは、搬送ローラ11を抜けているので、排紙ローラ12だけで搬送される。制御装置50は、インクジェットヘッド13を制御して、インクを吐出させる。この記録用紙Pへの記録は、スキャナ14からの信号に基づく。スキャナ14は、1つの設定用ドット62から、1つの信号を出力する。具体的には、スキャナ14は、設定用ドット62が無い状態から在る状態に切り替わった時点で、1つの信号を出力する。第2記録処理では、記録(吐出)のタイミングが、この出力信号に同期している。
なお、スキャナ14は、1つの設定用ドット62から、1つのタイミング用信号を出力するとしたが、これに限定されない。スキャナ14は、設定用ドット62の検出部位(例えば、ドットの先端部と後端部)により出力信号の形態が異なる。この関係は、用紙端センサ16と記録用紙Pとの関係と同じである。そこで、制御装置50は、1つの設定用ドット62から出力される2つの信号を利用する。これに対応して、第1記録処理では、1つ置きのエンコーダ出力に同期して、それぞれ1つの設定用ドット62が形成されてもよい。
具体的には、設定用ドット62は、記録用紙Pの左右両端に交互に配置され、搬送方向にそれぞれ3つ置きの列をなす。例えば、搬送方向について、下流端のドット列63は、左端に1つの設定用ドット62を有する。1つ上流側のドット列63では、設定用ドット62が無い。2つ上流側のドット列63では、右端に1つの設定用ドット62を有する。3つ上流側のドット列63では、設定用ドット62が無い。さらに上流側に向かって、これら4つの形態が、順に繰り返される。この場合、設定用ドット62に対して、その視認性が低くなるので、全体的な画品質の向上が期待できる。これは、搬送方向について、設定用ドット62の長さと、解像度に対応した搬送の単位距離とが、等しいか、ごく近い場合に効果的である。
制御装置50は、記録用紙Pへの画像の記録が完了するまで(S105:NO)、第2記録処理を継続する。そして、記録用紙Pへの画像の記録が完了したときに(S105:YES)、制御装置50は、第2記録処理を終了させ(S106)、排紙処理を実行して(S107)、処理を終了する。排紙処理では、制御装置50は、搬送モータ56を制御して、排紙トレイ(不図示)に向けて記録用紙Pを排出させる。
ここで、上述したように画像の記録を行う場合、記録用紙Pは、後端が搬送ローラ11を抜けるまでは、図1に示すように、搬送ローラ11と排紙ローラ12の両方によって搬送され(以下、この状態を「第1搬送状態」とすることがある)、後端が搬送ローラ11を抜けた後では、図6に示すように、排紙ローラ12のみで搬送される(以下、この状態を「第2搬送状態」とすることがある)。搬送ローラ11と排紙ローラ12とには、製造誤差によりサイズや真円度に違いがある。そのため、第1搬送状態と第2搬送状態とでは、搬送量に違いが生じる。常にエンコーダ出力に同期して記録を行わせると、第1搬送状態で記録される画像と、第2搬送状態で記録される画像とに搬送方向のずれが生じ、画質が低下することになる。
そこで、第1実施形態では、第1搬送状態において、ロータリーエンコーダ57からの信号に同期した全てのタイミングで、インクジェットヘッド13が記録を行う。このとき、搬送ローラ11が、記録用紙Pを搬送する。搬送ローラ11が単位の回転量だけ回転すると、ロータリーエンコーダ57から信号が出力される。各ドット61、62の形成は、このエンコーダ出力に同期して行われるので、搬送方向について、ドット間の距離は、搬送ローラ11の単位回転量に対応したもの(所定の単位距離)となる。
一方、第2搬送状態にあるときには、スキャナ14が設定用ドット62を検出する。インクジェットヘッド13は、この検出信号に基づくタイミングでに記録する。設定用ドット62は、解像度に対応した搬送の単位距離毎に、搬送方向に形成されている。記録用紙Pがこの単位距離だけ搬送される度に、スキャナ14は、設定用ドット62を検出し、タイミング用信号を出力する。画像用ドット61は、この信号に基づいて形成される。そのため、搬送方向のドット間距離は、この単位距離に相当している。
