JP6887297B2 - 噴霧塗布用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、噴霧塗布用組成物に関し、より詳細には撥水撥油性を有する噴霧塗布用組成物に関する。
食品、機械製品、電気製品、化学薬品等の各種工場では、金型、加工機、ロール、ネジ、釘、塗装機、テーブル、壁、カーテン、釜、パイプ、配管、ケーブルなど、水性の汚れや油性の汚れが付着しやすい箇所(本発明において、これらを工場設備ということがある)があり、一旦汚れが付着するとその除去には多くの時間と費用を要する。例えば、特許文献1には、金型の材料と化学的に反応する官能基を複数部位に有するパーフルオロポリエーテルで被覆してなることを特徴とするインプリント加工用金型が開示されている。
特開2004−351693号公報
上述したような工場内の汚れが付着しやすい箇所に用いられるコーティング剤としては、撥水撥油性が求められることはもちろんのこと、耐摩耗性に優れていること、及び既設の工場内において簡便にコーティングできることも重要である。
本発明は、撥水撥油性に優れたコーティング剤であって、耐摩耗性に優れると共に簡便に塗布できるコーティング剤を提供することを目的とする。
本発明は、パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基を有すると共に、アルコキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、及びアクリロイル基から選ばれる官能基を分子内に4つ以上有する化合物(A)を0.01〜0.2質量%と、この化合物(A)を分散又は溶解する溶剤とを含む噴霧塗布用組成物である。前記官能基の数は9つ以上であることが好ましい。
本発明の組成物は、フルオロアルキルシラン(B1)及び加水分解性シランオリゴマー(B2)の少なくとも1種を0.01〜0.5質量%を含むことが好ましい。
前記化合物(A)は、前記パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基と、前記官能基がケイ素原子に結合していることが好ましい。
また、前記化合物(A)が下記式(A1)で表されることも好ましい。
Figure 0006887297
上記式(A1)中、Rf1はフッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基、Rf2はそれぞれ独立して、フッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基、R1はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、R2はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、Gはそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NR−、−NRCO−、及び−CONR−のいずれか(Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基)を表し、Jはそれぞれ独立して加水分解性基、Yはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Zはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表し、a1、b1、c1、d1、e1はそれぞれ独立して0以上600以下の整数であり、a1、b1、c1、d1、e1の合計値は13以上であり、g1は0以上2以下の整数、f1は2以上20以下の整数、h1は1以上3以下の整数であり、a1、b1、c1、d1、e1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は、少なくとも一部でパーフルオロポリエーテル構造を有する順で並ぶ限り、式中において任意である。
本発明は、パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基を有すると共に、アルコキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、及びアクリロイル基から選ばれる官能基を分子内に4つ以上有する化合物(A)を0.01〜0.2質量%と、この化合物(A)を分散又は溶解する溶剤とを含む組成物を、被処理物に塗布する防汚方法も包含する。
本発明の防汚方法において、前記組成物が、更にフルオロアルキルシラン(B1)及び加水分解性シランオリゴマー(B2)の少なくとも1種を0.01〜0.5質量%含むことが好ましい。
本発明の防汚方法において、前記被処理物が、金属面、セラミック面、樹脂面、又はセメント硬化物面を有することが好ましい。
本発明の防汚方法において、前記被処理物の設置現場で、噴霧塗布をすることが好ましい。
本発明の組成物によれば、パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基を有し、所定の官能基を分子内に4つ以上有する化合物を含んでいるため、撥水撥油性と耐摩耗性に優れ、かつこのような化合物を含む組成物は噴霧塗布に適しており、既設の工場設備に簡便に塗布することが可能である。
本発明の組成物は、パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基を有すると共に、アルコキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、アクリロイル基から選ばれる官能基を分子内に4つ以上有する化合物(以下、化合物(A)と呼ぶ)を含んでいる。アルコキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、アクリロイル基によって、化合物(A)同士又は化合物(A)と被処理物表面とが化学的に反応し、被処理物表面に皮膜が結合でき、パーフルオロポリエーテル構造により皮膜が撥水撥油性を有するものとなる。
化合物(A)の好ましい数平均分子量は、4000以上であり、より好ましくは6000以上、更に好ましくは8000以上であり、通常50000以下であり、好ましくは20000以下である。
化合物(A)はアルコキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、アクリロイル基から選ばれる官能基を分子内に4つ以上有することによって、化合物(A)同士の結合及び化合物(A)と被処理物表面との結合が強固なものとなり、耐摩耗性が向上する。化合物(A)が有する4つ以上の官能基は、お互いに異なっていても良いし、全て同一であっても良いが、全て同一であるのが好ましく、特に全てアルコキシ基(特に炭素数1〜4のアルコキシ基)であるのが好ましい。前記官能基の数は、6以上が好ましく、より好ましくは9以上であり、更に好ましくは10以上である。前記官能基の数の上限は特に限定されないが、例えば30以下である。本明細書において化合物(A)の官能基の数は、NMRスペクトルから算出される値のことをいう。
前記パーフルオロポリエーテル構造とは、ポリアルキレンエーテル基またはポリアルキレングリコールジアルキルエーテル残基の全部の水素原子がフッ素原子に置き換わった構造であり、パーフルオロポリアルキレンエーテル基、またはパーフルオロポリアルキレングリコールジアルキルエーテル残基という事もできる。パーフルオロポリエーテル構造は、撥水・撥油性を有する。パーフルオロポリエーテル構造の最も長い直鎖部分に含まれる炭素数は、例えば5以上であることが好ましく、10以上がより好ましく、より好ましくは20以上である。前記炭素数の上限は特に限定されず、例えば200程度であってもよい。
パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基とは、化合物(A)が被処理物表面と結合しない側の末端(自由端)にパーフルオロポリエーテル構造を有する基を意味する。
上記パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基と、前記官能基の間には、金属原子及び/または適当な連結基が存在していても良く、該金属原子としてはケイ素原子が挙げられ、連結基としてはアルキレン基、芳香族炭化水素基などの炭化水素基、(ポリ)アルキレングリコール基、又はこれらの水素原子の一部がフッ素原子に置換された基、及びこれらが適当に連結した基などが挙げられる。連結基の炭素数は、例えば1以上、20以下であり、好ましくは2以上、10以下である。なお、一つの連結基には複数の金属原子が結合してもよく、一つの連結基に複数のパーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基が結合してもよい。金属原子に結合する、パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基の数は、1つ以上であればよく、2または3であってもよいが、1または2であるのが好ましく、1であるのが特に好ましい。
この中でも特に、前記連結基なしで、ケイ素原子に直接、上記パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基と、前記官能基とが結合していることが好ましい。ケイ素原子に結合する上記パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基と上記官能基との合計数は、通常4であるが、2または3(特に3)であってもよい。3以下の場合、残りの結合手には、例えば、アルキル基(特に炭素数が1〜4のアルキル基)、水素原子、イソシアネート基などが結合できる。一つのケイ素原子に結合する官能基の数は2以上が好ましく、3であるのが最も好ましい。
化合物(A)のパーフルオロポリエーテル構造を有する基は、直鎖状であってもよいし、側鎖を有していてもよい。
化合物(A)としては、例えば下記式(A1)の化合物が挙げられる。
Figure 0006887297
上記式(A1)中、
Rf1はフッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rf1は好ましくは1個以上のフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である。
Rf2はそれぞれ独立して、フッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rf2は好ましくはそれぞれ独立して、フッ素原子、または炭素数1〜2の含フッ素アルキル基であり、より好ましくはすべてフッ素原子である。
1はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表す。R1は好ましくはそれぞれ独立して、水素原子、または炭素数1もしくは2のアルキル基であり、より好ましくはすべて水素原子である。
2はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表す。R2は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
Gはそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NR−、−NRCO−、及び−CONR−のいずれかを表す(Rは水素原子、低級アルキル基又は低級含フッ素アルキル基である)。Gは好ましくはそれぞれ独立して、−COO−、−O−、及び−OCO−のいずれかであり、より好ましくはすべて−O−である。
Jはそれぞれ独立して、加水分解性基を表す。Jは、アルコキシ基、又はハロゲン原子が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基、又は塩素原子が好ましい。
Yはそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。Yは好ましくはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1もしくは2のアルキル基であり、より好ましくはすべて水素原子である。
Zはそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表す。Zは、好ましくは水素原子である。
a1、b1、c1、d1、e1はそれぞれ独立して0以上600以下の整数であり、a1、b1、c1、d1、e1の合計値は13以上である。好ましくはa1、c1、d1はそれぞれ独立してb1の1/2以下であり、より好ましくは1/4以下であり、さらに好ましくはc1またはd1は0であり、特に好ましくはc1およびd1は0である。
e1は、好ましくはa1、b1、c1、d1の合計値の1/5以上であり、a1、b1、c1、d1の合計値以下である。
b1は、20以上、600以下が好ましく、より好ましくは20以上、200以下であり、更に好ましくは50以上、200以下である。e1は4以上、600以下が好ましく、より好ましくは4以上、200以下であり、更に好ましくは10以上、200以下である。a1、b1、c1、d1、e1の合計値は、20以上、600以下が好ましく、20以上、200以下が好ましく、50以上、200以下が更に好ましい。
g1は0以上2以下の整数であり、好ましくは0以上、1以下であり、
f1は1以上20以下の整数であり、好ましくは1以上、18以下である。更に好ましくは、2以上15以下である。
a1、b1、c1、d1、e1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は、少なくとも一部でパーフルオロポリエーテル構造を形成する順で並ぶ限り、式中において任意であるが、好ましくは最も固定端側(パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基の、ケイ素原子と結合する側)のb1を付して括弧でくくられた繰り返し単位は、最も自由端側のa1を付して括弧でくくられた繰り返し単位よりも自由端側に位置し、より好ましくは最も固定端側のb1またはd1を付して括弧でくくられた繰り返し単位は、最も自由端側のa1またはc1を付して括弧でくくられた繰り返し単位よりも自由端側に位置する。
g1は0以上2以下の整数であり、好ましくは0以上、1以下であり、
f1は2以上20以下の整数であり、好ましくは2以上、18以下である。更に好ましくは、2以上15以下である。
h1は1以上3以下の整数であり、2以上3以下が好ましく、3がより好ましい。
なお、上記式(A1)中の低級とは、炭素数が1〜4であることを意味する。
式(A1)において、特にRf1が炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、Rf2が全てフッ素原子、Gが全て−O−、Jがメトキシ基、エトキシ基、又は塩素原子(特にメトキシ基又はエトキシ基)、Y及びZがいずれも水素原子、a1が0、b1が30〜150(より好ましくは80〜140)、e1が30〜60、c1及びd1が0、g1が0以上1以下(特に0)、h1が3、f1が2〜10であることが好ましい。
上記式(A1)で表される化合物としては、例えば下記式(A1−1)の化合物が挙げられる。
Figure 0006887297
