WO2017164045A1 - 複層フィルムの製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

搬送される基材フィルムに塗工液を塗工する工程と、前記基材フィルムに塗工された前記塗工液の一部を掻き取る工程と、を含む、複層フィルムの製造方法であって、前記掻き取る工程が、前記基材フィルムの搬送方向に対して同じ向き又は逆向きで回転する第一ロールによって、前記基材フィルムに塗工された前記塗工液の一部を掻き取ることと、前記第一ロールの軸方向の一側に設けられた第二ロール、及び、前記第一ロールの軸方向の他側に設けられた第三ロールによって、前記基材フィルムを支持することと、を含む、複層フィルムの製造方法。

Description

複層フィルムの製造方法及び製造装置
 本発明は、基材フィルム上に塗工液を塗工して塗工層を形成することにより、前記基材フィルム及び塗工層を備える複層フィルムを製造するための製造方法及び製造装置に関する。
 基材フィルム及び塗工層を備える複層フィルムは、例えば、基材フィルム上に適切な塗工液を塗工して塗工液の層を形成し、必要に応じて前記塗工液の層を硬化させることにより、製造される。このような塗工法によって複層フィルムを製造する場合、塗工層の厚みを調整するために、掻取ロールが用いられる場合がある(特許文献1参照)。
特開2000-354808号公報
 掻取ロールは、通常、基材フィルムに塗工液を塗工する塗工装置の下流に設けられる。掻取ロールを用いて、基材フィルムに塗工された塗工液の層から余分な塗工液を掻き取ることにより、塗工層の厚みを所望の厚みに調整することができる。
 一般に、掻取ロールの直ぐ上流部分では、掻き取られる塗工液が、液溜まりを形成する。この液溜まりは、通常、掻取ロールの軸方向の全体に延在する。この液溜まりの塗工液は、一部が掻取ロールによって掻き取られ、残りの部分が基材フィルムに定着して塗工層を形成する。よって、基材フィルムのフィルム幅方向の両端部に塗工層を形成せず、前記両端部以外の中間部にだけ選択的に塗工層を形成したい場合には、前記の液溜まりが基材フィルムのフィルム幅方向の両端部に形成されないように、掻取ロールの長さ及び位置を調整することが求められる。具体的には、基材フィルムの幅よりも短い掻取ロールを、基材フィルムのフィルム幅方向の両端部を除く部分に延在するように設けることで、フィルム幅方向の両端部を除く部分に塗工層が設けられた複層フィルムを得ることができる。
 ところが、このように基材フィルムの幅よりも短い掻取ロールを用いると、フィルム幅方向において塗工層の厚みが不均一となることがあった。具体的には、フィルム幅方向の中央部においては塗工層の厚みが厚く、フィルム幅方向の端部に近い部分では塗工層の厚みが薄くなることがあった。
 本発明は前記の課題に鑑みて創案されたもので、フィルム幅方向における塗工層の厚みの均一性に優れる複層フィルムの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
 本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、掻取ロールの軸方向の両側にコロロールを設けて基材フィルムを支持することにより、塗工層の厚みの均一性を改善できることを見い出し、本発明を完成させた。
 すなわち、本発明は、下記のとおりである。
 〔1〕 搬送される基材フィルムに塗工液を塗工する工程と、前記基材フィルムに塗工された前記塗工液の一部を掻き取る工程と、を含む、複層フィルムの製造方法であって、
 前記掻き取る工程が、
 前記基材フィルムの搬送方向に対して同じ向き又は逆向きで回転する第一ロールによって、前記基材フィルムに塗工された前記塗工液の一部を掻き取ることと、
 前記第一ロールの軸方向の一側に設けられた第二ロール、及び、前記第一ロールの軸方向の他側に設けられた第三ロールによって、前記基材フィルムを支持することと、を含む、複層フィルムの製造方法。
 〔2〕 前記第一ロールの回転が、前記基材フィルムの搬送方向に対して逆向きである、〔1〕記載の複層フィルムの製造方法。
 〔3〕 前記第一ロールの径よりも、前記第二ロールの径及び前記第三ロールの径が、大きい、〔1〕又は〔2〕記載の複層フィルムの製造方法。
 〔4〕 前記第一ロールと前記第二ロールとの間に、間隙が空いていて、
 前記第一ロールと前記第三ロールとの間に、間隙が空いている、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の複層フィルムの製造方法。
 〔5〕 搬送される基材フィルムに塗工液を塗工しうる塗工装置と、前記基材フィルムに塗工された塗工液の一部を掻き取りうる掻取装置とを備え、
 前記掻取装置が、
 前記基材フィルムの搬送方向に対して同じ向き又は逆向きで回転可能に設けられ、前記基材フィルムの表面に塗工された前記塗工液の一部を掻き取りうる第一ロールと、
 前記第一ロールの軸方向の一側に設けられ、前記基材フィルムを支持しうる第二ロールと、
 前記第一ロールの軸方向の他側に設けられ、前記基材フィルムを支持しうる第三ロールと、を備える、複層フィルムの製造装置。
 〔6〕 前記第一ロールは、前記基材フィルムの搬送方向に対して逆向きで回転可能に設けられている、〔5〕記載の複層フィルムの製造装置。
 本発明によれば、フィルム幅方向における塗工層の厚みの均一性に優れる複層フィルムの製造方法及び製造装置を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る複層フィルムの製造方法に用いるための製造装置を模式的に示す正面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る複層フィルムの製造方法に用いるための製造装置の、塗工装置及び掻取装置の周辺を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る複層フィルムの製造方法に用いるための製造装置の、塗工装置及び掻取装置の周辺を、下方から見た様子を模式的に示す斜視図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る製造方法で製造された複層フィルムを、そのフィルム長手方向に垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。 図5は、基材フィルムの表面に塗工された塗工液の一部を掻き取る、コロロールを備えない掻取装置の掻取ロールの周辺を、フィルム長手方向から見た様子を示す模式図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る製造方法において、基材フィルムの表面に塗工された塗工液の一部を掻き取る掻取ロールの周辺を、フィルム長手方向から見た様子を示す模式図である。 図7は、本発明の実施例1で用いた複層フィルムの製造装置を模式的に示す正面図である。
 以下、実施形態及び例示物を示して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
 以下の説明において、「上流」及び「下流」とは、別に断らない限り、フィルム搬送方向の上流及び下流を示す。
 以下の説明において、用語「溶媒」は、別に断らない限り、物質を溶解しうる狭義の溶媒だけでなく、物質を分散させうる分散媒も含む。
 以下の説明において、用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、メタクリル酸及びその組み合わせを包含する。
 以下の説明において、粒子の平均粒子径とは、別に断らない限り、レーザー回折法によって粒子径分布を測定し、測定された粒子径分布において小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径を採用する。
 以下の説明において、フィルムの面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx-ny)×dで表される値である。また、フィルムの厚み方向のレターデーションRthは、Rth={(nx+ny)/2-nz}×dで表される値である。ここで、nxは、フィルムの厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、フィルムの前記面内方向であってnxの方向に垂直な方向の屈折率を表す。nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表す。dは、フィルムの厚みを表す。別に断らない限り、前記のレターデーションの測定波長は550nmである。前記のレターデーションは、市販の位相差測定装置(例えば、王子計測機器社製、「KOBRA-21ADH」)あるいはセナルモン法を用いて測定しうる。
 以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、別に断らない限り、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有するフィルムをいい、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。長尺のフィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
 以下の説明において、「偏光板」とは、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
[1.実施形態]
 図1は、本発明の一実施形態に係る複層フィルム10の製造方法に用いるための製造装置20を模式的に示す正面図である。
 図1に示すように、この製造装置20は、第一延伸装置100、表面処理装置200、塗工装置300、掻取装置400、並びに、硬化装置としての第二延伸装置500を、上流からこの順に備える。本実施形態において、製造装置20は、基材フィルム30を、第一延伸装置100、表面処理装置200、塗工装置300、掻取装置400、及び第二延伸装置500に、この順に連続的に搬送しながら、複層フィルム10の製造を行いうるように設けられている。基材フィルム30としては、通常、樹脂からなる長尺のフィルムを用いる。また、本実施形態においては、塗工液40として、第二延伸装置500での加熱により溶媒が乾燥して硬化しうる液状組成物を用いた例を示して説明する。ここで「液状組成物」との用語は、2種類状の物質を含む材料だけでなく、1種類の物質のみからなる材料も含む。
 第一延伸装置100は、基材フィルム30に塗工液を塗工する前に基材フィルム30を所望の方向に延伸しうる装置である。本実施形態では、第一延伸装置100として、縦延伸装置を用いた例を示して説明する。この縦延伸装置は、オーブン110及び図示しない複数の搬送ロールを備え、搬送ロールの周速差を利用して、オーブン110内においてフィルム長手方向への延伸を行いうるように設けられている。
 表面処理装置200は、第一延伸装置100の下流で基材フィルム30の表面30Uに表面処理を施しうる装置である。本実施形態では、表面処理装置200として、基材フィルム30の下面としての表面30Uに表面処理としてコロナ放電処理を施しうるコロナ処理装置を用いた例を示す。
 図2は、本発明の一実施形態に係る複層フィルム10の製造方法に用いるための製造装置20の、塗工装置300及び掻取装置400の周辺を模式的に示す断面図である。また、図3は、本発明の一実施形態に係る複層フィルム10の製造方法に用いるための製造装置20の、塗工装置300及び掻取装置400の周辺を、下方から見た様子を模式的に示す斜視図である。ただし、図3においては、供給器320及び回収器420の図示は省略する。
 塗工装置300は、表面処理装置200の下流で基材フィルム30の表面30Uに塗工液40を塗工しうる装置であって、図2及び図3に示すように、塗工ロール310及び供給器320を備える。塗工ロール310は、図3に示すように、当該塗工ロール310の軸方向が基材フィルム30のフィルム幅方向と平行となるように設けられている。また、塗工ロール310は、図示しない駆動装置から供給される駆動力によって、図2において矢印A310で示すように、基材フィルム30の搬送方向と同じ向きで周方向に回転しうるように設けられている。他方、供給器320は、塗工ロール310に供給するための塗工液40が貯蔵されていて、この供給器320内の塗工液40に塗工ロール310の一部が漬かっている。よって、この塗工装置300は、塗工ロール310が周方向に回転することによって、供給器320に溜められた塗工液40を引き上げ、この塗工液40を基材フィルム30の表面30Uに塗工しうるように設けられている。
 図3に示すように、基材フィルム30の両端部31及び32を除く範囲に選択的に塗工液40を塗工しうるように、塗工ロール310の長さL310は、基材フィルム30の幅W30よりも短く設定される。ここで、塗工ロール310の長さL310とは、塗工液40を介して基材フィルム30に接触しうる塗工ロール310の周面の長さをいう。また、通常、基材フィルム30の表面30Uに塗工された塗工液40は後述する掻取ロール410による掻き取りによってフィルム幅方向に広がるので、塗工ロール310の長さL310は、掻取ロール410の長さL410よりも短く設定される。