これらのことから、第1実施形態では、第1搬送状態及び第2搬送状態のいずれにおいても、正確なタイミングでインクジェットヘッド13に記録を行わせることができる。このタイミングはいずれの搬送状態においても、搬送の単位距離と密接に関連している。したがって、第1実施形態では、第1搬送状態で記録される画像と、第2搬送状態で記録される画像とが、搬送方向にずれるのを防止できる。
また、第1実施形態では、第2記録処理において、設定用ドット62が検出される状態から検出されない状態に切り換わるタイミング、及び、設定用ドット62が検出されない状態から検出される状態に切り換わるタイミングに応じたタイミングでインクジェットヘッド13に記録を行わせる。これにより、記録用紙Pの搬送量に応じた適切なタイミングでインクジェットヘッド13に記録を行わせることができる。
また、第1実施形態では、設定用ドット62のサイズを、搬送方向において、記録される画像の解像度に対応した記録用紙Pの単位搬送距離よりも小さいものとすることで、追加ドット71を視認されにくくすることができる。
なお、搬送方向について、設定用ドット62の長さが、搬送の単位距離とほぼ等しければ、ドット列63として、設定用ドット62を含む列と、これを含まない列とを、交互に配置してもよい。設定用ドット62を含むドット列63だけに注目すると、走査方向について、一方側に設定用ドット62がある列と、他方側にある列とが、搬送方向に交互に配置される。このとき、走査方向の片側では、設定用ドット62が、搬送方向に3つ置きに並ぶことになり、その視認性は低い。
スキャナ14が設定用ドット62を検出した信号は、記録用紙Pの実際の搬送量と正確に対応している。そこで、記録用紙Pの後端が搬送ローラ11を抜ける前であっても、先端がスキャナ14に到達した後は、スキャナ14からの検出信号に応じたタイミングで、インクジェットヘッド13に記録を行わせることも考えられる。ここで、エンコーダ同期で記録する場合、ロータリーエンコーダ57(搬送ローラ11の回転軸)が単位回転量だけ回転する毎に、インク滴が吐出される。形成されるドットの中心位置は、ロータリーエンコーダ57の単位回転量と対応する。設定用ドット62の中心位置も、この単位回転量に対応している。しかし、スキャナ14は、記録された設定用ドット62を検出する。その検出位置は、設定用ドット62の中心ではなく、搬送方向の端である。ドットの形状は、形成時の条件(用紙種、湿度、インク粘度等)で変化する。そのため、端の位置(検出位置)が、ドットの中心位置や目標着弾位置に対して、多少揺らぐ。スキャナ14の出力に同期する場合、この揺らぎの影響が各ドット61、62の中心位置に現れる。そこで、第1実施形態では、記録用紙Pの後端が搬送ローラ11を抜けるまでは、ロータリーエンコーダ57からの信号に同期した全てのタイミングでインクジェットヘッド13に記録を行わせている。
なお、上述のいずれの場合も、記録用紙Pの後端位置に係わらず、常時エンコーダ同期で形成された画像に比べれば、上質な画像が得られることは言うまでも無い。
また、記録用紙Pの後端は、搬送ローラ11を抜けた後、距離L1だけ搬送されると、、インクジェットヘッド13に対向する。これに対して、第1記録処理で形成された最後の設定用ドット62は、その形成直後から、距離L2だけ搬送されるとスキャナ14に対向する。第1実施形態では、距離L1が、距離L2以下である。したがって、記録用紙Pの後端がインクジェットヘッド13と対向するタイミング又はこれよりも後のタイミングで、最後の設定用ドット62がスキャナ14と対向することになる。ところで、第2記録処理では、記録のタイミングが、スキャナ14の出力に同期している。スキャナ14の検出対象は、設定用ドット62であって、第1記録処理で形成されたものである。これにより、第2記録処理において、記録用紙Pの実際の搬送量に応じた適切なタイミングで、インクジェットヘッド13に記録を行わせることができる。
