JP2020187973A - 非水系電解液及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

非水系電解液及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、リチウムイオン二次電池に用いた際に、寿命に関わるサイクル特性を向上することができる化合物を含有する非水系電解液を提供することである。さらに、当該非水系電解液を用いたリチウムイオン二次電池を提供することである。【解決手段】本発明の非水系電解液は、電解質としてリチウム化合物を含有する非水系電解液であって、下記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物を含有し、当該化合物の最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位が−7.90〜−5.60eVの範囲内であり、かつ、最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位が−2.80〜−0.50eVの範囲内である。【化1】[一般式(1)中、*は結合箇所を表す。X1は水素原子又はメチル基を表す。Y1は酸素原子又は−NRを表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。]【選択図】なし

Description

本発明は、非水系電解液及びリチウムイオン二次電池に関する。より詳しくは、寿命に関わるサイクル特性を向上することができる非水系電解液及びそれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、省エネルギー化への要望は特に高まってきており、蓄電に関する技術も重要なものとなってきている。蓄電に用いられる二次電池としては、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、及びニッケル水素二次電池等が知られている。そして、当該電池の中でも、リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度の高さや単位容量あたりのコストが低いことから、車載用途や携帯電話用の電源等の様々な用途に使用されている。
リチウムイオン二次電池は、上記の用途以外にも今後様々な用途に使用されると考えられている。例えば、スマートグラス、スマートウォッチや有機EL照明等の、ウェアラブル又はフレキシブルなエレクトロニクスの電源としての用途や高温環境下での用途が期待されており、さらなる安全性の確保が求められている。
リチウムイオン二次電池としては、例えば、正極、負極、セパレータ、及び電解質等の部材から構成され、このうち、正極と電解質はリチウム化合物を含有する構成であることが一般的である。電解質については、リチウムイオンが水を電気分解するために、有機溶媒などの非水系電解液が利用されている。
リチウムイオン二次電池における非水系電解液は、リチウム化合物を溶解させるとともに、電離したリチウムイオンの正極・負極への移動媒体としての働きをするため、極めて重要である。非水系電解液に求められる性質は、導電性、電気化学的安定性、耐熱性、不燃性、及び高流動性などが挙げられる。
非水系電解液は、電解質塩であるリチウム化合物が溶解されている他に、複数の有機化合物種から構成されることが一般的である。
非水系電解液を構成している有機化合物種の大部分は、鎖状カーボネート、及び環状カーボネートであり、これらの性質が上記で挙げた非水系電解液に求められる性質の大部分をもたらしている。電極を構成する成分などとの組み合わせに伴い最適化がなされるものの、鎖状・環状カーボネート両者を併せた非水系電解液中の含有比率は少なくとも90%以上であることが一般的である。
非水系電解液中で、鎖状・環状カーボネート以外の残りの成分は一般的に添加剤と称される。添加剤もまた1種のみの使用に限定されることはなく、非水系電解液に好適な性質を、及びリチウムイオン二次電池に好適の性能をもたらすために様々な検討がなされている。
非水系電解液中の構成成分である添加剤に求められる最も重要な役割は、電極表面にSEI(SEI:Solid Electrolyte Interphase)と称されるナノレベルの薄膜(「SEI膜」ともいう。)を形成させることである。このSEI膜は正極、負極ともに形成されることが望まれる。負極を例に説明すると、初充電時にある電位に到達したとき、負極表面で添加剤の還元分解が始まり、当該還元分解生成物がSEIとして積層され、結果的に負極表面が被膜されるというものである。
このようにして形成された負極表面上のSEIは、活性の高い電極表面を被膜・保護するという観点で、非水系電解液の分解(主に鎖状・環状カーボネートの分解)を抑制することで、二次電池として長期間使用できるための状態を創り出す。
SEI膜が形成された後は、充放電を繰り返す電池としての働き、つまり酸化還元反応の繰り返しを実現しうる役割が求められる。つまり、SEIは負極−非水系電解液間でリチウムイオンは透過させる一方、電子は通過させないというものである。これに加えて充放電を繰り返しても壊れない膜としての耐久性や、電気化学的安定性、耐熱性なども求められる。
正極の場合も同様に、初充電時にある電位に到達したとき、正極表面で添加剤の酸化分解が始まり、当該酸化分解生成物がSEIとして積層され、結果的に正極表面が被膜されるという作用機構が考えられる。
ただし、添加剤の分解によって電極表面が被膜されるという作用機構は、前記のようなパターンに限らない。例えば、負極表面で還元分解された還元分解生成物は、主として負極表面に被膜される可能性が高いものの、一部は正極側へと流れていき正極表面に被膜されるというパターンや、正極表面で酸化分解された酸化分解生成物が、主として正極表面に被膜される一方で、一部が負極側へと流れていき負極表面に被膜されるというパターンも考えられる。このように膜形成の作用機構は一概には言い表せない。
とはいうものの、添加剤を正極、負極のどちらかにより積極的に膜形成させたい場合は、それぞれ酸化分解されやすい、還元分解されやすい構造の添加剤を用意することが最も合理的な手段である。
酸化分解のされやすさ、また還元分解のされやすさは、当該添加剤の最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位と最低空軌道(LUMO)エネルギー準位の値と相関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。これは負極表面に被膜形成させたい場合、還元分解されやすいように特定のLUMOエネルギー準位を示す分子設計を行えばよく、正極表面に被膜形成させたい場合、酸化分解されやすいように特定のHOMOエネルギー準位を示す分子設計を行うというものである。
以上のように、添加剤の分解〜膜形成というプロセスはHOMOのエネルギー準位値やLUMOのエネルギー準位値というパラメーターを規定することで好ましい様態をある程度推測できるものの、肝心の具体的な分子骨格や部分構造を見いだす必要もあった。
開示されている先行技術のほとんどは、メインの分子骨格が規定されており、当該分子骨格が効果を発現する上で好ましい理由や推定される作用機構について、定性的な記述にとどまっていたり、経験則に基づく記述にとどまっていたりするのが大半であり、HOMOのエネルギー準位値やLUMOのエネルギー準位値などのパラメーターに言及していたり、それらのパラメーターと分子骨格を結び付けて述べているものはほとんどなかった。
また、メインとなる分子骨格のみに着眼してしまうあまり、真に重要で、かつ効果を発現するための普遍性を持ち合わせている部分構造、特に分子末端の反応性基について着目している技術もなかった。
SEI膜を形成させることで正極・負極表面を保護して、非水系電解液の分解(主に鎖状・環状カーボネートの分解)を抑制し、リチウムイオン透過性を有し、かつ電気化学的安定性や耐熱性などを有する、そのような添加剤を含有する非水系電解液が求められていた。
上記のような課題を達成するために、リチウムイオン二次電池における非水系電解液に関して、最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位が−8.0eV以上−7.0eV以下であるリン酸エステル化合物、及びホスホン酸エステル化合物を、電解質塩であるLiPOと併用する技術が開示されている(特許文献2参照。)。
これらの化合物を含有する非水系電解液は、正極の電位が4.4V以上という高い正極電位であっても、電解液の分解を抑制でき、サイクル特性向上とガス発生抑制に優れるとされている。
しかしながら、上述の特定範囲のHOMOのエネルギー準位値を有する添加剤が、酸化反応を起こす際の作用機構については言及されていない。つまり、酸化分解しやすいために好ましいのか、又は酸化に対する耐久性が高いから好ましいのか、については述べられていない。さらに最低空軌道(LUMO)エネルギー準位については言及されていないため、当該化合物の還元反応に対して起こる事象だけではなく、結局のところ全体における分解〜膜形成の作用機構の様子は不明であった。
また、分子構造の観点からも、置換基として炭素−炭素不飽和結合が含まれる化合物が開示されているが、具体的には末端アルケニル基や末端アルキニル基の化合物のみであり、これらの化合物ではいまだ充分に電池特性が達成されているとは言えなかった。
特許文献3では、リン酸エステル化合物で、置換基に第15族及び第16族のヘテロ原子から選ばれ、かつ不飽和結合を有する化合物に関する技術が開示されている。
