JP2020072023A - 非水系電解液及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

非水系電解液及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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貴之 飯島
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Takahiko Nojima
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Abstract

【課題】本発明の課題は、非水系電解液構成成分として非水系溶媒中に含有させて長期保存した際の保存安定性に優れ、また、リチウムイオン二次電池に用いた際に、寿命に関わるサイクル特性を向上することができる化合物を含有する非水系電解液を提供することである。さらに、当該非水系電解液を用いたリチウムイオン二次電池を提供することである。【解決手段】電解質としてリチウム化合物を含有する非水系電解液であって、特定構造を有する化合物を含有することを特徴とする非水系電解液。【選択図】なし

Description

本発明は、非水系電解液及びリチウムイオン二次電池に関する。より詳しくは、寿命に関わるサイクル特性を向上することができる非水系電解液及びそれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、省エネルギー化への要望は特に高まってきており、蓄電に関する技術も重要なものとなってきている。蓄電に用いられる二次電池としては、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、及びニッケル水素二次電池等が知られている。そして、当該電池の中でも、リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度の高さや単位容量あたりのコストが低いことから、車載用途や携帯電話用の電源等の様々な用途に使用されている。
リチウムイオン二次電池は、上記の用途以外にも今後様々な用途に使用されると考えられている。例えば、スマートグラス、スマートウォッチや有機EL照明等の、ウェアラブル又はフレキシブルなエレクトロニクスの電源としての用途や高温環境下での用途が期待されており、さらなる安全性の確保が求められている。
リチウムイオン二次電池としては、例えば、正極、負極、セパレータ、及び電解質等の部材から構成され、この内、正極と電解質はリチウム化合物を含有する構成であることが一般的である。電解質については、リチウムイオンが水を電気分解するために、有機溶媒などの非水系電解液が利用されている。
リチウムイオン二次電池における非水系電解液は、リチウム化合物を溶解させるとともに、電離したリチウムイオンの正極・負極への移動媒体としての働きをするため、きわめて重要である。非水系電解液に求められる性質は、導電性、電気化学的安定性、耐熱性、不燃性、及び高流動性などが挙げられる。
非水系電解液は、電解質塩であるリチウム化合物が溶解している他に、複数の有機化合物種から構成されることが一般的である。
非水系電解液を構成している有機化合物種の大部分は、鎖状カーボネート、及び環状カーボネートであり、これらの性質が上記で挙げた非水系電解液に求められる性質の大部分をもたらしている。他の構成部材との組み合わせに伴い最適化がなされるものの、鎖状・環状カーボネート両者を併せた非水系電解液中の含有比率は少なくとも90%以上であることが一般的である。
非水系電解液中で、鎖状・環状カーボネート以外の残りの構成成分は一般的に添加剤と称される。添加剤もまた1種のみの使用に限らず、非水系電解液に好適な性質を、及びリチウムイオン二次電池に好適の性能をもたらすためにさまざまな検討がなされている。
非水系電解液中の構成成分、とりわけ添加剤に求められる重要なはたらきが、初充電時に主に負極表面に形成されるSEI(SEI:Solid Electrolyte Interphase)と称されるナノレベルの薄膜(「SEI膜」ともいう。)を形成させることである。これは初充電時に負極がある電位に到達すると、負極表面で非水系電解液の還元分解が始まり、当該還元分解生成物がSEIとして積層され、結果的に負極表面が被膜されるというものである。
このようにして形成された負極表面上のSEIは、さらなる非水系電解液の分解(主に鎖状・環状カーボネートの分解)を抑制することで、二次電池として長期間使用できるための状態を創り出す。この際、SEIは負極−非水系電解液間でリチウムイオンは透過させる一方、電子は通過させない役割が求められるとともに、充放電を繰り返しても壊れない膜としての耐久性や、電気化学的安定性、耐熱性なども求められる。
上記のような課題を達成するために、リチウムイオン二次電池における非水系電解液に関して、分子内構造末端に炭素−炭素不飽和結合を有し、かつ特定の構造を有する化合物に関する技術が開示されている。(例えば、特許文献1〜4参照。)。
これらの先行技術では、分子構造内に炭素−炭素二重結合を、又は炭素−炭素三重結合を有するとともに、スルホネート(スルホン酸)、ホスホネート(リン酸)、及びカーボネート(カルボン酸)などから選ばれる特定の構造を有する化合物を含有する非水系電解液を用いることで、リチウムイオン二次電池のサイクル特性の向上や初期放電量の改善をねらいとしている。
以上のようにこれまでにもリチウムイオン二次電池の性能を向上させるための取り組みが行われてきたが、いまだ充分に電池特性が達成されているとは言えず、更なる改善が求められている。
特開2014−143193号公報 特開2011−238540号公報 特開2014−192030号公報 国際公開第2011/096450号
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、非水系電解液構成成分として非水系溶媒中に含有させて長期保存した際の保存安定性に優れ、また、リチウムイオン二次電池に用いた際に、寿命に関わるサイクル特性を向上することができる化合物を含有する非水系電解液を提供することである。さらに、当該非水系電解液を用いたリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等を検討する過程において、酸素の二重結合構造を有する特定の化合物を含有させることが、負極又は正極表面での相互作用や膜形成に優位に働き、非水系溶媒中における長期保存安定性に優れ、また、サイクル特性が向上することを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.電解質としてリチウム化合物を含有する非水系電解液であって、
下記A群〜G群のいずれかに属する下記一般式(1)〜一般式(19)で表される構造のいずれかを有する化合物を含有することを特徴とする非水系電解液。
[A群]
Figure 2020072023
[一般式(1)において、R、R及びRは、同一の基であっても、異なる基であってもよく、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基又はアリールオキシ基を表す。また、R、R及びRは、更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。また、Rは更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。]
[B群]
Figure 2020072023
[一般式(3)及び一般式(4)において、R〜Rは、同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(1)におけるRと同義である。R10は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。また、R〜R10は更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。]
[C群]
Figure 2020072023
[一般式(5)及び一般式(6)において、R11〜R13は、同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(1)におけるRと同義である。R14は、前記一般式(1)におけるRと同義である。]
[D群]
Figure 2020072023
[一般式(7)〜一般式(9)において、R15、R20及びR23は、前記一般式(1)におけるRと同義である。一般式(7)において、R16〜R19は、同一の基であっても、異なる基であってもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。
一般式(8)におけるR21及びR22、一般式(9)におけるR24〜R27は、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基又はアリールオキシ基を表す。また、R21、R22及びR24〜R27は、更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。]
[E群]
Figure 2020072023
[一般式(10)におけるR28〜R33、一般式(11)におけるR34〜R37は、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(7)におけるR16と同義である。一般式(10)において、Xは酸素原子又はCHを表す。
一般式(12)において、R38〜R41は、同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(8)におけるR21と同義である。]
[F群]
Figure 2020072023
[一般式(13)及び一般式(17)において、R42及びR53は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。また、R42及びR53は、更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。
一般式(14)及び一般式(16)においてX及びXは、酸素原子、硫黄原子又はNYを表し、Yは、一般式(13)におけるR42と同義である。
一般式(13)におけるR43〜R45、一般式(14)におけるR46〜R48、一般式(15)におけるR49、R50、一般式(16)におけるR51、R52、一般式(17)におけるR54〜R57は、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(8)におけるR21と同義である。]
[G群]
Figure 2020072023
[一般式(18)におけるR58〜R60、一般式(19)におけるR61〜R65は、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(8)におけるR21と同義である。
一般式(18)において、X及びXは、同一の基であっても、異なる基であってもよく、CY又は窒素原子を表し、Yは前記一般式(8)におけるR21と同義である。]
2.前記一般式(1)〜一般式(19)がそれぞれ属するA群〜G群のうち、異なる二つの群より選ばれる構造を、同一分子内に有する化合物を含有することを特徴とする第1項に記載の非水系電解液。
3.前記一般式(1)〜一般式(19)で表されるいずれかの構造と、下記X群に属する下記一般式(20)〜一般式(24)で表されるいずれかの構造を、同一分子内に有する化合物を含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の非水系電解液。
[X群]
Figure 2020072023