上記式(A1−1)中、R20は炭素数が2〜6のパーフルオロアルキル基であり、R21及びR22はいずれも炭素数が2〜6のパーフルオロアルキレン基であり、R23は炭素数が2〜6の3価の飽和炭化水素基であり、R24は炭素数が1〜3のアルキル基である。R20、R21、R22、R23の炭素数は、それぞれ独立に2〜4が好ましく、2〜3がより好ましい。x1は5〜70であり、x2は1〜5であり、x3は1〜10である。x1は10〜60が好ましく、20〜50がより好ましく、x2は1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、x3は1〜8が好ましく、1〜6がより好ましい。
本発明の組成物は、上記した化合物(A)を分散又は溶解する溶剤を含んでいる。このような溶剤としては、フッ素系溶剤が挙げられ、中でも例えばフッ素化エーテル系溶剤、フッ素化アミン系溶剤、フッ素化芳香族系溶剤を用いることができ、噴霧塗布後の残留性の観点から、特に沸点が100℃以上であることが好ましい。フッ素化エーテル系溶剤としては、フルオロアルキル(特に炭素数2〜6のパーフルオロアルキル基)−アルキル(特にメチル基又はエチル基)エーテルなどのハイドロフルオロエーテルが好ましく、例えば下記式(F−1)又は(F−2)で表されるエチルノナフルオロブチルエーテル又はエチルノナフルオロイソブチルエーテルが挙げられる。エチルノナフルオロブチルエーテル又はエチルノナフルオロイソブチルエーテルとしては、例えばNovec(登録商標)7200(3M社製、、分子量約264、沸点76℃)が挙げられる。フッ素化アミン系溶剤としては、アンモニアの水素原子の少なくとも1つがフルオロアルキル基で置換されたアミンが好ましく、アンモニアの全ての水素原子がフルオロアルキル基(特にパーフルオロアルキル基)で置換された第三級アミンが好ましく、具体的には下記式(F−3)で表されるN,N−ビス(ヘプタフルオロプロピル)(ヘプタフルオロプロピル)アミンが挙げられ、フロリナート(登録商標)FC−3283(分子量約521、沸点128℃)がこれに該当する。フッ素化芳香族系溶剤としては、下記式(F−4)で表される1,3−ビス(トリフルオロメチルベンゼン)が挙げられる。
Figure 0006887297
Figure 0006887297
Figure 0006887297
Figure 0006887297
フッ素系溶剤としては、上記の他、アサヒクリンAK225(旭ガラス社製)などのハイドロクロロフルオロカーボン、アサヒクリンAC2000(旭ガラス社製)などのハイドロフルオロカーボンなどを用いることができる。
本発明の組成物における化合物(A)の含有量は、0.01質量%以上である。このようにすることによって、得られる皮膜の撥水撥油性及び耐摩耗性を高めることができる。化合物(A)の含有量は、0.03質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上である。化合物(A)の含有量は0.2質量%以下であり、好ましくは0.17質量%以下であり、より好ましくは0.15質量%以下であり、さらに0.08質量%以下である。
本発明の組成物は、更に、フルオロアルキルシラン(B1)及び加水分解性シランオリゴマー(B2)の少なくとも1種を含んでいてもよい。これらを含むことによって、得られる皮膜の耐摩耗性を更に向上できる。
上記(B1)のフルオロアルキルシランは、該フルオロアルキルシランのケイ素原子に加水分解性基が結合した化合物であることが好ましい。該フルオロアルキルシランのフルオロアルキル基は、フルオロアルキル基を末端に有する基が好ましく、特に末端がトリフルオロメチル基などのパーフルオロアルキル基である基が好ましい。フルオロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロブチル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシル基、フルオロへプチル基、フルオロオクチル基、フルオロノニル基、フルオロデシル基、フルオロウンデシル基、フルオロドデシル基などの炭素数が1〜12のフルオロアルキル基が挙げられる。
前記(B1)のフルオロアルキルシランのケイ素原子に加水分解性基が結合している場合、該加水分解性基としては、化合物(A)で例示した加水分解性基と同様のものが挙げられ、好ましい加水分解性基は、アルコキシ基、及びハロゲン原子であり、特にメトキシ基、エトキシ基、又は塩素原子が好ましい。加水分解性基が複数個存在する場合は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
ケイ素原子に結合するフルオロアルキル基と加水分解性基との合計数は、4であることが好ましく、この場合、フルオロアルキル基の数が3で加水分解性基の数が1、フルオロアルキル基及び加水分解性基の数が共に2、フルオロアルキル基の数が1で加水分解性基の数が3のいずれであってもよいが、フルオロアルキル基の数が1で加水分解性基の数が3であることが好ましい。ケイ素原子に結合するフルオロアルキル基と加水分解性基との合計数は、2または3(特に3)であってもよく、3以下の場合、残りの結合手には、例えば、アルキル基(特に炭素数が1〜4のアルキル基)、H、シアノ基などが結合できる。
フルオロアルキル基と加水分解性基の組み合わせは特に限定されず、後述する式(B1)を包含するものや、包含しないもののいずれであってもよいが、好ましくは、フルオロアルキル基とアルコキシ基の組み合わせ(フルオロアルキルアルコキシシランなど。特にフルオロアルキルトリアルコキシシランなど)、フルオロアルキル基とハロゲン原子の組み合わせ(フルオロアルキルハロシランなど。特にフルオロアルキルトリハロシラン)が挙げられる。
上記(B1)のフルオロアルキルシランとしては、合成の簡便さから下記式(B1)で表される化合物であることが更に好ましい。
Figure 0006887297
上記式(B1)中、
Rf3はそれぞれ独立してフッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表し、
3はそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し、
4はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表し、
Aはそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NR−、−NRCO−、及び−CONR−のいずれか(Rは水素原子、低級アルキル基、または低級含フッ素アルキル基を表す)を表し、
Bはそれぞれ独立して、加水分解性基を表し、
a2、b2、c2、d2、e2はそれぞれ独立して0以上100以下の整数であって、
a2、b2、c2、d2、e2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は、少なくとも一部でフルオロアルキルシリル基を形成する順序で並ぶ限り、式中において任意であり、
a2、b2、c2、d2、e2の合計値は100以下であり、
mは1以上3以下の整数である。
上記式(B1)中、低級とは、炭素数が1〜4であることを意味する。
Rf3はフッ素原子又は炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜6)のパーフルオロアルキル基が好ましい。R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。R4は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。Aは、−O−、−COO−、及び−OCO−のいずれかが好ましい。Bは炭素数1〜4のアルコキシ基、又はハロゲン原子が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、又は塩素原子である。a2は1〜30が好ましく、1〜25がより好ましく、1〜10が更に好ましく、1〜5が特に好ましく、最も好ましくは1〜2である。b2は0〜15が好ましく、より好ましくは0〜10である。c2は0〜5が好ましく、より好ましくは0〜2である。d2は0〜4が好ましく、より好ましくは0〜2である。e2は0〜4が好ましく、より好ましくは0〜2である。mは2〜3が好ましく、3がより好ましい。a2、b2、c2、d2、e2の合計値は3以上が好ましく、5以上がより好ましく、また80以下が好ましく、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下である。
