JP6899467B2 - 立坑掘削装置 - Google Patents

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Description

本発明は、立坑掘削装置に関する。
ビル等の建設現場では、地中深く掘削した立坑内にコンクリート等を流し込むことによ
り地盤を固める作業が行われる。地中に立坑を掘削する作業にはアースドリルが用いられ
る。
立坑の掘削作業時には、通常、安定液と呼ばれる液体を立坑内に注入し、この安定液に
よって掘削した立坑の内壁が崩れ落ちるのを防止する。このため、立坑内は安定液、地下
水等が混じり合った泥水が充満しており、掘削深度が大きくなったときには、掘削バケッ
トのみならず、ワイヤロープ等も泥水内に水没する。したがって、掘削バケット内の土砂
を排出するため、ウインチによってワイヤロープを巻き取って掘削バケットを地面上に引
き上げるときに、泥水に浸かったロープがブーム先端のシーブに巻き込まれることになる
ワイヤロープがシーブに巻き込まれるときにワイヤロープに付着した泥水が地上に向け
て落下するのを抑えるために、シーブの下側に、泥水が流入する流入開口を有する有底の
泥水受けを設けたアースドリルが知られている(特許文献1参照)。
特開2002−349175号公報
ワイヤロープに付着した泥水は、シーブの回転の遠心力によりシーブの接線方向に飛散
する。このため、アースドリルの周囲に密集して構造物がある建設現場などで作業を行う
場合、ワイヤロープから飛散した泥水が周囲の構造物に付着してしまうおそれがある。上
述した特許文献1には、ワイヤロープに付着した泥水が地上に落下することを防止する構
成についての記載はあるが、シーブの回転の遠心力によって泥水が飛散することを防止す
る構成についての記載はない。
本発明の一態様による立坑掘削装置は、ウインチを備えた自走可能な車体と、基端側が前記車体に取り付けられたブームと、前記ブームの先端側に回転可能に設けられた1以上のシーブと、前記ウインチに巻回されたロープと、前記シーブを介して前記ロープに回転可能に吊り下げられた掘削具とを備え、前記掘削具を用いて立杭を掘削する立坑掘削装置において、前記ウインチにより前記ロープを巻き取る際に、泥水を受けるカバーが設けられた飛散防止装置を備え、前記カバーは、前記シーブの径方向外方において、前記シーブに接触する前記ロープの円弧状部の前記ウインチ側の端部と前記シーブの回転中心とを通る直線の位置から、前記掘削具側に延在する第1覆い部と、前記ウインチ側に延在する第2覆い部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、シーブの回転の遠心力によって飛散した泥水が、周囲の構造物に付着
することを防止できる。
アースドリルの外観側面図。 立坑の掘削作業時の様子を説明する図。 ブームの先端部を示す斜視図。 飛散防止装置の構成を示す斜視図。 飛散防止装置を側方から見た側面図。 飛散防止装置を上方から見た平面図。 飛散防止装置の分解斜視図。 飛散防止装置のカバーによる泥水の飛散防止領域について説明する図。 主巻ロープの取り付け/取り外しの際の飛散防止装置の動作について説明する斜視図。 主巻ロープの取り付け/取り外しの際の飛散防止装置の動作について説明する側面図。 変形例に係るアースドリルの飛散防止装置を示す模式図。
以下、図面を参照して、本発明に係るアースドリルの一実施の形態について説明する。
図1は本実施の形態に係るアースドリルの外観側面図である。なお、以下では、図示する
ように、図1の姿勢を基準にアースドリル1の上下および前後左右方向を定義する。アー
スドリル1はクレーンをベースマシンとしている。
アースドリル1は、クローラ式の下部走行体2と、旋回輪を介して下部走行体2上に旋
回可能に設けられた上部旋回体4と、基端側が上部旋回体4に回動可能に取り付けられた
ブーム7と、基端側が上部旋回体4に回動可能に取り付けられたフロントフレーム18と
、フロントフレーム18に取り付けられたケリードライブ装置30と、ケリーバ14と、
を備えている。上部旋回体4には、油圧源や電源、エンジン等を備えた機械室5や、オペ
レータが着座する運転席や操作装置等を備えた運転室6が設けられている。上部旋回体4
と下部走行体2は、自走可能な車体を構成している。
上部旋回体4には、ブーム7を起伏させる油圧シリンダ8や、主巻ロープ16aが巻回
された主巻ウインチ10a、補巻ロープ16bが巻回された補巻ウインチ10bが搭載さ
