JP6834990B2 - 被覆アルカリ土類金属化合物微粒子、有機溶媒分散液、樹脂組成物及び画像表示装置 - Google Patents

被覆アルカリ土類金属化合物微粒子、有機溶媒分散液、樹脂組成物及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、被覆アルカリ土類金属化合物微粒子、被覆アルカリ土類金属化合物微粒子が分散されている有機溶媒分散液及び樹脂組成物並びに樹脂組成物が備えられている画像表示装置等に関する。
液晶表示装置は複数の光学フィルム(樹脂組成物)が積層されている。光学フィルムとしては、例えば、偏光板や位相差フィルムが挙げられる。偏光板や位相差フィルムの原料には高分子が用いられる。偏光板や位相差フィルムは製造工程において延伸されるため、それらを形成する高分子は配向し、複屈折を示す。高分子の複屈折は材料に固有であり、正又は負のいずれかを示す。
特許文献1には、高分子が示す正の複屈折を打ち消す方法として、当該高分子と逆の負の複屈折を示す針状炭酸ストロンチウム微粒子をフィラーとして高分子中に分散する方法が記載されている。特許文献2には、アルカリ土類金属を含む炭酸塩やアルカリ土類金属を含む複合酸化物といったアルカリ土類金属化合物からなる粒子(アルカリ土類金属化合物微粒子)が樹脂に分散されている光学フィルムが記載されている。特許文献1には、さらに、高分子の透明性を維持する上で微粒子が500nm以下の平均長さを有することは極めて有利であり、特に200nm以下であれば透明性が殆ど損なわれないことも記載されている。
しかし、微粒子が微細化されると一次粒子(primary particle)のファンデルワールス力が強まり、二以上の一次粒子が凝集して二次粒子(secondary particle)が形成されやすくなる。二次粒子の粒径が大きくなると、二次粒子が透過光を遮断又は散乱し、光学フィルムの透明性が確保されにくくなる。そこで、アルカリ土類金属化合物微粒子の表面を高級脂肪酸からなる表面処理剤(分散剤)で被覆(表面処理)して被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を形成することによって、アルカリ土類金属化合物微粒子の分散性を向上させる。特許文献3には、針状炭酸ストロンチウム微粒子の表面を、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸からなる表面処理剤(分散剤)で被覆することによって、有機溶媒に対する針状炭酸ストロンチウム微粒子の分散性を向上させることが記載されている。
なお、本明細書中において、一次粒子(primary particle)とは一般的な粉体系における単位粒子(ultimate particle)をいい、二次粒子(secondary particle)とは二以上の一次粒子が集合(凝集)した粒子をいう。また、粒子(「微粒子」を含む)とは、一の一次粒子、一の二次粒子、二以上の一次粒子の集合体、二以上の二次粒子の集合体、及び、二以上の一次粒子と二以上の二次粒子との集合体の形態を含み得るが、いずれの形態を意味するかは当業者には容易に理解できるであろう。さらに、表面処理剤(分散剤)とは、一次粒子及び二次粒子の表面の少なくとも一部を被覆することによって、一次粒子及び二次粒子に表面活性又は立体障害等の作用を付与し、表面処理剤で被覆された一次粒子及び二次粒子に分散性を付与する剤をいう。
特開2004−35347号公報 特開2011−236111号公報 国際公開第2015/141817号
ところで、光学フィルム(樹脂組成物)の成膜方法として溶融混練法と溶液キャスト法とが知られる。近年、いずれの成膜方法も成膜温度がより高温になる傾向がある。しかし、従来の表面処理剤は、樹脂組成物の高温での成膜時に高い分散性を維持することができなかった。したがって、被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、樹脂組成物の高温での成膜時の分散性の向上が求められている。
また、光学フィルム(樹脂組成物)を溶液キャスト法で成膜する場合、高分子にアルカリ土類金属化合物微粒子を分散させるための分散媒として有機溶媒が用いられる。高分子が低吸水性の場合、有機溶媒は疎水性分散媒が用いられる。しかし、アルカリ土類金属化合物は親水性であるため、疎水性分散媒には分散しにくい。したがって、被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒(特に、疎水性分散媒)に対して分散性の向上が求められている。
本発明の第1〜第4の態様は、光学フィルム(樹脂組成物)の高温での成膜時に高い分散性を維持することができる被覆アルカリ土類金属化合物微粒子、その被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を分散した有機溶媒分散液及び樹脂組成物並びにその樹脂組成物を備える画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の第5〜第9の態様は、有機溶媒(特に、疎水性分散媒)に対する分散性が高い被覆アルカリ土類金属化合物微粒子、その被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を分散した有機溶媒分散液及び樹脂組成物並びにその樹脂組成物を備える画像表示装置を提供することを目的とする。
(1)第1の態様
(1−1)第1の態様その1
本発明の第1の態様は、アルカリ土類金属化合物微粒子の表面が表面処理剤で被覆された被覆アルカリ土類金属化合物微粒子であって、大気雰囲気中で熱重量測定(Thermogravimetry)・示差熱分析(Differential Thermal Analysis)(TG−DTA)を行うと、TG−DTA開始時の前記表面処理剤の質量を100質量%としたとき、100℃〜300℃の温度範囲での前記表面処理剤の質量減少率が30質量%以下であることを特徴とする被覆アルカリ土類金属化合物微粒子に関する。
(1−2)第1の態様その2
本発明の第1の態様では、前記表面処理剤は、前記アルカリ土類金属化合物微粒子100質量部に対して1〜50質量部であって、大気雰囲気中でTG−DTAを行うと、TG−DTA開始時の前記被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の質量を100質量%としたとき、100℃〜300℃の温度範囲での前記被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の質量減少率が20質量%以下であることが好ましい。
(1−3)第1の態様その3
本発明の第1の態様では、大気雰囲気中でTG−DTAを行うと、TG−DTA開始時の前記表面処理剤の質量を100質量%としたとき、100℃〜250℃の温度範囲での前記表面処理剤の質量減少率が5質量%以下であることが好ましい。
(1−4)第1の態様その4
本発明の第1の態様では、1質量%の前記被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を有機溶媒に分散した有機溶媒分散液の個数基準粒度分布を、動的光散乱法を用いて測定すると、前記個数基準粒度分布のD50(粒子を粒径の小さい方から順に並べたとき、全体の50%に位置する粒子の粒径)が100nm以下であることが好ましい。
(1−5)第1の態様その5
本発明の第1の態様では、前記有機溶媒がN−メチル−2−ピロリドン(NMP)であることが好ましい。
(1−6)第1の態様その6
本発明の第1の態様では、前記表面処理剤がフェニル基を有することが好ましい。
(1−7)第1の態様その7
本発明の第1の態様では、前記表面処理剤がポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルであることが好ましい。
(1−8)第1の態様その8
本発明の第1の態様では、前記表面処理剤が非イオン性ポリマーであることが好ましい。
(1−9)第1の態様その9
本発明の第1の態様では、前記表面処理剤がポリ−N−ビニルアセトアミドであることが好ましい。
(1−10)第1の態様その10
本発明の第1の態様では、前記アルカリ土類金属化合物微粒子が針状炭酸ストロンチウム微粒子であることが好ましい。
(2)第2の態様
本発明の第2の態様は、第1の態様の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子が有機溶媒に分散されていることを特徴とする有機溶媒分散液に関する。
(3)第3の態様
本発明の第3の態様は、第1の態様の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子が樹脂に分散されていることを特徴とする樹脂組成物に関する。
(4)第4の態様
本発明の第4の態様は、第3の態様の樹脂組成物が画像表示装置に備えられていることを特徴とする画像表示装置に関する。
(5)第5の態様
(5−1)第5の態様その1
本発明の第5の態様は、1質量%の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を疎水性分散媒に分散した疎水性分散液の累積粒度分布を、動的光散乱法を用いて測定すると、累積粒度分布のD50が100nm以下であることを特徴とする被覆アルカリ土類金属化合物微粒子に関する。
