JP2020053374A - 水系リチウムイオン電池の負極用導電助剤 - Google Patents

水系リチウムイオン電池の負極用導電助剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2020053374A
JP2020053374A JP2018184697A JP2018184697A JP2020053374A JP 2020053374 A JP2020053374 A JP 2020053374A JP 2018184697 A JP2018184697 A JP 2018184697A JP 2018184697 A JP2018184697 A JP 2018184697A JP 2020053374 A JP2020053374 A JP 2020053374A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
active material
electrode active
carbon
positive electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018184697A
Other languages
English (en)
Inventor
健志 當寺ヶ盛
Takeshi Tojigamori
健志 當寺ヶ盛
博司 陶山
Hiroshi Toyama
博司 陶山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2018184697A priority Critical patent/JP2020053374A/ja
Publication of JP2020053374A publication Critical patent/JP2020053374A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

【課題】水系リチウムイオン電池の充放電時、負極表面における水系電解液の電気分解を抑制する。【解決手段】負極の導電助剤として結晶子サイズLcが44Å以上のカーボンを用いる。結晶子サイズの大きなカーボンは水分解反応の起点となる官能基やエッジ部が少なく、カーボン表面における水系電解液の電気分解を抑制できる。【選択図】図2

Description

本願は水系電解液を備える水系リチウムイオン電池の負極に用いられる導電助剤等を開示する。
可燃性の非水系電解液を備える非水系リチウムイオン電池は、安全対策のため部材点数が多くなる結果、電池全体としての体積当たりのエネルギー密度が小さくなるといった課題がある。一方、不燃性の水系電解液を備える水系リチウムイオン電池は、上記の安全対策を削減できることから、体積当たりのエネルギー密度を大きくすることができる等、様々な利点を有する。しかしながら、従来の水系電解液は電位窓が狭く、電池の充放電時に電解液の電気分解が生じ易いという課題がある。
水系電解液が有する上記の課題を解決する手段の一つとして、非特許文献1には、水系電解液に特定のリチウム塩を高濃度で溶解させることで、水系電解液の電位窓を拡大させることが開示されている。
Yuki Yamada et al., "Hydrate-melt electrolytes for high-energy-density aqueous batteries", NATURE ENERGY (26 AUGUST 2016)
非特許文献1に開示されているように水系電解液の電位窓を拡大させたとしても、電池の充放電時における水系電解液の電気分解を十分に抑制できるとはいい難い。例えば、水系リチウムイオン電池を低レートで充放電した場合、負極において水系電解液の電気分解(還元分解による水素発生)が生じ易く、電池のサイクル安定性が悪化する。
本願は、上記課題を解決するための手段の一つとして、結晶子サイズLcが44Å以上のカーボンからなる、水系リチウムイオン電池の負極用導電助剤を開示する。
水系リチウムイオン電池の負極においては負極材料表面からの電子の授受によって水系電解液の電気分解(還元分解)が生じ得る。本発明者の推定では、負極中にカーボン系の導電助剤を含ませた場合、カーボンの表面の官能基(水酸基、カルボキシル基等)やエッジ部が反応の起点となり易く、水系電解液の電気分解が生じ易い。これに対し、結晶子サイズの大きな高結晶化カーボンは表面に反応の起点となる官能基やエッジ部が少ない。本発明者の新たな知見によれば、このような高結晶化カーボンを水系リチウムイオン電池の負極用導電助剤として用いることで、負極における水系電解液の電気分解を抑制できるものと考えられ、電池のサイクル安定性を高めることができる。
水系リチウムイオン電池100の構成を説明するための概略図である。 負極に用いた導電助剤の種類と水系リチウムイオン電池の容量維持率との関係を示す図である。
1.水系リチウムイオン電池の負極用導電助剤
本開示の導電助剤は、水系リチウムイオン電池の負極に用いられる導電助剤であって、結晶子サイズLcが44Å以上のカーボンからなることを特徴とする。カーボンの結晶子サイズについてはX線回折測定により容易に特定できる。カーボンの種類は特に限定されるものではなく、結晶子サイズLcが44Å以上のものであれば、いずれも採用可能である。例えば、ケッチェンブラック(KB)、気相法炭素繊維(VGCF)、アセチレンブラック(AB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)、カーボンブラック、コークス、黒鉛等である。中でも、カーボンブラック及びカーボンナノチューブのうちの少なくとも一つが好ましい。
