JP6554852B2 - 偏光子保護フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物からなる偏光子フィルムに関し、特にはこれを用いた偏光板、それを少なくとも1枚用いた画像表示装置に関する。
液晶表示装置をはじめとする各種画像表示装置には、その画像形成方式から画像表示パネルを形成する基板の片面または両面に偏光板を配置することが必要である。一般に、偏光板はヨウ素を含有させたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子に、接着剤又は粘着剤を介して、トリアセチルセルロース等のセルロース系フィルムを偏光子保護フィルムとして貼合させたものが用いられている。
セルロース系フィルムは、耐湿熱性が十分ではなく、これを偏光子保護フィルムとして用いた偏光板を高湿熱環境で使用したり、画像表示装置全体が薄型化して光源等の熱源との距離が近くなる構成になったりすると、膨張変形したり、偏光度や色差等の偏光板特性を損なうことがある。また、セルロース系フィルムは、斜め方向の入射角に対して位相差を生じるため、特に大型の液晶画像表示装置においては視野角特性に顕著な影響をあたえることがある。
こうしたセルロース系フィルムの課題に対して、耐熱性と光学的透明性に優れた材料として、メタアクリル系樹脂やラクトン環構造を有するメタアクリル系樹脂からなるフィルムが提案されている。
特開2000−356714号公報 特開2002−258051号公報 特開2001−151814号公報
しかしながら、これらメタアクリル系フィルムは、硬く脆いため表層に脆弱な層を形成しやすい。このためフィルムを引き取り、スリットや貼合等の後工程を経る中で、傷付きや裂け等が起こりやすい欠点があり、薄肉化するほどそれが顕著になる。
本発明の目的は、上記従来の問題点を解消し、薄肉成形性(フィルム成形性)、耐衝撃性、表面硬度、耐湿熱性、光学歪み等の外観品質に優れた偏光子保護フィルムを提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを有するポリカーボネート樹脂を含有する樹脂組成物からなるフィルムが、薄肉化しても脆さが際立つことが無いため加工工程での傷付きや破損ロスが少なく、耐熱性や異物欠点等の外観品質に優れることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
[1]下記一般式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを有し、
ポリカーボネート樹脂を構成するジヒドロキシ化合物の全構造単位のうち前記構造単位(a)が占める割合が、40モル%以上であるポリカーボネート樹脂を含有する樹脂組成物からなる偏光子保護フィルム。
Figure 0006554852
[2]前記ポリカーボネート樹脂中の構造単位(b)が、下記式(2)〜(5)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位よりなる群から選ばれる何れかの構造単位であることを特徴とする[1]に記載の偏光子保護フィルム。
HO−R−OH (2)
(式(2)中、Rは炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を表す。)
HO−CH−R−CH−OH (3)
(式(3)中、Rは炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を表す。)
H−(O−R−OH (4)
(式(4)中、Rは炭素数2〜10の置換若しくは無置換のアルキレン基を表し、pは2〜100の整数である。)
HO−R−OH (5)
(式(5)中、Rは炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基、又は置換若しくは無置換のアセタール環を有する基を表す。)
[3]前記ポリカーボネート樹脂を構成するジヒドロキシ化合物由来の全構造単位のうち前記構造単位(a)が占める割合が、50モル%以上である、[1]または[2]に記載の偏光子保護フィルム。
[4]前記ポリカーボネート樹脂の数平均分子量が17000以下である、[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の偏光子保護フィルム。
[5]前記樹脂組成物が、リチウム化合物及び長周期型周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を含有する、[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の偏光子保護フィルム。
[6]前記樹脂組成物を溶融製膜法により1μm以上100μm以下の厚さに押出成形してなる、[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の偏光子保護フィルム。
[7][1]乃至[6]のいずれか1項に記載の偏光子保護フィルムを、偏光子の少なくとも片面に貼合してなる偏光板。
[8][7]に記載の偏光板を少なくとも1枚積層してなる画像表示装置。
本発明によれば、薄肉化しても脆さが際立つこと無く、耐熱性や異物欠点等の外観品質に優れる偏光子保護フィルムを提供することが可能になる。
以下に本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明は、下記一般式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構
造単位(a)と、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを有し、
ポリカーボネート樹脂を構成するジヒドロキシ化合物の全構造単位のうち前記構造単位(a)が占める割合が、40モル%以上であるポリカーボネート樹脂を含有する樹脂組成物からなる偏光子保護フィルム、およびそれを用いた偏光板、画像表示装置に関する。
Figure 0006554852
(1)ポリカーボネート樹脂及びそれに基づく樹脂組成物
本発明を構成するポリカーボネート樹脂及びそれに基づく樹脂組成物について詳述する。
[ポリカーボネート樹脂]
本発明のポリカーボネート樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(1)」と称す場合がある。)に由来する構造単位(a)と、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを有するポリカーボネート樹脂(以下、「本発明のポリカーボネート樹脂(A)」又は「ポリカーボネート樹脂(A)」と称す場合がある。)を含有することを特徴とする。
<ジヒドロキシ化合物(1)>
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、上記一般式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)(以下「構造単位(1)」と称す場合がある。)を含むものである。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)に含まれるジヒドロキシ化合物に由来する全構造単位のうち、構造単位(1)(即ち構造単位(a))が占める割合は、特に限定されないが、下限値としては通常40モル%以上、好ましくは45モル%以上、より好ましくは50モル%以上、特に好ましくは55モル%以上である。上限値としては通常90モル%以下、好ましくは85モル%以下、より好ましくは80モル%以下、特に好ましは75モル%以下である。この割合より多い場合、樹脂の脆さがとりわけ際立ち、溶融製膜法によるフィルム化や、そのフィルムを用いた組立工程において、工程内破損が頻発することが多くなる。この比率は、偏光子保護フィルムに要求される各種特性によって適宜調整することができる。
ジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位(1)を含有する本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、例えば、後述の本発明のポリカーボネート樹脂(A)の製造方法に従って、ジヒドロキシ化合物(1)の1種又は2種以上を用いて製造される。
ジヒドロキシ化合物(1)としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。
上記のジヒドロキシ化合物(1)のうち、資源として豊富に存在し、容易に入手可能であり、種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性の面から最も好ましい。
尚、イソソルビド等の環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物(1)は、酸素によって徐々に酸化されやすい。このため、保管や、製造時の取り扱いの際には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤を用いたり、窒素雰囲気
下で取り扱ったりすることが肝要である。イソソルビドが酸化されると、蟻酸をはじめとする分解物が発生し、例えば、これら分解物を含むイソソルビドを用いて本発明のポリカーボネート樹脂(A)を製造すると、得られるポリカーボネート樹脂(A)に着色が発生したり、物性を著しく劣化させたりする原因となる。また、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られないこともあり、好ましくない。
そこで、ジヒドロキシ化合物(1)には安定剤を用いることが好ましい。安定剤としては、還元剤、制酸剤、抗酸化剤、脱酸素剤、光安定剤、pH安定剤、熱安定剤等の安定剤を用いることが好ましく、特に酸性下ではジヒドロキシ化合物(1)が変質しやすいことから、塩基性安定剤を含むことが好ましい。このうち還元剤としては、ナトリウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド等が挙げられ、制酸剤としては水酸化ナトリウム等のアルカリが挙げられる。ただし、このようなアルカリ金属塩の添加は、添加したアルカリ金属がポリカーボネート樹脂(A)製造時の重合触媒となる場合があるので、過剰に添加し過ぎると重合反応を制御できなくなり、好ましくない。
塩基性安定剤としては、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族又は2族の金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硼酸塩、脂肪酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等のアミン系化合物が挙げられる。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、ナトリウム又はカリウムのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2ナトリウム、亜リン酸水素2ナトリウムが好ましい。
これら塩基性安定剤のジヒドロキシ化合物(1)中の含有量に特に制限はないが、少なすぎるとジヒドロキシ化合物(1)の変質を防止する効果が得られない可能性があり、多すぎるとジヒドロキシ化合物(1)の変性を招く場合があるので、通常、ジヒドロキシ化合物(1)に対して、0.0001重量%〜1重量%、好ましくは0.001重量%〜0.1重量%である。
これらの安定剤を添加したジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂(A)原料として用いると、安定剤の種類によっては、得られるポリカーボネート樹脂(A)に着色を発生したり、物性を著しく劣化させたりする場合がある。例えば、上記の塩基性安定剤を含有したジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂(A)の製造原料として用いると、塩基性安定剤自体が重合触媒となり、重合速度や品質の制御が困難になるだけでなく、初期色相の悪化を招き、結果的に得られるポリカーボネート樹脂(A)の成形品の耐光性を悪化させる。
このため、ジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂(A)の製造原料として使用する前に、塩基性安定剤等の安定剤は、イオン交換樹脂や蒸留等で除去することが好
ましい。
