JP2008150511A - アルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、樹脂中に炭酸カルシウム粒子のようなアルカリ土類金属炭酸塩粒子が高度に分散されている樹脂組成物を容易に得ることができるアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】アルカリ土類金属イオン源を有する化合物と炭酸源を有する化合物とを反応させてアルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程と、前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程の後、乾燥工程を経ることなく前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する工程と、前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と樹脂とを混合する工程と、をこの順で行うことを特徴とするアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】アルカリ土類金属イオン源を有する化合物と炭酸源を有する化合物とを反応させてアルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程と、前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程の後、乾燥工程を経ることなく前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する工程と、前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と樹脂とを混合する工程と、をこの順で行うことを特徴とするアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法に関し、さらに詳しくは、アルカリ土類金属炭酸塩粒子が樹脂中に高度に分散されている樹脂組成物の製造方法に関する。
炭酸カルシウムや炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属炭酸塩粒子は、紙、ゴム、樹脂、プラスチック、塗料、化粧品、医薬品等の添加剤として、また、誘電セラミック材料や高温超伝導体材料の原材料等として広範囲の工業分野で利用されている。
アルカリ土類金属炭酸塩粒子は、その物理的な性状によって発現する機能や特性が異なることが知られている。例えば、低光沢でウェットインキ着肉性等に優れた塗料の製造には紡錘状炭酸カルシウムが適し、高光沢で不透明性、インキ着肉性及びインキセット性に優れた塗料の製造には針状炭酸カルシウムが適するとされている。また、チタン酸ストロンチウムの製造原料に炭酸ストロンチウムを用いる場合、平均粒径0.8μm以下の粒子を用いると電気特性が改善されることが報告されている。更に、透明な樹脂やプラスチック材料に適用する場合には、透明性を損なわないためにμmオーダー以下の平均粒径を備えた粒子が求められる。このように、目的に応じて粒子形状や粒径を選択する必要があるため、形態が制御されたアルカリ土類金属炭酸塩粒子の工業的な利用価値は高い。
また、目的とする機能を十分に発現させるため、より均一な粒子、即ち粒径分布に優れたアルカリ土類金属炭酸塩粒子を樹脂中に高度に分散させる技術が求められている。
粒径分布、形状を制御する方法としては種々の技術が知られている。特許文献1には、Sr2+、Ca2+等の金属イオンを含む金属イオン源と、尿素、炭酸アンモニウム等の炭酸源とをダブルジェット法により液中で反応させて針状及び棒状の炭酸塩を製造する方法が提案されている。実施例では、「硝酸ストロンチウム溶液と尿素水溶液を、ダブルジェット法により水中に滴下、攪拌して、反応温度50℃で反応させ、炭酸ストロンチウム結晶を得た。得られた炭酸ストロンチウム結晶をろ過により取り出し、乾燥させた。」と記載されている。得られた炭酸塩結晶の用途としては、樹脂中に分散させて、プラスチックの強化材、摩擦材、断熱材、フィルター等の用途が記載されており、特に、延伸材料等の変形を施した複合材料においては、粒子が配向することにより強度や光学特性を改良できることが記載されている。
炭酸カルシウム粒子を樹脂中に分散させる方法としては種々の技術が知られている。
特許文献2には、炭酸カルシウム粒子を分散して含有する貯蔵安定性の高い樹脂組成物が記載されている。炭酸カルシウム粒子を安定的に樹脂中に分散させるために、ステアリン酸マグネシウム等の金属石けんで表面処理した炭酸カルシウム粉体と樹脂との配合物をニーダーで混練する方法が提案されている。金属石けんで表面処理した炭酸カルシウム粉体は、炭酸カルシウムの水スラリーに金属石けんのメタノールスラリーを混合し炭酸カルシウム粒子表面を湿式処理した後、脱水、乾燥後、加熱処理した後、粉砕することで得ている。
特開2006−21988号公報
特開2003−147227号公報
特許文献1に記載の技術を利用して形状を高度に制御したものであっても、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を樹脂中に高度に且つ安定的に分散させることは難しい。また、特許文献2に記載のように、樹脂中に炭酸カルシウム粒子を分散させるために、予め金属石けんで炭酸カルシウム粒子の表面を処理する技術を採用しても、十分にな分散性を得ることができない。
したがって、本発明は、樹脂中に炭酸カルシウム粒子のようなアルカリ土類金属炭酸塩粒子が高度に分散されている樹脂組成物を容易に得ることができるアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、以下の手段によって達成することができる。
請求項1に記載のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法は、
アルカリ土類金属イオン源を有する化合物と炭酸源を有する化合物とを反応させてアルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程と、
前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程の後、乾燥工程を経ることなく前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する工程と、