(5−2)第5の態様その2
本発明の第5の態様では、前記D50が75nm以下であることが好ましい。
(5−3)第5の態様その3
本発明の第5の態様では、前記疎水性分散媒がn−ヘキサンであることが好ましい。
(6)第6の態様
(6−1)第6の態様その1
本発明の第6の態様は、アルカリ土類金属化合物微粒子の表面が表面処理剤で被覆された被覆アルカリ土類金属化合物微粒子であって、前記表面処理剤が分岐型高級脂肪酸を有することを特徴とする被覆アルカリ土類金属化合物微粒子に関する。
(6−2)第6の態様その2
本発明の第6の態様では、前記分岐型高級脂肪酸がイソステアリン酸又はイソパルミチン酸であることが好ましい。
(6−3)第5の態様その4又は第6の態様その3
本発明の第5又は第6の態様では、前記アルカリ土類金属化合物微粒子が針状炭酸ストロンチウム微粒子であることが好ましい。
(7)第7の態様
(7−1)第7の態様その1
本発明の第7の態様は、第5又は第6の態様の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子が有機溶媒に分散されていることを特徴とする有機溶媒分散液に関する。
(7−2)第7の態様その2
本発明の第7の態様では、前記有機溶媒が疎水性分散媒であることが好ましい。
(8)第8の態様
本発明の第8の態様は、第5又は第6の態様の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子が樹脂に分散されていることを特徴とする樹脂組成物に関する。
(9)第9の態様
本発明の第9の態様は、第8の態様の樹脂組成物が画像表示装置に備えられていることを特徴とする画像表示装置に関する。
(1)第1の態様の効果
(1−1)第1の態様その1
アルカリ土類金属化合物微粒子の表面が表面処理剤で被覆された被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒に対する分散性が高い。さらに、TG−DTAを行うと、TG−DTA開始時の表面処理剤の質量を100質量%としたとき、100℃〜300℃の温度範囲での表面処理剤の質量減少率が30質量%以下であることから、この被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、従来のアルカリ土類金属化合物微粒子よりも表面処理剤の質量減少率が小さく、耐熱性が高い。
(1−2)第1の態様その2
アルカリ土類金属化合物微粒子100質量部に対して1〜50質量部の表面処理剤で被覆された被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒に対する分散性がより高い。さらに、TG−DTAを行うと、TG−DTA開始時の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の質量を100質量%としたとき、100℃〜300℃の温度範囲での被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の質量減少率が20質量%以下であることから、この被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、従来のアルカリ土類金属化合物微粒子よりも質量減少率が小さく、耐熱性がより高い。
(1−3)第1の態様その3
TG−DTAを行うと、TG−DTA開始時の表面処理剤の質量を100質量%としたとき、100℃〜250℃の温度範囲での表面処理剤の質量減少率が5質量%以下であり、被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は耐熱性がさらに高い。
(1−4)第1の態様その4
1質量%の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を有機溶媒に分散した有機溶媒分散液の個数基準粒度分布を、動的光散乱法を用いて測定すると、個数基準粒度分布のD50が100nm以下である被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒に対する分散性が非常に高い。
(1−5)第1の態様その5
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)は有機溶媒の中でも疎水性が高いため、低吸水性の高分子を原料とする光学フィルム(樹脂組成物)に被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を分散させるための分散媒として非常に好適である。
(1−6)第1の態様その6
表面処理剤がフェニル基を有する被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒に対する分散性が非常に高く、耐熱性も非常に高い。
(1−7)第1の態様その7
表面処理剤がポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルである被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒に対する分散性が特に高く、耐熱性も特に高い。
(1−8)第1の態様その8
表面処理剤が非イオン性ポリマーである被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒に対する分散性が非常に高く、耐熱性も非常に高い。
(1−9)第1の態様その9
表面処理剤がポリ−N−ビニルアセトアミドである被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒に対する分散性が特に高く、耐熱性も特に高い。
(1−10)第1の態様その10
針状炭酸ストロンチウム微粒子は負の複屈折が大きいため、高分子中に分散すると、高分子が示す正の複屈折を小さくすることができる。
(2)第2の態様の効果
第1の態様の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒に対する分散性が高く、耐熱性も高いため、高分子中に被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を分散させるための分散液として好適である。
(3)第3の態様の効果
第1の態様の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒に対する分散性が高く、耐熱性も高いため、樹脂組成物の高温での成膜時に被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は高い分散性を維持することができる。このため、樹脂組成物は、被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の凝集による透過光の遮断又は散乱が少なく、透明性を確保することができる。
(4)第4の態様の効果
第3の態様の樹脂組成物は透明性を確保することができるため、画像表示装置の画面を明るく、かつ、鮮明にすることができる。
(5)第5の態様の効果
(5−1)第5の態様その1
1質量%の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を疎水性分散媒に分散した疎水性分散液の累積粒度分布を、動的光散乱法を用いて測定すると、累積粒度分布のD50が100nm以下である被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒の中でも疎水性分散媒に対する分散性が非常に高い。
(5−2)第5の態様その2
累積粒度分布のD50が75nm以下である被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、疎水性分散媒に対する分散性がより高い。
(5−3)第5の態様その3
n−ヘキサンは疎水性分散媒の中でも疎水性が高いため、低吸水性の高分子を原料とする光学フィルム(樹脂組成物)に被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を分散させるための分散媒として非常に好適である。
(6)第6の態様の効果
(6−1)第6の態様その1
アルカリ土類金属化合物微粒子の表面が表面処理剤で被覆された被覆アルカリ土類金属化合物微粒子であって、前記表面処理剤は、分岐型高級脂肪酸を有する分散剤である被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒に対する分散性が非常に高い。アルカリ土類金属化合物微粒子の表面を被覆する分岐型高級脂肪酸の炭素鎖の分岐によって立体障害が大きくなるためと考えられる。
(6−2)第6の態様その2
イソステアリン酸又はイソパルミチン酸を有する分散剤で被覆された被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒に対する分散性が特に高い。1質量%の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子をn−ヘキサンに分散した分散液の累積粒度分布を、動的光散乱法を用いて測定すると、累積粒度分布のD50を100nm以下にすることができる。
