JP2023077060A - アノードレス電池及びアノードレス電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】初期の充放電サイクルにおけるクーロン効率を向上させる。【解決手段】アノードレス電池10は、負極集電体22a及びリチウム析出層22bを備える負極22と、正極集電体21a及び正極活物質層21bを備える正極21と、セパレータ23と、LiN(FSO2)2を含む非水電解質とを備える。リチウム析出層22bの表面には、Al-O結合を有する物質を含むアルミニウム含有層22cが形成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、アノードレス電池及びアノードレス電池の製造方法に関する。
電荷担体としてリチウムイオンを含む非水電解質二次電池の一種として、リチウム負極を有する非水電解質二次電池が知られている。上記非水電解質二次電池としては、例えば、金属リチウムを負極とするリチウム電池、及びリチウム金属等の負極活物質を用いないリチウム電池(以下、アノードレス電池と記載する。)が挙げられる。アノードレス電池は、製造時に負極集電体にリチウムを析出させるとともに、負極集電体上のリチウムを再度、電解液中に溶解させることで充放電を行う電池である。
特許文献1に開示されるように、リチウム負極を有する非水電解質二次電池は、リチウム自体が負極として機能する。そのため、上記非水電解質二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る負極活物質を負極に含む一般的なリチウム負極電池と比較して、エネルギー密度が高く、次世代型の二次電池として期待されている。
LiN(FSO2)2は、リチウムイオンが解離しやすい性質を有しているため、非水電解質に含まれる電解質塩として有用である。しかしながら、LiN(FSO2)2を含む非水電解質を用いたアノードレス電池は、充放電サイクル試験を行った場合に、5~8サイクル付近でクーロン効率が落ち込む。初期の充放電サイクルにおけるクーロン効率の落ち込みは、電池容量を低下させる原因になる。
上記の目的を達成するアノードレス電池は、負極集電体上におけるリチウムの析出、及び析出したリチウムの非水電解質への溶解に基づいて充放電を行うアノードレス電池であって、前記負極集電体及び前記負極集電体に析出したリチウムにより形成されるリチウム析出層を備える負極と、正極集電体及び正極活物質層を備える正極と、前記負極と前記正極との間に配置されたセパレータと、LiN(FSO2)2を含む非水電解質とを備え、前記リチウム析出層の表面には、Al-O結合を有する物質を含むアルミニウム含有層が形成されている。
上記アノードレス電池において、前記非水電解質は、エーテル類から選ばれる少なくとも一種の非水溶媒を含むことが好ましい。
上記アノードレス電池において、前記アルミニウム含有層の厚さは、20nm以下であることが好ましい。
上記アノードレス電池において、前記アルミニウム含有層の厚さは、20nm以下であることが好ましい。
上記アノードレス電池において、前記アルミニウム含有層は、無機成分と有機成分とを含む有機/無機複合層であることが好ましい。
上記の目的を達成するアノードレス電池の製造方法は、負極集電体上におけるリチウムの析出、及び析出したリチウムの非水電解質への溶解に基づいて充放電を行うアノードレス電池の製造方法であって、未充電電池に対して初回充電を行う充電工程を備え、前記未充電電池は、前記負極集電体と、正極集電体及び正極活物質層を備える正極と、前記負極集電体と前記正極との間に配置されたセパレータと、LiN(FSO2)2及び水素化アルミニウムリチウムを含む非水電解質とを備える。
上記の目的を達成するアノードレス電池の製造方法は、負極集電体上におけるリチウムの析出、及び析出したリチウムの非水電解質への溶解に基づいて充放電を行うアノードレス電池の製造方法であって、未充電電池に対して初回充電を行う充電工程を備え、前記未充電電池は、前記負極集電体と、正極集電体及び正極活物質層を備える正極と、前記負極集電体と前記正極との間に配置されたセパレータと、LiN(FSO2)2及び水素化アルミニウムリチウムを含む非水電解質とを備える。
上記アノードレス電池の製造方法において、前記非水電解質は、エーテル類から選ばれる少なくとも一種の非水溶媒を含むことが好ましい。
上記アノードレス電池の製造方法において、前記非水電解質における前記水素化アルミニウムリチウムの含有割合は、0.01mol/l以上0.3mol/l以下であることが好ましい。
上記アノードレス電池の製造方法において、前記非水電解質における前記水素化アルミニウムリチウムの含有割合は、0.01mol/l以上0.3mol/l以下であることが好ましい。
本発明によれば、初期の充放電サイクルにおけるクーロン効率を向上させることができる。
<アノードレス電池>
以下、本発明を具体化したアノードレス電池の一実施形態を説明する。
アノードレス電池は、電荷担体としてリチウムイオンを含む非水電解質二次電池の一種であり、リチウム金属等の負極活物質を用いないリチウム電池である。アノードレス電池は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる蓄電モジュールである。
以下、本発明を具体化したアノードレス電池の一実施形態を説明する。
アノードレス電池は、電荷担体としてリチウムイオンを含む非水電解質二次電池の一種であり、リチウム金属等の負極活物質を用いないリチウム電池である。アノードレス電池は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる蓄電モジュールである。
図1に示すように、アノードレス電池10は、電極体11と、電極体11を収容する容器12とを備える。電極体11は、正極21と、負極22と、セパレータ23とを備える。
正極21は、正極集電体21aと、正極集電体21aの第1面21a1に設けられた正極活物質層21bとを備える。
負極22は、負極集電体22aと、負極集電体22aの第1面22a1に形成されたリチウム析出層22bとを備える。リチウム析出層22bは、非水電解質に溶解したリチウムイオンが析出することにより形成される。アノードレス電池10は、負極集電体22aの第1面22a1上におけるリチウムの析出、及び析出したリチウムの非水電解質への溶解に基づいて充放電を行う。
負極22は、負極集電体22aと、負極集電体22aの第1面22a1に形成されたリチウム析出層22bとを備える。リチウム析出層22bは、非水電解質に溶解したリチウムイオンが析出することにより形成される。アノードレス電池10は、負極集電体22aの第1面22a1上におけるリチウムの析出、及び析出したリチウムの非水電解質への溶解に基づいて充放電を行う。