また、前述の如く、ジヒドロキシ化合物(1)の酸化分解生成物を含むジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂(A)の製造原料として使用すると、得られるポリカーボネート樹脂(A)の着色を招く可能性があり、また、物性を著しく劣化させる可能性があるだけではなく、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られないことがある。
このため、酸化分解物を含まないジヒドロキシ化合物(1)を得るために、また、前述の塩基性安定剤を除去するために、ジヒドロキシ化合物(1)の蒸留精製を行うことが好ましい。この場合の蒸留とは単蒸留であっても、連続蒸留であってもよく、特に限定されない。蒸留の条件としてはアルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気において、減圧下で蒸留を実施することが好ましく、熱による変性を抑制するためには、250℃以下、好ましくは200℃以下、特には180℃以下の条件で行うことが好ましい。
このような蒸留精製により、ジヒドロキシ化合物(1)中の酸化分解生成物、例えば、蟻酸含有量を20重量ppm以下、好ましくは10重量ppm以下、特に好ましくは5重量ppm以下にすることにより、ポリカーボネート樹脂(A)製造時の重合反応性を損なうことなく、色相や熱安定性に優れたポリカーボネート樹脂(A)の製造が可能となる。
なお、ジヒドロキシ化合物(1)の蟻酸含有量の測定はイオンクロマトグラフィーを使用し、以下の手順に従い行われる。以下の手順では、代表的なジヒドロキシ化合物(1)として、イソソルビドを例とする。
イソソルビド約0.5gを精秤し50mlのメスフラスコに採取して純水で定容する。標準試料として蟻酸ナトリウム水溶液を用い、標準試料とリテンションタイムが一致するピークを蟻酸とし、ピーク面積から絶対検量線法で定量する。
イオンクロマトグラフは、Dionex社製のDX−500型を用い、検出器には電気伝導度検出器を用いる。測定カラムとして、Dionex社製ガードカラムにAG−15、分離カラムにAS−15を用いる。測定試料を100μlのサンプルループに注入し、溶離液に10mM−NaOHを用い、流速1.2ml/分、恒温槽温度35℃で測定する。サプレッサーには、メンブランサプレッサーを用い、再生液には12.5mM−HSO水溶液を用いる。
<ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物>
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は構造の一部に前記構造単位(1)以外に、ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)を含有する。
ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)を含有する本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、例えば、後述の本発明のポリカーボネート樹脂(A)の製造方法に従って、ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物の1種又は2種以上を用いて製造される。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)が含有する構造単位(b)は、下記式(2)〜(5)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位よりなる群から選ばれる何れかの構造単位であることが好ましい。
以下において、式(2)、(3)、(4)、(5)で表されるジヒドロキシ化合物をそれぞれ、「ジヒドロキシ化合物(2)」、「ジヒドロキシ化合物(3)」、「ジヒドロキシ化合物(4)」、「ジヒドロキシ化合物(5)」と称し、ジヒドロキシ化合物(2)、(3)、(4)、(5)に由来する構造単位をそれぞれ「構造単位(2)」、「構造単位(3)」、「構造単位(4)」、「構造単位(5)」と称す場合がある。
HO−R−OH (2)
(式(2)中、Rは炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を表す。)
HO−CH−R−CH−OH (3)
(式(3)中、Rは炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を表す。)
H−(O−R−OH (4)
(式(4)中、Rは炭素数2〜10の置換若しくは無置換のアルキレン基を表し、pは2〜100の整数である。)
HO−R−OH (5)
(式(5)中、Rは炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基、又は置換若しくは無置換のアセタール環を有する基を表す。)
上記ジヒドロキシ化合物(2)〜(5)のうち、本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、特に、脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことが好ましく、なかでも、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことが好ましく、この場合には、得られるポリカーボネート樹脂(A)に柔軟性を付与することができる。
(脂肪族ジヒドロキシ化合物)
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、前記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物のうち、Rが炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基である脂肪族ジヒドロキシ化合物が挙げられ、このような脂肪族ジヒドロキシ化合物として、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール、水素化ジオレイルグリコール等が挙げられる。
尚、前記例示化合物は、本発明に使用し得る脂肪族ジヒドロキシ化合物の一例であって、何らこれらに限定されるものではない。これらの脂肪族ジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
(脂環式ジヒドロキシ化合物)
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、特に限定されないが、通常、5員環構造又は6員環構造を含む化合物が挙げられる。脂環式ジヒドロキシ化合物が5員環構造又は6員環構造であることにより、得られるポリカーボネート樹脂(A)の耐熱性が高くなる可能性がある。6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。脂環式ジヒドロキシ化合物に含まれる炭素数は通常70以下であり、好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下である。炭素数が過度に大きいと、耐熱性が高くなるが、合成が困難になったり、精製が困難になったり、コストが高価になる傾向がある。炭素数が小さいほど、精製しやすく、入手しやすい傾向がある。
5員環構造又は6員環構造を含む脂環式ジヒドロキシ化合物としては、具体的には前記ジヒドロキシ化合物(2),(3)が挙げられる。
前記式(3)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるシクロヘキサンジメタノールとしては、前記式(3)において、Rが下記式(3a)(式中、Rは水素原子、又は、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数12のアルキル基を表す。)で示される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
Figure 0006554852
前記式(3)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるトリシクロデカンジメタール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールとしては、前記式(3)において、Rが下記式(3b)(式中、nは0又は1を表す。)で表される種々の異性体を包含する。
Figure 0006554852
前記式(3)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるデカリンジメタノール又は、トリシクロテトラデカンジメタノールとしては、前記式(3)において、Rが下記式(3c)(式中、mは0、又は1を表す。)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール等が挙げられる。
Figure 0006554852
また、前記式(3)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるノルボルナンジメタノールとしては、前記式(3)において、Rが下記式(3d)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール等が挙げられる。
Figure 0006554852
前記式(3)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるアダマンタンジメタノールとしては、前記式(3)において、Rが下記一般式(3e)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、1,3−アダマンタンジメタノール等が挙げられる。
Figure 0006554852
また、前記式(2)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるシクロヘキサンジオールは、前記式(2)において、Rが下記式(2a)(式中、Rは水素原子、置換又は無置換の炭素数1〜炭素数12のアルキル基を表す。)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
Figure 0006554852
前記式(2)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるトリシクロデカンジオール、ペンタシクロペンタデカンジオールとしては、前記式(2)において、Rが下記一般式(2b)(式中、nは0又は1を表す。)で表される種々の異性体を包含する。
Figure 0006554852
前記式(2)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるデカリンジオール又は、トリシクロテトラデカンジオールとしては、前記式(2)において、Rが下記一般式(2c)(式中、mは0、又は1を表す。)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、2,6−デカリンジオール、1,5−デカリンジオール、2,3−デカリンジオール等が用いられる。
Figure 0006554852
前記式(2)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるノルボルナンジオールとしては、前記式(2)において、Rが下記一般式(2d)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、2,3−ノルボルナンジオール、2,5−ノルボルナンジオール等が用いられる。
Figure 0006554852
前記式(2)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるアダマンタンジオールとしては、前記式(2)において、Rが下記式(2e)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては具体的には、1,3−アダマンタンジオール等が用いられる。
Figure 0006554852
上述した脂環式ジヒドロキシ化合物の具体例のうち、シクロヘキサンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール類、アダマンタンジオール類、ペンタシクロペンタデカンジメタノール類が好ましく、入手のしやすさ、取り扱いのしやすさという観点から、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールが特に好ましい。
尚、前記例示化合物は、本発明に使用し得る脂環式ジヒドロキシ化合物の一例であって、何らこれらに限定されるものではない。これらの脂環式ジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