特に、Rf3がフッ素原子又は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり、R3が水素原子であり、Bがメトキシ基又はエトキシ基であると共に、c2、d2及びe2がいずれも0であり、mが3であり、a2が1〜5、b2が0〜6であることが好ましい。
上記(B1)のフルオロアルキルシランとしては、例えばCF3−Si−(OCH33、Cj2j+1−Si−(OC253(jは1〜12の整数)が挙げられ、この中で特にC49−Si−(OC253、C613−Si−(OC253、C715−Si−(OC253、C817−Si−(OC253が好ましい。また、CF3(CH22Si(CH32(CH2kSiCl3、CF3(CH22Si(CH32(CH2kSi(OCH33、CF3(CH22Si(CH32(CH2kSi(OC253、CF3(CH26Si(CH32(CH2kSiCl3、CF3(CH26Si(CH32(CH2kSi(OCH33、CF3(CH26Si(CH32(CH2kSi(OC253が挙げられる(kはいずれも5〜20であり、好ましくは8〜15である)。また、CF3(CF2m−(CH2nSiCl3、CF3(CF2m−(CH2nSi(OCH33、CF3(CF2m−(CH2nSi(OC253を挙げることもできる(mはいずれも1〜10であり、好ましくは3〜7であり、nはいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。更に、CF3(CF2p−(CH2SiCH3Cl2、CF3(CF2p−(CH2qSiCH3(OCH32、CF3(CF2p−(CH2qSiCH3(OC252が挙げられる(pはいずれも2〜10であり、好ましくは3〜7でありqはいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。
加水分解性シランオリゴマー(B2)は、2以上の加水分解性基をもつシラン化合物、好ましくは2以上(特に3)の加水分解性基と含フッ素基(特に低級の含フッ素アルキル基)を有するシラン化合物が加水分解縮合することによって生成するオリゴマーの事をいう。オリゴマーに含まれるケイ素原子の数(縮合数)は、例えば3以上であり、好ましくは5以上であり、より好ましくは7以上である。縮合数は好ましくは15以下であり、より好ましくは13以下であり、更に好ましくは10以下である。
前記オリゴマーが有する加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基などである。前記オリゴマーは、これら加水分解性基の1種または2種以上を有することができ、好ましくは1種を有する。
加水分解性シランオリゴマー(B2)としては、下記式(B2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006887297
上記式(B2)中、
Xはそれぞれ独立して、加水分解性基、低級アルキル基、または低級含フッ素アルキル基を表し、
g2は0以上100以下の整数である。
式(B2)において、低級とは、炭素数が1〜4であることを意味する。
前記加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。Xのうち少なくとも1つは加水分解性基(特にエトキシ基、メトキシ基)であり、g2は0以上10以下が好ましく、より好ましくは0以上7以下である。Xのうち少なくとも1つが低級含フッ素アルキル基であることも好ましい。
加水分解性シランオリゴマーとしては、例えば、(H52O)3−Si−(OSi(OC2524OC25、(H3CO)2Si(CH2CH2CF3)−(OSiOCH3(CH2CH2CF3))4−OCH3などが挙げられる。
本発明の組成物における(B1)及び(B2)の含有量(1種の場合は単独の含有量、2種以上含む場合には合計含有量)は、0.01〜0.5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.2質量%であり、さらに好ましくは0.01〜0.05質量%である。
化合物(B1)及び(B2)の合計含有量に対する化合物(A)の質量比は、例えば0.8〜2.0であり、好ましくは1.0〜1.8である。
本発明の組成物は、さらにシラノール縮合触媒を含んでいてもよい。シラノール縮合触媒としては、塩酸、硝酸などの無機酸、酢酸などの有機酸、チタン錯体(たとえば、松本ファインケミカル製、オルガチクスTC−750など)や錫錯体などの金属錯体や金属アルコキシドなどがあげられる。シラノール縮合触媒の量は、例えば、0.00001〜0.1質量%、好ましくは、0.00002〜0.01質量%、さらに好ましくは0.0005〜0.001質量%である。
本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、防錆剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防カビ剤、抗菌剤、生物付着防止剤、消臭剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤等、各種の添加剤を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、以下のフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤が例示できる。
例えば、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−チオ−ジエチレン−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリ−エチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸}ペンタエリスリチル エステル、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H、3H、5H)−トリオン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス (6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤。
例えば、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−ドデシル エステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシル エステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシル エステル、テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリチル エステル等の硫黄系酸化防止剤。
例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン ジホスフォナイト、ビス−[2,4−ジ−t−ブチル,(6−メチル)フェニル]エチル ホスファイト等のリン系酸化防止剤。