正極21及び負極22は、正極活物質層21bと及びリチウム析出層22bが積層方向において互いに対向するように配置されている。セパレータ23は、正極21と負極22との間に配置される。セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離することで両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオン等の電荷担体を通過させる部材である。
容器12は、液密に密閉された空間Sを内部に有している。容器12の空間Sには、電極体11及び非水電解質が収容されている。
次に、正極21を構成する正極集電体21a及び正極活物質層21b、負極22を構成する負極集電体22a及びリチウム析出層22b、セパレータ23、並びに非水電解質の詳細について説明する。
次に、正極21を構成する正極集電体21a及び正極活物質層21b、負極22を構成する負極集電体22a及びリチウム析出層22b、セパレータ23、並びに非水電解質の詳細について説明する。
(正極集電体)
正極集電体21aは、アノードレス電池10の放電又は充電の間、正極活物質層21bに電流を流し続けるための化学的に不活性な電気伝導体である。本実施形態において、正極集電体21aはアルミニウム箔である。正極集電体21aを構成する材料としては、例えば、金属材料、導電性樹脂材料、導電性無機材料等を用いることができる。
正極集電体21aは、アノードレス電池10の放電又は充電の間、正極活物質層21bに電流を流し続けるための化学的に不活性な電気伝導体である。本実施形態において、正極集電体21aはアルミニウム箔である。正極集電体21aを構成する材料としては、例えば、金属材料、導電性樹脂材料、導電性無機材料等を用いることができる。
導電性樹脂材料としては、例えば、導電性高分子材料又は非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂等が挙げられる。正極集電体21aは、前述した金属材料又は導電性樹脂材料を含む1以上の層を含む複数層を備えてもよい。正極集電体21aの表面は、公知の保護層により被覆されてもよい。正極集電体21aの表面は、メッキ処理等の公知の方法により処理されてもよい。
正極集電体21aは、例えば箔、シート、フィルム、線、棒、メッシュ又はクラッド材等の形態を有してもよい。正極集電体21aは、アルミニウム箔以外に、例えば、銅箔、ニッケル箔、チタン箔又はステンレス鋼箔等の金属箔であってもよい。機械的強度を確保する観点から、集電体は、ステンレス鋼箔(例えばJIS G 4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316、SUS301、SUS304等)であってもよい。
正極集電体21aは、上記金属の合金箔であってもよい。正極集電体21aは、アルミニウム膜によって被覆された基材を含む箔であってもよい。箔状の正極集電体21aの場合、正極集電体21aの厚さは、例えば、1~100μmである。
(正極活物質層)
正極活物質層21bは、正極活物質を含む。また、正極活物質層21bは、必要に応じてその他成分を更に含む。
正極活物質層21bは、正極活物質を含む。また、正極活物質層21bは、必要に応じてその他成分を更に含む。
[正極活物質]
正極活物質は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得る物質である。正極活物質層21bに含まれる正極活物質は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
正極活物質は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得る物質である。正極活物質層21bに含まれる正極活物質は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
正極活物質としては、例えば、層状岩塩構造の一般式:LiaNibCocMdDeOfで表されるリチウム複合金属酸化物、Li2MnO3が挙げられる。上記一般式において、Mは、Mn及びAlから選択される。Dは、W、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素である。a、b、c、d、e、fは、0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、1.7≦f≦3を満足する数値である。
また、その他の利用可能な正極活物質としては、例えば、ポリアニオン系化合物、タボライト系化合物、ボレート系化合物が挙げられる。
ポリアニオン系化合物としては、例えば、LiMn2O4等のスピネル構造の金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物と層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO4、LiMVO4又はLi2MSiO4で表される化合物が挙げられる。LiMPO4、LiMVO4又はLi2MSiO4の式中のMは、Co、Ni、Mn、Feから選ばれる少なくとも1の元素である。
ポリアニオン系化合物としては、例えば、LiMn2O4等のスピネル構造の金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物と層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO4、LiMVO4又はLi2MSiO4で表される化合物が挙げられる。LiMPO4、LiMVO4又はLi2MSiO4の式中のMは、Co、Ni、Mn、Feから選ばれる少なくとも1の元素である。
タボライト系化合物としては、例えば、LiFePO4FなどのLiMPO4Fで表される化合物が挙げられる。ボレート系化合物としては、例えば、LiFeBO3などのLiMBO3で表される系化合物が挙げられる。LiMPO4F、LiMBO3の式中のMは、遷移金属である。