(6−3)第5の態様その4又は第6の態様その3
針状炭酸ストロンチウム微粒子は負の複屈折が大きいため、高分子中に分散すると、高分子が示す正の複屈折を小さくすることができる。
(7)第7の態様の効果
(7−1)第7の態様その1
第5の又は第6の態様の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒に対する分散性が高いため、有機溶媒は、高分子中に被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を分散させるための分散液として好適である。
(7−2)第7の態様その2
第5又は第6の態様の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒の中でも疎水性分散媒に対して分散性が特に高いため、疎水性分散媒は、被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の分散液としてさらに好適である。
(8)第8の態様の効果
第5又は第6の態様の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、有機溶媒に対する分散性が高いため、樹脂組成物は、被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の凝集による透過光の遮断又は散乱が少なく、透明性を確保することができる。
(9)第9の態様の効果
第8の態様の樹脂組成物の透明性を確保することができるため、画像表示装置の画面を明るく、かつ、鮮明にすることができる。
アルカリ土類金属化合物微粒子としては、例えば、酸化カルシウム微粒子、酸化ストロンチウム微粒子及び酸化バリウム微粒子を含む酸化物微粒子、炭酸マグネシウム微粒子、炭酸カルシウム微粒子、炭酸ストロンチウム微粒子及び炭酸バリウム微粒子を含む炭酸塩微粒子並びに水酸化マグネシウム微粒子、水酸化カルシウム微粒子、水酸化ストロンチウム微粒子及び水酸化バリウム微粒子を含む水酸化物微粒子が挙げられる。以下、アルカリ土類金属化合物微粒子のうち、本発明の好適な実施形態(本実施形態)である針状炭酸ストロンチウム微粒子について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(1)被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の製造方法
本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の製造方法は、針状炭酸ストロンチウム微粒子を製造する工程と、針状炭酸ストロンチウム微粒子の表面を表面処理剤で被覆して被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を製造する工程と、を有する。以下に、さらに詳しく説明する。
(1−1)針状炭酸ストロンチウム微粒子の製造工程
針状炭酸ストロンチウム微粒子を製造する工程は、球状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液を製造する工程と、球状炭酸ストロンチウム微粒子を粒成長させる工程(熟成工程)と、を有する。
(1−1−1)球状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液の製造工程
球状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液を製造する工程は、水酸化ストロンチウムの水溶液又は水性懸濁液を撹拌しながら有機酸の添加と二酸化炭素ガスの導入を行うことによって水酸化ストロンチウムを炭酸化する工程を有する。
水酸化ストロンチウムの水溶液又は水性懸濁液の濃度は1〜20質量%であり、好ましくは2〜15質量%であり、さらに好ましくは3〜8質量%である。
有機酸は、水酸化ストロンチウムの炭酸化によって生成する炭酸ストロンチウムの結晶成長を抑制する結晶成長抑制剤として作用すると共に、炭酸化によって生成する炭酸ストロンチウム粒子の凝集を抑制する凝集抑制剤としても作用する。有機酸は、水酸基とカルボキシル基をそれぞれ少なくとも1個、かつ、合計で少なくとも3個含む。好ましくは、有機酸は、カルボキシル基を1個又は2個、かつ、水酸基とカルボキシル基を合計で3〜6個含む。好ましい有機酸としては、例えば、酒石酸、リンゴ酸又はグルコン酸が挙げられる。有機酸の添加量は、水酸化ストロンチウム100質量部に対して0.1〜20質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
二酸化炭素ガスの流量は、水酸化ストロンチウム1gに対して0.5〜200mL/分であり、好ましくは0.5〜100mL/分である。炭酸化する際の水酸化ストロンチウムの水溶液又は水性懸濁液の温度は0〜40℃であり、好ましくは0〜30℃であり、さらに好ましくは5〜15℃である。炭酸化の終点は、一般には水溶液又は水性懸濁液のpHが7以下になる時点である。
(1−1−2)球状炭酸ストロンチウム微粒子の粒成長工程(熟成工程)
球状炭酸ストロンチウム微粒子を粒成長させる工程は、得られた球状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液を所定温度で所定時間保持する工程(熟成工程)を有する。熟成工程によって球状炭酸ストロンチウム微粒子は長軸方向に粒成長する。
熟成工程の所定温度は60℃以上であり、好ましくは60〜100℃であり、さらに好ましくは70〜100℃である。熟成工程の所定時間は、所定形状の針状粒子が得られれば特に制限はない。針状粒子の所定形状については、平均長径は5〜50nm、平均アスペクト比(長径/短径)は2.2〜5.0が好ましい。熟成工程によって得られた針状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液では、一次粒子の一部は凝集して二次粒子を形成している可能性があるが、一次粒子の多くは分散状態を維持していると考えられる。
(1−2)針状炭酸ストロンチウム微粒子の被覆工程
針状炭酸ストロンチウム微粒子の表面を表面処理剤で被覆する工程は、針状炭酸ストロンチウム微粒子の表面を表面処理剤で表面処理を行って被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を得る工程と、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を乾燥して被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を得る工程と、を有する。
(1−2−1)針状炭酸ストロンチウム微粒子の表面処理工程
針状炭酸ストロンチウム微粒子の表面処理を行って被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を得る工程は、針状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液に下記の表面処理剤を添加後、水性分散液に強いせん断力を付与する工程を有する。
(1−2−1−1)表面処理剤
(1−2−1−1−1)第1の態様の実施形態
本発明の第1の態様の実施形態である被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を製造するための表面処理剤について説明する。本実施形態の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は耐熱性が高く、光学フィルム(樹脂組成物)の高温での成膜時に高い分散性を維持することができる。
(1−2−1−1−1−1)フェニル基含有表面処理剤
添加される表面処理剤はフェニル基を有することが好ましい。フェニル基を有する表面処理剤は、従来の針状炭酸ストロンチウム微粒子に用いられた表面処理剤よりも耐熱性が高い。このため、フェニル基を有する表面処理剤で被覆された被覆炭酸ストロンチウム微粒子は、光学フィルム(樹脂組成物)の高温での成膜時に高い分散性を維持することができる。被覆炭酸ストロンチウム微粒子による透過光の遮断又は散乱が少なくなるため、光学フィルム(樹脂組成物)の透明性を確保することができる。
フェニル基を有する表面処理剤は、アニオン表面処理剤が好ましく、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルがさらに好ましい。アニオン表面処理剤は有機溶媒に対する分散性が高く、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルは耐熱性がさらに高い。これらによって、光学フィルムの高温での成膜時に被覆炭酸ストロンチウム微粒子はより高い分散性を維持することができる。被覆炭酸ストロンチウム微粒子による透過光の遮断又は散乱がより少なくなるため、光学フィルム(樹脂組成物)のより高い透明性を確保することができる。
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルとしては、例えば、化学式1及び化学式1のRが化学式2で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルが挙げられる。
