JP6874608B2 - 水系リチウムイオン二次電池用負極の製造方法、及び、水系リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
「電気化学的に還元状態又は酸化状態に保持された負極」とは、負極が所定の還元電位又は酸化電位に保持されていることをいう。本開示の製造方法においては、電気化学的に還元状態又は酸化状態に保持された負極に対して非水電解液を接触させることで、例えば、負極の表面において非水電解液に含まれる成分が化学的に変化し、負極の表面に被膜が形成される。
「被膜」とは、非水電解液に含まれる成分に由来する被膜であって、負極に含まれる負極活物質よりも電子伝導性の低い被膜をいう。
図1に水系リチウムイオン二次電池用負極の製造方法S10の流れを示す。図1に示すように製造方法S10は、リチウム塩が溶解された非水電解液に、電気化学的に還元状態又は酸化状態に保持された負極を接触させることで、前記負極の表面に被膜を形成する、第1工程S1と、表面に前記被膜が形成された前記負極を洗浄する、第2工程S2と、を備えている。
第1工程S1において用いられる非水電解液は、溶媒として非水溶媒(有機溶媒)を含むとともに、当該溶媒に電解質としてリチウム塩が溶解されている。また、非水電解液には、上記の溶媒やリチウム塩以外に、添加剤が含まれていてもよい。非水電解液は、電気化学的に還元状態又は酸化状態に曝された場合に化学的に変化して被膜を形成する成分を含むものであればよい。被膜を形成する成分としては、後述するように、非水溶媒や所定の添加剤が挙げられる。
非水電解液を構成する非水溶媒(有機溶媒)は、非水電解液リチウムイオン二次電池に採用される非水溶媒として公知のものを採用可能である。非水溶媒は、電気化学的に還元状態又は酸化状態に曝された場合に分解して被膜を形成し得るものが好ましい。好ましい非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジエチルカーボネート(DEC)等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
第1工程S1においては、非水電解液に含まれる成分を化学的に変化させるために、還元状態又は酸化状態に保持された負極に対して非水電解液を接触させる。言い換えれば、第1工程においては、非水電解液に電圧を付与する。リチウム塩は、主に、電解液に効率的に電気を通すための溶質として機能する。非水電解液にリチウム塩を溶解させることで、非水電解液のイオン伝導性等が大きくなり、電圧付与時に効率的に被膜を形成させることができる。非水電解液に溶解されるリチウム塩は、非水電解液リチウムイオン二次電池に採用されるリチウム塩として公知のものを採用可能である。好ましいリチウム塩としては、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。非水電解液におけるリチウム塩の濃度は特に限定されるものではない。
非水電解液には、上記の溶媒やリチウム塩以外に、添加剤が含まれていてもよい。特に、上記の非水溶媒以外の有機化合物であって、還元状態又は酸化状態に曝された場合に被膜を形成する有機化合物が含まれることが好ましい。
第1工程S1において非水電解液と接触させる負極は、通常、負極集電体と、負極活物質を含むとともに負極集電体と接触する負極活物質層と、を備えている。ただし、負極活物質層の導電性が十分に高い場合、負極集電体の存在は任意である。
負極集電体は、水系リチウムイオン二次電池の負極集電体として使用可能な公知の導電材料を用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む金属材料を例示することができる。或いは、黒鉛シート等の炭素材料からなる集電体であってもよい。負極集電体の形態は特に限定されるものではない。箔状、メッシュ状、多孔質状等、種々の形態とすることができる。
負極活物質層は負極集電体と接触する。例えば、負極活物質等を含むスラリーを負極集電体の表面に塗工して乾燥することで負極集電体の表面に負極活物質層を積層する。或いは、負極活物質等を負極集電体とともに乾式成形することで、負極集電体の表面に負極活物質層を積層することもできる。
負極活物質層は、負極活物質に加えて、導電助剤やバインダーを含んでいることが好ましい。