正極活物質として用いられる金属酸化物はいずれも、上記の組成式を基本組成とすればよく、例えば、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものであってもよい。また、正極活物質は、リチウムイオンを含まないものであってもよい。この場合に用いる正極活物質としては、例えば、硫黄単体、硫黄と炭素を複合化した化合物、TiS2などの金属硫化物、V2O5、MnO2などの酸化物、ポリアニリン及びアントラキノン並びにこれら芳香族を化学構造に含む化合物、共役二酢酸系有機物などの共役系材料、その他公知の材料が挙げられる。さらに、ニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、ガルビノキシル、フェノキシルなどの安定なラジカルを有する化合物を正極活物質として用いてもよい。リチウムイオンを含まない正極活物質を用いる場合には、正極に、公知の方法により、予めリチウムを添加しておくことが好ましい。
高容量及び耐久性などに優れる点から、正極活物質は、層状岩塩構造の上記一般式:LiaNibCocMdDeOfで表されるリチウム複合金属酸化物であることが好ましい。上記一般式のb、c、dの値は、上記条件を満足するものであれば特に制限はない。なお、上記一般式のb、c、dの値は、0<b<1、0<c<1、0<d<1であることが好ましく、b、c、dの少なくともいずれか一つが0.1≦b≦0.95、0.01≦c≦0.5、0.01≦d≦0.5であることがより好ましく、0.3≦b≦0.9、0.03≦c≦0.3、0.03≦d≦0.3であることが更に好ましく、0.5≦b≦0.9、0.05≦c≦0.2、0.05≦d≦0.2であることが最も好ましい。上記一般式のa、e、fの値は、上記一般式で規定する範囲内の数値であれば特に制限はない。なお、上記一般式のa、e、fの値は、0.5≦a≦1.5、0≦e<0.2、1.8≦f≦2.5であることが好ましく、0.8≦a≦1.3、0≦e<0.1、1.9≦f≦2.1であることがより好ましい。具体的な上記リチウム複合金属酸化物としてはLiNi0.5Co0.35Mn0.15O2を例示できる。
高容量及び耐久性などに優れる点から、正極活物質は、スピネル構造のLixMn(2-y)AyO4で表される金属酸化物であることが好ましい。LixMn(2-y)AyO4の式中のAは、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、P、Ga、Geから選ばれる少なくとも1の元素、及びNiなどの遷移金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素から選択される。LixMn(2-y)AyO4の式中のx,yは、0<x≦2.2、0≦y≦1を満足する数値である。上記xの値の範囲としては、0.5≦x≦1.8、0.7≦x≦1.5、0.9≦x≦1.2を例示できる。上記yの値の範囲としては、0≦y≦0.8、0≦y≦0.6を例示できる。具体的なスピネル構造の化合物としては、LiMn2O4、LiMn1.5Ni0.5O4を例示できる。
具体的な正極活物質として、LiFePO4、Li2FeSiO4、LiCoPO4、Li2CoPO4、Li2MnPO4、Li2MnSiO4、Li2CoPO4Fを例示できる。他の具体的な正極活物質として、Li2MnO3-LiCoO2を例示できる。
正極活物質は、リチウム基準で4V以上の電位にて充放電を行うものであるのが好ましい。そのような正極活物質として、上記の層状岩塩構造の一般式:LiaNibCocMdDeOfで表されるリチウム複合金属酸化物、スピネル構造のLixMn(2-y)AyO4などを例示できる。好ましい正極活物質が充放電するリチウム基準の電位としては、4~5.5V、4.1~5V、4.2~4.8V、4.3~4.5Vを例示できる。
[その他成分]
その他成分は、例えば、リチウムドープ剤、電気伝導性を高めるための導電助剤、結着剤、電解質(ポリマーマトリクス、イオン伝導性ポリマー、電解液等)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)等である。
その他成分は、例えば、リチウムドープ剤、電気伝導性を高めるための導電助剤、結着剤、電解質(ポリマーマトリクス、イオン伝導性ポリマー、電解液等)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)等である。
リチウムドープ剤は、アノードレス電池の初回充電時にリチウムイオンを放出する物質である。リチウムドープ剤は、正極活物質層21bに添加されていてもよく、また、正極活物質層21bの表面にリチウムドープ剤含有層として結着剤と共に配置されてもよい。製造工程短縮の観点から、リチウムドープ剤は、正極活物質層21bに添加されていることが好ましい。正極活物質層21bに含まれるリチウムドープ剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
リチウムドープ剤としては、例えば、Li5FeO4、Li6MnO4、Li6CoO4、Li6ZnO4、Li5AlO4及びLi5GaO4が挙げられる。正極活物質層におけるリチウムドープ剤の含有量は、例えば、0.5質量%以上10質量%以下であり、好ましくは1質量%以上7質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上6質量%以下である。
導電助剤は、正極21の導電性を高めるために添加される。導電助剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等である。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体を例示することができる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。溶媒又は分散媒には、例えば、水、N-メチル-2-ピロリドン等が用いられる。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体を例示することができる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。溶媒又は分散媒には、例えば、水、N-メチル-2-ピロリドン等が用いられる。
正極活物質層21bに含まれる成分又は当該成分の配合比及び正極活物質層21bの厚さは特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。正極活物質層21bの厚さは、例えば2~150μmである。
(負極集電体)
負極集電体22aは、アノードレス電池10の放電又は充電の間、負極22に電流を流し続けるための化学的に不活性な電気伝導体である。本実施形態において、負極集電体22aは銅箔である。負極集電体22aを構成する材料としては、例えば、金属材料、導電性樹脂材料、導電性無機材料等を用いることができる。