本開示の導電助剤は複数種類のカーボンの混合物としてもよい。本発明者の新たな知見によれば、導電助剤として、結晶子サイズLcが44Å以上のカーボンブラックと、結晶子サイズLcが44Å以上のカーボンナノチューブとの混合物を用いた場合、電池のサイクル安定性がさらに向上する。長いカーボンと短いカーボンとを組み合わせた場合、ガス発生後のパス形成に有利に働くものと推定される。
以上の通り、本開示の導電助剤はカーボンの結晶子サイズLcが大きい点に一つの特徴がある。結晶子サイズの大きな高結晶化カーボンは表面に反応の起点となる官能基やエッジ部が少ない。本発明者の新たな知見によれば、このような高結晶化カーボンを水系リチウムイオン電池の負極用導電助剤として用いることで、負極における水系電解液の電気分解を抑制できるものと考えられ、電池のサイクル安定性を高めることができる。
図1に本開示の負極用導電助剤を備えた水系リチウムイオン電池100の構成を概略的に示す。水系リチウムイオン電池100は負極10、正極20及び水系電解液30を備えている。負極10は負極集電体11と負極活物質層12とを備え、負極活物質層12は負極活物質12aと、導電助剤としてのカーボン12bと、任意成分としてバインダー12cとを備えている。以下、図1を参照しつつ、本開示の導電助剤が適用される負極10や水系リチウムイオン電池100の一例について説明する。
2.水系リチウムイオン電池用負極
本開示の水系リチウムイオン電池用負極10は、少なくとも負極活物質12aと導電助剤としてのカーボン12bとを含み、前記カーボン12bの結晶子サイズLcが44Å以上であることを特徴とする。負極10は導電助剤として含まれるカーボン12bが上記の結晶子サイズを満たしていればよく、カーボン12b以外の構成については、水系リチウムイオン電池の負極として公知のものをいずれも採用可能である。特に、負極10は、負極集電体層11を備えることが好ましく、負極集電体層11と接触する負極活物質層12を備えることが好ましい。
2.1.負極集電体層
負極集電体層11は、水系リチウムイオン電池の負極集電体として使用可能な公知の金属により構成することができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む金属材料を例示することができる。特に、負極集電体層の表面のうち水系電解液と接触する表面がAl、Ti、Pb、Zn、Sn、Mg、Zr及びInからなる群より選ばれる少なくとも1つから構成されることが好ましく、Ti、Pb、Zn、Sn、Mg、Zr及びInからなる群より選ばれる少なくとも1つから構成されることがより好ましく、Tiから構成されることが特に好ましい。これらはいずれも仕事関数が低く、電池の充放電時に水系電解液と接触したとしても水系電解液の電気分解が生じ難い。これにより、電池とした場合のサイクル安定性が向上する。負極集電体層11の形態は特に限定されるものではない。箔状、メッシュ状、多孔質状等、種々の形態とすることができる。基材の表面に上記の金属をめっき・蒸着したものであってもよい。
2.2.負極活物質層
負極活物質層12は負極活物質12aと導電助剤として上記のカーボン12bとを含んでいる。また、負極活物質層12は負極活物質12aやカーボン12b以外にバインダー12cを含んでいてもよい。また、負極10の性能を過度に損なわない限り、カーボン12b以外の導電助剤を含んでいてもよい。
負極活物質12aは、水系電解液の電位窓を考慮して選定すればよい。例えば、リチウム−遷移金属複合酸化物;酸化チタン;Mo等の金属硫化物;単体硫黄;LiTi(PO;NASICON型化合物等である。特に、酸化チタンやチタン酸リチウム等のチタン系活物質が好ましい。負極活物質12aの形状は特に限定されるものではない。例えば、粒子状とすることが好ましい。負極活物質12aを粒子状とする場合、その一次粒子径が1nm以上100μm以下であることが好ましい。下限がより好ましくは10nm以上、さらに好ましくは50nm以上、特に好ましくは100nm以上であり、上限がより好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。負極活物質12aは1次粒子同士が集合して2次粒子を形成していてもよい。この場合、2次粒子の粒子径は、特に限定されるものではないが、通常0.5μm以上200μm以下である。下限が好ましくは1μm以上であり、上限が好ましくは20μm以下である。負極活物質12aの粒子径がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に一層優れる負極活物質層12を得ることができる。負極活物質層12に含まれる負極活物質12aの量は特に限定されるものではない。例えば、負極活物質層12全体を基準(100質量%)として、負極活物質12aが好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上含まれている。上限は特に限定されるものではないが、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下である。負極活物質12aの含有量がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に一層優れる負極活物質層12を得ることができる。