第1工程S1においては、上記の構成を備える負極を還元状態又は酸化状態に保持しつつ、上記の非水電解液と接触させる。すなわち、非水電解液と接触させる際、負極は所定の還元電位又は酸化電位に保持されている。負極の電位は非水電解液に含まれる成分を化学的に変化させて被膜を形成可能な電位であればよい。例えば、還元被膜を形成する場合、負極の電位を0.01V(vs. Li/Li+)以上1V(vs. Li/Li+)以下とすることが好ましい。下限がより好ましくは0.1V以上、上限がより好ましくは0.8V以下である。電位が低すぎると金属リチウムが成長し、高すぎると被膜の成膜製が悪くなる場合がある。一方で、酸化被膜を形成する場合は、負極の電位を4V(vs. Li/Li+)以上5(Vvs. Li/Li+)以下とすることが好ましい。下限がより好ましくは4.2V以上、上限がより好ましくは4.8V以下である。負極をこのような電位に保持した場合、負極の表面により効率的に被膜を形成することができる。
この場合、対極としては、金属リチウムのほか、LiMn2O4、LiFePO4、NiとMnとCoとを含むリチウム複合酸化物等の非水系リチウムイオン二次電池の正極活物質として公知のものを用いることができる。また、充電及び/又は放電時の電流は0.01mA/cm2以上10mA/cm2以下とすることが好ましい。電流が小さいと被膜の形成に時間がかかり、大き過ぎると被膜の均一性に劣る場合がある。
第1工程において負極の表面に形成される被膜は、上述したように、非水電解液に含まれる成分が化学的に変化したものである。被膜の厚みは特に限定されるものではないが、例えば、被膜の厚みを1nm以上10μm以下とすることが好ましい。被膜の厚みは、第1工程における非水電解液と負極との接触時間や負極の還元状態又は酸化状態等によって適宜調整可能である。被膜の組成についても特に限定されるものではない。被膜が非水溶媒由来の成分(非水溶媒の分解によって生じた成分)からなる場合、当該被膜には構成元素としてH、C及びOが含まれるものと考えられる。また、非水電解液から被膜形成される際、非水電解液に含まれるリチウム塩由来の成分も被膜に取り込まれていると考えられる。一方、被膜が上記の所定の添加剤由来の成分からなる場合、当該被膜には上記の所定の有機化合物を構成単位とする重合体が含まれるものと考えられる。非水電解液に含まれる成分が化学的に変化して形成される被膜は、負極に含まれる負極活物質よりも電子伝導性が低い。すなわち、被膜は、負極を水系リチウムイオン二次電池に適用した場合に負極と水系電解液との間の電子授受を阻害するための保護膜として機能する。
製造方法S10においては、第1工程S1において表面に被膜が形成された負極を、第2工程において洗浄する。第2工程S2においては、非水溶媒(有機溶媒)を用いて負極を洗浄することが好ましい。例えば、上記の非水電解液を構成し得る非水溶媒を用いて負極の表面を洗い流すことで、負極の表面に残留した非水電解液由来のリチウム塩等を溶解させて除去することができる。洗浄時間や洗浄回数は特に限定されるものではない。上述したように、負極の表面に形成された被膜は、電気化学的に形成された強固な被膜であることから、第2工程において容易に洗い流されることはない。すなわち、第2工程においては、負極の表面に被膜を残しつつ、負極の表面から不要な残留物(リチウム塩等)を適切に除去することができる。負極の洗浄後は適宜乾燥を行う。乾燥は自然乾燥であっても機械的な乾燥であってもよい。
図2に水系リチウムイオン二次電池の製造方法S100の流れを示す。図2に示すように製造方法S100は、製造方法S10によって負極を製造する工程と、正極を製造する工程S20と、水系電解液を製造する工程S30と、製造した前記負極、前記正極及び前記水系電解液を電池ケースに収容する工程S40と、を備えている。尚、負極、正極及び水系電解液の製造の順序は特に限定されるものではない。
製造方法S100においては、既に説明した製造方法S10によって負極100を製造する。負極100を構成する負極集電体10、負極活物質層20、負極活物質21、導電助剤22及びバインダー23については、既に説明した通りである。負極100は表面に被膜(不図示)を有している。例えば、負極集電体10の表面に負極活物質層20を積層した後で、上述の第1工程S1及び第2工程S2を行うことで、表面に被膜を有する負極100を製造可能である。
正極200は、正極集電体30と、正極活物質41を含むとともに正極集電体30と接触する正極活物質層40とを備えている。正極200を製造する工程S21は、公知の工程と同様とすればよい。例えば、正極活物質層40を構成する正極活物質41等を溶媒に分散させて正極合剤ペースト(スラリー)を得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができる。ドクターブレード等を用いて正極合剤ペースト(スラリー)を正極集電体30の表面に塗工し、その後乾燥させることで、正極集電体30の表面に正極活物質層40を形成し、正極200とする。塗工方法としては、ドクターブレード法のほか、静電塗布法、ディップコート法、スプレーコート法等を採用することもできる。或いは、正極活物質41等を正極集電体30とともに乾式成形することで、正極集電体30の表面に正極活物質層40を積層することもできる。