[一般式(20)〜一般式(24)において、L〜Lは、連結基又は単なる結合手を表し、前記一般式(1)〜一般式(19)で表されるいずれかの構造を有する化合物と結合している。前記連結基はアルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。一般式(24)において、R66は前記一般式(1)におけるRと同義であり、nは1〜5の整数を表す。一般式(20)〜一般式(22)又は一般式(24)において、A〜Aは、水素原子又はメチル基を表す。]
4.前記一般式(1)〜一般式(19)がそれぞれ属するA群〜G群のうち、異なる二つの群より選ばれる構造と、前記X群に属する前記一般式(20)〜一般式(24)で表されるいずれかの構造とを、同一分子内に有する化合物を含有することを特徴とする第3項に記載の非水系電解液。
5.前記一般式(21)中、Aはメチル基を表すことを特徴とする第3項又は第4項に記載の非水系電解液。
6.前記一般式(3)又は一般式(4)において、下記一般式(25)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする第3項に記載の非水系電解液。
Figure 2020072023
[一般式(25)において、L10〜L12は、連結基又は単なる結合手を表し、前記X群に属する一般式(20)〜一般式(24)で表されるいずれかの構造を有する化合物と結合している。前記連結基は、アルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。nは、0か1を表す。]
7.前記一般式(25)中、L10〜L12の少なくとも一つは一般式(21)で表されるいずれかの構造であり、かつ一般式(21)中の、Aがメチル基を表すことを特徴とする第6項に記載の非水系電解液。
8.第1項から第7項までのいずれか一項に記載の非水系電解液が用いられ、かつ正極活物質中にニッケル(Ni)が含有されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明の上記手段により、非水系電解液構成成分として非水系溶媒中に含有させて長期保存した際の保存安定性に優れ、また、リチウムイオン二次電池に用いた際に、寿命に関わるサイクル特性を向上することができる化合物を含有する非水系電解液を提供することができる。さらに、当該非水系電解液を用いたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、本発明に係る化合物が優れた効果を発現する推定機構について、以下に述べる。
第1に、酸素の二重結合構造(例えばカルボニル基C=O、スルホニル基S=O、ホスホネート基P=O、N−オキサイド基N=O(ただし、後記する化合物例の構造式において、例えば、R−Oとも表記する。)などは、酸素原子の高い電気陰性度に伴う電子吸引効果により、根元の原子(例えばカルボニル基における炭素原子)がδ+に偏っている。つまり、この箇所を基点に還元を受けやすいと言える。通常SEI膜は還元分解物の積層により形成されるものであることを考慮すると、膜形成の作用機構やねらいを、非常に分かりやすく推定、設定することができる。
第2に、酸素の二重結合構造は他の結合箇所よりも強固であることが推定され、したがって、還元分解後も構造として維持されると考えられる。つまり、SEI膜中において、強くδ−に偏っている酸素原子が存在するならば、リチウムイオン(Li+)の透過箇所(トラップサイト)として働き、リチウムイオンの伝導性を向上させることができると推定される。
第3に、本発明の非水系電解液に含有される化合物の内、負極へのSEI膜形成に関与しなかった残存分についても効果的にふるまうことが期待される。すなわち、初期充電時の還元分解成生成物のために消費されなかった余剰分は、電解液中に引き続き含まれ、電気泳動するものであるが、この際、正極が十分に被膜保護されていない場合、当該化合物が正極と接触することで酸化分解してしまうおそれがある。これを抑制するためには、当該化合物のHOMO値をより深くして、酸化耐性を持たせる技術が考えられるが、この際、比較的容易にHOMO値を下げることができる分子設計上の手法が酸素の二重結合構造の導入である。
本発明に係る化合物は、酸素の二重結合構造を有するものであるため、上記のような3点から、優れた効果が期待できる。
本発明に係る化合物のもう一つの好ましい態様の特徴に、重合性基を有するというものがある。先に述べたように、通常のSEI膜は、単に還元分解物の積層により形成されるものであるため、SEI膜の状態や作用機構などを意図的かつ精密にコントロールするものとは言い難い。そこで、分子内に重合性基を導入して、重合膜としてSEI膜を形成できるならば、それは設計者の意図をより具現化できる手段であると言える。すなわち、重合度や架橋基の数が、SEI膜の厚さや粗密の状態をコントロールできるからである。
したがって、重合膜としてSEI膜を形成するための好ましい重合性基として、例えば炭素−炭素不飽和結合を含む基が選ばれ、これが先に述べた酸素の二重結合を有する構造とともに同一分子内に存在する化合物は、本発明に係る好ましい化合物であるといえる。
本発明の非水系電解液は、電解質としてリチウム化合物を含有する非水系電解液であって、前記A群〜G群のいずれかに属する前記一般式(1)〜一般式(19)で表される構造のいずれかを有する化合物を含有することを特徴とする。
この特徴は、下記各実施態様に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記一般式(1)〜一般式(19)がそれぞれ属するA群〜G群のうち、異なる2つの群より選ばれる構造を、同一分子内に有する化合物を含有することが好ましい。また、同様の観点から、前記一般式(1)〜一般式(19)で表されるいずれかの構造と、前記X群に属する前記一般式(20)〜一般式(24)で表されるいずれかの構造とを、同一分子内に有する化合物を含有することが好ましい。さらに、前記一般式(1)〜一般式(19)がそれぞれ属するA群〜G群のうち、異なる2つの群より選ばれる構造と、前記X群に属する前記一般式(20)〜一般式(24)で表されるいずれかの構造とを、同一分子内に有する化合物を含有することが好ましい。特に、前記一般式(21)中、Aはメチル基を表すことが好ましい。
本発明においては、前記一般式(25)で表される化合物を含有することも好ましい。また、一般式(25)中、L10〜L12の少なくとも一つは一般式(21)で表される構造であり、かつ、一般式(21)中のAがメチル基を表すことが好ましい。
本発明の非水系電解液は、リチウムイオン二次電池に好適に用いることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[非水系電解液]
本発明の非水系電解液は、前記A群〜G群のいずれかに属する前記一般式(1)〜一般式(19)で表される構造のいずれかを有する化合物を含有することを特徴とする。
以下、前記一般式(1)〜一般式(19)で表される構造の化合物及びこれらと併用する一般式(20)〜一般式(24)で表される構造の化合物について(I)〜(V)に分けて詳細な説明をする。
(I)A群〜G群のいずれかに属する構造を有する化合物
<一般式(1)〜(24)で表される構造を有する化合物>
[A群]
Figure 2020072023
[一般式(1)において、R、R及びRは、同一の基であっても、異なる基であってもよく、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基又はアリールオキシ基を表す。また、R、R及びRは、更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。また、Rは更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。]
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びシクロアルキル基としては、非環式若しくは環式の炭素数が1〜6のアルカン、アルケン及びアルキン(例えば、メタン、エタン、プロパン、プロピレン、プロピン、ブタン、ブテン、ブタジエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ヘキセン、ヘキシン等)から導出される1価の基が挙げられる。
これらのうちでは、炭素数が1〜6のアルカンから導出される基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられるが、更に好ましくは、メチル基、エチル基、t−ブチル基である。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられるが、更に好ましくはメトキシ基、及びエトキシ基である。
芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−ターフェニル環、m−ターフェニル環、p−ターフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、インデン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環、テトラリン等から導出される3価の基が挙げられる。これらのうちでは、ベンゼン環から導出される1価の基が好ましい。
芳香族複素環基としては、例えば、フラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ジベンゾチオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環等から導出される3価の基が挙げられる。これらのうちでは、ピリジン環から導出される1価の基が好ましい。
[B群]
Figure 2020072023
[一般式(3)及び一般式(4)において、R〜Rは、同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(1)におけるRと同義である。R10は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。また、R〜R10は更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。]
[C群]
Figure 2020072023
[一般式(5)及び一般式(6)において、R11〜R13は、同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(1)におけるRと同義である。R14は、前記一般式(1)におけるRと同義である。]
[D群]
Figure 2020072023
[一般式(7)〜一般式(9)において、R15、R20及びR23は、前記一般式(1)におけるR1と同義である。一般式(7)において、R16〜R19は、同一の基であっても、異なる基であってもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。
一般式(8)におけるR21及びR22、一般式(9)におけるR24〜R27は、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基又はアリールオキシ基を表す。また、R21、R22及びR24〜R27は、更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。]
[E群]
Figure 2020072023
[一般式(10)におけるR28〜R33、一般式(11)におけるR34〜R37は、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(7)におけるR16と同義である。一般式(10)において、Xは酸素原子又はCHを表す。
一般式(12)において、R38〜R41は、同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(8)におけるR21と同義である。]
[F群]
Figure 2020072023
[一般式(13)及び一般式(17)において、R42及びR53は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。また、R42及びR53は、更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。