前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と樹脂とを混合する工程と、
をこの順で行うことを特徴とする。
アルカリ土類金属イオン源を有する化合物と炭酸源を有する化合物とを反応させてアルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程と、
前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程の後、乾燥工程を経ることなく前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する工程と、
前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と樹脂とを混合する工程と、
をこの順で行うことを特徴とする。
請求項2に記載のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法は、
請求項1に記載のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法において、前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程の後、引き続き脱塩処理することを特徴とする。
請求項1に記載のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法において、前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程の後、引き続き脱塩処理することを特徴とする。
請求項3に記載のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法は、
請求項1又は2に記載のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法において、前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と樹脂と混合する工程の前に、前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を表面処理することを特徴とする。
請求項1又は2に記載のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法において、前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と樹脂と混合する工程の前に、前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を表面処理することを特徴とする。
請求項4に記載のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法は、
請求項1乃至3の何れかに記載のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法において、前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程が、アルカリ土類金属イオン源を有する化合物を含む溶液と炭酸イオンを含む溶液とを液体を含む反応容器内にダブルジェット法により添加する工程であることを特徴とする。
請求項1乃至3の何れかに記載のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法において、前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程が、アルカリ土類金属イオン源を有する化合物を含む溶液と炭酸イオンを含む溶液とを液体を含む反応容器内にダブルジェット法により添加する工程であることを特徴とする。
本発明のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法によれば、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程の後、乾燥工程を経ることなく、アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製し、調製されたアルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と樹脂と混合しているので、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程で形成されたアルカリ土類金属炭酸塩粒子が凝集することがなく、ほぼ形成された状態の粒子のままで固液分散が行われるので、アルカリ土類金属炭酸塩粒子が樹脂中に高度に分散された樹脂組成物を得ることができる。
以下に本発明の実施形態及びその詳細について説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって特定されるものである。
(アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程)
−アルカリ土類金属イオン源を有する化合物−
アルカリ土類金属イオンとしては、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+が挙げられる。Ca2+の具体的な化合物としては、CaCl2、Ca(NO3)2、CaSO4、Ca(OH)2、Ca(CH3COO)2、及びそれらの水和物等を挙げることができる。また、Sr2+、Ba2+、Ra2+の具体的な化合物としても、Ca2+の具体的な化合物と同様な化合物を挙げることができる。
−アルカリ土類金属イオン源を有する化合物−
アルカリ土類金属イオンとしては、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+が挙げられる。Ca2+の具体的な化合物としては、CaCl2、Ca(NO3)2、CaSO4、Ca(OH)2、Ca(CH3COO)2、及びそれらの水和物等を挙げることができる。また、Sr2+、Ba2+、Ra2+の具体的な化合物としても、Ca2+の具体的な化合物と同様な化合物を挙げることができる。
−炭酸源を有する化合物−