(ポリオキシアルキレンジヒドロキシ化合物)
前記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物であるポリオキシアルキレンジヒドロキシ化合物は、可撓性や柔軟性、重合反応性、得られるポリカーボネート樹脂の色相の観点から好ましい。また、前記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物であるポリオキシアルキレンジヒドロキシ化合物は、Rに炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜5の置換若しくは無置換のアルキレン基を有する化合物である。pは2〜100、好ましくは2〜50、より好ましくは6〜30、更に好ましくは12〜15の整数である。
前記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物であるポリオキシアルキレンジヒドロキシ化合物の具体例としては、具体的にはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量150〜4000)などが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。前記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物としては、分子量300〜2000のポリエチレングリコールが好ましく、中でも分子量600〜1500のポリエチレングリコールが好ましい。
これらは得られるポリカーボネート樹脂(A)の要求性能に応じて、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、前記例示化合物は、本発明に使用し得るポリオキシアルキレンジヒドロキシ化合物の一例であって、何らこれらに限定されるものではない。これらのポリオキシアルキレンジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
(アルキレン基、又はアセタール環を有する基を有するジヒドロキシ化合物)
前記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物は、Rに炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10の置換若しくは無置換のアルキレン基、又は置換若しくは無置換のアセタール環を有する基を有するジヒドロキシ化合物を包含する。Rのアルキレン基が置換基を
有する場合、当該置換基としては炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。また、Rのアセタール環を有する基が置換基を有する場合、当該置換基としては炭素数1〜3のアルキル基が挙げられる。
ジヒドロキシ化合物(5)のうち、Rが炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基であるジヒドロキシ化合物としては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール等のプロパンジオール類、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等のブタンジオール類、1,5−ヘプタンジオール等のヘプタンジオール類、1,6−ヘキサンジオール等のヘキサンジオール類などが挙げられるが何らこれらに限定されるものではない。これらの中で、ヘキサンジオール類が好ましい。
一方、Rが置換若しくは無置換のアセタール環を有する基であるジヒドロキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、中でも、下記式(8)、式(9)で表されるようなスピロ構造を有するジヒドロキシ化合物が好ましく、特には下記式(8)で表されるような複数の環構造を有するジヒドロキシ化合物が好ましい。
Figure 0006554852
これらのジヒドロキシ化合物のなかでも、入手のし易さ、取扱いの容易さ、重合時の反応性の高さ、得られるポリカーボネート樹脂の色相の観点からは、ジヒドロキシ化合物(5)としては、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましい。また耐熱性の観点からは、アセタール環を有する基を有するジヒドロキシ化合物類が好ましく、特には上記式(8)に代表されるような複数の環構造を有するものが好ましい。
これらは得られるポリカーボネート樹脂(A)の要求性能に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)が脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有する場合、本発明のポリカーボネート樹脂(A)中の構造単位(1)と、構造単位(b)である前述のジヒドロキシ化合物(2)〜(5)に由来する構造単位とのモル比率は、任意の割合で選択できるが、前記モル比率を調整することで、衝撃強度(例えば、ノッチ付きシャルピー衝撃強度)が向上する可能性があり、更にポリカーボネート樹脂(A)に所望のガラス転移温度を得ることが可能である。また、嵩高い三次元構造を有する構造単位を選択することで、所望の成形体の屈折率異方性を低減させやすくなる。
(その他のジヒドロキシ化合物)
本発明のポリカーボネート樹脂(A)においては、上記構造単位(1)及び構造単位(2)〜(5)に加えて、更にその他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいても良い。その他のジヒドロキシ化合物としては、芳香族系ジヒドロキシ化合物等が挙げられる。
芳香族系ジヒドロキシ化合物としては、置換若しくは無置換のビスフェノール化合物が挙げられ、具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基を有しないビスフェノール化合物;ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族環上に置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(sec−ブチル)フェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基としてアルキル基を有するビスフェノール化合物;ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン等の芳香族環を連結する2価基が置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等の芳香族環をエーテル結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等の芳香族環をスルホン結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等の芳香族環をスルフィド結合で連結したビスフェノール化合物等が挙げられるが、好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と略記することがある。)が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)において、上述の芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有量は、本発明のポリカーボネート樹脂(A)に含まれる全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対して、0モル%以上かつ1モル%未満が好ましく、0モル%以上かつ0.8モル%未満がより好ましく、0モル%以上かつ0.5モル%未満がさらに好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)が芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことにより、耐熱性、耐面衝撃性、成形加工性等の改良が期待できるが、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有量が多すぎる場合には、着色が顕著になってしまうおそれがある。
上述のその他のヒドロキシ化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<炭酸ジエステル>
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、一般に用いられる重合方法で製造することができ、その重合方法は、ホスゲンを用いた界面重合法、炭酸ジエステルとエステル交換反応させる溶融重合法のいずれの方法でもよいが、重合触媒の存在下に、ジヒドロキシ化合物を、より環境への毒性の低い炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。
この場合、本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、上述したジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応させる溶融重合法により得ることができる。
用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(6)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
Figure 0006554852
上記式(6)において、A及びAは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜18の脂肪族基、又は、置換若しくは無置換の芳香族基である。
上記式(6)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートであり、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、これらの不純物は重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
炭酸ジエステルは、溶融重合に使用した全ジヒドロキシ化合物に対して、0.90〜1.20のモル比率で用いることが好ましく、0.95〜1.10のモル比率で用いることがより好ましく、0.96〜1.10のモル比率で用いることがさらにより好ましく、特に好ましくは、0.98〜1.04のモル比率で用いることがよい。
このモル比率が0.90より小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂(A)の末端ヒドロキシル基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化し、本発明の樹脂組成物を成形する際に着色を招いたり、エステル交換反応の速度が低下したり、所望の高分子量体が
得られない可能性がある。
また、このモル比率が1.20より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望とする分子量のポリカーボネート樹脂(A)の製造が困難となるばかりか、製造されたポリカーボネート樹脂(A)中の残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが、成形時、或いは成形品の臭気の原因となり好ましくない場合があり、重合反応時の熱履歴を増大させ、結果的に得られたポリカーボネート樹脂(A)の色相や耐候性を悪化させる可能性がある。
更には、全ジヒドロキシ化合物に対する、炭酸ジエステルのモル比率が増大すると、得られるポリカーボネート樹脂(A)中の残存炭酸ジエステル量が増加し、これらが紫外線を吸収してポリカーボネート樹脂(A)の耐光性を悪化させる場合があり、好ましくない。本発明のポリカーボネート樹脂(A)に残存する炭酸ジエステルの濃度は、好ましくは200重量ppm以下、更に好ましくは100重量ppm以下、特に好ましくは60重量ppm以下、中でも30重量ppm以下が好適である。ただし、現実的にポリカーボネート樹脂(A)は未反応の炭酸ジエステルを含むことがあり、ポリカーボネート樹脂(A)中の未反応の炭酸ジエステル濃度の下限値は通常1重量ppmである。
<エステル交換反応触媒>