負極集電体22aは、アノードレス電池10の放電又は充電の間、負極22に電流を流し続けるための化学的に不活性な電気伝導体である。本実施形態において、負極集電体22aは銅箔である。負極集電体22aを構成する材料としては、例えば、金属材料、導電性樹脂材料、導電性無機材料等を用いることができる。
導電性樹脂材料としては、例えば、導電性高分子材料又は非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂等が挙げられる。負極集電体22aは、前述した金属材料又は導電性樹脂材料を含む1以上の層を含む複数層を備えてもよい。負極集電体22aの表面は、公知の保護層により被覆されてもよい。負極集電体22aの表面は、メッキ処理等の公知の方法により処理されてもよい。
負極集電体22aは、銅箔以外に、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔、チタン箔又はステンレス鋼箔等の金属箔であってもよい。機械的強度を確保する観点から、負極集電体22aは、ステンレス鋼箔(例えばJIS G 4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316、SUS301、SUS304等)であってもよい。負極集電体22aは、上記金属の合金箔であってもよい。負極集電体22aは、銅膜によって被覆された基材を含む箔であってもよい。箔状の負極集電体22aの場合、負極集電体22aの厚さは、例えば、1~100μmである。
(リチウム析出層)
リチウム析出層22bは、非水電解質から析出したリチウムにより形成される層である。図1に示すように、リチウム析出層22bは、Al-O結合を有する物質を含むアルミニウム含有層22cにより形成される部分を含む。
リチウム析出層22bは、非水電解質から析出したリチウムにより形成される層である。図1に示すように、リチウム析出層22bは、Al-O結合を有する物質を含むアルミニウム含有層22cにより形成される部分を含む。
アルミニウム含有層22cは、リチウム析出層22bにおけるセパレータ23に対向する表面(以下、リチウム析出層22bの表面と記載する。)に形成されている。または、アルミニウム含有層22cは、リチウム析出層22bの表面及びリチウム析出層22bの内部の両方に形成されている。図1は、一例として、リチウム析出層22bの表面のみにアルミニウム含有層22cが形成されている場合を図示している。
アルミニウム含有層22cは、リチウム析出層22bに含まれるリチウムと非水電解質との接触を抑制することにより、リチウムによる還元反応に基づく非水電解質の分解を抑制する。そのため、アルミニウム含有層22cは、リチウム析出層22bの表面の広範囲に形成されていることが好ましい。リチウム析出層22bの表面におけるアルミニウム含有層22cの形成範囲は、例えば、面積比で50%以上であり、好ましくは75%以上であり、より好ましくは99%以上である。
アルミニウム含有層22cの厚さは、例えば、3nm以上であり、好ましくは10nm以上である。また、アルミニウム含有層22cの厚さは、例えば、20nm以下であり、好ましくは15nm以下である。
アルミニウム含有層22cは、初回充電前の未充電アノードレス電池の非水電解質に含まれる水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)に基づいて形成される。以下、水素化アルミニウムリチウムをLAHと記載する。
アルミニウム含有層22cは、アノードレス電池10の初回充電時において、非水電解質とLAHとの反応により生成する生成物によって形成される層である。換言すると、アルミニウム含有層22cは、非水電解質由来の生成物によって形成される層である。アルミニウム含有層22cは、アノードレス電池10の初回充電時におけるリチウムの析出によるリチウム析出層22bの形成に並行して形成される。
アルミニウム含有層22cは、非水電解質由来の生成物として、少なくともAl-O結合を有する物質を含む。Al-O結合を有する物質としては、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、AL-O-Li結合を有する物質が挙げられる。また、アルミニウム含有層22cは、Al-O結合を有する物質以外のその他の非水電解質由来の生成物を含むものであってもよい。その他の非水電解質由来の生成物としては、例えば、Li-O結合、Li-S結合、及びLi-F結合に由来するリチウム原子を含む物質、CO3、C-C結合、及びC-H結合に由来する炭素原子を含む物質、窒素原子を含む物質、F-S結合、及びF-Li結合に由来するフッ素原子を含む物質、O-C結合、及びO-Li結合に由来する酸素原子を含む物質、SO4-、SO3-、及びS-Li結合に由来する硫黄原子を含む物質が挙げられる。なお、アルミニウム含有層22cは、Al-O結合を有する物質などの無機成分と、炭素原子を含む物質などの有機成分とを含む有機/無機複合層であることが好ましい。
(セパレータ)
セパレータ23は、非水電解質を吸収保持するポリマーを含むシート状の多孔性基材である。セパレータ23を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(polyethylene)、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリブチレン(polybutylene)、ポリペンテン(polypentene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキサイド(polyphenylene oxide)、ポリフェニレンスルファイド(polyphenylene sulfide)、及びポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate)からなる群より選択されるいずれか一種、及びこれらの二種以上の混合物が挙げられる。
セパレータ23は、非水電解質を吸収保持するポリマーを含むシート状の多孔性基材である。セパレータ23を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(polyethylene)、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリブチレン(polybutylene)、ポリペンテン(polypentene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキサイド(polyphenylene oxide)、ポリフェニレンスルファイド(polyphenylene sulfide)、及びポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate)からなる群より選択されるいずれか一種、及びこれらの二種以上の混合物が挙げられる。