なお、第1実施形態と異なり、距離L1が距離L2よりも長い場合でも、第2記録処理時に、設定用ドット62を形成しておけばよい。その形成範囲(搬送方向の距離)は、2つの距離L1、L2が、少なくともL1≦L2の大小関係を満たすところまででよく、画像の記録領域全域に沿っていても良い。この第2記録処理では、その記録途中で、スキャナ14の検出対象が、第1記録処理時の設定用ドット62(エンコーダ同期製ドット)から第2記録処理時の設定用ドット62(スキャナ同期製ドット)に切り替わることになる。この場合には、第1実施の形態の場合と比較すると、第2記録処理での、インクジェットヘッド13の記録のタイミングの精度が若干悪くなる虞がある。
なお、この場合も、記録用紙Pの後端位置に係わらず、常時エンコーダ同期で形成された画像に比べれば、上質な画像が得られることは言うまでも無い。
また、インクジェットヘッド13は、ラインヘッドである。縁なし印刷を除いて、端部のノズル10は使用されず、ノズル10内のインクが増粘しやすい。そこで、第1実施形態では、端部のノズル10で設定用ドット62が記録される。これにより、走査方向の位置によらず、ノズル10内のインクを増粘しにくくすることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の好適な第2実施形態について、図7、図8を用いて説明する。第2実施形態では、記録時の制御が第1実施形態と異なる。
まず、制御装置50は、設定用ドットデータ生成処理を実行する(S401)。設定用ドットデータ生成処理では、設定用ドット62の記録を支持する設定用ドットデータが生成される。より詳細に説明すると、制御装置50は、画像データが入力されると、これに基づいて設定用ドットデータを生成する。図8に示すように、各ドット列63について、それぞれ1つの設定用ドット62の位置が設定される。このとき、設定用ドット62の位置は、停止状態にあるノズル10の位置から選ばれる。このノズル10は、所定時間以上、インクを吐出しない。この条件に合うノズル10がない場合、画像用ドット61を形成しないノズル10とされる。この設定用ドットデータは、画像データとマージされ、印刷データとなる。インクジェットヘッド13は、印刷データに基づいて、駆動されることになる。いずれの場合も、形成される設定用ドット62は、別のドット61、62に隣接していない。
そして、第2実施形態では、S401の設定用データ生成処理の後、S101〜S107と同様のS402〜S408の処理によって、記録用紙Pへの画像形成を行わせる。ただし、第1記録処理では、印刷データに基づいてインクを吐出して、各ドット61、62が形成される。このとき、設定用ドット62の位置は、画像用ドット61が配置され得る位置でもある。そこで、設定用ドット62は、画像用ドット61と異なるサイズにしてある。サイズは、画像用ドット61よりも小さい。これにより、スキャナ14は、両ドット61、62を識別可能としている。
変形例として、設定用ドット62の識別には、設定用ドットデータを転用してもよい。設定用ドットデータは、印刷データの生成の他に、スキャナ14による検出位置(設定用ドット62の位置)の特定に用いられる。設定用ドットデータ生成処理(S401相当)では、設定用ドットデータ自体の記憶も行われる。第1記録処理(S403相当)では、印刷データに基づいて、各ドット61、62が形成される。第2記録処理(S405相当)では、制御装置50が、設定用ドットデータを参照し、検出すべき位置を予め特定する。この特定位置において、スキャナ14からの検出信号があれば、これがタイミング信号となる。
停止状態が長期間継続すると、ノズル10内でインクが増粘する。また、停止状態となるノズル10は、記録される画像によって変わる。そこで、第2実施形態では、画像データに基づいて、所定期間以上停止状態となるノズル10からインクを吐出させて、設定用ドット62を記録させる。これにより、ノズル10内のインクを増粘しにくくできる。また、設定用ドット62のサイズは、画像用ドット61より小さい。そのため、設定用ドット62は、視認性が低い。
[第3実施形態]
次に、本発明の好適な第3実施形態について説明する。第3実施形態では、記録時の制御が、第1、第2実施形態と異なる。以下では、主に、記録時の制御について説明する。