しかしながら、置換基に不飽和結合を含有する、という非常に広い範囲すべてにおいてねらいの効果が及ぶことは通常では考えにくい。実施例を見てもそれらの範囲をサポートできておらず、具体的に末端がアクリル基であるトリスアクリロイルオキシエチルフォスフェートと、末端がアリル基であるトリスアリルフォスフェートの二化合物のみが示されていた。
特許文献4では、アクリル基及びメタクリル基を有するリン酸エステル化合物に関する技術が開示されている。
しかしながら、実施例ではOH基(ヒドロキシ基)を含むリン酸化合物(OH体)が特定量添加されたときの効果は示されているが、OH基を含まないトリス体のリン酸エステル化合物(トリス体)、すなわちアクリル基及び又はメタクリル基で三置換されているリン酸エステル化合物のみを特定量添加したときの効果は示されていない。
さらに、本文中には、トリス体は、OH体と平衡状態で存在するため、単離することは困難であるとの記載がある。一般的に、エステル化合物と同じ系中に水が存在する場合、加水分解によりOH体が生成して平衡状態になる可能性がある。
しかしながら、第一に、トリス体は十分に脱水・乾燥させることができ、モレキュラーシーブなどを利用することで含水率を100ppm以下にすることができる。
第二に、リチウムイオン二次電池における電解液は、電解液中の水が電解質塩であるリチウム塩(例えばLiPF)を分解させ、有毒ガス(例えばフッ酸)を発生させるおそれがあるため、極力含水率の低い、非水系の電解液の使用が求められており、当然、実際にきわめて低い含水率の非水系電解液が利用されている。上記の理由から、トリス体のリン酸エステル化合物は、製造時の化合物取り出し段階で水をほぼ内包しない状態を実現できるだけでなく、リチウムイオン二次電池の非水系電解液中でも、極力含水が低い環境で使用することが可能であるから、当然OH体も存在しない。
以上のようにこれまでにもリチウムイオン二次電池の性能を向上させるための取り組みが行われてきたが、いまだ充分に電池特性が達成されているとは言えず、さらなる改善が求められている。
特開2001−15158号公報 特開2015−133255号公報 特開2012−84384号公報 特開2012−119092号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、非水系電解液に関し、リチウムイオン二次電池に用いた際に、寿命に関わるサイクル特性を向上することができる化合物を含有する非水系電解液を提供することである。さらに、当該非水系電解液を用いたリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、特定範囲の最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位、及び最低空軌道(LUMO)エネルギー準位の化合物で、分子構造中に特定の部分構造を有する化合物を含有する非水系電解液が、負極又は正極表面での相互作用や膜形成に優位に働くことを明らかにし、リチウムイオン二次電池に用いた際に、サイクル特性が向上することを見いだした。また、長期間サイクル評価後のセル内の直流抵抗値(DCR)において、充電率(SOC)の違いでの変動が小さいことを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.電解質としてリチウム化合物を含有する非水系電解液であって、
下記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物を含有し、
当該化合物の最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位が−7.90〜−5.60eVの範囲内であり、かつ、
最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位が−2.80〜−0.50eVの範囲内であることを特徴とする非水系電解液。
Figure 2020187973
[一般式(1)中、*は結合箇所を表す。Xは水素原子又はメチル基を表す。Yは酸素原子又は−NRを表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。]
2.下記一般式(2)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする第1項に記載の非水系電解液。
Figure 2020187973
[一般式(2)中、Lは置換されていてもよいC1〜C10のアルキレン基、置換されていてもよいフェニレン基、−S(=O)−Oを表し、これらをともに含んでいてもよい。R〜Rは置換基を表し、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよい。Xは水素原子又はメチル基を表す。Yは酸素原子又は−NRを表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。]
3.下記一般式(3)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする第1項に記載の非水系電解液。
Figure 2020187973
[一般式(3)中、L〜Lは置換されていてもよいC1〜C10のアルキレン基、又は置換されていてもよいフェニレン基、−O−、−S(=O)−Oを表し、これらをともに含んでいてもよい。Zは前記一般式(1)で表される構造を表す。X及びXは水素原子又はメチル基を表す。Y及びYは酸素原子又は−NRを表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。n及びmは0又は1を表す。]
4.前記一般式(2)中、Xがメチル基を表すことを特徴とする第2項に記載の非水系電解液。
5.前記一般式(3)中、X及びXがメチル基を表すことを特徴とする第3項に記載の非水系電解液。
6.前記一般式(3)中、X及びXがメチル基を表し、Y及びYが−NRを表すことを特徴とする第3項に記載の非水系電解液。
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の非水系電解液が用いられ、かつ正極活物質中にニッケル(Ni)が含有されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明の上記手段により、リチウムイオン二次電池に用いた際に、寿命に関わるサイクル特性を向上することができる化合物を含有する非水系電解液を提供することができる。さらに、当該非水系電解液を用いたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については明確にはなっていないが、本発明に係る化合物が優れた効果を発現する推定機構について、以下に述べる。
第1に、本発明に係る前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、主に負極表面への優れたSEI膜形成を意図したものである。最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位が−2.80eVから−0.50eVの範囲にあるとき、還元されやすく、当該還元分解生成物によるSEI膜の形成(主に負極と推定される。)がなされるため好ましい。しかしながら、−0.50eVよりも高い(大きい)ときは、還元に対して安定であるため分解が起こりにくく、SEI膜の形成には適さない。
一方、−2.80eVより低い(小さい)ときも、過剰に還元分解が起こってしまい、SEI膜が厚くなりすぎてしまうことで抵抗値の上昇やリチウムイオン透過性の低下という負の効果が推定される。したがって、LUMO値は−2.80eVから−0.50eVの範囲である必要がある。
第2に、当該化合物のうち、負極へのSEI膜形成に関与しなかった残存分についても効果的にふるまうことを意図したものである。一般的に、初期充電時に還元分解なされなかった余剰分は、引き続き電解液中に含まれるものであるが、この際、正極が十分に被膜保護されていない場合、添加剤は正極と接触することで酸化分解してしまうおそれがある。
最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位が−7.90eVから−5.60eVの範囲にあるとき、酸化電位として十分に低い(小さい)ため、酸化耐性が高く、電気化学的に安定であり酸化分解は起こりにくいため好ましい。しかしながら−5.60eVよりも高い(大きい)ときは酸化分解されやすく、正極表面で酸化分解にともなうガスの発生など、セル内に意図せぬ成分の発生を招くおそれがある。
他方、HOMOのエネルギー準位の値が−7.90eV以下のような非常に低い(小さい)値を実現しようとすると、一般的に化合物の構造は、電子吸引性基が多く導入されて電荷の偏りが大きい構造にならざるを得ず、そのような分子構造の化合物は熱力学的に不安定であるだけでなく、有機合成的にも困難であると言える。したがってHOMOのエネルギー準位の値は−7.90eVから−5.60eVの範囲である必要がある。
第3に、分子骨格の周辺構造として一般式(1)で表される、特定の反応性基を有するため、SEI膜の状態や作用機構などを把握しやすく、意図通りにコントロールしやすいというものである。通常のSEI膜は、単に酸化・還元分解物の積層により形成されるものであるが、分子内に反応性基を導入して、それを基点にしてSEI膜を形成できるならば、重合度や架橋基の数が、SEI膜の厚さや粗密の状態をコントロールできるため好ましい。
主に、重合性化合物による膜としてのSEI膜形成のためには、分子構造内に、炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物、具体的には、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基を有する構造を含有する化合物が好ましい。