セパレータ23は、上記材料からなる多孔性高分子フィルムを単独又は積層して使用できる。また、セパレータ23は、多孔性高分子フィルムのような多孔性基材の表面に多孔性コーティング層を備えるものであってもよい。多孔性コーティング層としては、例えば、無機物粒子がバインダー高分子を媒介にして連結及び固定されて薄くコーティングされた有機/無機複合多孔性コーティング層が挙げられる。
(非水電解質)
空間Sに収容される非水電解質は、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。
非水電解質は、電解質塩としてのLiN(FSO2)2を含む。LiN(FSO2)2は、リチウムイオンが解離しやすい性質を有する。そのため、LiN(FSO2)2を電解質塩とする非水電解質は、非水電解質中のリチウムイオンの濃度を高めることが容易である。非水溶媒中におけるLiN(FSO2)2の濃度は、例えば、3.6M以上であり、4.0M以上であることが好ましい。また、LiN(FSO2)2は、アルミニウム含有層22cを形成する、Al-O結合を有する物質の酸素源の一つである。
空間Sに収容される非水電解質は、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。
非水電解質は、電解質塩としてのLiN(FSO2)2を含む。LiN(FSO2)2は、リチウムイオンが解離しやすい性質を有する。そのため、LiN(FSO2)2を電解質塩とする非水電解質は、非水電解質中のリチウムイオンの濃度を高めることが容易である。非水溶媒中におけるLiN(FSO2)2の濃度は、例えば、3.6M以上であり、4.0M以上であることが好ましい。また、LiN(FSO2)2は、アルミニウム含有層22cを形成する、Al-O結合を有する物質の酸素源の一つである。
非水電解質は、LiN(FSO2)2以外のその他の電解質塩を含むものであってもよい。その他の電解質塩としては、例えば、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2等の公知のリチウム塩が挙げられる。
非水溶媒としては、例えば、エーテル類、カーボネート類、エステル類等の公知の溶媒が挙げられる。これら公知の溶媒材料を二種以上組合せて用いてもよい。
非水溶媒は、エーテル類及びカーボネート類の少なくとも一方を含むことが好ましく、エーテル類を含むことがより好ましい。エーテル類及びカーボネート類は、酸素原子を含む物質であるため、アルミニウム含有層22cを形成する、Al-O結合を有する物質の酸素源の一つになる。また、エーテル類は、析出したリチウムによる還元反応に対する耐性が高い。そのため、エーテル類を含む非水溶媒を用いることにより非水電解質の分解を抑制できる。非水溶媒に占めるエーテル類の割合は、例えば、50体積%以上であり、好ましくは75体積%以上である。
非水溶媒は、エーテル類及びカーボネート類の少なくとも一方を含むことが好ましく、エーテル類を含むことがより好ましい。エーテル類及びカーボネート類は、酸素原子を含む物質であるため、アルミニウム含有層22cを形成する、Al-O結合を有する物質の酸素源の一つになる。また、エーテル類は、析出したリチウムによる還元反応に対する耐性が高い。そのため、エーテル類を含む非水溶媒を用いることにより非水電解質の分解を抑制できる。非水溶媒に占めるエーテル類の割合は、例えば、50体積%以上であり、好ましくは75体積%以上である。
エーテル類としては、例えば、ジアルコキシエタン、フッ素置換エーテルが挙げられる。ジアルコキシエタンとしては、例えば、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、1,2-ジプロポキシエタン、1,2-ジブトキシエタンが挙げられる。フッ素置換エーテルとしては、例えば、1-メトキシ-1,2,2,3-テトラフルオロシクロプロパン、1-エトキシ-1,2,2,3-テトラフルオロシクロプロパン、1-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1,2,2,3-テトラフルオロシクロプロパン、1-メトキシ-1,2,2,3,3,4-ヘキサフルオロシクロブタン、1-エトキシ-1,2,2,3,3,4-ヘキサフルオロシクロブタン、1-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1,2,2,3,3,4-ヘキサフルオロシクロブタン、1-メトキシ-1,2,2,3,3,4,4,5-オクタフルオロシクロペンタン、1-エトキシ-1,2,2,3,3,4,4,5-オクタフルオロシクロペンタン、1-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1,2,2,3,3,4,4,5-オクタフルオロシクロペンタンが挙げられる。
カーボネート類としては、例えば、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類が挙げられる。環状カーボネート類としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートが挙げられる。鎖状カーボネート類としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。
また、非水電解質は、必要に応じて、非水電解質の粘度を低下させる粘度調整剤を含むものであってもよい。特に、3.6M以上のLiN(FSO2)2を含む高濃度の非水電解質は、粘度が高くなりやすいため、粘度調整剤を用いることが好ましい。非水電解質の粘度は、例えば、15mPa・s以下であり、好ましくは10mPa・s以下である。
粘度調整剤は、電解質塩が不溶であり、非水溶媒に相溶する液体であれば特に限定されるものではなく、電解質塩及び非水溶媒に応じて適宜、選択される。一例として、電解質塩がLiN(FSO2)2であり、非水溶媒が1,2-ジメトキシエタンである場合に用いることのできる粘度調整剤としては、例えば、ハイドロフルオロエーテルが挙げられる。
<アノードレス電池の製造方法>
次に、アノードレス電池10の製造方法について説明する。
アノードレス電池10の製造方法は、未充電電池に対して初回充電を行う充電工程を備える。