炭酸源を有する化合物としては、二酸化炭素、炭酸イオン源を有する化合物が挙げられる。炭酸イオン源を有する化合物としては、Na2CO3、NaHCO3、K2CO3、KHCO3、(NH4)2CO3、NH4HCO3、(NH2)2CO等が挙げられる。
炭酸源を有する化合物としては、二酸化炭素、炭酸イオン源を有する化合物が挙げられる。炭酸イオン源を有する化合物としては、Na2CO3、NaHCO3、K2CO3、KHCO3、(NH4)2CO3、NH4HCO3、(NH2)2CO等が挙げられる。
本発明においては、アルカリ土類金属イオン源と炭酸イオン源としては、いずれも溶媒に対する溶解度が高く、濃度の高い溶液を調製できる化合物がより好適である。
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を製造する方法としては、アルカリ土類金属イオン源を有する化合物の溶液に二酸化炭素を導入し反応させる方法(「液−気」法)、アルカリ土類金属イオン源を有する化合物の溶液と炭酸イオン源を有する化合物を含む溶液を反応させる方法(「液−液」法)が知られており、いずれの方法でもかまわない。本発明においては、アルカリ土類金属炭酸塩粒子の粒径制御、単分散化の観点から液−液法が望ましい。液−液法には、ダブルジェット法とシングルジェット法がある。
本発明においては、アルカリ土類金属イオン源を有する化合物を含む溶液と炭酸イオンを含む溶液とを液体を含む反応容器内にダブルジェット法により添加する粒子形成が望ましい。ダブルジェット法では、撹拌混合装置内の過飽和度を高めて単位時間当たりの核発生数を増大することができるため、核形成工程の時間を短縮し核形成工程における分布劣化を改善することが可能となる。ダブルジェット法とは、2種類の溶液を必要に応じて適当な送液装置等を用いて各々反応容器内の液の液面上または液中に滴下または噴射、あるいは注入することにより該容器内の液中で反応させる方法である。ダブルジェット法においては、反応容器内の液のpHを任意に設定することができるが、粒子の凝集抑制及び微粒化の観点から、核形成工程および/または粒子成長工程の少なくとも一部をpH9以上の条件下で行うことが好ましい。さらにはpH9〜13.5が好ましい。
シングルジェット法とは反応液の一方を反応容器内に予め注入しておき、もう一方の溶液を適当な送液装置等を用いて反応容器内の液中に滴下または噴射、或いは注入することにより該容器内の液中で反応させる方法でありダブルジェット法と区別される。
本発明では、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程を、形態制御剤の存在下で実施することができる。形態制御剤に用いることができる化合物としてはアミン類を挙げることができ、一級アミン類やアミノアルコール類などが挙げられる。
また、本発明では、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程を、凝集抑制剤の存在下で行うことができる。凝集抑制剤としてポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドンなどの窒素含有ポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどの中性ポリマー、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系ポリマーなどの水溶性ポリマーを用いることができる。ポリマーの平均分子量に制限はないが、分子量が小さいと凝集抑制効果が小さく、大きいと反応液の増粘を引き起こすことがある。好ましくは平均分子量として5000以上200万以下、より好ましくは8000以上100万以下である。最終製品が、アルカリ土類金属炭酸塩粒子と疎水性樹脂とを混合して得られる樹脂組成物を原料として製造される疎水性塗料や、プラスチックなどの場合であって、製品性能に問題を残すときには、使用した水溶性ポリマーは中途の脱塩工程、或いは溶媒置換の工程等で取り除くことができる。
アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を乾燥工程を経ることなく樹脂に混合するということは、最終製品が塗料、インキ等のように、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物が溶剤中に分散された状態、すなわち、液体ないしはペースト状である場合、最終製品までアルカリ土類金属炭酸塩粒子がウエット状態に置かれるということである。また、最終製品がプラスチック樹脂のようにアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物が固体状である場合、塗布、成型工程などの最終製品を作製するための樹脂と混合するまでアルカリ土類金属炭酸塩粒子がウエット状態に置かれることを指す。ウエット状態とは分散液および含水率30%以上のウエットケーキの状態も含む。
本発明においては、アルカリ土類金属炭酸塩粒子の調製液は、公知の脱塩方法により脱塩することが好ましい。例えば、液中で遠心分離によりアルカリ土類金属炭酸塩粒子を沈殿させ上澄みを除去し、再び溶媒である分散媒を添加する方法、限外濾過膜などの交換膜を用いて塩を系外へ除去する方法が知られている。本発明においては、アルカリ土類金属炭酸塩粒子同士の凝集を防ぐために、限外濾過膜を用いた脱塩方法が望ましい。また、脱塩と同時に当初の溶媒に換えて、分散媒として最終製品に適合した性質の溶媒に置換する溶媒置換の操作を行ってもよい。
なお、ここでは、便宜上、脱塩処理は、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程の中で説明している。しかし、本発明においては、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程の後、乾燥工程を経ることなくアルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製するので、脱塩処理は、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程に属するのか、アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する工程に属するのか厳密に区別することは意味のないことである。また、以下に説明するエバポレータを用いた溶媒置換の操作についても同様である。
(アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する工程)