まず、制御装置50は、追加ドットデータ生成処理を実行する(S501)。追加ドットデータ生成処理では、画像データに基づいて、追加ドット71の記録を支持する追加ドットデータが生成される。
より詳細に説明する。第3実施形態では、例えば、搬送方向の下流側に位置するドット列63から順に、1つ上流側のドット列63と、画像用ドット61のドット配列が比較される。図10(a)に示すように、2つのドット列63の間で、画像用ドット61のドット配列が同じ場合には、下流側のドット列63に対して、1つの追加ドット71が設定される。図10(b)に示すように2つの列間で、画像用ドット61のドット配列が異なる場合には、追加ドット71の設定はない。このようにして得られた追加ドットデータは、画像データとマージされ、印刷データとなる。インクジェットヘッド13は、印刷データに基づいて、駆動されることになる。各追加ドット71は、いずれの方向に関しても、別のドット61、71と隣接していない。
なお、図10(a)では、1つのドット列63に対して、1つの追加ドット71が記録される場合を示しているが、2以上の追加ドット71が記録されてもよい。また、図10(a)、(b)では、2つのドット列63のドット配列が同じか否かが、ドットの配置形態の違いとして示されているが、これには限られない。ドットの配置形態が同じであっても、これを構成するドットの配色が異なる場合には、2つのドット列63はドット配列が異なると判断してもよい。
そして、S501の追加ドットデータ生成処理の後、制御装置50は、S101〜S107と同様の、S502〜S508の処理を実行し、記録用紙Pへの画像の記録を行う。
ただし、第1記録処理において、印刷データに基づいて、追加ドット71が記録される。このとき、追加ドット71のサイズは、画像の解像度に対応した記録用紙Pの単位搬送量よりも小さい。具体的には、搬送方向の記録密度が600dpiの場合には、追加ドット71のサイズは42μm未満が好ましく、搬送方向の記録密度が1200dpiの場合には、21μm未満が好ましい。例えば、追加ドット71は、搬送方向において、最小の画像用ドット61よりもサイズが小さいものとなっている。
また、第2記録処理において、スキャナ14は、ドットが検出される状態と検出されない状態とが切り換わるときや、検出されるドットの色が切り換わるとき、検出信号を出力する。この検出信号により、記録のタイミングが設定される。
第3実施形態では、追加ドット71が加わることで、少なくとも隣接のドット列63間で、ドットの並びが異なる。得られる検出信号は、ドット列63間で識別可能なものとなる。したがって、スキャナ14から出力される検出信号に応じて設定したタイミングでインクジェットヘッド13に記録を行わせることにより、記録用紙Pの適切な位置に画像を記録させることができる。
また、追加ドット71は、他のドットと走査方向及び搬送方向に隣接しない。スキャナ14は、サイズの小さい追加ドット71であっても、確実に検出することができる。
さらに、追加ドット71のサイズは、搬送方向において、画像の解像度に対応した単位搬送距離よりも小さくすることで、追加ドット71を視認されにくくできる。
ここで、第1〜第3実施形態では、設定用ドット62や追加ドット71を、画像ドットより小さいドットにして、視認されにくくしているが、これらの数が多くなるど、視認されやすくなる。ところで、第3実施形態では、隣接のドット列63間で、ドット配列が異なると、スキャナ14からの検出信号も異なる。新たに検出信号が出力される度に、記録のタイミングが設定される。ここで、検出信号の違いは、ドット配列で決まる。ドット配列の違いは、画像用ドット61だけでも実現され、ドット列63に追加ドット71は配置されない。同じドット配列が続くときにのみ、追加ドット71が配置される。これにより、必要な追加ドット71の数は、第1、第2実施形態で必要な設定用ドット62の数と比較して、少なくて済む。これにより、第3実施形態では、追加ドット71がより視認されにくい。
[第4実施形態]