一般式(14)及び一般式(16)においてX及びXは、酸素原子、硫黄原子又はNYを表し、Yは、一般式(13)におけるR42と同義である。
一般式(13)におけるR43〜R45、一般式(14)におけるR46〜R48、一般式(15)におけるR49、R50、一般式(16)におけるR51、R52、一般式(17)におけるR54〜R57は、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(8)におけるR21と同義である。]
[G群]
Figure 2020072023
[一般式(18)におけるR58〜R60、一般式(19)におけるR61〜R65は、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(8)におけるR21と同義である。
一般式(18)において、X及びXは、同一の基であっても、異なる基であってもよく、CY又は窒素原子を表し、Yは前記一般式(8)におけるR21と同義である。]
<A群〜G群のいずれかに属する構造を有する化合物の具体例>
本発明に係る前記A群〜G群のいずれかに属する前記一般式(1)〜一般式(19)で表される構造のいずれかを有する化合物の具体例を以下に示す。これらの例示化合物は一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
[A群の例示化合物]
Figure 2020072023
[B群の例示化合物]
Figure 2020072023
[C群の例示化合物]
Figure 2020072023
[D群の例示化合物]
Figure 2020072023
[E群の例示化合物]
Figure 2020072023
[F群の例示化合物]
Figure 2020072023
[G群の例示化合物]
Figure 2020072023
(II)異なる2つの群より選ばれる構造を同一分子内に有する化合物
本発明の非水系電解液においては、前記一般式(1)〜一般式(19)がそれぞれ属するA群〜G群のうち、異なる2つの群より選ばれる構造を、同一分子内に有する化合物を含有することが好ましい。
具体例を以下に示すが、これらの例示化合物は一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2020072023
(III)A群〜G群のいずれかに属する構造と下記X群に属する構造を同一分子内に有する化合物
本発明の非水系電解液においては、前記A群〜G群のいずれかに属する前記一般式(1)〜一般式(19)で表されるいずれかの構造と、下記X群に属する下記一般式(20)〜一般式(24)で表されるいずれかの構造とを、同一分子内に有する化合物を含有することが好ましい。
[X群]
Figure 2020072023
[一般式(20)〜一般式(24)において、L〜Lは、連結基又は単なる結合手を表し、前記一般式(1)〜一般式(19)で表されるいずれかの構造を有する化合物と結合している。前記連結基はアルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。一般式(24)において、R66は前記一般式(1)におけるRと同義であり、nは1〜5の整数を表す。一般式(20)〜一般式(22)又は一般式(24)において、A〜Aは、水素原子又はメチル基を表す。]
A群〜G群のいずれかに属する構造と下記X群に属する構造とを有する化合物の具体例を以下に示すが、これらの例示化合物は一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2020072023
Figure 2020072023
(IV)A群〜G群のうち異なる二つの群より選ばれる構造とX群に属する構造とを同一分子内に有する化合物
本発明の非水系電解液においては、前記一般式(1)〜一般式(19)がそれぞれ属するA群〜G群のうち異なる2つの群より選ばれる構造と、前記X群に属する前記一般式(20)〜一般式(24)で表されるいずれかの構造とを、同一分子内に有する化合物を含有することも好ましい。
具体例を以下に示すが、これらの例示化合物は一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2020072023
Figure 2020072023
特に、下記例示化合物のように前記一般式(21)中、Aはメチル基を表すことが好ましい。
Figure 2020072023
(V)一般式(25)で表される構造を有する化合物
本発明の非水系電解液は、下記一般式(25)で表される構造を有する化合物を含有することも好ましい。
Figure 2020072023
[一般式(25)において、L10〜L12は、連結基又は単なる結合手を表し、前記X群に属する一般式(20)〜一般式(24)で表されるいずれかの構造を有する化合物と結合している。前記連結基は、アルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。nは、0か1を表す。]
10〜L12で表される連結基は、アルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環を表す。
アルキル基、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基としては、前記一般式(1)で挙げたアルキル基、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基と同義である。
一般式(25)で表される構造を有する化合物の具体例を以下に示すが、これらの例示化合物は一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2020072023
Figure 2020072023
Figure 2020072023
Figure 2020072023
特に、下記例示化合物のように、前記一般式(25)中、L10〜L12の少なくとも一つは一般式(21)で表されるいずれかの構造であり、かつ一般式(21)中の、A2がメチル基を表すことが好ましい。
Figure 2020072023
Figure 2020072023
[非水系電解液構成成分]
本発明の非水系電解液は、前記一般式(1)〜一般式(19)で表される構造のいずれかを有する化合物を含有することを特徴とする。
本発明の非水系電解液は、非水系溶媒に電解質としてリチウム塩と、前記一般式(1)〜一般式(19)で表される構造のいずれかを有する化合物と、必要に応じてその他の化合物を溶解させた非水系電解液である。さらに、当該非水系電解液に、有機高分子化合物等を添加することにより、ゲル状、ゴム状又は固体シート状にしたものとしてもよい。
本発明の非水系電解液に含有される前記一般式(1)〜一般式(19)で表される構造のいずれかを有する化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の非水系電解液に含有される当該化合物の含有量は、電解液全体に対して0.01〜5.0質量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜2.0質量%の範囲内であることがさらに好ましく、1.0〜2.0質量%の範囲内であることが特に好ましい。0.1〜2.0質量%の範囲内であると、リチウムイオン電池の高温保存試験後の容量の低下を有効に改善することが可能となる。
本発明の非水系電解液に使用される非水系溶媒は、特に限定されず、公知の非水系溶媒を用いることができる。
例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
非水系溶媒は、単独でも、2種以上を併用してもよい。混合溶媒の場合は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒の組み合わせが導電性と粘度のバランスから好ましく、環状カーボネートが、エチレンカーボネートであることが好ましい。
例えば、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒の場合、両者の質量比(EC/DMC)は、3/10〜8/10、好ましくは、3/7〜2/3の範囲であることが好ましい。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)との三種の混合溶媒の場合、質量比EC/EMC/DECは、たとえば、3/4/3、及び3/3/2などが好ましい。
本発明の非水系電解液に使用されるリチウム塩も特に制限されず、公知のリチウム塩を用いることができる。
例えば、LiCl、LiBrなどのハロゲン化物;LiClO、LiBrO、LiClOなどの過ハロゲン酸塩;LiPF、LiBF、LiAsFなどの無機フッ化物塩などの無機リチウム塩;LiCFSO、LiCSOなどのパーフルオロアルカンスルホン酸塩;Liトリフルオロメタンスルフォニルイミド((CFSONLi)などのパーフルオロアルカンスルホン酸イミド塩などの含フッ素有機リチウム塩などが挙げられる。中でも、LiClO、LiPF、LiBFが好ましい。
リチウム塩は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。非水系電解液中におけるリチウム塩の濃度は、0.5〜2.0mol/Lの範囲内とすることができる。
上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませることで、ゲル状、ゴム状、又は固体シート状にして使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
本発明の非水系電解液は、さらに被膜形成剤を含有していてもよい。
被膜形成剤の具体例としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネートなどのカーボネート化合物;エチレンスルフィド、プロピレンスルフィドなどのアルケンスルフィド;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどのスルトン化合物;マレイン酸無水物、コハク酸無水物などの酸無水物などが挙げられる。
非水系電解液には、さらに、ジフェニルエーテル、シクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていてもよい。
上記各種添加剤を用いる場合、初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下等、他の電池特性に悪影響を及ぼさないようにするために、添加剤の総含有量は非水系電解液全体に対して通常10質量%以下とすることができ、中でも8質量%以下、さらには5質量%以下、特に2質量%以下の範囲が好ましい。
また、電解質として、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いることもできる。
高分子固体電解質としては、前述のポリエーテル系高分子化合物にLi塩を溶解させたものや、ポリエーテルの末端ヒドロキシ基がアルコキシドに置換されているポリマーなどが挙げられる。
<電解液の調製>
本発明の非水系電解液は、非水系溶媒に、前記一般式(1)〜一般式(19)で表される構造のいずれかを有する化合物と、電解質、必要に応じて他の化合物を溶解することにより調製することができる。
非水系電解液の調製においては、各原料は、電解液とした場合の水分を低減させるためあらかじめ脱水しておくことが好ましい。通常、50ppm以下、好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下までそれぞれ脱水するのがよい。また、電解液調製後に、脱水、脱酸処理等を実施してもよい。
[リチウムイオン電池]