れている。主巻ロープ16aは、巻上用のワイヤロープであり、一端側が主巻ウインチ1
0aに巻回され、他端側がブーム7の先端側に回転可能に設けられた1以上のシーブを介
してケリーバ14に接続される。ケリーバ14は、シーブを介して主巻ロープ16aに回
転可能に吊り下げられている。ケリーバ14は、ケリードライブ装置30に貫装され、ケ
リードライブ装置30によって回転駆動される。
補巻ロープ16bは、巻上用のワイヤロープであり、ブーム7の先端に設けられた複数
のシーブを介してフックに接続される。主巻ウインチ10aおよび補巻ウインチ10bは
、それぞれ巻上用のウインチ装置であり、ワイヤロープが巻回されるドラムと、ドラムを
回転させる油圧モータを備えている。
フロントフレーム18は、フロントフレーム18とブーム7との間に設けられた左右一
対の油圧シリンダ20の伸縮駆動により、起伏する。フロントフレーム18の先端部には
、ケリードライブ装置30を支持する上フレーム22が回動可能に接続されている。上フ
レーム22は、油圧シリンダ24の伸縮駆動により、回動する。
ケリードライブ装置30の回転部30aには駆動孔が上下に貫通して設けられている。
駆動孔には、伸縮式のケリーバ14が上下動自在に、かつ相対回転不能に貫挿されている
。ケリーバ14はサイズの異なる複数の円筒状のケリーバを伸縮自在に、かつ相対回転不
能に嵌合してなり、たとえば3段式、4段式、5段式等に構成される。
最も内側のインナケリーバの下端には、アダプタ11を介して掘削バケット15が着脱
可能に取り付けられており、ケリーバ14が回転することによって地面が掘削される。最
も内側のインナケリーバには、回転継手であるスイベルジョイント13を介して、主巻ロ
ープ16aが接続されている。なお、主巻ロープ16aの先端にはシンブル19が設けら
れており、シンブル19にスイベルジョイント13が接続されている。複数段のケリーバ
14が最伸長状態になると、主巻ロープ16aは複数段のケリーバ14の内側を通って最
下段のインナケリーバまで延在している(図2参照)。
図2は、立坑の掘削作業時の様子を説明する図である。図2に示すように、立坑の掘削
作業時には、通常、安定液と呼ばれる液体を立坑内に注入し、この安定液によって掘削し
た立坑の内壁が崩れ落ちるのを防止する。なお、安定液の主材には、ベントナイトが使用
されている。このため、立坑内は安定液、地下水等が混じり合った泥水95が充満してお
り、掘削深度が大きくなったときには、掘削バケット15のみならず、スイベルジョイン
ト13や主巻ロープ16a等も泥水95内に水没する。したがって、掘削バケット内の土
砂を排出するため、主巻ウインチ10aによって主巻ロープ16aを巻き取って掘削バケ
ット15を地面上に引き上げるときに、泥水95に浸かった主巻ロープ16aがブーム7
の先端に設けられたシーブに巻き込まれることになる。主巻ロープ16aに付着した泥水
は、シーブの回転の遠心力によりシーブの接線方向に飛散する。このため、なんら対策を
施していないと、周囲に密集して構造物90がある建設現場などで作業を行う場合、主巻
ロープ16aから飛散した泥水が周囲の構造物90に付着してしまうおそれがある。
そこで、本実施の形態では、主巻ウインチ10aにより主巻ロープ16aを巻き取る際
に、シーブ110に巻回された主巻ロープ16aから遠心力により飛散する泥水を受ける
カバー161が設けられた飛散防止装置160を備えるようにした。以下、飛散防止装置
160の構成について詳しく説明する。
図3はブームの先端部を示す斜視図であり、図4は図3に示すブームおよびシーブ支持
板の図示を省略した図であり、飛散防止装置の構成を示す斜視図である。図5は飛散防止
装置を側方から見た側面図であり、図6は飛散防止装置を上方から見た平面図である。図
中、飛散防止装置160および主巻ロープ16aについては実線または破線で示し、その
他の構成は二点鎖線で示している。図7は、飛散防止装置の分解斜視図である。
図3および図6に示すように、ブーム7の先端には、左右一対のシーブ支持板132が
設けられている。左右一対のシーブ支持板132には、ショートジブ131が取り付けら
れている。ショートジブ131の先端には、補助シーブ114が軸支されている。
左右一対のシーブ支持板132には、左右方向に延在するシャフト181,182が取
り付けられている。シャフト181,182は、それぞれ両端部が一対のシーブ支持板1
32のボス133に固着され、両持ち支持されている。シャフト181は、ガイドシーブ
