JP6828236B2 - フィルム及び偏光板 - Google Patents
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Description
近年の液晶ディスプレイの大型化、高品質化が進むにしたがって、機械的強度や高温高湿環境下での安定性の向上が求められ、また、アルカリ処理による低分子材料のブリードアウトやヘイズ上昇による品質低下を避ける必要性が出てきた。さらに、上記アルカリ処理は高濃度のアルカリ液を使用するため、作業安全性、環境保全の上でも好ましいものではない。
例えば、特許文献1には、ポリカーボネート樹脂のような熱可塑性高分子のフィルムの少なくとも片面に、親水性高分子化合物と架橋性樹脂化合物とを含む混合物を塗工し、ついで熱処理することを特徴とする偏光子保護フィルムの製造方法が開示されている。しかし、この方法では、熱処理による硬化に通常数分の時間を要し、工程時間が長くなる、熱処理によるフィルムの変形収縮が発生するなどの問題があった。また、親水性高分子化合物を用いるために有機系のフィルムである基材フィルムとの密着性が不足しやすく、親水性高分子化合物中のOH基や架橋性樹脂化合物中の反応点などは吸水性能も高く、フィルム基材の保存状態ではアルミ袋等で水分遮断などが必要となる。さらに、親水性高分子化合物と架橋性樹脂化合物との混合時の安定性(ポットライフ)なども短いという問題があった。
また、本発明の第2の発明によれば、第2の発明において、前記メラミン樹脂系架橋剤が、イミノ基型及び/またはメチロール基型のメラミン系樹脂を含有することを特徴とするフィルムが提供される。
また、本発明の第4発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記ウレタン系樹脂が、脂肪族ポリカーボネート骨格を有するフィルムが提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、前記接着剤が水系接着剤である偏光板が提供される。
前述の特許文献3では、易接着層の形成に用いる組成物に含まれる架橋剤が、エポキシ基、カルボジイミド基又はオキサゾリン基を有する架橋剤であったが、本発明では、メラミン樹脂系架橋剤を用いることにより、一般的な架橋剤の添加により生じる接着性の低減が抑制される。また、メラミン樹脂系架橋剤は、その反応性を、メチルエーテル化型、イミノ基型、メチロール基型、メチロール/イミノ基型など官能基によって制御することが容易であることより、ポットライフと反応性を制御しやすいという利点もある。
本発明のフィルムで使用される脂環式構造含有重合体又はアクリル重合体を含む樹脂層(以下、「本発明の基材層」又は「基材フィルム」と称す場合がある。)は、脂環式構造含有重合体又はアクリル重合体を主成分として、基材層中に好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含む。
また、以下において、脂環式構造含有重合体を「脂環式構造含有樹脂」と称し、脂環式構造含有樹脂を含む樹脂層を「脂環式構造含有樹脂層」と称す場合がある。また、アクリル重合体を「アクリル樹脂」と称し、アクリル樹脂を含む樹脂層を「アクリル樹脂層」と称す場合がある。
脂環式構造含有樹脂は、重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を有する重合体であり、主鎖に脂環式構造を有する重合体、及び、側鎖に脂環式構造を有する重合体のいずれを用いてもよい。脂環式構造含有樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有する重合体が好ましい。
中でも、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール及びペンタシクロペンタデカンジメタノールを好適に例示することができる。これらの中でも、シクロヘキサンジメタノール又はトリシクロデカンジメタノールが経済性及び耐熱性などからより好ましい。特に、下記式(2)で表されるトリシクロデカンジメタノールに由来する構造単位を含有することが、経済性や耐熱性及び、光学特性とのバランスの点で、最も好ましい。
ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
溶媒の通過時間t0、溶液の通過時間tから、下記式:
ηrel=t/t0
より相対粘度ηrelを求め、相対粘度ηrelから、下記式:
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
より比粘度ηspを求める。
比粘度ηspを濃度c(g/dl)で割って、下記式:
ηred=ηsp/c
より還元粘度(換算粘度)ηredを求める。
これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
