JP6759871B2 - 厚み位相差(Rth)が負の値を有するフィルムの製造方法 - Google Patents

厚み位相差(Rth)が負の値を有するフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フィルムの製造方法に関するものであり、特に、各種光学補償フィルム等への応用が期待できる厚み位相差(Rth)が負の値を有するフィルムの製造方法に関するものである。
近年、液晶ディスプレイが、テレビ、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の表示装置として広く用いられている。液晶セルを通り抜けた偏光の位相差が原因で、様々な視野角から見た映像の歪を補償する目的で、一枚以上の位相差フィルムを配置することがある。この位相差フィルムは、光学補償フィルムとも呼ばれ、偏光膜に直接貼り付けることで偏光板の保護フィルムを兼ねることも可能である。
液晶ディスプレイには、液晶性分子の配向状態の違いで、ON、OFF表示を行い、TN(TwistedNematic)、IPS(In−PlaneSwitching)、OCB(OpticallyCompensatoryBend)、VA(VerticallyAligned)、ECB(ElectricallyControlledBirefringence)など多くの表示モードがあり、これらにあわせた光学補償フィルムが必要となっている。
例えば特許文献1には、IPSモードの場合において、黒表示時に斜め方向から見た際、光漏れが起こることによるコントラスト低下や画面が色味変化することを改善するために、厚み位相差(Rth)が負の値を有する光学補償フィルムが有用であることが記載されている。また、フィルムを形成する原料ポリマーがらせん構造をもち、らせん構造の内側または外側にらせん軸と平行ではない分極率異方性を有する側鎖成分をもつような構造的特徴をもつポリマーから形成されたもの、具体的にはDNA分子が開示されている。
ここで、位相差フィルムの異方性は三次元の屈折率を球体として示す屈折率楕円体(nx、ny、nz)で表示することができる。ここでnxはフィルム面内の屈折率のうち最大のもの、nyはフィルム面内の屈折率のうち最小のもの、nzはフィルム面外(厚み方向)の屈折率を示す。nxやnyについては一軸延伸や二軸延伸により連続的に制御できることがよく知られているが、nzについては、例えば特許文献2、3にフィルムの片面または両面に熱収縮性フィルムを接着し、その積層体を加熱延伸処理して、高分子フィルムの厚み方向に収縮力をかける製造方法が開示されている程度である。
特許文献4には、厚み精度及び光学特性の均一性に優れたフィルムの製造方法として、冷却ロールと、特定の金属スリーブロールとで挟圧する方法が開示されている。
特開2007−179026号公報 特許2818983号公報 特開2002−207123号公報 特開2006−240096号公報
しかしながら、特許文献1のDNA分子を用いる光学補償フィルムは、魚介類等からのDNAの抽出、非水溶性処理等が必要であり、工程が煩雑であるという課題があった。
特許文献2、3に開示されている方法では、熱収縮性フィルムなどの部材が必要であり、また、用いる熱収縮性フィルムの特性(バラツキ)が屈折率の制御に影響を与えるため品質の安定化が容易ではない等という問題があった。
特許文献4に開示されている方法では、厚み精度は良好なものの、製造するフィルムを薄膜化していくと冷却ロールと金属スリーブロールとが直接接触しロール表面に傷などの欠陥を生じさせる懸念があった。また、特許文献3には、nz、特に厚み位相差(Rth)の制御については何ら記載も示唆もない。
このように、厚み方向の配向制御は困難であった。そこで、nz、各種光学補償フィルム等への応用が期待できる厚み位相差(Rth)が負の値を有するフィルムの製造方法や厚み位相差(Rth)が負の値を有するフィルムが求められていた。
本発明の課題は、上記した従来技術の問題点に鑑み、光学特性、特に厚み位相差(Rth)が負の値を有するフィルムの製造方法を提供すること、および厚み位相差(Rth)が負の値を有する層を含むフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、シート状の溶融体を冷却ロール(A)と特定のタッチロール(B)とで挟圧してフィルムを製造すれば、上述の課題を解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ガラス転移温度が80℃以上でかつ、固有複屈折が正である樹脂を主成分とする組成物を加熱溶融してシート状に押出す溶融押出工程、及び、冷却ロール(A)とタッチロール(B)とで前記押出されたシート状物を挟圧させる挟圧工程を含むフィルムの製造方法であって、