例えば、セバシン酸 ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル(融点81〜86℃)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル メタクリレート(融点58℃)、ポリ[{6−(1,1,3,3、−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}−1,6−ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系酸化防止剤。
また、防錆剤としては、例えば、アルカノールアミン、第四アンモニウム塩、アルカンチオール、イミダゾリン、メタバナジン酸ナトリウム、クエン酸ビスマス、フェノール誘導体、ポリアルケニルアミン、アルキルイミダゾリン誘導体、シアノアルキルアミン、カルボン酸アミド、アルキレンジアミン、ピリミジンおよびこれらのカルボン酸、ナフテン酸、スルホン酸複合体、亜硝酸カルシウム、アルキルアミンとエステル、ポリアルコール、ポリフェノール、アルカノールアミン、モリブデン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、ホスホン酸ナトリウム、クロム酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ゼラチン、カルボン酸のポリマー、脂肪族および芳香族アミンとジアミン、エトキシ化アミン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ニトロ化合物、ホルムアルデヒド、アセチレンアルコール、脂肪族および芳香族チオールとスルフィド、スルホキシド、チオ尿素、アセチレンアルコール、2−メルカプトベンズイミダゾール、アミン又は第四アンモニウム塩+ハロゲンイオン、アセチレンチオールおよびスルフィド、ジベンジルスルホキシド、アルキルアミン+ヨウ化カリウム、亜硝酸ジシクロヘキシルアミン、安息香酸シクロヘキシルアミン、ベンゾトリアゾール、タンニン+リン酸ナトリウム、トリエタノールアミン+ラウリルサルコシン+ベンゾトリアゾール、アルキルアミン+ベンゾトリアゾール+亜硝酸ナトリウム+リン酸ナトリウム等の防錆剤を例示できる。
紫外線吸収剤/光安定剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−エトキシ−2’−エチル−オキサリック酸ビスアニリド等の紫外線吸収剤/光安定剤が挙げられる。
防カビ剤/抗菌剤としては、例えば、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、ソルビン酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3オン、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)ナトリウム、デヒドロ酢酸、2−メチル−5−クロロ−4−イソチアゾロン錯体、2,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、モノあるいはジブロモシアノアセトアミド類、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,1−ジブロモ−1−ニトロプロパノールおよび1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン等の防カビ剤/抗菌剤を含有してもよい。
生物付着防止剤としては、例えば、テトラメチルチウラムジサルファイド、ビス(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、ジクロロ−N−((ジメチルアミノ)スルフォニル)フルオロ−N−(P−トリル)メタンスルフェンアミド、ピリジン−トリフェニルボラン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、チオシアン酸第一銅(1)、酸化第一銅、テトラブチルチウラムジサルファイド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、ジンクエチレンビスジチオカーバーメート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)銅塩、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フラノン類、アルキルピリジン化合物、グラミン系化合物、イソニトリル化合物等の生物付着防止剤を例示できる。
消臭剤としては、例えば、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、エチレンジアミンポリ酢酸、アルカン-1,2−ジカルボン酸、アルケン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルカン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルケン−1,2−ジカルボン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機酸類;ウンデシレン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛等の脂肪酸金属類;酸化鉄、硫酸鉄、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化銀、酸化銅、金属(鉄、銅等)クロロフィリンナトリウム、金属(鉄、銅、コバルト等)フタロシアニン、金属(鉄、銅、コバルト等)テトラスルホン酸フタロシアニン、二酸化チタン、可視光応答型二酸化チタン(窒素ドープ型など)等の金属化合物;α-、β-、又はγ-シクロデキストリン、そのメチル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体等のシクロデキストリン類;多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の芳香族系ポリマー、それらの共重合体及びキチン、キトサン、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、セラミック等の多孔質体等の消臭剤が例示できる。
顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリレン又はペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロ−ピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ジスアゾ縮合系顔料やベンズイミダゾロン系顔料等の顔料が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、デカブロモビフェニル、三酸化アンチモン、リン系難燃剤、水酸化アルミニウム等の難燃剤を含有できる。
帯電防止剤としては、例えば、4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤、ベタイン型の両性界面活性剤、リン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン界面活性剤、硫酸化油、石鹸、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩や燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノ又は脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等のノニオン界面活性剤、カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等の帯電防止剤を例示できる。