次に、本発明の好適な第4実施形態について、図11及び図12を用いて説明する。第4実施形態では、記録時の制御が第1〜第3実施形態と異なるだけである。以下では、主に、記録時の制御について説明する。
第4実施形態では、制御装置50は、第1実施形態のS101、S102と同様にS601、S602の処理を実行する。そして、図12(a)に示すように、記録用紙Pの先端が、スキャナ14に到達するまでは(S603:NO)、第1記録処理が継続される。図12(b)に示すように、記録用紙Pの先端がスキャナ14に到達すると(S603:YES)、第1記録処理から第3記録処理に移行する(S604)。そして、記録用紙Pの後端が搬送ローラ11を抜けるまで(S605:NO)、第3記録処理が継続する。記録用紙Pが搬送ローラ11を抜けたとき(S605:YES)、第3記録処理が終了して、第2処理に移行する(S606)。そして、以下、第1実施形態のS105〜S107と同様のS607〜S609の処理を実行する。
第3記録処理について説明する。第3記録処理では、記録のタイミングが、エンコーダ出力及びスキャナ出力により、設定される。タイミングの設定は、両出力の選択的採用による。つまり、ロータリーエンコーダ7からの信号(エンコーダ出力)に同期した全てのタイミング、及び、スキャナ14からの信号(スキャナ出力)に対応したタイミングのうち、いずれかで記録が進む。このとき、記録用紙Pの後端が搬送ローラ11に近づくほど、スキャナ14からの信号に対応したタイミングが多く採用される。なお、本実施の形態が、第1・第2実施形態に相当する構成を有する場合、第1・第3記録処理時に、画像用ドット61に加えて設定用ドット62が形成される。スキャナ14は、設定用ドット62を検出する。本実施の形態が、第3実施形態に相当する構成を有する場合、第1・第3記録処理時に、画像用ドット61に加えて追加ドット71が形成される。スキャナ14は、画像用ドット61及び追加ドット71(ドット列63)を検出する。
第1実施形態で説明したように、エンコーダ出力に同期したタイミングと、スキャナ出力に同期したタイミングとには若干の差が生じることがある。そのため、記録用紙Pが搬送ローラ11を抜けたときに、記録処理が第2記録処理に切り換わると、その前後で記録される画像に搬送方向のずれが生じる虞がある。
そこで、第4実施形態では、記録用紙Pの後端が搬送ローラ11の上流側にあり、且つ、記録用紙Pがスキャナ14と対向しているときには、上述したような第3記録処理によって、記録用紙Pへの画像の記録を行わせる。これにより、記録用紙Pが搬送ローラ11を抜ける前後で、得られる画像の間で、搬送方向のずれの影響を目立ちにくくできる。
[第5実施形態]
次に、本発明の好適な第5実施形態について説明する。第5実施形態では、第4実施形態と同様、記録用紙Pの位置に応じて、第1〜第3記録処理を実行する。ただし、第4実施形態とは異なり、第3記録処理において、記録用紙Pの搬送量が算出される。算出した搬送量に基づいて、インクジェットヘッド13による記録のタイミングが決定される。
より詳細に説明すると、第5実施形態では、第1記録処理に際して、エンコーダ出力に同期して、インクジェットヘッド13が駆動される。第2記録処理に際しては、スキャナ出力に同期して、インクジェットヘッド13が駆動される。そして、記憶装置(不図示)には、予め求められた記録用紙Pの搬送量H1、H2(図14参照)が記憶されている。このうち、搬送量H1は、第1記録処理での単位の搬送距離で、ロータリーエンコーダ57からの同期信号間で搬送される距離である。搬送量H2は、第2記録処理での単位の搬送距離で、スキャナ14からの同期信号間で搬送される距離である。
また、第3記録処理の際には、エンコーダ出力に基づく搬送量H1と、スキャナ出力に基づく搬送量H2とから、搬送量H3が算出される。搬送量H3の算出は、例えば、下記の関係式が用いられる。そして、搬送量H3に応じたタイミングでインクジェットヘッド13に記録を行わせる。
ここで、a[c]は、0≦a[c]≦1の関係を満たす。記号cは、ロータリーエンコーダ57からの出力回数である。記録用紙Pの後端が搬送ローラ11に近づくほど、出力回数cは大きくなり、係数a[c]は小さくなる。第3記録処理では、記録用紙Pの搬送が進むと、搬送量H3に対して搬送量H2が寄与する割合が大きくなる。