第4に、前記一般式(1)で表される構造は、主構造である一般式(2)で表されるフタルイミド骨格、及び一般式(3)で表されるリン酸エステル骨格、又はホスホン酸エステル骨格の周辺構造であることで、リチウムイオンの透過性に優れたSEI膜を形成することができる。
前記一般式(2)及び一般式(3)で表される添加剤は、構造中に窒素原子、酸素原子、リン原子というヘテロ原子を含み、C=Oや、P=Oなど分極している(δ−になっている)部位を持つ。したがって、これらを含むSEI膜は、リチウムイオン(Li)を引き付けて移動させやすくするため、結果的にSEI膜におけるリチウムイオン透過性に優れたものとなる。
以上のように、本発明は、化合物中、特定範囲のHOMOのエネルギー準位の値及びLUMOのエネルギー準位の値という2つのパラメーター値と、特定の部分構造とを併用する技術であり、これにより酸化還元における分解やSEI膜形成の作用機構を容易に推定できるようにして、課題解決した非水系電解液及びリチウムイオン二次電池を提供するものである。
本発明の非水系電解液は、電解質としてリチウム化合物を含有する非水系電解液であって、前記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物を含有し、当該化合物の最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位が−7.90〜−5.60eVの範囲内であり、かつ、最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位が−2.80〜−0.50eVの範囲内であることを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記一般式(2)で表される構造を有する化合物を含有すること、又は、前記一般式(3)で表される構造を有する化合物を含有することが、リチウムイオンを引き付けて移動させやすくするため、リチウムイオン透過性に優れたSEI膜とすることができる点で好ましい。
また、前記一般式(2)中、Xがメチル基を表すこと、前記一般式(3)中、X及びXがメチル基を表すことが、化合物の保存安定性の点で好ましい。
さらに、前記一般式(3)中、X及びXがメチル基を表し、Y及びYが−NRを表すことが、サイクル特性の向上の点で好ましい。
本発明の非水系電解液は、リチウムイオン二次電池に好適に用いられ、正極活物質中にニッケル(Ni)が含有されていることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[非水系電解液]
本発明の非水系電解液は、電解質としてリチウム化合物を含有する非水系電解液であって、電解質としてリチウム化合物を含有する非水系電解液であって、下記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物を含有し、当該化合物の最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位が−7.90〜−5.60eVの範囲内であり、かつ、最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位が−2.80〜−0.50eVの範囲内であることを特徴とする。
Figure 2020187973
[一般式(1)中、*は結合箇所を表す。Xは水素原子又はメチル基を表す。Yは酸素原子又は−NRを表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。]
[最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位、及び最低空軌道(LUMO)エネルギー準位の値]
本発明における最高被占軌道エネルギー準位、及び最低空軌道エネルギー準位の値の算出には、市販のソフトウェアであるGaussian社のGaussian09ソフトウェアを用いることができ、計算手法として密度汎関数法(B3LYP)、基底関数として6−31G*を用いて最適化を行うことができる。なお、ソフトウェアや計算手法に特に限定はなく、いずれを用いても同様の値を得ることができる。
[一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物]
本発明の非水系電解液は、前記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物を含有する。
前記一般式(1)中、Xは水素原子又はメチル基を表す。
は酸素原子又は−NRを表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。
前記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物は、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。一般式(2)で表される構造を有する化合物は、ヘテロ原子を含み、C=Oなど分極している(δになっている)部位を持つことから、これらを含むSEI膜がリチウムイオン(Li)を引き付けて移動しやすくするため、結果的にSEI膜におけるリチウムイオン透過性に優れる。
Figure 2020187973
[一般式(2)中、Lは置換されていてもよいC1〜C10のアルキレン基、置換されていてもよいフェニレン基、−S(=O)−Oを表し、これらをともに含んでいてもよい。R〜Rは置換基を表し、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよい。Xは水素原子又はメチル基を表す。Yは酸素原子又は−NRを表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。]
前記一般式(2)中、Lは置換されていてもよいC1〜C10のアルキレン基、置換されていてもよいフェニレン基、−S(=O)−Oを表し、これらをともに含んでいてもよい。前記Lで表される置換されていてもよい置換基としては、メチル基、フェニル基、フッ素原子が挙げられる。
〜Rは置換基を表し、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよい。前記R〜Rで表される置換基としては、メチル基、フェニル基、フッ素原子が挙げられる。
は水素原子又はメチル基を表し、メチル基を表すことが化合物の保存安定性の点で好ましい。
は酸素原子又は−NRを表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。
また、前記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物は、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。一般式(3)で表される構造を有する化合物は、ヘテロ原子を含み、P=Oなど分極している(δになっている)部位を持つことから、これらを含むSEI膜がリチウムイオン(Li)を引き付けて移動しやすくするため、結果的にSEI膜におけるリチウムイオン透過性に優れる。
Figure 2020187973
[一般式(3)中、L〜Lは置換されていてもよいC1〜C10のアルキレン基、又は置換されていてもよいフェニレン基、−O−、−S(=O)−Oを表し、これらをともに含んでいてもよい。Zは一般式(1)で表される構造を表す。X及びXは水素原子又はメチル基を表す。Y及びYは酸素原子又は−NRを表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。n、m=0又は1を表す。]
前記一般式(3)中、L〜Lは置換されていてもよいC1〜C10のアルキレン基、又は置換されていてもよいフェニレン基、−O−、−S(=O)−Oを表し、これらをともに含んでいてもよい。前記L〜Lで表される置換されていてもよい置換基としては、メチル基、フェニル基、フッ素原子が挙げられる。
Zは一般式(1)で表される構造を表す。
及びXは水素原子又はメチル基を表し、X及びXがメチル基を表すことが、化合物の保存安定性の点で好ましい。
及びYは酸素原子又は−NRを表し、Y及びYが−NRを表すことが、サイクル特性の向上の点で好ましい。Rは水素原子又はメチル基を表す。
n及びmは0又は1を表す。
前記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物としては、以下に示す例示化合物が挙げられる。
Figure 2020187973
Figure 2020187973
Figure 2020187973
[非水系電解液構成成分]
本発明の非水系電解液は、前記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物を含有することを特徴とする。
本発明の非水系電解液は、非水系溶媒に電解質としてリチウム塩と、前記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物と、必要に応じてその他の化合物を溶解させた非水系電解液である。さらに、当該非水系電解液に、有機高分子化合物等を添加することにより、ゲル状、ゴム状又は固体シート状にしたものとしてもよい。