前記タッチロール(B)が軸体とこの軸体の外周に沿って形成されたベース層とを備えた構造を有し、該ベース層が内層(B−1)と外層(B−2)の少なくとも二層を有し、20℃における内層及び外層の貯蔵弾性率E´(B−1)及びE´(B−2)が式(1)の関係を満たし、
前記固有複屈折が正である樹脂を主成分とする組成物からなる層の厚み位相差(Rth)が負の値を有することを特徴とするフィルムの製造方法。
式(1): 100MPa≧E´(B−2)>E´(B−1)
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、内層(B−1)の20℃における貯蔵弾性率E´(B−1)が10MPa以下であることを特徴とするフィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、内層(B−1)の材質がシリコーン系スポンジゴムであることを特徴とするフィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、冷却ロール(A)とタッチロール(B)のタッチ圧(面圧)が、0.01MPa〜2.0MPaとなる条件で製造することを特徴とするフィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、固有複屈折が正である樹脂が脂環式構造含有重合体樹脂であることを特徴とするフィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、厚み位相差(Rth)が−200nm〜−1nmであることを特徴とするフィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、光弾性係数の絶対値が、10×10−12Pa−1以下であることを特徴とするフィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、ガラス転移温度が80℃以上でかつ、固有複屈折が正である樹脂を主成分とする組成物からなる層を含み、その層の厚み位相差(Rth)が負の値を有することを特徴とするフィルムが提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明に係るフィルムを偏光膜の少なくとも片面に配してなる偏光板が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第9の発明に係る偏光板を有する液晶表示装置が提供される。
本発明によれば、大規模な設備投資を必要とせず、かつ、高Tgで液晶表示の画質改善に有効な光学補償用のフィルムの製造方法が提供できる。また、得られたフィルムを用いて製造した偏光板、液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし本発明の内容が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本フィルムの製造方法>
本発明の実施形態の一例に係るフィルムの製造方法(「本フィルム製造方法」と称する)は、ガラス転移温度が80℃以上でかつ、固有複屈折が正である樹脂を主成分とする組成物(「本樹脂組成物」と称する)を加熱溶融してシート状に押出す溶融押出工程、及び、冷却ロール(A)と特定のタッチロール(B)とで前記押出されたシート状物を挟圧させる挟圧工程を含むフィルムの製造方法であって、前記固有複屈折が正である樹脂を主成分とする組成物からなる層の厚み位相差(Rth)が負の値を有するフィルム(「本フィルム」と称する)の製造方法である。
本フィルムの製造方法は、上記工程を備えていればよいから、他の工程や処理をさらに備えていてもよい。
本発明においては、本樹脂組成物を加熱溶融して押出されたシート状物を、図3に示したように、冷却ロール(A)と挟圧した際にタッチロール(B)が真円から変形することにより、該シート状物の挟圧の状態が線圧状態から面圧状態に変わり、いわゆるプレス効果が発現するものと考えられる。これにより、固有複屈折が正である樹脂にもかかわらず、厚み位相差(Rth)が負の値を有するフィルムを採取することができるものと考えられる。
ここで面内位相差(Ro)とは、フィルムの遅相軸方向、進相軸方向の屈折率を、それぞれnx、nyとし、d(nm)をフィルムの厚みとしたとき、Ro=(nx−ny)×dによって求められるものである。なお遅相軸とは面内の屈折率の最大となる方向をいう。
一方、厚み位相差(Rth)とは、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、Rth={(nxny)/2−nz}×dによって求められるものである。


以下、溶融押出工程、挟圧工程について説明をし、ガラス転移温度が80℃以上でかつ、固有複屈折率が正である樹脂について説明をした後、本フィルムについて順次説明する。
<溶融押出工程>