Figure 0006834990
Figure 0006834990
(1−2−1−1−1−2)非イオン性ポリマー
添加される他の表面処理剤は非イオン性ポリマーが好ましく、ポリ−N−ビニルアセトアミド(PNVA)であることがさらに好ましい。非イオン性ポリマーは有機溶媒に対する分散性が高く、PNVAは耐熱性がさらに高い。PNVAの化学式を化学式3に示す。
Figure 0006834990
(1−2−1−1−2)第5及び第6の態様の実施形態
本発明の第5及び第6の態様の実施形態である被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を製造するための表面処理剤について説明する。本実施形態の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は有機溶媒(特に、疎水性分散媒)に対する分散性が高い。
添加される表面処理剤は分岐型高級脂肪酸、疎水性炭素鎖を有する高級脂肪酸又は炭素鎖にエチレンオキサイド鎖を有さない高級脂肪酸が好ましい。従来の直鎖型高級脂肪酸よりも有機溶媒、特に、疎水性分散媒に対する分散性が高くなるからである。分岐型高級脂肪酸は炭素鎖の分岐によって立体障害が大きくなるためと考えられる。
分岐型高級脂肪酸としては、化学式4で表される高級脂肪酸が挙げられる。
Figure 0006834990
はアルキル基が好ましい。また、Rは第3級炭素原子及び第4級炭素原子を合計で1個以上、好ましくは1〜10個含む。さらに、Rは炭素原子を10〜32個、好ましくは10〜18個含む。化学式4で表される高級脂肪酸は、第3級炭素原子を1個含み、化学式5で表される分岐型高級脂肪酸がより好ましい。
Figure 0006834990
化学式5のx+yは7〜29であり、好ましくは7〜15である。
(1−2−1−2)表面処理剤の添加量
針状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液への表面処理剤の添加量は、針状炭酸ストロンチウム微粒子100質量部に対して1〜50質量部であり、好ましくは5〜40質量部であり、さらに好ましくは10〜35質量部であり、特に好ましくは20〜35質量部である。
(1−2−1−3)せん断力の付与
針状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液に強いせん断力を付与するために、10〜60m/秒の周速で高速回転している回転体が用いられる。回転体の周速は、20〜50m/秒がより好ましく、30〜40m/秒がさらに好ましい。せん断力を与える装置としては、必要なせん断力を与えることができれば特に制限はない。
強いせん断力によって針状炭酸ストロンチウム微粒子は凝集が解され、分散性が向上する。凝集が一次粒子まで解されない針状炭酸ストロンチウム微粒子が存在する可能性もあるが、加えられるせん断力が非常に強いため、少なくとも一次粒子近くまで解されると考えられる。この効果が持続している間に、添加された表面処理剤が針状炭酸ストロンチウム微粒子の一次粒子及び一次粒子近くまで解された二次粒子の表面を被覆し、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子が得られる。一次粒子及び一次粒子近くまで解された二次粒子の表面が表面処理剤で被覆されるため、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子は、一次粒子及び一次粒子近くまで解された二次粒子の分散状態が維持される。
被覆の態様としては、一次粒子及び一次粒子近くまで解された二次粒子からなる針状炭酸ストロンチウム微粒子の表面の少なくとも一部が、表面処理剤で被覆されていればよい。即ち、針状炭酸ストロンチウムからなる一次粒子の表面の少なくとも一部が表面処理剤で被覆されていてもよいし、一次粒子近くまで解された針状炭酸ストロンチウムからなる二次粒子(二以上の一次粒子の凝集体)の表面の少なくとも一部が表面処理剤で被覆されていてもよい。
(1−2−2)被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の乾燥工程
被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を乾燥して、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を得る工程では、水性分散液を乾燥、除去する。水性分散液を乾燥する方法は、水性分散媒の水が除去されれば特に制限はなく、スプレードライヤーやドラムドライヤーを含む公知の乾燥方法を用いることができる。得られた被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子は、必要に応じて有機溶媒に投入され、撹拌混合されて分散性が高い被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の有機溶媒分散液が製造され、光学フィルムの製造等に供される。
(2)被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の耐熱性及び分散性
本実施形態のうち、本発明の第1の態様の実施形態における被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の耐熱性及び本実施形態(第1の態様並びに第5及び第6の態様)における被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の分散性は以下のとおりである。
(2−1)第1の態様の実施形態の耐熱性
(2−1−1)大気雰囲気及び100℃〜300℃の温度範囲
大気雰囲気中で熱重量測定(Thermogravimetry)・示差熱分析(Differential Thermal Analysis)(TG−DTA)を行うと、TG−DTA開始時の表面処理剤の質量を100質量%としたとき、100℃〜300℃の温度範囲での表面処理剤の質量減少率は70質量%以下であり、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは24質量%以下であり、特に好ましくは22質量%以下である。
また、TG−DTA開始時の表面処理された被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の質量を100質量%としたとき、100℃〜300℃の温度範囲での表面処理された被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の質量減少率は20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは11質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以下であり、特に好ましくは7.5質量%以下である。
(2−1−2)大気雰囲気及び100℃〜250℃の温度範囲
大気雰囲気中でTG−DTAを行うと、TG−DTA開始時の表面処理剤の質量を100質量%としたとき、100℃〜250℃の温度範囲での表面処理剤の質量減少率は19質量%以下であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下であり、特に好ましくは1.5質量%以下ある。
また、TG−DTA開始時の表面処理された被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の質量を100質量%としたとき、100℃〜250℃の温度範囲での表面処理された被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の質量減少率は16質量%以下であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは2.5質量%以下であり、特に好ましくは1.6質量%以下である。
(2−1−3)窒素雰囲気及び100℃〜250℃の温度範囲
窒素雰囲気中でTG−DTAを行うと、TG−DTA開始時の表面処理された被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の質量を100質量%としたとき、100℃〜250℃の温度範囲での表面処理された被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の質量減少率は3.6質量%以下であり、好ましくは2.3質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、さらに好ましくは1.5質量%以下である。
(2−2)本実施形態(第1の態様並びに第5及び第6の態様)の分散性
(2−2−1)被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の有機溶媒分散液