本発明の非水系電解液に含有される前記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の非水系電解液に含有される当該化合物の含有量は、電解液全体に対して0.01〜5.0質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜2.0質量%の範囲内であることがさらに好ましく、1.0〜2.0質量%の範囲内であることが特に好ましい。0.5〜2.0質量%の範囲内であると、リチウムイオン電池のサイクル保存試験後の容量の低下を有効に改善することが可能となる。
本発明の非水系電解液に使用される非水系溶媒は、特に限定されず、公知の非水系溶媒を用いることができる。
例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
非水系溶媒は、単独でも、2種以上を併用してもよい。混合溶媒の場合は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒の組み合わせが導電性と粘度のバランスから好ましく、環状カーボネートが、エチレンカーボネートであることが好ましい。
例えば、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒の場合、両者の質量比(EC/DMC)は、3/10〜8/10、好ましくは、3/7
〜2/3の範囲であることが好ましい。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)との三種の混合溶媒の場合、質量比EC/EMC/DECは、例えば、3/4/3、及び3/3/2などが好ましい。
本発明の非水系電解液に使用されるリチウム塩も特に制限されず、公知のリチウム塩を用いることができる。
例えば、LiCl、LiBrなどのハロゲン化物;LiClO、LiBrO、LiClOなどの過ハロゲン酸塩;LiPF、LiBF、LiAsFなどの無機フッ化物塩などの無機リチウム塩;LiCFSO、LiCSOなどのパーフルオロアルカンスルホン酸塩;Liトリフルオロメタンスルフォニルイミド((CFSONLi)などのパーフルオロアルカンスルホン酸イミド塩などの含フッ素有機リチウム塩などが挙げられる。中でも、LiClO、LiPF、LiBFが好ましい。
リチウム塩は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。非水系電解液中におけるリチウム塩の濃度は、0.5〜2.0mol/Lの範囲内とすることができる。
上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませることで、ゲル状、ゴム状、又は固体シート状にして使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカ
ーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
本発明の非水系電解液は、さらに被膜形成剤を含有していてもよい。
被膜形成剤の具体例としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネートなどのカーボネート化合物;エチレンスルフィド、プロピレンスルフィドなどのアルケンスルフィド;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどのスルトン化合物;マレイン酸無水物、コハク酸無水物などの酸無水物などが挙げられる。
非水系電解液には、さらに、ジフェニルエーテル、シクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていてもよい。
上記各種添加剤を用いる場合、初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下等、他の電池特性に悪影響を及ぼさないようにするために、添加剤の総含有量は非水系電解液全体に対して通常10質量%以下とすることができ、中でも8質量%以下、さらには5質量%以下、特に2質量%以下の範囲が好ましい。
また、電解質として、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いることもできる。
高分子固体電解質としては、前述のポリエーテル系高分子化合物にLi塩を溶解させたものや、ポリエーテルの末端ヒドロキシ基がアルコキシドに置換されているポリマーなどが挙げられる。
<電解液の調製>
本発明の非水系電解液は、非水系溶媒に、前記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物と、電解質、必要に応じて他の化合物を溶解することにより調製することができる。
非水系電解液の調製においては、各原料は、電解液とした場合の水分を低減させるためあらかじめ脱水しておくことが好ましい。通常、50ppm以下、好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下までそれぞれ脱水するのがよい。また、電解液調製後に、脱水、脱酸処理等を実施してもよい。
[リチウムイオン電池]
本発明のリチウムイオン電池は、種々の構成態様を採りえるが、基本的構成は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、さらに上述の本発明の非水系電解液を備えた態様である。通常、正極と負極とを電解液が含浸されている多孔膜を介してケースに収納することで得られる。
本発明のリチウムイオン電池は、本発明の非水系電解液が用いられ、かつ、正極活物質中にニッケル(Ni)が含有されていることを特徴とする。すなわち、上記電解液に前記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物を含有する。
本発明のリチウムイオン電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
<負極>
本発明に係る負極は、種々の態様を採りえるが、基本的には、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備え、かつ前記活物質層が負極活物質を含有する態様であることが好ましい。なお、前記活物質層は、さらにバインダーを含有することが好ましい。
(負極集電体)
本発明に係る負極集電体としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、圧延銅箔、電解銅箔、ステンレス箔等の金属薄膜などが挙げられる。
負極集電体の厚さは、4〜30μmの範囲内とすることができる。好ましくは6〜20μmの範囲内である。
(負極活物質)
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。その具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
これらの負極活物質は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。中でも好ましいものは炭素質材料、合金系材料である。
炭素質材料の中では、非晶質炭素材料、黒鉛、黒鉛の表面を黒鉛に比べて非晶質の炭素で被覆したものが好ましく、特に、黒鉛や黒鉛の表面を黒鉛に比べて非晶質の炭素で被覆したものが、一般にエネルギー密度が高く、好ましい。
黒鉛は、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が0.335〜0.338nm、特に0.335〜0.337nmであるものが好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、通常10nm以上、好ましくは50nm以上、特に好ましくは100nm以上である。
灰分は、通常1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。
黒鉛の表面を非晶質の炭素で被覆したものとして好ましいのは、X線回折における格子面(002面)のd値が0.335〜0.338nmである黒鉛を核材とし、その表面に該核材よりもX線回折における格子面(002面)のd値が大きい炭素質材料が付着しており、かつ核材と核材よりもX線回折における格子面(002面)のd値が大きい炭素質材料との割合が質量比で99/1〜80/20であるものである。これを用いると、高い容量で、かつ電解液と反応しにくい負極を製造することができる。
炭素質材料の粒径は、レーザー回折・散乱法によるメジアン径で、1〜100μm、好ましくは3〜50μm、より好ましくは5〜40μmの範囲内である。
炭素質材料のBET法による比表面積は、0.3〜25.0m/g、好ましくは0.8〜10.0m/gの範囲内である。
また、炭素質材料は、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトルで分析し、1570〜1620cm−1の範囲にあるピークPのピーク強度をI、1300〜1400cm−1の範囲にあるピークPのピーク強度をIとした場合、IとIの比で表されるR値(=I/I)が、0.01〜0.7の範囲内であるものが好ましい。また、1570〜1620cm−1の範囲にあるピークの半値幅が、26cm−1以下、特に25cm−1以下であるものが好ましい。
合金系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば特に限定はされず、リチウム合金を形成する単体金属及び合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硫化物、リン化物等の化合物のいずれであってもよい。好ましくはリチウム合金を形成する単体金属及び合金を含む材料であり、13族及び14族の金属・半金属元素(即ち炭素を除く)を含む材料あることがより好ましく、さらにはアルミニウム、ケイ素、及びスズ(これらを以下「特定金属元素」という場合がある)の単体金属、及びこれらの元素を含む合金又は化合物であることが好ましい。