本工程では、後に記載するガラス転移温度が80℃以上でかつ、固有複屈折が正である樹脂、その他の原料を、例えばタンブラーミキサー、オムニミキサー等の混合機でプレブレンドした後、必要に応じて、得られた混合物を押出混練して本樹脂組成物を調製すればよい。
原料は、それぞれ別々に、もしくは混合された状態で、オーブンや真空乾燥機などで加熱乾燥してもよい。乾燥の際には、成分の変質や融着が起こらない条件とすることが好ましい。
本樹脂組成物を混錬する際、用いる設備を特に限定するものではない。例えば単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機など、公知の押出機を用いることができる。
また、設備構造および必要性に応じて、ベント口に減圧機を接続し、水分や低分子量物質を除去してもよい。
上記押出機のL/D値(Lは押出機のシリンダーの長さ、Dはシリンダー内径)は、本樹脂組成物を十分に可塑化して良好な混練状態を得るために、10〜80以下であるのが好ましい。L/D値が10以上であれば、本樹脂組成物を十分に可塑化することができ、良好な混練状態とすることができる。一方、L/D値が80以下であれば、本樹脂組成物に対して過度に剪断発熱が加わって熱分解するのを防ぐことができる。かかる観点から、押出機のL/D値は10〜80以下であるのが好ましく、中でも15以上或いは60以下であるのがさらに好ましい。
本樹脂組成物を加熱溶融する際の溶融温度、例えばTダイ法を採用する場合であれば、Tダイの温度は、本樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)の+50℃〜+200℃すなわちTg+50℃〜Tg+200℃であるのが好ましく、中でもTg+70℃以上或いはTg+180℃以下、その中でTg+100℃以上或いはTg+150℃以下であるのがより好ましい。なお、ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量分析(DSC)により測定することができる。
Tダイは、単層構造でも積層構造でも構わない。Tダイにおける吐出部の間隔(リップギャップ)は、10〜1500μmとするのが好ましく、中でも50μm以上或いは1000μm以下、中でも100μm以上或いは800μm以下であるのがより好ましい。
また、上記押出機と上記Tダイとの間に、ギアポンプなどの定流量設備や、フィルターパックなどの異物等の除去設備やサーモジナイザーなどを設置して処理してもよい。
<挟圧工程>
本工程では、前記溶融押出工程で押出されたシート状物を冷却ロール(A)と特定のタッチロール(B)とで挟圧し、冷却ロールに密着させながら引き取り、連続したシート状物に成形するのが好ましい。図1に本発明の一実施形態でフィルムを製造するために用意した製造装置の概略構成図を示した。また、図2に本発明の一実施形態であるタッチロール(B)の断面模式図を示した。
まず、冷却ロール(A)については、特に制限されるものではないが、通常、金属ロールである。冷却ロール(A)としてステンレス製などの金属鏡面ロールを用いることで金属鏡面をフィルムに転写することができ表面外観を向上させることができる。
冷却ロール(A)の表面形状については、フィルムの所望する表面特性により適宜選択すればよいが、鏡面外観が必要な場合には、JIS−B0601(2001年)に準拠して測定した最大高さ(Rz)が0.3μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。
冷却ロール(A)のサイズについては特に制限されるものではないが、通常、直径が100mm〜2500mmであり、200mm〜1000mmが好ましく、250mm〜600mmがより好ましい。また、通常、幅は、5000mm以下であり、800mm〜2500mmが好ましく、1000〜1800mmがより好ましい。
図1では、冷却ロール4の後段に、さらに第2の冷却ロール5が配置されている。冷却ロールの数は、採取するフィルムの材質や成形温度および厚み等に応じて適宜選択すればよい。
次に、タッチロール(B)については、軸体とこの軸体の外周に沿って形成されたベース層とを備えた構造を有し、該ベース層が内層(B−1)と外層(B−2)の少なくとも二層を有し、20℃における内層及び外層の貯蔵弾性率E´(B−1)及びE´(B−2)が式(1)の関係を満たしていることが重要である。
式(1): 100MPa≧E´(B−2)>E´(B−1)
なお、貯蔵弾性率は、粘弾性測定装置を用い、振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃/分で測定した値である。
ここで、上記式のように内層(B−1)の貯蔵弾性率が外層(B−2)の貯蔵弾性率よりも小さいことが重要である。この関係により、図3に示したように、本樹脂組成物を加熱溶融して押出されたシート状物を、冷却ロール(A)と挟圧した際に、タッチロール(B)が真円から変形することにより、該シート状物の挟圧の状態が線圧状態から面圧状態に変わり、いわゆるプレス効果が発現するものと考えられる。これにより、固有複屈折が正である樹脂にもかかわらず、厚み位相差(Rth)が負の値を有するフィルムを採取することができるものと考えられる。