本発明の組成物が各種の添加剤を含む場合、各種の添加剤の含有量としては、例えば、本発明の組成物の全重量に対して、0.01〜70質量%、好ましくは0.05〜50質量%、より好ましくは0.1〜30質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
滑剤、充填剤、可塑剤、核剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、乳化剤、光沢剤、結着剤等も本発明の組成物に含有されていてもよい。
上記本発明の組成物の粘度は、25℃における粘度を0.01〜100mPa・sとすることが好ましく、0.1〜10mPa・sとすることがより好ましい。このような粘度とすることで、噴霧塗布したときに、程度な粒子径で拡散させることができる。
上記した本発明の組成物は、手動式で小さな開口部を持つノズルに、決まった流量及び圧力で液体を送り込み、細かい粒子を噴射する噴霧塗布に適しており、本発明は上記組成物を塗布する防汚方法も包含する。本発明の組成物を被処理物に噴霧塗布し、空気中で静置することで又は加温乾燥(例えば120〜180℃で10分〜60分)することで、被処理物上に皮膜を形成できる。噴霧塗布によって得られる皮膜の膜厚は例えば3〜20nm程度であり、好ましくは4〜10nm程度である。本発明の組成物は、被処理物にそのまま噴霧塗布してもよいし、前処理が可能な被処理物については、塗布面を前処理してから組成物を噴霧塗布することも好ましい。前処理としては、例えば8〜12質量%水酸化ナトリウム水溶液に被処理物を浸し、15〜25分間の超音波洗浄を行った後、純水ですすぎ洗いをし、表面に水分が残らないように十分に乾燥させる処理が挙げられる。
被処理物には予め易接着処理を施しておいてもよい。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂、シランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を用いてもよい。
プライマー層としては、下記式(P1)で表される化合物および/またはその部分加水分解縮合物からなる(E)成分を含む下地層形成用組成物を用いて形成された層が好ましい。
Si(X24 ・・・(P1)
(ただし、式(P1)中、X2はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルコキシ基またはイソシアネート基を示す。)
上記式(P1)中、X2は、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基またはイソシアネート基であることが好ましく、さらに4個のX2が同一であることが好ましい。
このような式(P1)で示される化合物として、具体的には、Si(NCO)4、Si(OCH34、Si(OC254等が好ましく用いられる。(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プライマー層形成用組成物に含まれる(E)成分は、上記式(P1)で表される化合物の部分加水分解縮合物であってもよい。上記式(P1)で表される化合物の部分加水分解縮合物は、酸や塩基触媒を用いた一般的な加水分解縮合方法を適用することで得ることができる。ただし、部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。(E)成分としては、上記式(P1)で表される化合物であっても、上記式(P1)で表される化合物の部分加水分解縮合物であってもよく、上記式(P1)で表される化合物とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の上記式(P1)で表される化合物が含まれる該化合物の部分加水分解縮合物であってもよい。なお、上記式(P1)で表される化合物やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。
また、下地層形成用組成物は、上記(E)成分と、下記式(P2)で表わされる化合物(化合物(P2)という場合がある)および/またはその部分加水分解縮合物からなる(F)成分とを含む、もしくは、上記(E)成分と上記(F)成分の部分加水分解縮合物(ただし、上記(E)成分および/または上記化合物(P2)を含んでもよい)を含む組成物であってもよい。
(X33Si−(CH2p−Si(X33 ・・・(P2)
(ただし、式(P2)中、X3はそれぞれ独立して加水分解性基または水酸基を示し、pは1〜8の整数である。)
式(P2)で表される化合物は、2価有機基を挟んで両末端に加水分解性シリル基またはシラノール基を有する化合物である。
式(P2)中、X3で示される加水分解性基としては、上記X2と同様の基または原子が挙げられる。上記式(P2)で表される化合物の安定性と加水分解のし易さとのバランスの点から、X3としては、アルコキシ基およびイソシアネート基が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基としては、炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。これらは、製造上の目的、用途等に応じて適宜選択され用いられる。式(P2)中に複数個存在するX3は同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。
式(P2)で表される化合物として、具体的には、(CH3O)3SiCH2CH2Si(OCH33、(OCN)3SiCH2CH2Si(NCO)3、Cl3SiCH2CH2SiCl3、(C25O)3SiCH2CH2Si(OC253、(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(OCH33等が挙げられる。(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プライマー層形成用組成物に含まれる成分は、式(P2)で表される化合物の部分加水分解縮合物であってもよい。式(P2)で表される化合物の部分加水分解縮合物は、式(P1)で表される化合物の部分加水分解縮合物の製造において説明したのと同様の方法で得ることができる。部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。(F)成分としては、式(P2)で表される化合物であっても、式(P2)で表される化合物の部分加水分解縮合物であってもよく、式(P2)で表される化合物とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の式(P2)で表される化合物が含まれる該化合物の部分加水分解縮合物であってもよい。なお、上記式(P2)で示される化合物やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。
また、下地層には、上記式(P1)と同様のケイ素を主成分とする酸化膜を得ることができる、各種ポリシラザンを用いてもよい。