 掻き取り装置400は、基材フィルム30の表面30Uに塗工された塗工液40の一部を、塗工装置300の下流で掻き取りうる装置であって、図2及び図3に示すように、第一ロールとしての掻取ロール410、回収器420、第二ロールとしてのコロロール430、及び、第三ロールとしてのコロロール440を備える。本実施形態において、これらの掻取ロール410、回収器420、コロロール430及びコロロール440は、いずれも、基材フィルム30の鉛直下方に設けられている。
 掻取ロール410は、図3に示すように、当該掻取ロール410の軸方向が基材フィルム30のフィルム幅方向と平行となるように設けられている。また、掻取ロール410は、図示しない駆動装置から供給される駆動力によって、周方向に回転可能に設けられている。他方、回収器420は、掻取ロール410が掻き取った塗工液40を回収しうるように、掻取ロール410の鉛直下方に設けられている。よって、この掻取装置400は、掻取ロール410が周方向に回転することによって、基材フィルム30の表面30Uに塗工された塗工液40の一部を不要分として掻き取り、回収器420に回収しうるように設けられている。
 掻取ロール410の回転方向は、基材フィルム30の搬送方向に対して同じ向きでもよく、逆向きでもよい。中でも、掻取ロール410は、基材フィルム30の搬送方向と逆向きに回転させると、適度に塗工液40の裏回りが生じ、塗工液の層50の厚みを、より高い精度で調整できる。ここで、塗工液40の裏回りとは、掻取ロール410で掻き取られた塗工液40の一部が、回収器420に回収されずに掻取ロール410の周面に残り、この周面に残った塗工液40が掻取ロール410の回転に従って基材フィルム30の表面30Uに接触することをいう。本実施形態では、図2において矢印A410で示すように、基材フィルム30の搬送方向に対して逆向きで回転する掻取ロール410を用いた例を示す。
 図3に示すように、掻取ロール410による掻き取りの際、通常は、掻取ロール410の直ぐ上流部分で塗工液40の液溜まり51が形成されることにより、塗工液40は、掻取ロール410の軸方向の全体に広がって、基材フィルム30の表面30Uに定着する。そのため、掻取ロール410よりも下流では、塗工液の層50の幅W50は、通常、掻取ロール410の長さL410と同じになる。ここで、掻取ロール410の長さL410とは、塗工液40を介して基材フィルム30に接触しうる掻取ロール410の周面の長さをいう。本実施形態では、基材フィルム30のフィルム幅方向の両端部31及び32には塗工液40の塗工は行わないので、掻取ロール410の長さL410は、基材フィルム30の幅W30よりも小さく設定されている。
 図3に示すように、一方のコロロール430は、フィルム幅方向の一方の端部31において基材フィルム30を支持しうるように、掻取ロール410の軸方向の一側に設けられている。また、他方のコロロール440は、フィルム幅方向の他方の端部32において基材フィルム30を支持しうるように、掻取ロール410の軸方向の他側に設けられている。よって、掻取ロール410の軸方向において、コロロール430、掻取ロール410及びコロロール440は、この順に並んで設けられている。
 コロロール430及び440は、掻取ロール410と同じ回転軸450を中心にして、周方向に回転可能に設けられている。本実施形態では、コロロール430及び440が、基材フィルム30の搬送に従って基材フィルム30の搬送方向と同じ向きで回転しうるように、回転自由に設けられた例を示して説明する。
 コロロール430及び440の径は、掻取ロール410の径と同じでもよいが、掻取ロール410の径よりも大きいことが好ましい。これにより、コロロール430及び440によって基材フィルム30を安定して支持できる。そのため、塗工層の厚みの均一性を効果的に改善できる。コロロール430及び440の径と掻取ロール410の径との差は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、好ましくは10mm以下、より好ましくは7mm以下、特に好ましくは5mm以下である。コロロール430及び440の径と掻取ロール410の径との差を前記の範囲に収めることにより、フィルム幅方向における塗工層の厚みの均一性を、効果的に改善できる。また、コロロール430の径とコロロール440の径とは、同じでもよく、異なっていてもよい。
 掻取ロール410とコロロール430との間には、間隙C1を空けることが好ましい。また、掻取ロール410とコロロール440との間には、間隙C2を空けることが好ましい。このように間隙C1及びC2を空けることにより、掻取ロール410で掻き取られた塗工液40がコロロール430及び440に伝わることを効果的に抑制できる。そのため、基材フィルム30の両端部31及び32への意図しない塗工液40の付着を容易に抑制できるので、塗工層の幅を容易に調整できる。前記の間隙C1及びC2の大きさは、例えば、2mm~3mmとしうる。また、間隙C1の大きさと間隙C2の大きさとは、同じでもよく、異なっていてもよい。
 コロロール430及び440の長さL430及びL440は、基材フィルム30の搬送を妨げないで安定した支持を行う観点から、例えば、20mm~50mmとしうる。ここで、コロロール430及び440の長さL430及びL440とは、基材フィルム30に接触しうるコロロール430及び440の周面の長さをいう。また、コロロール430の長さL430とコロロール440の長さL440とは、同じでもよく、異なっていてもよい。
 図1に示すように、第二延伸装置500は、基材フィルム30の表面30Uに形成された塗工液の層50を硬化させうる装置である。また、第二延伸装置500は、基材フィルム30に塗工液40を塗工した後で、所望の方向への延伸を行いうる装置である。本実施形態では、第二延伸装置500として、オーブン510を備えた横延伸装置を用いた例を示して説明する。この横延伸装置は、オーブン510及び図示しないテンター延伸機を備え、オーブン510内で加熱を行いながら、フィルム幅方向への延伸を行いうるように設けられている。
 本実施形態では、上述した製造装置20を用いて下記の製造方法を行い、複層フィルム10を製造する。
 図1に示すように、この製造方法では、繰出しロール60から基材フィルム30を引き出し、第一延伸装置100に供給する工程を行う。
 基材フィルム30が供給されると、第一延伸装置100は、基材フィルム30をフィルム長手方向に延伸する工程(I)を行う。
 第一延伸装置100で延伸された後で、基材フィルム30は、図1に示すように、表面処理装置200へと搬送される。表面処理装置200では、基材フィルム30の下面としての表面30Uに、表面処理としてコロナ放電処理を施す工程(II)が行われる。このコロナ放電処理により、基材フィルム30の表面30Uが改質されて、当該表面30Uに塗工液40が定着し易くなる。
 表面処理装置200で表面30Uに表面処理を施された後で、基材フィルム30は、図2に示すように、塗工装置300へと搬送される。塗工装置300では、図2に示すように、搬送される基材フィルム30の表面30Uに塗工液40を塗工する工程(III)が行われる。具体的には、工程(III)では、塗工ロール310が、周方向に回転することによって、供給器320に溜められた塗工液40を引き上げ、この塗工液40を基材フィルム30の表面30Uに塗工する。この際、通常は、塗工ロール310の周速は、基材フィルム30の搬送速度と同じに設定される。これにより、基材フィルム30の表面30Uには、塗工液の層50が形成される。
 塗工装置300で塗工液40を塗工された後で、基材フィルム30は、掻取装置400へと搬送される。掻取装置400では、図2に示すように、基材フィルム30の表面30Uに塗工された塗工液40の一部を掻き取る工程(IV)が行われる。この工程(IV)は、基材フィルム30の搬送方向とは逆向きで回転する掻取ロール410によって、基材フィルム30の表面30Uに塗工された塗工液40の一部を掻き取ることを含む。掻取ロール410の直ぐ上流部分には、塗工液40の液溜まり51が形成される。この液溜まり51は、掻取ロール410の軸方向の全体に広がり、その一部が掻取ロール410の回転によって掻き取られる。掻き取られた塗工液40は、掻取ロール410の回転に従って移動し、通常は、掻取ロール410上に被膜として定着せずに、回収器420で回収される。また、掻き取られなかった塗工液40は、基材フィルム30の表面30Uに定着する。これにより、基材フィルム30の表面30Uに形成された塗工液の層50の厚みが、所望の厚みに調整される。この際、掻取ロール410の軸方向の全体に広がった液溜まり51に含まれる塗工液40が定着するので、図3に示すように、掻取ロール410よりも下流では、塗工液の層50の幅W50は、通常、掻取ロール410の長さL410と同じになる。
 工程(IV)において、掻取ロール410の周速は、フィルム幅方向における厚みの均一性に優れる塗工層が得られる範囲で、任意に設定しうる。具体的な掻取ロール410の周速は、好ましくは0.1m/min以上、より好ましくは0.3m/min以上であり、好ましくは3.0m/min以下、より好ましくは2.0m/min以下である。掻取ロール410の周速を前記の範囲に収めることにより、フィルム幅方向における塗工層の厚みの均一性を、効果的に改善できる。また、通常は、掻取ロール410の周速を調整することにより、掻取ロール410による掻き取り後の塗工液の層50の全体的な平均の厚みを調整でき、よって塗工層の全体的な平均の厚みを調整できる。ただし、掻取ロール410の周速は、掻取ロール410の径に応じて、設定されることが好ましい。また、掻取ロール410の周速は、掻取ロール410の回転方向が、基材フィルム30の搬送方向に対して同じ向きであるか逆向きであるかに応じて、設定されることが好ましい。よって、掻取ロール410の周速は、前記の範囲に限定されるものでは無い。
 さらに、工程(IV)は、図3に示すように、基材フィルム30の搬送に従って基材フィルム30の搬送方向と同じ方向に回転するコロロール430及び440により、フィルム幅方向の両端部31及び32において基材フィルム30を支持することを含む。このようにコロロール430及び440によって基材フィルム30が支持されることにより、掻取ロール410による掻き取り後の塗工液の層50の厚みを、フィルム幅方向において均一にできる。この際、基材フィルム30の搬送に従って回転するコロロール430及び440の周速は、基材フィルム30の搬送速度と同じになるので、通常は、基材フィルム30には、擦れによる発塵及び傷付きは生じない。
 また、本実施形態に係るコロロール430及び440は、掻取ロール410との間に間隙C1及びC2を空けて設けられているので、掻取ロール410の直ぐ上流部分に形成された液溜まり51の塗工液40は、間隙C1及びC2を通って落ち、基材フィルム30のフィルム幅方向の両端部31及び32には付着しない。そのため、基材フィルム30の両端部31及び32への意図しない塗工液40の付着を効果的に抑制できる。
 掻取装置400で塗工液40を掻き取られた後で、基材フィルム30は、図1に示すように、第二延伸装置500へと搬送される。第二延伸装置500では、オーブン510内において基材フィルム30の表面30Uに形成された塗工液の層50を硬化させる工程(V)が行われる。具体的には、オーブン510内で加熱されることにより、塗工液40に含まれる溶媒が乾燥により除去されたり、塗工液40に含まれる重合体の架橋反応が進行したりして、塗工液の層50が硬化する。
 また、本実施形態においては、塗工液の層50を硬化させる工程(V)と同時に、第二延伸装置500が備えるテンター延伸機(図示せず)によって基材フィルム30をフィルム幅方向に延伸する工程(VI)が行われる。テンター延伸機を用いた延伸では、通常、テンター延伸機が備えるクリップによって基材フィルム30のフィルム幅方向の両端部31及び32を把持し、このクリップによって基材フィルム30を引っ張ることで、延伸が行われる。この際、基材フィルム30の両端部31及び32には塗工液の層50が形成されていないので、クリップへの塗工液40の付着は生じない。
 工程(VI)における延伸温度は、延伸によって基材フィルム30に所望の特性を発現させられるように、適切な温度を設定することが好ましい。延伸温度の具体的範囲は、好ましくはTg+3℃以上、更に好ましくはTg+5℃以上、特に好ましくはTg+8℃以上であり、好ましくはTg+30℃以下、更に好ましくはTg+25℃以下、より好ましくはTg+20℃以下である。
 また、工程(VI)での延伸倍率は、複層フィルム10に発現させたい特性に応じて任意に設定しうる。例えば、位相差フィルムとして機能しうる複層フィルム10を製造する場合、延伸倍率の具体的範囲は、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上、特に好ましくは1.3倍以上であり、好ましくは5.0倍以下、より好ましくは2.5倍以下、特に好ましくは2.0倍以下である。
 図4は、本発明の一実施形態に係る製造方法で製造された複層フィルム10を、そのフィルム長手方向に垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。塗工液の層50を硬化させることによって、図4に示すように、基材フィルム30の表面30Uに、塗工液40を硬化させた塗工層70を形成できる。塗工液の層50の厚みが均一であったので、塗工層70の厚みも均一にできる。具体的には、フィルム幅方向の中央部における塗工層70の厚みTと、フィルム幅方向の端部における塗工層70の厚みTとの差T-Tを小さくできる。したがって、上述した製造方法により、フィルム幅方向における塗工層70の厚みの均一性に優れた複層フィルム10が得られる。得られた複層フィルム10は、通常、図1に示すように巻き取られて、フィルムロール80として回収される。