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、上述のようにジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と前記式(6)で表される炭酸ジエステルをエステル交換反応させて製造することができる。より詳細には、エステル交換反応させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒の存在下でエステル交換反応により溶融重合を行う。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、「触媒」と称する場合がある)としては、例えば長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族又は2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、好ましくは1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が使用され、本発明の偏光子保護フィルムとしたときに、光線透過率、耐湿熱性が良好となることから、特に好ましくは2族金属化合物が使用される。
1族金属化合物及び/又は2族金属化合物と共に、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化
ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられ、中でもセシウム化合物、リチウム化合物が好ましい。
2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられ、中でもマグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物が好ましく、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物が更に好ましい。
塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
上記の中でも、第2族金属化合物及びリチウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を触媒として用いるのが、得られるポリカーボネート樹脂(A)の透明性、色相、耐光性等の種々の物性を優れたものとするために好ましい。
また、上記ポリカーボネート樹脂(A)の透明性、色相、耐光性を特に優れたものとす
るために、さらに、本発明の偏光子保護フィルムとしたときに、全光線透過率、耐湿熱性が良好となることから、触媒がマグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物が好ましく、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましい。
前記触媒の使用量は、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の場合、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属換算量として、好ましくは0.1〜300μモル、より好ましくは0.1〜100μモル、さらに好ましくは0.5〜50μモル、更により好ましくは1〜25μモルの範囲内である。
上記の中でもリチウム及び2族金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、特にはマグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を用いる場合は、金属換算量として、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モル当たり、好ましくは0.1μモル以上、更に好ましくは0.5μモル以上、特に好ましくは0.7μモル以上とする。また、上限としては、好ましくは20μモル、更に好ましくは10μモル、特に好ましくは3μモル、最も好ましくは2.0μモルである。
触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネート樹脂(A)を製造するのに必要な重合活性が得られず、充分な破壊エネルギーが得られない可能性がある。一方、触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相が悪化するだけでなく、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、脆性破壊の起因となる場合があり、目標とする品質のポリカーボネート樹脂(A)の製造が困難になる可能性がある。
<ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により溶融重合させることによって得られるが、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。
混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも100℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅かったり、溶解度が不足する可能性があり、しばしば固化等の不具合を招き、混合の温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相が悪化し、耐光性に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを混合する操作は、酸素濃度10体積%以下、更には0.0001体積%〜10体積%、中でも0.0001体積%〜5体積%、特には0.0001体積%〜1体積%の雰囲気下で行うことが、得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相悪化防止の観点から好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で溶融重合させて製造することが好ましい。溶融重合を複数の反応器で実施する理由は、溶融重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制してやることが重要であり、溶融重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。前記反応器は、上述の通り、少なくとも2つ以上であればよいが、生産効率などの観点からは、3つ以上、好ましくは3〜5つ、特に好ましくは、4つである。
反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
更には、留出するモノマーの量を抑制するために、重合反応器に還流冷却器を用いることは有効であり、特に未反応モノマー成分が多い重合初期の反応器でその効果は大きい。還流冷却器に導入される冷媒の温度は使用するモノマーに応じて適宜選択することができるが、通常、還流冷却器に導入される冷媒の温度は該還流冷却器の入口において45〜180℃であり、好ましくは80〜150℃、特に好ましくは100〜130℃である。還流冷却器に導入される冷媒の温度が高すぎると還流量が減り、その効果が低下し、低すぎると、本来留去すべきモノヒドロキシ化合物の留去効率が低下する傾向にある。冷媒としては、温水、蒸気、熱媒オイル等が用いられ、蒸気、熱媒オイルが好ましい。
重合速度を適切に維持し、モノマーの留出を抑制しながら、最終的に得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相や熱安定性、耐光性等を損なわないようにするためには、前述の触媒の種類と量の選定が重要である。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の製造にあたっては、前記反応器が2つ以上であれば、その反応器中で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていく、などしてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の製造において、触媒は原料調製槽、原料貯槽に添加することもできるし、反応器に直接添加することもできるが、供給の安定性、溶融重合の制御の観点からは、反応器に供給される前の原料ラインの途中に触媒供給ラインを設置し、好ましくは水溶液で供給する。
重合条件としては、重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが、得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相や耐光性の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリマーが得られなかったりして結果的に本発明の目的を達成することができない可能性がある。
エステル交換反応の温度は、低すぎると生産性の低下や製品への熱履歴の増大を招き、高すぎるとモノマーの揮散を招くだけでなく、ポリカーボネート樹脂(A)の分解や着色を助長する可能性がある。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の製造において、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを触媒の存在下、エステル交換反応させる方法は、通常、2段階以上の多段工程で実施される。具体的には、第1段目のエステル交換反応温度(以下、「内温」と称する場合がある)は好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上、さらにより好ましくは200℃以上であることがよい。また、第1段目のエステル交換反応温度は、好ましくは270℃以下、より好ましくは240℃以下、さらに好ましくは230℃以下、さらにより好ましくは220℃以下であることがよい。第1段目のエステル交換反応における滞留時間は通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間であり、第1段目のエステル交換反応は、発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去しながら実施される。第2段目以降はエステル交換反応温度を上げていき、通常、210〜270℃、好ましくは220〜250℃の温度でエステル交換反応を行い、同時に発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら最終的には反応系の圧力が200Pa以下となるように、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜6時間、特に好ましくは1〜3時間重縮合反応が行われる。
エステル交換反応温度が過度に高いと、成形品としたときに色相が悪化し、脆性破壊しやすい可能性がある。エステル交換反応温度が過度に低いと、目標とする分子量が上がらず、また、分子量分布が広くなり、衝撃強度が劣る場合がある。また、エステル交換反応の滞留時間が過度に長いと、脆性破壊しやすい場合がある。滞留時間が過度に短いと、目標とする分子量が上がらず衝撃強度が劣る場合がある。
副生したモノヒドロキシ化合物は、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行った後、炭酸ジエステルや、各種ビスフェノール化合物の原料として再利用することが好ましい。
特にポリカーボネート樹脂(A)の着色や熱劣化あるいはヤケを抑制し、衝撃強度が高い良好なポリカーボネート樹脂(A)を得るには、全反応段階における反応器内温の最高温度が255℃未満、より好ましくは250℃以下、特に225〜245℃であることが好ましい。また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴によるポリカーボネート樹脂(A)の熱劣化を最小限に抑えるために、反応の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
また、衝撃強度の高いポリカーボネート樹脂(A)を企図し、分子量の高いポリカーボネート樹脂(A)を得るため、出来るだけ重合温度を高め、重合時間を長くする場合があるが、この場合には、ポリカーボネート樹脂(A)中の異物やヤケが発生し、脆性破壊しやすくなる傾向にある。よって、衝撃強度が高くすることと脆性破壊をしにくくすることの双方を満足させるためには、重合温度を低く抑え、重合時間短縮のための高活性触媒の使用、適正な反応系の圧力設定等の調整を行なうことが好ましい。更に、反応の途中あるいは反応の最終段階において、フィルター等により反応系で発生した異物やヤケ等を除去することも脆性破壊をしにくくするために好ましい。