プライマー層形成用組成物は、通常、層構成成分となる固形分の他に、経済性、作業性、得られるプライマー層の厚さ制御のしやすさ等を考慮して、有機溶剤を含む。有機溶剤は、プライマー層形成用組成物が含有する固形分を溶解するものであれば特に制限されない。有機溶剤としては、本発明の組成物に用いられる溶剤と同様の化合物が挙げられる。有機溶剤は1種に限定されず、極性、蒸発速度等の異なる2種以上の溶剤を混合して使用してもよい。プライマー層形成用組成物が、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含有する場合、これらを製造するために使用した溶媒を含んでもよい。
さらに、プライマー層形成用組成物においては、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含まないものであっても、加水分解共縮合反応を促進させるために、部分加水分解縮合の反応において一般的に使用されるのと同様の酸触媒等の触媒を配合しておくことも好ましい。部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含む場合であっても、それらの製造に使用した触媒が組成物中に残存していない場合は、触媒を配合することが好ましい。下地層形成用組成物は、上記含有成分が加水分解縮合反応や加水分解共縮合反応するための水を含んでいてもよい。
プライマー層形成用組成物を用いて下地層を形成する方法としては、オルガノシラン化合物系の表面処理剤における公知の方法を用いることが可能である。例えば、はけ塗り、流し塗り、回転塗布、浸漬塗布、スキージ塗布、スプレー塗布、手塗り等の方法で下地層形成用組成物を基体の表面に塗布し、大気中または窒素雰囲気中において、必要に応じて乾燥した後、硬化させることで、下地層を形成できる。硬化の条件は、用いる組成物の種類、濃度等により適宜制御される。なお、プライマー層形成用組成物の硬化は、撥水膜形成用組成物の硬化と同時に行ってもよい。
プライマー層の厚さは、その上に形成される透明皮膜に耐湿性を付与できる他、基板との密着性を付与でき、また基板からのアルカリ等をバリアできる厚さであれば特に限定されない。
本発明の組成物により得られる皮膜では、パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基(構造(A))が、好ましくは金属原子及び/または適当な連結基を介して被処理物と結合している。該金属原子としてはケイ素原子が挙げられ、連結基としてはアルキレン基、芳香族炭化水素基などの炭化水素基、(ポリ)アルキレングリコール基、又はこれらの水素原子の一部がフッ素原子に置換された基、及びこれらが適当に連結した基などが挙げられる。連結基の炭素数は、例えば1以上、20以下であり、好ましくは2以上、10以下である。なお、一つの連結基には複数の金属原子が結合してもよく、一つの連結基に複数のパーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基が結合してもよい。金属原子に結合する、パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基の数は、1つ以上であればよく、2または3であってもよいが、1または2であるのが好ましく、1であるのが特に好ましい。
この中でも特に、皮膜がポリシロキサン骨格を有し、構造(A)が、前記連結基なしで、ポリシロキサン骨格のケイ素原子に直接結合していることが好ましく、ケイ素原子と治具は、−O−結合などを介して結合していてもよい。
上記構造(A1)は、直鎖状であってもよいし、側鎖を有していてもよく、例えば下記式(A1c)で表される。
Figure 0006887297
上記式(A1c)中、Rf1、Rf2、R1、G、Y、Z、a1〜g1は、いずれも上記式(A1)中のこれらと同じである。
化合物(B1)に由来する構造(B1)はフルオロアルキル基であり、特に皮膜がポリシロキサン骨格を有しており、フルオロアルキル基がポリシロキサン骨格のケイ素原子のうち、構造(A1)が結合していないケイ素原子に結合していることが好ましい。
上記フルオロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロブチル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシル基、フルオロへプチル基、フルオロオクチル基、フルオロノニル基、フルオロデシル基、フルオロウンデシル基、フルオロドデシル基などの炭素数が1〜12のフルオロアルキル基が挙げられる。
構造(B1)としては、例えば下記式(B1c)が挙げられる。
Figure 0006887297
上記式(B1c)中、Rf3、R3、A、a2〜e2はいずれも、上記式(B1)中のこれらと同じである。
また、化合物(B2)に由来する構造(B2)は、加水分解性シランオリゴマー残基であり、加水分解性シランオリゴマー残基は、2つ以上の加水分解性基を持つ化合物、好ましくは2以上(特に3)の加水分解性基と含フッ素基(特に低級の含フッ素アルキル基)を有するシラン化合物が加水分解縮合することによって生成するオリゴマーの一つのアルコキシ基が結合手(−O−)に変化した基のことを言う。オリゴマー残基に含まれるケイ素原子の数(縮合数)は、例えば3以上であり、好ましくは5以上であり、より好ましくは7以上である。縮合数は好ましくは15以下であり、より好ましくは13以下であり、更に好ましくは10以下である。
前記オリゴマー残基がアルコキシ基を有している場合、そのアルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基などである。前記オリゴマー残基は、これらアルコキシ基の1種または2種以上を有することができ、好ましくは1種を有する。
構造(B2)としては、例えば下記式(B2c)が挙げられる。
Figure 0006887297
上記式(B2c)中、X及びg2は、いずれも、上記式(B2)中のこれらと同じである。
本発明の組成物により得られる皮膜は、撥水・撥油性を有すると共に、耐摩耗性に優れている。例えば、本発明の透明皮膜は、水滴量3.0μlでθ/2法により測定した接触角が通常105°以上、好ましくは110°以上、より好ましくは115°以上であり、上限は限定されないが、例えば130°以下である。
本発明では、金属面、セラミック面、樹脂面、又はセメント硬化物面を有する被処理物の、これら金属面、セラミック面、樹脂面、又はセメント硬化物面に前記組成物を噴霧塗布することが好ましい。このような面に塗布することで、良好な撥水撥油性及び耐摩耗性を発揮できる。
金属面の金属としては、鉄、シリコン、アルミニウム、銅、亜鉛等の金属、これら金属を含む合金などが挙げられる。セラミックとしては、酸化物系、水酸化物系、炭化物系、炭酸塩系、窒化物系、ハロゲン化物系、リン酸塩系。樹脂面としては、プラスチック面、樹脂塗装面や、繊維強化プラスチック面などが挙げられ、樹脂としてはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリルースチレン共重合樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。セメント硬化物面としては、モルタル面、コンクリート面などが挙げられる。中でも、金属面、樹脂面に塗布するのが好ましく、鉄合金(特にステンレス)が特に好ましい。
本発明の組成物は、既設の工場内など被処理物の設置現場で噴霧塗布することができ、被処理物の表面を簡便に撥水撥油コーティングすることが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例及び比較例で得られた皮膜は下記の方法により測定した。
(1)接触角の測定
接触角測定装置(協和界面科学社製 DM700)を用い、液滴法(解析方法:θ/2法)で液量:3μLにて、皮膜表面の水の接触角を測定した。
(2)耐摩耗性評価