 以上のように、本実施形態に係る製造方法では、基材フィルム30の表面30Uに、フィルム幅方向において均一に塗工液40を塗工して、均一な厚みの塗工層70を備える複層フィルム10を製造できる。このように塗工層70の厚みの均一性を改善できる仕組みを、以下に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、下記の仕組みによっては制限されない。
 図5は、基材フィルム30の表面30Uに塗工された塗工液40の一部を掻き取る、コロロールを備えない掻取装置の掻取ロール910の周辺を、フィルム長手方向から見た様子を示す模式図である。また、図6は、本発明の一実施形態に係る製造方法において、基材フィルム30の表面30Uに塗工された塗工液40の一部を掻き取る掻取ロール410の周辺を、フィルム長手方向から見た様子を示す模式図である。これらの図5及び図6において、基材フィルム30及び塗工液40は、フィルム長手方向に垂直な平面で切った断面を示す。
 図5に示すように、コロロール無しで掻取ロール910による塗工液40の掻き取りを行う場合を考える。この場合、基材フィルム30のファイル幅方向の両端部31及び32は、コロロールによる支持を受けられない。そのため、基材フィルム30の両端部31及び32の重みが、基材フィルム30の掻取ロール910に支持された部分33にかかり、その分だけ大きな圧力が、基材フィルム30から掻取ロール910に加わる。この際に加わる圧力は、掻取ロール910の軸方向の中央部911よりも、軸方向の両端部912及び913において、大きくなる傾向があり、そのため、基材フィルム30から掻取ロール910に加えられる圧力には、バラつきが生じる。よって、基材フィルム30と掻取ロール910との間隙は、掻取ロール910の軸方向の中央部911よりも、軸方向の両端部912及び913において狭くなり易い。したがって、掻取ロール910によって掻き取られずに前記の間隙を通って基材フィルム30の表面30Uに定着する塗工液の層の厚みが、フィルム幅方向の端部に近い位置ほど薄くなり易いので、従来は、塗工層の厚みを均一にすることが困難であった。
 これに対し、上述した実施形態に係る掻取装置400のように、コロロール430及び440によって基材フィルム30の両端部31及び32を支持すれば、基材フィルム30の両端部31及び32の重みは、基材フィルム30の掻取ロール410に支持された部分33にかかり難い。さらに、本実施形態のように、掻取ロール410よりも大きい径を有するコロロール430及び440を用いれば、基材フィルム30を両端部31及び32において特に安定して支持できるので、基材フィルム30の掻取ロール410に支持された部分33にかかる両端部31及び33の重みを、特に小さくできる。よって、基材フィルム30から掻取ロール410に加えられる圧力のバラツキを、掻取ロール410の軸方向において、小さくできる。そのため、基材フィルム30と掻取ロール410との間隙のバラツキを小さくできるので、基材フィルム30の表面30Uに定着する塗工液40の層の厚みのバラツキも小さくできる。したがって、フィルム幅方向において塗工層70(図4参照)の厚みの均一性を改善することができる。
 支持されない基材フィルム30の両端部31及び32の重みによる塗工層の厚みのバラツキは、本発明者の検討によれば、基材フィルム30の幅W30が広いほど、大きくなり易かった。しかし、本実施形態に係る製造方法では、基材フィルム30の幅W30が広くても、塗工層70の厚みの均一性を改善することができる。したがって、従来の課題を顕著に改善できるという観点から、本実施形態のようなコロロール430及び440を用いた塗工層70の厚みの均一性の改善は、幅W30の広い基材フィルム30において実施することが好ましい。
[2.変形例]
 本発明の複層フィルムの製造方法は、上述した実施形態に限定されず、更に変更して実施しうる。
 第一延伸装置100においては、フィルム長手方向以外の方向に延伸を行ってもよく、例えば、フィルム幅方向に行ってもよく、フィルム幅方向に平行でも垂直でもない斜め方向に行ってもよい。さらに、第一延伸装置100を用いた延伸は、省略してもよい。
 表面処理装置200においては、表面処理として、コロナ放電処理以外の表面処理を行ってもよい。このような表面処理としては、例えば、エネルギー線照射処理及び薬品処理等が挙げられる。エネルギー線照射処理としては、例えば、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理等が挙げられる。また、薬品処理としては、例えば、ケン化処理;重クロム酸カリウム溶液、濃硫酸等の酸化剤水溶液中に基材フィルムを浸漬し、その後、水で洗浄する処理;が挙げられる。また、表面処理装置200を用いた表面処理は、省略してもよい。
 塗工装置300においては、塗工ロール310を用いたロールコート法以外の塗工法によって塗工液40を塗工してもよい。そのような塗工法としては、例えば、ワイヤーバーコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スライドコート法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。中でも、グラビアコート法、ロールコート法及びダイコート法が好ましい。
 第二延伸装置500においては、塗工液40に応じて、上述した実施形態のようなオーブン510以外の装置を用いて塗工液を硬化させてもよい。例えば、塗工液40が紫外線等の光によって重合反応又は架橋反応が進行して硬化しうるものである場合、光照射装置を用いて塗工液40を硬化させてもよい。また、例えば、塗工液40が常温環境における乾燥によって硬化しうるものである場合、上記実施形態のような加熱乾燥以外の方法(例えば、減圧乾燥、風乾、自然乾燥等)によって塗工液40を硬化させてもよい。
 第二延伸装置500においては、フィルム幅方向以外の方向に延伸を行ってもよく、例えば、フィルム幅方向に行ってもよく、斜め方向に行ってもよい。さらに、第二延伸装置500を用いた延伸は、省略してもよい。
 さらに、上述した複層フィルム10の製造方法は、上述した実施形態において説明した以外の工程を含んでいてもよい。例えば、複層フィルム10の製造方法は、第二延伸装置500で塗工液の層50を硬化させて塗工層70を形成した後で、この塗工層70の表面に表面処理を施す工程を含んでいてもよい。具体例を挙げると、複層フィルム10の製造方法は、塗工層70の表面に表面処理として親水化表面処理を施す工程を含んでいてもよい。親水化表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、ケン化処理、紫外線照射処理などが挙げられる。中でも、処理効率の点などからコロナ放電処理及びプラズマ処理が好ましく、コロナ放電処理が更に好ましい。また、プラズマ処理としては、大気圧プラズマ処理が好ましい。
 また、複層フィルム10の製造方法は、複層フィルム10に更に任意の層を形成する工程、複層フィルム10を所望の形状にトリミングする工程を含んでいてもよい。
[3.基材フィルム]
 基材フィルムとしては、通常、樹脂製のフィルムを用いる。基材フィルムに含まれる樹脂としては、任意の重合体を含む樹脂を用いうる。中でも、樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、脂環式オレフィン樹脂が特に好ましい。脂環式オレフィン樹脂は、脂環式オレフィン重合体を含む樹脂であり、透明性、低吸湿性、寸法安定性および軽量性などの特性に優れ、光学フィルムに適している。
 基材フィルムは、1層のみを含む単層構造のフィルムであってもよく、2層以上の層を備える複層構造のフィルムであってもよい。基材フィルムが複層構造を有する場合、基材フィルムが備える層のうち1層以上が脂環式オレフィン樹脂からなることが好ましい。
 脂環式オレフィン重合体は、重合体の構造単位中に脂環式構造を有する重合体であり、主鎖に脂環式構造を有する重合体、及び、側鎖に脂環式構造を有する重合体のいずれを用いてもよい。また、脂環式オレフィン重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、機械的強度及び耐熱性の観点から、主鎖に脂環式構造を含有する重合体が好ましい。
 脂環式構造としては、例えば、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
 脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、更に好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、更に好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下の範囲である。これにより、基材フィルムの機械強度、耐熱性、及び成形性が高度にバランスされ、好適である。
 脂環式オレフィン重合体中の脂環式構造を有する構造単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択してもよく、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式オレフィン重合体中の脂環式構造を有する構造単位の割合がこの範囲にあると、基材フィルムの透明性および耐熱性の観点から好ましい。
 脂環式オレフィン重合体としては、例えば、ノルボルネン重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及び、これらの水素添加物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン重合体は、透明性と成形性が良好なため、好適である。
 ノルボルネン重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素添加物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素添加物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との開環共重合体が挙げられる。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、特に好適である。
 ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8-ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3-エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。また、ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン酸基などが挙げられる。
 ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合が可能な任意の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;などが挙げられる。ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合が可能な任意の単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体は、例えば、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に重合することにより製造しうる。
 ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合が可能な任意の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン等の炭素原子数2~20のα-オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α-オレフィンが好ましく、エチレンが更に好ましい。また、ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合が可能な任意の単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体は、例えば、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより製造しうる。
 上述した開環重合体及び付加重合体の水素添加物は、例えば、これらの開環重合体及び付加重合体の溶液において、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む水素添加触媒の存在下で、炭素-炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素添加することによって製造しうる。
 単環の環状オレフィン重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環を有する環状オレフィンモノマーの付加重合体を挙げることができる。