なお、前記式(6)で表される炭酸ジエステルとして、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートを用いてポリカーボネート樹脂(A)を製造する場合は、フェノール、置換フェノールが副生し、ポリカーボネート樹脂(A)中に残存することは避けられないが、フェノール、置換フェノールも芳香環を有することから紫外線を吸収し、耐光性の悪化要因になる場合があるだけでなく、成形時の臭気の原因となる場合がある。ポリカーボネート樹脂(A)中には、通常のバッチ反応後は1000重量ppm以上の副生フェノール等の芳香環を有する芳香族モノヒドロキシ化合物が含まれているが、耐光性や臭気低減の観点からは、脱揮性能に優れた横型反応器や真空ベント付の押出機を用いて、ポリカーボネート樹脂(A)中の芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量を好ましくは700重量ppm以下、更に好ましくは500重量ppm以下、特には300重量ppm以下にすることが好ましい。ただし、芳香族モノヒドロキシ化合物を工業的に完全に除去することは困難であり、ポリカーボネート樹脂(A)中の芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量の下限は通常1重量ppmである。尚、これら芳香族モノヒドロキシ化合物は、用いる原料により、当然置換基を有していてもよく、例えば、炭素数が5以下であるアルキル基等を有していてもよい。
また、1族金属、中でもリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、特にはナトリウム、カリウム、セシウムは、使用する触媒からのみではなく、原料や反応装置から混入する場合があるが、これらの金属がポリカーボネート樹脂(A)中に多く含まれると色相に悪影響を及ぼす可能性があるため、本発明のポリカーボネート樹脂(A)中のこれらの化合物の合計の含有量は、少ない方が好ましく、ポリカーボネート樹脂(A)中の金属量として、通常1重量ppm以下、好ましくは0.8重量ppm以下、より好ましくは0.7重量ppm以下である。
なお、ポリカーボネート樹脂(A)中の金属量は、従来公知の種々の方法により測定可
能であるが、湿式灰化等の方法でポリカーボネート樹脂(A)中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Inductively Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、上述の通り溶融重合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。
ペレット化の方法は限定されるものではないが、例えば、最終重合反応器からポリカーボネート樹脂(A)を溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
その際、押出機中で、残存モノマーの減圧脱揮や、通常知られている、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等を添加、混練することも出来る。
押出機中の、溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150〜300℃、好ましくは200〜270℃、更に好ましくは230〜260℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、ポリカーボネート樹脂(A)の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネートの熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や、着色、ガスの発生、異物の発生、更にはヤケの発生を招く。前記異物やヤケの除去のためのフィルターは該押出機中あるいは押出機出口に設置することが好ましい。
前記フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%以上の異物を除去するという濾過精度を目標として、通常400μm以下、好ましくは200μm以下、特に好ましくは100μm以下である。フィルターの目開きが過度に大きいと、異物やヤケの除去に漏れが生じる場合があり、ポリカーボネート樹脂(A)を成形した場合、脆性破壊を起こす可能性がある。また前記フィルターの目開きは、本発明の熱可塑性樹脂組成物の用途に応じて調整することができる。例えばフィルム用途に適用する場合には、欠陥を排除するという要求から前記フィルターの目開きは40μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
更に、前記フィルターは複数個を直列に設置して使用してもよく、また、リーフディスク型ポリマーフィルターを複数枚積層した濾過装置を使用してもよい。
また、溶融押出されたポリカーボネート樹脂(A)を冷却してペレット化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用することが好ましい。空冷の際に使用する空気は、HEPAフィルター(JIS Z8112で規定されるフィルターが好ましい。)等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐことが望ましい。より好ましくはJIS B 9920(2002年)に定義されるクラス7、更に好ましくはクラス6より清浄度の高いクリーンルームのなかで実施することが好ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、更にフィルターにて水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは種々あるが、10〜0.45μmのフィルターが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)を溶融重合法で製造する際に、着色を防止する目的で、リン酸化合物や亜リン酸化合物の1種又は2種以上を重合時に添加することができる。
リン酸化合物としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸トリアルキル
の1種又は2種以上が好適に用いられる。これらは、反応に供する全ヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、更に好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。リン化合物の添加量が前記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、前記上限より多いと、透明性が低下する原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりする。
また、亜リン酸化合物としては、下記に示す熱安定剤を任意に選択して使用できる。特に、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの1種又は2種以上が好適に使用できる。これらの亜リン酸化合物は、反応に供する全ヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、更に好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。亜リン酸化合物の添加量が前記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、前記上限より多いと、透明性が低下する原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
上記のリン酸化合物と亜リン酸化合物は併用して添加することもできるが、その場合の添加量は、リン酸化合物と亜リン酸化合物の総量で、反応に供する全ヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下とすることが好ましく、更に好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下である。この添加量が前記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、前記上限より多いと、透明性が低下する原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
また、このようにして製造されたポリカーボネート樹脂(A)には、成形時等における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤の1種又は2種以上が配合されていてもよい。
かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸、及びこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。
かかる熱安定剤は、溶融重合時に添加した添加量に加えて更に追加で配合することがで
きる。即ち、適当量の亜リン酸化合物やリン酸化合物を配合して、ポリカーボネート樹脂(A)を得た後に、後に記載する配合方法で、更に亜リン酸化合物を配合すると、重合時の透明性の低下、着色、及び耐熱性の低下を回避して、更に多くの熱安定剤を配合でき、色相の悪化の防止が可能となる。
これらの熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.2重量部が更に好ましい。
<ポリカーボネート樹脂(A)の物性>
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の好ましい物性について、以下に示す。
(ガラス転移温度)
本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、145℃未満である。この範囲を超えてポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度が高すぎる場合には、着色し易くなり、衝撃強度を向上させることが困難になるおそれがある。また、この場合には、成形時において冷却ロール表面の鏡面を成形品に転写させる際に、冷却ロール温度を高く設定する必要がある。そのため、選択できる温度調節機が制限されてしまったり、冷却ロール表面の転写性が悪化したりするおそれがある。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度は、より好ましくは140℃未満、さらに好ましくは135℃未満である。
また、本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度は通常90℃以上であり、好ましくは95℃以上である。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度を145℃未満とする方法としては、ポリカーボネート樹脂(A)中の構造単位(a)の割合を少なくしたり、ポリカーボネート樹脂(A)の製造に用いるジヒドロキシ化合物として、耐熱性の低い脂環式ジヒドロキシ化合物を選定したり、ポリカーボネート樹脂(A)中のビスフェノール化合物等の芳香族系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合を少なくしたりする方法等が挙げられる。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度は、後述の実施例に記載の方法で測定されたものである。
(還元粘度)
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の重合度は、溶媒としてフェノールと1,1,2,2,−テトラクロロエタンの重量比1:1の混合溶媒を用い、ポリカーボネート樹脂(A)濃度を1.00g/dlに精密に調整し、温度30.0℃±0.1℃で測定した還元粘度(以下、単に「還元粘度」と記す場合がある。)として、好ましくは0.10dl/g以上、更に好ましくは0.20dl/g以上、特に好ましくは0.30dl/g以上であるが、0.70dl/g以下、更には0.65dl/g以下のものが好適に用いられる場合がある。ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が過度に低いと、機械的強度が弱くなる場合があり、ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が過度に高いと、成形時の押出負荷が高まり、過剰に剪断発熱して熱分解を引き起こしたり、押出機やギアポンプ等の設備の耐久負荷の上限を上回ったり、得られるフィルム状成形体の厚み精度が不十分になったり等の不具合を生じる場合がある。