本発明においては、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程の後、乾燥工程を経ることなくアルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する。
本発明においては、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程の後、乾燥工程を経ることなくアルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する。
固液分散液調製の際に、エバポレータを用いてアルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程で用いた溶媒を除去して濃縮した後、任意の溶媒、好ましくは最終製品に適合した性質の溶媒で希釈し、再度、エバポレータを用いて濃縮した後、前記の溶媒で希釈し、といった操作を数回繰り返し、分散媒として最終製品に適合した性質の溶媒に置換する溶媒置換の操作を行ってもよい。
また、アルカリ土類金属炭酸塩粒子は、分散性を高めるために表面処理剤を用いて表面処理してもよい。また、分散剤を添加して分散性を高めることもできる。表面処理剤と分散剤は必ずしも厳密に区別することはできない。本発明では、アルカリ土類金属炭酸塩粒子に吸着性を持ち、粒子表面の酸塩基特性、疎水化度などの物性特性を変化させるものを表面処理剤という。
表面処理剤の具体例としては、カルボン酸、リン酸、スルホン酸類などから、樹脂との親和性に合わせて適宜選ぶことができる。また、炭酸塩微粒子に対してはチタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤なども用いることができる。中でもカルボン酸類は所望の構造が入手し易く、吸着効果も高いことなどから好ましく用いることができる。
カルボン酸類としては、いわゆる脂肪酸、樹脂酸、またはそのエステル構造などが一般的に用いられている。具体的には、プロピオン酸、ブチル酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、2−エチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、ネオデカン酸、イソトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、牛脂ステアリン酸、パーム核脂肪酸、ヤシ脂肪酸、パーム脂肪酸、パームステアリン酸、牛脂脂肪酸、大豆脂肪酸、部分硬化パーム核脂肪酸、部分硬化ヤシ脂肪酸、部分硬化牛脂脂肪酸、部分硬化大豆脂肪酸、極度硬化パーム核脂肪酸、極度硬化ヤシ脂肪酸、極度硬化牛脂脂肪酸、極度硬化大豆脂肪酸などの飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸及び飽和不飽和混合脂肪酸のアンモニウム塩またはアミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩など、ナフテン酸などの脂環族カルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩など、アビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸などの樹脂酸のアンモニウム塩またはアミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩などが挙げられる。また、カルボン酸基含有などのアニオン系分散剤なども表面処理剤として好ましく用いられるが、アルカリ土類金属炭酸塩粒子表面に吸着性がない分散剤は表面処理剤とはいえない。
表面処理剤を複数種同時に用いても良い。表面処理剤の処理量は粒子の表面積により決めるべきものだがアルカリ土類金属炭酸塩粒子に対して質量比で0.1%〜100%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1%〜5%の範囲である。
表面処理操作については、一般には、粒子を乾燥させ行う乾式法、液中の分散液の状態で表面処理剤を添加し攪拌、混合する湿式法がある。本発明では乾燥工程を経ずに行う湿式法で行うことが重要である。表面処理操作中に超音波分散機による超音波照射やメディア分散機による分散を行うことは表面処理の均一性が増し好ましい。
分散剤としては、ノニオン系、カチオン系、両性系、フッ素系の分散剤を用いることができる。また、アニオン系の分散剤については、アルカリ土類炭酸塩粒子への表面吸着性を持ち表面処理剤としての効果を持つが、表面処理の必要量より過剰に添加して分散剤として用いることもできる。
ノニオン系分散剤としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性親水性基とする界面分散剤であり、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステルを挙げることができる。
カチオン系分散剤としてはアミン塩、4級アンモニウム塩、ピリジュム塩等を挙げることができ、第1〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイミダゾリウム塩等)を挙げることができる。
両性系分散剤としてはカルボキシベタイン、スルフォベタイン等であり、N−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン等である。
フッ素系分散剤は、フルオロカーボン鎖を疎水基とする分散剤である。フッ素系分散剤としては、C8F17CH2CH2O−(CH2CH2O)10−OSO3Na、C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)16−H、C8F17SO2N(C3H7)CH2COOK、C7F15COONH4、C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)4−(CH2)4−SO3Na、C8F17SO2N(C3H7)(CH2)3−N+(CH3)3・I-、C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2CH2N+(CH3)2−CH2COO-、C8F17CH2CH2O(CH2CH2O)16−H、C8F17CH2CH2O(CH2)3−N+(CH3)3・I-、H(CF2)8−CH2CH2OCOCH2CH(SO3)COOCH2CH2CH2CH2(CF2)8−H、H(CF2)6CH2CH2O(CH2CH2O)16−H、H(CF2)8CH2CH2O(CH2)3−N+(CH3)3・I-、H(CF2)8CH2CH2OCOCH2CH(SO3)COOCH2CH2CH2CH2C8F17、C9F17−C6H4−SO2N(C3H7)(CH2CH2O)16−H、C9F17−C6H4−CSO2N(C3H7)(CH2)3−N+(CH3)3・I-等が挙げられる。