本実施形態(第1の態様並びに第5及び第6の態様)の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子は有機溶媒に投入され、撹拌混合されることにより、分散性が高い被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の有機溶媒分散液が製造される。有機溶媒の例としては、アルコール(例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、エチレングルコール)、塩化メチレン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール(PEGME)、1−メトキシ−2−プロピルアセテ−ト(PEGMEA)、炭化水素系溶剤(n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等)、芳香族炭化水素系溶剤(トルエン、キシレン等)等を挙げることができる。有機溶媒は上記有機溶媒のうち1種類のみを用いてもよいし、上記有機溶媒の複数を組み合わせて用いてもよい。本発明の第1の態様の実施形態ではNMPを用い、本発明の第5及び第6の態様の実施形態ではn−ヘキサンを用いる。被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の濃度は利用目的に応じて適宜決定することができる。本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の濃度は、後述するように、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の有機溶媒に対する分散性を、動的光散乱法を用いて評価するため、1質量%とする。
撹拌混合に用いられる装置としては、例えば、超音波ホモジナイザー、ホモミキサー、インペラー式攪拌機、マグネットスターラーが挙げられる。撹拌混合時間は所定の分散性が得られれば特に制限はない。その後、フィルターで異物を除去してもよい。
(2−2−2)分散性
被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の有機溶媒分散液では、一部の一次粒子が凝集して二次粒子が形成される可能性があるが、多くの一次粒子は分散状態が維持される。即ち、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子は分散性が高い。1質量%の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子をNMP又はn−ヘキサンに分散した有機溶媒分散液の個数基準粒度分布を、動的光散乱法を用いて測定すると、個数基準粒度分布のD50(粒子を粒径の小さい方から順に並べたとき、全体の50%に位置する粒子の粒径)は100nm以下であり、好ましくは75nm以下であり、より好ましくは60nm以下であり、さらに好ましくは50nm以下である。本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子は有機溶媒に対する分散性が高いため、有機溶媒分散液として高分子樹脂組成物の工業的な製造等に供することができる。
なお、動的光散乱法とは、分散液に光を照射したときに、分散媒(本実施形態では、NMP)中でブラウン運動をしている分散質(本実施形態では、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子)に散乱されることによって生じる散乱光の強度の揺らぎから分散質の粒径を測定する方法である。動的光散乱法を用いて測定される被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の粒径は、累積粒度分布であり、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合は二次粒子の粒径を含む。累積粒度分布に基づいて個数基準の粒度分布を算出することができる。
(3)被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の応用
本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子と同様に、表面処理された被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は有機溶媒に対する分散性が高い。このため、高分子を原料とする光学フィルム(樹脂組成物)に被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を添加するときに分散媒として有機溶媒を用いた場合、アルカリ土類金属化合物の機能を光学フィルム(樹脂組成物)に付与することができると同時に、アルカリ土類金属化合物微粒子による透過光の遮断又は散乱が少なくなるため、光学フィルムの透明性を確保することができる。特に、本発明の第1の態様の実施形態である被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子と同様に表面処理された被覆アルカリ土類金属化合物微粒子は、高い分散性に加え、耐熱性も高い。このため、被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を樹脂に分散させ、高温で成膜した場合でも高い分散性を維持することができる。光学フィルム(樹脂組成物)の原料となる高分子としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、セルロースエステル、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体、ポリフマル酸ジエステル、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリオレフィン、マレイミド系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレートが挙げられる。この光学フィルム(樹脂組成物)を偏光板又は位相差フィルム等として備える画像表示装置は、画面を明るく、かつ、鮮明にすることができる。
上記高分子への被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の分散方法としては、被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の分散液に高分子を溶解する方法(溶液キャスト法)、アルカリ土類金属化合物の分散液に高分子を均一に溶解し、その後溶媒を除去し、ペレット化又は粉化する方法、アルカリ土類金属化合物と高分子を押出機等で溶融混練する方法(溶融混練法)などが挙げられる。また、あらかじめマスターバッチを作製し、混練機にて混練を行ってもよい。マスターバッチは、上記の溶液キャスト法、溶融混練法などで作製できる。また、樹脂組成物と適当な溶媒とを混合したドープ溶液を調製し、塗膜により光学フィルムを成膜してもよい。このような溶媒の種類としては特に制限はなく、樹脂組成物の性質等に応じて適宜選択される。溶媒としては、上記に例示したものを用いることができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を詳細に説明する。なお、実施例1、2は本発明の第1の態様の実施形態の1つであり、実施例3は本発明の第5及び第6の態様の実施形態の1つであるが、本発明の態様はこれらの実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
(1)被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の製造方法
(1−1)実施例1
10℃の純水3Lに、水酸化ストロンチウム八水和物366g(水酸化ストロンチウム167.6g)を添加、混合して5.0質量%の水酸化ストロンチウムの水性懸濁液を調製する。調製した水酸化ストロンチウムの水性懸濁液を10℃で撹拌しながら、水酸化ストロンチウム100質量部に対して8.5質量部(14.2g)の酒石酸を有機酸として添加した後、500mL/分(水酸化ストロンチウム1gに対して3.0mL/分)の流量で二酸化炭素を導入し、水酸化ストロンチウムを炭酸化する。炭酸化の終点は、一般には水性懸濁液のpHが7以下になる時点であるが、本実施例ではpHが7になった後、さらに30分間撹拌を続け、球状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液を得る。球状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液を95℃で12時間保持して粒成長させ(熟成工程)、針状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液を得る。
針状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液に表面処理剤を添加する。本実施例の表面処理剤はフェニル基を有し、化学式1及び化学式1のRが化学式2で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルである。
Figure 0006834990