(数平均分子量)
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の数平均分子量は、特に限定されないが、通常、下限値としては、好ましくは8000以上、より好ましくは9000以上、更に好ましくは10000以上である。この値が過度に小さいと、上述の機械的強度不足となる。通常、上限値としては、好ましくは17000以下、より好ましくは16000以下、更に好ましくは15000以下である。この値が過度に大きいと、上述の成形負荷や厚み精度不足
等の不具合を生じ、また成形歪みに起因する成形体の位相差が大きくなる不具合も生じやすい。
なお、数平均分子量の測定は、通常、以下のとおりNMRにより測定することができる。
内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)をあらかじめ添加混合した重クロロホルムのみのスペクトルを測定し、TMSと重クロロホルム中に含まれる残存Hのシグナル比を求める。次に、ポリカーボネート樹脂30mgを秤取し、前記重クロロホルム約0.7mLに溶解させる。これを内径5mmのNMR用チューブに入れ、日本電子社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)を用いて常温でH NMRスペクトルを測
定する。得られたNMRチャートの6.5ppm〜8.0ppmに現れるシグナルの積分値から末端基の数と、全モノマーユニットの数を求め、これらの比から算出する。
[樹脂組成物の添加剤]
前述の通り、本発明のポリカーボネート樹脂(A)には、本発明の趣旨を損なわない範囲でその他の添加剤を加えて、本発明の樹脂組成物とすることができる。
このような添加剤としては、例えば酸化防止剤、酸性化合物又はその誘導体、紫外線吸収剤、光安定剤、無機充填材などが挙げられる。更に、本発明の趣旨を損なわない範囲で、樹脂組成物に通常用いられる核剤、難燃剤、衝撃改良剤、発泡剤、染顔料を配合してもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤及びイオウ系酸化防止剤からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、フェノール系酸化防止剤及び/またはホスファイト系酸化防止剤が更に好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の化合物が挙げられる。
これらの化合物の中でも、炭素数5以上のアルキル基によって1つ以上置換された芳香族モノヒドロキシ化合物が好ましく、具体的には、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が好ましく、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が更に好ましい。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
これらの中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが更に好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などが挙げられる。上記のうち、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
本発明の樹脂組成物が酸化防止剤を含有する場合、本発明の樹脂組成物中の酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、好ましくは、0.001重量部以上、更に好ましくは0.01重量部以上、特に好ましくは0.05重量部以上、一方、好ましくは1重量部以下、更に好ましくは、0.7重量部以下、特に好ましくは0.5重量部以下である。酸化防止剤の含有量が過度に少ないと、成形時の着色抑制効果が不十分になることがある。また、酸化防止剤の含有量が過度に多いと、押出成形によりフィルム化する際に冷却ロールへのブリード付着物が多くなったりすることにより、得られる成形体の表面外観が損なわれるおそれがある。
酸性化合物又はその誘導体としては、例えば、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アゼライン酸、アデノシンリン酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルタル酸、ケイ皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、ピクリン酸、ピコリン酸、フタル酸、テレフタル酸、プロピオン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、マレイン酸等のブレンステッド酸及びそのエステル類が挙げられる。
これらの酸性化合物又はその誘導体の中でも、スルホン酸類又はそのエステル類が好ましく、中でも、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチルが特に好ましい。
これらの酸性化合物又はその誘導体は、本発明のポリカーボネート樹脂(A)の重縮合反応において使用される塩基性エステル交換触媒を中和する化合物として、樹脂組成物の製造工程において添加することができる。
本発明の樹脂組成物に酸性化合物又はその誘導体を配合する場合、樹脂組成物中の酸性化合物又はその誘導体の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、0.00001重量部以上0.1重量部以下、好ましくは、0.0001重量部以上0.1重量部以下である。酸性化合物又はその誘導体の配合量が過度に少ないと、押出成形する際に着色を抑制することが充分に出来ない場合がある。また酸性化合物又はその誘導体の配合量が過度に多いと、樹脂組成物が加水分解しやすくなる場合がある。
本発明の樹脂組成物に紫外線吸収剤、光安定剤を用いる場合は、吸収すべき波長の光を吸収できる添加剤を適宜選択し、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して通常0.01〜5重量部とすることが好ましい。
無機充填材としては、例えば、ガラスカットファイバー、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、炭化ケイ素、窒化ケイ素、珪酸カルシウム類、石膏、石膏ウィスカ等の強化材、ガラス粉末、シリカ、架橋アクリル粉末、ゼオライト、焼成カオリン等のアンチブロッキング剤、アルミニウム、チタン、鉄、銅、黄銅などからなる金属粉や金属酸化物粉や金属被覆ガラス粉、炭素繊維、活性炭、カーボンブラック、黒鉛等の炭素質フィラー、顔料、染料等の着色剤が例示できる。従来公知のビスフェノールAを主モノマーとする芳香族ポリカーボネート樹脂は、金属充填材や塩基性充填材の一部を混合すると加熱溶融下で樹脂分解が促進されてしまう不具合が生じることが多いが、本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、こうした不具合が極めて生じにくく、より豊かな意匠を付与できる利点がある。
本発明の樹脂組成物に無機充填材を配合する場合、その配合量は、その種類や要求性能によって大きく異なるが、通常ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、0.01重量部以上100重量部以下であり、好ましくは0.01重量部以上50重量部以下である。無機充填材の配合量が過度に少ないと添加効果が少なく、また、過度に多いと外観が悪くなる傾向がある。
また、本発明の樹脂組成物は、低光学歪や透明性等の本発明の趣旨を著しく損なわない範囲で、加工適性や透明性等の本発明の主旨を著しく損なわない範囲で、例えば、ポリカーボネート樹脂(A)以外の芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル樹脂、アモルファスポリオレフィン、環状オレフィン樹脂、ABS、ASなどの合成樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートなどの生分解性樹脂、ゴムなどの1種又は2種以上と混練して、ポリマーアロイとしても用いることもできる。
また、本発明の樹脂組成物は、リチウム化合物及び長周期型周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を含有することが好ましく、該金属化合物の含有量は、金属量として、好ましくは0.1重量ppm以上、更に好ましくは0.5重量ppm以上、特に好ましくは0.7重量ppm以上とする。また上限としては、好ましくは20重量ppm、更に好ましくは10重量ppm、特に好ましくは3重量ppm、最も好ましくは1.5重量ppm、中でも1.0ppm重量が好適である。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物は、本発明のポリカーボネート樹脂(A)と必要に応じて用いられるその他の添加剤等の配合成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合
して製造することができる。
[樹脂組成物の物性]
本発明の樹脂組成物は、JIS K7191に準拠して測定した、曲げ応力1.80MPaでの荷重たわみ温度が70℃以上であることが、本用途の耐熱要求の観点で好ましい。また、130℃以下であることが、成形加工の温度条件が過度に高くならずに済む点から好ましい。この荷重たわみ温度の下限としては、75℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。また、上限としては、125℃以下がより好ましい。
[偏光子保護フィルム]
<物性・特性>
本発明の偏光子保護フィルムは、例えば大型テレビジョン、コンピュータ端末のモニタ、車載用カーナビゲーションシステムのモニタ、車載用または弱電機器等のコントロールタッチパネル、タブレット型携帯ディスプレイ、携帯型スマートフォン等の各種画像表示装置に具備される偏光板の偏光子保護フィルムとして好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物からなる偏光子保護フィルムは、従来公知のセルロース系フィルムやメタアクリル系フィルム等と比べて、薄膜加工性、耐熱性、欠点異物、耐クラック性等の外観品質等が大幅に改善される。
更に本発明の偏光子保護フィルムには、必要に応じてハードコート、反射防止、指紋付着防止、曇り防止等の各種機能性コーティングを施すこともでき、本発明の樹脂組成物はこうした機能層との密着性にも優れる。または、こうした機能層を具備した別途フィルムを貼合してもよい。
<製造方法>
本発明の偏光子保護フィルムは、本発明に用いる樹脂組成物を常法に従って成形して得られるフィルムを用いてなるが、該成形フィルムの製造法は、好ましくはTダイ成形法やインフレーション成形法等の溶融押出成形法であり、特に好ましくはTダイ成形法である。
本発明の偏光子保護フィルムは、画像表示装置の前面または背面にあって、表示される画像が欠陥や歪み等で損なわれて視認されてはいけない。このため溶融押出成形法によってフィルム化するにあたり、ゲル、気泡、焼け等の樹脂由来の異物欠点が極めて少なく、また幅方向に均一な厚さであって局所的な位相差等の光学歪が無いことが求められる。
溶融押出成形する際の樹脂温度は、通常150〜265℃、好ましくは200℃〜260℃、特に好ましくは210℃〜250℃の範囲である。前記温度より低い場合、溶融粘度が高すぎて押出負荷が高くなる傾向がある。一方前記温度より高い場合、樹脂組成物中の少なくとも本発明のポリカーボネート樹脂が熱分解し始め、着色や粘度低下などの劣化現象が生じる。
成形に適切な溶融粘度になるよう樹脂温度を制御したうえで、原料フィーダの吐出量、押出機のスクリュ回転数、ギアポンプの送液量等を相互にフィードバック制御させて樹脂押出を整流化させることで、フィルムの厚さ精度を高めることができる。好ましい幅方向の厚さ精度は用途ごとの要求物性によって異なるが、通常±10%以内、好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内である。
幅方向の厚さ測定は、連続製膜するライン中にトラバース型の連続厚さ測定機がある場合は、測定各点で評価する。カットフィルムでのオフライン測定をする場合は、幅方向50mm間隔にダイヤルゲージ厚み計等で測定した点で評価する。ここで、押し出されたフィルムの両端はネックイン等で厚くなっているので、スリットして廃棄される部分は除い