特定金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素を有する負極活物質の例としては、いずれか1種の特定金属元素の金属単体、2種以上の特定金属元素からなる合金、1種又は2種以上の特定金属元素とその他の1種又は2種以上の金属元素とからなる合金、並びに、1種又は2種以上の特定金属元素を含有する化合物、及びその化合物の酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硫化物、リン化物等の複合化合物が挙げられる。
負極活物質としてこれらの金属単体、合金又は金属化合物を用いることで、電池の高容量化が可能である。
また、これらの複合化合物が、金属単体、合金、又は非金属元素等の数種の元素と複雑に結合した化合物も例として挙げることができる。より具体的には、例えばケイ素やスズでは、これらの元素と負極として動作しない金属との合金を用いることができる。また、例えば、スズでは、スズとケイ素以外で負極として作用する金属と、さらに負極として動作しない金属と、非金属元素との組み合わせで5〜6種の元素を含むような複雑な化合物も用いることができる。
これらの負極活物質の中でも、電池にしたときに単位質量当りの容量が大きいことから、いずれか1種の特定金属元素の金属単体、2種以上の特定金属元素の合金、特定金属元素の酸化物や炭化物、窒化物等が好ましく、特に、ケイ素及び/又はスズの金属単体、合金、酸化物や炭化物、窒化物等が、単位質量当りの容量が大きく好ましい。
また、金属単体又は合金を用いるよりは単位質量当りの容量には劣るものの、サイクル特性に優れることから、ケイ素及び/又はスズを含有する以下の化合物も好ましい。
・ケイ素及び/又はスズと酸素との元素比の値が、0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.3、さらに好ましくは0.9〜1.1の範囲のケイ素及び/又はスズの酸化物。
・ケイ素及び/又はスズと窒素との元素比の値が、0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.3、さらに好ましくは0.9〜1.1の範囲内のケイ素及び/又はスズの窒化物。
・ケイ素及び/又はスズと炭素との元素比の値が、0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.3、さらに好ましくは0.9〜1.1のケイ素及び/又はスズの炭化物。
また、これらの合金系材料は粉末のものでも薄膜状のものでもよく、結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
合金系材料の平均粒径は、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、0.1〜50μm、好ましくは1〜20μm、特に好ましくは2〜10μmの範囲内である。電極の膨張の防止、サイクル特性が低下の防止のためである。また、集電、容量等の性能を十分に発現させるためである。
負極活物質として用いられるリチウム含有金属複合酸化物材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、特に限定はされないが、リチウムとチタンの複合酸化物(以下、「リチウムチタン複合酸化物」ともいう。)が好ましい。
また、リチウムチタン複合酸化物のリチウムやチタンの一部が、他の金属元素、例えば、Na、K、Co、Al、Fe、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素で置換されているものも好ましい。
さらに、LiTiで表されるリチウムチタン複合酸化物であり、0.7≦x≦1.5、1.5≦y≦2.3、0≦z≦1.6であることが、リチウムイオンの吸蔵・放出の際の構造が安定であることから好ましい(Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)。
中でも、LiTiで表されるリチウムチタン複合酸化物のx、y、及びzが以下の(a)〜(c)のいずれかを満足する場合の構造が、電池性能のバランスが良好
なため、特に好ましい。
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
特に好ましい代表的な組成は、(a)ではLi4/3Ti5/3、(b)ではLiTi、(c)ではLi4/5Ti11/5である。
また、Z≠0の場合の構造については、例えば、Li4/3Ti4/3Al1/3が好ましいものとして挙げられる。
本発明においては、特開2015−173107号公報に開示されている負極活物質を用いることもできる。
(負極バインダー)
負極用のバインダーとしては、特に限定されないが、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものが好ましい。具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。
このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダーを用いることにより、活物質層の電解液に対する膨潤性を低減することができる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
このような分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダーと、負極活物質とを組み合わせて用いることにより、負極板の機械的強度を高くすることができる。負極板の機械的強度が高いと、充放電による負極の劣化が抑制され、サイクル寿命を長くすることができる。
分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダーは、分子量が大きいもの及び/又は不飽和結合の割合が大きいものが好ましい。
バインダーの分子量としては、重量平均分子量を通常1万以上とすることができ、また、通常100万以下とすることができる。この範囲であれば、機械的強度及び可撓性の両面を良好な範囲に制御できる。重量平均分子量は、好ましくは5万以上であり、また、好ましくは30万以下の範囲である。
バインダーの分子内のオレフィン性不飽和結合の割合としては、全バインダー1g当たりのオレフィン性不飽和結合のモル数を通常2.5×10−7〜5×10−6モルの範囲内とすることができる。この範囲であれば、強度向上効果が十分に得られ、可撓性も良好である。
また、オレフィン性不飽和結合を有するバインダーについては、その不飽和度を、通常15〜90%の範囲内とすることができる。不飽和度は、好ましくは20〜80%の範囲内である。本願明細書において、不飽和度とは、ポリマーの繰り返し単位に対する二重結合の割合(%)を表す。
バインダーとして、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダーも、使用することができる。分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダーとオレフィン性不飽和結合を有さないバインダーとを併用することによって、塗布性の向上等が期待できる。
オレフィン性不飽和結合を有するバインダーを100質量%とした場合、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダーの混合比率は、活物質層の強度が低下するのを抑制するため、通常150質量%以下とすることができ、好ましくは120質量%以下である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダーの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、カラギーナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸又はこれらの金属塩;ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー又はこれらの共重合体などが挙げられる。
(負極導電助剤)
活物質層には、負極の導電性を向上させるために、導電助剤を含有させてもよい。
導電助剤は、特に限定されず、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からなる微粉末などが挙げられる。
導電助剤の添加量は、負極活物質に対して、10質量%以下であることが好ましい。
本発明に係る負極は、負極活物質と場合によりバインダー及び/又は導電助剤とを分散媒に分散させてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥することにより形成することができる。分散媒としては、アルコールなどの有機溶媒や、水を用いることができる。
スラリーを塗布する集電体としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、圧延銅箔、電解銅箔、ステンレス箔等の金属薄膜などが挙げられる。
スラリーを塗布、乾燥して得られる負極活物質層(以下、単に「活物質層」と称することもある。)の厚さは、負極としての実用性及び高密度の電流値に対する十分なリチウムイオンの吸蔵・放出の機能の点から、5〜200μmの範囲内とすることができる。好ましくは、20〜100μmの範囲内である。
活物質層の厚さは、スラリーの塗布、乾燥後にプレスすることにより、上記範囲の厚さになるように調整してもよい。