負極活物質層12は導電助剤としてカーボン12bを含む。カーボン12bは結晶子サイズLcが44Å以上である。カーボン12bの形状は特に限定されるものではない。上述したように、粉末状、繊維状等、種々のカーボンを採用できる。負極活物質層12に含まれるカーボン12bの量は特に限定されるものではない。例えば、負極活物質層全体を基準(100質量%)として、カーボン12bが好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上含まれている。上限は特に限定されるものではないが、好ましくは20質量%以下、より好ましくは16質量%以下、さらに好ましくは12質量%以下である。カーボン12bの含有量がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に一層優れる負極活物質層を得ることができる。また、負極活物質層12に含まれるカーボン12bの全体としての表面積を小さくすることができ、カーボン12bの表面における水系電解液の電気分解を一層抑制することができる。
負極活物質層12は任意にカーボン12b以外の導電助剤を含んでいてもよい。カーボン12b以外の導電助剤としては、電池の使用時の環境に耐えることが可能な金属が挙げられる。例えば、上述の負極集電体層11に適用可能な金属と同様の金属が挙げられる。
負極活物質層12は任意にバインダー12cを含んでいてもよい。バインダー12cは、水系リチウムイオン電池において使用されるバインダーをいずれも採用可能である。例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等である。バインダーは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。負極活物質層12に含まれるバインダーの量は特に限定されるものではない。例えば、負極活物質層12全体を基準(100質量%)として、バインダーが好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上含まれている。上限は特に限定されるものではないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。バインダーの含有量がこのような範囲であれば、負極活物質等を適切に結着することができるとともに、イオン伝導性及び電子伝導性に一層優れる負極活物質層を得ることができる。
負極活物質層12の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
以上の通り、導電助剤としてカーボン12bを含む負極10によれば、水系リチウムイオン電池100の充放電時に負極10の表面(特に導電助剤の表面)における水系電解液30の電気分解を抑制でき、電池のサイクル安定性を向上させることができる。
3.水系リチウムイオン電池
本開示の水系リチウムイオン電池100は、負極10と正極20と水系電解液30とを備え、前記負極10が、少なくとも負極活物質12aと導電助剤としてのカーボン12bとを含み、前記カーボン12bの結晶子サイズLcが44Å以上であることを特徴とする。
3.1.正極
正極20を構成する材料は、水系リチウムイオン電池の正極材料として公知のものをいずれも採用可能である。正極20は、正極集電体層21と、正極集電体層21と接触する正極活物質層22とを備えることが好ましい。
3.1.1.正極集電体層
正極集電体層21は、水系リチウムイオン電池の正極集電体として使用可能な公知の金属により構成することができる。そのような金属としては、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Znからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む金属材料を例示することができる。正極集電体層21の形態は特に限定されるものではない。箔状、メッシュ状、多孔質状等、種々の形態とすることができる。基材の表面に上記金属を蒸着・めっきしたものであってもよい。
3.1.2.正極活物質層
正極活物質層22は正極活物質22aを含んでいる。また、正極活物質層22は正極活物質22a以外に導電助剤22bやバインダー22cを含んでいてもよい。
正極活物質22aは、水系リチウムイオン二次電池の正極活物質をいずれも採用可能であり、後述の水系電解液30の電位窓を考慮して適宜選択される。例えば、Li元素を含むものが好ましい。具体的には、Li元素を含む酸化物やポリアニオン等が好ましい。より具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO);ニッケル酸リチウム(LiNiO);マンガン酸リチウム(LiMn);LiNi1/3Mn1/3Co1/3;Li1+xMn2−x−y(MはAl、Mg、Co、Fe、Ni、Znから選ばれる一種以上)で表される異種元素置換Li−Mnスピネル;上記負極活物質と比較して充放電電位が貴な電位を示すチタン酸リチウム(LiTiO);リン酸金属リチウム(LiMPO、MはFe、Mn、Co、Niから選ばれる1種以上);等が挙げられる。