111,119を回転可能に支持している。シャフト182は、ポイントシーブ112を
含む複数のシーブを回転可能に支持している。ポイントシーブ112はブーム7の腹面側
の略先端に設けられ、ガイドシーブ111,119はブーム7の背面側の略先端に設けら
れている。
図3〜図6に示すように、主巻ロープ16aは、ブーム7の先端部のガイドシーブ11
1およびポイントシーブ112を経由してケリーバ14に接続されている。図1に示すよ
うに、補巻ロープ16bは、ブーム7の先端部のガイドシーブ119および補助シーブ1
14を経由してフックに接続されている。
図7に示すように、飛散防止装置160は、ガイドシーブ111およびポイントシーブ
112のそれぞれに設けられている。ガイドシーブ用の飛散防止装置160Aと、ポイン
トシーブ用の飛散防止装置160Bとは、同様の構成であるので、両者を総称して飛散防
止装置160とも記す。また、説明の便宜上、ガイドシーブ111およびポイントシーブ
112を総称してシーブ110とも記す。飛散防止装置160は、カバー161と、カバ
ー161を回動可能に保持する左右一対の保持部材162と、カバー161をブーム7の
先端側に着脱自在に取り付ける固定バー163と、を備えている。
図6に示すように、シャフト181には、複数のカラー134が装着されている。複数
のカラー134は、円筒状部材であり、シーブ支持板132とガイドシーブ111との間
に配置され、ガイドシーブ111の位置を規制している。同様に、シャフト182には、
複数のカラー134が装着され、ポイントシーブ112の位置を規制している。複数のカ
ラー134のうち、最もシーブ側に位置する左右一対のカラー134aには、それぞれ矩
形長尺状の保持板135が固着されている。
図7に示すように、保持部材162は、カラー134aと保持板135とで構成される
。保持板135の基端部は、上述したようにカラー134aに固着され、保持板135の
先端部には、ピン136が挿入されるピン孔135pが形成されている。カバー161は
、シーブ110の径方向外方を覆う覆い部材である。カバー161は、シーブ110の外
周に設けられた溝に装着された主巻ロープ16aの径方向外方を覆う遮蔽板164と、シ
ーブ110の溝に装着された主巻ロープ16aの左右側方を覆う一対の側板165を有し
ている。カバー161は、遮蔽板164の左右端部のそれぞれに、遮蔽板164に対して
垂直となるように側板165が固着されることで、断面コ字状を呈している。
カバー161の一端側には、ピン136が挿通されるピン挿通孔166が形成されてい
る。ピン挿通孔166は、一対の側板165のそれぞれに形成されている。カバー161
の他端側には、固定バー163が挿通されるバー挿通孔167が形成されている。バー挿
通孔167は、一対の側板165のそれぞれに形成されている。
ピン136が一対の保持部材162のピン孔135p、およびカバー161のピン挿通
孔166に挿通され、ピン136の両端部に止めピン(松葉ピン)が装着されることで、
カバー161が一対の保持部材162により回動可能に保持される。
固定バー163は、図3に示すように、一対のシーブ支持板132に設けられた貫通孔
に挿通され、一対のシーブ支持板132により支持される。固定バー163には、一対の
カラー139が装着されている。一対のカラー139は、円筒状部材であり、シーブ支持
板132とカバー161の側板165との間に配置されている。一対のカラー139でカ
バー161を左右から挟むことで、カバー161の左右方向の位置を規制している。
固定バー163が、一対のシーブ支持板132に設けられた貫通孔、一対のカラー13
9、およびカバー161のバー挿通孔167に挿通され、固定バー163の両端部に止め
ピン(松葉ピン)が装着されることで、カバー161が固定バー163により固定される
。カバー161は、固定バー163およびピン136により保持される。これにより、遮
蔽板164は、シーブ110に巻回される主巻ロープ16aが干渉することが無いように
、所定の距離だけシーブ110から径方向外方に離れた位置で保持される。
なお、固定バー163およびカラー139は、シーブ110のロープ外れ止め用の棒状
部材でもある。固定バー163およびカラー139は、シーブ110に巻回された主巻ロ
ープ16aがシーブ110の溝から脱落することを防止するために設けられ、シーブ11
0の外周縁とカラー139との最短距離が、主巻ロープ16aの直径よりも短くなるよう
に配置されている。