一方、内層(B−1)の貯蔵弾性率が外層(B−2)の貯蔵弾性率よりも大きい場合、外層が軟らかくなるため、製造されるフィルムの表面のフラット性を確保するのが困難となる。さらに、軟らかいタッチロール外層が直接フィルムに接触すると、タッチロール側にフィルムが引っ張られるトラレ現象が起こるおそれもある。
具体的な貯蔵弾性率の値としては、外層(B−2)の20℃における貯蔵弾性率が100MPa以下であることが好ましく、50MPa以下がより好ましく、30MPa以下がさらに好ましい。下限は通常5MPaである。また、内層(B−1)の20℃における貯蔵弾性率は、10MPa以下が好ましく、1MPa以下がより好ましく、0.5MPa以下がさらに好ましい。下限は通常0.1MPaである。該範囲であれば、冷却ロール(A)と挟圧した際に、タッチロール(B)が真円から変形し得られるフィルムに対して、線圧状態から面圧状態に変わり、プレス効果が発現し易いため好ましい。
外層(B−2)と内層(B−1)の20℃における貯蔵弾性率の差(E´(B−2)−E´(B−1))は特に制限はないが、1.0〜50MPaであることが好ましく、3.0〜30MPaであることがより好ましく、5.0〜20MPaであることが特に好ましい。該範囲であれば、冷却ロール(A)と挟圧した際に、タッチロール(B)が真円から変形し得られるフィルムに対して、線圧状態から面圧状態に変わり、プレス効果が発現し易いため好ましい。
外層と内層の材質は、上記した貯蔵弾性率の関係を有していれば、特に制限されるものではないが、外層には、シリコーンゴム、内層には、シリコーン系スポンジゴムやウレタン系スポンジゴムなどを好適に用いることができる。また、フィルムの剥離性や冷却効率を向上させるため等の目的で熱伝導率が0.5W/m・K以上である放熱性シリコーンゴムなども好適に用いることができる。
ここで、外層の硬度(JIS−A)は、40〜90°が好ましく、50〜85°がより好ましく、60〜85°が更に好ましい。該範囲であれば、得られるフィルムへのプレス効果が十分発現し、また、タッチロール自体の耐久性も向上するため好ましい。表面状態は、得られるフィルムの要求特性により適宜調整すれば良いが、鏡面フィルムの場合には、光沢度(JIS Z8741)が60〜80%が好ましく、65〜75%がより好ましい。
内層(B−1)の材質は、外層にシリコーンゴムを用いた場合には、層間の接着性や耐熱性などの観点からシリコーン系スポンジゴムが好適に用いられる。シリコーン系スポンジゴムの製造方法については、特開2011−168728号公報等に記載の公知の方法が適用できる。
内層(B−1)と外層(B−2)の厚みについては、特に制限されるものではないが、内層(B−1)は、1mm〜30mmが好ましく、2mm〜10mmがより好ましい。また、外層(B−2)は、0.5mm〜10mmが好ましく、1mm〜5mmがより好ましい。内層と外層の厚みが該範囲にあれば、冷却ロール(A)と挟圧した際に、タッチロール(B)が真円から変形し得られるフィルムに対して、線圧状態から面圧状態に変わり、プレス効果が発現し易いため好ましい。また、外層の厚みが該範囲にあれば、フィルムの剥離性が良好であるため好ましい。また、内層(B−1)の厚みは、外層(B−2)の厚みよりも厚くする方が本発明の効果が発現し易いため好ましい。
タッチロール(B)のベース層については、上記したように内層(B−1)と外層(B−2)の少なくとも二層を有していればよい。具体的には、内層(B−1)と外層(B−2)の層間に接着層や内層と外層の中間の弾性率を有する層などを配してもよい。また、内層(B−1)と軸体(鉄やアルミ製など)との層間に外層(B−2)と同様の層や内層と外層の中間の弾性率を有する層などを配してもよい。さらに、外層(B−2)の表面には、平滑性や表面硬度を向上させるなどの目的でコーティングやスパッタ処理などの各種の表面加工を行うことができる。
タッチロール(B)のサイズについては特に制限されるものではないが、通常、直径が50mm〜500mmであり、100mm〜400mmが好ましく、150mm〜300mmがより好ましい。また、通常、幅は、5000mm以下であり、800mm〜2500mmが好ましく、1000〜1800mmがより好ましい。
本発明で用いるタッチロール(B)は、駆動ロールであっても駆動させないフリーロールであってもかまわない。また、タッチロール(B)の軸体には、加熱冷却などを行う目的で二重管やスパイラル管などにより水やオイルなどの加熱冷却媒体を循環させることができる。