活物質層における負極活物質の密度は、用途により異なるものの、例えば車載用途やパワーツール用途などの入出力特性を重視する用途においては、1.10〜1.65g/cmの範囲内であることが好ましい。
この範囲であれば、密度が低すぎることによる粒子同士の接触抵抗の増大を回避することができ、一方、密度が高すぎることによるレート特性の低下も抑制することができる。
一方、携帯電話やパソコンといった携帯機器用途などの容量を重視する用途では、通常1.45〜1.90g/cmの範囲内とすることが好ましい。
この範囲であれば、密度が低すぎることによる単位体積あたりの電池の容量低下を回避することができ、一方、密度が高すぎることによるレート特性の低下も抑制することができる。
<正極>
本発明に係る正極は、種々の態様を採りえるが、基本的には、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備え、かつ前記活物質層が正極活物質を含有する態様であることが好ましい。なお、前記活物質層は、さらにバインダーを含有することが好ましい。
(正極集電体)
本発明に係る正極集電体としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)などが挙げられる。
正極集電体の厚さは、4〜30μmの範囲内とすることができる。好ましくは6〜20μmの範囲内である。
(正極活物質)
正極活物質としては、ニッケル(Ni)が含有され、リチウムイオンを充放電時に吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましく、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属としてはV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、LiCoO等のリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiO等のリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnO、LiMn、LiMnO等のリチウム・マンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
置換されたものの中では、LiNi1−a−bMnCo(a,bは0以上1未満の数字を表すが、a,bが共に0の場合を除く)、LiNi1−c−d−eCoAlMg(c,d,eは0以上1未満の数字を表すが、c,d,eが共に0の場合を除く)が好ましく、さらにはLiNi1−a−bMnCo(0≦a<0.4、0≦b<0.4)、LiNi1−c−d−eCoAlMg(0≦c<0.3、0≦d<0.1、0≦e<0.05)が好ましく、特にLiNi1/3Co01/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.3Mn0.2、LiNi0.5Mn0.5、LiNi0.85Co0.10Al0.05、LiNi0.85Co0.10Al0.03Mg0.02が好ましい。
リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO、LiFe(PO、LiFeP等のリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Nb、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
これらの正極活物質は単独で用いても、複数を併用しても良い。
また、これら正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質(表面付着物質)が付着したものを用いることもできる。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
表面付着物質の量としては、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、正極活物質に対して、好ましくは0.1〜20質量ppmの範囲内、より好ましくは1〜10ppmの範囲内で用いられる。表面付着物質により、正極活物質表面での非水系電解液の酸化反応を抑制することができ、電池寿命を向上させることができる。
(正極導電助剤)
正極活物質層中には、正極の導電性を向上させるために、導電助剤を含有させてもよい。導電助剤は、特に限定されず、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭
素粉末、各種の金属の繊維、粉末、箔などが挙げられる。
(正極バインダー)
正極用のバインダーは、特に限定されず、公知のものを任意に選択して用いることができる。例としては、シリケート、水ガラス等の無機化合物や、テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン等の不飽和結合を有さない樹脂などが挙げられる。中でも好ましいのは、酸化反応時に分解しにくいため、不飽和結合を有さない樹脂である。
バインダーの重量平均分子量は、通常1万〜300万の範囲内とすることができ、好ましくは10万〜100万の範囲内である。
<その他>
電極中には、上記各種材料の他に、機械的強度や電気伝導度を高めるために増粘剤、導電材、充填剤等を含有させてもよい。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン等が挙げられる。
(電極の作製方法)
電極の作製は、常法によればよい。例えば、負極又は正極活物質に、バインダー、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー化し、これを集電体に塗布、乾燥した後に、プレスすることによって形成することができる。
また、活物質にバインダーや導電材等を加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成型によりペレット電極としたり、蒸着・スパッタ・メッキ等の手法で集電体上に電極材料の薄膜を形成することもできる。
負極活物質に黒鉛を用いた場合、負極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、1.0〜2.2g/cmの範囲内であることが好ましい。好ましくは1.3〜1.9g/cmの範囲内である。負極活物質粒子の破壊による初期不可逆容量の増加防止、活物質層内部への電解液の浸透性が低下し高率充放電特性の悪化することの防止等のためである。また、活物質間の導電性の低下することによる単位容積あたりの容量が低下することを防止するためである。
正極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、1.5〜5.0g/cmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは2.2〜4.0g/cmの範囲内である。活物質層内部への電解液の浸透性が低下による高率充放電特性の悪化を防止するためである。また、活物質間の導電性が低下することによる高率充放電特性の悪化を防止するためである。
<セパレータ、外装体>
正極と負極の間には、短絡を防止するために多孔膜(セパレータ)を介在させる。この場合、電解液は多孔膜に含浸させて用いる。多孔膜の材質や形状は、電解液に安定であり、かつ保液性に優れていれば、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等が好ましい。
本発明のリチウムイオン電池に使用する電池の外装体の材質も任意であり、ニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン、ラミネートフィルム等が用いられる。
なお、上記した本発明のリチウムイオン電池の作動電圧は、通常、2〜6Vの範囲内である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
なお、以下で使用した比較化合物を下記に示す。
Figure 2020187973
[実施例1]
<リチウムイオン電池1−1の作製>
(非水系電解液の調製)
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(質量比EC/EMC/DMC=2/5/3)(5mL)に、十分に乾燥したLiPFを1mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た。この非水系電解液に対して、添加量が1.0質量%になるように比較化合物1であるビニレンカーボネート(VC)を添加した。
(正極の作製)
正極活物質であるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(日亜化学製3元系highNiタイプ−LiNi0.5Co0.2Mn0.3)(表中、NCM523と表記)94質量%と、導電助剤としてアセチレンブラック3.0質量%と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.0質量%とを、N−メチルピロリドン溶液中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.1g/cmになるようにプレスして正極を作製した。
(負極の作製)