ガイドシーブ111のカバー161Aは、ポイントシーブ112側の一端側が、ガイド
シーブ111のシャフト181に取り付けられた保持部材162に回動可能に取り付けら
れ、他端側が、固定バー163によりブーム7の先端側に着脱自在に取り付けられている
。これに対して、ポイントシーブ112のカバー161Bは、ガイドシーブ111側の一
端側が、ポイントシーブ112のシャフト182に取り付けられた保持部材162に回動
可能に取り付けられ、他端側が、固定バー163によりブーム7の先端側に着脱自在に取
り付けられている。
図8を参照して、ガイドシーブ用の飛散防止装置160Aのカバー161Aによる泥水
の飛散防止領域、および、ポイントシーブ用の飛散防止装置160Bのカバー161Bに
よる泥水の飛散防止領域について説明する。図8は、飛散防止装置のカバーによる泥水の
飛散防止領域について説明する図である。
図8の矢印A,A1,A2,A3で模式的に示すように、主巻ウインチ10aにより主
巻ロープ16aを巻き取る際、シーブ110に巻回された主巻ロープ16aに付着した泥
水は、シーブ110の回転による遠心力により、主巻ロープ16aの円弧状部の接線方向
に飛ぶ。図8においてハッチングで示すように、ガイドシーブ111に接触する主巻ロー
プ16aの円弧状部を円弧状部169aと記し、ポイントシーブ112に接触する主巻ロ
ープ16aの円弧状部を円弧状部169bと記す。なお、以下の説明では、各構成部材に
おいて、主巻ロープ16aに沿う方向において、主巻ウインチ10aに近い側をウインチ
側と記し、ケリーバ14に近い側をケリーバ側と記す。
ケリーバ14(図1参照)からポイントシーブ112に至る移動経路では、主巻ロープ
16aは鉛直上向きで直線状に移動する。ポイントシーブ112に達した主巻ロープ16
aは、進行方向が変更され、円弧状に移動する。この円弧状の移動経路では、円弧状部1
69bに付着している泥水が遠心力により接線方向に飛ぶ(矢印A2,A3参照)。
ポイントシーブ112から離れた主巻ロープ16aは、ガイドシーブ111に向かって
、ポイントシーブ112の回転中心軸O2とガイドシーブ111の回転中心軸O1とを結
ぶ線分Lと平行に直線状に移動する。ガイドシーブ111に達した主巻ロープ16aは、
進行方向が変更され、円弧状に移動する。この円弧状の移動経路では、円弧状部169a
に付着している泥水が遠心力により接線方向に飛ぶ(矢印A1参照)。
ガイドシーブ111から離れた主巻ロープ16aは、主巻ウインチ10aに向かって直
線状に移動する。なお、各直線状の移動経路では、風や振動等の影響がなければ主巻ロー
プ16aから泥水が飛散することはほとんどない。
ポイントシーブ用の飛散防止装置160Bのカバー161の遮蔽板164の延在領域C
2について説明する。延在領域C2は、ガイドバー190の端部の近傍からガイドシーブ
用の飛散防止装置160Aのカバー161の端部の近傍に亘って設けられ、覆い部C20
と、覆い部C21と、覆い部C22aと、覆い部C22bと、を備えている。
覆い部C21は、円弧状部169bのウインチ側の端部Pw2、およびポイントシーブ
112の回転中心軸O2を通る直線SL22を含む平面と、円弧状部169bのケリーバ
側の端部Pk2における円弧状部169bの外周の接線TL2を含む平面との間の範囲に
おけるポイントシーブ112の径方向外方を覆う領域である。別の言い方をすれば、覆い
部C21は、円弧状部169bのウインチ側の端部Pw2の径方向外方の点、すなわち直
線SL22と交わる点P22と、鉛直方向に平行な接線TL2と交わる点P21とを結ぶ
領域である。さらに別の言い方をすれば、覆い部C21は、側面視で、直線SL22と、
回転中心軸O2と点P21を通る直線SL21との間の円弧状部169aの径方向外方を
覆う領域である。覆い部C21は、ポイントシーブ112の回転中心軸O2から遮蔽板1
64までの距離がほぼ同じになるように、円弧状に形成されている。
覆い部C20は、円弧状部169bのケリーバ側の端部Pk2における円弧状部169
bの接線TL2と交わる点P21からケリーバ14に向かって延在する領域である。覆い
部C20は、固定バー163の外方を覆うように設けられている。覆い部C20は、ガイ
ドバー190と干渉しない様、ガイドバー190の手前まで延在している。なお、ガイド
バー190は、主巻ロープ16aがシャフト182の軸方向に隣り合うシーブ間で移動す
ることを規制するロープ案内部材であり、隣り合うシーブ間に設けられている(図4参照