或いは、上述の負極活物質12aと比較して充放電電位が貴な電位を示すチタン酸リチウム(LiTiO)、TiO、LiTi(PO、硫黄(S)等を用いることも可能である。正極活物質22aは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。正極活物質22aの形状は特に限定されるものではない。例えば、粒子状とすることが好ましい。正極活物質層22に含まれる正極活物質22aの量は特に限定されるものではない。例えば、正極活物質層22全体を基準(100質量%)として、正極活物質22aが好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上含まれている。上限は特に限定されるものではないが、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。正極活物質22aの含有量がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に一層優れる正極活物質層22を得ることができる。
導電助剤22bは、水系リチウムイオン電池において使用される導電助剤をいずれも採用可能である。例えば、炭素材料を挙げることができる。具体的にはケッチェンブラック(KB)、気相法炭素繊維(VGCF)、アセチレンブラック(AB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)、カーボンブラック、コークス、黒鉛から選ばれる炭素材料が好ましい。或いは、電池の使用時の環境に耐えることが可能な金属材料を用いてもよい。導電助剤22bは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。導電助剤22bの形状は特に限定されるものではない。例えば、粉末状、繊維状等、種々の形状を採用できる。正極活物質層22に含まれる導電助剤22bの量は特に限定されるものではない。例えば、正極活物質層22全体を基準(100質量%)として、導電助剤22bが好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上含まれている。上限は特に限定されるものではないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。導電助剤22bの含有量がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に一層優れる正極活物質層22を得ることができる。
バインダー22cは、水系リチウムイオン電池において使用されるバインダーをいずれも採用可能である。例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等である。バインダー22cは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。正極活物質層22に含まれるバインダー22cの量は特に限定されるものではない。例えば、正極活物質層22全体を基準(100質量%)として、バインダー22cが好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上含まれている。上限は特に限定されるものではないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。バインダー22cの含有量がこのような範囲であれば、正極活物質22a等を適切に結着することができるとともに、イオン伝導性及び電子伝導性に一層優れる正極活物質層22を得ることができる。
正極活物質層22の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
3.2.水系電解液
水系電解液30は溶媒と当該溶媒に溶解されたリチウム塩(電解質)とを含む。
3.2.1.溶媒
水系電解液30は溶媒として水を含む。溶媒は主成分として水を含んでいる。すなわち、電解液を構成する溶媒の全量を基準(100mol%)として、50mol%以上、好ましくは70mol%以上、より好ましくは90mol%以上、特に好ましくは95mol%以上を水が占めている。一方、溶媒に占める水の割合の上限は特に限定されない。溶媒は水のみからなっていてもよい。
溶媒は、例えば活物質の表面にSEI(Solid Electrolyte Interphase)を形成する観点から、上記課題を解決できる範囲で、水に加えて水以外の溶媒を含んでいてもよい。水以外の溶媒としては、例えば、エーテル類、カーボネート類、ニトリル類、アルコール類、ケトン類、アミン類、アミド類、硫黄化合物類及び炭化水素類から選ばれる1種以上の有機溶媒が挙げられる。水以外の溶媒は、電解液を構成する溶媒の全量を基準(100mol%)として、好ましくは50mol%以下、より好ましくは30mol%以下、さらに好ましくは10mol%以下、特に好ましくは5mol%以下を占めている。
3.2.2.電解質
水系電解液30は電解質を含む。電解質は、通常、水系電解液中に溶解してカチオンとアニオンとに解離している。
水系電解液30は、キャリアイオンとしてリチウムイオンを含む。リチウムイオンの濃度は、好ましくは水1kgあたり1mol以上、より好ましくは5mol以上、さらに好ましくは7.5mol以上、特に好ましくは10mol以上である。上限は特に限定されるものではなく、例えば25mol以下とすることが好ましい。