かかる範囲で紫外線吸収剤を添加することにより、基材層表面への紫外線吸収剤のブリードや基材層の機械特性低下を生じることなく、本発明のフィルムの耐候性を向上させることができる。
アクリル樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸、またはこれらの誘導体を単量体成分として含む重合体をいう。
アクリル樹脂に使用されるアクリル系単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸−2−(メタ)アクロイルオキシエチル、マレイン酸−2−(メタ)アクロイルオキシエチル、フタル酸−2−(メタ)アクロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸−2−(メタ)アクリオイルオキシエチル、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が例示される。これらは、単独で重合して使用してもよく、2種類以上を共重合して使用してもよい。また、これらのアクリル系単量体と共重合可能な他の単量体、例えばポリオレフィン系単量体、ビニル系単量体等の1種又は2種以上との共重合体であってもよい。
基材層の膜厚は、本発明のフィルム及びこれを用いた本発明の偏光板の薄膜化の観点から、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。また、機械強度の観点から、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。
次に本発明におけるウレタン系樹脂とメラミン樹脂系架橋剤を含有する水系ウレタン系樹脂組成物(以下、「ウレタン系コーティング組成物」と称す場合がある。)よりなるコート層(以下、「ウレタンコート層」と称す場合がある。)について説明する。
本発明においては、前述の基材フィルムの少なくとも片面に、ウレタン系樹脂とメラミン樹脂系架橋剤を含有する水系のウレタン系コーティング組成物を用いてウレタンコート層を形成することを必須の要件とする。
ウレタンコート層は、基材フィルムの一方の表面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。基材フィルムの両面にウレタンコート層を設けることにより、基材フィルムの取り扱い性を効果的に改善できる。
本発明で用いるウレタン系樹脂としては、例えば、(1)1分子中に平均2個以上の活性水素を含有する成分(以下「成分(1)」と称す場合がある。)と(2)多価イソシアネート成分(以下「成分(2)」と称す場合がある。)とを反応させて得られるウレタン系樹脂;又は、上記成分(1)及び成分(2)をイソシアネート基過剰の条件下で、反応に不活性で水との親和性の大きい有機溶媒中でウレタン化反応させてイソシアネート基含有プレポリマーとし、次いで、該プレポリマーを中和し、鎖延長剤を用いて鎖延長し、水を加えて分散体とすることによって製造されるウレタン系樹脂;などが挙げられる。これらのウレタン系樹脂には酸構造(酸残基)を含有させてもよい。
ポリオール化合物として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチルプロパンジオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとして、例えば、上記(1−1)のポリオール化合物のアルキレンオキシド付加物;アルキレンオキシドと環状エーテル(例えばテトラヒドロフランなど)との開環(共)重合体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールの共重合体;グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリオクタメチレングリコールなどのグリコール類;などが挙げられる。
ポリエステルポリオールとして、例えば、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸又はその無水物と、上記(1−1)で挙げたエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのポリオール化合物とを、水酸基過剰の条件で重縮合させて得られたものなどが挙げられる。より具体的には、例えば、エチレングリコール−アジピン酸縮合物、ブタンジオール−アジピン縮合物、ヘキサメチレングリコール−アジピン酸縮合物、エチレングリコール−プロピレングリコール−アジピン酸縮合物、或いはグリコールを開始剤としてラクトンを開環重合させたポリラクトンジオールなどが挙げられる。
ポリエーテルエステルポリオールとして、例えば、エーテル基含有ポリオール(例えば、前記(1−2)のポリエーテルポリオールやジエチレングリコール等)又は、これと他のグリコールとの混合物を上記(1−3)で例示したようなジカルボン酸又はその無水物に加えてアルキレンオキシドを反応させてなるものなどが挙げられる。より具体的には、例えば、ポリテトラメチレングリコール−アジピン酸縮合物などが挙げられる。