)。ガイドバー190は、断面が円形状であって、側面視でC字状を呈している。
覆い部C22aは、円弧状部169bのウインチ側の端部Pw2の径方向外方の点P2
2から主巻ウインチ10aに向かって延在する領域であり、ピン136の近くの点P23
まで延在している。覆い部C22aは、点P22から後方に向かって徐々にポイントシー
ブ112の回転中心軸O2からの距離が大きくなるように延在している。
覆い部C22bは、点P23から屈曲して主巻ウインチ10aに向かって延在する領域
であり、飛散防止装置160Aのカバー161の端部の近くまで延在している。ここで、
線分Lとポイントシーブ112の外周とが交差する点P29を通過し、線分Lおよびポイ
ントシーブ112の回転中心軸O2に直交する直線を直線SL29とする。覆い部C22
bは、この直線SL29を含む平面よりもガイドシーブ側に延在している。覆い部C22
aから屈曲させた覆い部C22bを設けることで、ポイントシーブ112の円弧状部16
9bのウインチ側の端部Pw2の近傍から隣の飛散防止装置160Aに向かって飛ぶ泥水
の量を低減できる。なお、ピン136が挿通されるピン挿通孔166は、覆い部C22a
と覆い部C22bとの境界部分である点P23の近傍に設けられている。
ガイドシーブ用の飛散防止装置160Aのカバー161の遮蔽板164の延在領域C1
について説明する。延在領域C1は、飛散防止装置160Bのカバー161の端部の近傍
から円弧状部169aの径方向外方を覆うように、主巻ウインチ10aに向かって延在し
、覆い部C10aと、覆い部C10bと、覆い部C11と、覆い部C12とを備えている
覆い部C11は、円弧状部169aのウインチ側の端部Pw1、およびガイドシーブ1
11の回転中心軸O1を通る直線SL12を含む平面と、円弧状部169aのケリーバ側
の端部Pk1における円弧状部169aの外周の接線TL1を含む平面との間の範囲にお
けるガイドシーブ111の径方向外方を覆う領域である。別の言い方をすれば、覆い部C
11は、円弧状部169aのウインチ側の端部Pw1の径方向外方の点、すなわち直線S
L12と交わる点P12と、接線TL1と交わる点P11とを結ぶ領域である。さらに別
の言い方をすれば、覆い部C11は、側面視で、直線SL12と、回転中心軸O1と点P
11を通る直線SL11との間の円弧状部169aの径方向外方を覆う領域である。覆い
部C11は、ガイドシーブ111の回転中心軸O1から遮蔽板164までの距離がほぼ同
じになるように円弧状に形成されている。
覆い部C10aは、円弧状部169aのケリーバ側の端部Pk1、およびガイドシーブ
111の回転中心軸O1を通る直線SL10を含む平面と、円弧状部169aのケリーバ
側の端部Pk1における円弧状部169aの外周の接線TL1を含む平面との間の範囲に
おけるガイドシーブ111の径方向外方を覆う領域である。別の言い方をすれば、覆い部
C10aは、円弧状部169aのケリーバ側の端部Pk1の径方向外方の点、すなわち直
線SL10と交わる点P10と、接線TL1と交わる点P11とを結ぶ領域である。さら
に別の言い方をすれば、覆い部C10aは、側面視で、直線SL10と直線SL11との
間の円弧状部169aの径方向外方を覆う領域である。覆い部C10aは、ガイドシーブ
111の回転中心軸O1から遮蔽板164までの距離がほぼ同じになるように円弧状に形
成されている。
覆い部C10bは、円弧状部169aのケリーバ側の端部Pk1の径方向外方の点P1
0からケリーバ14に向かって延在する領域であり、飛散防止装置160Bのカバー16
1Bの端部の近くであって、かつピン136の近くまで延在している。ここで、線分Lと
ガイドシーブ111の外周とが交差する点P19を通過し、線分Lおよびガイドシーブ1
11の回転中心軸O1に直交する直線を直線SL19とする。覆い部C10bは、この直
線SL19を含む平面よりもポイントシーブ側に延在している。覆い部C10bは、点P
10から前方に向かって徐々にガイドシーブ111の回転中心軸O1からの距離が大きく
なるように延在している。覆い部C10bの端部には、カラー139を覆うように屈曲し
た屈曲部が設けられている。ピン136が挿通されるピン挿通孔166は、覆い部C10
bの端部の近傍に設けられている。
覆い部C10aおよび覆い部C10bは、主巻ウインチ10aにより主巻ロープ16a
を巻き取る際に、隣のシーブであるポイントシーブ112に巻回された主巻ロープ16a