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本実施例では、フェニル基を2〜4個とエチレンオキサイド鎖(EO鎖)を10個未満(n<10)含むポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルと、フェニル基を2〜4個とEO鎖を10個超(n>10)含むポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルの2種類を用いる。
針状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液への表面処理剤の添加量は、針状炭酸ストロンチウム微粒子100質量部に対して30質量部である。針状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液に表面処理剤を添加後、エム・テクニック株式会社製のクレアミックス(登録商標)を用いて水性分散液に35m/秒のせん断力を付与し(針状炭酸ストロンチウム微粒子の被覆工程)、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液を得る。被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液を130℃に加熱した鉄板の表面に吹き付けて水を蒸発させ、鉄板の表面に残存する粒子を削ぎ取ることにより、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を得る。
(1−2)実施例2
添加する表面処理剤を、化学式3で表されるポリ−N−ビニルアセトアミド(PNVA)とする以外は実施例1と同様の製造工程を行い、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を得る。
Figure 0006834990
(1−3)比較例1
本発明の第1の態様に対する比較例として、下記表面処理剤を添加する。表面処理剤以外は実施例1と同様の製造工程を行い、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を得る。
比較例に用いる表面処理剤として、特許文献3に記載され、化学式6で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸と、化学式1のRがフェニル基を含まないポリオキシアルキレンエーテルリン酸エステルを用いる。
Figure 0006834990
化学式6のRは第3級炭素原子又は第4級炭素原子を含まない。Rは置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリール基を意味し、Eは炭素原子を1〜8個含むアルキレン基を意味する。aは1〜20であり、好ましくは2〜6である。本比較例では、炭素原子を12個含むRと炭素原子を2個含むEとa=3を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸を用いた。用いたポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸の化学式を化学式7に示す。
Figure 0006834990
化学式1のRがフェニル基を含まないポリオキシアルキレンエーテルリン酸エステルとして、本比較例では、EO鎖を6個(n=6)含む化学式8及び化学式8のRが化学式9で表されるポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルを用いる。
Figure 0006834990
Figure 0006834990
(1−4)比較例2
本発明の第1の態様に対する比較例として、表面処理剤(分散剤)として汎用されているステアリン酸を添加する。エタノールに対し、針状炭酸ストロンチウム微粒子とステアリン酸を添加し、5時間攪拌して表面処理を行う。ステアリン酸の添加量は針状炭酸ストロンチウム微粒子100質量部に対して30質量部である。表面処理後、吸引ろ過して固形分を回収し、120℃で乾燥して被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を得る。
(1−5)比較例3
本発明の第1の態様に対する比較例として、表面処理剤(分散剤)として汎用されているグリセリンステアレートを添加する。エタノールに対し、針状炭酸ストロンチウム微粒子とグリセリンステアレート(エキセルT95花王株式会社製)を添加し、50℃にて5時間攪拌して表面処理を行う。グリセリンステアレートの添加量は針状炭酸ストロンチウム微粒子100質量部に対して30質量部である。表面処理後、吸引ろ過して固形分を回収し、120℃で乾燥して被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を得る。
(1−6)実施例3
針状炭酸ストロンチウム微粒子100質量部に対して20質量部の下記表面処理剤を、針状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液に添加する。表面処理剤及びその添加量以外は実施例1と同様の製造工程を行い、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を得る。
実施例3に用いる表面処理剤は、化学式5で表される分岐型高級脂肪酸のうち、炭素原子を17個含むイソステアリン酸(x+y=14)及び15個含むイソパルミチン酸(x+y=12)とする。用いたイソステアリン酸とイソパルミチン酸の化学式をそれぞれ化学式10と化学式11に示す。
Figure 0006834990
Figure 0006834990
(1−7)比較例4
本発明の第5及び第6の態様に対する比較例として、下記表面処理剤を添加する。表面処理剤以外は実施例3と同様の製造工程を行い、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を得る。
比較例に用いる表面処理剤として、特許文献3に記載され、化学式12で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を用いる。
Figure 0006834990
化学式12のRは第3級炭素原子又は第4級炭素原子を含まない。Rは置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリール基を意味し、Eは炭素原子を1〜8個含むアルキレン基を意味する。aは1〜20の範囲であり、好ましくは2〜6の範囲である。本比較例では、炭素原子を18個含むRと、炭素原子を2個含むEと、a=2を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を用いる。用いたポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸の化学式を化学式13に示す。
Figure 0006834990
(2)評価
表面処理前の針状炭酸ストロンチウム微粒子(一次粒子)の形状並びに表面処理後の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の耐熱性及び分散性を評価する。
(2−1)針状炭酸ストロンチウム微粒子(一次粒子)の形状
表面処理前の針状炭酸ストロンチウム微粒子の水性分散液から一部を分取し、乾燥して、針状炭酸ストロンチウム微粒子を得る。得られた針状炭酸ストロンチウム微粒子を、電解放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて撮影し、電子顕微鏡画像から1000個の針状炭酸ストロンチウム微粒子(一次粒子)について長径と短径を測定する。平均長径は35nmであり、平均アスペクト比(長径/短径)は2.3である。
(2−2)実施例1、2(第1の態様)及び比較例1〜3の耐熱性
実施例1、2(本発明の第1の態様の実施形態)及び比較例1〜3の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の耐熱性を、TG−DTAを行うことによって評価する。TG−DTAの測定対象物は、表面処理後の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子(表面処理後SrCO+表面処理剤)、表面処理前の針状炭酸ストロンチウム微粒子(表面処理前SrCO)及び表面処理剤とする。表面処理剤としては、本実施形態としてEO鎖を10個未満(n<10)及び10個超(n>10)含むポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル並びにPNVAを用い、比較例としてポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ステアリン酸及びグリセリンステアレートを用いる。TG−DTAの雰囲気としては、大気及び窒素を用いる。TG−DTA開始時の測定対象物の質量を100質量%とし、100℃〜300℃及び100℃〜250℃の温度範囲での測定対象物の質量減少率(質量%)を測定する。なお、表面処理剤の質量減少率は、100℃〜600℃(表面処理剤がすべて分解・揮発する温度)の温度範囲で減少する質量を表面処理剤の全吸着量(100質量%)とし、この全吸着量に対して100℃〜300℃及び100℃〜250℃の温度範囲で減少する質量の割合のことをいう。
(2−2−1)大気雰囲気及び100℃〜300℃の温度範囲