 環状共役ジエン重合体としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエンモノマーの付加重合体を環化反応して得られる重合体;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエンモノマーの1,2-または1,4-付加重合体;およびこれらの水素添加物;などを挙げることができる。
 ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン等のビニル脂環式炭化水素モノマーの重合体及びその水素添加物が挙げられる。また、ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素モノマーを重合してなる重合体に含まれる芳香環部分を水素添加してなる水素添加物が挙げられる。さらに、ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニル脂環式炭化水素モノマーとこのビニル脂環式炭化水素モノマーに対して共重合可能な任意のモノマーとの共重合体及びその水素化物;ビニル芳香族炭化水素モノマーとこれらビニル芳香族炭化水素モノマーに対して共重合可能な任意のモノマーとの共重合体の、芳香環の水素添加物;などを挙げることができる。前記の共重合体としては、例えば、ランダム共重合体及びブロック共重合体が挙げられる。さらに、前記のブロック共重合体としては、例えば、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体またはそれ以上のマルチブロック共重合体、並びに傾斜ブロック共重合体等を挙げることができる。
 基材フィルムに含まれる樹脂に含まれる重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、更に好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、更に好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。ここで、前記の重量平均分子量は、溶媒としてシクロヘキサンを用いてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平気分子量である。但し、前記のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーでは、試料がシクロヘキサンに溶解しない場合には、溶媒としてトルエンを用いてもよい。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、複層フィルムの機械的強度および成型加工性が高度にバランスされる。
 基材フィルムに含まれる樹脂に含まれる重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.8以上であり、好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.7以下である。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高め、コストを抑制することができる。また、上限値以下にすることにより、低分子量成分を減らすことができるので、緩和時間を長くできる。そのため、高温曝露時の緩和を抑制でき、基材フィルムの安定性を高めることができる。
 基材フィルムに含まれる樹脂に含まれる重合体の光弾性係数Cの絶対値は、好ましくは10×10-12Pa-1以下、更に好ましくは7×10-12Pa-1以下、特に好ましくは4×10-12Pa-1以下である。光弾性係数Cは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、「C=Δn/σ」で表される値である。重合体の光弾性係数を前記範囲に納めることにより、基材フィルムの面内レターデーションReのバラツキを小さくできる。
 基材フィルムに含まれる樹脂に含まれる重合体の飽和吸水率は、好ましくは0.03重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。飽和吸水率が前記範囲であると、基材フィルムの面内レターデーション及び厚み方向のレターデーションの経時変化を小さくすることができる。また、複層フィルムを備える偏光板及び画像表示装置の劣化を抑制でき、長期的にディスプレイの画像の品質を安定で良好に保つことができる。
 飽和吸水率は、試験片を一定温度の水中に一定時間浸漬して増加した質量を、浸漬前の試験片の質量に対する百分率で表した値である。通常は、23℃の水中に24時間、浸漬して測定される。重合体の飽和吸水率は、例えば、重合体中の極性基の量を減少させることにより、前記の範囲に調節することができる。したがって、飽和吸水率をより低くする観点から、基材フィルムに含まれる樹脂に含まれる重合体は、極性基を有さないことが好ましい。
 基材フィルムに含まれる樹脂における重合体の割合は、一般的には50%~100%、または70%~100%である。特に、基材フィルムに含まれる樹脂として脂環式オレフィン樹脂を用いる場合、脂環式オレフィン樹脂に含まれる重合体の割合は、好ましくは80%~100%、より好ましくは90%~100%である。
 基材フィルムに含まれる樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない限り、重合体以外に任意の成分を含んでいてもよい。その任意の成分の例を挙げると、顔料、染料等の着色剤;可塑剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;酸化防止剤;滑剤;界面活性剤などの添加剤が挙げられる。これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 基材フィルムに含まれる樹脂として脂環式オレフィン樹脂を用いる場合、その脂環式オレフィン樹脂は、実質的に粒子を含まないことが好ましい。ここで、実質的に粒子を含まない樹脂とは、粒子を全く含まない樹脂からの基材フィルムのヘイズの上昇幅が0.05%以下の範囲である量までは粒子を含みうる樹脂を意味する。脂環式オレフィン重合体は、多くの有機粒子及び無機粒子との親和性に欠ける傾向がある。そのため、粒子を含む脂環式オレフィン樹脂を延伸すると、空隙が発生しやすい。しかし、粒子の量を前記のように少なくすることで、延伸した場合の空隙の発生を抑制して、ヘイズが大きくなることを抑制できる。
 基材フィルムに含まれる樹脂が含む添加剤の量は、本発明の複層フィルムが所望の特性を発現できる範囲で任意に設定しうる。
 前述の通り、基材フィルムは、一層のみを備える単層構造のフィルムであってもよく、2層以上の層を備える複層構造のフィルムであってもよい。基材フィルムを複層構造のフィルムとすることにより、複層フィルムを、様々な特性を有する光学フィルムとして用いることができる。
 基材フィルムが2層以上の層を備える場合、一種類の層を2つ以上備えていてもよく、異なる二種類以上の層を備えていてもよい。また、基材フィルムには、上述した脂環式オレフィン樹脂以外の樹脂からなる層を設けてもよい。脂環式オレフィン樹脂以外からなる層としては、例えば、傷付抑制、反射抑制、帯電抑制、防眩、防汚などの機能を有する層が挙げられる。
 基材フィルムの幅は、広いことが好ましい。幅の広い基材フィルムを用いることにより、フィルム幅方向における塗工層の厚みの均一性を改善できるという前記の効果を、特に有効に活用できる。基材フィルムの幅は、1000mm以上が好ましく、1500mm以上がより好ましい。基材フィルムの幅の上限に特段の制限は無く、例えば、4000mm以下としうる。
 基材フィルムの厚みは、好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上、特に好ましく30μm以上であり、好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下である。基材フィルムの厚みを前記範囲の下限値以上にすることにより、安定して搬送することができる。また、基材フィルムの厚みを前記範囲の上限値以下にすることにより、安定搬送および均一に延伸することができる。
 基材フィルムの厚み変動は、長手方向及び幅方向にわたって、前記平均厚みの±3%以内であることが好ましい。厚み変動を前記範囲にすることにより、基材フィルムのレターデーションなどの光学特性のバラツキを小さくできる。
 基材フィルムが含む揮発性成分の量は、好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.02重量%以下である。揮発性成分の量を前記範囲にすることにより、寸法安定性が向上し、基材フィルムの面内レターデーション及び厚み方向のレターデーションの経時変化を小さくできる。さらには、複層フィルムを備える偏光板又は画像表示装置等の劣化を抑制できるので、長期的にディスプレイの画像の品質を安定で良好に保つことができる。ここで、揮発性成分とは、分子量200以下の物質である。揮発性成分としては、例えば、残留単量体及び溶媒などが挙げられる。揮発性成分の量は、分子量200以下の物質の合計として、ガスクロマトグラフィーによる分析によって定量しうる。
 基材フィルムの製造方法に制限はない。基材フィルムは、例えば、当該基材フィルムを形成するための樹脂を任意のフィルム成形法で成形することによって得られる。フィルム成形法としては、例えば、キャスト成形法、押出成形法、インフレーション成形法などが挙げられる。中でも、溶媒を使用しない溶融押出法が、残留揮発成分量を効率よく低減させることができ、地球環境や作業環境の観点、及び製造効率に優れる観点から好ましい。溶融押出法としては、ダイスを用いるインフレーション法などが挙げられ、中でも生産性や厚み精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
 基材フィルムが2層以上の層を備える場合、基材フィルムの製造方法に制限は無い。例えば、別々に製造したフィルム層を必要に応じて接着剤を用いて貼り合せて、基材フィルムを製造してもよい。接着剤は、貼り合わせるフィルム層を形成する樹脂の種類により適切なものを選択しうる。接着剤の例としては、アクリル接着剤;ウレタン接着剤;ポリエステル接着剤;ポリビニルアルコール接着剤;ポリオレフィン接着剤;変性ポリオレフィン接着剤;ポリビニルアルキルエーテル接着剤;ゴム接着剤;エチレン-酢酸ビニル接着剤;塩化ビニル-酢酸ビニル接着剤;SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)接着剤;SIS(スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体)接着剤;エチレン-スチレン共重合体等のエチレン接着剤;エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体などのアクリル酸エステル接着剤;などが挙げられる。接着剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。接着剤により形成される接着剤層の厚みは、好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下である。
 接着剤を使用せずに2層以上の層を備える基材フィルムを製造する場合、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法などの共押出成形法;ドライラミネーションなどのフィルムラミネーション成形法;などを用いうる。また、例えば、あるフィルム層の表面に、別のフィルム層を構成する樹脂を含む溶液をコーティングするコーティング成形法を用いて、2層以上の層を備える基材フィルムを製造してもよい。
 これらの中でも、製造効率の観点、及び、基材フィルム中に溶媒などの揮発性成分を残留させないという観点からは、共押出成形法が好ましい。共押出成形法の中でも、共押出Tダイ法が特に好ましい。さらに、共押出Tダイ法にはフィードブロック方式とマルチマニホールド方式が挙げられるが、各層の厚みのばらつきを少なくできる点からは、マルチマニホールド方式がさらに好ましい。
 基材フィルムは、延伸処理を施されていない未延伸フィルムであってもよく、延伸処理を施された延伸フィルムであってもよい。また、基材フィルムが2層以上の層を備える場合、予め延伸処理を施されたフィルム層を貼り合せて延伸フィルムを得てもよく、共押出等により得られた複層構造の延伸前フィルムに延伸処理を施して延伸フィルムを得てもよい。
[4.塗工液]
 塗工液としては、製造される複層フィルムの用途に応じた塗工層を形成しうる液状組成物を任意に用いうる。通常、塗工層は、重合体を含む樹脂の層として形成される。したがって、塗工液としては、塗工層に含まれる重合体又は当該重合体の前駆体である単量体、並びに、溶媒を含む溶液又は分散液を用いることが好ましい。
 〔4.1.重合体〕
 塗工液が含みうる重合体としては、例えば、ポリウレタンを用いうる。重合体としてポリウレタンを用いることにより、当該ポリウレタンを含む塗工層が得られる。ポリウレタンを含む塗工層を備える複層フィルムは、他の部材との接着性に優れる。更に、塗工液が粒子を含む場合、ポリウレタンによれば樹脂層からの粒子の脱落を安定して抑制できる。