の円弧状部169bから飛んできた泥水を受ける受け部としての機能を有している(図8
の矢印A3参照)。このような構成とすることで、ガイドシーブ用の飛散防止装置160
Aのカバー161Aと、ポイントシーブ用の飛散防止装置160Bのカバー161Bとの
間に隙間が形成されている場合であっても、周囲の構造物90に泥水が付着してしまうこ
とを防止できる。本実施の形態では、覆い部C10bが、カバー161Bの遮蔽板164
のウインチ側の端点Pxを通る円弧状部169bの接線TL3と交わる点Prを含むよう
に形成されている。
覆い部C12は、円弧状部169aのウインチ側の端部Pw1の径方向外方の点P12
から主巻ウインチ10aに向かって延在する領域である。覆い部C12は、点P12から
主巻ウインチ10aに向かって徐々にポイントシーブ112の回転中心軸O1からの距離
が大きくなるように延在している。
ところで、上述した各覆い部の面積は、ブーム7の角度によって変化する。このため、
アースドリル1の作業時における最小作業半径に対応するブーム角度および、アースドリ
ル1の作業時における最大作業半径に対応するブーム角度の両方の姿勢において、少なく
とも以下の条件を満足するように飛散防止装置160のカバー161の延在領域を設定す
ることが好ましい。
(条件)ガイドシーブ111に接触する主巻ロープ16aの円弧状部169aのウインチ
側の端部Pw1、およびガイドシーブ111の回転中心軸O1を通る直線SL12を含む
平面と、円弧状部169aのケリーバ側の端部Pk1における円弧状部169aの外周の
接線TL1を含む平面との間の範囲におけるガイドシーブ111の径方向外方を覆ってい
ること。
これにより、作業姿勢にかかわらず泥水が後方に飛散することを効果的に防止すること
ができる。これに対して、ポイントシーブ112に接触する主巻ロープ16aの円弧状部
169bのケリーバ側の端部Pk2における円弧状部169aの外周の接線TL2に沿っ
て泥水が飛ぶ方向は、鉛直上方である。このため、鉛直上方を覆わない場合であっても泥
水が周囲の構造物90に付着するおそれは少ないので、必ずしも鉛直上方を覆う必要はな
い。
図9および図10は、主巻ロープの取り付け/取り外しの際の飛散防止装置の動作につ
いて説明する斜視図および側面図である。図9に示すように、主巻ロープ16aを取り付
ける、あるいは取り外す際、作業者は、固定バー163を引き抜き、カラー139を取り
外す。その後、作業者は、ピン136を回動支点としてカバー161を回動させる。ここ
で保持部材162をシャフト181,182を回動支点として回動させることもできる。
図9に示すように、一対のカバー161A,161Bは、ブーム7の背面側と腹面側が
開くように回動する。これにより、主巻ロープ16aを取り付ける際、作業者はガイドシ
ーブ111とカバー161Aのウインチ側端部との間の開かれた空間を介して、主巻ロー
プ16aの先端に設けられたシンブル19を容易に挿入することができる。その後、作業
者はポイントシーブ112とカバー161Bのケリーバ側端部との間の開かれた空間を介
して、主巻ロープ16aの先端に設けられたシンブル19を容易に引き出すことができる
。主巻ロープ16aを取り外す際も同様に、カバー161を全て取り外すことなく、主巻
ロープ16aの先端に設けられたシンブル19をカバー161とシーブ110との間に通
すことができる。
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)主巻ウインチ10aにより主巻ロープ16aを巻き取る際に、シーブ110に巻回
された主巻ロープ16aから遠心力により飛散する泥水を受けるカバー161が設けられ
た飛散防止装置160を備えている。これにより、シーブ110の回転の遠心力によって
飛散した泥水が、周囲の構造物90に付着することを防止できる。
(2)ブーム7の先端側に設けられた1以上のシーブ110には、ウインチ側のガイドシ
ーブ111と、ケリーバ側のポイントシーブ112が含まれ、飛散防止装置160は、ガ
イドシーブ111およびポイントシーブ112のそれぞれに設けられている。それぞれに
、飛散防止装置160を設けたので、一方にのみ飛散防止装置160を設ける場合に比べ
て、泥水の飛散を抑制することができる。
(3)少なくとも、ウインチ側のガイドシーブ111の飛散防止装置160Aのカバー1
61Aは、ガイドシーブ111に接触する主巻ロープ16aの円弧状部169aのウイン
チ側の端部Pw1、およびガイドシーブ111の回転中心軸O1を通る直線SL12と、
