JP6819518B2 - 水系リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
正極100は正極活物質21を含んでいる。具体的には、正極100は、正極集電体10と、正極活物質21を含むとともに正極集電体10と接触する正極活物質層20とを備えている。
正極集電体10としては、水系リチウムイオン二次電池の正極集電体として使用可能な公知の金属を用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む金属材料を例示することができる。正極集電体10の形態は特に限定されるものではない。箔状、メッシュ状、多孔質状等、種々の形態とすることができる。
正極活物質層20は正極活物質21を含んでいる。また、正極活物質層20は正極活物質21以外に導電助剤22やバインダー23を含んでいてもよい。
負極200は負極活物質41を含んでいる。具体的には、負極200は、負極集電体30と、負極活物質41を含むとともに負極集電体30と接触する負極活物質層40とを備えている。
負極集電体30は、水系リチウムイオン二次電池の負極集電体として使用可能な公知の金属を用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む金属材料を例示することができる。二次電池としてのサイクル安定性の観点からはTi、Pb、Zn、Sn、Zr、Inが好ましく、中でもTiが好ましい。負極集電体30の形態は特に限定されるものではない。箔状、メッシュ状、多孔質状等、種々の形態とすることができる。
負極活物質層40は負極活物質41を含んでいる。また、負極活物質層40は負極活物質41以外に導電助剤42やバインダー43を含んでいてもよい。
水系電解液50は、溶媒として水を含むとともに、電解質としてLiTFSIを含む。具体的には、水1kgに対してLiTFSIを21mol以上の濃度で含んでいる。さらに、水1kgに対してLiTFSIのみを上記濃度で溶解させた場合のpHよりも、水系電解液50のpHの方が小さいことが重要である。
溶媒は主成分として水を含んでいる。すなわち、電解液を構成する溶媒(液体成分)の全量を基準(100mol%)として、50mol%以上、好ましくは70mol%以上、より好ましくは90mol%以上を水が占めている。一方、溶媒に占める水の割合の上限は特に限定されない。
水系電解液50は電解質としてLiTFSIを含む。具体的には、水1kgあたりLiTFSIを21mol以上の濃度で含む。上限は特に限定されるものではなく、例えば、25mol以下とすることが好ましい。水系電解液50においては、LiTFSIの濃度が高まるほど、水系電解液50の還元側電位窓が拡大する傾向にある。
水系電解液50は上記の溶媒や電解質に加えて、その他の成分を含んでいてもよい。例えば、カチオンとしてリチウム以外のアルカリ金属、アルカリ土類金属等をその他の成分として添加することが可能である。さらには、水系電解液50のpHを調整するために酸やアルカリ(水酸化リチウム等)が含まれていてもよい。特に、本開示の水系電解液50においては、pHを低下させるために酸成分を含ませることが重要である。
電解液系のリチウムイオン二次電池においては、負極活物質層の内部、正極活物質層の内部、及び、負極活物質層と正極活物質層との間に電解液が存在しており、これにより、負極活物質層と正極活物質層との間のリチウムイオン伝導性が確保される。電池1000においてもこの形態が採用されている。具体的には、電池1000においては、正極活物質層20と負極活物質層40との間にセパレータ51が設けられており、当該セパレータ51と正極活物質層20と負極活物質層40とは、ともに水系電解液50に浸漬されている。水系電解液50は、正極活物質層20及び負極活物質層40の内部に浸透している。
(1)正極活物質層20を構成する正極活物質21等を溶媒に分散させて正極合剤ペースト(スラリー)を得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができる。ドクターブレード法、静電塗布法、ディップコート法、スプレーコート法等を用いて正極合剤ペースト(スラリー)を正極集電体10の表面に塗工し、その後乾燥させることで、正極集電体10の表面に正極活物質層20を形成し、正極100とする。
(2)負極活物質層40を構成する負極活物質41等を溶媒に分散させて負極合剤ペースト(スラリー)を得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができる。ドクターブレード法、静電塗布法、ディップコート法、スプレーコート法等を用いて負極合剤ペースト(スラリー)を負極集電体30の表面に塗工し、その後乾燥させることで、負極集電体30の表面に負極活物質層40を形成し、負極200とする。
(3)正極100と負極200とでセパレータ51を挟み込み、正極集電体10、正極活物質層20、セパレータ51、負極活物質層40及び負極集電体30をこの順に有する積層体を得る。積層体には必要に応じて端子等のその他の部材を取り付ける。
(4)積層体を電池ケースに収容するとともに電池ケース内に水系電解液50を充填し、積層体を水系電解液50に浸漬するようにして、電池ケース内に積層体及び電解液を密封することで、電池1000とする。
非水系電解液として1M−LiPF6と溶媒としてEC/DMC/EMCとを用いて非水電解液を作製し、これとLiMn2O4電極(対極Li)とを用いて非水系リチウムイオン電池を作製し、充放電曲線を確認した。結果を図2に示す。図2に示すように、LiMn2O4はリチウムイオンの充放電曲線において4V近傍と3V近傍との2段階の電圧プラトーを有することが分かる。すなわち、LiMn2O4を正極活物質及び負極活物質の双方として機能させた場合、1V級の電池を構成可能と考えられる。