 ポリウレタンとしては、例えば、(i)1分子中に平均2個以上の活性水素を含有する成分と、(ii)ポリイソシアネート成分とを反応させて得られるポリウレタンを用いうる。また、ポリウレタンとしては、例えば、イソシアネート基含有プレポリマーを鎖延長剤を用いて鎖延長し、水を加えて分散体とすることによって製造されるポリウレタンを用いうる。前記のイソシアネート基含有プレポリマーは、前記(i)成分及び前記(ii)成分を、イソシアネート基過剰の条件下でウレタン化反応させることにより、製造し得る。また、このウレタン化反応は、反応に不活性で水との親和性の大きい有機溶媒中で行いうる。また、イソシアネート基含有プレポリマーの鎖延長を行う前に、該プレポリマーは中和してもよい。イソシアネート基含有プレポリマーの鎖延長方法としては、イソシアネート基含有プレポリマーと鎖延長剤とを、必要に応じて触媒の存在下で反応させる方法が挙げられる。この際、鎖延長剤としては、水、水溶性ポリアミン、グリコール類などを用いうる。
 前記(i)成分としては、水酸基性の活性水素を有するものが好ましく、例えば1分子中に平均2個以上の水酸基を有する化合物が好ましい。(i)成分の具体例としては、下記の(1)ポリオール化合物、(2)ポリエーテルポリオール、(3)ポリエステルポリオール、(4)ポリエーテルエステルポリオール、及び(5)ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
 (1)ポリオール化合物:
 ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサングリコール、2,5-ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2-ジメチルプロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
 (2)ポリエーテルポリオール:
 ポリエーテルポリオールとしては、前記の(1)ポリオール化合物のアルキレンオキシド付加物;アルキレンオキシドと環状エーテル(例えばテトラヒドロフランなど)との開環共重合体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、1,4-ブタンジオール共重合体;グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリオクタメチレングリコールなどのグリコール類;などが挙げられる。ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン-プロピレンエーテル)ポリオール等が挙げられる。
 (3)ポリエステルポリオール:
 ポリエステルポリオールとして、例えば、多価カルボン酸又はその無水物と前記(1)ポリオール化合物とを、水酸基過剰の条件で重縮合させて得られたものなどが挙げられる。ここで、多価カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸;トリメリット酸等のトリカルボン酸が挙げられる。ポリエステルポリオールの具体例としては、エチレングリコール-アジピン酸縮合物、ブタンジオール-アジピン縮合物、ヘキサメチレングリコール-アジピン酸縮合物、エチレングリコール-プロピレングリコール-アジピン酸縮合物、或いは、グリコールを開始剤としてラクトンを開環重合させたポリラクトンジオール、などが挙げられる。
 (4)ポリエーテルエステルポリオール:
 ポリエーテルエステルポリオールとして、例えば、エーテル基含有ポリオール(例えば、前記(2)ポリエーテルポリオール及びジエチレングリコール等)または、これと他のグリコールとの混合物を、上記(3)で例示したような多価カルボン酸又はその無水物と混合してアルキレンオキシドを反応させてなるものなどが挙げられる。ポリエーテルエステルポリオールの具体例としては、ポリテトラメチレングリコール-アジピン酸縮合物などが挙げられる。
 (5)ポリカーボネートポリオール:
 ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、一般式HO-R-(O-C(O)-O-R)-OH(ただし、式中、Rは炭素原子数1~12の飽和脂肪酸ポリオール残基を示す。また、Xは分子の構造単位の数を示し、通常5~50の整数である。)で示される化合物などが挙げられる。これらは、飽和脂肪族ポリオールと置換カーボネート(例えば、炭酸ジエチル、ジフェニルカーボネートなど)とを、水酸基が過剰となる条件で反応させるエステル交換法;前記飽和脂肪族ポリオールとホスゲンとを反応させるか、または必要に応じて、その後さらに飽和脂肪族ポリオールを反応させる方法;などにより得ることができる。
 これらの(i)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 前記(i)成分と反応させる(ii)成分(即ち、ポリイソシアネート成分)としては、例えば、1分子中に平均2個以上のイソシアネート基を含有する化合物が挙げられる。この化合物は、脂肪族化合物でもよく、脂環式化合物でもよく、芳香族化合物でもよい。
 脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、炭素原子数1~12の脂肪族ジイソシアネートが好ましく、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(HDI)などが挙げられる。
 脂環式ポリイソシアネート化合物としては、炭素原子数4~18の脂環式ジイソシアネートが好ましく、例えば、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)などが挙げられる。
 芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
 これらの(ii)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 前記の(i)成分及び(ii)成分は、複層フィルムの用途に応じて適切なものを任意に選択して用いうる。中でも、(i)成分としては、加水分解し難い結合を有するものを用いることが好ましく、具体的には(2)ポリエーテルポリオール及び(5)ポリカーボネートポリオールが好ましく、中でも(2)ポリエーテルポリオールが特に好ましい。
 また、これらのポリウレタンは、その分子構造に酸構造を含んでいてもよい。酸構造を含むポリウレタンは、界面活性剤を使用せずに、若しくは界面活性剤の量が少なくても、水中に分散させることが可能であるので、塗工層の耐水性の改善が期待される。これを自己乳化型といい、界面活性剤が無くても分子イオン性のみで水中にポリウレタンが粒子状に分散安定化しうることを意味する。また、酸構造を含むポリウレタンは、界面活性剤が不要又は少量で済むので、基材フィルムとの接着性に優れ、かつ高い透明性を維持できる。
 酸構造としては、例えば、カルボキシル基(-COOH)、スルホ基(-SOH)等の酸基などを挙げることができる。また、酸構造は、ポリウレタンにおいて側鎖に存在していてもよく、末端に存在していてもよい。酸構造は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 酸構造の量としては、塗工液における酸価として、好ましくは20mgKOH/g以上、更に好ましくは25mgKOH/g以上であり、好ましくは250mgKOH/g以下、更に好ましくは150mgKOH/g以下である。酸価を前記範囲の下限値以上にすることによりポリウレタンの水分散性を良好にできる。また、上限値以下にすることにより、塗工層の耐水性を良好にできる。
 ポリウレタンに酸構造を導入する方法としては、例えば、ジメチロールアルカン酸を、前記(2)から(4)に記載した(i)成分の一部もしくは全部と置き換えることによって、予めポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等にカルボキシル基を導入する方法が挙げられる。ここで用いられるジメチロールアルカン酸としては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸などが挙げられる。ジメチロールアルカン酸は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 ポリウレタンが含む酸構造の一部又は全部は、不揮発性塩基によって中和されていてもよい。酸構造が中和されていることにより、複層フィルムは、高温下に曝された熱履歴を有しても、光学材料としての特性を維持したり、他の部材と強い接着力で接着したりすることが可能である。また、酸構造を中和しても、界面活性剤を使用せずに、若しくは界面活性剤の量が少なくても、ポリウレタンを粒子状に水中で分散させることは可能である。
 ポリウレタンが含む酸構造のうち、中和される酸構造の割合は、20%以上が好ましく、50%以上が特に好ましい。酸構造のうちの20%以上が中和されることにより、複層フィルムが高温下に曝された熱履歴を有しても、光学材料としての特性を維持したり、他の部材と強い接着力で接着したりすることが可能である。
 ポリウレタンは、架橋剤との反応を可能にするため、極性基を含むことが好ましい。極性基としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホ基などが挙げられる。中でも、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基が好ましく、水酸基及びカルボキシル基が更に好ましく、カルボキシル基が特に好ましい。ポリウレタン中の極性基の量は、好ましくは0.0001当量/1kg以上、更に好ましくは0.001当量/1kg以上であり、好ましくは1当量/1kg以下である。
 ポリウレタンとしては、水系ウレタン樹脂として市販されているものを用いてもよい。水系ウレタン樹脂は、ポリウレタン及び水を含む組成物であり、通常、ポリウレタン及び必要に応じて含まれる任意の成分が水の中に分散している組成物である。水系ウレタン樹脂としては、例えば、ADEKA社製の「アデカボンタイター」シリーズ、三井化学社製の「オレスター」シリーズ、DIC社製の「ボンディック」シリーズ、「ハイドラン(WLS201,WLS202など)」シリーズ、バイエル社製の「インプラニール」シリーズ、花王社製の「ポイズ」シリーズ、三洋化成工業社製の「サンプレン」シリーズ、第一工業製薬社製の「スーパーフレックス」シリーズ、楠本化成社製の「NEOREZ(ネオレッズ)」シリーズ、ルーブリゾール社製の「Sancure」シリーズなどを用いることができる。また、ポリウレタンは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 塗工液が含みうる重合体のガラス転移温度は、好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上、特に好ましくは60℃以上であり、好ましくは150℃以下、更に好ましくは125℃以下、特に好ましくは100℃以下である。重合体のガラス転移温度を前記範囲の下限値以上にすることにより、製造工程においてオーブンから出た後にオーブン下流の搬送ロールを汚染すること抑制できる。また、重合体のガラス転移温度を前記範囲の上限値以下にすることにより、複層フィルムのカールを抑制できる。
 塗工液中における重合体の状態は任意であり、粒子状になって分散していてもよく、溶媒等に溶解していてもよい。例えば、重合体としてポリウレタンを用いる場合には、ポリウレタンは、粒子状となって分散していることが多い。この場合、ポリウレタンの粒子の平均粒子径は、複層フィルムの光学特性の観点から、0.01μm~0.4μmであることが好ましい。
 〔4.2.溶媒〕
 塗工液が含みうる溶媒としては、例えば、水又は水溶性の溶媒を用いる。水溶性の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。中でも、溶媒としては、水を用いることが好ましい。溶媒として水を用いた場合、塗工液は通常は重合体を含む樹脂の水分散体となる。溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 溶媒の量は、通常は、塗工液の固形分の濃度を所望の範囲に収められるように設定する。ここで、塗工液の固形分とは、塗工液の乾燥を経て残留する成分のことをいう。前記の所望の範囲は、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは1.5重量%以上、特に好ましくは2重量%以上であり、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは重量8%以下、特に好ましくは6重量%以下である。これにより、塗工液の粘度を好適な範囲に調整できるので、塗工液の取り扱い性及び塗工性を良好にできる。
 〔4.3.架橋剤〕
 塗工液は、更に架橋剤を含みうる。架橋剤は、重合体が有する反応性の基と反応して結合を形成することにより、重合体を架橋させうる。したがって、例えば、塗工液を基材フィルムに塗工した後で重合体を架橋させることにより、塗工層と基材フィルムとの接着性、並びに、塗工層の機械的強度及び耐湿熱性を向上させることができる。例えば重合体としてポリウレタンを用いた場合、通常は、架橋剤は、前記酸構造として含まれるカルボキシル基及びその無水物基、並びに、(i)成分と(ii)成分との反応後に未反応で残った水酸基などのような、極性基と反応して架橋構造を形成しうる。
 架橋剤としては、例えば、塗工液が含む重合体が有する反応性の基と反応して結合を形成しうる官能基を、1分子内に2個以上有する化合物を用いうる。中でも、架橋剤としては、カルボキシル基又はその無水物基と反応しうる官能基を有する化合物が好ましい。