負極活物質として人造黒鉛粉末KS−44(商品名;ティムカル社製)98質量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100質量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質の密度が1.6g/cmになるようにプレスして負極を作製した。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、上記非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状のリチウムイオン電池1−1を作製した。
<リチウムイオン電池1−3〜1−9、1−11、1−15の作製>
上記リチウムイオン電池1−1の作製において、比較化合物1のビニレンカーボネート(VC)を表I中に示した化合物に変更し、かつ、その添加量を変えた以外は、リチウムイオン電池1−1と同様にして、リチウムイオン電池1−3〜1−9、1−11、1−15を作製した。
<リチウムイオン電池1−2、1−10、1−12〜1−14、1−16、1−17の作製>
上記リチウムイオン電池1−1の作製において、負極活物質を人造黒鉛粉末KS−44から天然黒鉛粉末CPB(商品名;日本黒鉛工業株式会社製)に代えて、かつ比較化合物1のビニレンカーボネート(VC)を表I中に示した化合物に変更し、かつ、その添加量を変えた以外は、リチウムイオン電池1−1と同様にして、リチウムイオン電池1−2、1−10、1−12〜1−14、1−16、1−17を作製した。
<リチウムイオン電池1−1の評価>
(サイクル評価試験)
上記で作製したリチウムイオン電池1−1を、50℃において0.2Cで所定電圧まで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3.0Vまで放電する充放電サイクルを200回繰り返した。充電時のカットオフ電流は0.01Cとした。200回サイクル後の容量維持率を下記の計算式により求め、その値でサイクル特性の評価をした。この数値が大きいほど電池のサイクル劣化が少ないことを示している。また、1回目の充電終了時に電池端子間開路電圧を測定した。
200回サイクル後の容量維持率[%]=200回目の放電容量[mAh/g]/1回目の放電容量[mAh/g]×100
(電池抵抗測定試験)
リチウムイオン電池1−1と同様に新たに作成したリチウムイオン電池を、50℃、0.2CでCCCV充電して所定電圧まで充電した。その後の10秒間で電流値Iで放電され、電圧降下ΔVが測定された。このとき電気抵抗Rを、R=ΔV/Iを計算することによって算出した。
10秒間放電して電圧降下ΔVを測定した後、3.0Vまで放電する充放電サイクルを200回繰り返した。200回目の電気抵抗Rを同様に算出して、200回サイクル後の抵抗値維持率[%]を求めた。
200回サイクル後の抵抗値維持率[%]=200回目の抵抗値[mΩ]/1回目の抵抗値[mΩ]×100
<リチウムイオン電池1−2〜1−17の評価>
リチウムイオン電池1−2〜1−17の評価は、リチウムイオン電池1−1と同様にして行った。
上記に示す評価を行い、その評価結果を下記表Iに示した。
なお、各使用化合物の最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位(下記表では「HOMO値」と記載。)、及び最低空軌道(LUMO)エネルギー準位の値(下記表では「LUMO値」と記載。)をそれぞれ算出して下記表に示した。
当該算出には、市販のソフトウェアであるGaussian社のGaussian09ソフトウェアを用いることができ、計算手法として密度汎関数法(B3LYP)、基底関数として6−31G*を用いて最適化を行った。
Figure 2020187973
表Iに示す結果より、本発明に係る化合物を用いて作製したリチウムイオン電池は、200回後の容量維持率及び抵抗値維持率が比較例のリチウムイオン電池よりも高く、サイクル特性が向上することが認められる。
また、比較化合物1であるビニレンカーボネート(VC)を用いたリチウムイオン電池においては、負極活物質が人造黒鉛のときも天然黒鉛のときもサイクル特性は大きく変わらないのに対して、本発明に係る化合物を用いたリチウムイオン電池は、天然黒鉛を使用したときの方が、よりサイクル特性が向上していることが分かる。
本発明に係る化合物の添加量については、0.5質量%のときよりも1.0質量%のときの方がサイクル特性に優れる。しかし、1.0質量%のときと、2.0質量%のときでは大きな差は見られないことから、本発明に係る化合物の添加量は1.0質量%であれば、その効果を十分に発揮するものと考えられる。
以上の結果から、特定範囲のHOMOエネルギー準位、及びLUMOエネルギー準位を有し、かつ分子構造中に一般式(1)で表される特定の部分構造を有する化合物を含有する非水系電解液を用いることが、効果的であることが分かる。
[実施例2]
<リチウムイオン電池2−1の作製>
(非水系電解液の調製)
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(質量比EC/EMC=3/7)(5mL)に、十分に乾燥したLiPFを1mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た。この非水系電解液に対して、添加量が1.0質量%になるように、比較化合物5である1,3−プロパンスルトン(PS)を添加した。
(正極の作製)
正極活物質であるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(日亜化学製3元系highNiタイプ−LiNi0.5Co0.2Mn0.3)94質量%と、導電助剤としてアセチレンブラック3.0質量%と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.0質量%とを、N−メチルピロリドン溶液中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.1g/cmになるようにプレスして正極を作製した。
(負極の作製)
負極活物質として人造黒鉛粉末KS−44(商品名;ティムカル社製)98質量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100質量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質の密度が1.6g/cmになるようにプレスして負極を作製した。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、上記非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状のリチウムイオン電池2−1を作製した。
<リチウムイオン電池2−3〜2−8、2−10、2−17の作製>
上記リチウムイオン電池2−3〜2−8、2−10、2−17の作製において、使用化合物を表II中に示した化合物を使用し、かつ、その添加量を代えた以外は、リチウムイオン電池2−1と同様にして作製した。
<リチウムイオン電池2−2、2−9、2−11〜2−16、2−18、2−19の作製>
上記リチウムイオン電池2−1の作製において、負極活物質を天然黒鉛粉末CPB(商品名;日本黒鉛工業株式会社製)に代えて、かつ、比較化合物5の1,3−プロパンスルトン(PS)を表II中に示した化合物に変更し、かつ、その添加量を変えた以外は、リチウムイオン電池2−1と同様にして、リチウムイオン電池2−2、2−9、2−11〜2−16、2−18、2−19作製した。
<リチウムイオン電池2−1の評価>
(サイクル評価試験)
上記で作製したリチウムイオン電池2−1を、30℃において0.2Cで所定電圧まで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3.0Vまで放電する充放電サイクルを150回繰り返した。充電時のカットオフ電流は0.01Cとした。150回サイクル後の容量維持率を下記の計算式により求め、その値でサイクル特性の評価をした。この数値が大きいほど電池のサイクル劣化が少ないことを示している。また1回目の充電終了時に電池端子間開路電圧を測定した。
150回サイクル後の容量維持率[%]=150回目の放電容量[mAh/g]/1回目の放電容量[mAh/g]×100
(電池抵抗測定試験)
リチウムイオン電池2−1と同様に新たに作成したリチウムイオン電池を、30℃、0.2CでCCCV充電して所定電圧まで充電した。その後の10秒間で電流値Iで放電され、電圧降下ΔVが測定された。このとき電気抵抗Rを、R=ΔV/Iを計算することによって算出した。
10秒間放電して電圧降下ΔVを測定した後、3.0Vまで放電する充放電サイクルを150回繰り返した。150回目の電気抵抗Rを同様に算出して、150回サイクル後の抵抗値維持率[%]を求めた。
150回サイクル後の抵抗値維持率[%]=150回目の抵抗値[mΩ]/1回目の抵抗値[mΩ]×100
<リチウムイオン電池2−2〜2−19の評価>
リチウムイオン電池2−2〜2−19の評価は、リチウムイオン電池2−1と同様にして行った。
上記に示す評価を行い、その評価結果を下記表IIに示した。
Figure 2020187973
表IIに示す結果より、本発明に係る化合物を用いて作製したリチウムイオン電池は、150回後の容量維持率及び抵抗値維持率が比較例のリチウムイオン電池よりも高く、サイクル特性が向上することが認められる。
また、比較化合物5である1,3−プロパンスルトン(PS)においては、負極活物質が人造黒鉛のときも天然黒鉛のときもサイクル特性は大きく変わらないのに対して、本発明に係る化合物は、天然黒鉛を使用したときの方が、よりサイクル特性が向上していることが分かる。
本発明に係る添加量については、0.5質量%のときよりも1.0質量%のときの方がサイクル特性に優れる。しかし、1.0質量%のときと、2.0質量%のときでは大きな差は見られないことから、本発明に係る化合物の添加量は1.0質量%であれば、その効果を十分に発揮するものと考えられる。