なお、記憶された搬送量H1、H2は、固定値であるが、初期値として用いてもよい。このとき、記録用紙P毎に平均的な搬送量H1、H2が求められる。その都度、搬送量H1、H2は、更新されることになる。
ここで、本実施形態について、変形例を説明する。上述の例では、搬送量H1、H2が、固定値又は初期値として、予め記憶されていた。これに対して、この変形例では、第3記録処理において、毎回搬送量H1、H2算出され、初期値として設定される。
第3記録処理が始まると、スキャナ14は、記録用紙P上のドットを検出して、信号を出力する。制御装置50は、最初と2番目の信号から、搬送量H2を算出する。さらに、制御装置50は、この2つの信号に対応して、2つのエンコーダ出力から搬送量H1を算出する。このとき、搬送量算出用のエンコーダ出力は、搬送量算出用のスキャナ出力と出力タイミングの近いものが採用される。以後の動作手順は、第5実施形態と同様である。本変形例では、第3記録処理において、最初の2つのドットは、エンコーダ出力に同期して形成される。3番目のドットから、エンコーダ出力及びスキャナ出力に基づいて、その記録タイミングが設定される。
エンコーダ出力に基づく搬送量H1と、スキャナ出力に基づく搬送量H2には、若干の差が生じることがある。そのため、記録用紙Pが搬送ローラ11を抜けたときに、第1記録処理から第2記録処理に切り換えると、その前後で、記録される画像の位置関係に、搬送方向のずれが若干生じる虞がある。
そこで、第5実施形態では、記録用紙Pの後端が搬送ローラ11よりも上流側に位置し、且つ、記録用紙Pがスキャナ14と対向しているときには、搬送量H3に基づいて第3記録処理が行われる。搬送量H3は、2つの搬送量H1、H2から算出され、第3記録処理において記録タイミングの設定に用いられる。このとき、記録用紙Pの後端が搬送ローラ11に近づくほど、算出される搬送量H3に対して搬送量H2が寄与する割合が大きくなる。これにより、記録用紙Pが搬送ローラ11を抜ける前後で記録される画像の位置関係に、搬送方向のずれが目立ちにくくなる。
[参考形態]
次に、本発明の参考形態について、図14を用いて説明する。参考形態では、例えば、製造時等、プリンタ1(図1参照)において画像の記録を行うよりも前の段階において、図14(a)に示すように、検査用画像読取処理が行われる(S701)。制御装置50は、搬送モータ56を制御して、検査用の記録用紙Pを搬送する。この記録用紙Pには、所定の検査用画像が予め記録されている。2つのローラ11、12による搬送中、ロータリーエンコーダ57及びスキャナ14からの出力が検出される。この検査用画像は、例えば、搬送方向に沿って複数のドットが並ぶ画像である。また、この検査用画像は、プリンタ1とは別のプリンタなどによって記録された、複数のドットの搬送方向の間隔が正確な画像である。
続いて、制御装置50は、ズレ情報取得処理を実行する(S702)。ズレ情報取得処理では、)同一の検査用画像ドットに対して、スキャナ出力とエンコーダ出力の検出タイミング差(時間差)が取得される。この時間差情報(ズレ情報)が、EEPROM54に記憶される。ズレ情報は、検査用画像ドット毎に記憶されている。エンコーダ出力毎に、記録のタイミングが、このズレ情報で修正されることになる。複数の記録モードがあれば、搬送速度毎にズレ情報が取得されている。
なお、ズレ情報は、記録用紙Pが搬送ローラ11を抜ける前後について、それぞれの平均的な時間差情報として記憶されていても良い。この場合、記憶装置の小型化が期待できる。さらに、ズレ情報は、用紙種によりドットのにじみ量が異なることより、用紙種毎に取得されていてもよい。
そして、参考形態では、画像記録の際に、図14(b)に示すように、制御装置50は、S101と同様に給紙処理を行う(S801)。その後、記録処理が実行される(S802)。記録処理の完了後、S107と同様に排紙処理(S803)が実行され、処理が終了する。