シート状の溶融体を冷却ロール(A)と特定のタッチロール(B)とで挟圧してフィルムを得る工程において、例えばTダイを用いる場合、リップ出口から冷却ロール(A)にフィルムの接触までの距離、すなわちエアギャップは、80mm以下が好ましく、70mm以下がより好ましい。エアギャップを該範囲に設定することでシート状の溶融体のゆれによる厚み振れを抑制し易いため好ましい。また、厚み振れを抑制するためには、リップギャップは狭い方が好ましい。
シート状の溶融体を冷却ロール(A)と特定のタッチロール(B)とで挟圧してフィルムを得る工程において、タッチロール(B)のタッチ圧(面圧)は、0.01MPa〜2.0MPaが好ましく、0.1MPa〜1.0MPaがより好ましい。冷却ロール(A)とタッチロール(B)のタッチ圧(面圧)が該範囲であれば、本発明の効果が十分に発現し、また、タッチロール(B)の耐久性も確保されるため好ましい。
冷却ロール(A)の設定温度は、採取するフィルムの厚みや引取速度などを考慮して適宜調整すればよい。目安としては、採取するフィルムのTgに対して、Tg−50℃〜Tg+30℃の範囲、好ましくは、Tg−40℃〜Tg+10℃の範囲に設定すればよい。なお、ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量分析(DSC)により測定することができる。
<固有複屈折が正である樹脂>
固有複屈折の正である樹脂とは、重合体の分子鎖が一軸配向した層(例えば、フィルム)において、当該層の主面に垂直に入射した光のうち、当該層における分子鎖が配向する方向(配向軸)に平行な振動成分に対する層の屈折率nから、配向軸に垂直な振動成分に対する層の屈折率nを引いた値(n−n)が正である樹脂である。固有複屈折の値は、各々の重合体について、その分子構造に基づく計算により求めることができる。なお、樹脂組成物の固有複屈折の正負は、当該樹脂組成物に含まれる各重合体によって生じる複屈折の総計により決定される。また、本発明において主成分とは、層中の組成物成分として、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含むことをいう。
固有複屈折が正である樹脂としては、ガラス転移温度が80℃以上であれば特に限定されるものではないが、具体的には、脂環式構造含有重合体樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド、およびセルロースなどを挙げることができる。上記重合体は、固有複屈折が正であれば、単独重合体だけでなく、共重合体、それらの誘導体、あるいはブレンド物であっても良い。本フィルムを光学フィルム用途、特に偏光子保護フィルムとしての使用を考慮した場合、透明性、耐熱性、機械特性、及び、コロナ処理等の表面処理により偏光膜との接着性に優れる脂環式構造含有重合体樹脂が好ましく用いられる。
脂環式構造含有重合体樹脂は、重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を有する樹脂である。本発明においては、主鎖中に脂環式構造を有する重合体樹脂及び側鎖に脂環式構造を有する重合体樹脂のいずれも用いることができる。また、繰り返し単位中に脂環式構造を有する重合体樹脂は、構造により結晶性の樹脂と非晶性の樹脂が得られるが、本発明においては、透明性に優れた非晶性の樹脂が好ましい。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数は特に制限されるものではないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜15個である。
脂環式構造を有する重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、ガラス転移温度が80℃以上であれば特に制限されるものではないが、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位を該範囲にすることにより耐熱性の向上や光学特性の調整ができるため好ましい。
脂環式構造含有重合体樹脂の具体例としては、(1)環状エーテル類と脂環式ジヒドロキシ化合物との共重合体、(2)ノルボルネン重合体、(3)単環の環状オレフィン重合体、(4)環状共役ジエン重合体、(5)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、後述する環状エーテル類と脂環式ジヒドロキシ化合物との共重合体やノルボルネン重合体及びこれらの水素添加物がより好ましい。
環状エーテル類と脂環式ジヒドロキシ化合物との共重合体としては、環状エーテル類としてイソソルビド、イソマンニド及びイソイデットを挙げることができる。ここで、イソソルビドは、澱粉から得られるD−グルコースを水添してから脱水することにより安価に製造可能であって、資源として豊富に入手することが可能である。