円弧状部169aのケリーバ側の端部Pk1における円弧状部169aの接線TL1との
間の範囲におけるガイドシーブ111の径方向外方を覆う覆い部C11を備えている。な
お、覆い部C11は、アースドリル1の作業時における最小作業半径に対応するブーム角
度、およびアースドリル1の作業時における最大作業半径に対応するブーム角度の両方の
姿勢において、上記直線SL12と接線TL1との間の範囲におけるガイドシーブ111
の径方向外方を覆うようにカバー161Aの遮蔽板164の延在領域C1が設定されてい
る。これにより、アースドリル1の作業時において、どのような姿勢であっても泥水の飛
散を抑制することができる。
(4)さらに、ケリーバ側のポイントシーブ112の飛散防止装置160Bのカバー16
1Bは、立坑の掘削作業姿勢において、ポイントシーブ112に接触する主巻ロープ16
aの円弧状部169bのウインチ側の端部Pw2、およびポイントシーブ112の回転中
心軸O1を通る直線SL22と、円弧状部169bのケリーバ側の端部Pk2における円
弧状部169bの接線TL2との間の範囲におけるポイントシーブ112の径方向外方を
覆う覆い部C21を備えている。これにより、泥水の飛散をさらに抑制することができる
(5)ウインチ側のガイドシーブ111の飛散防止装置160Aのカバー161Aは、主
巻ウインチ10aにより主巻ロープ16aを巻き取る際に、ケリーバ側のポイントシーブ
112に巻回された主巻ロープ16aから飛ぶ泥水を受ける受け部としての覆い部C10
a,C10bが設けられている。これにより、飛散防止装置160Aのカバー161Aと
、飛散防止装置160Bのカバー161Bとの間に隙間が空いている場合であっても、隙
間から泥水が飛散することを防止できる。
(6)カバー161Aは、ポイントシーブ112に近い一端側がガイドシーブ111のシ
ャフト181に取り付けられた保持部材162に回動可能に取り付けられ、ポイントシー
ブ112から遠い他端側がブーム7の先端側に着脱自在に取り付けられている。カバー1
61Bは、ガイドシーブ111に近い一端側がポイントシーブ112のシャフト182に
取り付けられた保持部材162に回動可能に取り付けられ、ガイドシーブ111から遠い
他端側がブーム7の先端側に着脱自在に取り付けられている。これにより、ガイドシーブ
111およびポイントシーブ112に対する主巻ロープ16aの取り付け作業性および取
り外し作業性を向上できる。
(7)カバー161Aは、ポイントシーブ112から遠い他端側がガイドシーブ111の
ロープ外れ止め用の棒状部材である固定バー163に取り付けられている。同様に、カバ
ー161Bは、ガイドシーブ111から遠い他端側がポイントシーブ112のロープ外れ
止め用の棒状部材である固定バー163に取り付けられている。これにより、ロープ外れ
止め用の棒状部材とは別に、専用の固定バーを設ける必要がない。本実施の形態によれば
、固定バー163に、ロープ外れ止めと、カバー161のブーム7への固定の両方の役割
を持たせることができるので、部品点数およびコストを低減できる。
(8)円弧状部169aのウインチ側の端部Pw1の径方向外方の点P12から主巻ウイ
ンチ10aに向かって延在する覆い部C12を設けた。これにより、覆い部C12が無い
場合に比べて、泥水の飛散を抑制することができる。
なお、ガイドシーブ111に巻回された主巻ロープ16aの円弧状部169aにおける
主巻ウインチ10a側の端部近傍では、主巻ロープ16aに付着する泥水の量が減少して
いるので、この部分から飛ぶ泥水の量は、他の部分に比べて少ない。また、飛んだとして
も主巻ロープ16aに沿うように飛ぶので、ブーム7に付着することはあっても周囲の構
造物に付着するおそれは低い。しかし、上述のとおり、ある程度の長さの覆い部C12を
設けることで、泥水が周囲の構造物90に付着することを、覆い部C12を設けない場合
に比べて低減することができる。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形
態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上述した実施の形態では、ガイドシーブ用の飛散防止装置160Aと、ポイントシーブ
用の飛散防止装置160Bとが分離し、各シーブ110に個別に飛散防止装置160が設
けられている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図11(