本発明のリチウムイオン電池は、種々の構成態様を採りえるが、基本的構成は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、さらに上述の本発明の電解液を備えた態様である。通常、正極と負極とを電解液が含浸されている多孔膜を介してケースに収納することで得られる。
本発明のリチウムイオン電池は、本発明の電解液が用いられ、かつ、正極活物質中にニッケル(Ni)が含有されていることを特徴とする。すなわち、上記電解液に前記一般式(1)〜一般式(19)で表される構造のいずれかを有する化合物を含有する。
本発明のリチウムイオン電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
<負極>
本発明に係る負極は、種々の態様を採りえるが、基本的には、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備え、かつ前記活物質層が負極活物質を含有する態様であることが好ましい。なお、前記活物質層は、さらにバインダーを含有することが好ましい。
(負極集電体)
本発明に係る負極集電体としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、圧延銅箔、電解銅箔、ステンレス箔等の金属薄膜などが挙げられる。
負極集電体の厚さは、4〜30μmの範囲内とすることができる。好ましくは6〜20μmの範囲内である。
(負極活物質)
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。その具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
これらの負極活物質は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。中でも好ましいものは炭素質材料、合金系材料である。
炭素質材料の中では、非晶質炭素材料、黒鉛、黒鉛の表面を黒鉛に比べて非晶質の炭素で被覆したものが好ましく、特に、黒鉛や黒鉛の表面を黒鉛に比べて非晶質の炭素で被覆したものが、一般にエネルギー密度が高く、好ましい。
黒鉛は、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が0.335〜0.338nm、特に0.335〜0.337nmであるものが好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、通常10nm以上、好ましくは50nm以上、特に好ましくは100nm以上である。
灰分は、通常1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。
黒鉛の表面を非晶質の炭素で被覆したものとして好ましいのは、X線回折における格子面(002面)のd値が0.335〜0.338nmである黒鉛を核材とし、その表面に該核材よりもX線回折における格子面(002面)のd値が大きい炭素質材料が付着しており、かつ核材と核材よりもX線回折における格子面(002面)のd値が大きい炭素質材料との割合が質量比で99/1〜80/20であるものである。これを用いると、高い容量で、かつ電解液と反応しにくい負極を製造することができる。
炭素質材料の粒径は、レーザー回折・散乱法によるメジアン径で、1〜100μm、好ましくは3〜50μm、より好ましくは5〜40μmの範囲内である。
炭素質材料のBET法による比表面積は、0.3〜25.0m/g、好ましくは0.8〜10.0m/gの範囲内である。
また、炭素質材料は、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトルで分析し、1570〜1620cm−1の範囲にあるピークPのピーク強度をI、1300〜1400cm−1の範囲にあるピークPのピーク強度をIとした場合、IとIの比で表されるR値(=I/I)が、0.01〜0.7の範囲内であるものが好ましい。また、1570〜1620cm−1の範囲にあるピークの半値幅が、26cm−1以下、特に25cm−1以下であるものが好ましい。
合金系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば特に限定はされず、リチウム合金を形成する単体金属及び合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硫化物、リン化物等の化合物のいずれであってもよい。好ましくはリチウム合金を形成する単体金属及び合金を含む材料であり、13族及び14族の金属・半金属元素(即ち炭素を除く)を含む材料あることがより好ましく、さらにはアルミニウム、ケイ素、及びスズ(これらを以下「特定金属元素」という場合がある)の単体金属、及びこれらの元素を含む合金又は化合物であることが好ましい。
特定金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素を有する負極活物質の例としては、いずれか1種の特定金属元素の金属単体、2種以上の特定金属元素からなる合金、1種又は2種以上の特定金属元素とその他の1種又は2種以上の金属元素とからなる合金、並びに、1種又は2種以上の特定金属元素を含有する化合物、及びその化合物の酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硫化物、リン化物等の複合化合物が挙げられる。
負極活物質としてこれらの金属単体、合金又は金属化合物を用いることで、電池の高容量化が可能である。
また、これらの複合化合物が、金属単体、合金、又は非金属元素等の数種の元素と複雑に結合した化合物も例として挙げることができる。より具体的には、例えばケイ素やスズでは、これらの元素と負極として動作しない金属との合金を用いることができる。また、例えば、スズでは、スズとケイ素以外で負極として作用する金属と、さらに負極として動作しない金属と、非金属元素との組み合わせで5〜6種の元素を含むような複雑な化合物も用いることができる。
これらの負極活物質の中でも、電池にしたときに単位質量当りの容量が大きいことから、いずれか1種の特定金属元素の金属単体、2種以上の特定金属元素の合金、特定金属元素の酸化物や炭化物、窒化物等が好ましく、特に、ケイ素及び/又はスズの金属単体、合金、酸化物や炭化物、窒化物等が、単位質量当りの容量が大きく好ましい。
また、金属単体又は合金を用いるよりは単位質量当りの容量には劣るものの、サイクル特性に優れることから、ケイ素及び/又はスズを含有する以下の化合物も好ましい。
・ケイ素及び/又はスズと酸素との元素比の値が、0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.3、さらに好ましくは0.9〜1.1の範囲のケイ素及び/又はスズの酸化物。
・ケイ素及び/又はスズと窒素との元素比の値が、0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.3、さらに好ましくは0.9〜1.1の範囲内のケイ素及び/又はスズの窒化物。
・ケイ素及び/又はスズと炭素との元素比の値が、0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.3、さらに好ましくは0.9〜1.1のケイ素及び/又はスズの炭化物。
また、これらの合金系材料は粉末のものでも薄膜状のものでもよく、結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
合金系材料の平均粒径は、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、0.1〜50μm、好ましくは1〜20μm、特に好ましくは2〜10μmの範囲内である。電極の膨張の防止、サイクル特性が低下の防止のためである。また、集電、容量等の性能を十分に発現させるためである。
負極活物質として用いられるリチウム含有金属複合酸化物材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、特に限定はされないが、リチウムとチタンの複合酸化物(以下、「リチウムチタン複合酸化物」ともいう。)が好ましい。
また、リチウムチタン複合酸化物のリチウムやチタンの一部が、他の金属元素、例えば、Na、K、Co、Al、Fe、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素で置換されているものも好ましい。
さらに、LiTiで表されるリチウムチタン複合酸化物であり、0.7≦x≦1.5、1.5≦y≦2.3、0≦z≦1.6であることが、リチウムイオンの吸蔵・放出の際の構造が安定であることから好ましい(Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)。
中でも、LiTiで表されるリチウムチタン複合酸化物のx、y、及びzが以下の(a)〜(c)のいずれかを満足する場合の構造が、電池性能のバランスが良好なため、特に好ましい。
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
特に好ましい代表的な組成は、(a)ではLi4/3Ti5/3、(b)ではLiTi、(c)ではLi4/5Ti11/5である。
また、Z≠0の場合の構造については、例えば、Li4/3Ti4/3Al1/3が好ましいものとして挙げられる。
本発明においては、特開2015−173107号公報に開示されている負極活物質を用いることもできる。
(負極バインダー)
負極用のバインダーとしては、特に限定されないが、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものが好ましい。具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。
このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダーを用いることにより、活物質層の電解液に対する膨潤性を低減することができる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
このような分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダーと、負極活物質とを組み合わせて用いることにより、負極板の機械的強度を高くすることができる。負極板の機械的強度が高いと、充放電による負極の劣化が抑制され、サイクル寿命を長くすることができる。
分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダーは、分子量が大きいもの及び/又は不飽和結合の割合が大きいものが好ましい。
バインダーの分子量としては、重量平均分子量を通常1万以上とすることができ、また、通常100万以下とすることができる。この範囲であれば、機械的強度及び可撓性の両面を良好な範囲に制御できる。重量平均分子量は、好ましくは5万以上であり、また、好ましくは30万以下の範囲である。
バインダーの分子内のオレフィン性不飽和結合の割合としては、全バインダー1g当たりのオレフィン性不飽和結合のモル数を通常2.5×10−7〜5×10−6モルの範囲内とすることができる。この範囲であれば、強度向上効果が十分に得られ、可撓性も良好である。
また、オレフィン性不飽和結合を有するバインダーについては、その不飽和度を、通常15〜90%の範囲内とすることができる。不飽和度は、好ましくは20〜80%の範囲内である。本願明細書において、不飽和度とは、ポリマーの繰り返し単位に対する二重結合の割合(%)を表す。
バインダーとして、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダーも、使用することができる。分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダーとオレフィン性不飽和結合を有さないバインダーとを併用することによって、塗布性の向上等が期待できる。