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、国際公開第2007/148604号公報に記載の脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する単量体単位を挙げることができる。本発明においては、耐熱性や光学特性から5員環構造又は6員環構造を含むものが好ましい。6員環構造は共有結合によって椅子形又は舟形に固定されていてもよい。中でも、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール及びペンタシクロペンタデカンジメタノールを好適に例示することができる。これらの中でも、シクロヘキサンジメタノール又はトリシクロデカンジメタノールが経済性および耐熱性などからより好ましい。
環状エーテル類と脂環式ジヒドロキシ化合物との共重合体としては、市販品を用いることも可能であり、具体的には、三菱化学(株)製の商品名「デュラビオ(DURABIO)」が挙げられる。
ノルボルネン重合体としては、例えば、ノルボルネンモノマーの開環重合体、ノルボルネンモノマーと開環共重合可能な任意のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物;ノルボルネンモノマーの付加重合体、ノルボルネンモノマーと共重合可能な任意のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネンモノマーの開環重合体水素添加物が特に好ましい。
上記の脂環式構造含有重合体樹脂は、例えば特開2002−321302号公報等に開示されている公知の重合体から選択することができる。
ノルボルネン重合体としては、市販品を用いることも可能であり、具体的には、日本ゼオン(株)製の商品名「ゼオネックス(ZEONEX)」、「ゼオノア(ZEONOR)」、JSR(株)製の商品名「アートン(ARTON)」などが挙げられる。
本発明に用いる固有複屈折が正である樹脂のガラス転移温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは110℃以上であり、特には120℃以上である。上限は、通常250℃以下であり、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。ガラス転移温度が該範囲にあれば、高温下での使用における変形や応力に対して耐久性に優れるため好ましい。
本発明に用いる樹脂の固有複屈折は正であればよいが、固有複屈折は、0.1以下が好ましく、0.08以下がより好ましく、0.05以下が特に好ましい。固有複屈折はゼロに近いほど、フィルムの光学異方性が小さくなるため好ましい。
上記樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、諸特性を向上、調整する目的で他の重合体、さらに、滑剤、可塑剤、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、フィラーおよびナノフィラーなどの添加剤を含有させることができる。これら他の重合体及び添加剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本フィルムの製造方法においては、固有複屈折が正である樹脂を主成分とする組成物からなる層を有し、その層の厚み位相差(Rth)が負の値を有していれば、単層フィルムである必要はなく、積層フィルムであっても構わない。
<本フィルム>
このようにして得られる本フィルムは、ガラス転移温度が80℃以上でかつ、固有複屈折が正である樹脂を主成分とする組成物(本樹脂組成物)からなる層を含み、その層の厚み位相差(Rth)が負の値を有することを特徴とするフィルムであり、このフィルムは液晶表示の画質改善に有効な光学補償フィルム等として有用である。
ここで厚み位相差(Rth)は、−200nm〜−1nmが好ましく、−100nm〜−2nmがより好ましく、−50nm〜−5nmが特に好ましい。−1nmより大きいと複屈折による位相差の補償が困難になる傾向がある。
本フィルムの厚みは、5μm〜200μmであるのが好ましく、中でも10μm以上或いは150μm以下であるのがさらに好ましい。
本フィルムの厚みが5μm以上であれば、フィルムとしての強度を十分に確保することができ、後加工や二次加工を行う際に破断などが生じるのを防ぐことができるため好ましい。他方、フィルムの厚みが200μm以下であれば、構成部材としての厚みを抑えることができるため好ましい。
本フィルムの光弾性係数(絶対値)は、10×10−12Pa−1以下が好ましく、8×10−12Pa−1以下がより好ましく、5×10−12Pa−1以下が特に好ましい。光弾性係数が10×10−12Pa−1より大きいと、応力による位相差の変化が大きくなり、光漏れなどの原因となることがある。
光弾性係数とは、弾性体が外力を受けたとき一時的に光学的異方体となって複屈折を生じ、外力を除いたあと元に戻る光弾性効果を示す物質において複屈折差の応力依存性を表す定数である。即ち、複屈折差(Δn)と光弾性係数との関係は次式で表される。