ポリカーカーボネートポリオールとしては、例えば、一般式HO−R−(O−C(O)−O−R)n−OH(ただし、式中、Rは炭素数1〜12の飽和脂肪酸ポリオール残基を示す。また、nは分子の繰り返し単位の数を示し、通常5〜50の整数である。)で示される化合物などが挙げられる。これらは、飽和脂肪族ポリオールと置換カーボネート(例えば、炭酸ジエチル、ジフェニルカーボネートなど)とを、水酸基が過剰となる条件で反応させるエステル交換法;前記飽和脂肪族ポリオールとホスゲンとを反応させるか、又は必要に応じて、その後さらに飽和脂肪族ポリオールを反応させる方法;などにより得ることができる。
メラミン樹脂系架橋剤としては、例えば、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロールメラミン;メチロールメラミンとアルコールとのアルキルエーテル化物;メチロールメラミンの縮合物とのアルコールのエーテル化物等を挙げることができる。ここで、アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等が挙げられる。
ウレタンコート層を形成するウレタンコーティング組成物は、上記の水系ウレタン系樹脂及びメラミン樹脂系架橋剤以外に、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分を含有していてもよい。
ウレタン系コーティング組成物は、硬化触媒を含有していてもよく、硬化触媒を含むことにより、得られるウレタンコート層の硬化性を高めることができる。
また、硬化触媒としては、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸などのスルホン酸;該スルホン酸とアミンとの中和塩;リン酸エステル化合物とアミンとの中和塩等の1種又は2種以上を使用することができる。
ウレタン系コーティング組成物は、塩基性物質を含有していてもよい。ウレタン系コーティング組成物中のウレタン系樹脂が酸構造を含む場合、酸構造の一部又は全部は、塩基性物質により中和されていることが好ましい。特に酸構造含有ウレタン系樹脂の酸構造のうちの20%以上が塩基性物質により中和されていることがより好ましく、50%以上が塩基性物質により中和されているのが特に好ましい。酸構造のうちの20%以上が塩基性物質により中和されることにより、基材フィルムにウレタンコート層を形成して得られる本発明のフィルムが高温下に曝された熱履歴を有しても、光学材料としての特性を維持しつつ、他の光学フィルム、特に偏光子に積層して使用されるときに、積層されたフィルムとの密着性をより一層確実に維持することができる。なお、酸構造含有ウレタン系樹脂の残りの酸構造は中和されていなくてもよく、又は塩基性物質により中和されていてもよい。また、塩基性物質として不揮発性塩基と揮発性塩基のどちらを使用してもかまわない。
不揮発性塩基としては、ウレタン系コーティング組成物を基材フィルムの表面に塗布した後に乾燥させる際の処理条件下、例えば80℃で1時間放置した場合において実質的に不揮発性である無機塩基及び有機塩基を挙げることができる。実質的に不揮発性である無機塩基及び有機塩基としては、前記処理後に不揮発性塩基の減少分が80%以下であるものを挙げることができる。
水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの無機塩基;
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパン水酸化カリウム、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトシキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、シクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンペンタミン、アミノエチルエタノールアミン、1,2−プロパンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミノプロピルエタノールアミン、アミノヘキシルエタノールアミン、アミノエチルプロパノールアミン、アミノプロピルプロパノールアミン、アミノヘキシルプロパノールアミン、5−アミノピラゾール、1−メチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−5−アミノピラゾール、1,3−ジメチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−3−メチル−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−5−アミノピラゾール、1−メチル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、1−メチル−4−アシノ−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、3−メチル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−4−クロロ−5−アミノピラゾールなどの一級アミン;