 架橋剤の具体例を挙げると、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。また、架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 エポキシ化合物としては、1分子内に2個以上のエポキシ基を有する多官能のエポキシ化合物を用いうる。中でも、エポキシ化合物としては、水に溶解性があるか、または水に分散してエマルジョン化しうるものが好ましい。エポキシ基が水に溶解性を有するか又はエマルジョン化しうるものであれば、塗工液が水系樹脂である場合に、その水系樹脂の塗工性を良好にできるので、塗工層の製造を容易に行うことが可能となる。ここで、水系樹脂とは、重合体等の固形分を、水等の水系の溶媒に溶解又は分散した状態で含有する流体状の樹脂のことをいう。
 エポキシ化合物の例を挙げると、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類1モルと、エピクロルヒドリン2モルとのエーテル化によって得られるジエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類1モルと、エピクロルヒドリン2モル以上とのエーテル化によって得られるポリエポキシ化合物;フタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸1モルと、エピクロルヒドリン2モルとのエステル化によって得られるジエポキシ化合物;などが挙げられる。
 より具体的にエポキシ化合物の例を挙げると、1,4-ビス(2’,3’-エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5-トリグリシジルイソシアヌレート、1,3-ジクリシジル-5-(γ-アセトキシ-β-オキシプロピル)イソシヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロ-ルポリグルシジルエーテル、1,3,5-トリグリシジル(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類およびトリメチロ-ルプロパンポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。
 また、エポキシ化合物の例を市販品で挙げると、ナガセケムテックス社製の「デナコール(デナコールEX-521,EX-614Bなど)」シリーズ等を挙げることができる。
 エポキシ化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 エポキシ化合物の量は、塗工液が含む重合体100重量部に対し、好ましくは5重量部以上、更に好ましくは7重量部以上、特に好ましくは10重量部以上であり、好ましくは50重量部以下、更に好ましくは40重量部以下、特に好ましくは30重量部以下である。エポキシ化合物の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、エポキシ化合物と重合体との反応が十分に進行するので、塗工層の機械的強度を適切に向上させることができる。また、エポキシ化合物の量を前記範囲の上限値以下にすることにより、未反応のエポキシ化合物の残留を少なくでき、塗工層の機械的強度を適切に向上させることができる。
 また、塗工液が含む重合体の極性基と当量になるエポキシ化合物の量に対し、塗工液が含むエポキシ化合物の量は、重量基準で、好ましくは0.2倍以上、更に好ましくは0.4倍以上、特に好ましくは0.6倍以上であり、好ましくは1.4倍以下、更に好ましくは1.2倍以下、特に好ましくは1.0倍以下である。ここで、重合体の極性基と当量になるエポキシ化合物の量とは、重合体の極性基の全量と過不足無く反応できるエポキシ化合物の理論量をいう。塗工液が含む重合体の極性基は、エポキシ化合物のエポキシ基と反応しうる。よって、塗工液が含むエポキシ化合物の量を前記範囲に収めることにより、極性基とエポキシ化合物との反応を適切な程度に進行させて、塗工層の機械的強度を効果的に向上させることができる。
 カルボジイミド化合物としては、1分子内にカルボジイミド基を2以上有する化合物を用いうる。このカルボジイミド化合物は、原料として有機モノイソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等の有機イソシアネートを用いて製造されうる。これらの有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が挙げられる。したがって、有機イソシアネートが有する有機基としては、芳香族及び脂肪族のいずれを用いてもよく、また、芳香族の有機基及び脂肪族の有機基を組み合わせて用いてもよい。中でも、反応性の観点から、脂肪族の有機基を有する有機イソシアネートが特に好ましい。通常、カルボジイミド化合物は、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。
 有機イソシアネートの具体例を挙げると、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート等の有機ジイソシアネート;イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等の有機モノイソシアネートが挙げられる。
 カルボジイミド化合物の例を市販品で挙げると、日清紡ケミカル社製の「カルボジライト(カルボジライトV-02、V-02-L2、SV-02、V-04、E-02など)」シリーズを市販品として入手可能である。
 カルボジイミド化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 カルボジイミド化合物の量は、塗工液が含む重合体100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、更に好ましくは3重量部以上であり、好ましくは40重量部以下、更に好ましくは30重量部以下である。カルボジイミド化合物の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、カルボジイミド化合物と重合体との反応が十分に進行するので、塗工層の機械的強度を適切に向上させることができる。また、カルボジイミド化合物の量を前記範囲の上限値以下にすることにより、未反応のカルボジイミド化合物の残留を少なくでき、塗工層の機械的強度を適切に向上できる。
 オキサゾリン化合物としては、下記式(I)で示されるオキサゾリン基を有する重合体を用いうる。下記式(I)において、R、R、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群より選ばれるいずれかを表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 このオキサゾリン化合物は、例えば、付加重合性オキサゾリンと、必要に応じて任意の不飽和単量体とを含む単量体成分を、公知の重合法により水性媒体中で溶液重合することにより製造しうる。付加重合性オキサゾリンとしては、例えば、下記式(II)で示される化合物が挙げられる。下記式(II)において、R、R、R及びRは、式(I)における定義と同様である。また、Rは、付加重合性の不飽和結合を有する、非環状の有機基を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 付加重合性オキサゾリンの具体例を挙げると、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等が挙げられる。また、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、2-イソプロペニル-2-オキサゾリンが、工業的にも入手し易く好適である。
 前記付加重合性オキサゾリンの量は、オキサゾリン化合物の製造に用いる全単量体成分100重量部に対して、好ましくは3重量部以上である。これにより、オキサゾリン化合物を含む塗工液を硬化させた場合に硬化を十分に進めることができ、耐久性及び耐水性に優れた塗工層を得ることができる。
 オキサゾリン化合物の製造に用いうる任意の不飽和単量体としては、付加重合性オキサゾリンと共重合可能であり、かつ、オキサゾリン基と反応しない任意の単量体を用いうる。このような任意の不飽和単量体は、上述した単量体から任意に選択して用いうる。
 オキサゾリン化合物の例を市販品で挙げると、水溶性タイプでは、日本触媒社製のエポクロスWS-500及びWS-700が挙げられる。また、例えばエマルションタイプでは、日本触媒社製のエポクロスK-2010、K-2020及びK-2030が挙げられる。これらの中でも、塗工液が含む重合体との反応性の高い水溶性タイプが好ましい。
 また、オキサゾリン化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 オキサゾリン化合物の量は、塗工液が含む重合体が有する極性基とオキサゾリン化合物が有するオキサゾリン基とのモル比(極性基のモル数/オキサゾリン基のモル数)が、所定の範囲に収まるように設定しうる。具体的には、前記のモル比が、100/20~100/100となるように設定しうる。前記のモル比を前記範囲の下限値以上にすることにより、未反応の極性基が残ることを抑制できる。また、前記のモル比を前記範囲の上限値以下にすることにより、余剰のオキサゾリン基の発生を抑制して、親水基が過剰となることを抑制できる。
 さらに、塗工液が含む重合体がカルボキシル基を有し、且つ、そのカルボキシル基が中和されている場合には、重合体とオキサゾリン化合物との反応において、オキサゾリン基とカルボン酸塩とが反応しにくい。そこで、中和に用いる不揮発性塩基の種類及び不揮発性の程度を調整することで、その反応性をコントロールすることができる。
 イソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物を用いうる。これらのイソシアネート化合物は、脂肪族化合物でもよく、脂環式化合物でもよく、芳香族化合物でもよい。イソシアネート化合物の具体例としては、ポリウレタンの原料として説明した(ii)成分と同様の例が挙げられる。
 前記の架橋剤の中でも、エポキシ化合物及びカルボジイミド化合物が好ましく、エポキシ化合物が特に好ましい。エポキシ化合物を架橋剤として用いると、塗工層と基材フィルムとの接着性を特に大きく向上させることができる。また、カルボジイミド化合物を架橋剤として用いると、塗工液のポットライフを改善することができる。
 〔4.4.硬化促進剤〕
 塗工液は、上述した架橋剤に組み合わせて、硬化促進剤を含みうる。例えば、架橋剤としてエポキシ化合物を用いる場合、硬化促進剤としては、第3級アミン系化合物(4-位に3級アミンを有する2,2,6,6-テトラメチルピペリジル基を有する化合物を除く)、三弗化ホウ素錯化合物などが好適である。また、硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 硬化促進剤の量は、塗工液が含む重合体100重量部に対して、好ましくは0.001重量部以上、更に好ましくは0.01重量部以上、特に好ましくは0.03重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、更に好ましくは10重量部以下、特に好ましくは5重量部以下である。
 〔4.5.硬化助剤〕
 塗工液は、上述した架橋剤に組み合わせて、硬化助剤を含みうる。硬化助剤の具体例を挙げると、キノンジオキシム、ベンゾキノンジオキシム、p-ニトロソフェノール等のオキシム・ニトロソ系硬化助剤;N,N-m-フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系硬化助剤;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系硬化助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のメタクリレート系硬化助剤;ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン等のビニル系硬化助剤;等が挙げられる。また、硬化助剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 硬化助剤の量は、架橋剤100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、更に好ましくは10重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、更に好ましくは50重量部以下である。
 〔4.6.不揮発性塩基〕
 塗工液は、更に不揮発性塩基を含みうる。不揮発性塩基としては、塗工液を基材フィルムに塗工した後に乾燥させる際の処理条件下(例えば80℃で1時間放置した場合)において、実質的に不揮発性である塩基が挙げられる。ここで実質的に不揮発性であるとは、通常、不揮発性塩基の減少分が80%以下であることをいう。このような不揮発性塩基は、ポリウレタン等の重合体が含む酸構造を中和する中和剤として機能しうる。
 不揮発性塩基としては、無機塩基を用いてもよく、有機塩基を用いてよい。中でも、沸点100℃以上の有機塩基が好ましく、沸点100℃以上のアミン化合物が更に好ましく、沸点200℃以上のアミン化合物が特に好ましい。また、有機塩基は低分子化合物でもよく、重合体でもよい。