固液分散液の調製には分散機を用いることができる。分散機については制限はないが、使用する分散機としては、大きくはメディアレス分散機とメディア分散機とに分けられ、どちらも使用することができる。メディアレス分散機としては、超音波型、遠心型、高圧型等があり、これらの中でも超音波分散装置が好ましく用いられる。
メディア分散機としては、ガラスビーズ、セラミックビーズ等のメディアの衝突力を利用して分散するタイプのボールミル、サンドミル、ダイノミル等が挙げられる。
分散操作は、アルカリ土類金属炭酸塩粒子の粒径をモニタしながら、平均粒径の低下がなく安定するまで行うことが好ましい。本発明においては、平均粒径は250nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましい。平均粒径の測定としては、動的光散乱法を採用することができる。
本発明においては、アルカリ土類金属炭酸塩粒子の凝集を防止する目的で、前述の脱塩処理時、溶媒置換の操作時、以下に述べるアルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と樹脂を混合する工程においても、上記の分散剤を添加することもできる。また、下記のアニオン分散剤を添加することもできる。
アニオン系分散剤としてはカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩であり、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、N−メチル−Nオレイルタウリン、石油スルホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩ホルムアルデヒド縮合物等である。
(アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と樹脂とを混合する工程)
樹脂組成物の分散媒組成は樹脂に応じて選ばれるべきものであり、適宜の溶媒を選択することができる。樹脂組成物の作成手順についても制限はなく、アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液に樹脂を直接添加する方法、樹脂を溶媒に溶解した溶液とアルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と混合する方法のいずれでも良い。
樹脂組成物の分散媒組成は樹脂に応じて選ばれるべきものであり、適宜の溶媒を選択することができる。樹脂組成物の作成手順についても制限はなく、アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液に樹脂を直接添加する方法、樹脂を溶媒に溶解した溶液とアルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と混合する方法のいずれでも良い。
アルカリ土類金属炭酸塩粒子の樹脂中への分散効果を高める手段として、前記したように分散剤を用いることができる。分散剤は、樹脂と混合する前に予めアルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液に添加してもよく、または、樹脂溶液に添加してもよい。分散剤の添加量は、樹脂に対して0.002〜30質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%未満であれば添加効果を十分に発揮することができず、添加量が10質量%を超えると、析出したり、不溶解物を生じたりすることがある。
本発明の樹脂組成物の樹脂としては、目的に応じて任意に選択できるが、例えば、セルローストリアセテート等のセルロース樹脂、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等が挙げられる。
アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と樹脂とを混合して樹脂組成物を製造するときに、アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する工程の項に記載した分散機をに用いることができる。
分散操作は、濁度をモニタしながら、濁度の低下がなく安定するまで行うことが好ましい。濁度値の測定としては、透過散乱比較方式による測定法を採用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の効果を具体的に説明する。以下の実施態様における各種条件は、本発明の特徴や趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができ、本発明の範囲は以下の実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
《固液分散液の調製》
[固液分散液1(比較試料)の調製]
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程〉
容量4Lのステンレス製の反応容器に、エタノール200mlと水を加えて500mlの水溶液(溶液A1)を調製した。また、塩化カルシウム6水和物から調製した1.0Mのカルシウムイオンを含む水溶液500ml(溶液B1)と、炭酸ナトリウムから調製した1.0Mの炭酸イオンを含む水溶液500ml(溶液C1)を準備した。
[固液分散液1(比較試料)の調製]
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程〉
容量4Lのステンレス製の反応容器に、エタノール200mlと水を加えて500mlの水溶液(溶液A1)を調製した。また、塩化カルシウム6水和物から調製した1.0Mのカルシウムイオンを含む水溶液500ml(溶液B1)と、炭酸ナトリウムから調製した1.0Mの炭酸イオンを含む水溶液500ml(溶液C1)を準備した。