a)に示すように、ガイドシーブ111およびポイントシーブ112の両者を覆う単一の
カバー161を設けてもよい。
(変形例2)
上述した実施の形態では、カバー161が回動可能に保持部材162により保持されて
いる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。図11(b)に示すように、
カバー161を回動不能に固定バー163により保持させてもよい。
(変形例3)
上述した実施の形態では、ブーム7の先端にガイドシーブ111およびポイントシーブ
112が設けられている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ブーム7
の先端側に設けられ、ケリーバ14を支持する主巻ロープ16aが巻回されるシーブ11
0の数は、図11(b)に示すように1つであってもよいし、3つ以上(不図示)であっ
てもよい。
(変形例4)
上述した実施の形態では、固定バー163がロープ外れ止めの機能を有している棒状部
材である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ロープ外れ止めの棒状部
材とは別の専用の固定バー163によりカバー161をブーム7に固定してもよい。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定
されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の
範囲内に含まれる。
1 アースドリル、2 下部走行体(車体)、4 上部旋回体(車体)、7 ブーム、1
0a 主巻ウインチ(ウインチ)、14 ケリーバ、15 掘削バケット(掘削具)、1
6a 主巻ロープ(ロープ)、95 泥水、110 シーブ、111 ガイドシーブ(ウ
インチ側のシーブ)、112 ポイントシーブ(ケリーバ側のシーブ)、160 飛散防
止装置、161 カバー、162 保持部材、163 固定バー(ロープ外れ止め用の棒
状部材)、164 遮蔽板、169a 円弧状部、169b 円弧状部、181 シャフ
ト、182 シャフト、C11 覆い部、C21 覆い部

Claims (5)

  1. ウインチを備えた自走可能な車体と、基端側が前記車体に取り付けられたブームと、前記ブームの先端側に回転可能に設けられた1以上のシーブと、前記ウインチに巻回されたロープと、前記シーブを介して前記ロープに回転可能に吊り下げられた掘削具とを備え、前記掘削具を用いて立杭を掘削する立坑掘削装置において、
    前記ウインチにより前記ロープを巻き取る際に、泥水を受けるカバーが設けられた飛散防止装置を備え
    前記カバーは、前記シーブの径方向外方において、前記シーブに接触する前記ロープの円弧状部の前記ウインチ側の端部と前記シーブの回転中心とを通る直線の位置から、前記掘削具側に延在する第1覆い部と、前記ウインチ側に延在する第2覆い部とを備えることを特徴とする立坑掘削装置
  2. 請求項1に記載の立坑掘削装置において、
    前記ブームの先端側に設けられた1以上のシーブには、前記ウインチ側のシーブと、前記掘削具側のシーブが含まれ、
    前記第2覆い部は、前記ウインチ側のシーブに接触する前記ロープの円弧状部の前記掘削具側端部における前記シーブの接線上を覆うことを特徴とする立坑掘削装置。
  3. 請求項1または2に記載の立坑掘削装置において、
    複数の前記シーブと、
    前記飛散防止装置より前記掘削具側に配置され、複数の前記シーブ間で前記ロープが移動することを規制するロープ案内部材とを備え、
    前記第1覆い部は、前記ロープ案内部材と前記シーブの中心から径方向に見て重ならないことを特徴とする立坑掘削装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の立坑掘削装置において、
    前記第2覆い部は、前記ウインチ側に向かって前記シーブの回転中心からの距離が大きくなるように延在していることを特徴とする立坑掘削装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の立坑掘削装置において、
    前記カバーは、前記ブームの背面側と腹面側の少なくとも一方側が前記シーブに対して開くように回動可能に取り付けられていることを特徴とする立坑掘削装置。
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