N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシカルボン酸ジヒドラジド、カルボジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、グリコリック酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物;
トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリ[(2−ヒドロキシ)−1−プロピル]アミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレアなどの三級アミン;
イミダゾリン、2−メチル−2−イミダゾリン等のイミダゾリン化合物;
揮発性塩基としては、例えば、アンモニア、揮発性第一級〜第三級アミン等を挙げることができる。
ウレタン系コーティング組成物は、ポリビニルアルコールを含有していてもよく、ポリビニルアルコールを含むことで室温におけるウレタンコート層表面のタック性改良や、水系接着剤との密着性増加などの機能が期待できる。
なお、ここでウレタン系コーティング組成物中の全固形分とは、ウレタン系コーティング組成物中の溶剤以外の成分の合計に該当する。
ウレタン系コーティング組成物は、三重結合の二つの隣接炭素原子にいずれも水酸基及びメチル基が置換されたアセチレングリコール及び/又はそのエチレンオキサイド付加物である非イオン系界面活性剤を含有していてもよい。このような非イオン系界面活性剤を含むことにより、未硬化状態のウレタン系コーティング組成物の発泡を抑制しつつ濡れ性を改善できるので、基材フィルムに塗布した際のはじきムラの発生を防止できる。
R3−C(CH3)(OR1)−C≡C−C(CH3)(OR2)−R4 …(i)
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、−(CH2)m−Hを表す。mは0以上の整数を表し、0〜400が好ましく、0又は20〜100であることがより好ましく、40〜70であることが特に好ましい。R3及びR4はそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられ、イソプロピル基が好ましい。)
かかる非イオン系界面活性剤としては、例えば、日信化学工業社製のサーフィノール104シリーズ、サーフィノール400シリーズなどを用いることができる。
ウレタン系コーティング組成物は、微粒子を含んでいてもよく、微粒子を含むことにより、形成されるウレタンコート層の表面に凹凸を形成し、これにより、巻回の際にウレタンコート層が他の層と接触する面積が小さくなり、その分だけウレタンコート層の表面の滑り性を向上させて、本発明のフィルムを巻回する際のシワの発生を抑制できる。
ウレタン系コーティング組成物は、本発明の効果を著しく損なわない限り、例えば、上記の非イオン系界面活性剤以外の界面活性剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、分散安定剤、揺変剤、酸化防止剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックスなどを含有していてもよい。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ウレタン系コーティング組成物は、通常、ウレタン系樹脂とメラミン樹脂系架橋剤を必須成分とし、必要に応じて用いられる上記の任意成分を含む分散液として調製される。
ウレタン系コーティング組成物の調製に用いる溶剤(分散媒)としては、水及び/又は水溶性の溶剤、好ましくは水、特に好ましくはイオン交換水が挙げられる。
ウレタンコーティング組成物は、水、好ましくはイオン交換水を用いて前述のウレタン系樹脂、好ましくは水系ウレタン系樹脂、及びメラミン樹脂系架橋剤、必要に応じて用いられるその他の成分を溶解ないし分散させることにより調製される。
ウレタンコート層は、基材フィルムの少なくとも片面に、上述のウレタン系コーティング組成物を塗布し、形成された塗膜を乾燥固化(硬化)させることにより形成される。