オレフィン性不飽和結合を有するバインダーを100質量%とした場合、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダーの混合比率は、活物質層の強度が低下するのを抑制するため、通常150質量%以下とすることができ、好ましくは120質量%以下である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダーの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、カラギーナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸又はこれらの金属塩;ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー又はこれらの共重合体などが挙げられる。
(負極導電助剤)
活物質層には、負極の導電性を向上させるために、導電助剤を含有させてもよい。
導電助剤は、特に限定されず、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からなる微粉末などが挙げられる。
導電助剤の添加量は、負極活物質に対して、10質量%以下であることが好ましい。
本発明に係る負極は、負極活物質と場合によりバインダー及び/又は導電助剤とを分散媒に分散させてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥することにより形成することができる。分散媒としては、アルコールなどの有機溶媒や、水を用いることができる。
スラリーを塗布する集電体としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、圧延銅箔、電解銅箔、ステンレス箔等の金属薄膜などが挙げられる。
スラリーを塗布、乾燥して得られる負極活物質層(以下、単に「活物質層」と称することもある。)の厚さは、負極としての実用性及び高密度の電流値に対する十分なリチウムイオンの吸蔵・放出の機能の点から、5〜200μmの範囲内とすることができる。好ましくは、20〜100μmの範囲内である。
活物質層の厚さは、スラリーの塗布、乾燥後にプレスすることにより、上記範囲の厚さになるように調整してもよい。
活物質層における負極活物質の密度は、用途により異なるものの、例えば車載用途やパワーツール用途などの入出力特性を重視する用途においては、1.10〜1.65g/cmの範囲内であることが好ましい。
この範囲であれば、密度が低すぎることによる粒子同士の接触抵抗の増大を回避することができ、一方、密度が高すぎることによるレート特性の低下も抑制することができる。
一方、携帯電話やパソコンといった携帯機器用途などの容量を重視する用途では、通常1.45〜1.90g/cmの範囲内とすることが好ましい。
この範囲であれば、密度が低すぎることによる単位体積あたりの電池の容量低下を回避することができ、一方、密度が高すぎることによるレート特性の低下も抑制することができる。
<正極>
本発明に係る正極は、種々の態様を採りえるが、基本的には、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備え、かつ前記活物質層が正極活物質を含有する態様であることが好ましい。なお、前記活物質層は、さらにバインダーを含有することが好ましい。
(正極集電体)
本発明に係る正極集電体としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)などが挙げられる。
正極集電体の厚さは、4〜30μmの範囲内とすることができる。好ましくは6〜20μmの範囲内である。
(正極活物質)
正極活物質としては、ニッケル(Ni)が含有され、リチウムイオンを充放電時に吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましく、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属としてはV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、LiCoO等のリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiO等のリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnO、LiMn、LiMnO等のリチウム・マンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
置換されたものの中では、LiNi1−a−bMnCo(a,bは0以上1未満の数字を表すが、a,bが共に0の場合を除く)、LiNi1−c−d−eCoAlMg(c,d,eは0以上1未満の数字を表すが、c,d,eが共に0の場合を除く)が好ましく、さらにはLiNi1−a−bMnCo(0≦a<0.4、0≦b<0.4)、LiNi1−c−d−eCoAlMg(0≦c<0.3、0≦d<0.1、0≦e<0.05)が好ましく、特にLiNi1/3Co01/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.3Mn0.2、LiNi0.5Mn0.5、LiNi0.85Co0.10Al0.05、LiNi0.85Co0.10Al0.03Mg0.02が好ましい。
リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO、LiFe(PO、LiFeP等のリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Nb、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
これらの正極活物質は単独で用いても、複数を併用しても良い。
また、これら正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質(表面付着物質)が付着したものを用いることもできる。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
表面付着物質の量としては、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、正極活物質に対して、好ましくは0.1〜20質量ppmの範囲内、より好ましくは1〜10ppmの範囲内で用いられる。表面付着物質により、正極活物質表面での非水系電解液の酸化反応を抑制することができ、電池寿命を向上させることができる。
(正極導電助剤)
正極活物質層中には、正極の導電性を向上させるために、導電助剤を含有させてもよい。導電助剤は、特に限定されず、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種の金属の繊維、粉末、箔などが挙げられる。
(正極バインダー)
正極用のバインダーは、特に限定されず、公知のものを任意に選択して用いることができる。例としては、シリケート、水ガラス等の無機化合物や、テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン等の不飽和結合を有さない樹脂などが挙げられる。中でも好ましいのは、酸化反応時に分解しにくいため、不飽和結合を有さない樹脂である。
バインダーの重量平均分子量は、通常1万〜300万の範囲内とすることができ、好ましくは10万〜100万の範囲内である。
<その他>
電極中には、上記各種材料の他に、機械的強度や電気伝導度を高めるために増粘剤、導電材、充填剤等を含有させてもよい。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン等が挙げられる。
(電極の作製方法)
電極の作製は、常法によればよい。例えば、負極又は正極活物質に、バインダー、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー化し、これを集電体に塗布、乾燥した後に、プレスすることによって形成することができる。
また、活物質にバインダーや導電材等を加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成型によりペレット電極としたり、蒸着・スパッタ・メッキ等の手法で集電体上に電極材料の薄膜を形成することもできる。
負極活物質に黒鉛を用いた場合、負極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、1.0〜2.2g/cmの範囲内であることが好ましい。好ましくは1.3〜1.9g/cmの範囲内である。負極活物質粒子の破壊による初期不可逆容量の増加防止、活物質層内部への電解液の浸透性が低下し高率充放電特性の悪化することの防止等のためである。また、活物質間の導電性の低下することによる単位容積あたりの容量が低下することを防止するためである。
正極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、1.5〜5.0g/cmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは2.2〜4.0g/cmの範囲内である。活物質層内部への電解液の浸透性が低下による高率充放電特性の悪化を防止するためである。また、活物質間の導電性が低下することによる高率充放電特性の悪化を防止するためである。
<セパレータ、外装体>
正極と負極の間には、短絡を防止するために多孔膜(セパレータ)を介在させる。この場合、電解液は多孔膜に含浸させて用いる。多孔膜の材質や形状は、電解液に安定であり、かつ保液性に優れていれば、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等が好ましい。
本発明のリチウムイオン電池に使用する電池の外装体の材質も任意であり、ニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン、ラミネートフィルム等が用いられる。
なお、上記した本発明のリチウムイオン電池の作動電圧は、通常、2〜6Vの範囲内である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
[実施例1]:A群の構造を有する化合物の評価
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(質量比EC/EMC=3/7)(5ml)に、十分に乾燥したLiPFを1mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た。
<正極の作製>
正極活物質としてのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO)94質量%と、導電助剤としてアセチレンブラック3質量%と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶液中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.1g/cmになるようにプレスして正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質として人造黒鉛粉末KS−44(商品名;ティムカル社製)98質量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100質量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質の密度が1.6g/cmになるようにプレスして負極を作製した。
<リチウムイオン電池1−1の作製>
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、上記非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状のリチウムイオン電池1−1を作製した。
このシート状のリチウムイオン電池1−1を用いて、下記に示す評価を行い、その評価結果を下記表Iに示した
<サイクル評価試験>