S802の記録処理では、制御装置50は、搬送モータ56を制御して、ローラ11、12に記録用紙Pを搬送方向に搬送させつつ、インクジェットヘッド13を制御して、記録を行わせる。このとき、ロータリーエンコーダ57からの信号に同期したタイミングが、上記ズレ情報に基づいてずらされる。
第1実施形態で説明したように、搬送ローラ11と排紙ローラ12との真円度の違いなどから、記録用紙Pが搬送ローラ11と排紙ローラ12の両方によって搬送されているときと、排紙ローラ12によってのみ搬送されているときとで、ロータリーエンコーダ57から信号出力される毎の記録用紙Pの搬送量に差が生じることがある。
そこで、参考形態では、予め、検査用画像から求めたズレ情報で、エンコーダ出力がドット毎に補正される。補正されたエンコーダ出力に同期して、記録のタイミングが設定される。ズレ情報は、検査用画像から求められ、検査対象のドットに対して、スキャナ出力とエンコーダ出力の時間差に相当している。これにより、記録用紙Pの実際の搬送量に応じた適切なタイミングで、インクジェットヘッド13に記録を行わせることができる。
次に、第1〜第5実施形態及び参考形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。
第1実施形態では、ノズル列9を形成する複数のノズル10のうち、記録用紙Pの両端部に対向するノズル10で設定用ドット62を記録させたが、これには限られない。例えば、複数のノズル10のうち、片方の端部に対向するノズル10で設定用ドット62を記録させてもよい。
また、第2実施形態では、停止状態が所定時間継続しているノズル10が、設定用ドット62を記録した。このようなノズル10がなければ、それ以外のノズル10が設定用ドット62を記録したが、これには限られない。例えば、停止状態が所定時間継続しているか否かに関係なく、設定用ドット62の記録用ノズル10をランダムに決定してもよい。
また、第3実施形態では、追加ドット71を、他のドットと走査方向及び搬送方向のいずれにも隣接しないように記録させたが、これには限られない。追加ドット71を、他のドットと走査方向又は搬送方向に隣接するように記録させてもよい。
また、第3実施形態では、あるドット列63と、このドット列63の搬送方向の上流側に隣接する別のドット列63とで、ドット配列が同じである場合に、上記あるドット列63(搬送方向の下流側のドット列63)に対して追加ドット71に加えたが、これには限られない。例えば、上記別のドット列63に追加ドット71を加えるようにしてもよい。あるいは、これら2列のドット列63の両方に追加ドット71を加えるようにしてもよい。ただし、この場合には、2つのドット列63の間で、追加ドット71の位置を走査方向にずらす必要がある。
また、第4実施形態では、第3記録処理において、記録用紙Pが搬送方向の下流側に搬送されるほど、ロータリーエンコーダ57からの信号に同期したタイミングと、スキャナ14から出力される検出信号に応じて設定されるタイミングのうち、後者のタイミングを多く採用するようにしたが、これには限られない。例えば、第4実施形態の第3記録処理において、記録用紙Pの搬送方向の位置によらず、ロータリーエンコーダ57からの信号に同期したタイミングと、スキャナ14から出力される検出信号に応じて設定されるタイミングを、一定の割合(例えばいずれも50%)で採用してもよい。
また、第5実施形態では、第3記録処理において搬送量H3を算出する際に、記録用紙Pが搬送方向の下流側に搬送されるほど、係数a[c]を小さくすることで、搬送量H3に対する搬送量H2の寄与度が大きくなるようにしたが、これには限られない。例えば、第3記録処理において搬送量H3を算出する際に、記録用紙Pの搬送方向の位置によらず、係数a[c]を一定の値(例えば0.5)としてもよい。
また、記録用紙Pの後端が搬送ローラ11よりも上流側に位置し、且つ、記録用紙Pがスキャナ14と対向しているときの、インクジェットヘッド13による記録のタイミングを決定するために、第1〜第3実施形態では、ロータリーエンコーダ57からの信号のみを用い、第4、第5実施形態では、ロータリーエンコーダ57からの信号及びスキャナ14によるドットの検出結果を用いたが、これには限られない。記録用紙Pの後端が搬送ローラ11よりも上流側に位置し、且つ、記録用紙Pがスキャナ14と対向しているときに、スキャナ14によるドットの検出結果のみを用いて、インクジェットヘッド13による記録のタイミングを決定してもよい。