 不揮発性塩基の例を挙げると、無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。また、有機塩基としては、例えば、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ[(2-ヒドロキシ)-1-プロピル]アミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパン水酸化カリウム、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシカルボン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタール酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、シクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N-ジメチルホルムアミド、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンペンタミン、イソプロパノールアミン、N,N-ジエチルメタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N-メチル-N-N-ジエタノールアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、アミノ樹脂(例えば、1,3-ジメチル-4-クロロ-メラミン樹脂、ユリア樹脂、グアナミン樹脂等)などが挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 不揮発性塩基の量は、塗工液が含む重合体100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上、特に好ましくは2重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下、特に好ましくは10重量部以下である。不揮発性塩基の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、十分な接着力を得ることができる。また、不揮発性塩基の量を前記範囲の上限値以下にすることにより、ポリビニルアルコール製の偏光子の色抜けの防止ができる。
 〔4.7.粒子〕
 塗工液は、更に粒子を含みうる。粒子としては、無機材料からなる無機粒子、有機材料からなる有機粒子、並びに、無機材料と有機材料とを組み合わせて含む複合粒子のいずれを用いてもよい。ただし、塗工層の形成を容易に行う観点から、水分散性の粒子を用いることが好ましい。無機粒子の材料を挙げると、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等の無機酸化物;炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、燐酸カルシウム等が挙げられる。また、有機粒子の材料を挙げると、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 これらの例示した粒子の材料の中でも、シリカが好ましい。シリカの粒子は、シワの発生を抑制する能力及び透明性に優れ、内部ヘイズを生じ難く、着色が無いため、複層フィルムの光学特性に与える影響が小さい。また、シリカは、塗工液中での分散性および分散安定性が良好である。シリカの粒子の中でも、非晶質コロイダルシリカ粒子が特に好ましい。
 前記のようなシリカ粒子としては、市販品を用いてもよい。市販品の例を挙げると、日本触媒社製の、エポスターMX-050W(平均粒子径80nm)、シーホスターKE-W10(平均粒子径110nm)、エポスターMX-100W(平均粒子径150nm~200nm);日産化学社製のスノーテックスMP-2040(平均粒子径150nm~200nm)などが挙げられる。
 塗工液が粒子を含む場合には、粒子の径を調整することにより、当該塗工液を用いて形成される塗工層の表面に突起を形成することができる。このような突起を形成することにより、塗工層の表面の滑り性を良好にできる。この際、粒子の径と突起の高さとの間には通常は相関があるので、粒子の径は、塗工液の層の表面に求められる滑り性に応じて設定しうる。
 中でも、150nm未満の平均粒子径を有する粒子(S)と、150nm以上の平均粒子径を有する粒子(L)とを組み合わせて用いることが好ましい。
 粒子(S)の平均粒子径は、好ましくは20nm以上、更に好ましくは30nm以上、特に好ましくは40nm以上であり、好ましくは150nm未満、更に好ましくは140nm以下、特に好ましくは130nm以下である。粒子(S)の平均粒子径を前記範囲の下限値以上にすることにより、塗工層の表面に突起を安定して形成できるので、塗工層の表面の滑り性を効果的に高めることができる。また、粒子(S)の平均粒子径を前記範囲の上限値以下にすることにより、粒子による塗工層の内部ヘイズの増大を抑制できる。
 粒子(S)の平均粒子径は、塗工層の厚みに対して、好ましくは3倍以上、更に好ましくは4倍以上、特に好ましくは5倍以上であり、好ましくは10倍以下、更に好ましくは8倍以下、特に好ましくは7倍以下である。粒子(S)の平均粒子径を前記範囲の下限値以上にすることにより、塗工層の表面に突起を安定して形成できるので、塗工層の表面の滑り性を効果的に高めることができる。また、粒子(S)の平均粒子径を前記範囲の上限値以下にすることにより、粒子による塗工層の内部ヘイズの増大を抑制できる。
 粒子(S)の量は、塗工液が含む重合体100重量部に対し、好ましくは2重量部以上、更に好ましくは3重量部以上、特に好ましくは5重量部以上であり、好ましくは24重量部以下、更に好ましくは20重量部以下、特に好ましくは18重量部以下である。粒子(S)の量を前記の範囲に収めることにより、塗工層の内部ヘイズの増大を抑制しながら、塗工層の表面の滑り性を高めることができる。
 粒子(L)の平均粒子径は、好ましくは150nm以上、更に好ましくは160nm以上、特に好ましくは170nm以上であり、且つ、好ましくは250nm以下、更に好ましくは230nm以下、特に好ましくは200nm以下である。粒子(L)の平均粒子径を前記範囲の下限値以上にすることにより、塗工層の表面の滑り性を効果的に高めることができる。また、粒子(L)の平均粒子径を前記範囲の上限値以下にすることにより、塗工層の内部ヘイズを小さくできる。
 粒子(L)の平均粒子径は、塗工層の厚みに対して、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上、特に好ましくは4倍以上であり、好ましくは10倍以下、より好ましくは8倍以下、特に好ましくは7倍以下である。粒子(L)の平均粒子径を前記範囲の下限値以上にすることにより、塗工層の表面の滑り性を効果的に高めることができる。また、粒子(L)の平均粒子径を前記範囲の上限値以下にすることにより、塗工層の内部ヘイズを小さくできる。
 粒子(S)の平均粒子径と粒子(L)の平均粒子径との差は、好ましくは70nm以上、より好ましくは100nm以上、特に好ましくは120nm以上であり、好ましくは200nm以下、より好ましくは180nm以下、特に好ましくは160nm以下である。粒子(S)の平均粒子径と粒子(L)の平均粒子径との差を前記範囲に収めることにより、塗工層の内部ヘイズの増大を抑制しながら、塗工層の表面の滑り性を高めることができる。
 粒子(L)の量は、塗工液が含む重合体100重量部に対し、好ましくは5重量部以上、更に好ましくは6重量部以上、特に好ましくは7重量部以上であり、好ましくは20重量部以下、更に好ましくは18重量部以下、特に好ましくは15重量部以下である。粒子(L)の量を前記の範囲に収めることにより、塗工層の内部ヘイズの増大を抑制しながら、塗工層の表面の滑り性を高めることができる。
 粒子(L)の量と粒子(S)の量との差は、塗工液が含む重合体100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上、特に好ましくは2重量部以上であり、好ましくは25重量部以下、更に好ましくは20重量部以下、特に好ましくは15重量部以下である。粒子(L)の量と粒子(S)の量との差を前記の範囲に収めることにより、塗工層の内部ヘイズの増大を抑制しながら、塗工層の表面の滑り性を高めることができる。
 〔4.8.濡れ剤〕
 塗工液は、更に濡れ剤を含みうる。濡れ剤を用いることにより、塗工液を基材フィルムに塗工する際の塗工性を良好にできる。
 濡れ剤としては、例えば、アセチレン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を用いることができる。アセチレン系界面活性剤としては、例えば、エアープロダクツアンドケミカルズ社製サーフィノールシリーズ、ダイノールシリーズ等を用いることができる。また、フッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC社製メガファックシリーズ、ネオス社製フタージェントシリーズ、AGC社製サーフロンシリーズ等を用いることができる。濡れ剤としては、重ね塗り性の観点から、アセチレン系界面活性剤を用いることが好ましい。
 また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 濡れ剤の量は、塗工液に含まれる固形分に対して、好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.05重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは4重量部以下、特に好ましくは3重量%以下である。濡れ剤の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、十分な塗工性を得ることができる。また、濡れ剤の量を前記範囲の上限値以下にすることにより、濡れ剤のブリードアウトを抑制でき、更には重ね塗り性を良好にできる。
 〔4.9.その他の成分〕
 塗工液は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した以外の成分を含みうる。このような成分としては、例えば、耐熱安定剤、耐候安定剤、レベリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックスなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 〔4.10.塗工液の粘度〕
 塗工液は、塗工に適した範囲の粘度を有することが好ましい。塗工液の具体的な粘度は、20mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以下が更に好ましく、5mPa・s以下が特に好ましい。また、塗工液の粘度は、例えば、0.5mPa・s以上でありうる。ここで、前記の粘度は、音叉型振動式粘度計により25℃の条件下で測定した値である。この粘度は、例えば、溶媒の割合及び粒子の粒径などによって調整しうる。
[5.複層フィルム]
 上述した製造方法で製造される複層フィルムは、基材フィルム及び塗工層を備える。この複層フィルムにおいて、塗工層は、上述したように、フィルム幅方向における厚みの均一性に優れる。そのため、この複層フィルムの塗工層は、フィルム幅方向における塗工層の厚みのバラツキが小さい。ここで、塗工層の厚みのバラツキとは、塗工層の厚みの最大値と最小値との差を表す。
 また、上述した製造方法によれば、塗工層の厚みを薄くすることが可能である。塗工層の具体的な厚みは、好ましくは10nm以上、更に好ましくは15nm以上、特に好ましくは20nm以上であり、好ましくは150nm以下、更に好ましくは100nm以下、特に好ましくは70nm以下である。
 さらに、上述した製造方法で製造される複層フィルムでは、塗工層の幅を広くすることが可能である。塗工層の具体的な幅は、好ましくは1000mm以上、更に好ましくは1400mm以上、特に好ましくは1700mm以上である。
 光学フィルムとしての機能を安定して発揮させる観点から、複層フィルムの全光線透過率は高いことが好ましい。具体的には、複層フィルムの1mm厚換算での全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、全光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計「V-570」)を用いて測定しうる。
 複層フィルムの内部ヘイズは、小さいことが好ましい。具体的には、複層フィルムの内部ヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。ここで、複層フィルムの内部ヘイズは、下記の方法により測定しうる。
 高さ55mm、幅36mm、光路長10mmの石英セルを用意する。この石英セル内に、シリコーンオイルを充填する。このシリコーンオイル中に複層フィルムを入れて、測定試料を得る。このように用意した測定試料を用いて、ヘイズメーターによって、複層フィルムの内部ヘイズを測定しうる。