ウレタンコート層の膜厚は、本発明のフィルム及びこれを用いた本発明の偏光板の薄膜化と基材フィルムの歪み(硬化収縮)防止や位相差への影響の観点から、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。また、接着強度の観点から、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。上記範囲であれば、基材層と後述の水系接着剤の双方に対して良好な接着性を得ることができる。
本発明のフィルムの用途には特に制限はないが、透明性、寸法安定性、耐湿熱性に優れることから、特に、偏光板の偏光膜の保護フィルムとして好適に用いることができる。
接着剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリビニルアルコール系やウレタン化合物等の水系接着剤、アクリル系化合物やエポキシ系化合物、オキサゾリン化合物等の活性エネルギー線硬化系接着剤が挙げられる。中でも、偏光膜であるポリビニルアルコール(PVA)との接着性や、廃棄物等における環境安全性等の観点より、ポリビニルアルコール系等の水系接着剤が好ましい。
すなわち、本発明のフィルムを用いた本発明の偏光板は、第1の保護フィルム/接着剤層/偏光膜/接着剤層/第2の保護フィルムの層構成となり、本発明のフィルムは、これらのうち少なくとも一方の保護フィルムとして用いられる。
本発明のフィルムは、透明性、寸法安定性、耐湿熱性に優れ、偏光膜に対して密着性よく接着させることができることから、このような本発明のフィルムを用いた本発明の偏光板は、偏光膜の保護効果、機能維持性に優れ、テレビ、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の液晶表示装置の偏光板として高品質な表示画面を実現することができる。
以下において、種々の物性等の測定及び評価は次のようにして行った。
PVA樹脂(日本合成(株)製、ゴーセネックスZ−200)10重量%の水溶液100gに対し、架橋剤(日本合成(株)製、SPM−02)0.3重量部を混合して水系接着剤を作製した。作製したコーティングフィルムのウレタンコート層を接着面側として、ウレタンコート層に水系接着剤を#24のバーコーターにより塗布し、二軸延伸PVAフィルム(日本合成(株)製、商品名:ボブロン、厚み:40μm)を貼り合わせて100℃、300秒で加熱、乾燥することにより評価用サンプルを作製した。このサンプルを幅20mmで切断した後、万能引張試験器(インテスコ社製、型式:200X)を用いて、テストスピード50mm/分によりT型剥離を実施した。その時の最大剥離強度(N/20mm幅)を測定した。また、最大剥離強度(N/20mm幅)をコート層の塗布厚み(μm)で除算することにより求めた塗布厚み換算の最大剥離強度を下記基準に基づき評価した。
○:塗布厚み換算の最大剥離強度が2N/20mm幅以上
×:塗布厚み換算の最大剥離強度が2N/20mm幅未満
作製したコーティングフィルムのコート面を指触し、下記基準で評価した。
○:タックが無い
×:タックがある
作製したコーティング組成物をテフロン(登録商標)シートに塗布し、100℃で60秒乾燥させることにより評価サンプルを作製した。このサンプルを動的粘弾性測定装置「DVE−V4」(レオロジー社製)を用いることにより動的粘弾性測定を実施し、周波数10Hz、昇温速度3℃/分で引張法により測定した150℃での弾性率から、下記基準により判定した。
○:150℃における弾性率が1.0MPa以上
×:150℃における弾性率が1.0MPa未満
<アクリル樹脂>
アクリル樹脂としては、住友化学株式会社製のPMMA樹脂「スミペックスMGSS」を用いた。
特開2008−024919号公報に準じた方法で製造した、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドに由来する構造単位とトリシクロデカンジメタノールに由来する構造単位のモル比率がイソソルビド/トリシクロデカンジメタノール=6/4で、ガラス転移温度が126℃である脂環式構造含有樹脂(ポリカーボネート樹脂)を用いた。
上記のアクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂をφ65mm単軸押出機に投入し、220〜240℃のバレル設定温度にて溶融混練し、幅1350mmでリップギャップ0.7mmの口金(設定温度240℃)から押出した後、65℃に温調されたキャストロールにて巻き取ることにより、厚み60μmのフィルムを作製した。このフィルムを、コロナ処理装置を用いて積算照射量1000W/m2でコロナ処理した後にMD方向を長手として100mm×200mmに切断することにより、それぞれ、アクリル樹脂フィルム(以下、基材Aと略記)及びポリカーボネート樹脂フィルム(以下、基材Bと略記)を作製した。