正極集電体30としては、水系リチウムイオン二次電池の正極集電体として使用可能な公知の金属を用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む金属材料を例示することができる。或いは、黒鉛シート等の炭素材料からなる集電体であってもよい。正極集電体30の形態は特に限定されるものではない。箔状、メッシュ状、多孔質状等、種々の形態とすることができる。
正極活物質層40は正極活物質41を含んでいる。また、正極活物質層40は正極活物質41以外に導電助剤42やバインダー43を含んでいてもよい。
水系電解液は、少なくとも水を含む溶媒と電解質とを混合することによって製造することができる。
溶媒は主成分として水を含んでいる。すなわち、電解液を構成する溶媒(液体成分)の全量を基準(100mol%)として、50mol%以上、好ましくは70mol%以上、より好ましくは90mol%以上を水が占めている。一方、溶媒に占める水の割合の上限は特に限定されない。
水系電解液50は電解質を含む。水系電解液用の電解質そのものは公知である。例えば、電解質はリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を含むことが好ましい。電解質は主成分としてLiTFSIを含むことがより好ましい。すなわち、電解液に含まれている(溶解している)電解質の全量を基準(100mol%)として、好ましくは50mol%以上、より好ましくは70mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上をLiTFSIが占めている。
水系電解液50は上記の溶媒や電解質に加えて、その他の成分を含んでいてもよい。例えば、カチオンとしてリチウム以外のアルカリ金属、アルカリ土類金属等をその他の成分として添加することが可能である。さらには、水系電解液50のpHを調整するために水酸化リチウム等が含まれていてもよい。
電解液系のリチウムイオン二次電池においては、負極活物質層の内部、正極活物質層の内部、及び、負極活物質層と正極活物質層との間に電解液が存在しており、これにより、負極活物質層と正極活物質層との間のリチウムイオン伝導性が確保される。電池1000においてもこの形態が採用されている。具体的には、電池1000においては、負極活物質層20と正極活物質層40との間にセパレータ51が設けられており、当該セパレータ51と負極活物質層20と正極活物質層40とは、ともに水系電解液50に浸漬されている。水系電解液50は、負極活物質層20及び正極活物質層40の内部に浸透しており、負極集電体10及び正極集電体30と接触している。
製造した負極100、正極200及び水系電解液50は、電池ケースに収容されて水系リチウムイオン二次電池1000となる。例えば、負極100と正極200とでセパレータ51を挟み込み、負極集電体10、負極活物質層20、セパレータ51、正極活物質層40及び正極集電体30をこの順に有する積層体を得る。積層体には必要に応じて端子等のその他の部材を取り付ける。積層体を電池ケースに収容するとともに電池ケース内に水系電解液50を充填し、積層体を水系電解液50に浸漬するようにして、電池ケース内に積層体及び電解液を密封することで、水系リチウムイオン二次電池1000とすることができる。
本開示の製造方法S10により製造された負極100や、本開示の製造方法S1000により製造された電池1000は、物として新規である。すなわち、本願は水系リチウムイオン二次電池用負極や、水系リチウムイオン二次電池の物としての発明を開示するものともいえる。例えば、以下の(1)〜(4)に記載の通りである。尚、各部材の好ましい構成材料については既に説明したものと同様であることから、ここでは詳細な説明は省略する。
(1)表面に被膜を有する水系リチウムイオン二次電池用負極であって、前記被膜が、非水溶媒由来の成分を含む、水系リチウムイオン二次電池用負極。
(2)前記被膜が還元条件下又は酸化条件下において非水溶媒を含む非水電解液を分解することによって得られるものである、(1)に記載の負極。
(3)表面に被膜を有する水系リチウムイオン二次電池用負極であって、前記被膜が、ビニル基を有する有機化合物、ケイ素に隣接して炭素が結合されるとともに該炭素が三重結合又は二重結合を有する有機ケイ素化合物、及び、リンに隣接して2つ以上の酸素が結合されている有機リン化合物、からなる群より選択される少なくとも1種の有機化合物の重合体を含む、水系リチウムイオン二次電池用負極。
(4)負極、正極及び水系電解液を備える水系リチウムイオン二次電池であって、前記負極が(1)〜(3)のいずれかに記載の負極である、水系リチウムイオン二次電池。