 複層フィルムは、面内方向又は厚み方向にレターデーションを有する位相差フィルムであってもよい。具体的なレターデーションの範囲は、複層フィルムの用途に応じて設定しうる。具体的な範囲を挙げると、通常は、面内レターデーションReで10nm~500nm、厚み方向のレターデーションRthで-500nm~500nmの範囲から適宜選択される。
 複層フィルムは、面内レターデーションReのバラツキが、好ましくは10nm以下、更に好ましくは5nm以下、特に好ましくは2nm以下である。面内レターデーションReのバラツキを前記範囲にすることにより、複層フィルムを液晶表示装置用の位相差フィルムとして用いた場合に、表示品質を良好なものにすることが可能になる。ここで、面内レターデーションReのバラツキは、光入射角0°の時の面内レターデーションReを、フィルムの幅方向に測定したときの、その面内レターデーションReの最大値と最小値との差である。また、光入射角0°の時とは、入射光線とフィルムの表面とが直交する状態であるときを表す。
 基材フィルムと塗工層との界面の屈折率差は、0.00~0.05であることが好ましい。この屈折率差が前記範囲内にあると、複層フィルムを光が透過する際の光の損失を抑えることができる。
 複層フィルムの残留揮発性成分の量は、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下である。揮発性成分の量を前記範囲にすることにより、寸法安定性が向上し、複層フィルムの面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthの経時変化を小さくすることができる。
 また、複層フィルムは、基材フィルム及び塗工層に組み合わせて、任意の層を備えていてもよい。複層フィルムが任意の層を備える場合、塗工層の形成後に、任意の層を設ける工程を行ってもよい。
 複層フィルムは、光学フィルムとして使用しうる。複層フィルムの用途となる光学フィルムの例を挙げると、保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムなどが挙げられる。中でも、複層フィルムは、位相差フィルム又は偏光板保護フィルムとして用いることが好ましく、偏光板保護フィルムとして用いることが特に好ましい。
 偏光板は、通常、偏光子と偏光板保護フィルムとを備える。したがって、複層フィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合には、通常、偏光子に複層フィルムを貼り合わせる。この際、通常、複層フィルムは、塗工層側の面で偏光子と貼り合わせる。
 複層フィルムと偏光子とを貼り合わせる際、接着剤層を介することなく直接に複層フィルムと偏光子とを貼り合せてもよく、接着剤層を介して貼り合せてもよい。さらに、偏光子の一方の面だけに複層フィルムを貼り合せてもよく、両方の面に貼り合せてもよい。偏光子の一方の面だけに複層フィルムを貼り合わせる場合、偏光子の他方の面には、透明性の高い別のフィルムを貼り合せてもよい。
 偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素若しくは二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって製造しうる。また、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素もしくは二色性染料を吸着させ延伸し、さらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって製造しうる。さらに、偏光子として、例えば、グリッド偏光子、多層偏光子、コレステリック液晶偏光子などの、偏光を反射光と透過光とに分離する機能を有する偏光子を用いてもよい。これらの中でも、ポリビニルアルコールを含む偏光子が好ましい。偏光子の偏光度は、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の平均厚みは、好ましくは5μm~80μmである。
 偏光子と複層フィルムとを接着するための接着剤としては、光学的に透明なものを用いうる。この接着剤としては、例えば、水性接着剤、溶剤型接着剤、二液硬化型接着剤、光硬化型接着剤、感圧性接着剤などが挙げられる。この中でも、水性接着剤が好ましく、特にポリビニルアルコール系の水性接着剤が好ましい。また、接着剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 複層フィルムと偏光子とを貼り合わせる方法に制限は無い。例えば、偏光子の一方の面に必要に応じて接着剤を塗工した後、ロールラミネーターを用いて偏光子と複層フィルムとを貼り合せ、必要に応じて乾燥又は紫外線等の光の照射を行う方法が好ましい。
 以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下の操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中にて行った。
[実施例1]
 (塗工液の製造)
 ポリウレタンの水分散体(第一工業製薬社製「スーパーフレックス210」)をポリウレタンの量で100部と、架橋剤としてエポキシ化合物(ナガセケムテックス社製「デナコールEX313」)15部と、不揮発性塩基としてアジピン酸ジヒドラジド2部と、滑材としてシリカ粒子の水分散液(日産化学社製「スノーテックスZL」;平均粒子径85nm)をシリカ粒子の量で10部と、濡れ剤としてアセチレン系界面活性剤(エアープロダクツアンドケミカル社製「サーフィノール440」)を固形分合計量に対して0.5重量%と、水とを配合して、固形分濃度4%の液状組成物を、塗工液として得た。
 (基材フィルムの製造)
 ノルボルネン重合体を含む脂環式オレフィン樹脂(日本ゼオン社製「ZEONOR」;ガラス転移温度126℃)のペレットを、100℃で5時間乾燥した。このペレットを押出機に供給し、押出機内で溶融させ、ポリマーパイプ及びポリマーフィルターを経て、Tダイからキャスティングドラム上にシート状に押し出し、冷却して、厚み80μm、幅2100mmの長尺の基材フィルムを得た。
 (複層フィルムの製造)
 図7は、本発明の実施例1で用いた複層フィルム10の製造装置90を模式的に示す正面図である。図7に示すように、第一延伸機100を備えないこと以外は上述した実施形態において説明した製造装置20と同様に設けられた製造装置90を用意した。この製造装置90を用いて、基材フィルム30をそのフィルム長手方向に搬送しながら、下記の手順により複層フィルム10を製造した。
 前記の基材フィルム30を、表面処理装置200としてのコロナ処理装置(春日電機社製)に搬送した。表面処理装置200では、出力450W、電極長2000mm、搬送速度30m/minの条件で、基材フィルム30の表面30Uに、表面処理としてコロナ放電処理を施した。
 その後、表面処理を施された基材フィルム30を、塗工装置300に搬送した。塗工装置300は、図3に示すように、長さL310=1530mmの塗工ロール310を備えていた。また、塗工装置300において、塗工ロール310は、基材フィルム30の搬送方向と同じ向きに周速30m/minで回転するように設定した。そして、この塗工ロール310によって、塗工装置300に搬送されてきた基材フィルム30の表面30Uに、塗工液40を塗工して、塗工液の層50を形成した。
 その後、塗工液40を塗工された基材フィルム30を、掻取装置400に搬送した。掻取装置400は、図3に示すように、長さL410=1550mm、直径40mmの掻取ロール410と、掻取ロール410の軸方向の一側に2mmの間隙C1を空けて設けられた長さL430=50mm、直径42mmのコロロール430と、掻取ロール410の軸方向の他側に2mmの間隙C2を空けて設けられた長さL440=50mm、直径42mmのコロロール440と、を備えていた。また、掻取装置400において、掻取ロール410は、基材フィルム30の搬送方向と逆方向に回転速度8.5rpmで回転するように設定した。他方、コロロール430及び440は、基材フィルム30の搬送方向と同じ向きに、基材フィルム30の搬送速度と同じ周速(30m/min)で回転するように設定した。そして、コロロール430及び440で基材フィルム30のフィルム幅方向の両端部31及び32を支持しながら、掻取ロール410によって、乾燥厚み45nmの塗工層70が得られるように、基材フィルム30の表面30Uに塗工された塗工液40の一部を掻き取って、塗工液の層50の厚みの調整を行った。
 その後、図7に示すように、塗工液の層50の厚みを調整された基材フィルム30を、クリップを備えるテンター延伸機(図示せず)及びオーブン510を備えた第二延伸装置500に搬送した。この第二延伸装置500においては、前記クリップで基材フィルム30の幅方向の両端部31及び32を把持し、延伸温度139℃、延伸倍率1.50倍で、フィルム幅方向に連続的に延伸処理を施した。この延伸処理の際、基材フィルム30上では、塗工液の層50が加熱されて硬化し、塗工層70が形成された。これにより、基材フィルム30及び塗工層70を備える複層フィルム10を得た。
 こうして得られた複層フィルム10のフィルム幅方向の両端部31及び32を裁断して除去し、残りの部分(両端部31及び32を除く部分)を回収した。複層フィルム10の回収した部分を観察したところ、その表面30Uのフィルム幅方向の全体に、塗工層70が形成されていた。干渉式膜厚計(大塚電子社製)を用いて、塗工層70の厚みをフィルム幅方向にわたって測定したところ、フィルム幅方向の中央にある中央測定点での厚みは47nmであり、前記中央測定点からフィルム幅方向に615mmの端部測定点での厚みは44nmであった。
[比較例1]
 掻取装置400からコロロール430及び440を取り外したこと以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムの製造を行った。
 製造された複層フィルム10のフィルム幅方向の両端部31及び32を裁断して除去し、残りの部分(両端部31及び32を除く部分)を回収した。複層フィルム10の回収した部分を観察したところ、その表面30Uのフィルム幅方向の全体に、塗工層70が形成されていた。干渉式膜厚計(大塚電子社製)を用いて、塗工層70の厚みをフィルム幅方向にわたって測定したところ、フィルム幅方向の中央にある中央測定点での厚みは51nmであり、前記中央測定点からフィルム幅方向に615mmの端部測定点での厚みは39nmであった。
[結果]
 前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
[検討]
 表1から分かるように、実施例1においては、比較例1に比べて、フィルム幅方向における塗工層の厚みの均一性が良好である。以上の結果から、本発明の製造方法により、フィルム幅方向における塗工層の厚みの均一性に優れる複層フィルムを製造できることが確認された。
 10 複層フィルム
 20 製造装置
 30 基材フィルム
 31及び32 基材フィルムのフィルム幅方向の端部
 40 塗工液
 50 塗工液の層
 51 塗工液の液溜まり
 60 繰出しロール
 70 塗工層
 80 フィルムロール
 100 第一延伸装置
 110 オーブン
 200 表面処理装置
 300 塗工装置
 310 塗工ロール
 320 供給器
 400 掻取装置
 410 掻取ロール
 420 回収器
 430 コロロール
 440 コロロール
 450 回転軸
 500 第二延伸装置
 510 オーブン

Claims (6)

  1.  搬送される基材フィルムに塗工液を塗工する工程と、前記基材フィルムに塗工された前記塗工液の一部を掻き取る工程と、を含む、複層フィルムの製造方法であって、
     前記掻き取る工程が、
     前記基材フィルムの搬送方向に対して同じ向き又は逆向きで回転する第一ロールによって、前記基材フィルムに塗工された前記塗工液の一部を掻き取ることと、
     前記第一ロールの軸方向の一側に設けられた第二ロール、及び、前記第一ロールの軸方向の他側に設けられた第三ロールによって、前記基材フィルムを支持することと、を含む、複層フィルムの製造方法。
  2.  前記第一ロールの回転が、前記基材フィルムの搬送方向に対して逆向きである、請求項1記載の複層フィルムの製造方法。
  3.  前記第一ロールの径よりも、前記第二ロールの径及び前記第三ロールの径が、大きい、請求項1又は2記載の複層フィルムの製造方法。
  4.  前記第一ロールと前記第二ロールとの間に、間隙が空いていて、
     前記第一ロールと前記第三ロールとの間に、間隙が空いている、請求項1~3のいずれかに記載の複層フィルムの製造方法。
  5.  搬送される基材フィルムに塗工液を塗工しうる塗工装置と、前記基材フィルムに塗工された塗工液の一部を掻き取りうる掻取装置とを備え、
     前記掻取装置が、
     前記基材フィルムの搬送方向に対して同じ向き又は逆向きで回転可能に設けられ、前記基材フィルムの表面に塗工された前記塗工液の一部を掻き取りうる第一ロールと、
     前記第一ロールの軸方向の一側に設けられ、前記基材フィルムを支持しうる第二ロールと、
     前記第一ロールの軸方向の他側に設けられ、前記基材フィルムを支持しうる第三ロールと、を備える、複層フィルムの製造装置。
  6.  前記第一ロールは、前記基材フィルムの搬送方向に対して逆向きで回転可能に設けられている、請求項5記載の複層フィルムの製造装置。
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