水系ポリウレタン系樹脂「ユーコート UA−368」(三洋化成(株)製、固形分(ウレタン系樹脂)50重量%)100重量部に、架橋剤としてメチロール/イミノ基型メラミンホルムアルデヒド樹脂「サイメル701」(オルネクスジャパン(株)製)を10重量部配合し、更に添加剤としてポリビニルアルコール水溶液「マルタイト150」(大成化薬工業(株)製、固形分(ポリビニルアルコール)15重量%)を固形分換算で3重量%となるように配合し、希釈溶媒としてイオン交換水を用いて固形分量20重量%となるように配合した後に混合することによりウレタンコーティング組成物を作製した。このコーティング組成物をバーコーター#8を用いて前記基材Aにコーティングした後、100℃で1分乾燥させることにより基材A上に、表1に示す膜厚のウレタンコート層を形成してなる本発明のコーティングフィルムを作製した。このコーティングフィルムについて各種評価を実施した。
前記実施例1において、メラミン樹脂架橋剤をイミノ基型メラミンホルムアルデヒド樹脂「サイメル325」(オルネクスジャパン(株)製)10重量部に変更した以外は同様の手法によりコーティングフィルムを作製した。このコーティングフィルムについて各種評価を実施した。
前記実施例1において、水系ウレタン系樹脂を水系ポリウレタン系樹脂「スーパーフレックス470」(第一工業製薬(株)製、固形分(ウレタン系樹脂)40重量%)に変更した以外は同様の手法によりコーティングフィルムを作製した。このコーティングフィルムについて各種評価を実施した。
前記実施例1において、水系ウレタン系樹脂を水系ポリウレタン系樹脂「レザミンD−6031」(大日精化工業(株)製、固形分(ウレタン系樹脂)30重量%)に変更した以外は同様の手法によりコーティングフィルムを作製した。このコーティングフィルムについて各種評価を実施した。
前記実施例2において、基材Aの代りに基材Bを用いた以外は同様の手法によりコーティングフィルムを作製した。このコーティングフィルムについて各種評価を実施した。
前記実施例4において、メラミン樹脂系架橋剤をイミノ基型メラミンホルムアルデヒド樹脂「サイメル325」(オルネクスジャパン(株)製)に変更した以外は同様の手法によりコーティングフィルムを作製した。このコーティングフィルムについて各種評価を実施した。
前記実施例1において、メラミン樹脂系架橋剤の配合量を5重量部に変更した以外は同様の手法によりコーティングフィルムを作製した。このコーティングフィルムについて各種評価を実施した。
前記実施例1において、メラミン樹脂系架橋剤の配合量を20重量部に変更した以外は同様の手法によりコーティングフィルムを作製した。このコーティングフィルムについて各種評価を実施した。
前記実施例1において、架橋剤をカルボジイミド系架橋剤「XR−5580」(スタールジャパン(株)製)15重量部に変更した以外は同様の手法によりコーティングフィルムを作製した。このコーティングフィルムについて各種評価を実施した。
前記実施例1において、架橋剤をオキサゾリン系架橋剤「エポクロスWS−500」(日本触媒(株)製)20重量部に変更した以外は同様の手法によりコーティングフィルムを作製した。このコーティングフィルムについて各種評価を実施した。
前記実施例1において、架橋剤をオキサゾリン系架橋剤「エポクロスWS−500」(日本触媒(株)製)40重量部に変更した以外は同様の手法によりコーティングフィルムを作製した。このコーティングフィルムについて各種評価を実施した。
Claims (10)
- 脂環式構造含有重合体を含む樹脂層の少なくとも片面に、ウレタン系樹脂と架橋剤を含有する水系ウレタン系樹脂組成物よりなるコート層を形成してなるフィルムにおいて、該架橋剤がメラミン樹脂系架橋剤であり、前記脂環式構造含有重合体が、ポリカーボネート骨格を有することを特徴とするフィルム。
- 熱可塑性樹脂としてのアクリル重合体を含む樹脂層の少なくとも片面に、ウレタン系樹脂と架橋剤を含有する水系ウレタン系樹脂組成物よりなるコート層を形成してなるフィルムにおいて、該架橋剤がメラミン樹脂系架橋剤であり、前記アクリル重合体がPMMA樹脂であることを特徴とするフィルム。
- 前記メラミン樹脂系架橋剤が、イミノ基型及び/またはメチロール基型のメラミン系樹脂を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
- 前記水系ウレタン系樹脂組成物中の前記メラミン樹脂系架橋剤の含有量が、前記ウレタン系樹脂100重量部に対して0.1重量部以上、30重量部未満である請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
- 前記ウレタン系樹脂が、脂肪族ポリカーボネート骨格を有する請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のフィルムの前記コート層に接着剤層を介して偏光膜を接着してなる偏光板。
- 前記接着剤が水系接着剤である請求項8に記載の偏光板。
- 請求項8又は9に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
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