た幅方向範囲での評価である。
冷却ロール温度は、通常20〜150℃、好ましくは40〜140℃、特に好ましくは60〜130℃である。冷却ロール温度が前記温度より低い場合、フィルム表面にギアマークが生じたり、局所的な光学歪ムラが著しくなったりする。一方前記温度より高い場合、押し出されたフィルムが冷却ロールから剥離しにくくなり、剥離マークが生じたり、ロールが汚染されたりする傾向がある。
フィルムの厚さは偏光板や画像表示装置の設計によるが、適当な偏光子保護機能、厚さ方向の光線透過率、湿熱環境下での形状維持等の観点から、通常1〜100μm、好ましくは5〜80μm、特に好ましくは10〜40μmである。前記厚さより薄い場合、偏光子を保護することが十分でなく、また湿熱環境下に置かれた時に変形することがある。一方前記厚さより厚い場合、部材としての薄肉化効果が得られにくくなり、厚さ方向の光線透過率が低下する等の不具合も生じることがある。
本発明の偏光子保護フィルムは、縦延伸または横延伸されてなるものでもよく、40μm以下の極めて薄いフィルムを作成する場合に好適である。
前記延伸工程は、自由端一軸延伸である縦延伸と固定端一軸延伸のどちらか一方、あるいは両方を組み合わせたり逐次実施したりして行うことができる。通常延伸フィルムはその延伸方向のフィルム強度が強くなるため、例えば縦延伸だけで延伸フィルムを作成すると、横方向のフィルム強度が不足する恐れがあるため、好ましくは逐次二軸延伸を行う。延伸倍率は通常1.2〜3.0倍程度であり、好ましくは縦延伸が1.2〜2.0倍、横延伸が1.3〜2.5倍程度である。前期倍率より低い場合、十分な延伸効果が得られにくく、高い場合、破断が頻発したり、不必要な配向構造が生じたり、場合によっては白化等の外観不良を引き起こしたりすることがある。
延伸温度は、フィルムのガラス転移温度Tgをもとに、Tg−10〜Tg+30℃が好ましい。前記温度より低い場合、破断が頻発しやすく、高い場合、均一な厚さに延伸することが困難であり、場合によってはフィルムが軟化したり溶融し始めたりすることがある。
本発明の偏光子保護フィルムは、面内位相差及び厚さ方向位相差が小さいほどよい。面内位相差はフィルム厚さにもよるが、好ましくは5nm以下、より好ましくは3nm以下である。偏光板が画像表示装置の両面に配置され、その各偏光板の画像表示装置側に配置される偏光板保護フィルムについては、特に1nm以下であることが好ましい。
厚さ方向位相差はフィルム厚さにもよるが、好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下である。
位相差低減は、製膜工程で溶融樹脂フィルムに強い延伸応力や挟圧を掛けないようにして冷却固化させたり、延伸工程で過度に延伸応力を掛けないような温度や速度等の条件を調整したり、フィルムにTg近傍のアニール熱履歴を加えて配向緩和させる事でなすことができる。
または前記ポリカーボネート樹脂の組成設計において、構造単位(b)を構成するジヒドロキシ化合物として、脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物を選択することで位相差発現を抑制することができ、特にはトリシクロデカンジメタノール及びその誘導体を用いることが好ましい。
本発明の偏光子保護フィルムは、少なくとも片面にハードコート処理がなされていることが好ましい。表面硬度を高めることで、打点や擦傷が付きにくくなり、保護フィルムとしての性能が向上する。処理に用いるハードコート剤は従来公知のものを使用でき、特段に限定されない。例えばアクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ゴム系、シリコーン
系、ビニル系等の組成物が例示でき、それらを複数混合して用いてもよい。コート剤の硬化方法は、エネルギー線硬化性コート剤であっても、熱硬化性コート剤であってもよい。また硬度や滑性を更に改善するために有機化合物や無機化合物の粒子を配合させてもよい。
処理方法は従来公知のものを使用でき、特段に限定されない。コート剤の塗布方法としては、例えばラインコーティング法、ウェットコーティング法等があり、生産性を加味すればウェットコーティング法が好ましく、中でもロールコート法、スピンコート法、ディップコート法などが好適である。
基材となる樹脂フィルムとハードコート層との密着性を更に高めるために、必要に応じて樹脂フィルム表面にコロナ放電処理やプラズマ放電処理等を施すことができる。あるいは使用するコート剤に適したプライマーを下地処理として塗工してもよい。画像表示装置がタッチパネル等の手が触れる機会が多い用途の場合、ハードコート処理を行うことがとりわけ好ましい。
ハードコート層の付与は、ハードコート処理がなされた別途フィルムを本発明に用いるフィルムに貼合する方法でもよい。透明性、表面硬度、機械強度、汎用性等の観点から、ポリエステルフィルムやトリアセチルセルロースフィルムを基材としたフィルムが好適に用いられる。
本発明の偏光子保護フィルムは、更に反射防止、指紋付着防止、曇り防止等の各種機能性コーティングがなされていてもよい。これらも従来公知の方法で付与すればよく、処理がなされた別途フィルムを本発明に用いるフィルムに貼合する方法でもよい。
本発明の偏光子保護フィルムは、薄肉化しても脆さが際立つことが無いため加工工程での傷付きや破損ロスが少なく、耐熱性や異物欠点等の外観品質に優れる。よってこれを用いた偏光板の製造工程ロスの削減、画像表示装置の構造薄型化等に資する。
本発明の保護フィルムは、偏光子保護以外の用途として、窓等の採光建材や車両用採光部材、灯体カバーや照明看板等の照明部材にも好適である。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子と本発明の偏光子保護フィルムを少なくとも1層含むものである。その形態は、偏光子の表面が粘接着層および必要に応じ易接着層を介して本発明の偏光子保護フィルムと積層される。偏光子の反対面は同様に本発明の偏光子保護フィルムと積層されていてもよいし、他の偏光子保護フィルムや別の機能を持ったフィルム等と積層されていてもよい。
通常偏光子はポリビニルアルコール系樹脂からなり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをヨウ素等の二色性染料で染色して一軸延伸したものが用いられる。通常未延伸樹脂フィルムは、流延製膜法、キャスト法、溶融押出法等の方法で成形され、その厚みは通常5〜100μ程度である。
偏光子の製造工程は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して、膨潤、染色、架橋、延伸、洗浄、乾燥等の工程を適宜組み合わせて行われるものであり、本発明においては、従来公知な技術の中の適切な方法で製造された偏光子を用いることができる。
本発明の偏光板は、前記偏光子と本発明の偏光子保護フィルムとを積層してなるが、その積層にあたっては接着剤層を層間に配置させることが好ましく、特にはポリビニルアルコール系接着剤が好ましい。接着剤に用いるポリビニルアルコール系樹脂はけん化度が高く、各種酸が誘導されたものが好適に用いられる。更に接着剤には通常架橋剤、カップリング剤、熱安定剤等が配合される。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の偏光板が少なくとも1枚用いられる。画像表示装置の種類は、偏光板が用いられるものであればあらゆる種類に搭載可能であり、例えば液晶ディスプレイの他にも、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、電界放出型ディスプレイ等の自発光型画像表示装置にも好適である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
以下において、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂組成物、成形品の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
(1)還元粘度の測定
ポリカーボネート樹脂組成物のサンプルを、溶媒として塩化メチレンを用いて溶解し、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t0と溶液
の通過時間tから次式より相対粘度ηrelを求め、相対粘度から次式より比粘度ηsp
を求めた。
ηrel=t/t0
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1 比粘度を濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
(2)ポリカーボネート樹脂組成物中の各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比の測定
ポリカーボネート樹脂組成物中の各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比は、ポリカーボネート樹脂組成物30mgを秤取し、重クロロホルム約0.7mLに溶解し、溶液とし、これを内径5mmのNMR用チューブに入れ、日本電子社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)を用いて常温で1H NMRスペクトルを測定した。各ジヒド
ロキシ化合物に由来する構造単位に基づくシグナル強度比より各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比を求めた。
(3)溶融製膜法によるフィルム化
減圧吸引配管を具備した同方向二軸押出機、ギアポンプ、ポリマーフィルタ、Tダイを順次連結した溶融押出製膜機を用いて、約1400mm幅のフィルムを引き取り、両端のネックイン部をスリットして1000〜1200mm幅のフィルムを採取した。押出温度は、220〜255℃の中で調整した。但し、導管内壁に設置した温度計の測定温度が265℃を超えないようにした。
冷却ロール温度は、70〜130℃の中で調整し、ギアマーク発生条件と剥離マーク発生条件との間でフィルム採取した。
フィルムを連続採取してロール状に巻き取る場合は、オレフィン系共押出フィルムからなるマスキングフィルムを片面にニップ貼合させてから巻き取った。
なお、表1に記載のフィルム成形性については、厚み20μmの外観良好なフィルムに成形できたものを○、できなかったものを×とした。
(4)フィルムの幅方向厚さと位相差の測定
上記(3)フィルム化工程で得たフィルムを、ネックイン部をスリットしたフィルムの幅方向に50mm間隔で測定点をマークし、その近傍をデジタルゲージで厚さを測定し、王子計測機器社製位相差測定機『KOBRA−WR』で面内位相差と厚み方向位相差を測定した。なお、表1での厚さと位相差は、各点測定値の相加平均値を算出した。また、ム
ラの評価に関しては、50mm間隔の各点位相差のバラ付き(最大値−最小値)が、相加平均値の10%未満の場合を○、それ以上を×とした。
(5)耐衝撃性
上記(3)フィルム化工程に準じて得た厚さ100μmのフィルムを、中心部に60mmΦの貫通孔を備えた縦幅200mm、横幅200mm、厚み10mmの金属プレート上に設置した。この時、フィルムの中心が貫通孔の中心上に設置されるようにした。次いでこの上に、同じく中心部に60mmΦの貫通孔を備えた縦幅200mm、横幅200mm、厚み10mmの金属プレートを重ねあわせた。2枚の金属板には各々、4隅に位置合わせ兼固定用のボルト穴が設けられている。このボルト穴にボルトを通し、反対側のナットと締め付ける事によりフィルムを固定した。次いでこのフィルムの中心に重さ150gの鉄球を所定の高さから落とし耐衝撃性を評価した。所定の高さからの落球試験を一つの樹脂に関して、都度フィルムを未使用のものに交換しながら5回実施した。尚、フィルムに当たった後に跳ね返った鉄球が再度当たらないように試験を行った。
上記試験において、高さ50cmの落球試験を行い一度も破壊を生じなかった樹脂の耐衝撃性を○、高さ50cmの落球試験では破壊を生じたが高さ30cmの落球試験では一度も破壊を生じなかった樹脂の耐衝撃性を△、高さ30cmの落球試験で破壊を生じた樹脂の耐衝撃性を×とした。
(6)光線透過率
上記(3)フィルム化工程で得たフィルムを、JIS K 7105に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製:NDH2000)により、D65光源にて光線透過率を測定した。光線透過率は、90%以上が合格である。
(7)鉛筆硬度