水系電解液30は、上記課題を解決できる範囲で、リチウムイオン以外のカチオンを含んでいてもよい。例えば、アルミニウムイオン、チタンイオン、マンガンイオン、亜鉛イオン、ガリウムイオン、イットリウムイオン、ジルコニウムイオン、インジウムイオン、ランタンイオン、セリウムイオン、ネオジムイオン及びハフニウムイオン等の各種金属カチオンを含んでいてもよい。当該金属カチオンは、水1kgあたり0.01mol以下の濃度とすることが好ましい。
水系電解液30において、上記したリチウムイオンの対イオンとなるアニオンの種類は特に限定されるものではない。例えば、アニオンとしてTFSIアニオン及び/又はFSIアニオンを含むことが好ましく、TFSIアニオンを含むことがより好ましい。アニオンの濃度は特に限定されるものではなく、上記のカチオンの濃度に応じて適宜決定される。特に、水系電解液30は水1kgあたりTFSIアニオン及び/又はFSIアニオンを1mol以上含むことが好ましい。より好ましくは5mol以上、さらに好ましくは7.5mol以上、特に好ましくは10mol以上である。上限は特に限定されるものではなく、例えば25mol以下とすることが好ましい。上述のリチウムイオンとともにTFSIアニオンやFSIアニオンの濃度が高まるほど、水系電解液の還元側電位窓が拡大する傾向にある。
水系電解液30は、上記課題を解決できる範囲で、上記したアニオン以外のアニオンが含まれていてもよい。例えば、LiPF、LiBF、LiSO、LiNO等のその他の電解質(リチウム塩)に由来するアニオンが含まれていてもよい。
水系電解液30は、上記課題を解決できる限り、上記の溶媒や電解質に加えて、その他の成分が含まれていてもよい。例えば、リチウムイオンや上記金属カチオン以外のカチオン(例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等)が含まれていてもよい。また、水系電解液のpHを調整するための酸や水酸化物等が含まれていてもよい。さらには、イオン液体に由来するアニオンが含まれていてもよい。
3.2.3.pH
水系電解液30のpHは3以上12以下であることが好ましい。pHの下限はより好ましくは4以上、さらに好ましくは6以上であり、上限はより好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。pHを3以上12以下とすることで、水系電解液30の酸化側電位窓及び還元側電位窓をともに十分に拡大させることができる。
3.3.その他の構成
電解液系のリチウムイオン電池においては、負極活物質層の内部、正極活物質層の内部、及び、負極活物質層と正極活物質層との間に電解液が存在しており、これにより、負極活物質層と正極活物質層との間のリチウムイオン伝導性が確保される。水系リチウムイオン電池100においてもこの形態が採用されている。具体的には、電池100においては、負極活物質層12と正極活物質層22との間にセパレータ40が設けられており、当該セパレータ40と負極活物質層12と正極活物質層22とは、ともに水系電解液30に浸漬されている。水系電解液30は、負極活物質層12及び正極活物質層22の内部に浸透している。
セパレータ40は従来の水系電解液電池(NiMH、亜鉛空気電池等)において使用されるセパレータを採用することが好ましい。例えば、セルロースを材料とした不織布等の親水性を有するものを好ましく用いることができる。セパレータ40の厚みは特に限定されるものではなく、例えば、5μm以上1mm以下のものを用いることができる。
水系リチウムイオン電池100においては、上記の構成の他、端子や電池ケース等が備えられる。その他の構成については本願を参照した当業者にとって自明であることから、ここでは説明を省略する。
以上の通り、負極10において導電助剤としてカーボン12bを採用する水系リチウムイオン電池100によれば、充放電時に負極10の表面(特に導電助剤の表面)における水系電解液30の電気分解を抑制でき、電池のサイクル安定性を向上させることができる。
4.水系リチウムイオン電池の製造方法
水系リチウムイオン電池100は、例えば、正極10を製造する工程と、負極20を製造する工程と、水系電解液30を製造する工程と、製造した正極10、負極20及び水系電解液30を電池ケースに収容する工程とを経て製造することができる。
4.1.負極の製造
負極を製造する工程は、公知の工程と同様とすればよい。例えば、負極活物質層12を構成する負極活物質等を溶媒に分散させて負極合剤ペースト(スラリー)を得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができる。ドクターブレード等を用いて負極合剤ペースト(スラリー)を負極集電体層11の表面に塗工し、その後乾燥させることで、負極集電体層11の表面に負極活物質層12を形成し、負極10とする。塗工方法としては、ドクターブレード法のほか、静電塗布法、ディップコート法、スプレーコート法等を採用することもできる。負極活物質層12の充填率を調整するために、負極活物質層12を加圧してもよい。加圧手段としてはロールプレス等の種々の加圧手段が採用できる。加圧時の圧力についても特に限定されるものではない。
4.2.正極の製造