大気雰囲気中のTG−DTAにおける100℃〜300℃の温度範囲での質量減少率を表1に示す。
Figure 0006834990
EO鎖をそれぞれ10個未満(n<10)及び10個超(n>10)含むポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル並びにPNVAで表面処理され、表面処理剤を含む本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子(表面処理後SrCO+表面処理剤)の質量減少率は、それぞれ10.95質量%、9.70質量%及び7.48質量%である。これに対して、比較例としてポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルで表面処理された被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子(表面処理後SrCO+表面処理剤)の質量減少率は、それぞれ20.96質量%及び20.18質量%である。また、表面処理されていない針状炭酸ストロンチウム微粒子(表面処理前SrCO)の質量減少率は2.67質量%である。さらに、表面処理剤のみで質量減少率を測定すると、EO鎖をそれぞれ10個未満(n<10)及び10個超(n>10)含むポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル並びにPNVAはそれぞれ21.34質量%、25.49質量%及び23.40質量%である。これに対して、比較例に用いたポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ステアリン酸及びグリセリンステアレートはそれぞれ74.91質量%、86.78質量%、53.80質量%及び81.00質量%である。なお、ステアリン酸及びグリセリンステアレートで表面処理された被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子(表面処理後SrCO+表面処理剤)の質量減少率は測定できなかった。これは、ステアリン酸及びグリセリンステアレートは炭酸ストロンチウム微粒子の表面に付着するための結合基を有していないため、炭酸ストロンチウム微粒子の表面に測定可能な量が付着することができなかったためと考えられる。
以上より、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル及びPNVAで表面処理された本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子は表面処理剤の質量減少率が小さく、耐熱性が比較例の従来技術を大きく上回っていることがわかる。したがって、本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子は、光学フィルムの高温での成膜時に高い分散性を維持することができる。
(2−2−2)大気雰囲気及び100℃〜250℃の温度範囲
大気雰囲気中のTG−DTAにおける100℃〜250℃の温度範囲での質量減少率を表2に示す。
Figure 0006834990
EO鎖をそれぞれ10個未満(n<10)及び10個超(n>10)含むポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル並びにPNVAで表面処理され、表面処理剤を含む本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子(表面処理後SrCO+表面処理剤)の質量減少率は、それぞれ2.45質量%、1.59質量%及び1.70質量%である。これに対して、比較例としてポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルで表面処理された被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子(表面処理後SrCO+表面処理剤)の質量減少率は、それぞれ16.29質量%及び17.00質量%である。また、表面処理されていない針状炭酸ストロンチウム微粒子(表面処理前SrCO)の質量減少率は0.90質量%である。さらに、表面処理剤のみで質量減少率を測定すると、本実施形態に用いた、EO鎖をそれぞれ10個未満(n<10)及び10個超(n>10)含むポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル並びにPNVAはそれぞれ1.62質量%、1.50質量%及び4.10質量%である。これに対して、比較例に用いたポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ステアリン酸及びグリセリンステアレートはそれぞれ36.90質量%、19.38質量%、13.90質量%及び47.00質量%である。なお、ステアリン酸及びグリセリンステアレートで表面処理された被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子(表面処理後SrCO+表面処理剤)の質量減少率は、100℃〜300℃の温度範囲の場合と同様に測定できなかった。これは、ステアリン酸及びグリセリンステアレートは炭酸ストロンチウム微粒子の表面に付着するための結合基を有していないため、炭酸ストロンチウム微粒子の表面に測定可能な量が付着することができなかったためと考えられる。
以上より、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル及びPNVAで表面処理された本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子は表面処理剤の質量減少率が小さく、耐熱性が比較例の従来技術を大きく上回っていることがわかる。したがって、本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子は、光学フィルムの高温での成膜時に高い分散性を維持することができる。
(2−2−3)窒素雰囲気及び100℃〜250℃の温度範囲
窒素雰囲気中のTG−DTAにおける100℃〜250℃の温度範囲での質量減少率を表3に示す。
Figure 0006834990
EO鎖をそれぞれ10個未満(n<10)及び10個超(n>10)含むポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルで表面処理され、表面処理剤を含む本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子(表面処理後SrCO+表面処理剤)の質量減少率は、それぞれ2.27質量%、1.49質量%である。これに対して、比較例としてポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルで表面処理された被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子(表面処理後SrCO+表面処理剤)の質量減少率は、それぞれ3.67質量%及び5.50質量%である。
以上より、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルで表面処理された本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子は表面処理剤の質量減少率が小さく、耐熱性が比較例の従来技術を大きく上回っていることがわかる。したがって、本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子は、光学フィルムの高温での成膜時に高い分散性を維持することができる。
(2−3)被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の分散性
実施例1、2(本発明の第1の態様)及び比較例1並びに実施例3(第5及び第6の態様)及び比較例4の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の分散性を、動的光散乱法を用いて個数基準粒度分布を測定することによって評価する。
(2−3−1)被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の有機溶媒分散液の製造
被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の分散性を評価するために、本実施形態(第1の態様並びに第5及び第6の態様)の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子を有機溶媒に投入、撹拌混合して、被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の有機溶媒分散液を製造する。有機溶媒は、実施例1(第1の態様)の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子にはNMPを用い、実施例3(第5及び第6の態様)の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子にはn−ヘキサンを用いる。被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の濃度は1質量%である。撹拌混合には、超音波ホモジナイザーを用い、撹拌混合時間は3分とする。その後、目開き1μmのシリンジフィルターを用いて異物を除去する。