Δn=C・σ (Cは光弾性係数、σは応力を表す)
また、本フィルムの全光線透過率は、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、91%以上がさらに好ましく、92%以上が特に好ましい。また、ヘイズは1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.3%以下がさらに好ましい。
なお、本フィルムの面内位相差(Ro)の値は特に限定されない。
本フィルムは、トリミング、打ち抜き、切り出しなどにより必要な範囲を切り出して使用することができる。本フィルムは、そのまま用いてもよいが、必要に応じて一軸延伸や二軸延伸などを行うことができる。また、他のフィルムなどの層との積層なども適宜行うことができる。
本フィルムにおいては、ガラス転移温度が80℃以上でかつ、固有複屈折が正である樹脂を主成分とする組成物からなる層を有し、その層の厚み位相差(Rth)が負の値を有しておれば、単層フィルムである必要はなく、積層フィルムであっても構わない。
また、本フィルムの片面もしくは両面に対して、各種の機能性コーティング(塗布)を行ってもよい。機能性コーティング層は、例えば、易接着層、帯電防止層、粘接着剤層、防眩(ノングレア)層、光触媒層などの防汚層、反射防止層、ハードコート層、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤー層、アンチブロッキング層などである。
<偏光板>
本フィルムの用途には特に制限はないが、光学異方性が非常に小さく、また引裂強度等の機械的強度にも優れることから、特に、本フィルムを偏光膜の少なくとも片面に配することで、偏光板の偏光膜の保護フィルムとして好適に用いることができる。
本フィルムを例えば、偏光板における偏光膜の保護フィルムとして使用する場合、一般的には、偏光膜を接着させるための接着剤を介して偏光膜を貼り合わせる。
接着剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリビニルアルコール系やウレタン化合物等の水系接着剤、アクリル系化合物やエポキシ系化合物、オキサゾリン化合物等の活性エネルギー線硬化系接着剤が挙げられる。
<液晶表示装置>
本フィルムは、光学特性や、引裂強度等の機械的強度に優れ、偏光膜に対して密着性よく接着させることができ、偏光板を液晶から剥す際のハンドリング性にも優れることから、このような本フィルムを用いた本発明の偏光板は、偏光膜の保護効果、機能維持性に優れ、テレビ、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の液晶表示装置の偏光板として高品質な表示画面を実現することができ、また、液晶表示装置製造時の作業性にも優れる。
以下に実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示される種々の測定値および評価は次のようにして行った。ここで、フィルムの押出機からの流れ方向をMD方向、その直交方向をTD方向とよぶ。
(1)ガラス転移温度(Tg)
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムからガラス転移温度(Tg)(℃)を求めた。なお、Tgの値は、少数第一位を四捨五入して記載した。
(2)全光線透過率およびヘイズ
得られたフィルムについて、JIS K7105に準じてヘーズメーター(日本電色工業(株)社製、商品名:NDH−5000)を用いて、全光線透過率およびヘイズを測定した。また、下記の基準で判定した結果も記載した。
(全光線透過率)
◎:全光線透過率が92%以上
○:全光線透過率が90%以上、92%未満
△:全光線透過率が85%以上、90%未満
×:全光線透過率が85%未満
(ヘイズ)
◎:ヘイズが0.3%以下
○:ヘイズが0.3%を超え、1.0%以下
×:ヘイズが1.0%を超える
(3)貯蔵弾性率(E´)
アイティ計測(株)製の粘弾性測定装置、商品名「粘弾性スペクトロメーターDVA−200」を用いて、試料(MD方向4mm、TD方向60mm)を振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmで横方向について、−100℃から150℃まで測定し、得られたデータから20℃における貯蔵弾性率(E´)(MPa)を求めた。
(4)厚み位相差(Rth)
得られたフィルムについて、位相差測定装置(王子計測機器(株)製、商品名:KOBRA−WR)を用いて測定した。また、下記の基準で判定した結果も記載した。なお、Rthは、入射角度0°の時と、40°のときの位相差より算出した。
○:Rthの値が負
×:Rthの値が正
実施例、比較例で用いた原料を下記する。
(樹脂:P−1)