次に、アノードレス電池10の製造方法について説明する。
アノードレス電池10の製造方法は、未充電電池に対して初回充電を行う充電工程を備える。
図2に示すように、未充電電池10Aは、未充電電極体11Aと、未充電電極体11Aを収容する容器12とを備える。未充電電極体11Aは、正極21と、負極22と、セパレータ23とを備える。未充電電極体11Aは、負極22がリチウム析出層22bを備えていない点を除いて電極体11と同様である。未充電電極体11Aの負極22は、負極集電体22aのみにより構成されている。負極集電体22aの第1面22a1には、リチウム析出層22bは形成されてなく、負極集電体22aの第1面22a1は、セパレータ23に対向している。容器12は、液密に密閉された空間Sを内部に有している。容器12の空間Sには、未充電電極体11A及び非水電解質が収容されている。
ここで、未充電電池10Aの非水電解質には、LAHが添加されている。未充電電池10Aの非水電解質の構成成分は、LAHを含む点を除いて、上述したアノードレス電池10の非水電解質と同様である。未充電電池10Aの非水電解質におけるLAHの含有割合は、例えば、0.01mol/l以上であり、好ましくは0.02mol/l以上である。また、上記含有割合は、例えば、0.3mol/l以下であり、好ましくは0.2mol/l以下である。
未充電電池10Aは、例えば、以下のようにして組み立てることができる。まず、セパレータ23を間に挟んで、正極活物質層21bと負極集電体22aの第1面22a1とが対向するように、正極21及び負極22を配置することにより積層体を形成する。その後、積層体を積層方向に挟み込む固定部材(図示略)を用いて、積層体を固定することにより、未充電電極体11Aが得られる。
次に、未充電電極体11Aの正極集電体21a及び負極集電体22aから外部に通ずる各端子までを、集電用リード等を用いて接続する。未充電電極体11Aを容器12に収容するとともに非水電解質を注入した後、容器12を密封することにより、未充電電池10Aが得られる。
充電工程は、未充電電池10Aに対して初回充電を行う工程である。未充電電池10Aに対して初回充電が行われると、非水電解質に溶解したリチウムイオンが負極集電体22aへと至り、負極集電体22aの第1面22a1上に析出する。リチウムの析出に並行して、非水電解質に含まれるLiN(FSO2)2等の物質とLAHとの反応により、Al-O結合を有する物質等の非水電解質由来の生成物が生成する。これにより、表面にアルミニウム含有層22cを有するリチウム析出層22bが形成される。そして、アノードレス電池10が得られる。
非水電解質に含まれるLAHは、初回充電時、又は初期の充放電サイクルにおける充電時に全て消費される。そのため、初回充電後のアノードレス電池10の非水電解質は、LAHを含まない、又は極めて少量のLAHを含む。
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)アノードレス電池10は、負極集電体22a及びリチウム析出層22bを備える負極22と、正極集電体21a及び正極活物質層21bを備える正極21と、セパレータ23と、LiN(FSO2)2を含む非水電解質とを備える。リチウム析出層22bの表面には、Al-O結合を有する物質を含むアルミニウム含有層22cが形成されている。
(1)アノードレス電池10は、負極集電体22a及びリチウム析出層22bを備える負極22と、正極集電体21a及び正極活物質層21bを備える正極21と、セパレータ23と、LiN(FSO2)2を含む非水電解質とを備える。リチウム析出層22bの表面には、Al-O結合を有する物質を含むアルミニウム含有層22cが形成されている。
上記構成によれば、LiN(FSO2)2を含む非水電解質を用いた場合の初期の充放電サイクルにおけるクーロン効率の落ち込みを抑制できる。その作用機序は以下のように推測される。
初期の充放電サイクルにおけるクーロン効率の落ち込みは、リチウム析出層22bの表面でリチウムに接触した非水電解質が還元反応により分解されることに起因する。リチウム析出層22bの表面にアルミニウム含有層22cが形成されることにより、リチウム析出層22bの表面のリチウムに非水電解質が接触することが抑制される結果、非水電解質の分解が抑制される。これにより、初期の充放電サイクルにおいて、非水電解質の状態が好適に維持される。その結果、初期の充放電サイクルにおけるクーロン効率が向上するとともに、クーロン効率の落ち込みが抑制される。
(2)非水電解質は、エーテル類から選ばれる少なくとも一種の非水溶媒を含む。
エーテル類は、リチウムによる還元反応に対する耐性が高い。そのため、エーテル類を含む非水溶媒を用いることにより非水電解質の分解を抑制できる。
エーテル類は、リチウムによる還元反応に対する耐性が高い。そのため、エーテル類を含む非水溶媒を用いることにより非水電解質の分解を抑制できる。
(3)アノードレス電池10の製造方法は、未充電電池10Aに対して初回充電を行う充電工程を備える。未充電電池10Aは、負極集電体22aと、正極集電体21a及び正極活物質層21bを備える正極21と、セパレータ23と、LiN(FSO2)2及び水素化アルミニウムリチウムを含む非水電解質とを備える。上記構成によれば、上記(1)に記載のアノードレス電池10を製造できる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○アノードレス電池10の充電回数は特に限定されるものではない。アノードレス電池10は、例えば、充電回数が1回以上10回以下の状態のアノードレス電池であり、好ましくは充電回数が1回以上5回以下の状態のアノードレス電池である。
○アノードレス電池10の充電回数は特に限定されるものではない。アノードレス電池10は、例えば、充電回数が1回以上10回以下の状態のアノードレス電池であり、好ましくは充電回数が1回以上5回以下の状態のアノードレス電池である。
○電極体11及び未充電電極体11Aの形状は特に限定されるものではない。例えば、電極体11及び未充電電極体11Aは、正極21、セパレータ23、及び負極22を重ねた積層型であってもよいし、正極21、セパレータ23、及び負極22の積層体を捲いた捲回型であってもよい。
以下に、上記実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
<試験1>
(実施例1)