非水系電解液として1M−LiPF6と溶媒としてEC/DMC/EMCとを用いて非水電解液を作製し、これとLiNi0.5Mn1.5O4電極(対極Li)とを用いて非水系リチウムイオン電池を作製し、充放電曲線を確認した。結果を図3に示す。図3に示すように、LiNi0.5Mn1.5O4はリチウムイオンの充放電曲線において4.8V近傍と2.8V近傍との2段階の電圧プラトーを有することが分かる。すなわち、LiNi0.5Mn1.5O4を正極活物質及び負極活物質の双方として機能させた場合、2V級の電池を構成可能と考えられる。
非水系電解液として1M−LiPF6と溶媒としてEC/DMC/EMCとを用いて非水電解液を作製し、これとLiCoMnO4電極(対極Li)とを用いて非水系リチウムイオン電池を作製し、充放電曲線を確認した。結果を図4に示す。図4に示すように、LiCoMnO4はリチウムイオンの充放電曲線において5V近傍と2.5V近傍との2段階の電圧プラトーを有することが分かる。すなわち、LiCoMnO4を正極活物質及び負極活物質の双方として機能させた場合、2V超級の電池を構成可能と考えられる。
2.1.参考例1
正極活物質及び負極活物質としてLiMn2O4を用い、導電助剤としてアセチレンブラック(AB)を用い、バインダーとしてPVdFを用い、15μm厚のTi箔上に活物質層を形成した。活物質層における組成比は活物質/導電助剤/バインダー=85/10/5wt%とし、電極目付は3mg/cm2(15μmt)とした。
純水にLiTFSIを21mol/kgの濃度で溶解し、水系電解液とした。
上記の各電極と水系電解液とポリオレフィン樹脂からなるセパレータとを用い、CR2032コインセルを作製した。
正極活物質及び負極活物質としてLiNi0.5Mn1.5O4(リチウムとニッケルとマンガンとを含むスピネル型の複合酸化物)を用い、導電助剤としてABを用い、バインダーとしてPVdFを用い、15μm厚のTi箔上に活物質層を形成した。活物質層における組成比は活物質/導電助剤/バインダー=85/10/5wt%とし、電極目付は3mg/cm2(15μmt)とした。
純水にLiTFSIを21mol/kgの濃度で溶解し、さらに、HTFSIを添加してpHを1未満に調整し、水系電解液とした。
上記の各電極と水系電解液とポリオレフィン樹脂からなるセパレータとを用い、CR2032コインセルを作製した。
正極活物質及び負極活物質としてLiCoMnO4(リチウムとコバルトとマンガンとを含むスピネル型の複合酸化物)を用い、導電助剤としてABを用い、バインダーとしてPVdFを用い、15μm厚のTi箔上に活物質層を形成した。活物質層における組成比は活物質/導電助剤/バインダー=85/10/5wt%とし、電極目付は3mg/cm2(15μmt)とした。
純水にLiTFSIを21mol/kgの濃度で溶解し、さらに、HTFSIを添加してpHを1未満に調整し、水系電解液とした。
上記の各電極と水系電解液とポリオレフィン樹脂からなるセパレータとを用い、CR2032コインセルを作製した。
水系電解液にHTFSIを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、CR2032コインセルを作製した。
水系電解液にHTFSIを添加しなかったこと以外は実施例2と同様にして、CR2032コインセルを作製した。
参考例に係るコインセルについて、10Cの電流値で上下限電圧を2.0V−0.5Vとして充放電曲線を確認した。
実施例1及び比較例1に係るコインセルについて、10Cの電流値で上下限電圧を2.5V−0.5Vとして充放電曲線を確認した。
実施例2及び比較例2に係るコインセルについて、10Cの電流値で上下限電圧を3.0V−0.5Vとして充放電曲線を確認した。
図5に参考例に係るコインセルの充放電曲線を、図6に実施例1に係るコインセルの充放電曲線を、図7に実施例2に係るコインセルの充放電曲線を、図8に比較例1に係るコインセルの充放電曲線を、図9に比較例2に係るコインセルの充放電曲線を、それぞれ示す。
よって、上記の実施例においては正極活物質及び負極活物質としてLiNi0.5Mn1.5O4やLiCoMnO4を例示したが、本開示の電池に適用可能な活物質はこれら具体的な組成を有するものに限られず、リチウムとニッケルとマンガンとを含むスピネル型の複合酸化物やリチウムとコバルトとマンガンとを含むスピネル型の複合酸化物のいずれであっても適用可能と考えられる。
20 正極活物質層
21 正極活物質
22 導電助剤
23 バインダー
30 負極集電体
40 負極活物質層
41 負極活物質
42 導電助剤
43 バインダー
50 水系電解液
51 セパレータ
100 正極
200 負極
1000 水系リチウムイオン二次電池
Claims (1)
- 正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、水系電解液とを備える水系リチウムイオン二次電池であって、
前記正極活物質及び前記負極活物質は、ともに、リチウムとニッケルとマンガンとを含むスピネル型の複合酸化物、又は、リチウムとコバルトとマンガンとを含むスピネル型の複
合酸化物を含み、
前記水系電解液は、水1kgに対してLiTFSIを21mol以上の濃度で含み、HTFSIを含み、かつ、pHが1未満である、
水系リチウムイオン二次電池。
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