特開2008−024919号公報に準じた方法により得られた、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドに由来する単量体単位とトリシクロデカンジメタノールに由来する単量体単位のモル比率がイソソルビド/トリシクロデカンジメタノール=70/30モル%であるポリカーボネート共重合体。密度:1.36g/cm、Tg:130℃、MFR(温度:230℃、荷重:37.3N):9.6g/10min、平均屈折率:1.5102、固有複屈折:0.03、光弾性係数:12×10−12Pa−1
(実施例1)
ガラス転移温度が80℃以上でかつ、固有複屈折が正である樹脂として樹脂(P−1)100質量部をベント機能を有する同方向二軸押出機に供給し、樹脂温度220〜255℃で溶融混練し、ギアポンプとフィルターパック(リーフディスクフィルター、メッシュサイズ5μm)を経由して255℃のTダイにてシート状の溶融体を作製し、エアギャップ65mmでステンレス製の冷却ロール(φ300mm、温度100℃)とタッチロール(φ200mm、外層;鏡面シリコーンゴム、E´=9.0MPa、厚み3mm、内層;シリコーン系スポンジゴム、E´=0.26MPa、厚み7mm)とで挟圧することで厚みが40μmのフィルムを作製し、後工程でマスキングフィルム(フタムラ化学(株)製、自己粘着OPPフィルム、商品名;太閤FSA、グレード;010M、厚み;30μm)をラミネートし、フィルムロール(長さ1000m)を得た。タッチ圧は、0.8MPaであった。得られたフィルムは外観が良好であり、また平面性にも優れていた。該フィルムを用いて評価した結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1においてタッチロール(外層;鏡面シリコーンゴム、内層;シリコーン系スポンジゴム)の代わりにタッチロール(全層;鏡面シリコーンゴム)を用いた以外は同様にして厚みが40μmのフィルムロールを得た。得られたフィルムは外観が良好であり、また平面性にも優れていた。該フィルムを用いて評価した結果を表1に示す。
Figure 0006759871
表1より、本発明の製造方法を用いれば、大規模な設備投資を必要とせず、固有複屈折が正である樹脂を主成分とする組成物であっても厚み位相差(Rth)が負の値を有するフィルムが得られることが確認できる。
本発明の一実施形態でフィルムを製造するために用意した製造装置の概略構成図である。 本発明の一実施形態であるタッチロール(B)の断面模式図である。 本発明の一実施形態である冷却ロール(A)とタッチロール(B)の状態を示した写真である。
1・・・押出機
1a・・・フィルターパック
1b・・・Tダイ
2・・・フィルム
3・・・タッチロール
4,5・・・冷却ロール
6・・・軸体
7・・・内層(B−1)
8・・・外層(B−2)

Claims (7)

  1. ガラス転移温度が80℃以上でかつ、固有複屈折が正である樹脂を主成分とする組成物を加熱溶融してシート状に押出す溶融押出工程、及び、冷却ロール(A)とタッチロール(B)とで前記押出されたシート状物を挟圧させる挟圧工程を含むフィルムの製造方法であって、
    前記タッチロール(B)が軸体とこの軸体の外周に沿って形成されたベース層とを備えた構造を有し、該ベース層が内層(B−1)と外層(B−2)の少なくとも二層を有し、20℃における内層及び外層の貯蔵弾性率E´(B−1)及びE´(B−2)が式(1)の関係を満たし、
    前記固有複屈折が正である樹脂を主成分とする組成物からなる層の厚み位相差(Rth)が負の値を有することを特徴とするフィルムの製造方法。
    式(1): 100MPa≧E´(B−2)>E´(B−1)
  2. 前記内層(B−1)の20℃における貯蔵弾性率E´(B−1)が10MPa以下であることを特徴とする請求項1記載のフィルムの製造方法。
  3. 前記内層(B−1)の材質がシリコーン系スポンジゴムであることを特徴とする請求項1または2記載のフィルムの製造方法。
  4. 冷却ロール(A)とタッチロール(B)のタッチ圧(面圧)が、0.01MPa〜2.0MPaとなる条件で製造することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
  5. 前記固有複屈折が正である樹脂が脂環式構造含有重合体樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
  6. 厚み位相差(Rth)が−200nm〜−1nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
  7. 光弾性係数の絶対値が、10×10−12Pa−1以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
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