正極活物質、導電助剤、及び結着剤を、質量比が95.7:2:2.3となるように混合し、溶剤としてのN-メチル-2-ピロリドンを添加してスラリーとした。正極集電体としてのアルミニウム箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたアルミニウム箔を乾燥することにより溶剤を除去した。以上の手順で、アルミニウム箔の表面に正極活物質層が形成された正極を得た。正極活物質層の目付量は、20mg/cm2であり、密度は、2.9mg/cm3であった。実施例1に用いた正極活物質、導電助剤、及び結着剤は、以下のとおりである。
<試験1>
(実施例1)
正極活物質、導電助剤、及び結着剤を、質量比が95.7:2:2.3となるように混合し、溶剤としてのN-メチル-2-ピロリドンを添加してスラリーとした。正極集電体としてのアルミニウム箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたアルミニウム箔を乾燥することにより溶剤を除去した。以上の手順で、アルミニウム箔の表面に正極活物質層が形成された正極を得た。正極活物質層の目付量は、20mg/cm2であり、密度は、2.9mg/cm3であった。実施例1に用いた正極活物質、導電助剤、及び結着剤は、以下のとおりである。
正極活物質:層状岩塩構造を示すLiNi0.5Co0.35Mn0.15O2
導電助剤:アセチレンブラック
結着剤:ポリフッ化ビニリデン
次に、負極集電体としての銅箔、及びポリエチレン製セパレータを所定の寸法に裁断し、裁断後の正極と負極集電体とでセパレータを挟持することにより、未充電電極体を得た。未充電電極体を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに、LAHを含む非水電解質を注入した。その後、ラミネートフィルムの残りの一辺をシールすることにより、実施例1の未充電電池を製造した。
導電助剤:アセチレンブラック
結着剤:ポリフッ化ビニリデン
次に、負極集電体としての銅箔、及びポリエチレン製セパレータを所定の寸法に裁断し、裁断後の正極と負極集電体とでセパレータを挟持することにより、未充電電極体を得た。未充電電極体を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに、LAHを含む非水電解質を注入した。その後、ラミネートフィルムの残りの一辺をシールすることにより、実施例1の未充電電池を製造した。
実施例1に用いたLAHを含む非水電解質は、エーテル系非水電解質に2体積%となるようにLAH溶液を混合した非水電解質である。上記エーテル系非水電解質は、1,2-ジメトキシエタンにLiN(FSO2)2を4Mの濃度となるように溶解させた後、ハイドロフルオロエーテルにより体積比2.2倍に希釈した非水電解質である。上記LAH溶液は、テトラヒドロキシフランにLAHを2.5Mの濃度となるように溶解させた溶液である。実施例1の非水電解質は、0.049mol/lのLAHを含む。
(比較例1)
非水電解質を、LAHを含まない非水電解質に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法により、比較例1の未充電電池を製造した。比較例1に用いた非水電解質は、実施例1欄に記載したエーテル系非水電解質である。
非水電解質を、LAHを含まない非水電解質に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法により、比較例1の未充電電池を製造した。比較例1に用いた非水電解質は、実施例1欄に記載したエーテル系非水電解質である。
(XPSによる表面分析)
実施例1及び比較例1の未充電電池に対して、0.25Cの定電流で4.3Vまで充電した。その後、未充電電池からリチウム析出層が形成された負極集電体を取り出し、XPS(X線光電子分光分析)によりリチウム析出層の表面分析を行った。その結果を図3及び図5に示す。
実施例1及び比較例1の未充電電池に対して、0.25Cの定電流で4.3Vまで充電した。その後、未充電電池からリチウム析出層が形成された負極集電体を取り出し、XPS(X線光電子分光分析)によりリチウム析出層の表面分析を行った。その結果を図3及び図5に示す。
図3(a)に示すように、実施例1の場合、60~74.50eVの位置に、Al-O結合に由来するAl(2p)のピークを確認できた。一方、図3(b)に示すように、比較例1の場合、上記ピークは確認できなかった。これらの結果から、実施例1のリチウム析出層の表面にAl-O結合を有する物質を含むアルミニウム含有層が形成されていることが分かる。また、比較例1のリチウム析出層の表面には、アルミニウム含有層が存在していないことが分かる。
図5(a)~(f)に示すように、実施例1の場合、Li-O結合、Li-S結合、及びLi-F結合に由来するLi(1s)のピーク、CO3、C-C結合、及びC-H結合に由来するC(1s)のピーク、N(1s)のピーク、F-S結合、及びF-Li結合に由来するF(1s)のピーク、O-C結合、及びO-Li結合に由来するO(1s)のピーク、SO4-、SO3-、及びS-Li結合に由来するS(2s)のピークを確認できた。これらの結果から、実施例1のリチウム析出層の表面に形成されたアルミニウム含有層は、Al-O結合を有する物質に加えて、O、C、S、F、Nの各原子を含む有機/無機複合層であることが分かる。アルミニウム含有層に含まれるO、C、S、F、Nの各原子は、非水電解質に含まれるLiN(FSO2)2、ジメトキシエタン、ハイドロフルオロエーテルフラン、テトラヒドロキシフランに由来すると考えられる。
また、図5に示す各ピークの各強度はそれぞれ、図3(a)に示すピークの強度の30%以下であった。そのため、実施例1のアルミニウム含有層を構成する主たる成分は、Al-O結合を有する物質であると考えられる。
(クーロン効率の測定)
実施例1及び比較例1の未充電電池に対して、0.25Cの定電流で4.3Vまで充電し、0.25Cの定電流で3Vまで放電する充放電を行った。この時の電流密度は1mA/cm2であった。続いて、1Cの定電流で4.3Vまで充電し、1Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電を行った。このときの電流密度は4mA/cm2であった。上記の1C定電流による放電及び充電を10サイクル繰り返した。このとき、各サイクルにおける放電時及び充電時の電極の充電容量及び放電容量を測定した。充電容量及び放電容量の測定値を用いて、各サイクルにおけるクーロン効率を下記式により算出した。その結果を図4のグラフに示す。