以下の予備実験により、負極の表面に被膜を形成することによる効果を確認した。
(負極の製造)
負極として黒鉛シート(φ16mm)と、非水溶媒(EM:DMC:EMC=3:4:3)に1MのLiPF6を溶解した非水電解液と、対極として金属リチウムと、を用い、非水リチウムイオン二次電池を作製した。作製した電池を、25℃で0.5Vまで0.1mAで放電し、0.5V(vs.Li/Li+)にて10時間保持し、その後3Vまで0.1mAで充電することで、黒鉛シート上に被膜を形成した。電池を分解して負極を取り出し、EMCを用いて負極の表面を洗い流して残留物を除去し、表面に被膜が形成された負極を得た。
上記のようにして表面に被膜が形成された負極と、対極として金を蒸着したSUS板と、参照極としてAg/AgCl電極と、水1kgあたりLiTFSIを21mol溶解させてなる水系電解液と、を用いて水系リチウムイオン電池を製造した。
製造した水系リチウムイオン電池において、基準電極のAg/AgCl電極に対して0.44V〜3.244V(vs.Li/Li+)の範囲で作用電極(φ13mm)を10mV/sでスキャンした。0.1mAの還元電流が流れた時の電圧を、水系電解液の還元側電位窓とした。
下記表1に示す条件にて非水電解液中に所定の添加剤を所定の量で添加するとともに所定の被膜形成電位及び被膜形成温度にて被膜を形成したこと以外は、参考例1と同様にして、参考例2〜15に係る水系リチウムイオン電池を製造した。また、被膜を形成せずに黒鉛シートをそのまま負極として用いて比較例1に係る水系リチウムイオン電池を製造した。製造した水系リチウムイオン電池に対して参考例1と同様にして電位窓の評価を行った。尚、下記表1において、添加量(wt%)とは、添加剤が添加される前の非水電解液を基準(100wt%)としたものである。すなわち、非水電解液100重量部に対して、そこに1又は10重量部の添加剤を加えた。
図4に示すように、比較例1に係る電池における水系電解液の還元側電位窓が1.64Vであるのに対し、参考例1に係る電池における水系電解液の還元側電位窓は1.52Vにまで拡大した。
図5に示すように、被膜形成時に非水電解液中にビニル基を有する有機化合物を添加した参考例2〜6に係る電池は、比較例1や参考例1に係る電池と比較して、水系電解液の還元側電位窓を1.45V以下にまでさらに拡大することができた。
図6に示すように、被膜形成時に非水電解液中に所定の有機ケイ素化合物を添加した参考例7〜10に係る電池は、比較例1や参考例1に係る電池と比較して、水系電解液の還元側電位窓を1.49V以下にまでさらに拡大することができた。
図7に示すように、被膜形成時に非水電解液中に所定の有機リン化合物を添加した参考例11、12に係る電池は、比較例1や参考例1に係る電池と比較して、水系電解液の還元側電位窓を1.45V以下にまでさらに拡大することができた。
図8に示すように、被膜形成時に非水電解液中に窒素を含む芳香環を有するとともにビニル基を有する有機化合物を添加し、且つ、被膜形成温度を高温とした参考例13〜15に係る電池は、比較例1や参考例1に係る電池と比較して、水系電解液の還元側電位窓を1.17V以下にまで大きく拡大することができた。
上記の予備実験の結果に基づき、実際に負極活物質を有する負極に対して被膜形成処理を行い、その効果を確認した。
(負極の製造)
負極活物質(LTO)、導電助剤(カーボンブラック)、バインダー(PVdF)を質量比で85:10:5の割合で含む負極スラリーを、負極集電体(上記の黒鉛シート)の上に塗工し、乾燥して、負極を得た。得られた負極に対して、参考例1と同様の条件で被膜を形成し、表面に被膜を有する負極を製造した。
正極活物質(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)、導電助剤(カーボンブラック)、バインダー(PVdF)を質量比で85:10:15の割合で含む正極スラリーを、正極集電体(Ti箔)の上に塗工し、乾燥して、正極を製造した。
上記のようにして表面に被膜が形成された負極と、上記のようにして製造した正極と、参照極としてAg/AgCl電極と、水1kgあたりLiTFSIを21mol溶解させてなる水系電解液と、を用いて水系リチウムイオン二次電池を製造した。
製造した水系リチウムイオン二次電池について、以下の条件にて充電及び放電を行い、放電容量を測定した。
充電/放電電流:0.1mA
充電/放電終止電流:0.01mA
終止時間:10h
負極に対して、参考例5と同様の条件で被膜を形成し、表面に被膜を有する負極を製造したこと以外は、実施例1と同様にして水系リチウムイオン二次電池を製造し、充電及び放電を行い、放電容量を測定した。
負極に対して、参考例8と同様の条件で被膜を形成し、表面に被膜を有する負極を製造したこと以外は、実施例1と同様にして水系リチウムイオン二次電池を製造し、充電及び放電を行い、放電容量を測定した。