また、参考形態では、スキャナ14が、搬送方向において、インクジェットヘッド13と排紙ローラ12との間に配置されていたが、これには限られない。参考形態では、スキャナ14は、第1搬送ローラ11とインクジェットヘッド13との間に配置されていてもよい。
第1〜第5実施形態では、設定用ドット62及び追加ドット71のサイズは、搬送方向における記録される画像の解像度に対応した記録用紙Pの単位搬送距離未満であったが、これには限られない。これらのドットのサイズは、視認されにくい範囲であれば、搬送方向における記録される画像の解像度に対応した記録用紙Pの単位搬送距離以上であってもよい。
また、第1〜第5実施形態では、用紙端センサ16により、記録用紙Pの後端が検出されてから、ロータリーエンコーダ57から所定回数信号が出力されたことを検出することで、記録用紙Pが搬送ローラ11を抜けたことを検出したが、これには限られない。例えば、用紙端センサ16の代わりに、記録用紙Pの先端を検出するためのセンサが設けられていてもよい。この場合でも、記録用紙Pへの記録時には、通常、記録用紙Pのサイズ(搬送方向の長さ)がわかっているので、上記センサにより記録用紙Pの先端が検出されてから、ロータリーエンコーダ57から所定回数信号が出力されたことを検出することで、記録用紙Pの後端が搬送ローラ11を抜けたことを検出することができる。
また、例えば、第1実施形態のように、設定用ドット62が記録用紙P上の特定の位置にのみ記録される場合には、スキャナ14は、走査方向に記録用紙Pの全長にわたって延びたラインスキャナであることには限られず、走査方向において、記録用紙Pの設定用ドット62が記録される一部の領域のみと対向するものであってもよい。
また、第1〜第5実施形態では、搬送方向において、搬送ローラ11とインクジェットヘッド13との距離L1が、インクジェットヘッド13とスキャナ14との距離L2以下となっていたが、これには限られない。距離L1は距離L2よりも長くてもよい。なお、この場合には、第1実施形態で説明したように、第2記録処理においても、設定用ドット62を記録させ、記録用紙Pの搬送方向の上流側の端部を含む領域に記録を行わせる際に、スキャナ14による第2記録処理で記録させた設定用ドット62の検出結果に応じたタイミングでインクジェットヘッド13に記録を行わせる。
また、第1〜第5実施形態及び参考形態では、搬送方向において、スキャナ14が、インクジェットヘッド13と排紙ローラ12との間に配置されていてが、これには限られない。搬送方向において、スキャナ14は、排紙ローラ12よりも下流側に配置されていてもよい。
以上の実施形態では、図1に示すように、用紙端センサ16が、搬送ローラ11の上流側近傍に配置されている。しかし、用紙端センサ16は、搬送ローラ11の下流側近傍にあってもよい。配置位置に関して、前者の場合、記録用紙Pの先端は、用紙端センサ16で検出後、搬送ローラ11に挟まれる。後者の場合、この順番が逆である。そのため、用紙端センサ16と搬送ローラ11間の搬送は、前者ではエンコーダ出力と無関係であり、後者では関係がある。後者は、前者に比べて、より所望の位置から記録を開始できる。また、第1記録処理の際は、上述の構成と同様に、記録用紙Pの後端が搬送ローラ11を抜けるまでとしてよい。搬送ローラ11−用紙端センサ16間距離は、予め決められているので、先端検出後のエンコーダ出力の計数により、その瞬間は正確に設定できる。
また、以上では、ノズルからインクを吐出させて記録用紙Pに記録を行うインクジェットプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。例えばサーマルヘッドなど、インクジェットヘッド以外の記録ヘッドを備えた記録装置に本発明を適用することも可能である。