上記で作製したリチウムイオン電池1−1を、25℃において0.2Cで所定電圧まで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3.0Vまで放電する充放電サイクルを300回繰り返した。充電時のカットオフ電流は0.01Cとした。300回サイクル後の容量維持率を下記の計算式により求め、その値でサイクル特性の評価をした。この数値が大きいほど電池のサイクル劣化が少ないことを示している。また1回目の充電終了時に電池端子間開路電圧を測定した。
300回サイクル後の容量維持率[%]
=300回目の放電容量[mAh/g]/1回目の放電容量[mAh/g]×100
<電池抵抗測定試験>
リチウムイオン電池1−1と同様に新たに作成したリチウムイオン電池を、25℃、0.2CでCCCV充電して所定電圧まで充電した。その後の10秒間で電流値Iで放電され、電圧降下ΔVが測定された。このとき電気抵抗Rを、R=ΔV/Iを計算することによって算出した。
10秒間放電して電圧降下ΔVを測定した後、3.0Vまで放電する充放電サイクルを300回繰り返した。300回目の電気抵抗Rを同様に算出して、300回サイクル後の抵抗値維持率[%]を求めた。
300回サイクル後の抵抗値維持率[%]
=300回目の抵抗値[mΩ]/1回目の抵抗値[mΩ]×100
<リチウムイオン電池1−2の作製>
上記リチウムイオン電池1−1の作製の、<非水系電解液の調製>において、乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(質量比EC/EMC=3/7)(5ml)に、本発明に係る化合物A−1を1.5質量%溶解させ、次いで、十分に乾燥したLiPFを1mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た以外は、リチウムイオン電池1−1と同様にしてリチウムイオン電池1−2を作製し、リチウムイオン電池1−1と同様の評価を行った。
以下、表I中に示した本発明に係る化合物を使用して、上記と同様の方法によりリチウムイオン電池1−3〜1−7を作製し、評価した。
Figure 2020072023
表Iに示す結果より、本発明に係る化合物を用いて作製したリチウムイオン電池は、300回後の容量維持率及び抵抗値維持率が比較例より高く、サイクル特性が向上することが認められる。
[実施例2]:B群の構造を有する化合物の評価
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(質量比EC/DEC=2/3)(5ml)に、十分に乾燥したLiPFを1mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た。
<正極の作製>
正極活物質としてのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO)95質量%と、導電助剤としてアセチレンブラック3質量%と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶液中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.1g/cmになるようにプレスして正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質として人造黒鉛粉末KS−44(ティムカル社製、商品名)98質量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100質量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質の密度が1.6g/cmになるようにプレスして負極を作製した。
<リチウムイオン電池2−1の作製>
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、上記非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状のリチウムイオン電池2−1を作製した。このシート状のリチウムイオン電池2−1を用いて、下記に示す評価を行い、その評価結果を下記表IIに示した
<サイクル評価試験>
上記で作製したリチウムイオン電池2−1を、25℃において0.2Cで所定電圧まで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3.0Vまで放電する充放電サイクルを100回繰り返した。充電時のカットオフ電流は0.01Cとした。300回サイクル後の容量維持率を下記の計算式により求め、その値でサイクル特性の評価をした。この数値が大きいほど電池のサイクル劣化が少ないことを示している。また1回目の充電終了時に電池端子間開路電圧を測定した。
300回サイクル後の容量維持率[%]
=100回目の放電容量[mAh/g]/1回目の放電容量[mAh/g]×100
<電池抵抗測定試験>
リチウムイオン電池2−1と同様に新たに作成したリチウムイオン電池を、25℃、0.2CでCCCV充電して所定電圧まで充電した。その後の10秒間で電流値Iで放電され、電圧降下ΔVが測定された。このとき電気抵抗Rを、R=ΔV/Iを計算することによって算出した。
10秒間放電して電圧降下ΔVを測定した後、3.0Vまで放電する充放電サイクルを300回繰り返した。300回目の電気抵抗Rを同様に算出して、300回サイクル後の抵抗値維持率[%]を求めた。
300回サイクル後の抵抗値維持率[%]
=300回目の抵抗値[mΩ]/1回目の抵抗値[mΩ]×100
<リチウムイオン電池2−2の作製>
上記リチウムイオン電池2−1の作製の、<非水系電解液の調製>において、乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(質量比EC/DEC=2/3)(5ml)に、本発明に係る化合物6−34を2.0質量%溶解させ、次いで、十分に乾燥したLiPFを1mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た以外は、リチウムイオン電池2−1と同様にしてリチウムイオン電池2−2を作製し、リチウムイオン電池2−1と同様の評価を行った。
以下、表II中に示した本発明に係る化合物を使用して、上記と同様の方法によりリチウムイオン電池2−3〜2−11を作製し、評価した。
Figure 2020072023
表IIに示す結果より、本発明に係る化合物を用いて作製したリチウムイオン電池は、300回後の容量維持率及び抵抗値維持率が比較例より高く、サイクル特性が向上することが認められる。
[実施例3]:C群の構造を有する化合物の評価
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(質量比EC/DEC=3/7)(5ml)に、十分に乾燥したLiPFを1mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た。
<正極の作製>
正極活物質としてのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO)94質量%と、導電助剤としてアセチレンブラック3質量%と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶液中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.1g/cmになるようにプレスして正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質として人造黒鉛粉末KS−44(ティムカル社製、商品名)98質量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100質量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質の密度が1.6g/cmになるようにプレスして負極を作製した。
<リチウムイオン電池3−1の作製>
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、上記非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状のリチウムイオン電池3−1を作製した。このシート状のリチウムイオン電池3−1を用いて、下記に示す評価を行い、その評価結果を下記表IIIに示した
<サイクル評価試験>
上記で作製したリチウムイオン電池3−1を、25℃において0.2Cで所定電圧まで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3.0Vまで放電する充放電サイクルを100回繰り返した。充電時のカットオフ電流は0.01Cとした。300回サイクル後の容量維持率を下記の計算式により求め、その値でサイクル特性の評価をした。この数値が大きいほど電池のサイクル劣化が少ないことを示している。また1回目の充電終了時に電池端子間開路電圧を測定した。
300回サイクル後の容量維持率[%]
=100回目の放電容量[mAh/g]/1回目の放電容量[mAh/g]×100
<電池抵抗測定試験>
リチウムイオン電池3−1と同様に新たに作成したリチウムイオン電池を、25℃、0.2CでCCCV充電して所定電圧まで充電した。その後の10秒間で電流値Iで放電され、電圧降下ΔVが測定された。このとき電気抵抗Rを、R=ΔV/Iを計算することによって算出した。
10秒間放電して電圧降下ΔVを測定した後、3.0Vまで放電する充放電サイクルを300回繰り返した。300回目の電気抵抗Rを同様に算出して、300回サイクル後の抵抗値維持率[%]を求めた。
300回サイクル後の抵抗値維持率[%]
=300回目の抵抗値[mΩ]/1回目の抵抗値[mΩ]×100
<リチウムイオン電池3−2の作製>
上記リチウムイオン電池3−1の作製の、<非水系電解液の調製>において、乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(質量比EC/DEC=3/7)(5ml)に、本発明に係る化合物C−1を1.5質量%溶解させ、次いで、十分に乾燥したLiPFを1mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た以外は、リチウムイオン電池3−1と同様にしてリチウムイオン電池3−2を作製し、リチウムイオン電池3−1と同様の評価を行った。
以下、表III中に示した本発明に係る化合物を使用して、上記と同様の方法によりリチウムイオン電池3−3〜3−10を作製し、評価した。
Figure 2020072023
表IIIに示す結果より、本発明に係る化合物を用いて作製したリチウムイオン電池は、300回後の容量維持率及び抵抗値維持率が比較例より高く、サイクル特性が向上することが認められる。
[実施例4]:D群の構造を有する化合物の評価
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(質量比EC/EMC=2/3)(5ml)に、ビニレンカーボネート(VC)を2.0質量%溶解させた。次いで、十分に乾燥したLiPFを1.2mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た。
<正極の作製>
正極活物質としてのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO)95質量%と、導電助剤としてアセチレンブラック3質量%と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶液中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.1g/cmになるようにプレスして正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質として人造黒鉛粉末KS−44(ティムカル社製、商品名)98質量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100質量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質の密度が1.6g/cmになるようにプレスして負極を作製した。