鉛筆硬度は、厚さ3mmの射出成形試験片を用い、JIS−K5600に準拠して、荷重750g、測定スピード30mm/min、測定距離7mmで測定した。鉛筆硬度は、F以上の硬さがよく、H以上の硬さがより好ましい。鉛筆硬度がHB以下の場合、得られる成形品が傷つきやすく、外観が損なわれやすいという問題点を生じるおそれがある。なお、鉛筆硬度は、硬い方から順番に4H,3H,2H,H,F,HB,B,2B,3B,4Bの順番で表される。実施例および比較例にかかる成型品の鉛筆硬度を測定することで、表面硬度を評価した。表面硬度はHB以上が合格である。
(8)耐湿熱性
上記(3)フィルム化工程で得たフィルムを、温度60℃、湿度90%に調整された恒温恒湿槽内に300時間放置した後に取出し、形状変化の有無を確認した。なお、試験サンプルの固定は、100mm角の正方形に切り出した片の一隅をクリップではさみ、槽内に設置した網棚から吊るして静置させた。
形状変化が見られないものを○、僅かにカールや変形が生じたものを△、著しい変形、収縮、黄変等が見られたものを×とした。
(9)数平均分子量
内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)をあらかじめ添加混合した重クロロホルムのみのスペクトルを測定し、TMSと重クロロホルム中に含まれる残存Hのシグナル比を求める。次に、ポリカーボネート樹脂30mgを秤取し、前記重クロロホルム約0.7mLに溶解させた。これを内径5mmのNMR用チューブに入れ、日本電子社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)を用いて常温でH NMRスペクトルを測
定した。得られたNMRチャートの6.5ppm〜8.0ppmに現れるシグナルの積分値から末端基の数と、全モノマーユニットの数を求め、これらの比から算出した。
以下の実施例の記載の中で用いた化合物の略号は次の通りである。
(ジヒドロキシ化合物)
・ISB:イソソルビド (ロケットフルーレ社製、商品名:POLYSORB)
・CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(新日本理化社製、商品名:SKY CHDM)
・TCDDM:TCDDM:トリシクロデカンジメタノール(OXEA社製)
(炭酸ジエステル)
・DPC:ジフェニルカーボネート(三菱化学社製)
(熱安定剤)
・AS2112:化合物名、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(ADEKA社製)
(酸化防止剤)
・IRGANOX1010:化合物名、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](BASFジャパン社製

(芳香族ポリカーボネート樹脂)
・NOVAREX 7022R:ビスフェノール−Aに由来する構造のみを有する芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)
(アクリル樹脂)
・ACRYPET VH(三菱レイヨン社製)
(環状オレフィン樹脂)
・TOPAS 5013L−10(ポリプラスチックス社製)
[実施例1]
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、ISBとCHDM、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたDPCおよび酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.50/0.50/1.00/1.3×10-6になるように仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005vol%〜0.001vol%)。続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にし、内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気は、還流冷却器への入口温度として100℃に制御された蒸気を冷媒として用いた還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。
このようにしてオリゴマー化させた内容物を、一旦大気圧にまで復圧させた後、撹拌翼および上記同様に制御された還流冷却器を具備した別の重合反応装置に移し、昇温および減圧を開始して、60分で内温220℃、圧力200Paにした。その後、20分かけて内温228℃、圧力133Pa以下にして、所定の撹拌動力になった時点で復圧し、重合反応装置出口より溶融状態のポリカーボネート樹脂を得た。
更に3ベントおよび注水設備を供えた二軸押出機に連続的に前記溶融状態のポリカーボネート樹脂を供給して、「IRGANOX1010」を0.1重量部、「AS2112」を0.05重量部の割合で連続的に添加するとともに、二軸押出機に具備された各ベント部にてフェノールなどの低分子量物を減圧脱揮したのち、ペレタイザーによりペレット化
を行い、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
前記ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、ベント付き二軸押出機へ連続的に供給し、ギアポンプ、ポリマーフィルタを経由してTダイからフィルム状に押出成形した。所定厚さになるようにTダイのリップ間隔と冷却ロールの回転速度を調整しながら、フィルム厚さが約20μmになるように成形した。
得られた樹脂組成物の偏光子保護フィルムとしての各種評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10-6になるように変更した以外は、実施例1と同様にカーボネート共重合体樹脂組成物のフィルム成形体を得た。
[実施例3]
実施例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.85/0.15/1.00/1.3×10-6になるように変更した以外は、実施例1と同様にカーボネート共重合体樹脂組成物のフィルム成形体を得た。
[実施例4]
実施例1において、仕込み組成をISB/TCDDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10-6になるように変更した以外は、実施例1と同様にカーボネート共重合体樹脂組成物のフィルム成形体を得た。このポリカーボネート樹脂の還元粘度は、0.39であった。また、数平均分子量は、14500であった。
[実施例5]
実施例1において、仕込み組成をISB/TCDDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.80/0.20/1.00/1.3×10-6になるように変更した以外は、実施例1と同様にカーボネート共重合体樹脂組成物のフィルム成形体を得た。
[実施例6]
実施例1において、復圧する際の撹拌動力を変更した以外は、実施例1と同様にカーボネート共重合体樹脂組成物のフィルム成形体を得た。このポリカーボネート樹脂の還元粘度は、0.35であった。また、数平均分子量は、13000であった。
[実施例7]
実施例1において、復圧する際の撹拌動力を変更した以外は、実施例1と同様にカーボネート共重合体樹脂組成物のフィルム成形体を得た。このポリカーボネート樹脂の還元粘度は、0.42であった。また、数平均分子量は、15500であった。
[比較例1]
実施例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.30/0.70/1.00/1.3×10-6になるように変更した以外は、実施例1と同様にカーボネート共重合体樹脂組成物のフィルム成形体を得た。
[比較例2]
実施例1において、フィルム成形用材料を市販の芳香族ポリカーボネート樹脂、NOVAREX 7022Rに変更した以外は、実施例1と同様にフィルム成形体を得た。
[比較例3]
実施例1において、フィルム成形用材料を市販のアクリル樹脂、ACRYPET VHに変更した以外は、実施例1と同様にフィルム成形体を得た。
[比較例4]
実施例1において、フィルム成形用材料を市販の環状オレフィン樹脂、TOPAS 5013L−10に変更した以外は、実施例1と同様にフィルム成形体を得た。
Figure 0006554852
Figure 0006554852
偏光子保護フィルムには、各上述の各特性評価のすべての項目で、×または不合格である項目がないものが適している。
実施例1〜7に示す発明の成型品は、成型性、耐衝撃性、表面硬度、耐湿熱性、光学歪みといった評価項目を総合すると、比較例に示す成型品よりも優れたものであった。中でも、実施例2〜7は耐湿熱性が特に優れており、実施例1、2、4〜7は耐衝撃性が特に優れたものであった。
一方、比較例1は、構造単位(a)に由来する構造単位の比率が少ないポリカーボネート樹脂の成形品であり、耐湿熱性が悪く、鉛筆硬度も低い。比較例2は市販のビスフェノールA系ポリカーボネートを用いた成形品であるが、位相差に関する特性が悪く、鉛筆硬度も低い。比較例3は市販のアクリル樹脂を用いた成形品であるが、成形性と表面硬度は良好なものの、耐衝撃性が不足しておりロール状に巻き取ることが著しく困難であり、更には耐湿熱性にも問題があった。
比較例4は市販の環状オレフィン樹脂を用いた成形品であるが、成形体表面にゲル状の透明異物が多数視認され、そのほかの特性の評価ができなかった。
本発明のポリカーボネート樹脂を含有する樹脂組成物からなる偏光子保護フィルムは、薄肉化しても脆さが際立つこと無いため加工工程での傷付きや破損ロスが少なく、耐熱性や異物欠点等の外観品質に優れる。よってこれを用いた偏光板の製造工程ロスの削減、画像表示装置の構造薄型化等に資する。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを有し、ポリカーボネート樹脂を構成するジヒドロキシ化合物の全構造単位のうち前記構造単位(a)が占める割合が、40モル%以上であるポリカーボネート樹脂を含有する樹脂組成物からなり、
    面内位相差が5nm以下であり、かつ、厚さ方向位相差が15nm以下である偏光子保護フィルム。
    Figure 0006554852
  2. 前記ポリカーボネート樹脂中の構造単位(b)が、下記式(2)〜(5)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位よりなる群から選ばれる何れかの構造単位であることを特徴とする請求項1に記載の偏光子保護フィルム。
    HO−R−OH (2)
    (式(2)中、Rは炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を表す。)
    HO−CH−R−CH−OH (3)
    (式(3)中、Rは炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を表す。)
    H−(O−R−OH (4)
    (式(4)中、Rは炭素数2〜10の置換若しくは無置換のアルキレン基を表し、pは2〜100の整数である。)
    HO−R−OH (5)
    (式(5)中、Rは炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基、又は置換若しくは無置換のアセタール環を有する基を表す。)
  3. 前記ポリカーボネート樹脂を構成するジヒドロキシ化合物由来の全構造単位のうち前記構造単位(a)が占める割合が、50モル%以上である、請求項1または2に記載の偏光子保護フィルム。
  4. 前記ポリカーボネート樹脂の数平均分子量が17000以下である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の偏光子保護フィルム。
  5. 前記樹脂組成物が、リチウム化合物及び長周期型周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を含有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の偏光子保護フィルム。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の偏光子保護フィルムの製造方法であって、前記樹脂組成物を溶融製膜法により1μm以上100μm以下の厚さに押出成形してなる、偏光子保護フィルムの製造方法
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の偏光子保護フィルムを、偏光子の少なくとも片
    面に貼合してなる偏光板。
  8. 請求項7に記載の偏光板を少なくとも1枚積層してなる画像表示装置。
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