正極を製造する工程は、公知の工程と同様とすればよい。例えば、正極活物質層22を構成する正極活物質等を溶媒に分散させて正極合剤ペースト(スラリー)を得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができる。ドクターブレード等を用いて正極合剤ペースト(スラリー)を正極集電体層21の表面に塗工し、その後乾燥させることで、正極集電体層21の表面に正極活物質層22を形成し、正極20とする。塗工方法としては、ドクターブレード法のほか、静電塗布法、ディップコート法、スプレーコート法等を採用することもできる。正極活物質層22の充填率を調整するために、正極活物質層22を加圧してもよい。加圧手段としてはロールプレス等の種々の加圧手段が採用できる。加圧時の圧力についても特に限定されるものではない。
4.3.水系電解液の製造
水系電解液30は、上記した溶媒に電解質等を添加して溶解させること等によって容易に製造可能である。
4.4.電池ケースへの収容
製造した負極10、正極20及び水系電解液30は、電池ケースに収容されて水系リチウムイオン電池100となる。例えば、負極10と正極20とでセパレータ40を挟み込み、負極集電体層11、負極活物質層12、セパレータ40、正極活物質層22及び正極集電体21をこの順に有する積層体を得る。積層体には必要に応じて端子等のその他の部材を取り付ける。積層体を電池ケースに収容するとともに電池ケース内に水系電解液30を充填し、積層体を水系電解液30に浸漬するようにして、電池ケース内に積層体及び電解液を密封することで、水系リチウムイオン電池100とすることができる。
1.負極の作製
1.1.実施例1
負極活物質のTiO粉末(アルドリッチ社製)と、導電助剤として高結晶化カーボンブラック(カーボンブラックを窒素雰囲気下、2000℃で5時間焼成したもの)と、バインダーとしてPVDFとを、活物質:導電助剤:バインダー=85:10:5の質量比で溶媒とともに混練することにより、ペーストを得た。得られたペーストを負極集電体であるチタン箔上にドクターブレード法にて塗工し、乾燥後、プレスすることにより、電極重量9.8mg/cmの試験用負極を得た。
1.2.実施例2
負極における導電助剤として高結晶化カーボンブラックに替えてカーボンナノチューブ(昭和電工社製VGCF−H)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして負極を得た。
1.3.実施例3
負極における導電助剤として高結晶化カーボンブラックに替えて、高結晶化カーボンブラックとカーボンナノチューブとの混合物(質量比1:1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして負極を得た。
1.4.比較例1
負極における導電助剤として高結晶化カーボンブラックに替えて、カーボンブラック(デンカ工業社製H−100)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして負極を得た。
2.正極の作製
正極活物質としてマンガン酸リチウム粉末と、導電助剤としてカーボンブラック(デンカ工業社製HS−100)と、バインダーとしてPVDFとを、活物質:導電助剤:バインダー=85:10:5の質量比で溶媒とともに混練することにより、ペーストを得た。得られたペーストを正極集電体であるチタン箔上にドクターブレード法にて塗工し、乾燥後、プレスすることにより、電極重量9.4mg/cmの試験用正極を得た。
3.評価用電池の作製
実施例1〜3及び比較例1に係る負極の各々について直径約16mmの円形に打ち抜き、同じく直径約16mmの円形に打ち抜いた正極と、Ag/AgCl参照極と、水系電解液とともに、イーシーフロンティア製電池評価用バッチセルに組み込んで、電池を作製した。水系電解液としては、水1kgに対して5molのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を溶解したLiTFSI水溶液と、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(AmimTFSI)1kgに対して1molのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを溶解したAmimTFSI溶液とを、体積比で1:1で混合したものを用いた。
4.結晶子サイズの測定
X線回折測定により負極に用いたカーボンの結晶子サイズLcを求めた。結果を下記表1に示す。尚、X線回折測定の条件は0.5°/min、ステップ0.01°とし、カーボンの002面の回折ピーク(26°付近)から、Scherrerの式を用いて、結晶子サイズLcを計算した。Scherrerの式(Lc(Å)=K×λ/β×cosθ)において、K=0.9、λ=1.5418(Å)とした。
5.電池の評価
充電レート0.2C、終止電位1.5〜2.6Vとして充放電試験を行った。充放電を4サイクル行い、初期放電容量と4サイクル目の放電容量とを比較して容量維持率を測定した。結果を図2に示す。
6.評価結果