<リチウムイオン電池4−1の作製>
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、上記非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状のリチウムイオン電池4−1を作製した。
<サイクル評価試験>
上記で作製したリチウムイオン電池4−1を、25℃において0.2Cで所定電圧まで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3.0Vまで放電する充放電サイクルを100回繰り返した。充電時のカットオフ電流は0.01Cとした。300回サイクル後の容量維持率を下記の計算式により求め、その値でサイクル特性の評価をした。この数値が大きいほど電池のサイクル劣化が少ないことを示している。また1回目の充電終了時に電池端子間開路電圧を測定した。
300回サイクル後の容量維持率[%]
=100回目の放電容量[mAh/g]/1回目の放電容量[mAh/g]×100
<電池抵抗測定試験>
リチウムイオン電池4−1と同様に新たに作成したリチウムイオン電池を、25℃、0.2CでCCCV充電して所定電圧まで充電した。その後の10秒間で電流値Iで放電され、電圧降下ΔVが測定された。このとき電気抵抗Rを、R=ΔV/Iを計算することによって算出した。
10秒間放電して電圧降下ΔVを測定した後、3.0Vまで放電する充放電サイクルを300回繰り返した。300回目の電気抵抗Rを同様に算出して、300回サイクル後の抵抗値維持率[%]を求めた。
300回サイクル後の抵抗値維持率[%]
=300回目の抵抗値[mΩ]/1回目の抵抗値[mΩ]×100
<リチウムイオン電池4−2の作製>
上記リチウムイオン電池4−1の作製の、<非水系電解液の調製>において、ビニレンカーボネート(VC)の2.0質量%のうち1.0質量%分のみ本発明に係る化合物D−1に代えた以外は、リチウムイオン電池4−1と同様にしてリチウムイオン電池4−2を作製し、リチウムイオン電池4−1と同様の評価を行った。
以下、表IV中に示した本発明に係る化合物を使用して、上記と同様の方法によりリチウムイオン電池4−3〜4−9を作製し、評価した。
Figure 2020072023
表IVに示す結果より、本発明に係る化合物を用いて作製したリチウムイオン電池は、300回後の容量維持率及び抵抗値維持率が比較例より高く、サイクル特性が向上することが認められる。また、本発明に係る化合物とVC(ビニルカーボネート)を併用することで、優れた結果を示すことが認められる。
[実施例5]:E、F及びG群の構造を有する化合物の評価
初期の電池特性評価
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(質量比EC/EMC/DEC=3/4/3)(5ml)に、ビニレンカーボネート(VC)を3.0質量%溶解させた。次いで、十分に乾燥したLiPFを1.2mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た。
<正極の作製>
正極活物質としてのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO)95質量%と、導電助剤としてアセチレンブラック3質量%と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶液中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.1g/cmになるようにプレスして正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質として人造黒鉛粉末KS−44(ティムカル社製、商品名)98質量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100質量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質の密度が1.6g/cmになるようにプレスして負極を作製した。
<リチウムイオン電池5−1の作製>
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、上記非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状のリチウムイオン電池5−1を作製した。
<サイクル評価試験>
上記で作製したリチウムイオン電池5−1を、25℃において0.2Cで所定電圧まで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3.0Vまで放電する充放電サイクルを100回繰り返した。充電時のカットオフ電流は0.01Cとした。300回サイクル後の容量維持率を下記の計算式により求め、その値でサイクル特性の評価をした。この数値が大きいほど電池のサイクル劣化が少ないことを示している。また1回目の充電終了時に電池端子間開路電圧を測定した。
300回サイクル後の容量維持率[%]
=100回目の放電容量[mAh/g]/1回目の放電容量[mAh/g]×100
<電池抵抗測定試験>
リチウムイオン電池5−1と同様に新たに作成したリチウムイオン電池を、25℃、0.2CでCCCV充電して所定電圧まで充電した。その後の10秒間で電流値Iで放電され、電圧降下ΔVが測定された。このとき電気抵抗Rを、R=ΔV/Iを計算することによって算出した。
10秒間放電して電圧降下ΔVを測定した後、3.0Vまで放電する充放電サイクルを300回繰り返した。300回目の電気抵抗Rを同様に算出して、300回サイクル後の抵抗値維持率[%]を求めた。
300回サイクル後の抵抗値維持率[%]
=300回目の抵抗値[mΩ]/1回目の抵抗値[mΩ]×100
<リチウムイオン電池5−2の作製>
上記リチウムイオン電池5−1の作製において、ビニレンカーボネート(VC)の3.0質量%のうち1.5質量%分のみ本発明に係る化合物E−2に代えた以外は、リチウムイオン電池5−1と同様にしてリチウムイオン電池5−2を作製し、リチウムイオン電池5−1と同様の評価を行った。
以下、表V中に示した本発明に係る化合物を使用して、上記と同様の方法によりリチウムイオン電池5−3〜5−11を作製し、評価した。
Figure 2020072023
表Vに示す結果より、本発明に係る化合物を用いて作製したリチウムイオン電池は、300回後の容量維持率及び抵抗値維持率が比較例より高く、サイクル特性が向上することが認められる。また、本発明に係る化合物とVC(ビニルカーボネート)を併用することで、優れた結果を示すことが認められる。
[実施例6]:異なる2つの群より選ばれる構造を有する化合物の評価
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(質量比EC/EMC/DEC=3/3/2)(5ml)に、十分に乾燥したLiPFを1.1mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た。
<正極の作製>
正極活物質としてのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO)95質量%と、導電助剤としてアセチレンブラック3質量%と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶液中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.1g/cmになるようにプレスして正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質としてSiO含有人造黒鉛粉末(日本カーボン社製)91質量部に、PVDF9質量部とを混合し、N−メチルピロリドンを加えディスパーザーで混合してスラリー化にした。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質の密度が1.6g/cmになるようにプレスして負極を作製した。
<リチウムイオン電池6−1の作製>
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、上記非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状のリチウムイオン電池6−1を作製した。
<サイクル評価試験>
上記で作製したリチウムイオン電池6−1を、25℃において0.2Cで所定電圧まで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3.0Vまで放電する充放電サイクルを100回繰り返した。充電時のカットオフ電流は0.01Cとした。300回サイクル後の容量維持率を下記の計算式により求め、その値でサイクル特性の評価をした。この数値が大きいほど電池のサイクル劣化が少ないことを示している。また1回目の充電終了時に電池端子間開路電圧を測定した。
300回サイクル後の容量維持率[%]
=100回目の放電容量[mAh/g]/1回目の放電容量[mAh/g]×100
<電池抵抗測定試験>
リチウムイオン電池6−1と同様に新たに作成したリチウムイオン電池を、25℃、0.2CでCCCV充電して所定電圧まで充電した。その後の10秒間で電流値Iで放電され、電圧降下ΔVが測定された。このとき電気抵抗Rを、R=ΔV/Iを計算することによって算出した。
10秒間放電して電圧降下ΔVを測定した後、3.0Vまで放電する充放電サイクルを300回繰り返した。300回目の電気抵抗Rを同様に算出して、300回サイクル後の抵抗値維持率[%]を求めた。
300回サイクル後の抵抗値維持率[%]
=300回目の抵抗値[mΩ]/1回目の抵抗値[mΩ]×100
<リチウムイオン電池6−2の作製>
上記リチウムイオン電池6−1の作製の、<非水系電解液の調製>において、乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(質量比EC/EMC/DEC=3/3/2)(5ml)に、本発明に係る化合物D−2を1.5質量%溶解させ、次いで、十分に乾燥したLiPFを1mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た以外は、において、ビニレンカーボネート(VC)を本発明に係る化合物23に代えた以外は、リチウムイオン電池6−1と同様にしてリチウムイオン電池6−2を作製し、リチウムイオン電池6−1と同様の評価を行った。
以下、表VI中に示した本発明に係る化合物を使用して、上記と同様の方法によりリチウムイオン電池6−3〜6−9を作製し、評価した。
Figure 2020072023
表VIに示す結果より、本発明に係る化合物を用いて作製したリチウムイオン電池は、300回後の容量維持率及び抵抗値維持率が比較例より高く、サイクル特性が向上することが認められる。
[実施例7]:一般式(25)で表される構造を有する化合物の評価
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(質量比EC/DMC=2/3)(5ml)、ビニレンカーボネート(VC)を1.0質量%溶解させた。次いで、十分に乾燥したLiPFを1.1mol/Lの割合となるよう溶解して非水系電解液を得た。
<正極の作製>