実施例1及び比較例1の未充電電池に対して、0.25Cの定電流で4.3Vまで充電し、0.25Cの定電流で3Vまで放電する充放電を行った。この時の電流密度は1mA/cm2であった。続いて、1Cの定電流で4.3Vまで充電し、1Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電を行った。このときの電流密度は4mA/cm2であった。上記の1C定電流による放電及び充電を10サイクル繰り返した。このとき、各サイクルにおける放電時及び充電時の電極の充電容量及び放電容量を測定した。充電容量及び放電容量の測定値を用いて、各サイクルにおけるクーロン効率を下記式により算出した。その結果を図4のグラフに示す。
クーロン効率(%)=(充電容量/放電容量)×100
図4に示すように、比較例1の場合、5~8サイクルの付近でクーロン効率が落ち込む現象が生じている。一方、実施例1の場合、比較例1にて生じたクーロン効率の落ち込みが改善されている。さらに、実施例1の場合、0~10サイクルの間の全体にわたって、比較例1よりもクーロン効率が高い結果であった。特に、2~5サイクルの間は、100%に近いクーロン効率で推移した。この結果から、リチウム析出層の表面にアルミニウム含有層を形成することにより、5~8サイクル付近におけるクーロン効率の落ち込みを抑制できること、及び0~10サイクルにおけるクーロン効率が向上することが分かる。
図4に示すように、比較例1の場合、5~8サイクルの付近でクーロン効率が落ち込む現象が生じている。一方、実施例1の場合、比較例1にて生じたクーロン効率の落ち込みが改善されている。さらに、実施例1の場合、0~10サイクルの間の全体にわたって、比較例1よりもクーロン効率が高い結果であった。特に、2~5サイクルの間は、100%に近いクーロン効率で推移した。この結果から、リチウム析出層の表面にアルミニウム含有層を形成することにより、5~8サイクル付近におけるクーロン効率の落ち込みを抑制できること、及び0~10サイクルにおけるクーロン効率が向上することが分かる。
<試験2>
(実施例2~5)
非水電解質を、それぞれ0.5,1.0,3.0,5.0体積%となるようにLAH溶液を混合した非水電解質に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法により、実施例2~5の未充電電池を製造した。実施例2~5の未充電電池の非水電解質は、それぞれ0.012,0.025,0.073,0.12mol/lのLAHを含む。
(実施例2~5)
非水電解質を、それぞれ0.5,1.0,3.0,5.0体積%となるようにLAH溶液を混合した非水電解質に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法により、実施例2~5の未充電電池を製造した。実施例2~5の未充電電池の非水電解質は、それぞれ0.012,0.025,0.073,0.12mol/lのLAHを含む。
(XPSによる表面分析)
実施例2~5の未充電電池に対して、0.25Cの定電流で4.3Vまで充電した。その後、未充電電池からリチウム析出層が形成された負極集電体を取り出し、リチウム析出層の表面のX線光電子分光(XPS)測定を行った。その結果を図6に示す。
実施例2~5の未充電電池に対して、0.25Cの定電流で4.3Vまで充電した。その後、未充電電池からリチウム析出層が形成された負極集電体を取り出し、リチウム析出層の表面のX線光電子分光(XPS)測定を行った。その結果を図6に示す。
図6(a)~(d)に示すように、実施例2~5のいずれの場合にも、60~74.50eVの位置に、Al-O結合に由来するAl(2p)のピークを確認できた。この結果から、非水電解質に対するLAHの添加量を変更した場合にも、リチウム析出層の表面にアルミニウム含有層が形成されることが分かる。また、図示は省略するが、実施例2~5の場合においても、図5(a)~(f)と同様のピークを確認できた。
10…アノードレス電池
10A…未充電電池
11…電極体
11A…未充電電極体
12…容器
21…正極
21a…正極集電体
21b…正極活物質層
22…負極
22a…負極集電体
22b…リチウム析出層
22c…アルミニウム含有層
23…セパレータ
10A…未充電電池
11…電極体
11A…未充電電極体
12…容器
21…正極
21a…正極集電体
21b…正極活物質層
22…負極
22a…負極集電体
22b…リチウム析出層
22c…アルミニウム含有層
23…セパレータ
Claims (7)
- 負極集電体上におけるリチウムの析出、及び析出したリチウムの非水電解質への溶解に基づいて充放電を行うアノードレス電池であって、
前記負極集電体及び前記負極集電体に析出したリチウムにより形成されるリチウム析出層を備える負極と、
正極集電体及び正極活物質層を備える正極と、
前記負極と前記正極との間に配置されたセパレータと、
LiN(FSO2)2を含む非水電解質とを備え、
前記リチウム析出層の表面には、Al-O結合を有する物質を含むアルミニウム含有層が形成されていることを特徴とするアノードレス電池。 - 前記非水電解質は、エーテル類から選ばれる少なくとも一種の非水溶媒を含む請求項1に記載のアノードレス電池。
- 前記アルミニウム含有層の厚さは、20nm以下である請求項1又は請求項2に記載のアノードレス電池。
- 前記アルミニウム含有層は、無機成分と有機成分とを含む有機/無機複合層である請求項1~3のいずれか一項に記載のアノードレス電池。
- 負極集電体上におけるリチウムの析出、及び析出したリチウムの非水電解質への溶解に基づいて充放電を行うアノードレス電池の製造方法であって、
未充電電池に対して初回充電を行う充電工程を備え、
前記未充電電池は、
前記負極集電体と、
正極集電体及び正極活物質層を備える正極と、
前記負極集電体と前記正極との間に配置されたセパレータと、
LiN(FSO2)2及び水素化アルミニウムリチウムを含む非水電解質とを備えることを特徴とするアノードレス電池の製造方法。 - 前記非水電解質は、エーテル類から選ばれる少なくとも一種の非水溶媒を含む請求項5に記載のアノードレス電池の製造方法。
- 前記非水電解質における前記水素化アルミニウムリチウムの含有割合は、0.01mol/l以上0.3mol/l以下である請求項5又は請求項6に記載のアノードレス電池の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021190181A JP2023077060A (ja) | 2021-11-24 | 2021-11-24 | アノードレス電池及びアノードレス電池の製造方法 |
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