消しゴム付きHB鉛筆(三菱鉛筆社)を備えたスクラッチ装置を用い、消しゴムが皮膜表面に接した状態で、500gの荷重をかけて40r/minでサンプルを動かすことによって摩耗試験を行った。摩耗回数100回ごとに接触角を測定し、摩耗試験後の接触角が初めて100°以下となるまでの回数を測定した。
実施例1
特開2014−15609号公報の合成例1、2に記載の方法により、下記式(1)で表される化合物a(数平均分子量約8000、官能基の数は6〜18の整数)を合成した。なお官能基の数は、合成した化合物aのNMRスペクトルから算出した値とした。
Figure 0006887297
上記式(1)において、nは43であり、mは2〜6の整数である。
化合物(A)として上記式(1)で表される化合物a、溶剤としてFC−3283(フロリナート、3M社製)を混合し、室温で攪拌して、組成物を得た。該組成物中、化合物aの比率は0.08質量%である。得られた組成物を、前処理を行ったSUS304の上に、市販の霧吹きで塗布し、更に150℃、30分の条件で加温乾燥を行い、SUS304上に皮膜を得た。なお、前記前処理として、10質量%水酸化ナトリウム水溶液にSUS304を浸し、20分間の超音波洗浄を行った後、純水ですすぎ洗いをした後、純水で10分間の超音波洗浄を行い、表面に水分が残らないように十分に乾燥させる処理を行った。
実施例2
化合物(A)として上記式(1)で表される化合物a、フルオロアルキルシラン(B1)としてC613−C24−Si−(OC253(東京化成工業社製)、溶剤としてFC−3283(フロリナート、3M社製)を混合し、室温で所定の時間撹拌して、組成物を得た。該組成物中、化合物aの比率は0.08質量%であり、フルオロアルキルシラン(B1)の比率は0.05質量%である。それ以外は実施例1と同様にして皮膜を得た。
比較例1
下記式(2)で表される化合物b(数平均分子量4000、官能基の数は3)、溶剤としてFC−3283(フロリナート、3M社製)を混合し、室温で所定の時間撹拌して、組成物を得た。該組成物中、化合物bの比率は0.08質量%である。それ以外は実施例1と同様にして皮膜を得た。
Figure 0006887297
上記式(2)において、nは35〜45の整数である。
実施例1、2、比較例1で得られた皮膜について、接触角及び耐摩耗性を評価した結果を表1に示す。
Figure 0006887297
表1によれば、官能基を分子内に4つ以上有する化合物aを用いた実施例1、2では、良好な撥水性と共に、耐摩耗性に優れた皮膜を、噴霧によって簡便に被処理物に塗布できたことが分かる。
本発明によれば、撥水撥油性及び耐摩耗性に優れる皮膜を、例えば既設の工場における金型、加工機、ロール、ネジ、釘、塗装機、テーブル、壁、カーテン、釜、パイプ、配管、ケーブルといった箇所に、噴霧という簡便な方法で塗布することができ、有用である。

Claims (7)

  1. パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基を有すると共に、アルコキシ基を分子内に4つ以上有する化合物(A)を0.01〜0.2質量%と、この化合物(A)を分散又は溶解する溶剤と
    下記式(B1)で表されるフルオロアルキルシラン(B1)を0.01〜0.5質量%含むことを特徴とする噴霧塗布用組成物。
    Figure 0006887297
    上記式(B1)中、
    Rf 3 はそれぞれ独立してフッ素原子または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を表し、
    3 は水素原子を表し、
    Bはそれぞれ独立して、メトキシ基又はエトキシ基を表し、
    a2が1〜5、b2が0〜6、c2、d2及びe2がいずれも0であり、
    a2、b2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は、少なくとも一部でフルオロアルキルシリル基を形成する順序で並ぶ限り、式中において任意であり、
    mは3である。
  2. 前記化合物(A)における前記アルコキシ基の数が9つ以上である請求項1に記載の噴霧塗布用組成物。
  3. 前記化合物(A)は、前記パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基と、前記アルコキシ基がケイ素原子に結合している請求項1または2に記載の噴霧塗布用組成物。
  4. 前記化合物(A)が下記式(A1)で表される請求項1〜のいずれかに記載の噴霧塗布用組成物。
    Figure 0006887297
    上記式(A1)中、Rf1はフッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基、Rf2はそれぞれ独立して、フッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基、R1はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、R2はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、Gはそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NR−、−NRCO−、及び−CONR−のいずれか(Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基)を表し、Jはそれぞれ独立してアルコキシ基、Yはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Zはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表し、a1、b1、c1、d1、e1はそれぞれ独立して0以上600以下の整数であり、a1、b1、c1、d1、e1の合計値は13以上であり、g1は0以上2以下の整数、f1は2以上20以下の整数、h1は1以上3以下の整数であり、a1、b1、c1、d1、e1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は、少なくとも一部でパーフルオロポリエーテル構造を有する順で並ぶ限り、式中において任意である。
  5. パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基を有すると共に、アルコキシ基を分子内に4つ以上有する化合物(A)を0.01〜0.2質量%と、この化合物(A)を分散又は溶解する溶剤と
    下記式(B1)で表されるフルオロアルキルシラン(B1)を0.01〜0.5質量%含む組成物を、被処理物に塗布することを特徴とする防汚方法。
    Figure 0006887297

    上記式(B1)中、
    Rf 3 はそれぞれ独立してフッ素原子または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を表し、
    3 は水素原子を表し、
    Bはそれぞれ独立して、メトキシ基又はエトキシ基を表し、
    a2が1〜5、b2が0〜6、c2、d2及びe2がいずれも0であり、
    a2、b2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は、少なくとも一部でフルオロアルキルシリル基を形成する順序で並ぶ限り、式中において任意であり、
    mは3である。
  6. 前記被処理物が、金属面、セラミック面、樹脂面、又はセメント硬化物面を有する請求項に記載の防汚方法。
  7. 前記被処理物の設置現場で、噴霧塗布をする請求項5または6に記載の防汚方法。
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