(2−3−2)実施例1(第1の態様)の分散性
実施例1(第1の態様)及び比較例1の個数基準粒度分布のD50(粒子を粒径の小さい方から順に並べたとき50%となる粒子の粒径)を表4に示す。
Figure 0006834990
EO鎖をそれぞれ10個未満(n<10)及び10個超(n>10)含むポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルで表面処理された本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子のD50は、それぞれ66.1nm及び33.3nmである。これに対して、比較例としてポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルで表面処理された被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子は、いずれも個数基準粒度分布を測定することができない。これは、比較例の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子はいずれも凝集し、目開き1μmのシリンジフィルターを通過することができないためである。
分散媒がNMPの場合、針状炭酸ストロンチウム微粒子の凝集力が強く作用し、従来の表面処理剤では被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の分散性を維持することができないと考えられる。したがって、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルで表面処理された本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子は、有機溶媒(特に、疎水性分散媒)に対する分散性が比較例の従来技術を大きく上回っていることがわかる。
(3−2−3−2)実施例3(第5及び第6の態様)の分散性
実施例3(第5及び第6の態様)及び比較例4の個数基準粒度分布のD50を表5に示す。
Figure 0006834990
比較例であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を分散剤に用いたときのD50は107.4nmである。これに対して、本実施形態のイソステアリン酸及びイソパルミチン酸を分散剤に用いたときのD50はそれぞれ58.1nm及び74.4nmである。本実施形態の被覆針状炭酸ストロンチウム微粒子の疎水性分散媒に対する分散性が比較例を大きく上回っていることがわかる。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、被覆アルカリ土類金属化合物微粒子、被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を分散した有機溶媒分散液及び光学フィルム並びにその光学フィルムを備える画像表示装置等の構成及び動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形が可能である。

Claims (13)

  1. アルカリ土類金属化合物微粒子の表面が表面処理剤で被覆された被覆アルカリ土類金属化合物微粒子であって、
    大気雰囲気中でTG−DTAを行うと、TG−DTA開始時の前記表面処理剤の質量を100質量%としたとき、100℃〜300℃の温度範囲での前記表面処理剤の質量減少率が30質量%以下であり、
    前記表面処理剤がポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルであることを特徴とする被覆アルカリ土類金属化合物微粒子。
  2. 請求項1に記載の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子において、
    前記表面処理剤は、前記アルカリ土類金属化合物微粒子100質量部に対して1〜50質量部であって、
    大気雰囲気中でTG−DTAを行うと、TG−DTA開始時の前記被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の質量を100質量%としたとき、100℃〜300℃の温度範囲での前記被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の質量減少率が20質量%以下であることを特徴とする被覆アルカリ土類金属化合物微粒子。
  3. 請求項1又は2に記載の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子において、
    大気雰囲気中でTG−DTAを行うと、TG−DTA開始時の前記表面処理剤の質量を100質量%としたとき、100℃〜250℃の温度範囲での前記表面処理剤の質量減少率が5質量%以下であることを特徴とする被覆アルカリ土類金属化合物微粒子。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子において、
    1質量%の前記被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を有機溶媒のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散した有機溶媒分散液の個数基準粒度分布を、動的光散乱法を用いて測定すると、前記個数基準粒度分布のD50が100nm以下であることを特徴とする被覆アルカリ土類金属化合物微粒子。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子において、
    前記アルカリ土類金属化合物微粒子が針状炭酸ストロンチウム微粒子であることを特徴とする被覆アルカリ土類金属化合物微粒子。
  6. アルカリ土類金属化合物微粒子の表面が表面処理剤で被覆された被覆アルカリ土類金属化合物微粒子であって、
    大気雰囲気中でTG−DTAを行うと、TG−DTA開始時の前記表面処理剤の質量を100質量%としたとき、100℃〜300℃の温度範囲での前記表面処理剤の質量減少率が30質量%以下であり、
    前記表面処理剤が非イオン性ポリマーであり、
    前記アルカリ土類金属化合物微粒子が針状炭酸ストロンチウム微粒子であることを特徴とする被覆アルカリ土類金属化合物微粒子。
  7. 請求項に記載の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子において、
    前記表面処理剤がポリ−N−ビニルアセトアミドであることを特徴とする被覆アルカリ土類金属化合物微粒子。
  8. 請求項6又は7に記載の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子において、
    前記表面処理剤は、前記アルカリ土類金属化合物微粒子100質量部に対して1〜50質量部であって、
    大気雰囲気中でTG−DTAを行うと、TG−DTA開始時の前記被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の質量を100質量%としたとき、100℃〜300℃の温度範囲での前記被覆アルカリ土類金属化合物微粒子の質量減少率が20質量%以下であることを特徴とする被覆アルカリ土類金属化合物微粒子。
  9. 請求項6乃至8のいずれか1項に記載の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子において、
    大気雰囲気中でTG−DTAを行うと、TG−DTA開始時の前記表面処理剤の質量を100質量%としたとき、100℃〜250℃の温度範囲での前記表面処理剤の質量減少率が5質量%以下であることを特徴とする被覆アルカリ土類金属化合物微粒子。
  10. 請求項乃至のいずれか1項に記載の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子において、
    1質量%の前記被覆アルカリ土類金属化合物微粒子を有機溶媒のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散した有機溶媒分散液の個数基準粒度分布を、動的光散乱法を用いて測定すると、前記個数基準粒度分布のD50が100nm以下であることを特徴とする被覆アルカリ土類金属化合物微粒子。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子が有機溶媒に分散されていることを特徴とする有機溶媒分散液。
  12. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の被覆アルカリ土類金属化合物微粒子が樹脂に分散されていることを特徴とする樹脂組成物。
  13. 請求項12に記載の樹脂組成物が画像表示装置に備えられていることを特徴とする画像表示装置。
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