負極に対して、参考例11と同様の条件で被膜を形成し、表面に被膜を有する負極を製造したこと以外は、実施例1と同様にして水系リチウムイオン二次電池を製造し、充電及び放電を行い、放電容量を測定した。
負極に対して、参考例15と同様の条件で被膜を形成し、表面に被膜を有する負極を製造したこと以外は、実施例1と同様にして水系リチウムイオン二次電池を製造し、充電及び放電を行い、放電容量を測定した。
負極の製造において、被膜形成処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして水系リチウムイオン二次電池を製造し、実施例1と同様にして充放電試験を行った。
図9に比較例2に係る水系リチウムイオン二次電池の充放電試験結果を、図10〜14に実施例1〜5に係る水系リチウムイオン二次電池の充放電試験結果を示す。図9に示す結果から明らかなように、LTO負極に対して被膜形成を行わなかった場合、2.5V付近で水系電解液の電気分解が生じ、LTOの酸化還元反応が確認できなかった。
これに対して、図10〜14に示す結果から明らかなように、LTO負極に対して被膜形成を行うことで、LTOのプラトーが充電時及び放電時の双方に確認できた。
図10に示す実施例1については、充電容量が0.3mAhに対して放電容量が0.15mAhと、クーロン効率は50%であった。
図11に示す実施例2については、充電容量が0.2mAhに対して放電容量が0.14mAhで、クーロン効率は70%であった。
図12に示す実施例3については、0.12mAhの放電容量が得られた。
図13に示す実施例4については、0.04mAhの放電容量が得られた。
図14に示す実施例5については、0.15mAhの放電容量が得られた。
20 負極活物質層
21 負極活物質
22 導電助剤
23 バインダー
30 正極集電体
40 正極活物質層
41 正極活物質
42 導電助剤
43 バインダー
50 水系電解液
51 セパレータ
100 負極
200 正極
1000 水系リチウムイオン二次電池
Claims (7)
- リチウム塩が溶解された非水電解液に、電気化学的に還元状態又は酸化状態に保持された負極を接触させることで、前記負極の表面に被膜を形成する、第1工程と、
表面に前記被膜が形成された前記負極を、前記負極の表面に前記被膜を残しつつ洗浄する、第2工程と、
を備える、水系リチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 前記非水電解液には、ビニル基を有する有機化合物、ケイ素に隣接して炭素が結合されるとともに該炭素が三重結合又は二重結合を有する有機ケイ素化合物、及び、リンに隣接して2つ以上の酸素が結合されている有機リン化合物、からなる群より選択される少なくとも1種の有機化合物が含まれている、
請求項1に記載の製造方法。 - 前記ビニル基を有する有機化合物が、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、メタクリル酸メチル及びスチレンからなる群より選択される少なくとも1つの有機化合物であり、
前記有機ケイ素化合物が、1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジイン、トリメチルシリルアセチレン、トリメトキシフェニルシラン及びトリエトキシフェニルシランからなる群より選択される少なくとも1つの有機化合物であり、
前記有機リン化合物が、(アミノメチル)ホスホン酸及びリン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)からなる群より選択される少なくとも1つの有機化合物である、
請求項2に記載の製造方法。 - 前記非水電解液には、前記ビニル基を有する有機化合物が溶解されており、
前記ビニル基を有する有機化合物が、窒素を含む芳香環を有しており、
前記第1工程において、前記非水電解液の温度を50℃以上70℃以下とする、
請求項2に記載の製造方法。 - 前記ビニル基を有する有機化合物が、ビニルイミダゾール及びビニルピリジンからなる群より選択される少なくとも1つの有機化合物である、
請求項4に記載の製造方法。 - 前記負極には負極活物質としてLi4Ti5O12が含まれる、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法によって負極を製造する工程と、
正極を製造する工程と、
水系電解液を製造する工程と、
製造した前記負極、前記正極及び前記水系電解液を電池ケースに収容する工程と、
を備える、水系リチウムイオン二次電池の製造方法。
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