表1に示すように、カーボンブラックを焼成により結晶化したものは、比較例1のカーボンブラックよりも大きな結晶子サイズを有することが分かる。また、カーボンナノチューブも大きな結晶子サイズを有することが分かる。一方、図2に示すように、負極中の導電助剤として比較例1のカーボンブラックを用いた場合に比べて、実施例1の高結晶化カーボンブラックを用いた場合、実施例2のカーボンナノチューブを用いた場合、及び、実施例3の高結晶化カーボンブラックとカーボンナノチューブとの混合物を用いた場合のほうが、電池の容量維持率が高く、サイクル安定性に優れている。特に、実施例3の高結晶化カーボンブラックとカーボンナノチューブとの混合物を用いた場合に、容量維持率が最も高くなっている。長いカーボンと短いカーボンとを組み合わせた場合、ガス発生後のパス形成に有利に働くものと推定される。
以上の実施例から、負極の導電助剤として結晶子サイズLcが44Å以上のカーボンを用いることで、電池のサイクル安定性が向上することがわかった。結晶子サイズの大きなカーボンは反応の起点となる表面の官能基やエッジ部が少ないことから、電池の充放電時、カーボン表面における水系電解液の電気分解が抑制されたためと考えられる。この点、カーボンの種類はカーボンブラックやカーボンナノチューブに限定されるものではなく、これら以外のカーボンであっても同様の効果が奏されるものと考えられる。
本開示の負極用導電助剤を用いた水系リチウムイオン電池は、車搭載用の大型電源から携帯端末用の小型電源まで広く利用可能である。
10 負極
11 負極集電体
12 負極活物質層
12a 負極活物質
12b 導電助剤
12c バインダー
20 正極
21 正極集電体
22 正極活物質層
22a 正極活物質
22b 導電助剤
22c バインダー
30 水系電解液
40 セパレータ
100 水系リチウムイオン電池

Claims (1)

  1. 結晶子サイズLcが44Å以上のカーボンからなる、
    水系リチウムイオン電池の負極用導電助剤。
JP2018184697A 2018-09-28 2018-09-28 水系リチウムイオン電池の負極用導電助剤 Pending JP2020053374A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018184697A JP2020053374A (ja) 2018-09-28 2018-09-28 水系リチウムイオン電池の負極用導電助剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018184697A JP2020053374A (ja) 2018-09-28 2018-09-28 水系リチウムイオン電池の負極用導電助剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020053374A true JP2020053374A (ja) 2020-04-02

Family

ID=69993960

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018184697A Pending JP2020053374A (ja) 2018-09-28 2018-09-28 水系リチウムイオン電池の負極用導電助剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020053374A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN109524633B (zh) 负极活性物质复合体的制造方法及水系锂离子二次电池及其制造方法
US10644358B2 (en) Aqueous dual-ion secondary battery
JP6911774B2 (ja) 水系電解液及び水系リチウムイオン二次電池
JP6874605B2 (ja) 水系電解液及び水系リチウムイオン二次電池
JP6421778B2 (ja) リチウムイオン二次電池
WO2013038672A1 (ja) 非水電解質二次電池
JP2020024819A (ja) 水系亜鉛イオン電池用正極活物質
JP2019053930A (ja) 水系リチウムイオン二次電池
US20190074504A1 (en) Method for producing anode for aqueous lithium ion secondary battery, and method for producing aqueous lithium ion secondary battery
CN109273721B (zh) 负极集电体、负极和水系锂离子二次电池
JP6766742B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP2020017351A (ja) 亜鉛イオン電池用正極材料
JP7244230B2 (ja) 水系リチウムイオン電池
JP6819518B2 (ja) 水系リチウムイオン二次電池
JP2020053374A (ja) 水系リチウムイオン電池の負極用導電助剤
JP2020057564A (ja) 水系リチウムイオン電池の制御方法
WO2023127228A1 (ja) 二次電池用電極、二次電池用電極の製造方法、及び二次電池
JP2020017353A (ja) 亜鉛イオン電池用正極材料
JP2020021609A (ja) 水溶液系二次電池
JP2000048808A (ja) Liイオン二次電池およびその製造方法
JP2017228710A (ja) リチウムイオンキャパシタ及びリチウムイオンキャパシタ用電解液
JP2015035324A (ja) 非水二次電池用の負極合剤及び非水二次電池