反応容器内の溶液A1を5℃に保持した状態で800rpmで攪拌しながら、5℃に冷却した100mlの溶液B1を添加した。引き続き十分に攪拌した後、シングルジェット法を用いて等しい添加速度で、100mlの溶液C1を1分間で溶液A1の液中に添加した。核形成工程で形成される炭酸カルシウム1モル当たりのモル添加速度としては1モル/minに相当する。続いて、上記反応容器内の反応液を攪拌しながら30分間で30℃に昇温し、そのまま10分間保持した。
〈乾燥工程〉
減圧濾過機による減圧濾過を行った後、真空乾燥機を用いて5時間真空乾燥を行い炭酸カルシウム粒子を乾燥させた。
減圧濾過機による減圧濾過を行った後、真空乾燥機を用いて5時間真空乾燥を行い炭酸カルシウム粒子を乾燥させた。
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する工程〉
乾燥工程を経て乾燥させた炭酸カルシウム粒子をエマルゲン130(花王株式会社製ノニオン分散剤)のエタノール溶液中に添加した。炭酸カルシウム粒子はエタノールに対し20質量%、ノニオン分散剤であるエマルゲン130は炭酸カルシウム粒子に対し5質量%の配分とした。メディア分散機(Getzman dispermat SL12)を使用して、0.3mmφジルコニアビーズを用い周速12m/秒で分散処理を行った。分散処理は、粒径をモニタしながら平均粒径の低下がなく安定するまで行った。
乾燥工程を経て乾燥させた炭酸カルシウム粒子をエマルゲン130(花王株式会社製ノニオン分散剤)のエタノール溶液中に添加した。炭酸カルシウム粒子はエタノールに対し20質量%、ノニオン分散剤であるエマルゲン130は炭酸カルシウム粒子に対し5質量%の配分とした。メディア分散機(Getzman dispermat SL12)を使用して、0.3mmφジルコニアビーズを用い周速12m/秒で分散処理を行った。分散処理は、粒径をモニタしながら平均粒径の低下がなく安定するまで行った。
[固液分散液2(本発明の試料)の調製]
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程〉
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程は上記の固液分散液1(比較試料)の調製と同じである。
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程〉
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程は上記の固液分散液1(比較試料)の調製と同じである。
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する工程〉
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程に続いて、乾燥工程を経ないで、すなわちウェットの状態のままで、次に示す限外濾過法による脱塩処理、溶媒置換を行って固液分散液を調製した。
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程に続いて、乾燥工程を経ないで、すなわちウェットの状態のままで、次に示す限外濾過法による脱塩処理、溶媒置換を行って固液分散液を調製した。
反応容器内に対して外部循環する形で限外濾過装置(vivaflow200 Zartorius社製)および送液ポンプを取り付けて、0.2μmの限外濾過膜による脱塩を行った。液量を全量の10%まで濃縮した後、100%になるまでエタノールを添加し、この手順を3回繰り返して行い、水の含有率が0.2%以下のエタノール液を調製した。
続いて、ノニオン分散剤であるエマルゲン130を炭酸カルシウム粒子に対して5質量%添加し、次いで濃度調整を行い固形分20質量%のエタノール分散液を調製した。
[固液分散液3(比較試料)の調製]
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程〉
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程は、以下の脱塩処理を行う以外は上記の固液分散液1(比較試料)の調製と同じである。
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程〉
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程は、以下の脱塩処理を行う以外は上記の固液分散液1(比較試料)の調製と同じである。
反応容器内に対して外部循環する形で限外濾過装置(vivaflow200 Zartorius社製)および送液ポンプを取り付けて、0.2μmの限外濾過膜による脱塩を行った。液量を全量の20%まで濃縮した後、100%になるまで水を添加し、この手順を4回繰り返した。
〈乾燥工程〉
減圧濾過機による減圧濾過を行った後、真空乾燥機を用いて5時間真空乾燥を行い炭酸カルシウム粒子を乾燥させた。
減圧濾過機による減圧濾過を行った後、真空乾燥機を用いて5時間真空乾燥を行い炭酸カルシウム粒子を乾燥させた。
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する工程〉
乾燥工程を経て乾燥させた炭酸カルシウム粒子をエマルゲン130(花王株式会社製ノニオン分散剤)のエタノール溶液中に添加した。炭酸カルシウム粒子はエタノールに対し20質量%、ノニオン分散剤であるエマルゲン130は炭酸カルシウム粒子に対し5質量%の配分とした。メディア分散機(Getzman dispermat SL12)を使用して、0.3mmφジルコニアビーズを用い周速12m/秒で分散処理を行った。分散処理は、粒径をモニタしながら平均粒径の低下がなく安定するまで行った。
乾燥工程を経て乾燥させた炭酸カルシウム粒子をエマルゲン130(花王株式会社製ノニオン分散剤)のエタノール溶液中に添加した。炭酸カルシウム粒子はエタノールに対し20質量%、ノニオン分散剤であるエマルゲン130は炭酸カルシウム粒子に対し5質量%の配分とした。メディア分散機(Getzman dispermat SL12)を使用して、0.3mmφジルコニアビーズを用い周速12m/秒で分散処理を行った。分散処理は、粒径をモニタしながら平均粒径の低下がなく安定するまで行った。
[固液分散液4(本発明の試料)の調製]