以上の結果から、特定範囲のHOMOエネルギー準位、及びLUMOエネルギー準位を有し、かつ分子構造中に一般式(1)で表される特定の部分構造を有する化合物を含有する非水系電解液を用いることが、効果的であることが分かる。
[実施例3]
<リチウムイオン電池3−1の作製>
(非水系電解液の調製)
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(質量比EC/DEC=1/1)(5mL)に、十分に乾燥したLiPFを1mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た。この非水系電解液に対して、添加量が1.0質量%になるように比較化合物1であるビニレンカーボネート(VC)を添加した。
(正極の作製)
正極活物質であるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(日亜化学社製3元系highNiタイプ−LiNi0.5Co0.2Mn0.3)94質量%と、導電助剤としてアセチレンブラック3.0質量%と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.0質量%とを、N−メチルピロリドン溶液中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これをサイズ30mm×50mmのアルミニウム箔の両面に、正極容量密度が3.0mAh/cmになるように均一に塗布、乾燥させた後、プレスして正極を作製した。
(負極の作製)
負極活物質として天然黒鉛粉末CPB(商品名;日本黒鉛工業株式会社製)98質量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100質量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これをサイズ32mm×52mmの銅箔の片面に、負極容量密度が3.3mAh/cmになるように均一に塗布、乾燥させた後、プレスして負極を作製した。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、上記非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行うことで、容量が45mAhのリチウムイオン電池3−1を作製した。
<リチウムイオン電池3−2〜3−8の作製>
上記リチウムイオン電池3−1の作製において、比較化合物1のビニレンカーボネート(VC)を表III中に示した化合物に変更し、かつ、その添加量を変えた以外は、リチウムイオン電池3−1と同様にして、リチウムイオン電池3−2〜3−8を作製した。
<リチウムイオン電池3−1の評価>
(充電率違いにおける100サイクル後の直流抵抗(DCR)値)
添加量1質量%で充電率(State of charge;SOC)を20%、50%、80%とした際の、100サイクル後のそれぞれの直流抵抗(DCR)を測定した。
上記は各SOCにおいて、1〜12秒間パルス充放電を行った。
(サイクル評価試験)
上記で作製したリチウムイオン電池3−1を、30℃において0.2Cで4.2Vまで定電流充電(以下適宜、「CC充電」という)した後、0.2Cで2.0Vまで放電する充放電サイクルを100回繰り返した。100サイクル後、30℃において充電率(State of charge;SOC)が80%、50%、20%のときの3点について、それぞれにパルス充放電を行った。充電時は、電流を2C、1C、0.5Cとしてそれぞれ12秒間行い、入力特性としての電圧値が得られた。放電時は、電流を5C、2C、1C、0.5Cとしてそれぞれ12秒間行い、出力特性としての電圧値が得られた。それぞれこのようにして得られた電流と電圧の関係から、直流抵抗値(Direct Current Resistance;DCR)を算出した。
100回サイクル後において、SOC80%時の、出力時の直流抵抗値を100として、SOC20%、及びSOC50%時の抵抗値を下記の計算式により求め、その値で充電率違いの出力時の直流抵抗値の変動を評価した。この数値が大きいほど、電池の充電率に依存しないことを表すため好ましい。
100回サイクル後、SOC違いでの直流抵抗値の変動率[%]=SOC20%、又はSOC50%時の出力時の直流抵抗値[Ω]/SOC80%時の出力時の直流抵抗値[Ω]×100
<リチウムイオン電池3−2〜3−8の評価>
リチウムイオン電池3−2〜3−8の評価は、リチウムイオン電池3−1と同様にして行った。上記に示す評価を行い、その評価結果を下記表IIIに示した。
Figure 2020187973
表IIIに示す結果より、比較化合物1であるビニレンカーボネート(VC)を用いたリチウムイオン電池においては、SOC20%及びSOC50%のときのDCRが、SOC80%のときの値と比べて大きくなっている。
一方、本発明に係る化合物を用いたリチウムイオン電池は、DCR変動値が小さく、SOC20%のような低充電率のときは、SOC80%の高充電のときと比べてわずかに増加した抵抗値にすぎない。電池において抵抗値が大きくなるということは、入力に対して出力が小さくなることを意味するため好ましくない。本発明に係る化合物は、充電率による抵抗値の変動が小さいため、充電率に依存することなく安定に性能を発揮し、エネルギーを供給できる。
以上の結果から、特定範囲のHOMOエネルギー準位、及びLUMOエネルギー準位を有し、かつ分子構造中に一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される構造を有する化合物を含有する非水系電解液を用いることが、効果的であることが分かる。

Claims (7)

  1. 電解質としてリチウム化合物を含有する非水系電解液であって、
    下記一般式(1)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物を含有し、
    当該化合物の最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位が−7.90〜−5.60eVの範囲内であり、かつ、
    最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位が−2.80〜−0.50eVの範囲内であることを特徴とする非水系電解液。
    Figure 2020187973
    [一般式(1)中、*は結合箇所を表す。Xは水素原子又はメチル基を表す。Yは酸素原子又は−NRを表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。]
  2. 下記一般式(2)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液。
    Figure 2020187973
    [一般式(2)中、Lは置換されていてもよいC1〜C10のアルキレン基、置換されていてもよいフェニレン基、−S(=O)−Oを表し、これらをともに含んでいてもよい。R〜Rは置換基を表し、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよい。Xは水素原子又はメチル基を表す。Yは酸素原子又は−NRを表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。]
  3. 下記一般式(3)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液。
    Figure 2020187973
    [一般式(3)中、L〜Lは置換されていてもよいC1〜C10のアルキレン基、又は置換されていてもよいフェニレン基、−O−、−S(=O)−Oを表し、これらをともに含んでいてもよい。Zは前記一般式(1)で表される構造を表す。X及びXは水素原子又はメチル基を表す。Y及びYは酸素原子又は−NRを表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。n及びmは0又は1を表す。]
  4. 前記一般式(2)中、Xがメチル基を表すことを特徴とする請求項2に記載の非水系電解液。
  5. 前記一般式(3)中、X及びXがメチル基を表すことを特徴とする請求項3に記載の非水系電解液。
  6. 前記一般式(3)中、X及びXがメチル基を表し、Y及びYが−NRを表すことを特徴とする請求項3に記載の非水系電解液。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の非水系電解液が用いられ、かつ正極活物質中にニッケル(Ni)が含有されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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WO2021258260A1 (zh) * 2020-06-22 2021-12-30 宁德新能源科技有限公司 电解液和使用其的电化学装置
CN115863767A (zh) * 2023-02-14 2023-03-28 河南易成阳光新能源有限公司 一种高容量高倍率锂离子电池及其制备方法
WO2023085639A1 (ko) * 2021-11-12 2023-05-19 주식회사 엘지에너지솔루션 고온 안전성이 향상된 리튬 이차전지

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