正極活物質であるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(日亜化学製3元系highNiタイプ−LiNi0.5Co0.2Mn0.3)94質量%と、導電助剤としてアセチレンブラック3.0質量%と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.0質量%とを、N−メチルピロリドン溶液中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.1g/cmになるようにプレスして正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質としてSiO含有人造黒鉛粉末(日本カーボン社製)91質量部に、PVDF9質量部とを混合し、N−メチルピロリドンを加えディスパーザーで混合してスラリー化にした。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質の密度が1.6g/cmになるようにプレスして負極を作製した。
<リチウムイオン電池7−1の作製>
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、上記非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状のリチウムイオン電池7−1を作製した。
<サイクル評価試験>
上記で作製したリチウムイオン電池7−1を、25℃において0.2Cで所定電圧まで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3.0Vまで放電する充放電サイクルを100回繰り返した。充電時のカットオフ電流は0.01Cとした。300回サイクル後の容量維持率を下記の計算式により求め、その値でサイクル特性の評価をした。この数値が大きいほど電池のサイクル劣化が少ないことを示している。また1回目の充電終了時に電池端子間開路電圧を測定した。
300回サイクル後の容量維持率[%]
=100回目の放電容量[mAh/g]/1回目の放電容量[mAh/g]×100
<電池抵抗測定試験>
リチウムイオン電池7−1と同様に新たに作成したリチウムイオン電池を、25℃、0.2CでCCCV充電して所定電圧まで充電した。その後の10秒間で電流値Iで放電され、電圧降下ΔVが測定された。このとき電気抵抗Rを、R=ΔV/Iを計算することによって算出した。
10秒間放電して電圧降下ΔVを測定した後、3.0Vまで放電する充放電サイクルを300回繰り返した。300回目の電気抵抗Rを同様に算出して、300回サイクル後の抵抗値維持率[%]を求めた。
300回サイクル後の抵抗値維持率[%]
=300回目の抵抗値[mΩ]/1回目の抵抗値[mΩ]×100
<リチウムイオン電池7−2〜7−14の作製>
上記リチウムイオン電池7−1の作製において、ビニレンカーボネート(VC)の添加量、及び、使用化合物を表VII中に示した化合物を使用し、かつ、その添加量を代えた以外は、リチウムイオン電池7−1と同様にしてリチウムイオン電池7−2〜7−14を作製し、リチウムイオン電池7−1と同様の評価を行った。
Figure 2020072023
表VIIに示す結果より、本発明に係る化合物を用いて作製したリチウムイオン電池は、300回後の容量維持率及び抵抗値維持率が比較例より高く、サイクル特性が向上することが認められる。
また、本発明に係る化合物とVC(ビニルカーボネート)を併用することで、優れた結果を示すことが認められる。具体的には、リチウムイオン電池7−5に示すように、本発明に係る化合物を単独で1質量%添加する場合よりも、リチウムイオン電池7−6に示すように、本発明に係る化合物とVCを併用し2質量%添加した場合の方が、優れた結果を示していた。
なお、前記リチウムイオン電池7−1〜7−14の作製において、各非水系電解液を窒素雰囲気下で1時間保管したところ、アクリル基を有する化合物を用いたリチウムイオン電池(例えば、リチウムイオン電池7−7〜7−10)は沈殿物を生じる場合もあり、メタクリル基を有する化合物を用いたリチウムイオン電池(例えば、リチウムイオン電池7−11〜7−14)は沈殿物が生じなかった。
これは、前記一般式(21)中、Aがメチル基である場合、つまりメタクリル基を表す場合は、Aが水素原子であるアクリル基を表す場合に比べて、電解液中での化合物安定性が高い傾向があり、その結果、容量維持率、抵抗値維持率において最も優れた結果を示すことが分かる。

Claims (8)

  1. 電解質としてリチウム化合物を含有する非水系電解液であって、
    下記A群〜G群のいずれかに属する下記一般式(1)〜一般式(19)で表される構造のいずれかを有する化合物を含有することを特徴とする非水系電解液。
    [A群]
    Figure 2020072023
    [一般式(1)において、R、R及びRは、同一の基であっても、異なる基であってもよく、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基又はアリールオキシ基を表す。また、R、R及びRは、更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。
    は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。また、Rは更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。]
    [B群]
    Figure 2020072023
    [一般式(3)及び一般式(4)において、R〜Rは、同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(1)におけるRと同義である。R10は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。また、R〜R10は更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。]
    [C群]
    Figure 2020072023
    [一般式(5)及び一般式(6)において、R11〜R13は、同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(1)におけるRと同義である。R14は、前記一般式(1)におけるRと同義である。]
    [D群]
    Figure 2020072023
    [一般式(7)〜一般式(9)において、R15、R20及びR23は、前記一般式(1)におけるRと同義である。一般式(7)において、R16〜R19は、同一の基であっても、異なる基であってもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。
    一般式(8)におけるR21及びR22、一般式(9)におけるR24〜R27は、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基又はアリールオキシ基を表す。また、R21、R22及びR24〜R27は、更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。]
    [E群]
    Figure 2020072023
    [一般式(10)におけるR28〜R33、一般式(11)におけるR34〜R37は、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(7)におけるR16と同義である。一般式(10)において、Xは酸素原子又はCHを表す。
    一般式(12)において、R38〜R41は、同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(8)におけるR21と同義である。]
    [F群]
    Figure 2020072023
    [一般式(13)及び一般式(17)において、R42及びR53は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。また、R42及びR53は、更に置換基を有してもよく、置換基は一般式(1)〜一般式(19)で表される構造であってもよい。
    一般式(14)及び一般式(16)においてX及びXは、酸素原子、硫黄原子又はNYを表し、Yは、一般式(13)におけるR42と同義である。
    一般式(13)におけるR43〜R45、一般式(14)におけるR46〜R48、一般式(15)におけるR49、R50、一般式(16)におけるR51、R52、一般式(17)におけるR54〜R57は、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(8)におけるR21と同義である。]
    [G群]
    Figure 2020072023
    [一般式(18)におけるR58〜R60、一般式(19)におけるR61〜R65は、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、前記一般式(8)におけるR21と同義である。
    一般式(18)において、X及びXは、同一の基であっても、異なる基であってもよく、CY又は窒素原子を表し、Yは前記一般式(8)におけるR21と同義である。]
  2. 前記一般式(1)〜一般式(19)がそれぞれ属するA群〜G群のうち、異なる二つの群より選ばれる構造を、同一分子内に有する化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液。
  3. 前記一般式(1)〜一般式(19)で表されるいずれかの構造と、下記X群に属する下記一般式(20)〜一般式(24)で表されるいずれかの構造を、同一分子内に有する化合物を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非水系電解液。
    [X群]
    Figure 2020072023
    [一般式(20)〜一般式(24)において、L〜Lは、連結基又は単なる結合手を表し、前記一般式(1)〜一般式(19)で表されるいずれかの構造を有する化合物と結合している。前記連結基はアルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。一般式(24)において、R66は前記一般式(1)におけるRと同義であり、nは1〜5の整数を表す。一般式(20)〜一般式(22)又は一般式(24)において、A〜Aは、水素原子又はメチル基を表す。]
  4. 前記一般式(1)〜一般式(19)がそれぞれ属するA群〜G群のうち、異なる二つの群より選ばれる構造と、前記X群に属する前記一般式(20)〜一般式(24)で表されるいずれかの構造とを、同一分子内に有する化合物を含有することを特徴とする請求項3に記載の非水系電解液。
  5. 前記一般式(21)中、Aはメチル基を表すことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の非水系電解液。
  6. 前記一般式(3)又は一般式(4)において、下記一般式(25)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする請求項3に記載の非水系電解液。
    Figure 2020072023
    [一般式(25)において、L10〜L12は、連結基又は単なる結合手を表し、前記X群に属する一般式(20)〜一般式(24)で表されるいずれかの構造を有する化合物と結合している。前記連結基は、アルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。nは、0か1を表す。]
  7. 前記一般式(25)中、L10〜L12の少なくとも一つは一般式(21)で表されるいずれかの構造であり、かつ一般式(21)中の、Aがメチル基を表すことを特徴とする請求項6に記載の非水系電解液。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の非水系電解液が用いられ、かつ正極活物質中にニッケル(Ni)が含有されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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