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程〉
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程は、上記の固液分散液1(比較試料)の調製と同じである。
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程〉
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程は、上記の固液分散液1(比較試料)の調製と同じである。
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する工程〉
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程に続いて、乾燥工程を経ないで、すなわちウェットの状態のままで、次に示すエバポレータを用いた溶媒置換を行って固液分散液を調製した。この方法では、固液分散液2(本発明の試料)の調製のような限外濾過法による脱塩処理は行っていない。
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程に続いて、乾燥工程を経ないで、すなわちウェットの状態のままで、次に示すエバポレータを用いた溶媒置換を行って固液分散液を調製した。この方法では、固液分散液2(本発明の試料)の調製のような限外濾過法による脱塩処理は行っていない。
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程に続き、形成した炭酸ナトリウム粒子含有液をエバポレータを用いて液量を全体の10%になるまで濃縮した後、100%になるまでエタノールを添加した。この手順を3回繰り返し、水の含有率が0.2%以下のエタノール液を調製した。続いて、ノニオン分散剤であるエマルゲン130を炭酸カルシウム粒子に対して5質量%添加し、次いで濃度調整を行い固形分20質量%のエタノール分散液を調製した。
[固液分散液5(本発明の試料)の調製]
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程〉
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程は上記の固液分散液1(比較試料)の調製と同じである。
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程〉
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程は上記の固液分散液1(比較試料)の調製と同じである。
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する工程〉
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程に続いて、乾燥工程を経ないで、すなわちウェットの状態のままで、次に示す限外濾過法による脱塩処理、溶媒置換、溶媒置換の途中における炭酸カルシウム粒子の表面処理を行って固液分散液を調製した。
アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程に続いて、乾燥工程を経ないで、すなわちウェットの状態のままで、次に示す限外濾過法による脱塩処理、溶媒置換、溶媒置換の途中における炭酸カルシウム粒子の表面処理を行って固液分散液を調製した。
反応容器内に対して外部循環する形で限外濾過膜(vivaflow200 Zartorius社製)および送液ポンプを取り付けて、0.2μmの限外濾過膜による脱塩を行った。液量を全量の10%まで濃縮した後、100%になるまでエタノールを添加し、この手順を3回繰り返し行い、水の含有率が0.2%以下のエタノール液を調製した。続いて、表面処理剤としてステアリン酸を炭酸カルシウム粒子に対し5質量%添加し、攪拌機により液をゆっくり攪拌しながら、超音波分散機(SMT社製 UH−300)を用いて40分間超音波照射した。続いて、ノニオン分散剤であるエマルゲン130を炭酸カルシウム粒子に対して5質量%添加し、60分間超音波照射した。次いで濃度調整を行い固形分20質量%のエタノール分散液を調製した。
[固液分散液6(本発明の試料)の調製]
固液分散液5(本発明の試料)の調製において、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程を、ダブルジェット法に変更した以外は、固液分散液5(本発明の試料)の調製と同じである。
固液分散液5(本発明の試料)の調製において、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程を、ダブルジェット法に変更した以外は、固液分散液5(本発明の試料)の調製と同じである。
〈アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程〉
容量4Lのステンレス製の反応容器に、エタノール200mlと水を加えて500mlの水溶液(溶液A1)を調製した。また、塩化カルシウム6水和物から調製した1.0Mのカルシウムイオンを含む水溶液500ml(溶液B1)と、炭酸ナトリウムから調製した1.0Mの炭酸イオンを含む水溶液500ml(溶液C1)を準備した。
反応容器内の溶液A1を5℃に保持し800rpmで攪拌しながら、5℃に冷却した各々100mlの溶液B1および溶液C1を準備した。十分に攪拌した後、溶液B1および溶液C1を、ダブルジェット法を用いて等しい添加速度で溶液A1の液中に1分間で添加した。粒子形成工程で形成される炭酸カルシウム1モル当たりのモル添加速度としては1モル/minに相当する。続いて、上記反応容器内の反応液を攪拌しながら30分間で30℃に昇温し、そのまま10分間保持した。
容量4Lのステンレス製の反応容器に、エタノール200mlと水を加えて500mlの水溶液(溶液A1)を調製した。また、塩化カルシウム6水和物から調製した1.0Mのカルシウムイオンを含む水溶液500ml(溶液B1)と、炭酸ナトリウムから調製した1.0Mの炭酸イオンを含む水溶液500ml(溶液C1)を準備した。
反応容器内の溶液A1を5℃に保持し800rpmで攪拌しながら、5℃に冷却した各々100mlの溶液B1および溶液C1を準備した。十分に攪拌した後、溶液B1および溶液C1を、ダブルジェット法を用いて等しい添加速度で溶液A1の液中に1分間で添加した。粒子形成工程で形成される炭酸カルシウム1モル当たりのモル添加速度としては1モル/minに相当する。続いて、上記反応容器内の反応液を攪拌しながら30分間で30℃に昇温し、そのまま10分間保持した。
《アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と樹脂と混合する工程》
[樹脂組成物1−1〜樹脂組成物1−6の製造]
上記の各固液分散液の調製で得られた固液分散液1〜固液分散液6を用いて、以下の手順により、樹脂組成物1−1〜樹脂組成物1−6を製造した。
[樹脂組成物1−1〜樹脂組成物1−6の製造]
上記の各固液分散液の調製で得られた固液分散液1〜固液分散液6を用いて、以下の手順により、樹脂組成物1−1〜樹脂組成物1−6を製造した。
固液分散液1を20mlと、セルローストリアセテート樹脂20質量%を含有する塩化メチレン溶液80mlとを混合し、超音波照射を10分間行い樹脂組成物1−1を製造した。同様にして、固液分散液2〜6を用いて樹脂組成物1−2〜1−6を製造した。
[樹脂組成物2−1〜樹脂組成物2−6の製造]
上記の各固液分散液の調製で得られた固液分散液1〜固液分散液6を用いて、以下の手順により、樹脂組成物2−1〜樹脂組成物2−6を製造した。
上記の各固液分散液の調製で得られた固液分散液1〜固液分散液6を用いて、以下の手順により、樹脂組成物2−1〜樹脂組成物2−6を製造した。
固液分散液1を20mlと、スチレン−アクリル樹脂(ジョンソンポリマー社製 ジョンクリル68)20質量%を含有するエタノール溶液80mlとを混合し、超音波照射を10分間行い樹脂組成物2−1を製造した。同様にして、固液分散液2〜6を用いて樹脂組成物2−2〜2−6を製造した。
《評価》
固液分散液1〜固液分散液6については、動的光散乱法(大塚電子株式会社製 FPAR−1000)による粒径評価を行った。また、樹脂組成物1−1〜樹脂組成物1−6および樹脂組成物2−1〜樹脂組成物2−6については、濁度の測定(MKサイエンティフィック社製 PC コンパクトTUB)による分散性評価を行った。
固液分散液1〜固液分散液6については、動的光散乱法(大塚電子株式会社製 FPAR−1000)による粒径評価を行った。また、樹脂組成物1−1〜樹脂組成物1−6および樹脂組成物2−1〜樹脂組成物2−6については、濁度の測定(MKサイエンティフィック社製 PC コンパクトTUB)による分散性評価を行った。
また、上記の樹脂組成物1−1〜樹脂組成物1−6および樹脂組成物2−1〜樹脂組成物2−6を室温で10日間放置した後に再度、濁度の測定(MKサイエンティフィック社製 PC コンパクトTUB)による分散性評価を行った。
結果を表1に示す。
なお、表中、濁度値(樹脂組成物1−○)は、○は1〜6を意味する。すなわち、固液分散液1と濁度(樹脂組成物1−○)が交叉する欄の数値は、樹脂組成物1−1の濁度値であり、以下同様に樹脂組成物1−2の濁度値〜樹脂組成物1−6の濁度値である。濁度値(樹脂組成物2−○)も同様である。
表1が示すように、本発明によれば、樹脂中に高度に分散されている炭酸カルシウム粒子を含有する樹脂組成物を製造することができる。また、本発明の樹脂分散物の製造方法により得られた炭酸カルシウム粒子を含有する樹脂組成物は分散安定性も極めて高いことがわかる。特に、脱塩処理や表面処理を施すこと、粒子形成工程にダブルジェット法を採用することは、好ましい結果を得ることができることもわかった。
Claims (4)
- アルカリ土類金属イオン源を有する化合物と炭酸源を有する化合物とを反応させてアルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程と、
前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程の後、乾燥工程を経ることなく前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液を調製する工程と、
前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と樹脂とを混合する工程と、
をこの順で行うことを特徴とするアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法。 - 前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程の後、引き続き脱塩処理することを特徴とする請求項1に記載のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法。
- 前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子の固液分散液と樹脂と混合する工程の前に、前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を表面処理することを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法。
- 前記アルカリ土類金属炭酸塩粒子を形成する工程が、アルカリ土類金属イオン源を有する化合物を含む溶液と炭酸イオンを含む溶液とを液体を含む反応容器内にダブルジェット法により添加する工程であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のアルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法。
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JP2006340898A JP2008150511A (ja) | 2006-12-19 | 2006-12-19 | アルカリ土類金属炭酸塩粒子を含有する樹脂組成物の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014122134A (ja) * | 2012-12-21 | 2014-07-03 | Shiraishi Kogyo Kaisha Ltd | 表面処理炭酸カルシウム及びゴム組成物 |
-
2006
- 2006-12-19 JP JP2006340898A patent/JP2008150511A/ja not_active Withdrawn
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